JP2004048047A - 3−5族化合物半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【構成】(1)発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有し、該バッファ層が、一般式Inu Gav Alw N(式中、0<u≦1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)で表され、少なくとも2つの組成の異なる層からなる積層構造を含み、かつ、サファイア基板上に形成されたGaN層上に、形成されていることを特徴とする3−5族化合物半導体発光素子。
(2)発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有し、バッファ層が、Inu Gav Alw N(式中、0≦u<1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)層とInu'Gav'Alw'N(式中、0≦u'<1、0<v'≦1、0≦w'<1、u'+v'+w'=1)層とが交互に少なくとも2回繰り返された積層構造を含み、かつ、サファイア基板上に形成されたGaN層上に、形成されていることを特徴とする3−5族化合物半導体発光素子。
【選択図】なし
Description
また、該3−5族化合物半導体は、組成により格子定数も制御することができる。つまり、同じ格子定数を持ちながら異なるバンドギャップを有する2種類以上の組成の半導体を作製できる。バンドギャップの異なる半導体の接合はいわゆるヘテロ接合と呼ばれるものであって、高輝度の半導体発光素子の実現に非常に有効と考えられる。
すなわち、本発明は、次に記す発明である。
〔1〕発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有し、発光層が一般式Inx Gay Alz N(式中、0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体であって、電荷注入層が一般式Inx'Gay'Alz'N(式中、0<x’≦1、0≦y’<1、0≦z’<1、x’+y’+z’=1)で表され、発光層よりも大きなバンドギャップを有する3−5族化合物半導体であって、バッファ層が、一般式Inu Gav Alw N(式中、0<u≦1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)で表され、少なくとも2つの組成の異なる層からなり、少なくとも1つの層においてw>0である積層構造を含むことを特徴とする3−5族化合物半導体発光素子。
〔3〕バッファ層が、Inu Gav Alw N(式中、0≦u<1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)層とInu'Gav'Alw'N(式中、0≦u’<1、0<v’≦1、0≦w’<1、u’+v’+w’=1)層とが交互に少なくとも2回繰り返された積層構造であることを特徴とする〔1〕記載の3−5族化合物半導体発光素子。
特に、本発明の発光素子は、3−5族化合物半導体におけるInの組成が10〜80モル%の場合には、発光波長を紫色及びそれより長波長の可視領域すなわち青色、緑色、黄色、橙色などにすることができる。特に、本発明の発光素子は、青色、緑色用として工業的に重要である。
本発明の3−5族化合物半導体は、発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有する。発光層は、一般式Inx Gay Alz N(式中、0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体である。電荷注入層は、一般式Inx'Gay'Alz'N(式中0<x’≦1、0≦y’<1、0≦z’<1、x’+y’+z’=1)で表され、発光層に接し発光層よりも大きなバンドギャップを有する3−5族化合物半導体である。電荷注入層は発光層より大きなバンドギャップを持つため、光の照射により本発明の半導体内に発生した電荷または外部電源により供給された電荷を効率よく発光層に注入し閉じこめる働きがある。バッファ層は、一般式Inu Gav Alw N(式中、0<u≦1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)で表され、少なくとも2つの、組成の異なる層からなる積層構造を含むものである。
本発明におけるバッファ層は、少なくとも2つの、組成の異なる層からなる積層構造を含み、該積層については、好ましくは4層以上積層すること、さらに好ましくは10層以上積層することがよい。また、積層の数があまりに多すぎても、原料の切り替えに要する合計の時間が長くなり、生産性が悪くなるので、該積層構造に含まれる層の数は1000以下が好ましい。
また、該積層の合計の厚みは、100Å〜5μmの範囲が好ましい。100Å未満では積層した効果が十分ではなく、5μmを超えると成長に要する時間が長くなり生産性が悪くなるので好ましくない。
Gaを含む3−5族化合物半導体では、GaをAlで置き換えてもあまり大きな格子定数の変化はないのに対して、Ga又はAlをInで置き換えた場合、大きな格子定数の差が生じる。したがって、積層構造に用いる組成はInの割合についてはあまり変化させず、GaとAlの組成を変化させることが好ましい。
具体的には、バッファ層が、Inu Gav N層とInu Alv N層(式中、u+v=1、0<u<1、0<v<1)とが交互に少なくとも2回繰り返された積層構造である3−5族化合物半導体が好ましい。
また、発光層の一方の面だけでなく、両方の面を電荷注入層で接合させる、いわゆるダブルヘテロ接合構造とすることで、さらに電荷の閉じ込めを効率的に行なうことができ、電荷の再結合効率を高めることができる。この場合も、発光層に対する電荷注入層の禁制帯の幅の差は0.1eV以上、さらに好ましくは0.3eV以上あることが好ましい。
特に、サファイア上に成長させたGaN層の上に該3−5族化合物半導体を成長させた3−5族化合物半導体が好ましく、サファイア上にAlN等の薄膜をバッファ層として成長させたGaN層の上に該3−5族化合物半導体を成長させた3−5族化合物半導体がさらに好ましい。
本発明の3−5族化合物半導体を用いた発光素子は、高密度に電子と正孔を閉じ込めることができる3−5族化合物半導体を用いるので発光効率が向上する。
MBE法を用いる場合、窒素原料としては、窒素、アンモニア、およびその他の窒素化合物を気体状態で供給する方法である気体ソース分子線エピタキシー(以下、「GSMBE」と記す。)法が一般的に用いられている。この場合、窒素原料が化学的に不活性で、窒素原子が結晶中に取り込まれにくいことがある。その場合には、マイクロ波などにより窒素原料を励起して、活性状態にして供給することで、窒素の取り込み効率を挙げることができる。
n型ドーパントとしては、Si、Ge等の4族元素、S、Se等の6族元素を用いることができる。p−型ドーパントとしては、Be、Mg、Zn、Cd、Hgなどを用いることができる。
ドープされた該化合物半導体は、必要に応じて電子線照射や熱アニール処理などを施して、より低抵抗にすることができる。
本発明の発光素子は、前記の本発明の3−5族化合物半導体を用いたものであり、公知の方法で作製することができる。具体的な例を図2に示す。ここでは、サファイア基板22の上に、順にAlNバッファ層24、GaN層25、In0.1 Ga0.9 NとIn0.1 Ga0.8 Al0.1 Nの積層構造からなるバッファ層26、InGaAlN電荷注入層27、InGaN発光層28、InGaAlN電荷注入層29を成長させる。ここで、GaN層25から電荷注入層27まではn型の、電荷注入層29はp型の不純物をドープする。
次に、こうして作製した該化合物半導体を常法にしたがい部分的にエッチングし、さらにInGaAlN電荷注入層27の上にn電極30を形成し、InGaAlN電荷注入層29の上にp電極31を形成する。
図2では電極30は電荷注入層27の上に設けているが、電極30を設ける層はAlN層24を除く発光層28よりサファイア基板22の側の層であればどの層でもよい。
実施例1
ここで用いたMOVPE装置の概略を図1に示す。用いた原料はアンモニア、TMG、TMA、TMIであり、またSiドープのために水素で1ppmに希釈したシランガスを、MgドープのためにMCp2Mgを用いた。
まず、有機洗浄により洗浄したC面を主面とする単結晶のサファイア基板22をMOVPE装置の反応室19に載置されたサセプタ21に装着した。
次に、常圧で水素を反応室に流しながら高周波加熱によりサセプタを1100℃に加熱し、この状態でサファイア基板を10分間保持してサファイア基板を気相クリーニングした。
次に、温度を600℃まで低下させて、アンモニアとTMGを供給して約500Åの厚さの窒化ガリウムのバッファ層を形成した。
次に、TMGの供給のみを停止して、サファイア基板の温度を1100℃まで昇温し、温度が安定したのち、TMGの供給を開始し、3μmの膜厚のGaN膜を成長した。
こうして得られたサファイア基板とGaNとをあわせて本発明における基板とする。
次に、TMG、TMA、TMI、シランガス、MCp2Mgを用いてSi濃度が1×1019/cm3 のIn0.1 Ga0.8 Al0.1 Nの電荷注入層を1800Å、Si濃度が1×1019/cm3 のIn0.1 Ga0.9 Nの発光層を500Å、Mg濃度が1×1020/cm3 のGaNの層を1800Å、成長させた。成長終了後、窒素中800℃でアニール処理を行ない、MgをドープしたGaN層を低抵抗化した。こうして得られた3−5族化合物半導体基板を用いて、通常の半導体プロセスにより図2に示す構造の発光素子を作製した。
この素子について、p−電極を電源の+側、n−電極を−側に接続し5Vを引加したところ10mAの電流が流れた。このとき青紫色の発光が認められ、この状態で発光部の輝度を輝度計により測定した結果、17mcdであった。
GaN層成長後にIn0.1 Ga0.9 NとIn0.1 Ga0.8 Al0.1 Nからなる積層構造を成長しないことを除いては実施例1と同様にして発光素子を作製した。実施例1と同様にして10mAの電流を流し、基板側から素子の状態を観察したところ、やはりp−電極付近から青紫色の発光が見られたが、実施例1と同様にして発光部の輝度を輝度計により測定した結果、6mcdであった。
実施例1と同様にして、本発明のバッファ層としてIn0.17Ga0.83Nを30ÅとIn0.17Ga0.75Al0.08Nを30Åとを交互に20回、合計40層成長し、さらに第1の電荷注入層In0.17Ga0.83Nを30Å、発光層としてIn0.25Ga0.75Nを50Å、第2の電荷注入層としてGaNを200Å成長した。第1の電荷注入層と発光層とのバンドギャップの差は約0.16eV、第2の電荷注入層と発光層のバンドギャップの差は約0.5eVである。
GaN上に直接、発光層としてIn0.25Ga0.75Nを50Å成長したことを除いては実施例2と同様にして成長を行った。本実施例の場合、第1の電荷注入層はGaNである。実施例1と同様にPLによる評価を行なったところ、やはり明瞭な青色発光を示したが、ピーク強度は1.6mVしかなかった。この結果を実施例2と比較することで、本発明の3−5族化合物半導体における発光層の結晶性が比較例2に比べて大きく改善されていることがわかる。
本発明のバッファ層の上に直接発光層を成長したことを除いては実施例2と同様にして、本発明の半導体を作製した。また、バッファ層を10回(合計20層)及び40回(合計80層)繰り返した同様の試料を作製した。本実施例の場合、バッファ層の最後の層が第1の電荷注入層としての作用を持つ。第1の電荷注入層と発光層のバンドギャップの差は約0.3eVである。
これらの試料および比較例2の試料を実施例2と同様にして室温でのPLによる評価を行なった。図3にバッファ層の層数とピーク強度の関係を示す。比較例のピーク強度もこの図の層数0の位置に示してある。この図から本発明による半導体の結晶性が比較例2に比べて向上していることがわかる。
2・・・恒温層
3・・・TMGバブラー
4・・・マスフローコントローラー
5・・・恒温層
6・・・TMAバブラー
7・・・マスフローコントローラー
8・・・恒温層
9・・・TMIバブラー
10・・・マスフローコントローラー
11・・・恒温層
12・・・MCp2Mgバブラー
13・・・シランボンベ
14・・・調圧弁
15・・・マスフローコントローラー
16・・・アンモニアボンベ
17・・・調圧弁
18・・・マスフローコントローラー
19・・・反応炉
20・・・高周波コイル
21・・・サセプター
22・・・サファイア基板
23・・・排気孔
24・・・AlNバッファ層
25・・・GaN層
26・・・In0.1 Ga0.9 NとIn0.1 Ga0.8 Al0.1 Nの積層構造からなるバッファ層
27・・・InGaAlN電荷注入層
28・・・InGaN発光層
29・・・InGaAlN電荷注入層
30・・・n電極
31・・・p電極
Claims (7)
- 発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有し、該バッファ層が、一般式Inu Gav Alw N(式中、0<u≦1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)で表され、少なくとも2つの組成の異なる層からなる積層構造を含み、かつ、サファイア基板上に形成されたGaN層上に、形成されていることを特徴とする3−5族化合物半導体発光素子。
- 発光層と電荷注入層とを有する層と、基板との間に、バッファ層を有し、バッファ層が、Inu Gav Alw N(式中、0≦u<1、0≦v<1、0≦w<1、u+v+w=1)層とInu'Gav'Alw'N(式中、0≦u'<1、0<v'≦1、0≦w'<1、u'+v'+w'=1)層とが交互に少なくとも2回繰り返された積層構造を含み、かつ、サファイア基板上に形成されたGaN層上に、形成されていることを特徴とする3−5族化合物半導体発光素子。
- GaN層が、サファイア基板上に低温バッファ層を介して形成されていることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の3−5族化合物半導体発光素子。
- 発光層が一般式Inx Gay Alz N(式中、0<x≦1、0≦y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の3−5族化合物半導体発光素子。
- 電荷注入層が一般式Inx'Gay'Alz'N(式中、0<x'≦1、0≦y'<1、0≦z'<1、x'+y'+z'=1)で表され、発光層よりも大きなバンドギャップを有する3−5族化合物半導体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の3−5族化合物半導体発光素子。
- バッファ層の少なくとも1つの層においてw>0である積層構造を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の3−5族化合物半導体発光素子。
- バッファ層が、少なくとも4つの層からなることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の3−5族化合物半導体発光素子。
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