JP2004047317A - 有機電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極活物質にマンガン酸リチウムを使用した有機電解質電池においては、高温になると正極活物質中のマンガンが有機電解液中に溶解し、負極活物質の表面に析出し、電池の寿命特性を低下させる。
【解決手段】マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池において、前記有機電解液中に有機過酸化物を添加する。
【選択図】図1
【解決手段】マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池において、前記有機電解液中に有機過酸化物を添加する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポータブル機器用電源や電気自動車用動力の駆動用電源としての有機電解質二次電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラップトップコンピューター、ワープロ等の携帯情報機器、カメラ一体型VTR、液晶テレビ等のAV機器や携帯電話等の移動通信機器さらには電気自動車用動力電源としての電池に対し大電流、大出力を要求する機器が多種多様に発達し、より高エネルギー密度の電池が要望されており、その要望に応えるべく、有機電解質二次電池が提案され、実用化に至っている。しかしながらこれらの電池はまだ満足するには至っておらず、さらなる長寿命が要求されている。
【0003】
一般に有機電解質二次電池としての正極活物質としては、資源、コストの観点から、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物が有望視されており、また、負極活物質にはリチウムまたはリチウムイオンのうち少なくとも一つを吸蔵放出可能な炭素質材料、リチウムと合金を形成する金属材料、または金属酸化物などが、電解質には有機電解液が使用されている。有機電解液に使用するリチウム塩としては、高電導率、安全性の観点から、六フッ化燐酸リチウム(化学式LiPF6)が一般に用いられている。
【0004】
しかし、正極活物質にマンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物を使用した場合、約55℃以上の高温になると、正極活物質中のマンガンが有機電解液中に溶解し、有機電解液中を移動して負極活物質の表面に析出し、結果的には、電池の寿命特性が低下することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、正極活物質にマンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物を使用した場合、負極活物質の表面へのマンガンの析出を抑制することにより、前記問題を解決し、サイクル寿命特性に優れた電池を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池であって、前記有機電解液中に有機過酸化物を添加したことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、サイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0008】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記有機過酸化物の半減期が10時間となる温度が60℃以下であることを特徴とする。
【0009】
本明細書における半減期とは、該当する分子の濃度が半分に減少するまでの時間を意味する。
【0010】
この発明によれば、効率的に有機電解質二次電池を量産することができる。
【0011】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記有機過酸化物がパーカーボネートであることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0013】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記パーカーボネートが、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートであることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0015】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、電解液に対する有機過酸化物の添加量を、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性に優れたことに加えて、電池の初期容量の減少が小さい有機電解質二次電池が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機電解質二次電池において、有機過酸化物を電解液中に添加することにより、負極活物質上に良好な被膜を形成し、高温状態でマンガン酸リチウムから有機電解液中に溶解したマンガンの負極活物質表面への析出を抑制するものである。その結果、サイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られるものである。
【0018】
さらに、本発明の一つは、前記有機過酸化物として、半減期が10時間となる温度が60℃以下であるものをもちいることにより、短時間で負極活物質上に良好な被膜を十分に形成することができる。その結果、効率的に電池を量産することができる。
【0019】
本発明にもちいる有機過酸化物としては、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1.6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)などのパーカーボネート、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド、1.1.3.3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ビス−3.5.5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2.5.ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1.3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどのジアルキルパーオキサイド、1.1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、1.1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2.2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2.2−ビス(4.4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール、t−ヘキシルパーオキシピバル酸、t−ブチルパーオキシピバル酸、1.1.3.3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシイソブチル酸、t−アミルパーオキシ3.5.5−トリメチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシ3.5.5−トリメチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ安息香酸、ジ−ブチルパーオキシトリメチルアジピン酸などのアルキルパーエステルなどが挙げられる。
【0020】
これらのなかでも、電池のサイクル寿命特性がとくに向上することから、パーカーボネートがとくに好ましい。さらに、パーカーボネートのなかでも、電池のサイクル寿命特性がとくに向上することから、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好ましい。
【0021】
なお、本明細書に記載のパーカーボネートとは、下記一般式(1)で示される基を有する有機過酸化物を意味する。
【0022】
【化1】
【0023】
なお、有機電解液中への有機過酸化物の添加量は、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。有機過酸化物の添加量が電解液質量に対し0.5質量%未満の場合には、電池のサイクル寿命特性改善の効果が少なく、また、5質量%を超えると、初期容量が減少してしまう。
【0024】
また、有機電解液中への有機過酸化物の添加量は、さらに好ましくは電解液質量に対し1質量%以上5質量%以下である。この場合には、有機電解質二次電池のサイクル寿命特性がさらに向上する。
【0025】
なお、本発明において電解液に添加される有機過酸化物は、時間の経過とともに酸素と酸素との間の結合が開裂して、その濃度が減少する。
【0026】
本明細書に記載の有機電解液中に有機過酸化物を添加したとは、電池の製造開始から、電池使用が終了するまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることを意味する。
【0027】
ただし、本発明においては、負極に最初に電解液を接触させてから、当該電池が完成してその電池の使用者(電池が電気機器に組み込まれて販売される場合には、その電気機器の使用者)に渡されるまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることが、本発明の効果と、工業的な利便性の観点とから好ましい。
【0028】
さらに、本発明の効果をいっそう顕著なものとするためには、負極に最初に電解液を接触させてから、電池ケース内でのその負極の最初の充電が終了するまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることが好ましい。
【0029】
さらに、本明細書における、電解液に対する有機過酸化物の添加量についての記述は、負極に最初に電解液を接触させてから、当該電池が完成してその電池の使用者(電池が電気機器に組み込まれて販売される場合には、その電気機器の使用者)に渡されるまでの間の少なくとも一時において、当該有機過酸化物が指定されている濃度範囲にあることを意味する。
【0030】
さらに、本発明の効果をいっそう顕著なものとするためには、負極に最初に電解液を接触させてから、電池ケース内でのその負極の最初の充電が終了するまでの間の少なくとも一時において、当該有機過酸化物が指定されている濃度範囲にあることが好ましい。
【0031】
本発明の有機電解質二次電池の正極活物質としては、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)が好ましいが、マンガン酸リチウムのマンガンの一部を鉄、マグネシウム、クロム、アルミ等の他の元素で置換した、LiMn1.9Fe0.1O4、LiMn1.9Mg0.1O4、LiMn1.9Cr0.1O4等の複合酸化物を使用することもできる。
【0032】
また、本発明の有機電解質二次電池の負極活物質としては、リチウムまたはリチウムイオンのうち少なくとも一つを吸蔵放出可能な、ソフトカーボン、グラファイトやカーボンなどのあらゆる炭素質材料を使用することができる。
【0033】
さらに、本発明における有機電解質二次電池の負極活物質は、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd、Ge等とリチウムとの合金、SnとCoとLiとの合金、LiFe2O3等の遷移金属複合酸化物、MoO2、スズ酸化物等の遷移金属酸化物、SiO、SiO2などの珪素酸化物、Li5(Li3N)等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム箔、又はこれらの混合物であってもよい。
【0034】
ただし、負極活物質として炭素質材料をもちいることが最も好ましく、その場合に、本発明による、電池のサイクル寿命特性の改善の効果が最も著しい。
【0035】
なお、有機電解液の溶媒としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートやメチルエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、もしくはこれらの混合物を使用することができる。
【0036】
また、有機溶媒に溶解するリチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2およびLiN(COCF2CF3)2などの塩もしくはこれらの混合物でもよい。
【0037】
また、隔離体としては、ポリエチレンやポリプロピレン等の絶縁性のポリオレフィン微多孔膜や、高分子固体電解質、高分子固体電解質に電解液を含有させたゲル状電解質等も使用できる。また、絶縁性の微多孔膜と高分子固体電解質等を組み合わせて使用してもよい。さらに、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を使用する場合、高分子中に含有させる電解液と、細孔中に含有させる電解液とが異なっていてもよい。
【0038】
しかしながら、本発明における有機電解質二次電池にもちいる有機電解質としては、高分子固体電解質やゲル状電解質よりも、高分子に補足されていない遊離の電解液をもちいることが好ましい。その理由は,有機過酸化物が電解液中を速やかに拡散することができるために、短時間で負極活物質上に良好な被膜を十分に形成することができるからである。その結果、効率的に電池を量産することができる。
【0039】
また、電解液中に溶解したモノマーを電池中で重合したり、電解液中に溶解した高分子を電池中で架橋したりすることによって電解質を高分子固体電解質やゲル状電解質とすることがおこなわれているが、この場合に本発明を適用すると、開裂した有機過酸化物がモノマーや架橋前の高分子によって補足されるために、負極活物質上への良好な被膜の形成が阻害され、本発明の効果が低下する。したがって、本発明においては、初充電をおこなって良好な皮膜を形成した後に電池内で重合や架橋をおこなう方が好ましい。
【0040】
さらに、本発明に使用する発電要素の形状としては、断面が長円形巻回型や、断面が円形巻回型や非円形巻回型、あるいは平板型極板をセパレータを介して積層するスタック型や、シート状極板を折りたたんでセパレータを介して積層する型など、あらゆる形状の発電要素を使用することができる。
【0041】
また本発明においては、電池ケースとしては、円筒型・長円筒型・角型などの各種金属ケースや、金属ラミネート樹脂フィルムケースを使用した気密構造を有する袋状単電池ケースを使用することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0043】
本実施例は、正極活物質にマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、負極にソフトカーボン、正極および負極のバインダーとしてポリフッ化ビニリデン樹脂、電解液への添加剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを円筒型有機電解質二次電池に適用したものである。
【0044】
図1は実施例1の電池の構造図である。図1において、1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は電池ケース、5はセンターピン、6は蓋体、7はガスケット、8は正極リード、9は負極リード、10はPTC素子、11は安全弁、12はインシュレータ1、13はインシュレータ2である。
【0045】
図1において、正極(1)と負極(2)とをセパレータ(3)を介して渦巻状に巻いてなる電極群を、内径15.3mmのニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池ケース(4)に挿入している。ここで、電池ケースに鉄製を用いるため、この電池ケースが負極側に相当することになる。
【0046】
(5)は正極(1)と負極(2)とをセパレータ(3)を介して巻き取る際のセンターピンで外径3mm、長さ26mmのアルミニウムよりなる。セパレータ(3)は、厚さ25μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。
【0047】
正極(1)には厚み20μmのアルミニウム箔の両面に、LiMn2O4に結着剤であるポリフッ化ビニリデン樹脂と導電剤であるアセチレンブラックを88質量%:8質量%:4質量%(固形分比)の割合で加え、ペースト状に混合し、塗布、乾燥、圧延後、長さ470mm、幅24mmに切断したものを用いた。
【0048】
負極(2)には厚み14μmの銅箔の両面に、ソフトカーボンと結着剤であるポリフッ化ビニリデンを92質量%:8質量%(固形分比)の割合でペースト状に混合し、塗布、乾燥、圧延後、長さ490mm、幅26mmに切断したものを用いた。
【0049】
(6)は蓋体で、ガスケット(7)を介して電池ケース(4)にかしめ封口されている。なお、この蓋体(6)の内面には正極(1)と接続されている正極リード(8)が溶接されている。
【0050】
電解液にはLiPF6を1mol/l含むエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):ジエチルカーボネート(DEC)=2:2:1(体積比)の混合液に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを表1の割合で添加したものを用いた。
【0051】
以上により、本発明の実施例として、外径15.9mm、高さ33mmの円筒型電池A〜Eを組み立てた。また、比較例として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを添加しないことを除き、全て実施例と同じ条件の円筒型有機電解質二次電池を組み立てた。この電池を電池Zとする。
【0052】
これらの電池A〜E、電池Zについて寿命試験を行った。試験方法として、温度60℃、充電電流200mA,充電上限電圧4.1Vの定電流・定電圧で4時間充電を行い、400mAの電流で2.75Vまで放電し、放電容量の推移を調べた。試験数量はそれぞれ3個である。
【0053】
【表1】
【0054】
表2に初期放電容量と60℃にて100サイクル経過時の放電容量およびその容量保持率を示し、図2に充放電サイクル時のサイクル数と容量保持率の関係を示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2および図2に示した試験結果より、本発明の電池B、C、Dでは初期放電容量が大きく、100サイクル後の容量保持率は約90%となった。いっぽう、電池Aでは、初期放電容量が大きかったが、100サイクル後の容量保持率は約84%であった。さらに、電池Eでは、100サイクル後の容量保持率は約90%であったが、放電容量は初期から少なかった。電解液中にビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを含まない電池Zは、電池A〜Eよりもサイクル後の容量維持率が劣る結果となった。
【0057】
以上のように、本発明の添加剤を用いた電池は、サイクル寿命特性が優れていることがわかった。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池において、有機電解液中に有機過酸化物を添加することによって、サイクル寿命特性を向上させることができる。
【0059】
さらに、有機過酸化物として、半減期が10時間となる温度が60℃以下のものをもちいることによって、効率的に有機電解質二次電池を量産することができる。
【0060】
さらに、有機過酸化物としてパーカーボネートをもちいることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0061】
さらに、有機過酸化物としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートをもちいることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0062】
さらに、電解液に対する有機過酸化物の添加量を、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることに加えて、電池の初期容量の減少を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における円筒型有機電解質二次電池の構造図。
【図2】本発明の実施例1における電池A〜E及び電池Zの充放電サイクル時のサイクル数と放電容量保持率との関係図。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池ケース
5 センターピン
6 蓋体
7 ガスケット
8 正極リード
9 負極リード
10 PTC素子
11 安全弁
12 インシュレータ1
13 インシュレータ2
【発明の属する技術分野】
本発明はポータブル機器用電源や電気自動車用動力の駆動用電源としての有機電解質二次電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラップトップコンピューター、ワープロ等の携帯情報機器、カメラ一体型VTR、液晶テレビ等のAV機器や携帯電話等の移動通信機器さらには電気自動車用動力電源としての電池に対し大電流、大出力を要求する機器が多種多様に発達し、より高エネルギー密度の電池が要望されており、その要望に応えるべく、有機電解質二次電池が提案され、実用化に至っている。しかしながらこれらの電池はまだ満足するには至っておらず、さらなる長寿命が要求されている。
【0003】
一般に有機電解質二次電池としての正極活物質としては、資源、コストの観点から、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物が有望視されており、また、負極活物質にはリチウムまたはリチウムイオンのうち少なくとも一つを吸蔵放出可能な炭素質材料、リチウムと合金を形成する金属材料、または金属酸化物などが、電解質には有機電解液が使用されている。有機電解液に使用するリチウム塩としては、高電導率、安全性の観点から、六フッ化燐酸リチウム(化学式LiPF6)が一般に用いられている。
【0004】
しかし、正極活物質にマンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物を使用した場合、約55℃以上の高温になると、正極活物質中のマンガンが有機電解液中に溶解し、有機電解液中を移動して負極活物質の表面に析出し、結果的には、電池の寿命特性が低下することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、正極活物質にマンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物を使用した場合、負極活物質の表面へのマンガンの析出を抑制することにより、前記問題を解決し、サイクル寿命特性に優れた電池を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池であって、前記有機電解液中に有機過酸化物を添加したことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、サイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0008】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記有機過酸化物の半減期が10時間となる温度が60℃以下であることを特徴とする。
【0009】
本明細書における半減期とは、該当する分子の濃度が半分に減少するまでの時間を意味する。
【0010】
この発明によれば、効率的に有機電解質二次電池を量産することができる。
【0011】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記有機過酸化物がパーカーボネートであることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0013】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、前記パーカーボネートが、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートであることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られる。
【0015】
さらに本発明は、前記有機電解質二次電池において、電解液に対する有機過酸化物の添加量を、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、さらにサイクル寿命特性に優れたことに加えて、電池の初期容量の減少が小さい有機電解質二次電池が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機電解質二次電池において、有機過酸化物を電解液中に添加することにより、負極活物質上に良好な被膜を形成し、高温状態でマンガン酸リチウムから有機電解液中に溶解したマンガンの負極活物質表面への析出を抑制するものである。その結果、サイクル寿命特性の優れた有機電解質二次電池が得られるものである。
【0018】
さらに、本発明の一つは、前記有機過酸化物として、半減期が10時間となる温度が60℃以下であるものをもちいることにより、短時間で負極活物質上に良好な被膜を十分に形成することができる。その結果、効率的に電池を量産することができる。
【0019】
本発明にもちいる有機過酸化物としては、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1.6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)などのパーカーボネート、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド、1.1.3.3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ビス−3.5.5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、2.5−ジメチル−2.5.ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1.3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどのジアルキルパーオキサイド、1.1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、1.1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2.2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2.2−ビス(4.4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール、t−ヘキシルパーオキシピバル酸、t−ブチルパーオキシピバル酸、1.1.3.3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシイソブチル酸、t−アミルパーオキシ3.5.5−トリメチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシ3.5.5−トリメチルヘキサン酸、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ安息香酸、ジ−ブチルパーオキシトリメチルアジピン酸などのアルキルパーエステルなどが挙げられる。
【0020】
これらのなかでも、電池のサイクル寿命特性がとくに向上することから、パーカーボネートがとくに好ましい。さらに、パーカーボネートのなかでも、電池のサイクル寿命特性がとくに向上することから、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好ましい。
【0021】
なお、本明細書に記載のパーカーボネートとは、下記一般式(1)で示される基を有する有機過酸化物を意味する。
【0022】
【化1】
【0023】
なお、有機電解液中への有機過酸化物の添加量は、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。有機過酸化物の添加量が電解液質量に対し0.5質量%未満の場合には、電池のサイクル寿命特性改善の効果が少なく、また、5質量%を超えると、初期容量が減少してしまう。
【0024】
また、有機電解液中への有機過酸化物の添加量は、さらに好ましくは電解液質量に対し1質量%以上5質量%以下である。この場合には、有機電解質二次電池のサイクル寿命特性がさらに向上する。
【0025】
なお、本発明において電解液に添加される有機過酸化物は、時間の経過とともに酸素と酸素との間の結合が開裂して、その濃度が減少する。
【0026】
本明細書に記載の有機電解液中に有機過酸化物を添加したとは、電池の製造開始から、電池使用が終了するまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることを意味する。
【0027】
ただし、本発明においては、負極に最初に電解液を接触させてから、当該電池が完成してその電池の使用者(電池が電気機器に組み込まれて販売される場合には、その電気機器の使用者)に渡されるまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることが、本発明の効果と、工業的な利便性の観点とから好ましい。
【0028】
さらに、本発明の効果をいっそう顕著なものとするためには、負極に最初に電解液を接触させてから、電池ケース内でのその負極の最初の充電が終了するまでの間の少なくとも一時において、負極が接する有機電解液中に有機過酸化物が添加されていることが好ましい。
【0029】
さらに、本明細書における、電解液に対する有機過酸化物の添加量についての記述は、負極に最初に電解液を接触させてから、当該電池が完成してその電池の使用者(電池が電気機器に組み込まれて販売される場合には、その電気機器の使用者)に渡されるまでの間の少なくとも一時において、当該有機過酸化物が指定されている濃度範囲にあることを意味する。
【0030】
さらに、本発明の効果をいっそう顕著なものとするためには、負極に最初に電解液を接触させてから、電池ケース内でのその負極の最初の充電が終了するまでの間の少なくとも一時において、当該有機過酸化物が指定されている濃度範囲にあることが好ましい。
【0031】
本発明の有機電解質二次電池の正極活物質としては、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)が好ましいが、マンガン酸リチウムのマンガンの一部を鉄、マグネシウム、クロム、アルミ等の他の元素で置換した、LiMn1.9Fe0.1O4、LiMn1.9Mg0.1O4、LiMn1.9Cr0.1O4等の複合酸化物を使用することもできる。
【0032】
また、本発明の有機電解質二次電池の負極活物質としては、リチウムまたはリチウムイオンのうち少なくとも一つを吸蔵放出可能な、ソフトカーボン、グラファイトやカーボンなどのあらゆる炭素質材料を使用することができる。
【0033】
さらに、本発明における有機電解質二次電池の負極活物質は、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd、Ge等とリチウムとの合金、SnとCoとLiとの合金、LiFe2O3等の遷移金属複合酸化物、MoO2、スズ酸化物等の遷移金属酸化物、SiO、SiO2などの珪素酸化物、Li5(Li3N)等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム箔、又はこれらの混合物であってもよい。
【0034】
ただし、負極活物質として炭素質材料をもちいることが最も好ましく、その場合に、本発明による、電池のサイクル寿命特性の改善の効果が最も著しい。
【0035】
なお、有機電解液の溶媒としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートやメチルエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、もしくはこれらの混合物を使用することができる。
【0036】
また、有機溶媒に溶解するリチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2およびLiN(COCF2CF3)2などの塩もしくはこれらの混合物でもよい。
【0037】
また、隔離体としては、ポリエチレンやポリプロピレン等の絶縁性のポリオレフィン微多孔膜や、高分子固体電解質、高分子固体電解質に電解液を含有させたゲル状電解質等も使用できる。また、絶縁性の微多孔膜と高分子固体電解質等を組み合わせて使用してもよい。さらに、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を使用する場合、高分子中に含有させる電解液と、細孔中に含有させる電解液とが異なっていてもよい。
【0038】
しかしながら、本発明における有機電解質二次電池にもちいる有機電解質としては、高分子固体電解質やゲル状電解質よりも、高分子に補足されていない遊離の電解液をもちいることが好ましい。その理由は,有機過酸化物が電解液中を速やかに拡散することができるために、短時間で負極活物質上に良好な被膜を十分に形成することができるからである。その結果、効率的に電池を量産することができる。
【0039】
また、電解液中に溶解したモノマーを電池中で重合したり、電解液中に溶解した高分子を電池中で架橋したりすることによって電解質を高分子固体電解質やゲル状電解質とすることがおこなわれているが、この場合に本発明を適用すると、開裂した有機過酸化物がモノマーや架橋前の高分子によって補足されるために、負極活物質上への良好な被膜の形成が阻害され、本発明の効果が低下する。したがって、本発明においては、初充電をおこなって良好な皮膜を形成した後に電池内で重合や架橋をおこなう方が好ましい。
【0040】
さらに、本発明に使用する発電要素の形状としては、断面が長円形巻回型や、断面が円形巻回型や非円形巻回型、あるいは平板型極板をセパレータを介して積層するスタック型や、シート状極板を折りたたんでセパレータを介して積層する型など、あらゆる形状の発電要素を使用することができる。
【0041】
また本発明においては、電池ケースとしては、円筒型・長円筒型・角型などの各種金属ケースや、金属ラミネート樹脂フィルムケースを使用した気密構造を有する袋状単電池ケースを使用することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0043】
本実施例は、正極活物質にマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、負極にソフトカーボン、正極および負極のバインダーとしてポリフッ化ビニリデン樹脂、電解液への添加剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを円筒型有機電解質二次電池に適用したものである。
【0044】
図1は実施例1の電池の構造図である。図1において、1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は電池ケース、5はセンターピン、6は蓋体、7はガスケット、8は正極リード、9は負極リード、10はPTC素子、11は安全弁、12はインシュレータ1、13はインシュレータ2である。
【0045】
図1において、正極(1)と負極(2)とをセパレータ(3)を介して渦巻状に巻いてなる電極群を、内径15.3mmのニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池ケース(4)に挿入している。ここで、電池ケースに鉄製を用いるため、この電池ケースが負極側に相当することになる。
【0046】
(5)は正極(1)と負極(2)とをセパレータ(3)を介して巻き取る際のセンターピンで外径3mm、長さ26mmのアルミニウムよりなる。セパレータ(3)は、厚さ25μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。
【0047】
正極(1)には厚み20μmのアルミニウム箔の両面に、LiMn2O4に結着剤であるポリフッ化ビニリデン樹脂と導電剤であるアセチレンブラックを88質量%:8質量%:4質量%(固形分比)の割合で加え、ペースト状に混合し、塗布、乾燥、圧延後、長さ470mm、幅24mmに切断したものを用いた。
【0048】
負極(2)には厚み14μmの銅箔の両面に、ソフトカーボンと結着剤であるポリフッ化ビニリデンを92質量%:8質量%(固形分比)の割合でペースト状に混合し、塗布、乾燥、圧延後、長さ490mm、幅26mmに切断したものを用いた。
【0049】
(6)は蓋体で、ガスケット(7)を介して電池ケース(4)にかしめ封口されている。なお、この蓋体(6)の内面には正極(1)と接続されている正極リード(8)が溶接されている。
【0050】
電解液にはLiPF6を1mol/l含むエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):ジエチルカーボネート(DEC)=2:2:1(体積比)の混合液に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを表1の割合で添加したものを用いた。
【0051】
以上により、本発明の実施例として、外径15.9mm、高さ33mmの円筒型電池A〜Eを組み立てた。また、比較例として、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを添加しないことを除き、全て実施例と同じ条件の円筒型有機電解質二次電池を組み立てた。この電池を電池Zとする。
【0052】
これらの電池A〜E、電池Zについて寿命試験を行った。試験方法として、温度60℃、充電電流200mA,充電上限電圧4.1Vの定電流・定電圧で4時間充電を行い、400mAの電流で2.75Vまで放電し、放電容量の推移を調べた。試験数量はそれぞれ3個である。
【0053】
【表1】
【0054】
表2に初期放電容量と60℃にて100サイクル経過時の放電容量およびその容量保持率を示し、図2に充放電サイクル時のサイクル数と容量保持率の関係を示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2および図2に示した試験結果より、本発明の電池B、C、Dでは初期放電容量が大きく、100サイクル後の容量保持率は約90%となった。いっぽう、電池Aでは、初期放電容量が大きかったが、100サイクル後の容量保持率は約84%であった。さらに、電池Eでは、100サイクル後の容量保持率は約90%であったが、放電容量は初期から少なかった。電解液中にビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを含まない電池Zは、電池A〜Eよりもサイクル後の容量維持率が劣る結果となった。
【0057】
以上のように、本発明の添加剤を用いた電池は、サイクル寿命特性が優れていることがわかった。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池において、有機電解液中に有機過酸化物を添加することによって、サイクル寿命特性を向上させることができる。
【0059】
さらに、有機過酸化物として、半減期が10時間となる温度が60℃以下のものをもちいることによって、効率的に有機電解質二次電池を量産することができる。
【0060】
さらに、有機過酸化物としてパーカーボネートをもちいることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0061】
さらに、有機過酸化物としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートをもちいることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることができる。
【0062】
さらに、電解液に対する有機過酸化物の添加量を、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下とすることによって、さらにサイクル寿命特性を向上させることに加えて、電池の初期容量の減少を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における円筒型有機電解質二次電池の構造図。
【図2】本発明の実施例1における電池A〜E及び電池Zの充放電サイクル時のサイクル数と放電容量保持率との関係図。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池ケース
5 センターピン
6 蓋体
7 ガスケット
8 正極リード
9 負極リード
10 PTC素子
11 安全弁
12 インシュレータ1
13 インシュレータ2
Claims (5)
- マンガン酸リチウムまたはマンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の元素で置換した複合酸化物からなる正極活物質を備えた正極と、負極活物質を備えた負極と、有機電解液とを備えた有機電解質二次電池であって、前記有機電解液中に有機過酸化物を添加したことを特徴とする有機電解質二次電池。
- 前記有機過酸化物の半減期が10時間となる温度が60℃以下であることを特徴とする、請求項1記載の有機電解質二次電池。
- 前記有機過酸化物がパーカーボネートであることを特徴とする、請求項1、または2記載の有機電解質二次電池。
- 前記パーカーボネートが、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートであることを特徴とする、請求項3記載の有機電解質二次電池。
- 電解液に対する有機過酸化物の添加量が、電解液質量に対し0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の有機電解質二次電池。
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