JP2004050046A - 電解水生成装置と洗浄機 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気分解により析出され電極および隔膜に付着したスケールを確実に除去し、長期に亘り有効な電解性能を安定して維持できるようにする。
【解決手段】電解槽2内に配設した対の電極4,5間に、正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成するものにおいて、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、この逆電圧によるクリーング時には通常の電解時とは異なる給水条件にて電解槽2内に給水する構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】電解槽2内に配設した対の電極4,5間に、正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成するものにおいて、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、この逆電圧によるクリーング時には通常の電解時とは異なる給水条件にて電解槽2内に給水する構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の電気分解によりアルカリ性電解水および酸性電解水を生成する電解水生成装置、およびこの電解水生成装置を備えた洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用の洗浄機としての食器洗い機或は洗濯機においては、洗剤を利用した洗浄運転を行なうのが一般的であるが、近年、電解水生成装置を備えた洗浄機の開発が進められ、この装置にて生成されたアルカリ性電解水、若しくは酸性電解水を洗浄水として有効活用しようとするもので、例えば油脂分の鹸化効果を有するアルカリ性電解水を洗い行程で利用し、次亜塩素酸を含み除菌効果が期待できる酸性電解水はすすぎ洗いに利用しようとするものである。
【0003】
ところで、上記電解水生成装置においては、電解槽内に隔膜を介して対の電極を配し、これら電極間に正電圧を印加して水の電気分解を行うものであるが、長期使用に伴ない前記電極(特に陰極側)に、原水中の重炭酸根とカルシウムイオンが反応して溶解度の低いカルシウム塩等の非導電性のスケールが析出し、これが層状に付着し、且つ前記隔膜の表面にも付着して通電率を低下させ、結果としてアルカリ度(pH)が低下し、酸性電解水のpH上昇、次亜塩素酸濃度の低下を来すなど、所望の電解性能が得られなくなる。
【0004】
例えば図15は、代表的なスケールの化学種である炭酸カルシウムと見かけの溶解度とpHとの関係示したもので、pHが低い酸性側では溶解度が高くてカルシウムイオンの形で溶解しているが、pHが高くなりアルカリ性になると溶解度が急激に低下し、炭酸カルシウムの沈殿が生じ、またpHが更に高くなるとカルシウムイオン等が加水分解して水酸化カルシウムのスケールとして生成されるなど、その一部がやはり陰極や隔膜の表面に付着することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記のようなスケールを除去するクリーニング手段として、各電極間に通常とは反対の逆電圧を印加してスケールを剥離除去することが考えられている。
しかして、上記クリーニング手段によれば、確かに電極表面に付着したスケールの除去には相当の効果を発揮するが、特に隔膜表面に付着したスケールに対しては効果が低く、本来の電解性能を長期に亘って得るには更なる改善が求められる。特に、この種電解水生成装置を搭載した洗浄機にあっては、該洗浄機の耐久性(寿命)に比して電解性能の早期低下は大きな問題点である。
また、その他のクリーニング手段として、水中に所定濃度のクエン酸を供給してスケールを除去することも考えられているが、そのクエン酸の供給手段など構成の複雑化や面倒な操作が必要となることは避けられないし、やはり家庭用の洗浄機に応用するには不向きである。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極および隔膜の双方に付着したスケールに有効なクリーニング手段を簡単な構成にて得られ、且つ洗浄機に対しても容易に搭載可能とした電解水生成装置と洗浄機を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第1の手段として、 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電解槽への給水条件を変更可能な給水手段を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解とは異なる給水条件にて行なうようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0008】
斯かる手段によれば、電極クリーニング時に例えば給水流量を大とする給水条件にて電解槽内に給水することにより、通常の電気分解時の給水と異なり電解槽に流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、電極はもとより隔膜に付着したスケールの除去も有効に行なえる。従って、簡単な構成にて電極と併せて隔膜のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避でき、長期安定した効果的な電解性能が得られる。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第2の手段として、電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電解槽には複数の給水口を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解時とは異なる他の給水口より給水するようにしたことを特徴とする(請求項2の発明)。
【0010】
斯かる手段によれば、異なる給水口から給水する給水手段としたので、クリーニング時における電解槽の水流は、通常の電気分解時にスケールが層状に蓄積した水流とは異なる流れとなり、電極および隔膜のスケールの剥離作用に有効である。
【0011】
更に、上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第3の手段として、 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電極のクリーニング時には、前記電解槽への給水動作を間欠的に行なうようにしたことを特徴とする(請求項3の発明)。
【0012】
斯かる手段によれば、この場合には間欠的な給水動作に伴なう圧力的変動により水撃作用を強化することができ、電極はもとより隔膜に対して、より効果的にスケールを除去することが期待できる。
【0013】
そして、上記目的を達成するために本発明の洗浄機は、第4の手段として、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のうち少なくともいずれか一方の電解水を利用した行程を含む複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、前記運転行程と連動して前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする(請求項4の発明)。
【0014】
斯かる手段によれば、電解水を利用可能とした洗浄機を容易に提供できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できる。また、運転行程に連動して電極クリーニングを行なうことで特別な行程を付加することなく、且つ洗浄機としての運転を何ら問題なく実行できる。
【0015】
そしてまた、上記目的を達成するために本発明の洗浄機は、第5の手段として、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のいずれか一方若しくは双方の電解水を洗浄槽内に供給して洗い若しくはすすぎに利用する複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、前記電解水を洗浄槽に供給し終えた後の行程にて、前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする(請求項5の発明)。
【0016】
斯かる手段によれば、電極クリーニングの動作は必要な電解水を洗浄槽内に供給した以降の行程であれば良いので、クリーニング動作の設定は容易にできるなど、他は上記請求項4の発明と同様の効果が期待できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の電解水生成装置の第1実施例について、基本的構成を断面して示す図1を参照して説明する。
図1に示す電解水生成装置1は、中空容器状に構成された電解槽2内に、隔膜3と、該隔膜3を介して対の電極としてプラス電源に接続された陽極4、およびマイナス電源に接続された陰極5とによる対の電極を備えた構成にある。具体的には、図示するように略中央に位置して1枚の平板状の陽極4を配し、その両側を2枚の隔膜3で仕切るようにして陽極室6を形成する。そして、各隔膜3を介して前記陽極3に対峙して夫々平板状の本実施例では2枚の陰極5を配設した構成とし、夫々陰極室7a,7bを形成している。
【0018】
前記隔膜3は、物理的多孔膜或はイオン交換膜の如くイオンが相互に流れ導通性を維持するイオン透水性を有し、また電極は、平板状のチタン基材に白金をメッキ或はコーティングしたもので、以って平板電極3枚の2層構造をなした隔膜式の電解槽2を構成している。
しかるに、上記電解槽2の底部には原水の取り入れ口である1個の給水口8が形成されるとともに、前記各陽,陰極室6,7a,7bの下部入水口と連通し、一方、上部においては陽極室6と連通した出水口9と、両陰極室7a,7bにあっては上部で連通し、従って1個の出水口10を形成している。
【0019】
しかるに、電解槽2への給水手段としては、前記した1個の給水口8に対し第1,第2の通水路11,12を介して接続された電磁式の給水弁13とから構成され、該給水弁13は原水(例えば水道水)の水源に連通接続されている。また、上記給水弁13は、三方切替弁構造をなすとともに、例えば前記第1の通水路11側に開放連通する弁口(図示せず)は、若干絞った口径をなしているのに対し、第2の通水路12に開放連通する弁口は大きな口径としており、従って本実施例では第1の通水路11に比し第2の通水路12を経た給水流量が大となるように、例えば第1の通水路12では毎分1リットルであるに対し、第2の通水路12の流量は毎分1.5〜2リットルに設定され、斯かる給水手段は異なる流量を選択的に切替利用できるように所謂給水条件を変更可能としている。
【0020】
次に、上記構成の作用につき説明する。
まず、通常の電気分解により電解水を生成する場合につき述べると、給水弁13が通電駆動されて第1の通水路11側の弁口が開放作動し、図中実線矢印で示すように該通水路11を経て適量の原水が流れ、給水口8より電解槽2内に給水される。この給水により、陽極室6および陰極室7a,7b内にその下部から入水するとともに、隔膜3を介した対の電極たる陽極4,陰極5間に直流電源から正電圧が印加され、この水の電気分解により陽極室6内には酸性電解水が生成され、また陰極室7a,7b内にはアルカリ性電解水が生成される。
【0021】
このような、電気分解は電解槽2への連続給水により継続して行なわれ、従ってアルカリ性電解水は上部の出水口10から連続的に取り出され、また酸性電解水は、他方の出水口9から連続的に取り出され、各電解水は用途に応じて有効利用される。
しかるに、上記電気分解を継続して使用すると炭酸カルシウム等のスケールが電極表面に析出し層状に付着することは前に述べた通りである。即ち、このスケールは、特に陰極5側に多く析出され更には陰極室7a,7b内に面する隔膜3の表面に多く付着して通電率を低下せしめ、電解性能を低下させる。
【0022】
しかして、これら電極等のスケールを除去するクリーニング手段として、本実施例では対の電極間に上記通常の電気分解とは反対の逆電圧を印加するとともに、電解槽2への給水手段として例えば流量条件を変更して給水するようにしたものである。
即ち、逆電圧を印加することで対の電極たる陽極4,陰極5に付着したスケールの除去を促すに加えて、給水弁13が第2の通水路12側の弁口が開放作動し、図中破線矢印で示すように該通水路12を介して流量大とした給水が行なわれ、給水口8から電解槽2内への流速が速まる。その結果、水撃作用が大きくなりスケールの剥離効果を増大するとともに、隔膜3に付着したスケールのクリーニングに対しても有効に作用する。
【0023】
このように、上記実施例によれば次の効果を有する。
対の電極たる陽極4,陰極5間に正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成する電解水生成装置1において、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、給水条件を変更可能な給水手段を備え、しかして逆電圧による電極クリーング時には給水条件を変更して、本実施例では給水流量を大として電解槽2内に給水することで、通常の電気分解時の給水と異なり各陽極室6および陰極室7a,7bに流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、各電極4,5はもとより隔膜3に付着したスケールの除去も有効に行なえる。
【0024】
従って、簡単な構成にて電極クリーニングに併せて隔膜3のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避できる。
尚、本実施例では電極クリーニング時における給水動作は、単に電解槽2内に連続給水するものであるが、これに限らず例えば給水弁13を間欠的に作動制御して間欠給水を行なうようにしても良く、この場合には間欠的な給水動作に伴なう圧力的変動により水撃作用を強化することができ、電極4,5はもとより隔膜3に対して、より効果的にスケールを除去することが期待できる。
【0025】
その他、本実施例では平板電極3枚の2層構造としたが、これに限らず更に増大した複数対の多層構造としても良く、また給水手段を構成する給水弁13も1個の三方切替弁構造に限らず、例えば第1,第2の通水路11,12に夫々予め流量が異なる単機能的な給水弁を設けたり、或は給水ポンプを採用して給水条件を異なる制御することも可能である。
【0026】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2実施例の電解水生成装置14を示す図1相当図で、以下上記第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
この電解水生成装置14も、上記第1実施例と基本的に同一構成にあって、所謂平板電極3枚の2層構造をなした隔膜式電解槽15を備えた構成にあるが、ただ電解槽15への給水手段において異なるものである。
【0027】
即ち、本実施例における電解槽15には給水口8の他に、更に2個所に給水口16a,16bを設けている点で特に相違する。具体的には、電解槽15への給水手段として、まず給水口8には開閉の単機能構造の給水弁17が連通接続してなる第1の通水路18が設けられ、他の給水口16a,16bには上流側で1本の水路として合流し給水弁19を連通接続してなる第2の通水路20を設けた構成としている。
特に、上記給水口16a,16bの位置は、本実施例では陰極室7a,7bの下部入水口に対向して開口せられ、また上記給水弁19は、給水弁17に比し流量大とする弁口径をなし、従って第2の通水路20を経た給水は給水口16a,16bから電解槽15内に第1の通水路18より多くの給水流量が流入可能とした給水手段を構成している。
【0028】
斯くして上記構成とした電解水生成装置14において、通常の電気分解を行なう場合には、第1の通水路18の給水弁17のみが開放作動し、給水口8から電解槽15内に給水されるとともに、対の電極たる陽極4,陰極5間に正電圧が印加されるなど、上記第1実施例と共通の電解作用を行なう。
これに対し、逆電圧を印加する電極クリーニング時においても、上記第1実施例と実質的に共通であるが、その給水手段が異なることに基づき一層有効なクリーニング効果が期待できる。
【0029】
即ち、このクリーニング時での給水動作は、第2の通水路20の給水弁19のみが開放作動し、2個所の給水口16a,16bから電解槽15内に供給される。この場合の給水条件として、通常の電気分解時とは異なる他の給水口16a,16bからの給水であること、および給水流量も多くて且つ2個所から給水される条件にあるため、スケールが層状に付着したときの水流方向と大きく異なり、スケールの剥離効果を一層助長する。
加えて、本実施例における給水口16a,16bは、スケールが析出し易い本来の陰極室7a,7b(逆電圧時には陽極側に反転)に向って流入する位置に開口していることから、その水撃作用も極めて有効となり隔膜3に対するクリーニング効果も、より一層の向上が期待できる。
【0030】
但し、本実施例の給水手段を構成する第2の通水路20は、上記構成に限らず種々展開可能で、例えば図3および図4は夫々本実施例の変形例を示す。
まず、図3に示す電解水生成装置21では、上記実施例に対し第1,第2の通水路18,20は、実質的に同じ水路構成であるが、1個の給水弁22を切替えて選択使用するようにした点で相違する。この場合の給水弁22は、前記第1実施例で開示した給水弁13と同じ仕様の三方切替弁構造で、且つ第2の通水路20側の流量大とした条件も共通である。この例によれば、1個の弁装置として構成の簡素化が得られるもので、それ以外は上記実施例と共通の作用効果を有する。
【0031】
また、図4に示す電解水生成装置23においては、上記実施例に対し給水弁24を有する第2の通水路25を電解槽26の上部の1個所に設けた他の給水口27に連通接続した構成にある。
この場合の電極クリーニング時には、やはり通常の電気分解時とは異なる他の給水口27から給水され、電解槽26内における異なる水流による水撃作用を有効利用して電極4,5や隔膜3に付着したスケールを効果的に除去できるようにしたものである。
従って、これら変形例を含む本実施例によれば、電極クリーニングするに際して、特には通常使用する給水口8とは異なる位置に設けた他の給水口16a,16b或は27等からなる給水手段を備えることで、有効なクリーニング効果が得られるようにしたものである。
【0032】
因みに、図5は上記図3に示す実施例におけるライフ試験のpH特性を表わしたもので、実線が実施例で破線で示したのが比較例における特性である。この主な条件として、図3に示す第1の通水路18の流量を毎分0.7リットルとし、これより流量大とする第2の通水路20を毎分1.0リットルに設定し、各電極4,5への通電時間としては通常の電気分解するための正電圧が7分、クリーニングするための逆電圧が3分と設定したサイクルで繰り返し実行する。
【0033】
しかるに、上記条件のうち実施例と比較例との相違は、実施例における電極クリーニングでは、流量1.0リットルが流れる第2の通水路20を利用し、且つ二つの給水口16a,16bから給水するのに対し、比較例では第1の通水路18のみを備え、クリーニング時も0.7リットルの同一流量で、しかも一つの給水口8から同じ流れの給水態様とした点で異なる。
【0034】
この結果、図5に示すライフ特性から明らかなように経過時間に対するアルカリ性電解水のpHは、比較例では早期に低下し始め且つ急な低下現象のもとにアルカリpHの変動が大きく、つまりは電解性能の早期低下が見られ電極等の長期使用に叶う耐久性(寿命)に劣ることが分かる。
これに対し、実施例ではpHは長期に亘り緩やかに低下するも、その変動幅は小さく安定したpH値のもとに長期使用を可能とするもので、この結果からも上記実施例における電極クリーニングの有効性が確認できる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図6および図7は、本発明の第3実施例を示したもので、これは例えば前記第1実施例で述べた電解水生成装置1を洗浄機たる食器洗い機28に採用した構成つき開示している。
そのうち、図6は斯かる食器洗い機28における給排水手段の水路構成を中心に、全体の概略構成を模式的に示したもので、また図7(a)および(b)は運転行程および要部のタイムチャート図である。
尚、電解水生成装置1については第1実施例と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
しかして、まず図6に基づき食器洗い機28(外殻を二点鎖線で示す)の構成につき概略説明すると、これは内部に洗浄槽29を備え、その内方下部には洗浄水等を加熱するための加温ヒータ30、および噴射アーム31を設け、その上部に図示しない食器類を収容する食器かご32等を備えている。また、洗浄槽29の外底部には洗浄水の循環水路33が形成されるとともに、これには洗浄ポンプ34が設けられ洗浄水を前記噴射アーム31に圧送する。また、洗浄槽29の底部には排水ポンプ35を有する排水路36が設けられ、先端は機外に延出されている。
【0037】
そして、洗浄槽29への給水手段として前記電解水生成装置1を含む水路構成につき説明すると、水源たる水道蛇口(図示せず)に機外の一端が接続され、他端を前記洗浄槽29に連通接続した主給水路37が設けられ、この主給水路37には単機能の主給水弁38を備え、開放作動により原水たる水道水を直接洗浄槽29内に給水する。
【0038】
しかるに、この主給水路37の主給水弁38より上流側で分岐された一端は前記給水弁13に接続され、前記第1,第2の通水路11,12を経て電解槽2内に給水可能とする給水手段を構成している。
一方、電解槽2上部の電解水の出水側にあっては、陰極室7a,7bから通常アルカリ性電解水を洗浄槽29内に供給する電解水給水路39が設けられ、また陽極室6に連通して通常は酸性電解水を排出する電解水排水路40を設けていて、電気分解時には連続して酸性電解水を直接機外に排出する。
【0039】
次に、上記構成の作用につき説明する。
まず、食器洗い機28の標準的な運転行程の概略を示す図7(a)に基づき説明すると、最初の「予洗い」行程では、原水たる水道水のみにより図示しない食器類の大きな汚れを予め洗い落とす動作が行なわれ、次の「洗い」行程では洗剤は使用せず洗浄効果を有するアルカリ性電解水を利用した洗い動作が実行される。次いで、原水たる水道水による「すすぎ1」および「すすぎ2」が行なわれた後、「加熱すすぎ3」行程に移行し、ここでは加温ヒータ30にて加熱された高温水による最終すすぎが行なわれ、最後に加温ヒータ30や図示しないブロアー等を駆動した熱風による「乾燥」行程が自動的に行なわれ、以って全ての運転行程が終了する。
【0040】
しかるに、上記運転行程のうち特に電解水生成装置1を利用する要部の行程につき、図7(b)のタイムチャートに基づき説明する。尚、図中に示す斜線状ラインは要素部品等の通電駆動区分を示している。
まず、アルカリ性電解水を利用する「洗い」行程では、その給水動作として給水弁13が第1の通水路11側に開放作動し、原水たる水道水を電解槽2内に供給するとともに、電解電源は正電圧が図示しない対の電極間に印加される。従って、電解槽2内の水は電気分解され陰極室7a,7bからは、生成されたアルカリ性電解水が電解水給水路39を経て洗浄槽29内に供給され、一方、陽極室6にて生成された酸性電解水は電解水排水路40を経て直接機外に排出される。
【0041】
このような、給排水動作が継続され洗浄槽29内に洗浄水としてのアルカリ性電解水が所定量貯水されると、給水動作は停止するとともに洗浄ポンプ34および加温ヒータ30が通電駆動される。これにより、加熱温水化された洗浄水は噴射アーム31に圧送された後、該アーム31から上部の食器類に向けて噴射され、斯くして洗浄水を循環させながら行なう所謂ポンプ噴射による洗い動作が開始される。
【0042】
そして、上記洗い動作が所定時間行なわれ終了すると、汚れた洗浄水の排水動作が開始されるとともに、この排水動作に連動して電極クリーニングが実行される。即ち、排水ポンプ35が通電駆動され洗浄水は排水路36から機外に排出されるのであるが、併せて給水弁13が第2の通水路12を開放作動するとともに、対の電極間に電解電源の逆電圧が印加され、生成された電解水が洗浄槽29内に給水される。この場合の電解水は、逆極性のため本来の陰極室7a,7bは陽極室として機能し、従って酸性電解水が生成され供給される。
【0043】
斯くして、この排水動作では排水ポンプ35の駆動により機外に排水される一方、逆電圧にて生成された酸性電解水が洗浄槽29に供給される。但し、通常排水ポンプ35による排水性能が上記電解水の供給量より遥かに優るように設定されていることから、この電解水が貯水されることなく直ちに排水され、しかも逆電圧の通電時間より排水ポンプ35の駆動時間が長く設定されているので、排水動作は何ら支障なく確実に実行される。
【0044】
次いで、「すすぎ1」行程に移行し、上記「洗い」行程と実質的に同じ動作内容が実行され、まず最初に給水動作が行なわれる。但し、ここでの給水は、上記「洗い」行程における電解水の給水と異なり主給水弁38の開放作動に基づき、原水たる水道水がすすぎ用の洗浄水として主給水路37を介して洗浄槽29内に速やかに給水される。そして、所定量の給水を得ると洗浄ポンプ34の駆動による所謂ポンプ噴射によるすすぎ動作が開始され、所定時間後、排水ポンプ35が駆動され1回目のすすぎを終えた洗浄水は排出され、「すすぎ1」行程が終了する(以降は省略)。
【0045】
このように、上記実施例によれば次の効果を有する。
電解水生成装置1を搭載した食器洗い機28において、アルカリ性電解水を「洗い」行程で常に利用するために、前記したように対の電極や隔膜にスケールが付着する。しかして、このスケールに対し本実施例では運転行程に連動して逆電圧による電極クリーニングを行なうようにしたもので、具体的には「洗い」行程における排水動作に連動して実行するようにした。このため、クリーニング作動中は逆極性による酸性電解水が洗浄槽29内に供給されるが、排水ポンプ35による強制排水により直ちに機外に排出され、貯水されたり排水動作を妨げる不具合はなく本来の運転行程をスムースに進めることができる。
【0046】
従って、対の電極や隔膜に付着したスケールのクリーニング作用は、先の第1実施例で述べた通り効果的に行なわれることはもとより、そのクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく行なえ、食器洗い機28の使用上において何ら問題なく電解水生成装置1を採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し利用できる。
【0047】
尚、上記「洗い」行程に利用する原水たる水道水が、電気分解に不利な水質である例えば導電率(水中のイオン量)が低く、必要とする電解電流が得られない場合、或は硫酸根や炭酸根等が高濃度であるため高pHのアルカリ性電解水が得られない場合などには、その電解促進剤として無機塩等を添加供給する機構を設けることも可能である。また、アルカリ性電解水は例えば主給水弁38からの給水(水道水)を調整して混合可能とすることで、pH濃度を適宜調整することも可能である。
【0048】
上記実施例に対し図8および図9は、電極クリーニングを上記「洗い」行程ではなく「すすぎ」行程に連動して行なうようにした、夫々異なる変形例を示した図7相当図である。
まず、図8に示す例は、電極クリーニングを「すすぎ1」行程の具体的には給水動作に連動して行なうようにしたもので、従ってこのものの「洗い」行程ではアルカリ性電解水による洗い動作を終えると、単に排水ポンプ35による通常の排水動作が行われる。
【0049】
しかるに、次の「すすぎ1」行程に移行し、すすぎ用の洗浄水を供給する給水動作に合わせて電極クリーニングが実行されるのであるが、図8(b)から明らかなように、給水動作では本来のすすぎ用の洗浄水として、主給水弁38の開放作動に基づき主給水路37から洗浄槽29内に水道水が直接供給される一方、電解槽2に通ずる給水弁13も第2の通水路12側を開放作動して、電解槽2への給水も開始される。そして、対の電極間には逆電圧が印加されて逆極性の電気分解による電極クリーニング動作が実行される。
【0050】
従って、この給水動作に連動して電極や隔膜のクリーニングが行なわれるとともに、この際(逆極性)に生成された酸性電解水が洗浄槽29内に供給され、すすぎ用の洗浄水の一部として利用され、また同時に生成されたアルカリ性電解水は、この「すすぎ1」行程では電解水排水路40より機外に排出される。
この結果、この「すすぎ1」行程の給水動作に連動して電極クリーニングを行なう例にあっても、上記実施例と同様にクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく食器洗い機28を使用でき、勿論電解水生成装置1を何ら問題なく採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できるものである。尚、この変形例において、「すすぎ1」行程の給水の全てを、或は水道水と適度に混合した酸性電解水を供給して、これに含まれる次亜塩素酸濃度に基づく除菌効果も併せて得ることも可能である。
【0051】
更に、図9に示す異なる他の変形例は、上記変形例が「すすぎ1」行程において電極クリーニングを行なったのに対し、これは最終すすぎの「すすぎ2」行程で行なうようにした点で異なる。加えて、図示から明かなように具体的にはすすぎ用の洗浄水として主に酸性電解水を供給し、主給水弁38からの水道水は一部給水のみにとどめ、除菌効果を得るべくすすぎ洗いを行なう例として示したものであるが、それ以外の作用効果等は上記変形例と実質的に共通であり、その説明は省略する。
尚、上記いずれの実施例においても電極クリーニングの動作は、必要な電解水を洗浄槽29内に供給した以降の行程であれば良いので、運転行程中にクリーニング動作を設定することは容易にでき、この点でも食器洗い機28への応用に適している。
【0052】
(第4の実施の形態)
図10ないし図14は、本発明の第4実施例を示したもので、これは例えば前記第1実施例で述べた電解水生成装置1を洗浄機たる脱水兼用洗濯機41に採用したものである。そのうち、図10は斯かる洗濯機41における給排水手段の水路構成を中心に、全体の概略構成を模式的に示したもので、また図11(a)および(b)は運転行程図およびタイムチャート図である。
尚、図12ないし図14は他の変形例を示したものであり(後述する)、また電解水生成装置1については第1実施例と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
しかして、まず図10に基づき洗濯機41(外殻を二点鎖線で示す)の構成につき概略説明すると、これは内部に洗浄槽42を構成する無孔状の水槽43および有孔状の回転槽44を備え、該回転槽44内の底部にはパルセータ45を備えた構成にある。上記回転槽44は、周知のように図示しない洗濯物を収容し上記パルセータ45の撹拌水流による洗浄作用の他に、高速回転により遠心脱水作用を行なう。また、上記水槽43は洗浄水を貯水し、且つ底部に設けられた排水弁46を有する排水路47から機外に排水可能としている。
【0054】
そして、洗浄槽42への給水手段として前記電解水生成装置1を含む水路構成につき説明すると、水源たる水道蛇口(図示せず)に機外の一端が接続され、他端を洗浄槽42に連通接続した主給水路48が設けられ、この主給水路48には単機能の主給水弁49を備え、開放作動により原水たる水道水を直接洗浄槽42内に給水する。
【0055】
しかるに、この主給水路48の主給水弁49より上流側で分岐された一端は前記電解槽2に通じる給水弁13に接続され、前記第1,第2の通水路11,12を経て電解槽2に給水可能としている。
一方、電解槽2上部の電解水の出水側にあっては、陰極室7a,7bから通常アルカリ性電解水を洗浄槽42内に供給する電解水給水路50が設けられ、その先端は水槽43と回転槽44との間に連通接続されており、また陽極室6に連通して酸性電解水を排出する電解水排水路51を設けていて、通常の電気分解時には連続して酸性電解水を機外に直接排出する。
【0056】
次に、上記構成の作用につき図11を参照して説明する。
この図11(a)に概略を示すように、全体の運転行程としては「洗い」および「中間脱水」行程の後、2回の「すすぎ1,2」を経て「最終脱水」行程を行なうものであるが、そのうち本実施例では、「洗い」行程では通常使用する洗剤に代えて洗浄効果を有するアルカリ性電解水を洗浄水として有効利用し、また「すすぎ1」では回転槽44内の洗濯物に上方からシャワー状に水道水を注水しながら該回転槽44を低速度で回転させ、後半に高速回転による遠心脱水を行ない、続く「すすぎ2」では水槽43内に水道水を貯留して洗濯物をパルセータ45による撹拌水流にてすすぎ洗いする所謂ためすすぎの動作が実行される。
【0057】
具体的には、まず上記したように洗浄水としてアルカリ性電解水を使用する「洗い」行程につき、特に図11(b)に基づき説明する。この「洗い」行程では、電解水生成装置1による通常の電気分解を利用した給水動作が行なわれるとともに、併せて主給水弁49の開放作動により主給水路48からの水道水も供給される。即ち、電解水生成装置1にあっては給水弁13が開放作動して第1の通水路11から電解槽2内に水道水が供給され、対の電極間には正電圧が印加されて陰極室7a,7b側にアルカリ性電解水が生成され、このアルカリ性電解水は電解水給水路50を介して水槽43および回転槽44間に供給される。
【0058】
従って、上記水道水とが適度に混合したpHのアルカリ性電解水を洗浄水として、洗浄槽42内に所定水量まで供給されると給水動作は停止し、パルセータ45駆動による撹拌水流にて洗い動作が開始される。尚、陽極室6側に生成された酸性電解水は、常に電解水排水路51を経て直接機外に排出される。
このような、洗い動作が所定時間行なわれ終了すると、汚れた洗浄水の排水動作が開始されるとともに、この排水動作に連動して本実施例では電極クリーニングが実行される。即ち、排水弁46が通電されて開放作動し洗浄水は排水路47から機外に排出されるのであるが、併せて給水弁13が第2の通水路12側を開放作動して電解槽2内に給水され、且つこれに連動して対の電極間に逆電圧が印加される。
【0059】
この場合の電解水は、逆極性のため本来の陰極室7a,7bは陽極室として機能し、従って酸性電解水が生成され、これが洗浄槽42内に供給される。しかるに、通常排水弁46を介した排水性能が上記電解水の供給量より優る条件設定にしてあることから、電解水は貯水されることなく直ちに排水され、しかもクリーニング時間としての逆電圧の通電時間より排水動作時間たる排水弁46の作動時間が長く設定されているので、排水動作は何ら支障なく確実に実行される。
【0060】
このように、本実施例によれば次の効果を有する。
電解水生成装置1を搭載した洗濯機41において、その運転行程に連動して逆電圧による電極クリーニングを行なうようにしたもので、具体的には「洗い」行程における排水動作に連動して実行される。このため、クリーニング作動中は逆極性による酸性電解水が洗浄槽42内に供給されるが、排水弁46を介する排水路47より直ちに機外に排出され、貯水されたり排水動作を妨げる不具合は生じることなく運転行程を進めることができる。
【0061】
従って、対の電極や隔膜に付着した電極クリーニング作用は、先の第1実施例で述べた通り効果的に行なわれることはもとより、そのクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく行なえ、洗濯機41の使用上において何ら問題なく電解水生成装置1を採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し利用できる。
【0062】
次いで、本実施例の変形例を示す図12を参照して説明すると、これは電極クリーニングを上記「洗い」行程ではなく「すすぎ2」行程に連動して行なうようにしたもので、具体的には給水動作に連動して行なわれる。
即ち、この図12(b)から明らかなように、「洗い」行程では上記と同様にアルカリ性電解水を利用した洗い動作が行なわれる。そして、「すすぎ1」行程を経て2回目に当る「すすぎ2」行程では、その給水動作において本来のすすぎ用の洗浄水として、主給水弁49の開放作動に基づき主給水路48から洗浄槽42内に水道水が直接供給される一方、電解槽2に通ずる給水弁13が第2の通水路12側を開放作動して、電解槽2への給水も開始される。そして、同時に対の電極間には逆電圧が印加されて逆極性の電気分解による電極クリーニング動作が実行される。
【0063】
従って、この給水動作に連動して電極や隔膜のクリーニングが行なわれるとともに、この際に生成された酸性電解水は洗浄槽42内に供給され、すすぎ用の洗浄水の一部として何ら問題なく利用され、また同時に生成されたアルカリ性電解水は、この「すすぎ2」行程では電解水排水路51より機外に排出される。
この結果、この「すすぎ2」行程の給水動作に連動して電極クリーニングを行なう例にあっても、上記同様にクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく洗濯機41を通常の取扱い操作にて使用でき、勿論電解水生成装置1を何ら問題なくを採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できるものである。
尚、この変形例において、「すすぎ2」行程の給水の全てを、或は水道水と適度に混合した酸性電解水を供給することにより、これに含まれる次亜塩素酸濃度に基づく除菌効果も併せて得ることができる。
【0064】
更に、図13および図14に示す他の変形例は、上記変形例が「すすぎ2」行程における給水動作に連動して電極クリーニングを行なったのに対し、特には「すすぎ2」行程の排水動作で行なうようにした点で異なり、加えて、そのすすぎ用の洗浄水として常に酸性電解水を利用する洗濯機52の構成である点で相違する。
即ち、図13に示す図10相当図において、電解水生成装置1を備えた洗濯機52は、その電解水給水路53が電解槽2の陽極室6に連通接続され、電解水排水路54が陰極室7a,7bに連通接続された構成である点で異なり、その他の構成は上記実施例と共通(同一符号で示す)である。
従って、この変形例では正電圧による電気分解では陽極室6に生成された酸性電解水が通常洗浄槽42内に供給され、一方、陰極室7a,7bに生成されるアルカリ性電解水は電解水排水路54を経て、通常は機外に直接排出される構成をなしている。
【0065】
しかして、図14(a)に示す「洗い」行程では、例えば電気分解は行なわず主給水弁49の主給水路48のみから、洗浄水としての水道水が洗浄槽42内に供給され、この場合洗剤を使用した洗い動作が実行される。
これに対し、2回目の「すすぎ2」行程では洗浄水として酸性電解水を使用するもので、図14(b)に詳細に示すように主給水弁49からの水道水の供給と併せて、給水弁13も開放作動して第1の通水路11から電解槽2内に給水され、対の電極間には正電圧が印加されて電気分解が行なわれ、陽極室6側に生成された酸性電解水は電解水給水路53から洗浄槽42内に供給される。
【0066】
斯くして、このためすすぎでは酸性電解水が含む次亜塩素酸による除菌、或は漂白作用を目的としたすすぎ洗いが実行される。そして、所定時間のためすすぎ動作を終えて排水動作に移行すると、ここで電極クリーニングが行なわれる。 即ち、排水弁46は開放状態に維持したまま、第2の通水路12から電解槽2内へ給水され、且つ対の電極間には逆電圧が印加され電極および隔膜に付着したスケールを取り除くことができることは第1実施例で述べた通りであり、また 排水動作と連動してクリーニングすることは、上記実施例(図11参照)における「洗い」の排水動作と実質的に共通で何ら問題なく実施できる。
【0067】
従って、この例では常にすすぎ洗いにて電解水による除菌効果を目的とした洗濯機52において、有効な電解性能を長期維持できる電解水生成装置1を備えることができ、長期実用に供し得る洗濯機52を提供できる。
ところで、上記各実施例では脱水兼用洗濯機41,52について例示したが、これに代えてドラム式洗濯機や、単に洗浄槽内にパルセータを備えた洗濯機等に広く適用できることは云うまでもない。
【0068】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限らず、例えば上記各実施例を適宜組み合せて実施できることはもとより、更には洗浄機に採用した各実施例において、「洗い」と「すすぎ」の洗浄水として、夫々アルカリ性電解水および酸性電解水のいずれも常に利用できるように、その給水を可能とするための配管構成や制御することも容易に可能で、この場合には電極クリーニングの他に各電極の損耗を一様化して寿命向上も図り得る。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されることなく、実施に際しては本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できるものである。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明の電解水生成装置は、対の電極間に正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成するものにおいて、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、この逆電圧による電極クリーング時には給水条件を変更して、例えば給水流量を大として電解槽内に給水可能とした。
【0070】
これにより、通常の電気分解時の給水と異なり電解槽に流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、電極はもとより隔膜に付着したスケールの除去も有効に行なえる。従って、簡単な構成にて電極とともに隔膜のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避でき、長期安定した電解性能が得られる実用的な電解水生成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を断面して示す電解水生成装置の概略構成図
【図2】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図3】変形例を示す図1相当図
【図4】更に他の変形例を示す図1相当図
【図5】ライフ試験によるpH特性図
【図6】本発明の第3実施例を示す食器洗い機の概略構成図
【図7】(a)運転行程図、および(b)タイムチャート図
【図8】変形例を示す図7相当図
【図9】更に他の変形例を示す図7相当図
【図10】本発明の第4実施例を示す洗濯機の概略構成図
【図11】(a)運転行程図、および(b)タイムチャート図
【図12】変形例を示す図11相当図
【図13】更に他の変形例を示す図10相当図
【図14】図11相当図
【図15】スケールの溶解度とpHとの関係を表わした図
【符号の説明】
1,14,21,23は電解水生成装置、2は電解槽、3は隔膜、4は陽極、5は陰極、6は陽極室、7a,7bは陰極室、8は給水口、11,18は第1の通水路、12,20,25は第2の通水路、13は給水弁、28は食器洗い機、29,42は洗浄槽、34は洗浄ポンプ、37,48は主給水路、38,49は主給水弁、39,50,53は電解水給水路、40,51,54は電解水排水路、41,52は洗濯機、43は水槽および44は回転槽を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の電気分解によりアルカリ性電解水および酸性電解水を生成する電解水生成装置、およびこの電解水生成装置を備えた洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用の洗浄機としての食器洗い機或は洗濯機においては、洗剤を利用した洗浄運転を行なうのが一般的であるが、近年、電解水生成装置を備えた洗浄機の開発が進められ、この装置にて生成されたアルカリ性電解水、若しくは酸性電解水を洗浄水として有効活用しようとするもので、例えば油脂分の鹸化効果を有するアルカリ性電解水を洗い行程で利用し、次亜塩素酸を含み除菌効果が期待できる酸性電解水はすすぎ洗いに利用しようとするものである。
【0003】
ところで、上記電解水生成装置においては、電解槽内に隔膜を介して対の電極を配し、これら電極間に正電圧を印加して水の電気分解を行うものであるが、長期使用に伴ない前記電極(特に陰極側)に、原水中の重炭酸根とカルシウムイオンが反応して溶解度の低いカルシウム塩等の非導電性のスケールが析出し、これが層状に付着し、且つ前記隔膜の表面にも付着して通電率を低下させ、結果としてアルカリ度(pH)が低下し、酸性電解水のpH上昇、次亜塩素酸濃度の低下を来すなど、所望の電解性能が得られなくなる。
【0004】
例えば図15は、代表的なスケールの化学種である炭酸カルシウムと見かけの溶解度とpHとの関係示したもので、pHが低い酸性側では溶解度が高くてカルシウムイオンの形で溶解しているが、pHが高くなりアルカリ性になると溶解度が急激に低下し、炭酸カルシウムの沈殿が生じ、またpHが更に高くなるとカルシウムイオン等が加水分解して水酸化カルシウムのスケールとして生成されるなど、その一部がやはり陰極や隔膜の表面に付着することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記のようなスケールを除去するクリーニング手段として、各電極間に通常とは反対の逆電圧を印加してスケールを剥離除去することが考えられている。
しかして、上記クリーニング手段によれば、確かに電極表面に付着したスケールの除去には相当の効果を発揮するが、特に隔膜表面に付着したスケールに対しては効果が低く、本来の電解性能を長期に亘って得るには更なる改善が求められる。特に、この種電解水生成装置を搭載した洗浄機にあっては、該洗浄機の耐久性(寿命)に比して電解性能の早期低下は大きな問題点である。
また、その他のクリーニング手段として、水中に所定濃度のクエン酸を供給してスケールを除去することも考えられているが、そのクエン酸の供給手段など構成の複雑化や面倒な操作が必要となることは避けられないし、やはり家庭用の洗浄機に応用するには不向きである。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極および隔膜の双方に付着したスケールに有効なクリーニング手段を簡単な構成にて得られ、且つ洗浄機に対しても容易に搭載可能とした電解水生成装置と洗浄機を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第1の手段として、 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電解槽への給水条件を変更可能な給水手段を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解とは異なる給水条件にて行なうようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0008】
斯かる手段によれば、電極クリーニング時に例えば給水流量を大とする給水条件にて電解槽内に給水することにより、通常の電気分解時の給水と異なり電解槽に流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、電極はもとより隔膜に付着したスケールの除去も有効に行なえる。従って、簡単な構成にて電極と併せて隔膜のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避でき、長期安定した効果的な電解性能が得られる。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第2の手段として、電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電解槽には複数の給水口を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解時とは異なる他の給水口より給水するようにしたことを特徴とする(請求項2の発明)。
【0010】
斯かる手段によれば、異なる給水口から給水する給水手段としたので、クリーニング時における電解槽の水流は、通常の電気分解時にスケールが層状に蓄積した水流とは異なる流れとなり、電極および隔膜のスケールの剥離作用に有効である。
【0011】
更に、上記目的を達成するために本発明の電解水生成装置は、第3の手段として、 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、前記電極のクリーニング時には、前記電解槽への給水動作を間欠的に行なうようにしたことを特徴とする(請求項3の発明)。
【0012】
斯かる手段によれば、この場合には間欠的な給水動作に伴なう圧力的変動により水撃作用を強化することができ、電極はもとより隔膜に対して、より効果的にスケールを除去することが期待できる。
【0013】
そして、上記目的を達成するために本発明の洗浄機は、第4の手段として、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のうち少なくともいずれか一方の電解水を利用した行程を含む複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、前記運転行程と連動して前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする(請求項4の発明)。
【0014】
斯かる手段によれば、電解水を利用可能とした洗浄機を容易に提供できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できる。また、運転行程に連動して電極クリーニングを行なうことで特別な行程を付加することなく、且つ洗浄機としての運転を何ら問題なく実行できる。
【0015】
そしてまた、上記目的を達成するために本発明の洗浄機は、第5の手段として、請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のいずれか一方若しくは双方の電解水を洗浄槽内に供給して洗い若しくはすすぎに利用する複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、前記電解水を洗浄槽に供給し終えた後の行程にて、前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする(請求項5の発明)。
【0016】
斯かる手段によれば、電極クリーニングの動作は必要な電解水を洗浄槽内に供給した以降の行程であれば良いので、クリーニング動作の設定は容易にできるなど、他は上記請求項4の発明と同様の効果が期待できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の電解水生成装置の第1実施例について、基本的構成を断面して示す図1を参照して説明する。
図1に示す電解水生成装置1は、中空容器状に構成された電解槽2内に、隔膜3と、該隔膜3を介して対の電極としてプラス電源に接続された陽極4、およびマイナス電源に接続された陰極5とによる対の電極を備えた構成にある。具体的には、図示するように略中央に位置して1枚の平板状の陽極4を配し、その両側を2枚の隔膜3で仕切るようにして陽極室6を形成する。そして、各隔膜3を介して前記陽極3に対峙して夫々平板状の本実施例では2枚の陰極5を配設した構成とし、夫々陰極室7a,7bを形成している。
【0018】
前記隔膜3は、物理的多孔膜或はイオン交換膜の如くイオンが相互に流れ導通性を維持するイオン透水性を有し、また電極は、平板状のチタン基材に白金をメッキ或はコーティングしたもので、以って平板電極3枚の2層構造をなした隔膜式の電解槽2を構成している。
しかるに、上記電解槽2の底部には原水の取り入れ口である1個の給水口8が形成されるとともに、前記各陽,陰極室6,7a,7bの下部入水口と連通し、一方、上部においては陽極室6と連通した出水口9と、両陰極室7a,7bにあっては上部で連通し、従って1個の出水口10を形成している。
【0019】
しかるに、電解槽2への給水手段としては、前記した1個の給水口8に対し第1,第2の通水路11,12を介して接続された電磁式の給水弁13とから構成され、該給水弁13は原水(例えば水道水)の水源に連通接続されている。また、上記給水弁13は、三方切替弁構造をなすとともに、例えば前記第1の通水路11側に開放連通する弁口(図示せず)は、若干絞った口径をなしているのに対し、第2の通水路12に開放連通する弁口は大きな口径としており、従って本実施例では第1の通水路11に比し第2の通水路12を経た給水流量が大となるように、例えば第1の通水路12では毎分1リットルであるに対し、第2の通水路12の流量は毎分1.5〜2リットルに設定され、斯かる給水手段は異なる流量を選択的に切替利用できるように所謂給水条件を変更可能としている。
【0020】
次に、上記構成の作用につき説明する。
まず、通常の電気分解により電解水を生成する場合につき述べると、給水弁13が通電駆動されて第1の通水路11側の弁口が開放作動し、図中実線矢印で示すように該通水路11を経て適量の原水が流れ、給水口8より電解槽2内に給水される。この給水により、陽極室6および陰極室7a,7b内にその下部から入水するとともに、隔膜3を介した対の電極たる陽極4,陰極5間に直流電源から正電圧が印加され、この水の電気分解により陽極室6内には酸性電解水が生成され、また陰極室7a,7b内にはアルカリ性電解水が生成される。
【0021】
このような、電気分解は電解槽2への連続給水により継続して行なわれ、従ってアルカリ性電解水は上部の出水口10から連続的に取り出され、また酸性電解水は、他方の出水口9から連続的に取り出され、各電解水は用途に応じて有効利用される。
しかるに、上記電気分解を継続して使用すると炭酸カルシウム等のスケールが電極表面に析出し層状に付着することは前に述べた通りである。即ち、このスケールは、特に陰極5側に多く析出され更には陰極室7a,7b内に面する隔膜3の表面に多く付着して通電率を低下せしめ、電解性能を低下させる。
【0022】
しかして、これら電極等のスケールを除去するクリーニング手段として、本実施例では対の電極間に上記通常の電気分解とは反対の逆電圧を印加するとともに、電解槽2への給水手段として例えば流量条件を変更して給水するようにしたものである。
即ち、逆電圧を印加することで対の電極たる陽極4,陰極5に付着したスケールの除去を促すに加えて、給水弁13が第2の通水路12側の弁口が開放作動し、図中破線矢印で示すように該通水路12を介して流量大とした給水が行なわれ、給水口8から電解槽2内への流速が速まる。その結果、水撃作用が大きくなりスケールの剥離効果を増大するとともに、隔膜3に付着したスケールのクリーニングに対しても有効に作用する。
【0023】
このように、上記実施例によれば次の効果を有する。
対の電極たる陽極4,陰極5間に正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成する電解水生成装置1において、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、給水条件を変更可能な給水手段を備え、しかして逆電圧による電極クリーング時には給水条件を変更して、本実施例では給水流量を大として電解槽2内に給水することで、通常の電気分解時の給水と異なり各陽極室6および陰極室7a,7bに流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、各電極4,5はもとより隔膜3に付着したスケールの除去も有効に行なえる。
【0024】
従って、簡単な構成にて電極クリーニングに併せて隔膜3のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避できる。
尚、本実施例では電極クリーニング時における給水動作は、単に電解槽2内に連続給水するものであるが、これに限らず例えば給水弁13を間欠的に作動制御して間欠給水を行なうようにしても良く、この場合には間欠的な給水動作に伴なう圧力的変動により水撃作用を強化することができ、電極4,5はもとより隔膜3に対して、より効果的にスケールを除去することが期待できる。
【0025】
その他、本実施例では平板電極3枚の2層構造としたが、これに限らず更に増大した複数対の多層構造としても良く、また給水手段を構成する給水弁13も1個の三方切替弁構造に限らず、例えば第1,第2の通水路11,12に夫々予め流量が異なる単機能的な給水弁を設けたり、或は給水ポンプを採用して給水条件を異なる制御することも可能である。
【0026】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2実施例の電解水生成装置14を示す図1相当図で、以下上記第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
この電解水生成装置14も、上記第1実施例と基本的に同一構成にあって、所謂平板電極3枚の2層構造をなした隔膜式電解槽15を備えた構成にあるが、ただ電解槽15への給水手段において異なるものである。
【0027】
即ち、本実施例における電解槽15には給水口8の他に、更に2個所に給水口16a,16bを設けている点で特に相違する。具体的には、電解槽15への給水手段として、まず給水口8には開閉の単機能構造の給水弁17が連通接続してなる第1の通水路18が設けられ、他の給水口16a,16bには上流側で1本の水路として合流し給水弁19を連通接続してなる第2の通水路20を設けた構成としている。
特に、上記給水口16a,16bの位置は、本実施例では陰極室7a,7bの下部入水口に対向して開口せられ、また上記給水弁19は、給水弁17に比し流量大とする弁口径をなし、従って第2の通水路20を経た給水は給水口16a,16bから電解槽15内に第1の通水路18より多くの給水流量が流入可能とした給水手段を構成している。
【0028】
斯くして上記構成とした電解水生成装置14において、通常の電気分解を行なう場合には、第1の通水路18の給水弁17のみが開放作動し、給水口8から電解槽15内に給水されるとともに、対の電極たる陽極4,陰極5間に正電圧が印加されるなど、上記第1実施例と共通の電解作用を行なう。
これに対し、逆電圧を印加する電極クリーニング時においても、上記第1実施例と実質的に共通であるが、その給水手段が異なることに基づき一層有効なクリーニング効果が期待できる。
【0029】
即ち、このクリーニング時での給水動作は、第2の通水路20の給水弁19のみが開放作動し、2個所の給水口16a,16bから電解槽15内に供給される。この場合の給水条件として、通常の電気分解時とは異なる他の給水口16a,16bからの給水であること、および給水流量も多くて且つ2個所から給水される条件にあるため、スケールが層状に付着したときの水流方向と大きく異なり、スケールの剥離効果を一層助長する。
加えて、本実施例における給水口16a,16bは、スケールが析出し易い本来の陰極室7a,7b(逆電圧時には陽極側に反転)に向って流入する位置に開口していることから、その水撃作用も極めて有効となり隔膜3に対するクリーニング効果も、より一層の向上が期待できる。
【0030】
但し、本実施例の給水手段を構成する第2の通水路20は、上記構成に限らず種々展開可能で、例えば図3および図4は夫々本実施例の変形例を示す。
まず、図3に示す電解水生成装置21では、上記実施例に対し第1,第2の通水路18,20は、実質的に同じ水路構成であるが、1個の給水弁22を切替えて選択使用するようにした点で相違する。この場合の給水弁22は、前記第1実施例で開示した給水弁13と同じ仕様の三方切替弁構造で、且つ第2の通水路20側の流量大とした条件も共通である。この例によれば、1個の弁装置として構成の簡素化が得られるもので、それ以外は上記実施例と共通の作用効果を有する。
【0031】
また、図4に示す電解水生成装置23においては、上記実施例に対し給水弁24を有する第2の通水路25を電解槽26の上部の1個所に設けた他の給水口27に連通接続した構成にある。
この場合の電極クリーニング時には、やはり通常の電気分解時とは異なる他の給水口27から給水され、電解槽26内における異なる水流による水撃作用を有効利用して電極4,5や隔膜3に付着したスケールを効果的に除去できるようにしたものである。
従って、これら変形例を含む本実施例によれば、電極クリーニングするに際して、特には通常使用する給水口8とは異なる位置に設けた他の給水口16a,16b或は27等からなる給水手段を備えることで、有効なクリーニング効果が得られるようにしたものである。
【0032】
因みに、図5は上記図3に示す実施例におけるライフ試験のpH特性を表わしたもので、実線が実施例で破線で示したのが比較例における特性である。この主な条件として、図3に示す第1の通水路18の流量を毎分0.7リットルとし、これより流量大とする第2の通水路20を毎分1.0リットルに設定し、各電極4,5への通電時間としては通常の電気分解するための正電圧が7分、クリーニングするための逆電圧が3分と設定したサイクルで繰り返し実行する。
【0033】
しかるに、上記条件のうち実施例と比較例との相違は、実施例における電極クリーニングでは、流量1.0リットルが流れる第2の通水路20を利用し、且つ二つの給水口16a,16bから給水するのに対し、比較例では第1の通水路18のみを備え、クリーニング時も0.7リットルの同一流量で、しかも一つの給水口8から同じ流れの給水態様とした点で異なる。
【0034】
この結果、図5に示すライフ特性から明らかなように経過時間に対するアルカリ性電解水のpHは、比較例では早期に低下し始め且つ急な低下現象のもとにアルカリpHの変動が大きく、つまりは電解性能の早期低下が見られ電極等の長期使用に叶う耐久性(寿命)に劣ることが分かる。
これに対し、実施例ではpHは長期に亘り緩やかに低下するも、その変動幅は小さく安定したpH値のもとに長期使用を可能とするもので、この結果からも上記実施例における電極クリーニングの有効性が確認できる。
【0035】
(第3の実施の形態)
図6および図7は、本発明の第3実施例を示したもので、これは例えば前記第1実施例で述べた電解水生成装置1を洗浄機たる食器洗い機28に採用した構成つき開示している。
そのうち、図6は斯かる食器洗い機28における給排水手段の水路構成を中心に、全体の概略構成を模式的に示したもので、また図7(a)および(b)は運転行程および要部のタイムチャート図である。
尚、電解水生成装置1については第1実施例と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
しかして、まず図6に基づき食器洗い機28(外殻を二点鎖線で示す)の構成につき概略説明すると、これは内部に洗浄槽29を備え、その内方下部には洗浄水等を加熱するための加温ヒータ30、および噴射アーム31を設け、その上部に図示しない食器類を収容する食器かご32等を備えている。また、洗浄槽29の外底部には洗浄水の循環水路33が形成されるとともに、これには洗浄ポンプ34が設けられ洗浄水を前記噴射アーム31に圧送する。また、洗浄槽29の底部には排水ポンプ35を有する排水路36が設けられ、先端は機外に延出されている。
【0037】
そして、洗浄槽29への給水手段として前記電解水生成装置1を含む水路構成につき説明すると、水源たる水道蛇口(図示せず)に機外の一端が接続され、他端を前記洗浄槽29に連通接続した主給水路37が設けられ、この主給水路37には単機能の主給水弁38を備え、開放作動により原水たる水道水を直接洗浄槽29内に給水する。
【0038】
しかるに、この主給水路37の主給水弁38より上流側で分岐された一端は前記給水弁13に接続され、前記第1,第2の通水路11,12を経て電解槽2内に給水可能とする給水手段を構成している。
一方、電解槽2上部の電解水の出水側にあっては、陰極室7a,7bから通常アルカリ性電解水を洗浄槽29内に供給する電解水給水路39が設けられ、また陽極室6に連通して通常は酸性電解水を排出する電解水排水路40を設けていて、電気分解時には連続して酸性電解水を直接機外に排出する。
【0039】
次に、上記構成の作用につき説明する。
まず、食器洗い機28の標準的な運転行程の概略を示す図7(a)に基づき説明すると、最初の「予洗い」行程では、原水たる水道水のみにより図示しない食器類の大きな汚れを予め洗い落とす動作が行なわれ、次の「洗い」行程では洗剤は使用せず洗浄効果を有するアルカリ性電解水を利用した洗い動作が実行される。次いで、原水たる水道水による「すすぎ1」および「すすぎ2」が行なわれた後、「加熱すすぎ3」行程に移行し、ここでは加温ヒータ30にて加熱された高温水による最終すすぎが行なわれ、最後に加温ヒータ30や図示しないブロアー等を駆動した熱風による「乾燥」行程が自動的に行なわれ、以って全ての運転行程が終了する。
【0040】
しかるに、上記運転行程のうち特に電解水生成装置1を利用する要部の行程につき、図7(b)のタイムチャートに基づき説明する。尚、図中に示す斜線状ラインは要素部品等の通電駆動区分を示している。
まず、アルカリ性電解水を利用する「洗い」行程では、その給水動作として給水弁13が第1の通水路11側に開放作動し、原水たる水道水を電解槽2内に供給するとともに、電解電源は正電圧が図示しない対の電極間に印加される。従って、電解槽2内の水は電気分解され陰極室7a,7bからは、生成されたアルカリ性電解水が電解水給水路39を経て洗浄槽29内に供給され、一方、陽極室6にて生成された酸性電解水は電解水排水路40を経て直接機外に排出される。
【0041】
このような、給排水動作が継続され洗浄槽29内に洗浄水としてのアルカリ性電解水が所定量貯水されると、給水動作は停止するとともに洗浄ポンプ34および加温ヒータ30が通電駆動される。これにより、加熱温水化された洗浄水は噴射アーム31に圧送された後、該アーム31から上部の食器類に向けて噴射され、斯くして洗浄水を循環させながら行なう所謂ポンプ噴射による洗い動作が開始される。
【0042】
そして、上記洗い動作が所定時間行なわれ終了すると、汚れた洗浄水の排水動作が開始されるとともに、この排水動作に連動して電極クリーニングが実行される。即ち、排水ポンプ35が通電駆動され洗浄水は排水路36から機外に排出されるのであるが、併せて給水弁13が第2の通水路12を開放作動するとともに、対の電極間に電解電源の逆電圧が印加され、生成された電解水が洗浄槽29内に給水される。この場合の電解水は、逆極性のため本来の陰極室7a,7bは陽極室として機能し、従って酸性電解水が生成され供給される。
【0043】
斯くして、この排水動作では排水ポンプ35の駆動により機外に排水される一方、逆電圧にて生成された酸性電解水が洗浄槽29に供給される。但し、通常排水ポンプ35による排水性能が上記電解水の供給量より遥かに優るように設定されていることから、この電解水が貯水されることなく直ちに排水され、しかも逆電圧の通電時間より排水ポンプ35の駆動時間が長く設定されているので、排水動作は何ら支障なく確実に実行される。
【0044】
次いで、「すすぎ1」行程に移行し、上記「洗い」行程と実質的に同じ動作内容が実行され、まず最初に給水動作が行なわれる。但し、ここでの給水は、上記「洗い」行程における電解水の給水と異なり主給水弁38の開放作動に基づき、原水たる水道水がすすぎ用の洗浄水として主給水路37を介して洗浄槽29内に速やかに給水される。そして、所定量の給水を得ると洗浄ポンプ34の駆動による所謂ポンプ噴射によるすすぎ動作が開始され、所定時間後、排水ポンプ35が駆動され1回目のすすぎを終えた洗浄水は排出され、「すすぎ1」行程が終了する(以降は省略)。
【0045】
このように、上記実施例によれば次の効果を有する。
電解水生成装置1を搭載した食器洗い機28において、アルカリ性電解水を「洗い」行程で常に利用するために、前記したように対の電極や隔膜にスケールが付着する。しかして、このスケールに対し本実施例では運転行程に連動して逆電圧による電極クリーニングを行なうようにしたもので、具体的には「洗い」行程における排水動作に連動して実行するようにした。このため、クリーニング作動中は逆極性による酸性電解水が洗浄槽29内に供給されるが、排水ポンプ35による強制排水により直ちに機外に排出され、貯水されたり排水動作を妨げる不具合はなく本来の運転行程をスムースに進めることができる。
【0046】
従って、対の電極や隔膜に付着したスケールのクリーニング作用は、先の第1実施例で述べた通り効果的に行なわれることはもとより、そのクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく行なえ、食器洗い機28の使用上において何ら問題なく電解水生成装置1を採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し利用できる。
【0047】
尚、上記「洗い」行程に利用する原水たる水道水が、電気分解に不利な水質である例えば導電率(水中のイオン量)が低く、必要とする電解電流が得られない場合、或は硫酸根や炭酸根等が高濃度であるため高pHのアルカリ性電解水が得られない場合などには、その電解促進剤として無機塩等を添加供給する機構を設けることも可能である。また、アルカリ性電解水は例えば主給水弁38からの給水(水道水)を調整して混合可能とすることで、pH濃度を適宜調整することも可能である。
【0048】
上記実施例に対し図8および図9は、電極クリーニングを上記「洗い」行程ではなく「すすぎ」行程に連動して行なうようにした、夫々異なる変形例を示した図7相当図である。
まず、図8に示す例は、電極クリーニングを「すすぎ1」行程の具体的には給水動作に連動して行なうようにしたもので、従ってこのものの「洗い」行程ではアルカリ性電解水による洗い動作を終えると、単に排水ポンプ35による通常の排水動作が行われる。
【0049】
しかるに、次の「すすぎ1」行程に移行し、すすぎ用の洗浄水を供給する給水動作に合わせて電極クリーニングが実行されるのであるが、図8(b)から明らかなように、給水動作では本来のすすぎ用の洗浄水として、主給水弁38の開放作動に基づき主給水路37から洗浄槽29内に水道水が直接供給される一方、電解槽2に通ずる給水弁13も第2の通水路12側を開放作動して、電解槽2への給水も開始される。そして、対の電極間には逆電圧が印加されて逆極性の電気分解による電極クリーニング動作が実行される。
【0050】
従って、この給水動作に連動して電極や隔膜のクリーニングが行なわれるとともに、この際(逆極性)に生成された酸性電解水が洗浄槽29内に供給され、すすぎ用の洗浄水の一部として利用され、また同時に生成されたアルカリ性電解水は、この「すすぎ1」行程では電解水排水路40より機外に排出される。
この結果、この「すすぎ1」行程の給水動作に連動して電極クリーニングを行なう例にあっても、上記実施例と同様にクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく食器洗い機28を使用でき、勿論電解水生成装置1を何ら問題なく採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できるものである。尚、この変形例において、「すすぎ1」行程の給水の全てを、或は水道水と適度に混合した酸性電解水を供給して、これに含まれる次亜塩素酸濃度に基づく除菌効果も併せて得ることも可能である。
【0051】
更に、図9に示す異なる他の変形例は、上記変形例が「すすぎ1」行程において電極クリーニングを行なったのに対し、これは最終すすぎの「すすぎ2」行程で行なうようにした点で異なる。加えて、図示から明かなように具体的にはすすぎ用の洗浄水として主に酸性電解水を供給し、主給水弁38からの水道水は一部給水のみにとどめ、除菌効果を得るべくすすぎ洗いを行なう例として示したものであるが、それ以外の作用効果等は上記変形例と実質的に共通であり、その説明は省略する。
尚、上記いずれの実施例においても電極クリーニングの動作は、必要な電解水を洗浄槽29内に供給した以降の行程であれば良いので、運転行程中にクリーニング動作を設定することは容易にでき、この点でも食器洗い機28への応用に適している。
【0052】
(第4の実施の形態)
図10ないし図14は、本発明の第4実施例を示したもので、これは例えば前記第1実施例で述べた電解水生成装置1を洗浄機たる脱水兼用洗濯機41に採用したものである。そのうち、図10は斯かる洗濯機41における給排水手段の水路構成を中心に、全体の概略構成を模式的に示したもので、また図11(a)および(b)は運転行程図およびタイムチャート図である。
尚、図12ないし図14は他の変形例を示したものであり(後述する)、また電解水生成装置1については第1実施例と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
しかして、まず図10に基づき洗濯機41(外殻を二点鎖線で示す)の構成につき概略説明すると、これは内部に洗浄槽42を構成する無孔状の水槽43および有孔状の回転槽44を備え、該回転槽44内の底部にはパルセータ45を備えた構成にある。上記回転槽44は、周知のように図示しない洗濯物を収容し上記パルセータ45の撹拌水流による洗浄作用の他に、高速回転により遠心脱水作用を行なう。また、上記水槽43は洗浄水を貯水し、且つ底部に設けられた排水弁46を有する排水路47から機外に排水可能としている。
【0054】
そして、洗浄槽42への給水手段として前記電解水生成装置1を含む水路構成につき説明すると、水源たる水道蛇口(図示せず)に機外の一端が接続され、他端を洗浄槽42に連通接続した主給水路48が設けられ、この主給水路48には単機能の主給水弁49を備え、開放作動により原水たる水道水を直接洗浄槽42内に給水する。
【0055】
しかるに、この主給水路48の主給水弁49より上流側で分岐された一端は前記電解槽2に通じる給水弁13に接続され、前記第1,第2の通水路11,12を経て電解槽2に給水可能としている。
一方、電解槽2上部の電解水の出水側にあっては、陰極室7a,7bから通常アルカリ性電解水を洗浄槽42内に供給する電解水給水路50が設けられ、その先端は水槽43と回転槽44との間に連通接続されており、また陽極室6に連通して酸性電解水を排出する電解水排水路51を設けていて、通常の電気分解時には連続して酸性電解水を機外に直接排出する。
【0056】
次に、上記構成の作用につき図11を参照して説明する。
この図11(a)に概略を示すように、全体の運転行程としては「洗い」および「中間脱水」行程の後、2回の「すすぎ1,2」を経て「最終脱水」行程を行なうものであるが、そのうち本実施例では、「洗い」行程では通常使用する洗剤に代えて洗浄効果を有するアルカリ性電解水を洗浄水として有効利用し、また「すすぎ1」では回転槽44内の洗濯物に上方からシャワー状に水道水を注水しながら該回転槽44を低速度で回転させ、後半に高速回転による遠心脱水を行ない、続く「すすぎ2」では水槽43内に水道水を貯留して洗濯物をパルセータ45による撹拌水流にてすすぎ洗いする所謂ためすすぎの動作が実行される。
【0057】
具体的には、まず上記したように洗浄水としてアルカリ性電解水を使用する「洗い」行程につき、特に図11(b)に基づき説明する。この「洗い」行程では、電解水生成装置1による通常の電気分解を利用した給水動作が行なわれるとともに、併せて主給水弁49の開放作動により主給水路48からの水道水も供給される。即ち、電解水生成装置1にあっては給水弁13が開放作動して第1の通水路11から電解槽2内に水道水が供給され、対の電極間には正電圧が印加されて陰極室7a,7b側にアルカリ性電解水が生成され、このアルカリ性電解水は電解水給水路50を介して水槽43および回転槽44間に供給される。
【0058】
従って、上記水道水とが適度に混合したpHのアルカリ性電解水を洗浄水として、洗浄槽42内に所定水量まで供給されると給水動作は停止し、パルセータ45駆動による撹拌水流にて洗い動作が開始される。尚、陽極室6側に生成された酸性電解水は、常に電解水排水路51を経て直接機外に排出される。
このような、洗い動作が所定時間行なわれ終了すると、汚れた洗浄水の排水動作が開始されるとともに、この排水動作に連動して本実施例では電極クリーニングが実行される。即ち、排水弁46が通電されて開放作動し洗浄水は排水路47から機外に排出されるのであるが、併せて給水弁13が第2の通水路12側を開放作動して電解槽2内に給水され、且つこれに連動して対の電極間に逆電圧が印加される。
【0059】
この場合の電解水は、逆極性のため本来の陰極室7a,7bは陽極室として機能し、従って酸性電解水が生成され、これが洗浄槽42内に供給される。しかるに、通常排水弁46を介した排水性能が上記電解水の供給量より優る条件設定にしてあることから、電解水は貯水されることなく直ちに排水され、しかもクリーニング時間としての逆電圧の通電時間より排水動作時間たる排水弁46の作動時間が長く設定されているので、排水動作は何ら支障なく確実に実行される。
【0060】
このように、本実施例によれば次の効果を有する。
電解水生成装置1を搭載した洗濯機41において、その運転行程に連動して逆電圧による電極クリーニングを行なうようにしたもので、具体的には「洗い」行程における排水動作に連動して実行される。このため、クリーニング作動中は逆極性による酸性電解水が洗浄槽42内に供給されるが、排水弁46を介する排水路47より直ちに機外に排出され、貯水されたり排水動作を妨げる不具合は生じることなく運転行程を進めることができる。
【0061】
従って、対の電極や隔膜に付着した電極クリーニング作用は、先の第1実施例で述べた通り効果的に行なわれることはもとより、そのクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく行なえ、洗濯機41の使用上において何ら問題なく電解水生成装置1を採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し利用できる。
【0062】
次いで、本実施例の変形例を示す図12を参照して説明すると、これは電極クリーニングを上記「洗い」行程ではなく「すすぎ2」行程に連動して行なうようにしたもので、具体的には給水動作に連動して行なわれる。
即ち、この図12(b)から明らかなように、「洗い」行程では上記と同様にアルカリ性電解水を利用した洗い動作が行なわれる。そして、「すすぎ1」行程を経て2回目に当る「すすぎ2」行程では、その給水動作において本来のすすぎ用の洗浄水として、主給水弁49の開放作動に基づき主給水路48から洗浄槽42内に水道水が直接供給される一方、電解槽2に通ずる給水弁13が第2の通水路12側を開放作動して、電解槽2への給水も開始される。そして、同時に対の電極間には逆電圧が印加されて逆極性の電気分解による電極クリーニング動作が実行される。
【0063】
従って、この給水動作に連動して電極や隔膜のクリーニングが行なわれるとともに、この際に生成された酸性電解水は洗浄槽42内に供給され、すすぎ用の洗浄水の一部として何ら問題なく利用され、また同時に生成されたアルカリ性電解水は、この「すすぎ2」行程では電解水排水路51より機外に排出される。
この結果、この「すすぎ2」行程の給水動作に連動して電極クリーニングを行なう例にあっても、上記同様にクリーニングのために特殊な別行程を付加することなく洗濯機41を通常の取扱い操作にて使用でき、勿論電解水生成装置1を何ら問題なくを採用できるとともに、長期に亘り洗浄に有効な電解水を効率良く生成し、且つ利用できるものである。
尚、この変形例において、「すすぎ2」行程の給水の全てを、或は水道水と適度に混合した酸性電解水を供給することにより、これに含まれる次亜塩素酸濃度に基づく除菌効果も併せて得ることができる。
【0064】
更に、図13および図14に示す他の変形例は、上記変形例が「すすぎ2」行程における給水動作に連動して電極クリーニングを行なったのに対し、特には「すすぎ2」行程の排水動作で行なうようにした点で異なり、加えて、そのすすぎ用の洗浄水として常に酸性電解水を利用する洗濯機52の構成である点で相違する。
即ち、図13に示す図10相当図において、電解水生成装置1を備えた洗濯機52は、その電解水給水路53が電解槽2の陽極室6に連通接続され、電解水排水路54が陰極室7a,7bに連通接続された構成である点で異なり、その他の構成は上記実施例と共通(同一符号で示す)である。
従って、この変形例では正電圧による電気分解では陽極室6に生成された酸性電解水が通常洗浄槽42内に供給され、一方、陰極室7a,7bに生成されるアルカリ性電解水は電解水排水路54を経て、通常は機外に直接排出される構成をなしている。
【0065】
しかして、図14(a)に示す「洗い」行程では、例えば電気分解は行なわず主給水弁49の主給水路48のみから、洗浄水としての水道水が洗浄槽42内に供給され、この場合洗剤を使用した洗い動作が実行される。
これに対し、2回目の「すすぎ2」行程では洗浄水として酸性電解水を使用するもので、図14(b)に詳細に示すように主給水弁49からの水道水の供給と併せて、給水弁13も開放作動して第1の通水路11から電解槽2内に給水され、対の電極間には正電圧が印加されて電気分解が行なわれ、陽極室6側に生成された酸性電解水は電解水給水路53から洗浄槽42内に供給される。
【0066】
斯くして、このためすすぎでは酸性電解水が含む次亜塩素酸による除菌、或は漂白作用を目的としたすすぎ洗いが実行される。そして、所定時間のためすすぎ動作を終えて排水動作に移行すると、ここで電極クリーニングが行なわれる。 即ち、排水弁46は開放状態に維持したまま、第2の通水路12から電解槽2内へ給水され、且つ対の電極間には逆電圧が印加され電極および隔膜に付着したスケールを取り除くことができることは第1実施例で述べた通りであり、また 排水動作と連動してクリーニングすることは、上記実施例(図11参照)における「洗い」の排水動作と実質的に共通で何ら問題なく実施できる。
【0067】
従って、この例では常にすすぎ洗いにて電解水による除菌効果を目的とした洗濯機52において、有効な電解性能を長期維持できる電解水生成装置1を備えることができ、長期実用に供し得る洗濯機52を提供できる。
ところで、上記各実施例では脱水兼用洗濯機41,52について例示したが、これに代えてドラム式洗濯機や、単に洗浄槽内にパルセータを備えた洗濯機等に広く適用できることは云うまでもない。
【0068】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限らず、例えば上記各実施例を適宜組み合せて実施できることはもとより、更には洗浄機に採用した各実施例において、「洗い」と「すすぎ」の洗浄水として、夫々アルカリ性電解水および酸性電解水のいずれも常に利用できるように、その給水を可能とするための配管構成や制御することも容易に可能で、この場合には電極クリーニングの他に各電極の損耗を一様化して寿命向上も図り得る。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されることなく、実施に際しては本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できるものである。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明の電解水生成装置は、対の電極間に正電圧を印加して水を電気分解しアルカリ性電解水および酸性電解水を生成するものにおいて、逆電圧による電極クリーニングを可能とするとともに、この逆電圧による電極クリーング時には給水条件を変更して、例えば給水流量を大として電解槽内に給水可能とした。
【0070】
これにより、通常の電気分解時の給水と異なり電解槽に流入する流速が速まり、その水撃作用によるスケールの剥離効果の向上が期待でき、電極はもとより隔膜に付着したスケールの除去も有効に行なえる。従って、簡単な構成にて電極とともに隔膜のクリーニングも随時でき、通電率の低下に基づく電解性能の低下などの不具合を回避でき、長期安定した電解性能が得られる実用的な電解水生成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を断面して示す電解水生成装置の概略構成図
【図2】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図3】変形例を示す図1相当図
【図4】更に他の変形例を示す図1相当図
【図5】ライフ試験によるpH特性図
【図6】本発明の第3実施例を示す食器洗い機の概略構成図
【図7】(a)運転行程図、および(b)タイムチャート図
【図8】変形例を示す図7相当図
【図9】更に他の変形例を示す図7相当図
【図10】本発明の第4実施例を示す洗濯機の概略構成図
【図11】(a)運転行程図、および(b)タイムチャート図
【図12】変形例を示す図11相当図
【図13】更に他の変形例を示す図10相当図
【図14】図11相当図
【図15】スケールの溶解度とpHとの関係を表わした図
【符号の説明】
1,14,21,23は電解水生成装置、2は電解槽、3は隔膜、4は陽極、5は陰極、6は陽極室、7a,7bは陰極室、8は給水口、11,18は第1の通水路、12,20,25は第2の通水路、13は給水弁、28は食器洗い機、29,42は洗浄槽、34は洗浄ポンプ、37,48は主給水路、38,49は主給水弁、39,50,53は電解水給水路、40,51,54は電解水排水路、41,52は洗濯機、43は水槽および44は回転槽を示す。
Claims (5)
- 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、
前記電解槽への給水条件を変更可能な給水手段を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解とは異なる給水条件にて行なうようにしたことを特徴とする電解水生成装置。 - 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、
前記電解槽には複数の給水口を備え、前記電極のクリーニング時には、前記電気分解時とは異なる他の給水口より給水するようにしたことを特徴とする電解水生成装置。 - 電解槽内に隔膜を介して対の電極を配置し、前記電解槽へ給水しつつ前記電極間に正電圧を印加して水を電気分解し、アルカリ性電解水と酸性電解水とを生成するとともに、前記電極間に逆電圧を印加して該電極に析出されたスケールのクリーニングを可能としたものにおいて、
前記電極のクリーニング時には、前記電解槽への給水動作を間欠的に行なうようにしたことを特徴とする電解水生成装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のうち少なくともいずれか一方の電解水を利用した行程を含む複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、
前記運転行程と連動して前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする洗浄機。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水生成装置を備え、該装置にて生成されたアルカリ性電解水と酸性電解水のいずれか一方若しくは双方の電解水を洗浄槽内に供給して洗い若しくはすすぎに利用する複数の行程からなる運転行程を具備したものにおいて、
前記電解水を洗浄槽に供給し終えた後の行程にて、前記電極のクリーニング動作を行なうようにしたことを特徴とする洗浄機。
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