JP2004049301A - 血液浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置において、体外循環血液量を減らすことができ、且つ、浄化効率を高めることができる装置を提供すること。
【解決手段】血液を血球と血漿とに分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する血液浄化装置において、人工臓器モジュール側血漿循環回路が、生体側血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする血液浄化装置。
【選択図】 図2
【解決手段】血液を血球と血漿とに分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する血液浄化装置において、人工臓器モジュール側血漿循環回路が、生体側血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする血液浄化装置。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人工肝臓などの人工臓器は、急性または慢性の臓器障害あるいは臓器不全の患者に対する治療に広く用いられている。このような人工臓器を用いる血液浄化装置においては、血漿灌流法を基本とした体外循環システムが一般的である。体外循環システムは、通常、患者から取り出した血液が循環する生体側血液循環回路と、人工臓器に血漿が循環する人工臓器モジュール側血漿循環回路とからなり、血液循環回路には、血球と血漿とを分離する血漿分離器が設けられている。
【0003】
血液浄化装置においては、患者の拘束による負担を少なくするなどの目的で、できるだけ効率よく血液浄化ができることが望ましい。しかし、血漿分離器による血漿の分離速度は、血漿分離器のタイプにより一様ではないが、膜分離型においては20〜30ml/minが限度である。一方、人工臓器モジュールには、それぞれの最適流量があり、例えば、中空糸を用いる人工肝臓においては、物質交換効率を上げるために200〜400ml/minの供給量が必要である。血液浄化を連続的に効率よく処理するためには、この差を埋める必要があり、従来、リザーバを設けるなどの工夫がなされている。
【0004】
例えば、特開平10−33671号公報には、肝細胞を封入した中空糸モジュール、酸素付加装置、送液ポンプ、灌流液溜めからなる灌流回路を有し、灌流液が送液ポンプによって液溜めから中空糸モジュールに流れ、再び液溜めに戻る循環回路である中空糸型人工肝臓システムが開示されている。また、米国特許第5,643,794号明細書にも、血漿分離装置で分離した血漿をリザーバに貯留し、リザーバから血漿を吸着分離器、酸素付加器、バイオ人工肝臓に通し、リザーバに循環させ、該血漿を血漿分離装置に戻す血液浄化装置が記載されている。図1には、このような従来のリザーバを設ける血液浄化装置を示した。図1において、1は血漿分離装置、2はリザーバ、3は吸着分離器、4は酸素付加器、5は人工肝臓モジュールを示している。
【0005】
このような、リザーバを設ける血液浄化装置においては、リザーバに滞留する血漿が一度も人工肝臓を通過せず、患者側回路に戻ってくることが避けられないので、血液浄化能が劣ってくる欠点があった。また、リザーバの量をコントロールする必要があるので、装置が煩雑になるとか、浄化効率が劣ってくるという問題点も有すことになる。すなわち、バッチ処理の場合には、リザーバに一定量の血漿を導入した後に処理し、返血するというシーケンスをコントロールする必要があり、連続処理の場合には、リザーバ内の貯留量を一定に保つように返血用ポンプと血漿用送液ポンプとを等量でコントロールする必要があり、いずれも煩雑な操作が必要になる。
【0006】
また、血漿分離器における分離速度と、人工臓器モジュールの最適流量とのギャップを埋めるために、体外循環量を増やすことも考えられるが、そのような手段によると、治療時に患者から取り出される血液量が多くなり、患者の循環器にかかる負荷が増すため好ましくない。特に、高齢者や重篤患者において、循環量を増加させることは大きな問題となる。
【0007】
さらにまた、血漿分離速度と人工臓器モジュールとの流量のギャップを埋めるために、人工肝臓モジュール側回路を循環した血漿の一部を生体側回路にバイパスさせる血液浄化装置も提案されている(特開2001−87381号公報)。しかし、この装置では、バイパス回路に高精度の送液ポンプが2台必要となり、システム構成と制御がより煩雑になる。また、この装置においてもリザーバを用いることには変わりがないために、浄化効率の点で前述と同じ問題点が残る。
以上のように、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置において、従来、生体側の回路と人工臓器側の回路との流速をマッチさせるには、困難があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決することを課題とするものであり、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置において、血漿分離装置が有する分離速度の限界に伴う問題点を解決することにある。より詳細には、本発明は、体外循環血液量を減らし、且つ、体外に取り出した血液(血漿)は、少なくとも必ず一度は人工臓器モジュール側の浄化バイパスを通過させ、浄化効率が高い血液浄化装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、人工臓器を用いる血液浄化装置の人工臓器側の回路を閉回路にして、血漿を該回路に循環させることによって、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、人工臓器側の閉回路に血漿を循環させることによって、血漿分離装置の分離速度とは無関係に人工臓器への血漿の流量を高めることができることに着想し、本発明に至った。
【0010】
より詳細には、本発明は、
(1)血液を血球と血漿とに分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する血液浄化装置において、人工臓器モジュール側血漿循環回路が、生体側血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする血液浄化装置、
(2)上記(1)の血液浄化装置において、
生体側血液循環回路は、少なくとも血漿分離器に血液を供給する血液導入部、血液から血球と血漿とを分離する血漿分離器、分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする分岐路、血漿分離器で分離された血球を人工臓器モジュール側血漿循環回路から戻される浄化血漿と共に送血する血液導出部とを備え、
人工臓器モジュール側血漿循環回路は、少なくとも血液循環回路からバイパスされた血漿を血漿循環回路に導入する血漿導入口、人工臓器モジュール、人工臓器モジュールで浄化された浄化血漿を血液循環回路に導出する血漿導出口とを、血漿の流れに沿ってその順番に備え、且つ、これらは閉回路を形成しており、
前記血液循環回路のバイパス分岐路は、血漿循環回路の前記血漿導入口に連結され、前記血液循環回路の血液導出部には、前記血漿導出口が連結されていることを特徴とする血液浄化装置、
(3)人工臓器が、ヒトあるいは動物の細胞を封入したバイオ人工臓器である上記(1)または(2)に記載の血液浄化装置、
(4)人工臓器が、バイオ人工肝臓である上記(1)〜(3)のいずれかに記載した血液浄化装置、
(5)血漿循環回路において、血漿導入口の下流で人工臓器の上流にさらに酸素付加器を設けてなる請求項3または4に記載の血液浄化装置、
(6)酸素付加器が人工肺である上記(5)に記載の血液浄化装置、
(7)血漿分離装置が、膜分離あるいは遠心分離機である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の血液浄化装置、
(8)分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする連結路に血漿を血液循環回路に送液するための送液ポンプを設けた上記(2)〜(7)のいずれかに記載の血液浄化装置、及び
(9)血漿循環回路に血漿を循環させるための送液ポンプを設けた上記(1)〜(8)のいずれかに記載の血液浄化装置、
に関するものである。
【0011】
本発明によると、血漿の循環回路が閉回路であるので、循環回路に導入した量だけ浄化された血漿が人工臓器側の系外に出て、体内に戻すことができ、人工臓器を通らず浄化されていない血漿が生体側回路に戻ることはない。
また、本発明によると、血漿循環流量は、血漿分離装置とは独立してコントロールすることができる。
よって、本発明では、体外循環血液量を減らすことができ、且つ、浄化効率が高い血液浄化装置を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の血液浄化装置は、血液から血球と血漿とを分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する体外循環型システムであるが、生体側血液循環回路には、注射針やカテーテルなどを通じて生体の血管に接続された血液導入部によって、血液が導入される。
【0013】
本発明の血液浄化装置の血漿分離装置は、膜分離型、遠心分離型等、従来公知のいずれの装置も使用することができる。
膜分離型の血漿分離装置とは、少なくとも血球細胞を通過させない細孔径を有する中空糸型の分離膜をハウジングに充填したものであり、中空糸内部に血液を流すと、中空糸の膜壁を通って血漿成分が分離される。分離膜の材質は特に限定しないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステルなどが例示できる。このような膜分離型の血漿分離装置は、血液から一定速度で連続的に血漿を分離できるという点で特に好ましい。また、遠心分離型の血漿分離装置とは、血液を遠心ボウルに導入し、そのボウルを回転させることで血球と血漿との比重差により分離を行う装置であり、一定量の分離が行われた時点でボウル内の血液は患者に返血され、また新たな血液がボウルに導入され遠心分離される。
【0014】
生体側回路の血漿分離器で分離された血漿は、血漿導入口から人工臓器モジュール側の血漿循環回路に導入される。血漿分離装置と血漿循環回路の血漿導入口との間には送液ポンプを設けることによって、血球と分離した血漿を血漿循環回路に導入することができる。
【0015】
血漿分離器で血漿を分離された血球成分は、血漿循環回路から戻る浄化された血漿成分と一緒に血液導出部を通して患者の体内に戻される。血液導出部は、血液導入口と同様、注射針、カテーテルなどにより患者の血管と接続される。
【0016】
本発明の血液浄化装置は、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器を備えた人工臓器モジュール側の血漿循環回路を有し、該血漿循環回路が生体側の血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする。
血漿分離器で分離された血漿は、送液ポンプなどにより血漿循環回路の血漿導入口に導入される。血漿循環回路は、血漿導入口の下流に人工腎臓などの人工臓器、さらに下流に浄化された血漿の導出口を有し、血漿導入口に導入された血漿は、人工臓器を通って、該閉回路内を循環する。そして、血漿導入口に導入された血漿の量だけ、血漿導出口から排出され生体側の血液循環回路に戻される。したがって、人工臓器を通過する血漿流量は、血液循環系にある血漿分離装置における血漿分離能力以上に高めることができ、しかも、血漿導入口が人工臓器の下流に位置するために、人工臓器を一度も通過しないで、血漿が血液循環回路に導出されることはない。
【0017】
血漿循環回路に設けられる人工臓器は、吸着型、透析型、ヒトや動物の細胞を用いる代替臓器として中空糸、平膜を用いるバイオ型、あるいは多孔質担体上に細胞を付着させたバイオ型など公知のいずれの人工臓器を用いることができるが、本発明では、中空糸あるいは平膜を用いるバイオ型が好ましく、中空糸を用いたバイオ型が最も好ましく用いられる。
中でも、本発明は、中空糸の中あるいは外に肝細胞を封入したバイオ人工肝臓に最も適している。
バイオ人工肝臓は、膜型血漿交換器と同様の中空糸モジュールにおいて、中空糸の内部または外部にマイクロキャリアや多孔質担体などに接着させたヒトあるいは動物の肝細胞を封入したものが好ましく、血漿分離した血漿を流して肝細胞と接触させることで代謝や解毒という肝機能の一部を代替するものである。
【0018】
本発明の血漿循環回路には、さらに、人工臓器モジュールの上流に酸素付加装置を有することが好ましい。酸素付加装置によって、人工臓器に酸素を供給することで、人工臓器内の細胞を活性化することができる。
酸素付加装置としては、従来公知のものが使用できるが、その代表例として膜型人工肺を好ましく用いることができる。膜型人工肺は、撥水性かつ多孔質のガス透過膜をハウジングに充填したものであり、膜の一方から供給された高濃度酸素が膜を通って拡散することより血液に酸素を付加するものである。膜素材としては、ポリメチルシロキサン、ポリフルオロシロキサン、ポリフェニルシロキサン等のシリコーン樹脂の他、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン等が知られており、これらを中空糸膜、平膜にしてハウジングに充填した中空糸膜型、コイル型、積層型の人工肺を用いることができる。
【0019】
本発明は、さらに血漿循環回路に循環血漿の温度を保持するための加温器を設けるのが好ましい。加温器は、チューブ状の回路を加温体に巻きつけて熱を伝播して血漿を加温するもの、あるいは2枚のシートを張り合わせて血漿がその中を蛇行して流れるようにし、加温パネルに接触することで加温するもの等が利用されるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の血液浄化装置の一例を図2に示した。
図2の血液浄化装置においては、回転式のチューブポンプである送液ポンプ6によって、患者の体内から血液が取り出される。その際、血液は血漿分離器に血液を供給する血液導入部を通り、血漿分離膜を収容した膜分離型の血漿分離器9に導入されてから、血液導出部を通って再び患者の体内に戻される。これらのラインによって、血液循環回路が形成されている。一方、血漿分離器9によって濾過された血漿成分は、分離された血漿を血漿循環回路に供給する分岐路に介在する送液ポンプ7によって血漿循環回路に供給される。この送液ポンプ7も回転式のチューブポンプである。血漿循環回路に供給された血漿は、回転式のチューブポンプである送液ポンプ8によってこの回路内を循環するが、その際、加温器10で所定の温度に加温・保温され、次いでガス交換膜を収容した人工肺11にてガス透過膜を介して高濃度酸素の供給を受けた後、バイオ人工肝臓12に導入される。バイオ人工肝臓12に導入された血漿は、充填されている肝細胞によって有害成分の解毒・除去を受けて浄化された血漿となる。本発明の血液浄化装置1においては、このように血液循環回路と血漿循環回路が互いに独立した回路を形成されており、それぞれの循環流量は独立して制御されている。そして、双方の回路の間に、送液ポンプ7を介在させた分岐路およびその戻り回路を設けて送液ポンプ7を独立制御することにより、血漿循環回路に導入された血漿と同量の浄化血漿を患者の体内に戻すことができる。その結果、バイオ人工肝臓12に供給する血漿量を、血漿分離器9による血漿分離能力以上に任意に高めることが可能となり、物資交換効率を高めることができる。しかも、血漿導入口がバイオ人工肝臓の下流に位置するために、バイオ人工肝臓12を一度も通過しない未浄化の血漿が血液循環回路に戻ることはないので、より一層血液が浄化されることになる。
【0021】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
バイオ人工肝臓を用いる本発明の血液浄化装置の実施例を示す。
(肝細胞の単離)
体重10kgの幼児ブタを麻酔し、肝門脈からエチレングリコール4酢酸を含む液を灌流した。ついで、37度に加温したコラゲナーゼ溶液を灌流した後、肝臓を摘出した。摘出肝をステンレスボールに入れて、コラゲナーゼ液で洗浄後、クリーンベンチ内に搬入した。クリーンエアー下で、肝臓をマイルドに揉みほぐし、肝細胞をばらばらにしたのち、ガーゼで濾過して組織片を除去した。遠心管に移して、10%牛胎児血清入りのMEM培地で洗浄したのち、50×gで遠心し、上清を除去した。細胞を、無血清のMEM培地で2回洗浄したのち、セファデックスビーズ4gと混合し、37度炭酸ガスインキュベーターで2時間培養した。この細胞/ビーズを生理食塩水で洗浄し、最終的に1×1010細胞を4Lの生理食塩水に懸濁した。
【0022】
(肝細胞の充填)
ポリエチレン製中空糸膜を収容した中空糸デバイス(旭メディカル社製 OP−08)を準備し、中空糸外空間に上記細胞を1デバイスあたり5×109個となるよう充填した。なお、中空糸デバイスは、中空糸の内径330μm、厚み50μm、平均孔径0.3μm、膜面積0.8m2、中空糸内部容積(中空糸部およびキャップ内)80ml、中空糸外空間(中空糸の外側とハウジングの間)の容積105mlであった。
【0023】
(血液浄化装置)
人工肝臓として、前記の肝細胞が充填された中空糸デバイスを用いて、図2の血液浄化装置を組み立てた。
【0024】
(操作方法)
1)プライミングとして、送液ポンプ6,7,8を運転して回路、血漿分離器、人工肝臓、人工肺の全てに生理食塩水を充填した
2)血液流量Qbを50から100ml/minに設定し、血液を血漿分離器9に導入した。
3)送液ポンプの流量QfをQbの30%に設定し、血漿分離器で分離された血漿を人工肝臓側回路に送り込んだ。
4)送液ポンプ8の流量Qpを400ml/minに設定し、人工肝臓側回路に送り込まれた血漿を回路内で循環させた。
5)加温器にて循環血漿を37℃に保温した。
酸素付加器として中空糸膜型の人工肺を用いた。
6)循環ポンプ8の直後で圧力をモニターし、一定圧を超えないように循環ポンプの流量を制御した。
【0025】
(結果)
本実施例の血液人工浄化装置によると、人工肝臓モジュール側血漿循環回路や本回路へのバイパス分岐路において、血漿が枯渇したり滞留することがなく、設定流量にて6時間にわたり良好に連続運転することができた。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明では、人工臓器モジュール側の血漿の循環回路が閉回路であるので、人工臓器モジュール側の血漿循環回路に導入した血漿の量だけ、浄化された血漿が循環回路から排出されて生体側回路に戻り、体内に戻すことができる。本発明によると、血漿循環流量は、血漿分離装置とは独立してコントロールすることができる。また、本発明によると、人工臓器を通らず浄化されていない血漿が生体側回路に戻ることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の血液浄化装置の一例を示す。
【図2】本発明の血液浄化装置の一例を示す。
【符号の説明】
1:血漿分離装置
2:リザーバ
3:吸着分離器
4:酸素付加器
5:人工臓器モジュール
6,7,8:送液ポンプ
9:血漿分離器
10:加温器
11:酸素付加器
12:人工肝臓
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人工肝臓などの人工臓器は、急性または慢性の臓器障害あるいは臓器不全の患者に対する治療に広く用いられている。このような人工臓器を用いる血液浄化装置においては、血漿灌流法を基本とした体外循環システムが一般的である。体外循環システムは、通常、患者から取り出した血液が循環する生体側血液循環回路と、人工臓器に血漿が循環する人工臓器モジュール側血漿循環回路とからなり、血液循環回路には、血球と血漿とを分離する血漿分離器が設けられている。
【0003】
血液浄化装置においては、患者の拘束による負担を少なくするなどの目的で、できるだけ効率よく血液浄化ができることが望ましい。しかし、血漿分離器による血漿の分離速度は、血漿分離器のタイプにより一様ではないが、膜分離型においては20〜30ml/minが限度である。一方、人工臓器モジュールには、それぞれの最適流量があり、例えば、中空糸を用いる人工肝臓においては、物質交換効率を上げるために200〜400ml/minの供給量が必要である。血液浄化を連続的に効率よく処理するためには、この差を埋める必要があり、従来、リザーバを設けるなどの工夫がなされている。
【0004】
例えば、特開平10−33671号公報には、肝細胞を封入した中空糸モジュール、酸素付加装置、送液ポンプ、灌流液溜めからなる灌流回路を有し、灌流液が送液ポンプによって液溜めから中空糸モジュールに流れ、再び液溜めに戻る循環回路である中空糸型人工肝臓システムが開示されている。また、米国特許第5,643,794号明細書にも、血漿分離装置で分離した血漿をリザーバに貯留し、リザーバから血漿を吸着分離器、酸素付加器、バイオ人工肝臓に通し、リザーバに循環させ、該血漿を血漿分離装置に戻す血液浄化装置が記載されている。図1には、このような従来のリザーバを設ける血液浄化装置を示した。図1において、1は血漿分離装置、2はリザーバ、3は吸着分離器、4は酸素付加器、5は人工肝臓モジュールを示している。
【0005】
このような、リザーバを設ける血液浄化装置においては、リザーバに滞留する血漿が一度も人工肝臓を通過せず、患者側回路に戻ってくることが避けられないので、血液浄化能が劣ってくる欠点があった。また、リザーバの量をコントロールする必要があるので、装置が煩雑になるとか、浄化効率が劣ってくるという問題点も有すことになる。すなわち、バッチ処理の場合には、リザーバに一定量の血漿を導入した後に処理し、返血するというシーケンスをコントロールする必要があり、連続処理の場合には、リザーバ内の貯留量を一定に保つように返血用ポンプと血漿用送液ポンプとを等量でコントロールする必要があり、いずれも煩雑な操作が必要になる。
【0006】
また、血漿分離器における分離速度と、人工臓器モジュールの最適流量とのギャップを埋めるために、体外循環量を増やすことも考えられるが、そのような手段によると、治療時に患者から取り出される血液量が多くなり、患者の循環器にかかる負荷が増すため好ましくない。特に、高齢者や重篤患者において、循環量を増加させることは大きな問題となる。
【0007】
さらにまた、血漿分離速度と人工臓器モジュールとの流量のギャップを埋めるために、人工肝臓モジュール側回路を循環した血漿の一部を生体側回路にバイパスさせる血液浄化装置も提案されている(特開2001−87381号公報)。しかし、この装置では、バイパス回路に高精度の送液ポンプが2台必要となり、システム構成と制御がより煩雑になる。また、この装置においてもリザーバを用いることには変わりがないために、浄化効率の点で前述と同じ問題点が残る。
以上のように、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置において、従来、生体側の回路と人工臓器側の回路との流速をマッチさせるには、困難があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決することを課題とするものであり、人工肝臓などの人工臓器を用いる血液浄化装置において、血漿分離装置が有する分離速度の限界に伴う問題点を解決することにある。より詳細には、本発明は、体外循環血液量を減らし、且つ、体外に取り出した血液(血漿)は、少なくとも必ず一度は人工臓器モジュール側の浄化バイパスを通過させ、浄化効率が高い血液浄化装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、人工臓器を用いる血液浄化装置の人工臓器側の回路を閉回路にして、血漿を該回路に循環させることによって、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、人工臓器側の閉回路に血漿を循環させることによって、血漿分離装置の分離速度とは無関係に人工臓器への血漿の流量を高めることができることに着想し、本発明に至った。
【0010】
より詳細には、本発明は、
(1)血液を血球と血漿とに分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する血液浄化装置において、人工臓器モジュール側血漿循環回路が、生体側血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする血液浄化装置、
(2)上記(1)の血液浄化装置において、
生体側血液循環回路は、少なくとも血漿分離器に血液を供給する血液導入部、血液から血球と血漿とを分離する血漿分離器、分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする分岐路、血漿分離器で分離された血球を人工臓器モジュール側血漿循環回路から戻される浄化血漿と共に送血する血液導出部とを備え、
人工臓器モジュール側血漿循環回路は、少なくとも血液循環回路からバイパスされた血漿を血漿循環回路に導入する血漿導入口、人工臓器モジュール、人工臓器モジュールで浄化された浄化血漿を血液循環回路に導出する血漿導出口とを、血漿の流れに沿ってその順番に備え、且つ、これらは閉回路を形成しており、
前記血液循環回路のバイパス分岐路は、血漿循環回路の前記血漿導入口に連結され、前記血液循環回路の血液導出部には、前記血漿導出口が連結されていることを特徴とする血液浄化装置、
(3)人工臓器が、ヒトあるいは動物の細胞を封入したバイオ人工臓器である上記(1)または(2)に記載の血液浄化装置、
(4)人工臓器が、バイオ人工肝臓である上記(1)〜(3)のいずれかに記載した血液浄化装置、
(5)血漿循環回路において、血漿導入口の下流で人工臓器の上流にさらに酸素付加器を設けてなる請求項3または4に記載の血液浄化装置、
(6)酸素付加器が人工肺である上記(5)に記載の血液浄化装置、
(7)血漿分離装置が、膜分離あるいは遠心分離機である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の血液浄化装置、
(8)分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする連結路に血漿を血液循環回路に送液するための送液ポンプを設けた上記(2)〜(7)のいずれかに記載の血液浄化装置、及び
(9)血漿循環回路に血漿を循環させるための送液ポンプを設けた上記(1)〜(8)のいずれかに記載の血液浄化装置、
に関するものである。
【0011】
本発明によると、血漿の循環回路が閉回路であるので、循環回路に導入した量だけ浄化された血漿が人工臓器側の系外に出て、体内に戻すことができ、人工臓器を通らず浄化されていない血漿が生体側回路に戻ることはない。
また、本発明によると、血漿循環流量は、血漿分離装置とは独立してコントロールすることができる。
よって、本発明では、体外循環血液量を減らすことができ、且つ、浄化効率が高い血液浄化装置を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の血液浄化装置は、血液から血球と血漿とを分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する体外循環型システムであるが、生体側血液循環回路には、注射針やカテーテルなどを通じて生体の血管に接続された血液導入部によって、血液が導入される。
【0013】
本発明の血液浄化装置の血漿分離装置は、膜分離型、遠心分離型等、従来公知のいずれの装置も使用することができる。
膜分離型の血漿分離装置とは、少なくとも血球細胞を通過させない細孔径を有する中空糸型の分離膜をハウジングに充填したものであり、中空糸内部に血液を流すと、中空糸の膜壁を通って血漿成分が分離される。分離膜の材質は特に限定しないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステルなどが例示できる。このような膜分離型の血漿分離装置は、血液から一定速度で連続的に血漿を分離できるという点で特に好ましい。また、遠心分離型の血漿分離装置とは、血液を遠心ボウルに導入し、そのボウルを回転させることで血球と血漿との比重差により分離を行う装置であり、一定量の分離が行われた時点でボウル内の血液は患者に返血され、また新たな血液がボウルに導入され遠心分離される。
【0014】
生体側回路の血漿分離器で分離された血漿は、血漿導入口から人工臓器モジュール側の血漿循環回路に導入される。血漿分離装置と血漿循環回路の血漿導入口との間には送液ポンプを設けることによって、血球と分離した血漿を血漿循環回路に導入することができる。
【0015】
血漿分離器で血漿を分離された血球成分は、血漿循環回路から戻る浄化された血漿成分と一緒に血液導出部を通して患者の体内に戻される。血液導出部は、血液導入口と同様、注射針、カテーテルなどにより患者の血管と接続される。
【0016】
本発明の血液浄化装置は、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器を備えた人工臓器モジュール側の血漿循環回路を有し、該血漿循環回路が生体側の血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする。
血漿分離器で分離された血漿は、送液ポンプなどにより血漿循環回路の血漿導入口に導入される。血漿循環回路は、血漿導入口の下流に人工腎臓などの人工臓器、さらに下流に浄化された血漿の導出口を有し、血漿導入口に導入された血漿は、人工臓器を通って、該閉回路内を循環する。そして、血漿導入口に導入された血漿の量だけ、血漿導出口から排出され生体側の血液循環回路に戻される。したがって、人工臓器を通過する血漿流量は、血液循環系にある血漿分離装置における血漿分離能力以上に高めることができ、しかも、血漿導入口が人工臓器の下流に位置するために、人工臓器を一度も通過しないで、血漿が血液循環回路に導出されることはない。
【0017】
血漿循環回路に設けられる人工臓器は、吸着型、透析型、ヒトや動物の細胞を用いる代替臓器として中空糸、平膜を用いるバイオ型、あるいは多孔質担体上に細胞を付着させたバイオ型など公知のいずれの人工臓器を用いることができるが、本発明では、中空糸あるいは平膜を用いるバイオ型が好ましく、中空糸を用いたバイオ型が最も好ましく用いられる。
中でも、本発明は、中空糸の中あるいは外に肝細胞を封入したバイオ人工肝臓に最も適している。
バイオ人工肝臓は、膜型血漿交換器と同様の中空糸モジュールにおいて、中空糸の内部または外部にマイクロキャリアや多孔質担体などに接着させたヒトあるいは動物の肝細胞を封入したものが好ましく、血漿分離した血漿を流して肝細胞と接触させることで代謝や解毒という肝機能の一部を代替するものである。
【0018】
本発明の血漿循環回路には、さらに、人工臓器モジュールの上流に酸素付加装置を有することが好ましい。酸素付加装置によって、人工臓器に酸素を供給することで、人工臓器内の細胞を活性化することができる。
酸素付加装置としては、従来公知のものが使用できるが、その代表例として膜型人工肺を好ましく用いることができる。膜型人工肺は、撥水性かつ多孔質のガス透過膜をハウジングに充填したものであり、膜の一方から供給された高濃度酸素が膜を通って拡散することより血液に酸素を付加するものである。膜素材としては、ポリメチルシロキサン、ポリフルオロシロキサン、ポリフェニルシロキサン等のシリコーン樹脂の他、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン等が知られており、これらを中空糸膜、平膜にしてハウジングに充填した中空糸膜型、コイル型、積層型の人工肺を用いることができる。
【0019】
本発明は、さらに血漿循環回路に循環血漿の温度を保持するための加温器を設けるのが好ましい。加温器は、チューブ状の回路を加温体に巻きつけて熱を伝播して血漿を加温するもの、あるいは2枚のシートを張り合わせて血漿がその中を蛇行して流れるようにし、加温パネルに接触することで加温するもの等が利用されるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の血液浄化装置の一例を図2に示した。
図2の血液浄化装置においては、回転式のチューブポンプである送液ポンプ6によって、患者の体内から血液が取り出される。その際、血液は血漿分離器に血液を供給する血液導入部を通り、血漿分離膜を収容した膜分離型の血漿分離器9に導入されてから、血液導出部を通って再び患者の体内に戻される。これらのラインによって、血液循環回路が形成されている。一方、血漿分離器9によって濾過された血漿成分は、分離された血漿を血漿循環回路に供給する分岐路に介在する送液ポンプ7によって血漿循環回路に供給される。この送液ポンプ7も回転式のチューブポンプである。血漿循環回路に供給された血漿は、回転式のチューブポンプである送液ポンプ8によってこの回路内を循環するが、その際、加温器10で所定の温度に加温・保温され、次いでガス交換膜を収容した人工肺11にてガス透過膜を介して高濃度酸素の供給を受けた後、バイオ人工肝臓12に導入される。バイオ人工肝臓12に導入された血漿は、充填されている肝細胞によって有害成分の解毒・除去を受けて浄化された血漿となる。本発明の血液浄化装置1においては、このように血液循環回路と血漿循環回路が互いに独立した回路を形成されており、それぞれの循環流量は独立して制御されている。そして、双方の回路の間に、送液ポンプ7を介在させた分岐路およびその戻り回路を設けて送液ポンプ7を独立制御することにより、血漿循環回路に導入された血漿と同量の浄化血漿を患者の体内に戻すことができる。その結果、バイオ人工肝臓12に供給する血漿量を、血漿分離器9による血漿分離能力以上に任意に高めることが可能となり、物資交換効率を高めることができる。しかも、血漿導入口がバイオ人工肝臓の下流に位置するために、バイオ人工肝臓12を一度も通過しない未浄化の血漿が血液循環回路に戻ることはないので、より一層血液が浄化されることになる。
【0021】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
バイオ人工肝臓を用いる本発明の血液浄化装置の実施例を示す。
(肝細胞の単離)
体重10kgの幼児ブタを麻酔し、肝門脈からエチレングリコール4酢酸を含む液を灌流した。ついで、37度に加温したコラゲナーゼ溶液を灌流した後、肝臓を摘出した。摘出肝をステンレスボールに入れて、コラゲナーゼ液で洗浄後、クリーンベンチ内に搬入した。クリーンエアー下で、肝臓をマイルドに揉みほぐし、肝細胞をばらばらにしたのち、ガーゼで濾過して組織片を除去した。遠心管に移して、10%牛胎児血清入りのMEM培地で洗浄したのち、50×gで遠心し、上清を除去した。細胞を、無血清のMEM培地で2回洗浄したのち、セファデックスビーズ4gと混合し、37度炭酸ガスインキュベーターで2時間培養した。この細胞/ビーズを生理食塩水で洗浄し、最終的に1×1010細胞を4Lの生理食塩水に懸濁した。
【0022】
(肝細胞の充填)
ポリエチレン製中空糸膜を収容した中空糸デバイス(旭メディカル社製 OP−08)を準備し、中空糸外空間に上記細胞を1デバイスあたり5×109個となるよう充填した。なお、中空糸デバイスは、中空糸の内径330μm、厚み50μm、平均孔径0.3μm、膜面積0.8m2、中空糸内部容積(中空糸部およびキャップ内)80ml、中空糸外空間(中空糸の外側とハウジングの間)の容積105mlであった。
【0023】
(血液浄化装置)
人工肝臓として、前記の肝細胞が充填された中空糸デバイスを用いて、図2の血液浄化装置を組み立てた。
【0024】
(操作方法)
1)プライミングとして、送液ポンプ6,7,8を運転して回路、血漿分離器、人工肝臓、人工肺の全てに生理食塩水を充填した
2)血液流量Qbを50から100ml/minに設定し、血液を血漿分離器9に導入した。
3)送液ポンプの流量QfをQbの30%に設定し、血漿分離器で分離された血漿を人工肝臓側回路に送り込んだ。
4)送液ポンプ8の流量Qpを400ml/minに設定し、人工肝臓側回路に送り込まれた血漿を回路内で循環させた。
5)加温器にて循環血漿を37℃に保温した。
酸素付加器として中空糸膜型の人工肺を用いた。
6)循環ポンプ8の直後で圧力をモニターし、一定圧を超えないように循環ポンプの流量を制御した。
【0025】
(結果)
本実施例の血液人工浄化装置によると、人工肝臓モジュール側血漿循環回路や本回路へのバイパス分岐路において、血漿が枯渇したり滞留することがなく、設定流量にて6時間にわたり良好に連続運転することができた。
【0026】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明では、人工臓器モジュール側の血漿の循環回路が閉回路であるので、人工臓器モジュール側の血漿循環回路に導入した血漿の量だけ、浄化された血漿が循環回路から排出されて生体側回路に戻り、体内に戻すことができる。本発明によると、血漿循環流量は、血漿分離装置とは独立してコントロールすることができる。また、本発明によると、人工臓器を通らず浄化されていない血漿が生体側回路に戻ることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の血液浄化装置の一例を示す。
【図2】本発明の血液浄化装置の一例を示す。
【符号の説明】
1:血漿分離装置
2:リザーバ
3:吸着分離器
4:酸素付加器
5:人工臓器モジュール
6,7,8:送液ポンプ
9:血漿分離器
10:加温器
11:酸素付加器
12:人工肝臓
Claims (9)
- 血液を血球と血漿とに分離するための血漿分離器を備えた生体側血液循環回路と、血漿分離器で分離された血漿を浄化する人工臓器モジュールを備えた人工臓器モジュール側血漿循環回路とを有する血液浄化装置において、人工臓器モジュール側血漿循環回路が、生体側血液循環回路とは独立の閉回路を形成していることを特徴とする血液浄化装置。
- 請求項1記載の血液浄化装置において、
生体側血液循環回路は、少なくとも血漿分離器に血液を供給する血液導入部、血液から血球と血漿とを分離する血漿分離器、分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする分岐路、血漿分離器で分離された血球を人工臓器モジュール側血漿循環回路から戻される浄化血漿と共に送血する血液導出部とを備え、
人工臓器モジュール側血漿循環回路は、少なくとも血液循環回路からバイパスされた血漿を血漿循環回路に導入する血漿導入口、人工臓器モジュール、人工臓器モジュールで浄化された浄化血漿を血液循環回路に導出する血漿導出口とを、血漿の流れに沿ってその順番に備え、且つ、これらは閉回路を形成しており、
前記血液循環回路のバイパス分岐路は、血漿循環回路の前記血漿導入口に連結され、前記血液循環回路の血液導出部には、前記血漿導出口が連結されていることを特徴とする血液浄化装置。 - 人工臓器が、ヒトあるいは動物の細胞を封入したバイオ人工臓器である請求項1または2に記載の血液浄化装置。
- 人工臓器が、バイオ人工肝臓である請求項1〜3のいずれかに記載の血液浄化装置。
- 血漿循環回路において、血漿導入口の下流で人工臓器の上流にさらに酸素付加器を設けてなる請求項3または4に記載の血液浄化装置。
- 酸素付加器が人工肺である請求項5に記載の血液浄化装置。
- 血漿分離装置が、膜分離あるいは遠心分離機である請求項1〜6のいずれかに記載の血液浄化装置。
- 分離された血漿を血漿循環回路にバイパスする連結路に血漿を血液循環回路に送液するための送液ポンプを設けた請求項2〜7のいずれかに記載の血液浄化装置。
- 血漿循環回路に血漿を循環させるための送液ポンプを設けた請求項1〜8のいずれかに記載の血液浄化装置。
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