JP2004049405A - 吸収性物品用のバックシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トップシート2と、液不透過性且つ透湿性のバックシート3と、これら両シート間に配置された液保持性の吸収体4とを備えている。バックシート3の肌当接面側に、非水溶性インクで印刷された非水溶性印刷部31及び水溶性インクで印刷された水溶性印刷部32を有しており、非水溶性印刷部31の一部又は全部が水溶性印刷部32で被覆されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックシートに文字、記号又は絵柄(以下、絵柄等ともいう。)の印刷が施されたバックシート及びこれを用いた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
排尿の有無を外側から視認できるようにした使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する従来技術としては、例えば、実開昭59−24704号公報に記載の技術が知られている。
【0003】
この技術は、使い捨ておむつのバックシートに、水で変色、発色又は消色する部分としない部分とに塗り分けて絵柄等を設けておき、排尿の前後における当該絵柄等の色の変化によって排尿の有無を認識できるようにしたものである。
【0004】
ところで、使い捨ておむつのバックシートに、水で消色する部分としない部分とに塗り分けた絵柄等を設けた場合、排尿の前後における当該絵柄等を形成するインクの一部が消失することによる色の変化のみならず、排尿によって絵柄等の一部が消失することによる絵柄等の一部分の面積変化も排尿を認識させる上で重要な因子となる。従来の技術を用い、水で消色する部分としない部分とに塗り分けた絵柄等を設けた場合、排尿前の当該絵柄等の面積に比べ、排尿後の当該絵柄等の面積が小さくならざるを得ず、変化の前後におけるインパクトが弱いものであった。また、このような使い捨ておむつは、水で消色する部分としない部分とに塗り分けた場合には、絵柄等の印刷面積が広くならざるを得ず、その分バックシートの透湿性を阻害するおそれがあった。
【0005】
従って本発明は、排尿の有無を強いインパクトを持って確実に視認させることができ、且つ印刷面積も抑えることができる吸収性物品用のバックシート及びこれを用いた吸収性物品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非水溶性インクで印刷された非水溶性印刷部及び水溶性インクで印刷された水溶性印刷部を有する、液不透過性且つ透湿性の吸収性物品用のバックシートであって、前記非水溶性印刷部の一部又は全部が前記水溶性印刷部で被覆されている吸収性物品用のバックシートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
前記非水溶性印刷部における前記水溶性印刷部で被覆された部分と、該水溶性印刷部とが異なる絵柄等で印刷されている場合、排尿の前後において前記水溶性印刷部に印刷された絵柄等から前記非水溶性印刷部に印刷された絵柄等へ変化するため変化の前後におけるインパクトがより強いものとなる。
【0008】
前記非水溶性印刷部の一部又は全部を前記非水溶性印刷部の色相とは異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆することにより、当該被覆部に前記非水溶性印刷部と前記水溶性印刷部の中間の色相を持たせることが可能となる。前記被覆部は、排尿の前後において前記非水溶性印刷部と前記水溶性印刷部の中間の色相から、前記非水溶性印刷部の色相へ変化するため、変化の前後におけるインパクトがより強いものとなる。
【0009】
本発明は、トップシートと、前記本発明の吸収性物品用のバックシートと、これら両シート間に配置された液保持性の吸収体とを備えた吸収性物品を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき添付図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1〜図3は、本発明の吸収性物品をパンツ型の使い捨ておむつに適用した一実施形態を示したものである。これらの図において符号1は、パンツ型の使い捨ておむつ(以下、単に使い捨ておむつともいう。)を示している。
【0012】
これらの図に示すように、使い捨ておむつ1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性且つ透湿性のバックシート3と、これら両シート2、3間に配置された液保持性の吸収体4とを有する吸収性本体5が、バックシート3の外面に被覆配置される外層シート6に接着固定されている。
【0013】
前記バックシート3の肌当接面側における少なくとも排尿スポットの近傍には、非水溶性インクで多色印刷された非水溶性印刷部31と、水溶性インクで多色印刷された水溶性印刷部32とが設けられており、前記非水溶性印刷部31の一部が前記水溶性印刷部32で被覆されている。従って、水溶性印刷部32が肌側に位置している。
【0014】
本実施形態では、図3(b)に示すように、前記非水溶性印刷部31は、泣き顔のキャラクター、涙及び音符の絵柄が印刷されて設けられている。また、図3(a)に示すように、水溶性印刷部32は、笑顔の表情の前記キャラクター、星及び音符の絵柄が印刷されて設けられている。水溶性印刷部32は、更に詳しくは、前記泣き顔の目の絵柄上に笑顔の目の絵柄が印刷されるとともに、前記泣き顔の口の絵柄上に部分的に笑顔の口の絵柄が一部重ねて印刷され、さらに前記涙の絵柄の上に一部の星の絵柄が重ねて印刷されて設けられている。
【0015】
また、音符の絵柄の非水溶性印刷部31全体を被覆するように、当該非水溶性印刷部31とは色相の異なる音符の絵柄の水溶性印刷部32が印刷されている。
【0016】
前記非水溶性印刷部及び前記水溶性印刷部は、表色系のパラメータであるL*値、C*値及びh*値のうち、明度を表すL*値及び彩度を表すC*値を所定の範囲とすることが好ましい。
【0017】
前記非水溶性印刷部及び前記水溶性印刷部は、上記明度を表すL*値が、30〜90であることが好ましく、35〜90であることがより好ましく、40〜90であることがさらに好ましい。前記非水溶性印刷部及び前記水溶性印刷部は、上記彩度を表すC*値が、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。特に、バックシート3における前記非水溶性印刷部及び水溶性印刷部が設けられた部分の全面積中、25%以上、特に、50%以上の部分が前記L*値及び前記C*値の範囲を満たすと、バックシート3及び外層シート6越しでも絵柄等を鮮明にみることができる(この値を面積率という。)。該面積率は、100%であることが最も好ましい。前記L*値及び前記C*値が低すぎる場合には色が暗くなりすぎ、多色にする意味がなくなってしまい、前記L*値が高すぎる場合にはバックシート3及び外層シート6越しにみた絵柄等が不鮮明であり、消費者に好まれない。
【0018】
前記非水溶性印刷部31及び前記水溶性印刷部32は、排尿の前後における絵柄等の変化が大きくなり、観者に大きなインパクトを与え得るように、彩度及び明度が異なるようにすることが好ましい。前記非水溶性印刷部31及び前記水溶性印刷部32の明度の差(水溶性印刷部のL*値−非水溶性印刷部のL*値)は、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。また、前記非水溶性印刷部31及び前記水溶性印刷部32の彩度の差(水溶性印刷部のC*値−非水溶性印刷部のC*値)は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
【0019】
図3に示す絵柄のように、非水溶性印刷部の一部又は全部を該非水溶性印刷部の色相とは異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆する場合、排尿の前後における絵柄等の変化が大きくなり、観者に大きなインパクトを与え得るように、特に、前記非水溶性印刷部における前記水溶性印刷部によって被覆された部分の色相(前記非水溶性印刷部が前記水溶性印刷部で被覆された部分をほぼ上方から観察して得られる色相、以下、中間の色相ともいう。)と、前記非水溶性印刷部の色相とに所定の色差△E*abを設けることが好ましい。前記色差△E*abは、10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。ここで、色差△E*abは、均等色空間による色差式のうち、Cube−Root空間における色差式で与えられる色の知覚的相違を数値化したものであり、該色差△E*abは、L*a*b*表色系(CIE1976)における二つの物体色の明度指数L*の差△L*と、式座標a*及びb*の差△a*及び△b*により、下記色差式(式1)で表される。
△E*ab=[(△L*)2+(△a*)2+(△b*)2]1/2……(式1)
【0020】
前記非水溶性印刷部の一部又は全部を、当該非水溶性印刷部の色相とは異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆し、当該被覆部分が前記中間の色相を持つようにする場合の例としては、マゼンダの非水溶性印刷部とシアンの水溶性印刷部とを組み合わせた紫色、シアンの非水溶性印刷部とマゼンダの水溶性印刷部とを組み合わせた紫色、シアンの非水溶性印刷部と黄色の水溶性印刷部とを組み合わせた緑色、黄色の非水溶性印刷部とシアンの水溶性印刷部とを組み合わせた緑色、マゼンダの非水溶性印刷部と黄色の水溶性印刷部とを組み合わせた橙色、黄色の非水溶性印刷部とマゼンダの水溶性印刷部とを組み合わせた橙色等が挙げられる。
【0021】
前記非水溶性印刷部の一部又は全部を該非水溶性印刷部の色相とは異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆して形成される、前記中間の色相を有する部分は、排尿前後における絵柄等の変化が大きく、観者に強いインパクトを与えるものにするため、色相の変化をより明確にする必要があり、なるべく前記非水溶性印刷部及び前記水溶性印刷部の色相を、それらの色差が大きくなるように設けることが好ましい。しかしながら、前記非水溶性印刷部及び前記水溶性印刷部を色差が極めて大きな色相どうしを重ねると、逆に前記中間の色相を有する部分となる前記被覆部分の明度が低下し、おむつの外部から観た当該被覆部分の色相が不鮮明となりがちとなる。このような不鮮明さは、例えば、前記非水溶性印刷部をドット状、ストライプ状、又は格子状に印刷し、その一部又は全部を被覆するように、前記水溶性印刷部をドット状、ストライプ状又は格子状に印刷することによって前記被覆部分を設けることで回避することができる。
【0022】
前記非水溶性印刷部の一部又は全部を、該非水溶性印刷部の色相とは異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆し、前記中間の色相を有する被覆部分を透湿性シートに設ける場合、尿によって溶出した水溶性インク成分が透湿性シートの微孔に浸透して該透湿性シート内部に残留するため、排尿前後の絵柄等の色相が不鮮明になることがある。このような不鮮明さは、例えば、前記非水溶性印刷部によって透湿性シートの微孔をある程度まで塞ぐことで回避することができる。この場合、前記被覆部分は、該被覆部分の30〜100%の面積を有するドット状、ストライプ状、又は格子状に印刷された前記非水溶性印刷部と、該被覆部の10〜80%の面積を有するドット状、ストライプ状又は格子状に印刷された前記水溶性印刷部から形成されることが好ましい。
【0023】
前記L*値、前記C*値及び色差△E*ab値は、色差計で測定される。本発明においては、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計NF777(商品名)を用い、照明条件C、視野角条件2°、照明受光条件=0/45°、光束径=φ10mmの測定条件で、測定サンプルの裏側にバックシート(印刷なし)を5mm以上の厚さとなるように複数枚重ねた状態下で、反射光を測定して求められる。
【0024】
前記非水溶性印刷部に用いられる非水溶性インクとしては、ニトロセルロース系インク、ポリアミド系インク、アクリル系インク、染料型インク等が挙げられる。
【0025】
また、前記水溶性印刷部に用いられる前記水溶性インクとしては、マレイン酸樹脂系インク、アクリル系水性インク等が挙げられる。
【0026】
前記バックシート3の基材には、液不透過性及び透湿性を有するものを用いることが好ましい。この場合の透湿度は、おむつ内部の適度な湿度調整による快適なはきごこちが得られ且つシートに生じたピンホールに起因する体液の漏れを防止する点から、JIS Z0208に準じ、32℃で1時間保存後の試料についての値で、0.5〜4.0g/(100cm2・hr)であることが好ましい。
【0027】
斯かる液不透過性及び透湿性を有するバックシート3に用いられる基材としては、疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラー又は相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0028】
またバックシート3に用いられる基材は、前記非水溶性印刷部及び水溶性印刷部が外側に透けてみえるように、所定の光透過率を有するものを用いることが好ましい。バックシート3に用いられる基材の光透過率は、30〜80%であることが好ましく、35〜80%であることがより好ましく、40〜80%であることがさらに好ましい。光透過率が30%未満であると、前記L*値及び前記C*値が前記範囲内であってもバックシート3及び外層シート6越しに観た絵柄等の鮮明さが劣り、消費者へのおむつ受け入れ性が劣ってしまう。一方、光透過率が80%超になると、排泄物が外部から透けて見え、おむつ外部から排泄物と絵柄等が重なって見えたりするため、絵柄等や色相の変化が不鮮明になる。
【0029】
前記光透過率は、反射・透過率計((株)村上色彩研究所製、商品名「HR−100」)で測定される。測定には、A光源を用い、全光透過率Ttの値を測定した。サンプル上の任意の点を10点測定し、その平均値をもって光透過率の値とした。
【0030】
バックシート3の坪量は、十分な強度を保ちつつ、柔軟な感触が得られる観点から10〜40g/cm2、特に、15〜35g/cm2であることが好ましい。
【0031】
バックシート3における印刷が施されていない部分、即ち地色の部分は、光や熱の作用によって経時保存中に黄色くなる傾向がある。地色の部分が黄色くなると、印刷された絵柄等の鮮明さが低下することがある。これを防ぐため、印刷を施す前に、地色の部分のb*値(L*a*b*表色系(CIE1976)の色座標指数)を0〜マイナスの値とし、若干青みをもたせるようにすることが望ましい。b*値としては−5〜0が好ましい。b*値は、前記L*値及び前記△E*ab値と同様にして測定される。
【0032】
前記吸収体4は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等のこの種の吸収性物品に用いられる通常のものを特に制限なく用いることができる。本実施形態では、吸収体4は、吸水性ポリマー、解繊パルプ等の混合物と、これを内包する台紙とを主体として構成されている。また、本実施形態では、使い捨ておむつ1は、内部にゴム50を配設した伸縮性のギャザ部51を両側に有しており、また外層シート6は、二重の不織布の内部にゴム60、61を配設して伸縮性のギャザを設けたウェスト部62及びレッグ部63を有している。
【0033】
外層シート6には、前記非水溶性印刷部及び水溶性印刷部が外側に透けてみえるように、所定の光透過率を有するものを用いることが好ましい。外層シート6は、光透過率が50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。光透過率が50%未満であると、前記L*値が前記範囲内であっても前記バックシート3及び外層シート6越しに観た絵柄等の鮮明さが劣り、消費者へのおむつ受け入れ性が劣ってしまう。外層シート6の光透過率は、前記バックシート3と同様にして測定することができる。
【0034】
外層シート6には、前記非水溶性印刷部及び水溶性印刷部が外側に透けてみえるように、前記光透過率が得られる坪量及び厚さの不織布を用いることが好ましい。該不織布は、前記印刷部が鮮明に透けて見え且つ風合い及び肌触りを損なわないようにする観点からその坪量が5〜45g/m2、特に10〜40g/m2とすることが好ましい。
【0035】
また、外層シート6に用いられる不織布は、上記同様の観点からその厚み(不織布1枚の厚み)を0.1〜3.0mm、特に0.2〜2.0mmとすることが好ましい。不織布の厚みは、バックシート3と積層する直前の不織布を水平な台上に平らに広げ、その上に一辺が120mmの正方形の板(重量50g)を載置したときの厚みとした。
【0036】
外層シート6に用いられる不織布としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂単独からなる繊維や、これらの樹脂の二種以上を用いてなる芯鞘型やサイドバイサイド型の構造を有する複合繊維から構成される不織布が挙げられる。不織布はエアースルー法、メルトブローン法、ヒートシール法、スパンボンド法、サクションヒートボンド法等の一般的な製法によって製造されたものを用いることが好ましい。
【0037】
外層シート6に用いられる不織布は、その地色が白色であるか、又は非常に淡い色であることが好ましいが、前記非水溶性印刷部及び水溶性印刷部の鮮明さやおむつの外観を損なわない範囲で着色することもできる。
【0038】
本実施形態の使い捨ておむつ1では、排尿前では、外層シート6を通して笑顔のキャラクター及び絵柄が表示される。排尿後に水溶性インクが尿に溶解すると、非水溶性印刷部31における水溶性印刷部32で被覆された音符の部分の色相が変化するとともに、キャラクター及び星の絵柄が泣き顔のキャラクター及び涙に変化する。
【0039】
前記非水溶性印刷部31及び水溶性印刷部32は、使い捨ておむつにおける排尿スポットの近傍(おむつの股下中央部及びそこから若干腹側より)に設けてあればよいが、おむつを装着して寝た姿勢のときに勢い良く排尿が行われると、尿がおむつの胴回り開口部方向に向かって漏れる場合もあり、このような場合に尿の到達点を観者に素早く認知させ得る点から、図2のように、前記非水溶性印刷部31及び水溶性印刷部32は、腹側部及び背側不に亘って設けることが好ましい。
【0040】
次に、前記使い捨ておむつ1の製造方法について、図4を参照しながら説明する。
【0041】
図4は、使い捨ておむつ1の製造工程の一部分を模式的に示したものである。本実施形態では、まず、バックシート3をそのロール30から連続的に供給し、前記非水溶性インクを用い、印刷装置7で当該バックシート3の肌当接面側にキャラクター、涙及び音符の絵柄(図3(b)参照)を印刷して前記非水溶性印刷部31を設ける。
【0042】
バックシートの供給速度は、かすれのない明瞭な印刷を施す速度とすることが好ましい。また、本実施形態では、バックシート3の肌当接面側に印刷を施すため、印刷する絵柄は反転印刷とする。ここで、印刷方式には、従来からこの種の印刷に用いられている通常の印刷方法を用いることができる。該印刷方法としては、例えば、フレキソ印刷方式、グラビア印刷方式、インクジェット方式、スクリーン印刷方式、バブルジェット(登録商標)方式等の印刷方法が挙げられる。
【0043】
次に、前記非水溶性印刷部の絵柄である前記キャラクターの輪郭及び口の一部を除いて、当該絵柄を被覆するように、印刷装置8で前記水溶性インクで笑顔のキャラクター、星及び音符の絵柄(図3(a)参照)を前記非水溶性印刷部31に一部重ねて印刷して前記水溶性印刷部32を設ける。水溶性印刷部32は、前記非水溶性印刷部31の印刷と同様の印刷方法で印刷することができる。
【0044】
次に、非水溶性印刷部31及び水溶性印刷部32を定着させたバックシート3を、前記吸収体4を連続的又は間欠的に供給する供給ラインに合流させる。なお、吸収体4の製造工程には、この種の吸収性物品における通常の吸収体の製造工程を用いることができる。
【0045】
次に、液透過性のトップシート2をそのロール20から吸収体4の上方より連続的又は間欠的に供給してこられを合流させて位置決めする。さらに、外層シート6をそのロール64から連続的又は間欠的に供給し、塗布装置9でホットメルト30を塗布してこれをバックシート3の外面側に供給する。そして、当該外層シート6とバックシート3とを接着し、カッティング工程に移送して所望の寸法・形状にカッティングする。なお、トップシート2の吸収体4上への配置工程、外層シート6とバックシートとの接着工程、カッティング工程には、この種の吸収性物品の製造方法に用いられる通常の工程を用いることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の使い捨ておむつ1によれば、バックシート3の肌当接面側に非水溶性インクで非水溶性印刷部31を設けるとともに非水溶性印刷部31の一部を覆うように水溶性インクで絵柄等の異なる水溶性印刷部32を設けたので、排尿の前後で色調に加えて絵柄を変化させることができ、観者に大きなインパクトを与えることができ、排尿の有無を確実に視認させることができる。また、非水溶性印刷部31に水溶性印刷部32を被覆して印刷しているので、印刷面積が狭くて済むみ、その分バックシート3の透湿性を損なうことがない。
【0047】
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0048】
例えば、前記実施形態では、非水溶性印刷部の一部を水溶性印刷部で被覆するようにしたが、非水溶性印刷部の全部を、その文字又は絵柄の異なる水溶性印刷部で被覆するようにすることもできる。
【0049】
また、本発明は、前記実施形態におけるように、バックシートの肌当接面側に非水溶性印刷部及び水溶性印刷部を設けることが好ましいが、非水溶性印刷部を非肌当接面側のみ又は非肌当接面及び肌当接面に設けるとともに、水溶性印刷部を肌当接面側に設けることもできる。
【0050】
また、本発明は、前記実施形態におけるように、使い捨ておむつ及びその製造に特に好適であるが、本発明は、液透過性のトップシートと吸収体とが実質的に一体的に形成されて液保持性の吸収体が構成された吸収性層を備えた生理用ナプキン等の他の吸収性物品にも適用することができる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0052】
下記実施例1、2及び比較例のように使い捨ておむつを作製し、その評価を下記のように行った。それらの結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例1〕
(1)バックシートの製造
線状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス2520F、三井化学(株)製)100重量部及び表面処理炭酸カルシウム(平均粒径:1μm)150重量部にエステル(塑性:ステアリン酸:トリメチロールプロパン:アジピン酸=4:2:1)10重量部を添加し、二軸スクリュー型混練機で混練してペレットを作成した。得られたペレットをインフレーション成形機に供給し、厚さ40μmのインフレーションシートを成形した。ロール延伸機を用い、得られたシートを延伸温度50℃、延伸倍率2.3倍に延伸して多孔質の透湿性シートを得た。この透湿性シートの厚さは、20μmであり、透湿量は、1.8g/(100cm2・hr)であり、坪量は20g/m2であった。得られたシートの肌当接面側の表面にグラビア印刷機を用いて図5(b)に示すような泣き顔のキャラクター33及び涙の絵柄34の非水溶性印刷部(色相:シアン)31を印刷した後、該非水溶性印刷部を部分的に被覆する、図5(a)に示すような笑顔のキャラクター及び星の絵柄の水溶性印刷部(色相:シアン)32を印刷した。
【0054】
(2)外層シートの製造
芯成分としてポリエステルを、鞘成分として融点130℃の高密度ポリエチレンからなる芯鞘構造を有し、繊維径が13μm、繊維長が45mmの繊維を用い、全層を該繊維100%で構成して得られたカードウェブを、132℃の乾燥機内に10秒間通して熱処理を行い、坪量20g/m2の不織布を得た。得られた不織布の裏面に市販のSIS系のホットメルト接着剤を塗工し、市販のスパンボンド製法により製造された坪量18g/m2の不織布を貼り合わせ外層シートを得た。
【0055】
(3)積層シートの製造
前記(1)で得られたバックシート及び前記(2)で得られた外層シートを市販のSIS系のホットメルト接着剤を用いて貼り合わせ、積層シートを得た。
【0056】
(4)パンツ型おむつの製造
前記(3)で得られた積層シート以外はおむつに通常用いられる部材を用いてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0057】
〔実施例2〕
図6(b)のように音符の絵柄の非水溶性印刷部(色相:マゼンダ)31を印刷した後、図6(a)のように、非水溶性印刷部31を全部被覆する水溶性印刷部(色相:シアン)32を印刷し、当該被覆部分の色相(中間の色相)を紫とした以外は、実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製した。
【0058】
〔比較例〕
図7(a)のように星型の輪郭の絵柄の非水溶性印刷部(色相:シアン)31を印刷した後、その非水溶性印刷部の内部に当該非水溶性印刷部31と重ならないように水溶性印刷部(色相:シアン)32を印刷した以外は、実施例1と同様にして使い捨ておむつを作製した。
【0059】
(5)性能評価
得られたバックシート及びおむつについて、以下の方法で排尿の前後における透湿性、絵柄等の変化、排尿前後の印刷部の明度、彩度及び排尿前後の色差の評価を行った。
【0060】
〔バックシートの透湿性の評価〕
JIS Z0208に準拠して測定した。
【0061】
〔絵柄等の変化の評価〕
水溶性印刷面上に濾紙(硬質濾紙ADVANTEC 4A、φ185mm、東洋濾紙(株)製)1枚を置き、ピペットを用いて0.1g/cm2の水を滴下した。その1分後に濡れた濾紙を取り除き、水溶性印刷面上に新しい濾紙1枚を置き、その上に100mm四方のアクリル板を置き、更にその上に1kgの錘をおいた。そしてその1分後、濾紙、アクリル板、錘を取り除き、水溶性印刷部が設けられた面の裏面から絵柄の変化を肉眼で観察し、下記の4段階によって評価した。
◎:絵柄の変化が鮮明で、視認性が非常に良好であった。
○:絵柄の変化が明らかで、視認性が良好であった。
△:絵柄の変化がやや不明瞭で、視認性がやや悪かった。
×:絵柄の変化が不明瞭で、視認性が悪かった。
【0062】
〔明度及び色差の評価〕
前記L*値、C*値及び前記色差△E*ab値は、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計NF777(商品名)を用いて測定した。測定条件は、照明条件C、視野角条件2°、照明受光条件=0/45°及び光束径=φ10mmとし、測定サンプルの裏側にバックシート(印刷なし)を5mm以上の厚さとなるように複数枚重ねた状態下に、反射光を測定した。測定視野は、φ5mm程度でなるべく絵柄等の部分のみのL*、C*及△E*ab値を測定した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示すように、比較例のように非水溶性印刷部と水溶性印刷部が重ならない絵柄を設けたバックシートでは、観者に絵柄の変化を十分に認識させるためには、水で消色する水溶性印刷部の面積を大きくせざるを得ず、この分バックシートの透湿性は大きく阻害される。
これに対し、実施例1に示す非水溶性印刷部と水溶性印刷部を重ね、且つ前記非水溶性印刷部によける前記水溶性印刷部で被覆された部分と該水溶性印刷部とが異なる文字、記号又は絵柄で印刷を施したバックシートでは、バックシートの透湿性を損なうことなく観者に絵柄の変化を十分に認識させることができた。
また、実施例2に示す非水溶性印刷部の一部又は全部を非水溶性印刷部の色相と異なる色相を有する水溶性印刷部で被覆することにより、当該被覆部に前記非水溶性印刷部と前記水溶性印刷部の中間の色相を持たせた絵柄で印刷を施したバックシートでは、排尿の前後において前記非水溶性印刷部と前記水溶性印刷部の中間の色相から、前記非水溶性印刷部の色相へ変化するため、観者により強く絵柄の変化を認識させることが可能である。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、排尿の有無を確実に視認させることができ、且つ印刷面積も抑えることができる吸収性物品用のバックシート及び吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸収性物品の一実施形態の使用状態を模式的に示す一部を破断した斜視図である。
【図2】同実施形態の展開平面図及び要部断面図を模式的に示す図であり、(a)は展開平面図、(b)は要部断面図ある。
【図3】排尿の前後における印刷絵柄の変化を模式的に示す図であり、(a)は排尿前の絵柄を示す図、(b)は排尿後の絵柄を示す図である。
【図4】本発明に係る吸収性物品の製造工程の一部を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施例1の使い捨ておむつの排尿前後におけるバックシートの絵柄の変化を模式的に示す図であり、(a)は排尿前の絵柄を示す図、(b)は排尿後の絵柄を示す図である。
【図6】本発明の実施例2の使い捨ておむつの排尿前後におけるバックシートの絵柄の変化を模式的に示す図であり、(a)は排尿前の絵柄を示す図、(b)は排尿後の絵柄を示す図である。
【図7】比較例の使い捨ておむつの排尿前後におけるバックシートの絵柄の変化を模式的に示す図であり、(a)は排尿前の絵柄を示す図、(b)は排尿後の絵柄を示す図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
6 外層シート
31 非水溶性印刷部
32 水溶性印刷部
Claims (5)
- 非水溶性インクで印刷された非水溶性印刷部及び水溶性インクで印刷された水溶性印刷部を有する、液不透過性且つ透湿性の吸収性物品用のバックシートであって、
前記非水溶性印刷部の一部又は全部が前記水溶性印刷部で被覆されている吸収性物品用のバックシート。 - 前記非水溶性印刷部における前記水溶性印刷部で被覆された部分と該水溶性印刷部とが異なる文字、記号又は絵柄で印刷されている請求項1記載の吸収性物品用のバックシート。
- 前記非水溶性印刷部における前記水溶性印刷部で被覆された部分と該水溶性印刷部とが異なる色相を有している請求項1又は2記載の吸収性物品用のバックシート。
- トップシートと、請求項1〜3の何れかに記載のバックシートと、これら両シート間に配置された液保持性の吸収体とを備えた吸収性物品。
- 前記水溶性印刷部が前記バックシートの肌当接面側に設けられている請求項4記載の吸収性物品。
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