JP2004050133A - 圧縮気体の除湿装置 - Google Patents

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西島 信
Takami Horiuchi
堀内 隆巳
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Abstract

【課題】本発明は、再生工程時では蓄熱した熱により吸着剤の温度低下を阻止して吸着筒内の相対湿度を下げることにより再生効率の向上を図り、吸着工程では吸着剤の温度上昇を抑制して吸着筒内の相対湿度を上げることにより吸着効率の向上を得られる圧縮気体の除湿装置を提供する。
【解決手段】吸着剤17を充填する一対の吸着筒3,4を備え、湿った圧縮気体を一方の吸着筒へ導いて吸着除湿して乾燥させ、この乾燥気体の一部を他方の吸着筒に導いて前段階で吸湿能力が低下した吸着剤から湿分を脱着しかつパージする再生を並行して行い、両吸着筒の間で吸着と再生を交互に切換えて連続的に乾燥気体を供給する圧縮気体の除湿装置において、各吸着筒に充填される吸着剤は、アルミナゲル、シリカゲル等に、銅を30重量%以上含む。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着剤を用いて湿った圧縮気体の液状を吸着除湿して乾燥する、圧縮気体の除湿装置に係わり、特に、吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の除湿装置においては、乾燥した気体、たとえば乾燥空気を連続して供給するため、活性アルミナ、シリカゲル、合成ゼオライトあるいは塩化リチウムなどの吸着剤を容器に充填した吸着筒が二基用意される。
一方の吸着筒に湿った圧縮空気を導き、吸着剤で液状を吸着除湿し乾燥空気となす吸着工程を行って、所定の供給先に供給する。同時に、得られた乾燥空気の一部を他方の吸着筒に導き、前工程で吸湿して吸湿能力の低下した吸着剤から湿分を脱着し、さらにこの湿分を吸着筒からパージする再生工程をなす。
【0003】
このような一方の吸着筒における吸着工程と、他方の吸着筒における再生工程は並行して行われ、所定時間経過後に両吸着筒間に設けられた切換え弁を切換えて互いの吸着筒における工程を交代し、乾燥空気は連続的に供給する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような圧縮気体の除湿装置において、一方の吸着筒で行われる再生工程では、前工程(吸着工程)で吸着剤は液状を吸着し含有しているので、再生工程中は吸着剤から湿分が脱着再生する。
脱着時は吸熱反応となり、脱着にともない、吸着剤自体が温度降下することで、吸着筒内における相対湿度が上昇する。そのため、継続して吸着剤から湿分を脱着させるには都合が悪い条件下となり、湿分の脱着作用が悪化して再生効率が低下してしまう。
【0005】
一方、吸着工程では、吸着剤が湿分を吸着する際に吸着剤から熱(吸着熱)が生じ、吸着剤層が温度上昇して吸着筒内における相対湿度を低下させる。この条件下では、新たに送られてくる湿った圧縮空気から吸着剤が液状を吸着するには都合が悪く、吸着剤の吸着効率が低下してしまう。
すなわち、吸着工程と再生工程との可逆サイクルにより、再生工程では吸着剤の温度が下り吸着筒内の相対湿度が上って再生効率の低下があり、吸着工程では吸着剤の温度が上り吸着筒内の相対湿度が下って吸着効率の低下がある。
【0006】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、吸着剤から発生する吸着熱を吸着剤に蓄熱させ、再生工程時では蓄熱した熱により吸着剤の温度低下を阻止して吸着筒内の相対湿度を下げることにより、吸着剤に対する再生効率の向上を図り、吸着工程では吸着剤の温度上昇を抑制して吸着筒内の相対湿度を上げることにより、吸着剤における湿分の吸着効率の向上を得られる圧縮気体の除湿装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を満足するため本発明の圧縮気体の除湿装置は、吸着剤を充填する一対の吸着筒と、これら吸着筒に連通する連通路およびこの連通路に設けられる切換え手段を備え、湿った圧縮気体を一方の吸着筒へ導いて吸着除湿して乾燥させ、この乾燥気体の一部を他方の吸着筒に導いて前段階で吸湿能力が低下した吸着剤から湿分を脱着しかつパージする再生を並行して行い、両吸着筒の間で吸着と再生を交互に切換えて連続的に乾燥気体を供給する圧縮気体の除湿装置において、上記各吸着筒に充填される吸着剤は、アルミナゲル、シリカゲル等に、銅を30重量%以上含む。
【0008】
このような吸着剤を用いることにより、吸着工程での吸着性能を確保したうえで吸着剤に蓄熱し、吸着筒内の相対湿度を上げて吸着剤の吸着容量を増加せしめ、再生工程では前工程での吸着剤への蓄熱により吸着剤の温度低下を抑制して吸着筒内の相対湿度を下げ、吸着剤からの湿分の離脱効果を上げる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1に、圧縮気体の除湿装置の外観を斜視図として示す。
この除湿装置は、下部側の架台1と、この架台1の一側部上に取付けられる電気部品箱2と、架台1の他側部上に取付けられる2基の吸着筒(説明の都合上、以下、図の左側吸着筒をA筒と呼び、図の右側吸着筒をB筒と呼ぶ)3,4と、これらA,B筒3,4の上端部に亘って載設されるアウトレットヘッド5、およびA,B筒下端部に亘って取付けられるインレットヘッド15とから構成される。
【0010】
このアウトレットヘッド5は、複数本の支柱ボルト6…とナット7…を介して架台1に取付け固定され、よってA,B両筒3,4の固定保持がなされている。上記インレットヘッド15は、架台1に取付けられる蓋板8によって遮蔽されている。上記アウトレットヘッド5の一側面には、装置内で吸着乾燥した気体を所定の供給先に給出案内するための給出口9が設けられ、かつ架台1の一側面には湿った圧縮気体を装置内へ導入案内するための導入口10が開口される。
また、アウトレットヘッド5の中央部には湿度インジケータ11が設けられ、さらにアウトレットヘッド5にはA,B両筒3,4上端部と互いに連通するパージオリフィス12が設けられている。
【0011】
図2と、図3は、同じ除湿装置の断面を概略的に示しており、互いに作用が異なる状態である。上記A,B筒3,4は、上下端面が開口する筒体からなっていて、上端開口部はアウトレットヘッド5下面に設けられた凹部5aに挿嵌され、下端開口部は先に述べたインレットヘッド15上面に設けられた凹部15aに挿嵌される。
そして、各A,B筒3,4の上端開口と下端開口からそれぞれ所定間隔を存した位置に多孔板16が設けられていて、これら多孔板16間に後述する吸着剤17が充填される。
【0012】
すなわち、吸着剤17として、アルミナゲル、シリカゲル、合成ゼオライト(ユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブス)等の吸湿剤に、銅を30重量%以上含むことで構成される。これによって、蓄熱材としての銅の表面全体が吸湿剤であるアルミナゲル等と接触し、この間の熱伝達率が飛躍的に向上する。
上記吸着剤17の単体粒子における熱伝達率が、通常用いられる吸着剤(たとえばシリカゲル等)単体と比較して高くなり、再生工程での加熱速度と吸着工程での冷却速度が顕著に大きくなるとともに、吸着剤17自体の蓄熱性能の向上を得られる。
【0013】
上記アウトレットヘッド5における各A,B筒3,4中央部と対向する位置に逆止弁18A,18Bを収容する弁室19が形成される。これら逆止弁18A,18Bは、下部側である筒3,4内から上方への気体の流れを許容し、上部から筒3,4内への気体の流れを阻止するものである。
さらに、アウトレットヘッド5には、上記給出口9と、各弁室19とを連通する給出路20が設けられていて、逆止弁18A,18Bを開放して弁室19を出た気体を給出口9へ導くようになっている。この給出路20には上記湿度インジケータ11と連通する分岐路21が分岐して設けられている。
【0014】
各弁室19の周囲でA,B両筒3,4が挿嵌される範囲内は凹陥形成されていて、先に説明したパージオリフィス(ここではアウトレットヘッド5に設けられるよう描いている)12と連通するパージ室22となっている。
換言すれば、互いのパージ室22,22はパージオリフィス12によって連通される。上記給出路20における給出口9とは反対側の端部は閉塞されていて、湿度センサ23の検知子が給出路20に突出して取付けられている。
【0015】
図2のみ示すように、上記電気部品箱2内に制御手段である制御回路25が収容されていて、上記湿度センサ23と電気的に接続される。湿度センサ23は、給出路20における乾燥空気の湿度を検知して、検知信号を制御回路25へ送るようになっている。
上記インレットヘッド15の下面には切換え手段である切換え弁26が取付けられている。さらに、インレットヘッド15の一側部には上記導入口10が設けられ、他側部にはパージ弁27とサイレンサ28が直列に接続される。
【0016】
上記切換え弁26には、図の左側から右側へ第1のポートa,第2のポートb,第3のポートc,第4のポートd,第5のポートeが順次設けられていて、弁体fが移動することにより各ポートa〜e相互の連通切換えがなされる。上記弁体fはソレノイド26Sによって駆動される。このソレノイド26Sは上記制御回路25と電気的に接続されていて、駆動制御されるようになっている。
上記インレットヘッド15には、導入口10と切換え弁26の第3のポートcとを連通する導入路30と、A筒3の下部開口端と第2のポートbとを連通するA筒連通路31と、B筒4の下部開口端と第4のポートdとを連通するB筒連通路32と、第1のポートaと第5のポートeとを連通する逆U字状のポート連通路33および、このポート連通路33の中途部から分岐して上記パージ弁27に連通するパージ分岐路34が設けられている。
【0017】
上記パージ弁27は、通常構成の電磁開閉弁であって、上記制御回路25と電気的に接続される。この制御回路25からの制御信号に応じて開閉し、パージ分岐路34から導かれるパージ気体の導通もしくは遮断をなす。ここから導出されるパージ気体はサイレンサ28に導かれて消音されたあと、外部へ放出されるようになっている。
上記制御回路25は、上記湿度センサ23からの検知信号を受けて露点温度(圧力下露点)に換算する回路と、この露点温度と予め記憶された設定露点温度(圧力下露点)とを比較する回路、およびこの比較結果にもとづいて切換え弁26の切換え制御と、パージ弁27の開閉制御をなす回路とを備えている。
【0018】
このように構成される除湿装置であって、以下に述べるような作用をなす。なお、圧縮気体として圧縮空気を適用して説明する。
切換え弁26の弁体fが図2に示す位置にあるとき、装置へ供給される湿った圧縮空気はB筒4内を通過する間に、ここに充填される吸着剤17によって吸着除湿され乾燥化する、吸着工程が行われる。そして、逆止弁18B、アウトレットヘッド5の給出路20を介して給出口9から所定の供給先に給出される。
【0019】
B筒4から出た乾燥空気の一部はパージ室22、パージオリフィス12、A筒3上部のパージ室22を介してA筒3内に案内され、前段階の吸着工程において吸着剤17が吸着した湿分を脱着し、パージ空気としてA筒連通路31から切換え弁26を介してパージ分岐路34に導かれる。
パージ弁27が閉成状態にあるとき、パージ空気は遮断されA筒3内を圧力上昇する昇圧工程となす。パージ弁27が開放状態にあるとき、パージ空気はパージ弁27を通過してサイレンサ28に導かれ、ここで消音されてから外部へ放出される再生工程となす。
【0020】
切換え弁26の弁体fが図3に示す位置にあるとき、装置へ供給される湿った圧縮空気は、A筒3内に充填される吸着剤17によって吸着除湿され乾燥化する吸着工程となる。そして、逆止弁18A、アウトレットヘッド5の給出路20を介して給出口9から所定の供給先に給出される。
また、A筒3から導出される乾燥空気の一部はパージ室22、パージオリフィス12、B筒4上部のパージ室22を介してB筒4内に案内される。この乾燥空気は前段階の吸着工程において吸着剤17が吸着した湿分を脱着し、パージ空気として切換え弁26を介してパージ分岐路34に導かれる。
【0021】
上記パージ弁27が閉成状態にあるとき、パージ空気は遮断されてB筒4内を圧力上昇する昇圧工程となす。パージ弁27が開放状態にあるとき、パージ空気はパージ弁27を通過してサイレンサ28に導かれ、消音されてから外部へ放出される再生工程となす。
たとえば給出口9から供給される先において必要とする空気量がごく少なくてすむなど、いわゆる負荷が小さい場合や、導入口10から導入される圧縮空気の湿度が極めて低く乾燥している場合には、省エネ運転に移行する。
【0022】
上記湿度センサ23は、吸着除湿して乾燥した圧縮空気の湿度を検知して制御回路25に検知信号を送る。制御回路25では、検知した湿度を露点温度(圧力下露点)に演算し、その結果をセンサ出力電圧として出力する。
各吸着筒3,4に導かれる湿った圧縮空気は吸着剤17に所定の圧力をかける。この圧力によって吸着剤17の粒子相互が擦れ、かつ長期の使用に亘ると一部が微粒子化して乾燥空気とともに逆止弁18A,18Bを介して給出路20に導出される。
【0023】
乾燥空気と、この乾燥空気に混在する吸着剤微粒子は給出路20に沿って導かれ、給出口9から装置外の供給先へ給出される。ここでは図示しないが、給出口9から出た直後の位置にフィルタが接続されていて、上記吸着剤微粒子はすべて捕捉され、純然たる乾燥空気のみが供給先へ供給される。
なお、一方の吸着筒で行われる再生工程で、通常用いられる吸着剤では吸着した湿分が脱着する際の冷却作用により温度降下する。この吸着剤層の冷却により吸着筒内の相対湿度が上昇して、上記吸着剤から湿分を脱着させ難い条件下となり、湿分の排出効果が低下してしまう。
【0024】
また、通常の吸着剤を用いた場合の吸着工程では、吸着剤が湿分を吸着する際に吸着剤から熱が生じる。吸着剤層の温度上昇は、吸着筒内の相対湿度の低下をともない、吸着剤が湿った圧縮空気から湿分を吸着し難い条件下となり、吸着性能の悪化を招いてしまう。
このように、通常の吸着剤を用いた場合の吸着工程と再生工程との可逆サイクルにより、再生工程では吸着剤の温度低下と吸着筒内の相対湿度の上昇による再生効率の低下があり、吸着工程では吸着剤の温度上昇と吸着筒内の相対湿度の低下による吸着効率の低下がある。
【0025】
これに対して本発明の除湿装置では、上記各吸着筒3,4に充填される吸着剤17として、アルミナゲル、シリカゲル等の吸湿剤に、蓄熱材としての銅を30重量%以上含むものを用いたことを特徴としている。
上記吸着剤17を用いることにより、蓄熱材である銅の表面全体が吸湿剤であるアルミナゲル等と接触し、この間の熱伝達率が飛躍的に向上する。吸着剤17単体粒子の熱伝達率が高くなり、再生工程での加熱速度と吸着工程での冷却速度が顕著に大きくなるとともに、吸着剤17自体の蓄熱性能が向上する。
【0026】
すなわち、吸着工程時に吸着剤17から発生する吸着熱を、吸着剤17自体に蓄熱させる。そして、再生工程時において吸着剤17から湿分が蒸発しそれにともなう冷却作用を吸着剤17が蓄熱した熱によって緩和させ、吸着剤の温度低下を阻止するとともに吸着筒3,4内の相対湿度を下げる。
したがって、前工程で吸着剤17に吸着していた湿分を再生空気中により多く脱着させるのに都合の良い条件下になり、吸着剤17に対する再生効率の向上を図れる。
【0027】
また、吸着工程では、前工程で効率よく再生した吸着剤17の作用で高い吸着性能を確保できる。さらにそのうえで、吸着剤17自体に蓄熱して吸着筒3,4内の相対湿度を上げ、吸着剤の吸着容量を高めて再生効率の向上を図れる。
なお、上述の実施の形態では、二基(一対)の吸着筒3,4を適用して説明したが、これに限定されるものではなく、複数対の吸着筒を備えて、一方側と他方側を直列に連通する除湿装置にも適用できる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、蓄熱性のある吸着剤を用いることにより、吸着工程では吸着効率を向上させ、再生工程では再生効率の向上を図れて、信頼性の高い圧縮気体の除湿装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す、除湿装置の外観斜視図。
【図2】同実施の形態を示す、除湿装置の概略の断面図。
【図3】同実施の形態を示す、除湿装置の概略の断面図で、図2とは異なる工程を説明する図。
【符号の説明】
17…吸着剤、
3…吸着筒(A筒)、
4…吸着筒(B筒)、
26…切換え弁、
20…給出路、
9…給出口。

Claims (1)

  1. 吸着剤を充填する一対の吸着筒と、これら吸着筒に連通する連通路およびこの連通路に設けられる切換え手段を備え、湿った圧縮気体を一方の吸着筒へ導いて吸着除湿して乾燥させ、この乾燥気体の一部を他方の吸着筒に導いて前段階で吸湿能力が低下した吸着剤から湿分を脱着しかつパージする再生を並行して行い、両吸着筒の間で吸着と再生を交互に切換えて連続的に乾燥気体を供給する圧縮気体の除湿装置において、
    上記各吸着筒に充填される吸着剤は、アルミナゲル、シリカゲル等に、銅を30重量%以上含むことを特徴とする圧縮気体の除湿装置。
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