JP2004041527A - バイオ人工臓器 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオ人工肝臓、バイオ人工膵臓に適し、細胞の利用効率が高いバイオ人工臓器を提供すること。
【解決手段】体液の入口17と出口18とを有し体液が灌流する第1室15と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室16とを有するバイオ人工臓器において、第1室における入口から出口への体液の通路の断面積が、少なくとも部分的に、その前後の通路よりも小さくなっていることを特徴とするバイオ人工臓器。
【選択図】図5
【解決手段】体液の入口17と出口18とを有し体液が灌流する第1室15と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室16とを有するバイオ人工臓器において、第1室における入口から出口への体液の通路の断面積が、少なくとも部分的に、その前後の通路よりも小さくなっていることを特徴とするバイオ人工臓器。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液を浄化するために用いるハイブリッド型のバイオ人工臓器に関する。本発明は、さらに、該バイオ人工臓器を用いる体液浄化装置、および体液浄化方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
肝臓、膵臓などの各種臓器の機能不全に陥った患者にとって、臓器が有する種々多様な機能を補完するために最良の手段は、臓器移植であるが、ドナー数の不足や組織適合性の問題から、対応できるケースは限られている。
一方、人工的手段のみで、種々多様な機能を有する臓器の代替をすることは困難であり、最近では、肝臓などの各種臓器の細胞そのものを利用するバイオ人工臓器の開発が進められており、臓器機能を補助する手段として期待されている。
【0003】
バイオ人工臓器としては、現在、図1に示されるような体外設置型の治療システムが主流である。図1は、バイオ人工肝臓システムを示すものであり、肝不全患者から取り出した血液が循環する生体側血液循環回路(1)、及び血液を浄化する人工肝臓モジュール側回路(2)からなる。図1に示すとおり、当該システムは、肝不全患者から体外に取り出した血液から血漿分離器(3)で血漿を分離して、その血漿をバイオ人工肝臓モジュール(4)に通して代謝や解毒を行うことにより治療を進めるものである。
【0004】
人工肝臓や人工膵臓で代表されるこのような人工臓器においては、有用成分の合成、分泌、物質代謝などの高度な機能を細胞が担っており、バイオ人工臓器と言われている。
【0005】
構造的には、ハウジングの中に設けられた中空糸や平膜からなる多孔質膜によって、被処理液である血液などの体液と臓器細胞とが隔てられ、多孔質膜を介して物質交換を行う血液灌流タイプが主流である。このタイプは、コンパクトな割には物質交換の効率が高く、しかも被処理液側に細胞のコンタミが生じる可能性が極めて低い。
【0006】
従来、このような血液灌流タイプの人工臓器として、中空糸の外側に肝細胞と培養液を、中空糸の内側に血液を流して、膜を介した肝細胞と血液との接触をおこなうもの(WO96/09876)、カラムに多孔質粒子を充填し、その多孔質構造の内部に肝細胞を増殖させ、カラム周辺部から中心部に向かって血液を流すラジアルフロー型のもの(特開平10−234850号公報)などが知られている。
【0007】
このような灌流タイプの人工臓器では、被処理液の細胞側への内部拡散や、ハウジング内の圧力差により起こる内部正濾過及び内部逆濾過(以下、併せて内部濾過という)によって物質交換が起こっている。この際、多孔質膜の孔径、透水性、膜を貫通する孔の内外径などの膜特性、流速、圧力などの通液条件を適宜選択することによって、物質交換効率をある程度はコントロールできる。
【0008】
しかし、ハウジング内の被処理液の流通を膜特性や通液条件によってコントロールしても、充填されている全ての細胞が物質交換に預かるとはいえず、十分な物質交換効率が得られなかった。とりわけ、膜とハウジングとの隙間に細胞を充填する際に充填不良や充填ムラが生じやすく、その結果、物質交換の効率低下を招きやすかった。
【0009】
さらに、図2で示すような人工臓器構造が、従来知られていた(特開平10−33671号公報、Artificial Organs 25(3) pp194−200、日本バイオレオロジー学会誌(B&R)第15巻第1号2001pp14−24など)。すなわち、中空糸(5)内部に体液を流し、中空糸外側に細胞(6)を充填し、中空糸膜を介した物質交換、および圧力差による内部濾過によって、体液と充填された細胞とが物質交換をするというものである。しかしながら、このタイプの人工臓器では均一な充填が得られたとしても、圧力差が小さく、被処理液が細胞間を流通するに必要な圧力差が得られないという欠点があることを本発明者らは見出した。
【0010】
このように、従来、体液灌流タイプのバイオ人工臓器において、細胞を有効に利用して十分な物質交換が得られるものがなく、簡単な構造で、且つ細胞機能の利用効率を最大限に引き出すことのできるデバイスデザインが求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、細胞の利用効率が高いバイオ人工臓器を提供することを課題とする。特に、体液還流タイプのバイオ人工臓器において、製造が容易で、かつ体液と接した後の処理が容易なようにディスポーザブル化が可能であり、しかも、充填された細胞と体液との接触度を高めたバイオ人工臓器を提供することを課題とする。
また、本発明は、そのようなバイオ人工臓器を組み込んだ血液浄化装置及び血液浄化方法を提供することも課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、体液の流路において十分な圧力差を与えることによって、充填した細胞の間に体液の十分な流通が得られ、結果として充填した細胞の利用効率が高く、物質交換効率を高めることが出来ることを見出した。
そのために、本発明者らは、従来の図2におけるような中空糸型のバイオ人工臓器であっても、中空糸内の体液が流れる通路の断面積を、少なくとも部分的に小さくすることによって、細胞間における体液(被処理液)の流れを長く取れることに着想し本発明に至った。
体液の通路の断面積をゼロにして体液を全てバイパスさせることも可能であるし、あるいは、通路断面積を縮小することによって、直接流れを絞ることも可能である。本発明において、中空糸内の通路を全て封鎖してもなお、十分な効率が得られ、なおかつ、細胞機能の有効利用を達成することができることは思いもかけないことである。
【0013】
すなわち本発明は、
(1)体液の入口と出口とを有し体液が灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器において、第1室における入口から出口への体液の通路の断面積が、少なくとも部分的に、その前後の通路よりも小さくなっていることを特徴とするバイオ人工臓器、
(2)第1室が、体液の上流側小室と体液の下流側小室とに分かれていて、上流側の小室内圧力が下流側の小室内圧力よりも高いことを特徴とする上記(1)記載のバイオ人工臓器、
(3)上流側の小室と下流側の小室とは、互いに独立していることを特徴とする上記(2)記載のバイオ人工臓器、
(4)上流側の小室と下流側の小室とは、体液の流量を調節できる通路で連通していることを特徴とする上記(2)記載のバイオ人工臓器、
(5)第2室が、体液の上流側小室と、体液の下流側小室とに分かれていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(6)体液を灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器用ユニットを2つ以上直列に連結したバイオ人工臓器であって、最上流側のユニットの第1室は体液入口を有し、最下流側のユニットの第1室は体液出口を有し、連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第2室下流側端と、下流側ユニットの第2室の上流側端とが連通していることを特徴とするバイオ人工臓器、
(7)連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第1室下流側側端と、下流側ユニットの第1室上流側側端との間に、さらに体液の流量を調節できる通路を有している上記(6)に記載のバイオ人工臓器、
(8)第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が中空糸膜である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(9)中空糸膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する上記(8)記載のバイオ人工臓器、
(10)第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が平膜である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(11)平膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する上記(10)記載のバイオ人工臓器、
(12)第2室に充填されている細胞が肝細胞を含む上記(1)〜(11)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(13)体液が血液から分離された血漿である上記(1)〜(12)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(14)上記(13)に記載のバイオ人工臓器と、該バイオ人工臓器に連結されてなる患者全血から血漿を分離する血漿分離装置とを少なくとも含む体液浄化装置、
(15)上記(1)〜(13)のいずれかに記載のバイオ人工臓器を用いて体液を浄化する方法、
(16)流路の流量を調節することにより、バイオ人工臓器内の圧力差を調整する上記(15)に記載の体液浄化方法、及び
(17)上記(14)に記載の体液浄化装置を用いて体液を浄化する方法、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
本発明における、バイオ人工臓器とは、ヒトなどの動物の生きた細胞をプラスチックや金属などの容器に封入し、体液をその細胞と接触させて物質交換させることによって、細胞の機能を利用するタイプの人工臓器のことである。
本発明のバイオ人工臓器は、バイオ人工肝臓、バイオ人工膵臓、バイオ人工腎臓などが考えられるが、特に、バイオ人工肝臓、バイオ人工膵臓が適しており、最も好ましくはバイオ人工肝臓である。
処理される体液は、血液、特に血漿が好ましいが、全血も可能である。全血の場合には、赤血球が第2室への酸素供給源となるので、酸素付加器が不要となる場合がある。
【0015】
本発明において、人工臓器の第1室とは、体液入口及び出口を有し、体液の通路となるものであって、体液が入口から入って出口に出て行く間に浄化される室である。
具体的には、細胞を中空糸内に詰めるタイプであれば、中空糸外が第1室であり、中空糸外に細胞を詰めるタイプであれば、中空糸内が第1室となる。また、第2室との隔壁が平膜タイプであるときには、細胞が充填された第2室と平膜で仕切られ、体液入口と出口とを有する空間が第1室となる。
入口及び出口は、体液を導入あるいは導出できる管路であればどのような手段でも良い。
【0016】
本発明において、第2室とは、人工臓器において、細胞が充填される室のことである。具体的には、人工臓器が中空糸タイプであれば、細胞を中空糸内に詰めるとき、中空糸内が第2室であり、中空糸外に細胞を詰めるとき、中空糸外が第2室となる。また、平膜タイプであれば、第1室と平膜タイプの隔壁で仕切られ、細胞が充填された室が第2室となる。
【0017】
第2室に充填される細胞は、人工肝臓である場合、ブタなどの異種動物の肝臓から単離した肝細胞、ヒト肝細胞株、ヒト手術摘出肝から単離した肝細胞、臍帯血や骨髄などから誘導した肝幹細胞あるいはそれを増殖したものなどである。なお、肝細胞には、肝実質細胞のほか、肝類洞細胞、肝小細胞なども含まれる。
人工膵臓である場合、第2室に充填される細胞は、ヒト、あるいはブタなどの異種由来の膵臓から単離したラ氏細胞、膵ベータ細胞などである。
【0018】
本発明における多孔質隔壁の構造は、多孔質状、スポンジ状、織布・不織布状のいずれであっても利用できるが、1μm以下の孔径の提供が容易なこと、より均一な孔径分布が得やすいことより、多孔質膜であることが望ましい。
多孔質膜は平膜、或いは中空糸のいずれであっても使用できる。平膜のときは、単純な平面の他に、屏風や扇子のように折りたたんで表面積を大きくしたものも使用できる。限られた容積でより大きな膜面積が得られること、隔壁を空間内でより均一に且つ緻密に配置できることより、中空糸であることがより望ましい。
【0019】
多孔質隔壁の材質は体液との接触において安定であり、滅菌可能で、且つ細胞や組織に対して特に毒性を示さなければ、無機、有機いずれの化合物も使用できるが、多孔質隔壁への加工性の点で有機高分子材料が望ましい。望ましい有機高分子材料を例示すると、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステルなどが例示できる。これら単独、或いはこれらを成分として他のポリマーとの混合物や共重合物であってもよく、他のポリマーでコーティングされていてもよい。
多孔質隔壁の表面は、親水性で血漿の濡れ性に優れていることが、使用時の取り扱い性に優れ、たんぱく質の付着が少なく使用に伴う細孔径の低下が少ないので望ましい。
【0020】
第1室と第2室との間の血漿成分の交換性が高いほど、バイオ人工臓器の機能がより高く発揮できる。そのためには隔壁の透水性は0.1L/hr・m2・mmHg以上であることが望ましい。透水性は高ければ高いほど血漿成分の交換性は高まるが、一方で透水性を高めるには空孔率を高める必要があり、空孔率を上げると膜の強度が低下する。そのため透水性の上限は膜の強度の点より100L/hr・m2・mmHg以下であることが望ましい。より望ましくは10L/hr・m2・mmHg以下である。
【0021】
隔壁表面の細孔は、排除限界分子量10,000ダルトン以上であれば使用可能であるが、解毒すべき血漿中のアルブミンが通過することがより望ましく、アルブミンの篩い係数が0.1以上であることがより望ましい。また上限は、第2室の細胞が漏れなければ使用可能であり、最大孔径は1μm以下であればよい。第2室に、灌流する体液とは異種の動物由来の細胞を利用する場合、体液中のイムノグロブリンGやイムノグロブリンM等の免疫性蛋白によって第2室の細胞が損傷を受けることがある。そのため隔壁表面の細孔は、より望ましくはイムノグロブリンGの篩い係数が0.5以下であることがより望ましい。
隔壁表面の細孔は膜厚方向に均一であってもグラジエント構造であってもよい。たとえば最大孔径が0.1μm程度以上の血漿分離膜では均一であるほうがよい。排除限界分子量が100万ダルトン程度以下の血漿分画膜では、血漿面に対して細胞側で細孔径がより大きなグラジエント構造のほうが高い透水性が得られるため望ましい。
【0022】
このようなバイオ人工臓器において、本発明は、第1室における体液の通路断面積を、少なくとも一部小さくすることによって、第1室の上流側と下流側に、圧力差を設け、第2室に十分体液を流入させることを特徴とする。
従来のバイオ人工臓器の一例を図2に示す。図2によると入口(7)から第1室に導入された体液は第2室に充填された細胞(6)との接触により、有害物質の除去やあるいは有用成分の補給が行われる。しかし、しばしば第2室への細胞の充填の不均一や内部濾過のための圧力差が十分得られないために、第2室の細胞との接触が十分に行われることなく体液が第1室に戻ってしまう、あるいは、第2室へ体液が十分に出て行かないという問題があった。
【0023】
本発明では、このような体液の流れを改善するために、第1室における体液の通路の少なくとも一部に隘路を設け、上流側と下流側とに圧力損失を作るものである。
図3には、本発明のバイオ人工臓器の一実施態様を示す。図3には、平膜型の例を示した。図3のバイオ人工臓器は、体液の入口(8)と出口(9)とを有する第1室(10)と、第1室(10)と平膜型多孔質隔壁(11)で区切られ、細胞(12)が充填された第2室(13)とからなる。第1室は、さらに体液入口側である上流側小室(10a)と体液出口側である下流側小室(10b)とに分割されており、上流側小室(10a)と下流側小室(10b)とは、体液の流量を調節できる通路(14)で連通している。
このバイオ人工臓器では、入口から第1室に導入された体液は、通路(14)で体液流量が絞られているので、細胞が充填されている第2室側を迂回せざるを得ず、よって、細胞との十分な接触が得られる。
【0024】
なお、図3のバイオ人工臓器においては、通路(14)を部分的に絞ることもできるし、また、通路(14)を全部絞り第1室の上流側小室と下流側小室とを互いに分離独立させることも可能である。
通路(14)の流量調節には、通路の断面積を変化し得る手段であればどのような手段でも使用でき、例えば、回転バルブ、スライド弁などを用いることができる。
【0025】
図4には、本発明のバイオ人工臓器の別の実施態様を模式的に示した。図4のバイオ人工臓器は、体液が灌流する第1室も細胞が充填されている第2室も、上流側と下流側とに分かれていてその結果、第1室と第2室とからなる人工臓器用ユニットが、複数連結された構造となっているものである。
図4を参照しながら、さらに詳細に説明する。図4のバイオ人工臓器は、中空糸型であって、体液を灌流する第1室(15)は中空糸内部に該当し、第1室(15)と多孔質隔壁、すなわち中空糸膜によって隔てられ細胞が充填された第2室(16)は、中空糸外部に該当する。第1室(15)と第2室(16)とからなる第1の人工臓器用ユニットAにおいて、第1室は体液入口(17)を有している。第1室(15)と第2室(16)とからなる第2の人工臓器用ユニットBにおいて、第1室は体液出口(18)を有している。そして、第1の人工臓器用ユニットAの第2室(16)は下流側側端(19)近くに出口(20)を有し、第2の人工臓器用ユニットBの第2室(16)はその上流側側端(21)近くに入口(22)を有しており、ユニットAの第2室出口(20)とユニットBの第2室(16)とが連通している。ユニットAの第2室出口(20)とユニットBの第2室入口(22)との間の通路(23)には、その流量を調節するための手段がさらに設けられていても良い。
【0026】
図4には、中空糸を一本だけ模式的に示したが、実際には、中空糸は数百から数万本の中空糸を束ねることができる。また、図4には、人工臓器用ユニットを2つ連結したものを示したが、3つ以上のユニットを連結することも可能である。3つ以上の場合、各ユニット間の体液の流通が遮断されるシステムにおいては、両端のユニット以外、つまり中間のユニットは細胞が充填された第2室のみで構成されていても良い。
【0027】
このバイオ人工臓器では、第1の人工臓器用ユニット(A)の第1室(15)の下流側側端(19)が閉塞しているため、入口(17)から第1室に導入された体液は、第1室(15)の下流側側端(19)から流出できず、第2室に充填された細胞と十分物質交換をして第2室(16)の出口(20)から流出し、第2の人工臓器用ユニット(B)の第2室(16)の入口(22)から導入されて、第2ユニットの第2室(16)において十分物質交換してから第1室(15)に戻ることになる。
【0028】
図5には、本発明のバイオ人工臓器のさらに別の実施態様を示す。図5において、図4と対応する部材には、同じ番号を付した。
図5のバイオ人工臓器においては、図4のバイオ人工臓器と同様に、第1のユニットAと、第2のユニット(B)とを有しているが、第1のユニットAの第1室(15)の下流側側端(19)と、第2のユニットBの上流側側端(21)とが通路(24)で連通している。通路(24)には、体液の流量を調節する機構が設けられている。
【0029】
通路(24)の流量調節には、通路の断面積を変化し得る手段であればどのような手段でも使用でき、例えば、回転バルブ、スライド弁などを用いることができる。
図4で示すバイオ人工臓器と同様に、入口(17)から第1ユニットの第1室に導入された体液は、十分物質交換してから第2ユニットの第1室の出口(18)から導出されることになる。
【0030】
本発明のバイオ人工臓器は、図1に示すようなシステムに人工臓器モジュールとして組み込んで体液浄化装置にすることができる。図1のシステムは、中空糸型モジュールを人工臓器モジュール(4)として用いる体液浄化装置であって、患者(25)から送血ポンプ(26)を用いて流出させた血液を血漿分離器(3)を通して返血させる生体側回路(1)と、血漿分離器によって分離された血漿を送液ポンプ(27)(28)によって、リザーバ−(29)、酸素付加器(30)、人工臓器モジュール(4)、血漿分離器(3)に循環させる人工臓器モジュール側回路(2)とからなっている。
本発明のバイオ人工臓器は、図1に示すようなシステムに限らず、従来公知のいずれのシステムにも応用できる。
【0031】
以下に、人工肝臓についての実施例を記載するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例】
(肝細胞の単離)
体重10kgの幼児ブタを麻酔し、肝門脈からエチレングリコール4酢酸を含む液を灌流した。ついで、37℃に加温したコラゲナーゼ溶液を灌流した後、肝臓を摘出した。摘出肝をステンレスボールに入れて、コラゲナーゼ液で洗浄後、クリーンベンチ内に搬入した。クリーンエアー下で、肝臓をマイルドに揉みほぐし、肝細胞をばらばらにしたのち、ガーゼで濾過して組織片を除去した。遠心管に移して、10%牛胎児血清入りのMEM培地で洗浄したのち、50×gで遠心し、上清を除去した。細胞を、無血清のMEM培地で2回洗浄したのち、セファデックスビーズ4gと混合し、37℃炭酸ガスインキュベーターで2時間培養した。この細胞/ビーズを生理食塩水で洗浄し、最終的に1×1010細胞を4Lの生理食塩水に懸濁した。
【0032】
(肝細胞の充填)
ポリエチレン製中空糸膜を収容した中空糸デバイス(旭メディカル社製 OP−08)を2つ準備し、それぞれの中空糸外空間に上記細胞をデバイス(OP−08)1本あたり5×109個となるよう充填した。なお、それぞれの中空糸デバイスは、中空糸の内径330μm、厚み50μm、平均孔径0.3μm、膜面積0.8m2、中空糸内部容積(中空糸部およびキャップ内)80ml、中空糸外空間(中空糸の外側とハウジングの間)の容積105mlであった。
【0033】
(血漿の循環)
循環装置(旭メディカル社製 プラソートEZ)およびバイオ人工肝内血漿循環ポンプ(MEDETECH社製 LF300)を用いて、図1に示すようなシステムにバイオ人工肝臓を組み込み、バイオ人工肝臓への血漿の循環を行った。バイオ人工肝臓は、上記方法で肝細胞を充填した中空糸デバイスをバイオ人工肝臓用ユニットとして用いて、図5のように、2つ直列につなぎ、2つのユニット間の中空糸内部通路(図5の24)を鉗子で全閉とし、中空糸外部の通路(図5の23)は全開とした。
バイオ人工肝臓系への血漿供給および抜き出し量(図1の生体側回路(1)に相当)を20ml/minとし、バイオ人工肝臓内の 血漿循環量(図1の人工肝臓モジュール側回路(2)に相当)を27ml/minとした。
【0034】
その結果、バイオ人工肝臓の入口圧は高くならずに6時間以上の循環が可能であった。すなわち、この系は多少の中空糸目詰まりがあっても圧上昇を来たさず、循環を長時間継続することが可能であった。また、循環前後の血漿中のアンモニア濃度を比較したところ、バイオ人工肝臓へ循環前の572μg/dLに対して、2時間循環後には81μg/dLと大幅に減少していた。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、細胞の利用効率が高いバイオ人工臓器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】バイオ人工肝臓システムの概念図を示す。
【図2】従来のバイオ人工臓器の説明図を示す。
【図3】本発明のバイオ人工臓器の一実施態様を示す。
【図4】本発明のバイオ人工臓器の他の実施態様を示す。
【図5】本発明のバイオ人工臓器のさらに他の実施態様を示す。
【符号の説明】
1:生体側回路
2:人工臓器モジュール側回路
3:血漿分離器
4:バイオ人工肝臓モジュール
5:中空糸
6:細胞
7,8:体液入口
9:体液出口
10:第1室
10a:上流側小室
10b:下流側小室
11:平膜型多孔質隔壁
12:細胞
13:第2室
14:通路
15:第1室
16:第2室
17:体液入口
18:体液出口
19:下流側側端
20:第2室出口
21:上流側側端
22:第2室入口
23,24:通路
25:患者
26:送血ポンプ
27,28:送液ポンプ
29:リザーバ−
A:第1のバイオ人工臓器用ユニット
B:第2のバイオ人工臓器用ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液を浄化するために用いるハイブリッド型のバイオ人工臓器に関する。本発明は、さらに、該バイオ人工臓器を用いる体液浄化装置、および体液浄化方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
肝臓、膵臓などの各種臓器の機能不全に陥った患者にとって、臓器が有する種々多様な機能を補完するために最良の手段は、臓器移植であるが、ドナー数の不足や組織適合性の問題から、対応できるケースは限られている。
一方、人工的手段のみで、種々多様な機能を有する臓器の代替をすることは困難であり、最近では、肝臓などの各種臓器の細胞そのものを利用するバイオ人工臓器の開発が進められており、臓器機能を補助する手段として期待されている。
【0003】
バイオ人工臓器としては、現在、図1に示されるような体外設置型の治療システムが主流である。図1は、バイオ人工肝臓システムを示すものであり、肝不全患者から取り出した血液が循環する生体側血液循環回路(1)、及び血液を浄化する人工肝臓モジュール側回路(2)からなる。図1に示すとおり、当該システムは、肝不全患者から体外に取り出した血液から血漿分離器(3)で血漿を分離して、その血漿をバイオ人工肝臓モジュール(4)に通して代謝や解毒を行うことにより治療を進めるものである。
【0004】
人工肝臓や人工膵臓で代表されるこのような人工臓器においては、有用成分の合成、分泌、物質代謝などの高度な機能を細胞が担っており、バイオ人工臓器と言われている。
【0005】
構造的には、ハウジングの中に設けられた中空糸や平膜からなる多孔質膜によって、被処理液である血液などの体液と臓器細胞とが隔てられ、多孔質膜を介して物質交換を行う血液灌流タイプが主流である。このタイプは、コンパクトな割には物質交換の効率が高く、しかも被処理液側に細胞のコンタミが生じる可能性が極めて低い。
【0006】
従来、このような血液灌流タイプの人工臓器として、中空糸の外側に肝細胞と培養液を、中空糸の内側に血液を流して、膜を介した肝細胞と血液との接触をおこなうもの(WO96/09876)、カラムに多孔質粒子を充填し、その多孔質構造の内部に肝細胞を増殖させ、カラム周辺部から中心部に向かって血液を流すラジアルフロー型のもの(特開平10−234850号公報)などが知られている。
【0007】
このような灌流タイプの人工臓器では、被処理液の細胞側への内部拡散や、ハウジング内の圧力差により起こる内部正濾過及び内部逆濾過(以下、併せて内部濾過という)によって物質交換が起こっている。この際、多孔質膜の孔径、透水性、膜を貫通する孔の内外径などの膜特性、流速、圧力などの通液条件を適宜選択することによって、物質交換効率をある程度はコントロールできる。
【0008】
しかし、ハウジング内の被処理液の流通を膜特性や通液条件によってコントロールしても、充填されている全ての細胞が物質交換に預かるとはいえず、十分な物質交換効率が得られなかった。とりわけ、膜とハウジングとの隙間に細胞を充填する際に充填不良や充填ムラが生じやすく、その結果、物質交換の効率低下を招きやすかった。
【0009】
さらに、図2で示すような人工臓器構造が、従来知られていた(特開平10−33671号公報、Artificial Organs 25(3) pp194−200、日本バイオレオロジー学会誌(B&R)第15巻第1号2001pp14−24など)。すなわち、中空糸(5)内部に体液を流し、中空糸外側に細胞(6)を充填し、中空糸膜を介した物質交換、および圧力差による内部濾過によって、体液と充填された細胞とが物質交換をするというものである。しかしながら、このタイプの人工臓器では均一な充填が得られたとしても、圧力差が小さく、被処理液が細胞間を流通するに必要な圧力差が得られないという欠点があることを本発明者らは見出した。
【0010】
このように、従来、体液灌流タイプのバイオ人工臓器において、細胞を有効に利用して十分な物質交換が得られるものがなく、簡単な構造で、且つ細胞機能の利用効率を最大限に引き出すことのできるデバイスデザインが求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、細胞の利用効率が高いバイオ人工臓器を提供することを課題とする。特に、体液還流タイプのバイオ人工臓器において、製造が容易で、かつ体液と接した後の処理が容易なようにディスポーザブル化が可能であり、しかも、充填された細胞と体液との接触度を高めたバイオ人工臓器を提供することを課題とする。
また、本発明は、そのようなバイオ人工臓器を組み込んだ血液浄化装置及び血液浄化方法を提供することも課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、体液の流路において十分な圧力差を与えることによって、充填した細胞の間に体液の十分な流通が得られ、結果として充填した細胞の利用効率が高く、物質交換効率を高めることが出来ることを見出した。
そのために、本発明者らは、従来の図2におけるような中空糸型のバイオ人工臓器であっても、中空糸内の体液が流れる通路の断面積を、少なくとも部分的に小さくすることによって、細胞間における体液(被処理液)の流れを長く取れることに着想し本発明に至った。
体液の通路の断面積をゼロにして体液を全てバイパスさせることも可能であるし、あるいは、通路断面積を縮小することによって、直接流れを絞ることも可能である。本発明において、中空糸内の通路を全て封鎖してもなお、十分な効率が得られ、なおかつ、細胞機能の有効利用を達成することができることは思いもかけないことである。
【0013】
すなわち本発明は、
(1)体液の入口と出口とを有し体液が灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器において、第1室における入口から出口への体液の通路の断面積が、少なくとも部分的に、その前後の通路よりも小さくなっていることを特徴とするバイオ人工臓器、
(2)第1室が、体液の上流側小室と体液の下流側小室とに分かれていて、上流側の小室内圧力が下流側の小室内圧力よりも高いことを特徴とする上記(1)記載のバイオ人工臓器、
(3)上流側の小室と下流側の小室とは、互いに独立していることを特徴とする上記(2)記載のバイオ人工臓器、
(4)上流側の小室と下流側の小室とは、体液の流量を調節できる通路で連通していることを特徴とする上記(2)記載のバイオ人工臓器、
(5)第2室が、体液の上流側小室と、体液の下流側小室とに分かれていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(6)体液を灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器用ユニットを2つ以上直列に連結したバイオ人工臓器であって、最上流側のユニットの第1室は体液入口を有し、最下流側のユニットの第1室は体液出口を有し、連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第2室下流側端と、下流側ユニットの第2室の上流側端とが連通していることを特徴とするバイオ人工臓器、
(7)連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第1室下流側側端と、下流側ユニットの第1室上流側側端との間に、さらに体液の流量を調節できる通路を有している上記(6)に記載のバイオ人工臓器、
(8)第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が中空糸膜である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(9)中空糸膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する上記(8)記載のバイオ人工臓器、
(10)第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が平膜である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(11)平膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する上記(10)記載のバイオ人工臓器、
(12)第2室に充填されている細胞が肝細胞を含む上記(1)〜(11)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(13)体液が血液から分離された血漿である上記(1)〜(12)のいずれかに記載のバイオ人工臓器、
(14)上記(13)に記載のバイオ人工臓器と、該バイオ人工臓器に連結されてなる患者全血から血漿を分離する血漿分離装置とを少なくとも含む体液浄化装置、
(15)上記(1)〜(13)のいずれかに記載のバイオ人工臓器を用いて体液を浄化する方法、
(16)流路の流量を調節することにより、バイオ人工臓器内の圧力差を調整する上記(15)に記載の体液浄化方法、及び
(17)上記(14)に記載の体液浄化装置を用いて体液を浄化する方法、
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
本発明における、バイオ人工臓器とは、ヒトなどの動物の生きた細胞をプラスチックや金属などの容器に封入し、体液をその細胞と接触させて物質交換させることによって、細胞の機能を利用するタイプの人工臓器のことである。
本発明のバイオ人工臓器は、バイオ人工肝臓、バイオ人工膵臓、バイオ人工腎臓などが考えられるが、特に、バイオ人工肝臓、バイオ人工膵臓が適しており、最も好ましくはバイオ人工肝臓である。
処理される体液は、血液、特に血漿が好ましいが、全血も可能である。全血の場合には、赤血球が第2室への酸素供給源となるので、酸素付加器が不要となる場合がある。
【0015】
本発明において、人工臓器の第1室とは、体液入口及び出口を有し、体液の通路となるものであって、体液が入口から入って出口に出て行く間に浄化される室である。
具体的には、細胞を中空糸内に詰めるタイプであれば、中空糸外が第1室であり、中空糸外に細胞を詰めるタイプであれば、中空糸内が第1室となる。また、第2室との隔壁が平膜タイプであるときには、細胞が充填された第2室と平膜で仕切られ、体液入口と出口とを有する空間が第1室となる。
入口及び出口は、体液を導入あるいは導出できる管路であればどのような手段でも良い。
【0016】
本発明において、第2室とは、人工臓器において、細胞が充填される室のことである。具体的には、人工臓器が中空糸タイプであれば、細胞を中空糸内に詰めるとき、中空糸内が第2室であり、中空糸外に細胞を詰めるとき、中空糸外が第2室となる。また、平膜タイプであれば、第1室と平膜タイプの隔壁で仕切られ、細胞が充填された室が第2室となる。
【0017】
第2室に充填される細胞は、人工肝臓である場合、ブタなどの異種動物の肝臓から単離した肝細胞、ヒト肝細胞株、ヒト手術摘出肝から単離した肝細胞、臍帯血や骨髄などから誘導した肝幹細胞あるいはそれを増殖したものなどである。なお、肝細胞には、肝実質細胞のほか、肝類洞細胞、肝小細胞なども含まれる。
人工膵臓である場合、第2室に充填される細胞は、ヒト、あるいはブタなどの異種由来の膵臓から単離したラ氏細胞、膵ベータ細胞などである。
【0018】
本発明における多孔質隔壁の構造は、多孔質状、スポンジ状、織布・不織布状のいずれであっても利用できるが、1μm以下の孔径の提供が容易なこと、より均一な孔径分布が得やすいことより、多孔質膜であることが望ましい。
多孔質膜は平膜、或いは中空糸のいずれであっても使用できる。平膜のときは、単純な平面の他に、屏風や扇子のように折りたたんで表面積を大きくしたものも使用できる。限られた容積でより大きな膜面積が得られること、隔壁を空間内でより均一に且つ緻密に配置できることより、中空糸であることがより望ましい。
【0019】
多孔質隔壁の材質は体液との接触において安定であり、滅菌可能で、且つ細胞や組織に対して特に毒性を示さなければ、無機、有機いずれの化合物も使用できるが、多孔質隔壁への加工性の点で有機高分子材料が望ましい。望ましい有機高分子材料を例示すると、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、酢酸セルロース、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレン、ポリエステルなどが例示できる。これら単独、或いはこれらを成分として他のポリマーとの混合物や共重合物であってもよく、他のポリマーでコーティングされていてもよい。
多孔質隔壁の表面は、親水性で血漿の濡れ性に優れていることが、使用時の取り扱い性に優れ、たんぱく質の付着が少なく使用に伴う細孔径の低下が少ないので望ましい。
【0020】
第1室と第2室との間の血漿成分の交換性が高いほど、バイオ人工臓器の機能がより高く発揮できる。そのためには隔壁の透水性は0.1L/hr・m2・mmHg以上であることが望ましい。透水性は高ければ高いほど血漿成分の交換性は高まるが、一方で透水性を高めるには空孔率を高める必要があり、空孔率を上げると膜の強度が低下する。そのため透水性の上限は膜の強度の点より100L/hr・m2・mmHg以下であることが望ましい。より望ましくは10L/hr・m2・mmHg以下である。
【0021】
隔壁表面の細孔は、排除限界分子量10,000ダルトン以上であれば使用可能であるが、解毒すべき血漿中のアルブミンが通過することがより望ましく、アルブミンの篩い係数が0.1以上であることがより望ましい。また上限は、第2室の細胞が漏れなければ使用可能であり、最大孔径は1μm以下であればよい。第2室に、灌流する体液とは異種の動物由来の細胞を利用する場合、体液中のイムノグロブリンGやイムノグロブリンM等の免疫性蛋白によって第2室の細胞が損傷を受けることがある。そのため隔壁表面の細孔は、より望ましくはイムノグロブリンGの篩い係数が0.5以下であることがより望ましい。
隔壁表面の細孔は膜厚方向に均一であってもグラジエント構造であってもよい。たとえば最大孔径が0.1μm程度以上の血漿分離膜では均一であるほうがよい。排除限界分子量が100万ダルトン程度以下の血漿分画膜では、血漿面に対して細胞側で細孔径がより大きなグラジエント構造のほうが高い透水性が得られるため望ましい。
【0022】
このようなバイオ人工臓器において、本発明は、第1室における体液の通路断面積を、少なくとも一部小さくすることによって、第1室の上流側と下流側に、圧力差を設け、第2室に十分体液を流入させることを特徴とする。
従来のバイオ人工臓器の一例を図2に示す。図2によると入口(7)から第1室に導入された体液は第2室に充填された細胞(6)との接触により、有害物質の除去やあるいは有用成分の補給が行われる。しかし、しばしば第2室への細胞の充填の不均一や内部濾過のための圧力差が十分得られないために、第2室の細胞との接触が十分に行われることなく体液が第1室に戻ってしまう、あるいは、第2室へ体液が十分に出て行かないという問題があった。
【0023】
本発明では、このような体液の流れを改善するために、第1室における体液の通路の少なくとも一部に隘路を設け、上流側と下流側とに圧力損失を作るものである。
図3には、本発明のバイオ人工臓器の一実施態様を示す。図3には、平膜型の例を示した。図3のバイオ人工臓器は、体液の入口(8)と出口(9)とを有する第1室(10)と、第1室(10)と平膜型多孔質隔壁(11)で区切られ、細胞(12)が充填された第2室(13)とからなる。第1室は、さらに体液入口側である上流側小室(10a)と体液出口側である下流側小室(10b)とに分割されており、上流側小室(10a)と下流側小室(10b)とは、体液の流量を調節できる通路(14)で連通している。
このバイオ人工臓器では、入口から第1室に導入された体液は、通路(14)で体液流量が絞られているので、細胞が充填されている第2室側を迂回せざるを得ず、よって、細胞との十分な接触が得られる。
【0024】
なお、図3のバイオ人工臓器においては、通路(14)を部分的に絞ることもできるし、また、通路(14)を全部絞り第1室の上流側小室と下流側小室とを互いに分離独立させることも可能である。
通路(14)の流量調節には、通路の断面積を変化し得る手段であればどのような手段でも使用でき、例えば、回転バルブ、スライド弁などを用いることができる。
【0025】
図4には、本発明のバイオ人工臓器の別の実施態様を模式的に示した。図4のバイオ人工臓器は、体液が灌流する第1室も細胞が充填されている第2室も、上流側と下流側とに分かれていてその結果、第1室と第2室とからなる人工臓器用ユニットが、複数連結された構造となっているものである。
図4を参照しながら、さらに詳細に説明する。図4のバイオ人工臓器は、中空糸型であって、体液を灌流する第1室(15)は中空糸内部に該当し、第1室(15)と多孔質隔壁、すなわち中空糸膜によって隔てられ細胞が充填された第2室(16)は、中空糸外部に該当する。第1室(15)と第2室(16)とからなる第1の人工臓器用ユニットAにおいて、第1室は体液入口(17)を有している。第1室(15)と第2室(16)とからなる第2の人工臓器用ユニットBにおいて、第1室は体液出口(18)を有している。そして、第1の人工臓器用ユニットAの第2室(16)は下流側側端(19)近くに出口(20)を有し、第2の人工臓器用ユニットBの第2室(16)はその上流側側端(21)近くに入口(22)を有しており、ユニットAの第2室出口(20)とユニットBの第2室(16)とが連通している。ユニットAの第2室出口(20)とユニットBの第2室入口(22)との間の通路(23)には、その流量を調節するための手段がさらに設けられていても良い。
【0026】
図4には、中空糸を一本だけ模式的に示したが、実際には、中空糸は数百から数万本の中空糸を束ねることができる。また、図4には、人工臓器用ユニットを2つ連結したものを示したが、3つ以上のユニットを連結することも可能である。3つ以上の場合、各ユニット間の体液の流通が遮断されるシステムにおいては、両端のユニット以外、つまり中間のユニットは細胞が充填された第2室のみで構成されていても良い。
【0027】
このバイオ人工臓器では、第1の人工臓器用ユニット(A)の第1室(15)の下流側側端(19)が閉塞しているため、入口(17)から第1室に導入された体液は、第1室(15)の下流側側端(19)から流出できず、第2室に充填された細胞と十分物質交換をして第2室(16)の出口(20)から流出し、第2の人工臓器用ユニット(B)の第2室(16)の入口(22)から導入されて、第2ユニットの第2室(16)において十分物質交換してから第1室(15)に戻ることになる。
【0028】
図5には、本発明のバイオ人工臓器のさらに別の実施態様を示す。図5において、図4と対応する部材には、同じ番号を付した。
図5のバイオ人工臓器においては、図4のバイオ人工臓器と同様に、第1のユニットAと、第2のユニット(B)とを有しているが、第1のユニットAの第1室(15)の下流側側端(19)と、第2のユニットBの上流側側端(21)とが通路(24)で連通している。通路(24)には、体液の流量を調節する機構が設けられている。
【0029】
通路(24)の流量調節には、通路の断面積を変化し得る手段であればどのような手段でも使用でき、例えば、回転バルブ、スライド弁などを用いることができる。
図4で示すバイオ人工臓器と同様に、入口(17)から第1ユニットの第1室に導入された体液は、十分物質交換してから第2ユニットの第1室の出口(18)から導出されることになる。
【0030】
本発明のバイオ人工臓器は、図1に示すようなシステムに人工臓器モジュールとして組み込んで体液浄化装置にすることができる。図1のシステムは、中空糸型モジュールを人工臓器モジュール(4)として用いる体液浄化装置であって、患者(25)から送血ポンプ(26)を用いて流出させた血液を血漿分離器(3)を通して返血させる生体側回路(1)と、血漿分離器によって分離された血漿を送液ポンプ(27)(28)によって、リザーバ−(29)、酸素付加器(30)、人工臓器モジュール(4)、血漿分離器(3)に循環させる人工臓器モジュール側回路(2)とからなっている。
本発明のバイオ人工臓器は、図1に示すようなシステムに限らず、従来公知のいずれのシステムにも応用できる。
【0031】
以下に、人工肝臓についての実施例を記載するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例】
(肝細胞の単離)
体重10kgの幼児ブタを麻酔し、肝門脈からエチレングリコール4酢酸を含む液を灌流した。ついで、37℃に加温したコラゲナーゼ溶液を灌流した後、肝臓を摘出した。摘出肝をステンレスボールに入れて、コラゲナーゼ液で洗浄後、クリーンベンチ内に搬入した。クリーンエアー下で、肝臓をマイルドに揉みほぐし、肝細胞をばらばらにしたのち、ガーゼで濾過して組織片を除去した。遠心管に移して、10%牛胎児血清入りのMEM培地で洗浄したのち、50×gで遠心し、上清を除去した。細胞を、無血清のMEM培地で2回洗浄したのち、セファデックスビーズ4gと混合し、37℃炭酸ガスインキュベーターで2時間培養した。この細胞/ビーズを生理食塩水で洗浄し、最終的に1×1010細胞を4Lの生理食塩水に懸濁した。
【0032】
(肝細胞の充填)
ポリエチレン製中空糸膜を収容した中空糸デバイス(旭メディカル社製 OP−08)を2つ準備し、それぞれの中空糸外空間に上記細胞をデバイス(OP−08)1本あたり5×109個となるよう充填した。なお、それぞれの中空糸デバイスは、中空糸の内径330μm、厚み50μm、平均孔径0.3μm、膜面積0.8m2、中空糸内部容積(中空糸部およびキャップ内)80ml、中空糸外空間(中空糸の外側とハウジングの間)の容積105mlであった。
【0033】
(血漿の循環)
循環装置(旭メディカル社製 プラソートEZ)およびバイオ人工肝内血漿循環ポンプ(MEDETECH社製 LF300)を用いて、図1に示すようなシステムにバイオ人工肝臓を組み込み、バイオ人工肝臓への血漿の循環を行った。バイオ人工肝臓は、上記方法で肝細胞を充填した中空糸デバイスをバイオ人工肝臓用ユニットとして用いて、図5のように、2つ直列につなぎ、2つのユニット間の中空糸内部通路(図5の24)を鉗子で全閉とし、中空糸外部の通路(図5の23)は全開とした。
バイオ人工肝臓系への血漿供給および抜き出し量(図1の生体側回路(1)に相当)を20ml/minとし、バイオ人工肝臓内の 血漿循環量(図1の人工肝臓モジュール側回路(2)に相当)を27ml/minとした。
【0034】
その結果、バイオ人工肝臓の入口圧は高くならずに6時間以上の循環が可能であった。すなわち、この系は多少の中空糸目詰まりがあっても圧上昇を来たさず、循環を長時間継続することが可能であった。また、循環前後の血漿中のアンモニア濃度を比較したところ、バイオ人工肝臓へ循環前の572μg/dLに対して、2時間循環後には81μg/dLと大幅に減少していた。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、細胞の利用効率が高いバイオ人工臓器を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】バイオ人工肝臓システムの概念図を示す。
【図2】従来のバイオ人工臓器の説明図を示す。
【図3】本発明のバイオ人工臓器の一実施態様を示す。
【図4】本発明のバイオ人工臓器の他の実施態様を示す。
【図5】本発明のバイオ人工臓器のさらに他の実施態様を示す。
【符号の説明】
1:生体側回路
2:人工臓器モジュール側回路
3:血漿分離器
4:バイオ人工肝臓モジュール
5:中空糸
6:細胞
7,8:体液入口
9:体液出口
10:第1室
10a:上流側小室
10b:下流側小室
11:平膜型多孔質隔壁
12:細胞
13:第2室
14:通路
15:第1室
16:第2室
17:体液入口
18:体液出口
19:下流側側端
20:第2室出口
21:上流側側端
22:第2室入口
23,24:通路
25:患者
26:送血ポンプ
27,28:送液ポンプ
29:リザーバ−
A:第1のバイオ人工臓器用ユニット
B:第2のバイオ人工臓器用ユニット
Claims (17)
- 体液の入口と出口とを有し体液が灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器において、第1室における入口から出口への体液の通路の断面積が、少なくとも部分的に、その前後の通路よりも小さくなっていることを特徴とするバイオ人工臓器。
- 第1室が、体液の上流側小室と体液の下流側小室とに分かれていて、上流側の小室内圧力が下流側の小室内圧力よりも高いことを特徴とする請求項1記載のバイオ人工臓器。
- 上流側小室と下流側小室とは、互いに独立していることを特徴とする請求項2に記載のバイオ人工臓器。
- 上流側の小室と下流側の小室とは、体液の流量を調節できる通路で連通していることを特徴とする請求項2に記載のバイオ人工臓器。
- 第2室が、体液の上流側小室と、体液の下流側小室とに分かれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバイオ人工臓器。
- 体液を灌流する第1室と、第1室と多孔質隔壁で区切られ細胞が充填されている第2室とを有するバイオ人工臓器用ユニットを2つ以上直列に連結したバイオ人工臓器であって、最上流側のユニットの第1室は体液入口を有し、最下流側のユニットの第1室は体液出口を有し、連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第2室下流側側端と、下流側ユニットの第2室の上流側側端とが連通していることを特徴とするバイオ人工臓器。
- 連続する2つのユニット間において、上流側ユニットの第1室下流側側端と、下流側ユニットの第1室上流側側端との間に、さらに体液の流量を調節できる通路を有している請求項6に記載のバイオ人工臓器。
- 第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が中空糸膜である請求項1〜7のいずれかに記載のバイオ人工臓器。
- 中空糸膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する請求項8記載のバイオ人工臓器。
- 第1室と第2室とを区切る多孔性隔壁が平膜である請求項1〜7のいずれかに記載のバイオ人工臓器。
- 平膜が0.1L/hr/m2/mmHg以上100L/hr/m2/mmHg以下の透水能力を有する請求項10記載のバイオ人工臓器。
- 第2室に充填されている細胞が肝細胞を含む請求項1〜11のいずれかに記載のバイオ人工臓器。
- 体液が血液から分離された血漿である請求項1〜12のいずれかに記載のバイオ人工臓器。
- 請求項13に記載のバイオ人工臓器と、該バイオ人工臓器に連結されてなる患者全血から血漿を分離する血漿分離装置とを少なくとも含む体液浄化装置。
- 請求項1〜13のいずれかに記載のバイオ人工臓器を用いて体液を浄化する方法。
- 流路の流量を調節することにより、バイオ人工臓器内の圧力差を調整する請求項15に記載の体液浄化方法。
- 請求項14に記載の体液浄化装置を用いて体液を浄化する方法。
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- 2002-07-15 JP JP2002204967A patent/JP2004041527A/ja active Pending
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