JP2004047266A - マグネトロン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることのできるマグネトロンを得る。
【解決手段】板状ベイン15の一方の端縁上で、上下の端縁16,18に設けられた環挿通凹部17,19よりも陽極筒体6の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さが板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹み20を形成すると共に、板状ベイン15の他方の端縁上の環挿通凹部17,19の上下方向の切れ込み深さを板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定した。
【選択図】 図1
【解決手段】板状ベイン15の一方の端縁上で、上下の端縁16,18に設けられた環挿通凹部17,19よりも陽極筒体6の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さが板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹み20を形成すると共に、板状ベイン15の他方の端縁上の環挿通凹部17,19の上下方向の切れ込み深さを板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジなどに用いられるマグネトロン及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネトロンは、例えば2,450MHzの基本周波数で動作するマイクロ波発振管であり、マイクロ波加熱器あるいはマイクロ波放電ランプなどのマイクロ波を用いた電気機器において高周波源として使用されている。
【0003】
このようなマグネトロンは一般に、図11に示されるように、中心部には真空管部1があり、この真空管部1の外周に配設された複数枚の放熱用フィン2と、真空管部1と同軸に配設された一対の環状磁石3と、この環状磁石3を磁気的に繋ぐ一対の枠状継鉄4と、フィルタ回路部5とで構成されている。
【0004】
真空管部1は、円筒状の陽極筒体6と、陽極筒体6と同軸上に配置された陰極7と、陽極筒体6の中心軸の周りに放射状に配置された複数枚の板状ベイン8と、これらを1枚おきに電気的に接続するための複数個の均圧リング9,10と、一端がいずれか1枚の板状ベイン8に接続されたマイクロ波放出用アンテナ11とを具備した構成となっている。
【0005】
各板状ベイン8は、略矩形状で、上下の端縁には、均圧リング9,10を接合するための環係合凹部12と、均圧リング9,10を非接触に挿通させるための環挿通凹部13とが、陽極筒体6の半径方向に位置をずらして形成されている。また、上下端縁に形成される環係合凹部12と環挿通凹部13は、上端縁と下端縁とで配置が逆になるように設けられている。更に、板状ベイン8の上端縁で、環係合凹部12及び環挿通凹部13の装備位置よりも陽極筒体6の内壁面寄りとなる位置に、アンテナ11を固定する溝14が形成されている。
【0006】
このような板状ベイン8は、一枚おきに上下を反転させた逆向きで陽極筒体6の内壁面に固定される。従って、隣接する板状ベイン8相互では、上端縁と下端縁が周方向に対向する状態となり、環係合凹部12及び環挿通凹部13の装備位置が逆転している。
周方向に並ぶ板状ベイン8相互は、環係合凹部12に接合される均圧リング9,10によって1枚おきに電気的に接続され、且つ、既述したように複数枚の内の一枚の板状ベイン8の上端縁の溝14にマイクロ波放出用アンテナ11が接合されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、新たな応用機器の開発や新たな市場の拡大を進めるにあたって、マグネトロンの小型化が熱望されている。
しかしながら、従来のマグネトロンでは、小型化を目的として陽極筒体の内径寸法を従来の略35mmよりも小さくし、その陽極筒体の縮径に相応して、板状ベイン8の半径方向の長さを短縮すると、隣り合った板状ベインと陽極筒体とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路が短くなることからインダクタンスが変化してしまい、その結果、マイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて、規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題が発生する。
即ち、マグネトロンの小型化は、陽極筒体の内径寸法を単純に縮径させるといった対応だけでは解決されず、インダクタンスの変化に起因するマイクロ波発振特性の変動を防止するために、その他の構成部品の電気的及び磁気的な見直しが必要になり、高額な開発費,開発時間が必要になるという問題があった。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、変更前と同じインダクタンスを保って、インダクタンスの変化に起因するマイクロ波発振特性の変動を防止することができ、従って、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることのできるマグネトロンを提供すること、更には、小型化したマグネトロンを効率良く組み立てできるマグネトロンの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るマグネトロンは、請求項1に記載したように、陽極筒体の内壁面に中心軸に向かって突設された複数枚の板状ベインの上下の端縁に、均圧リングを接合するための環係合凹部と、均圧リングを非接触に挿通させるための環挿通凹部とを形成し、
前記板状ベイン相互が環係合凹部に接合される均圧リングによって1枚おきに電気的に接続されるマグネトロンであって、
前記板状ベインの環挿通凹部と異なる上下の端縁において該環挿通凹部よりも陽極筒体の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さが前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹みを形成すると共に、
前記環挿通凹部の上下方向の切れ込み深さを前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定したことを特徴とする。
【0010】
このように構成されたマグネトロンにおいては、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、板状ベイン上での高周波電流の経路は蛇行路となって経路長が増大しており、隣り合った板状ベインと陽極筒体とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路を、寸法の変更前と同一に維持することができる。そのため、共振空胴を流れる高周波電流の経路長の短縮に起因するインダクタンスの変化を防止することができる。
従って、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載のマグネトロンは、上記目的を達成するために、請求項1に記載のマグネトロンにおいて、更に、前記板状ベインのインダクタンス調整用凹みを埋める誘電体を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載のマグネトロンは、上記目的を達成するために、請求項2に記載のマグネトロンにおいて、更に、前記誘電体が、前記陽極筒体の内壁面に沿って周回するリング状に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このように構成されたマグネトロンにおいては、マグネトロンを組み立てる際のろう付け時やマグネトロンの動作時等、陽極が高温となる場合に、均圧リングが熱膨張し、それによって各板状ベインには径方向へ大きな圧縮応力が作用するが、インダクタンス調整用凹みを埋めている誘電体がその径方向の圧縮応力を受けて、板状ベインのインダクタンス調整用凹みの周辺部位に歪みや撓みが生じることを防止できる。
【0013】
また、請求項4に記載のマグネトロンの製造方法は、請求項2又は請求項3に記載のマグネトロンの組み立て工程において、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内壁面に接合するために、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内側に所定の位置関係で位置決めする際、前記インダクタンス調整用凹みに前記誘電体を嵌合させて、前記誘電体を前記板状ベインの撓み変形を防止する治具として使用することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るマグネトロンは、インダクタンス調整用凹みを追加形成した分、板状ベインが複雑且つ不安定な形状となり、板状ベインを陽極構体の内壁面へ位置決めする時に、撓みや傾倒等が生じて正確な位置決めが困難になる虞があるが、上記の製造方法によれば、誘電体を陽極筒体の内壁に配置される板状ベインの位置決め治具として活用することで、陽極構体の内壁面への板状ベインの位置決めを、正確且つ容易にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の第1の実施の形態に係るマグネトロン及びその製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施の形態において、既に図11に示した従来のマグネトロンで使用している部材と同一の構成については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0016】
図1及び図2は、本発明に係るマグネトロンの第1の実施の形態を示したものである。
この第1の実施の形態のマグネトロン100は、図11に示したマグネトロンにおける板状ベイン8を、改良した板状ベイン15に置き換えると共に、この板状ベイン15に誘電体21を装備するようにしたもので、それ以外の構成部品は、何れも従来と同一でよい。
即ち、本実施形態のマグネトロン100も、陽極筒体6,陽極筒体6と同軸上に配置された陰極7,陽極筒体6に接合された複数枚のベイン15を1枚おきに電気的に接続するための複数個の均圧リング9,10,一端がいずれか1枚の板状ベイン15に接続されたマイクロ波放出用アンテナ11等の構成部品を備えている。
均圧リング9は、均圧リング10よりも径が大きく、均圧リング10の外側に同心状に配置される。
【0017】
但し、本実施形態の場合、陽極筒体6の内壁面に中心軸に向かって突設された複数枚の板状ベイン15は、略矩形状で、図2に示すように、上下の端縁16,18のそれぞれに、均圧リング9,10を接合するための環係合凹部12と、均圧リング9,10を非接触に挿通させるための環挿通凹部17,19とを設けている。
【0018】
板状ベイン15の上端縁16には、環挿通凹部17と環係合凹部12とが装備されているが、環挿通凹部17の位置は、環係合凹部12よりも半径方向外側に設定されている。
一方、板状ベイン15の下端縁18には、環挿通凹部19と環係合凹部12とが装備されているが、上端縁16の場合とは逆に、環挿通凹部19の位置は、環係合凹部12よりも半径方向内側に設定されている。
即ち、板状ベイン15に形成する環係合凹部12及び環挿通凹部17,19は、同じ端縁に並ぶものは半径方向に位置をずらしており、また、上端縁と下端縁とで配置が逆になるように設けられている。
【0019】
更に、1枚の板状ベイン15の上端縁16で、環係合凹部12及び環挿通凹部17の装備位置よりも陽極筒体6の内壁面寄りとなる位置に、アンテナ11を固定する溝14が形成されている。
【0020】
又、本実施形態の場合、板状ベイン15の下端縁18上で、上下の端縁16,18に設けられた環挿通凹部17,19よりも陽極筒体6の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さD3が板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹み20を形成している。
また、板状ベイン15の上端縁16上の環挿通凹部17の上下方向の切れ込み深さD1も、板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定されている。
このように切り込み深さD3,D1を設定したことで、板状ベイン15上の高周波電流の経路は、図に矢印xで示すように、蛇行した形態になる。
【0021】
板状ベイン15の下端縁18上の環挿通凹部19の上下方向の切れ込み深さD2は、従来の環挿通凹部13と同じ深さで、環挿通凹部17の装備位置における板状ベイン15の残り幅W1よりも小さく設定されている。
【0022】
インダクタンス調整用凹み20の装備位置における板状ベイン15の残り幅W2は、陽極筒体6との接合部に規定の高周波電流の経路として必要十分な断面積が確保でき、しかも、前記した切れ込み深さD3を確保できるように、適宜値に設定される。
以上の環挿通凹部17,19及びインダクタンス調整用凹み20は、何れも、上下方向に延びる矩形の溝で、環挿通凹部17,19の溝幅Cは、従来の環挿通凹部13と同一で良い。
【0023】
また、本実施の形態では、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20は、誘電体21によって埋められている。この誘電体21は、図4にも示すように、陽極筒体6の内壁面に沿って周回するリング状に形成されている。
【0024】
以上の板状ベイン15は、一枚おきに上下を反転させた逆向きで陽極筒体6の内壁面に固定される。従って、隣接する板状ベイン15相互では、上端縁16と下端縁18が周方向に対向する状態となり、環係合凹部12及び環挿通凹部17,19の装備位置が逆転している。
そして、陽極筒体6の内壁面に配置される板状ベイン15相互は、環係合凹部12に接合される均圧リング9,10によって1枚おきに電気的に接続され、且つ、複数枚の内の一枚の板状ベイン15の上端縁の溝14にマイクロ波放出用アンテナ11が接合される。
【0025】
このように構成されたマグネトロン100においては、陽極筒体6の内径寸法の縮径や板状ベイン15の半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、板状ベイン15上での高周波電流の経路は蛇行路となって経路長が増大しており、隣り合った板状ベイン15と陽極筒体6とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路を、寸法の変更前と同一に維持することができる。そのため、共振空胴を流れる高周波電流の経路長の短縮に起因するインダクタンスの変化を防止することができる。
【0026】
従って、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体6の内径寸法や板状ベイン15の半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態のマグネトロン100においては、マグネトロンを組み立てる際のろう付け時やマグネトロンの動作時等、陽極が高温となる場合に、均圧リング9,10が熱膨張し、それによって各板状ベイン15には径方向へ大きな圧縮応力が作用するが、インダクタンス調整用凹み20を埋めている誘電体21がその径方向の圧縮応力を受けて、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20の周辺部位に歪みや撓みが生じることを防止する。
従って、電子の運動空間である作用空間を構成する板状ベイン15の先端部が、インダクタンス調整用凹み20やその周辺部位の歪みや撓みによって不揃いとなることがなく、よって、板状ベイン15の先端部が不揃いとなることに起因するマイクロ波の出力特性の低下を防止することができる。
【0028】
また、本実施の形態のように、誘電体21がリング状に形成されている場合は、均圧リング9,10の熱膨張によって板状ベイン15に作用する圧縮応力を、誘電体21を介して周方向に効率よく分散させることができて、各板状ベイン15毎に独立した誘電体21を使用する場合と比較すると、インダクタンス調整用凹み20やその周辺部位の歪みや撓みの発生を更に低減させることができる。
【0029】
また、インダクタンス調整用凹み20を埋める誘電体21は、共振空洞内に存在することによって該誘電体21内での伝搬波長が比誘電率εγに応じて1/√(εγ)だけ短くなり、結果的にインダクタンスの変化防止に貢献し、陽極筒体6や板状ベイン15の寸法短縮によるマグネトロンの小型化の一助となっている。
【0030】
以上の作用効果を確認するため、本願発明者等は、陽極筒体の内径や板状ベインの半径方向の長さを徐々に短縮して、マイクロ波の発振周波数への影響を調べた。
但し、従来のマグネトロン場合、陽極筒体の内径は35mmで、板状ベインの上下方向の幅Wは9.5mmである。
【0031】
環挿通凹部19の切り込み深さD2は従来と同じ1.7mmとしたままで、環挿通凹部17の切り込み深さD1は板状ベイン15の幅Wの1/2以上である5.8mmに設定し、また、インダクタンス調整用凹み20の切り込み深さD3は板状ベイン15の幅Wの1/2以上である7.5mmに設定した。
上記実施形態に準じた実施例のマグネトロンは、陽極筒体の内径を22mmまで縮径させた場合でも、陽極筒体の内径及び板状ベインの半径方向の長さを短縮しない従来のマグネトロンと同様に、2450MHzで発振して、発振周波数の変動がみられず、良好なマイクロ波の出力特性を得ることができた。
即ち、上記の実施形態の構成とすることで、マイクロ波の出力特性等を犠牲にせずに、陽極筒体の内径を13mmも縮径することができて、大幅な小型化を実現できることが確認できた。
【0032】
図3は、このような陽極筒体の内径を縮径した場合の発振周波数を、多種の内径について、本実施の形態に準じた実施例と従来例とで比較測定したもので、本発明の実施例の場合は、陽極筒体が何れの内径でも、発振周波数が規定の2450MHzに維持されているが、従来例で単純に陽極筒体の内径を縮径させると前述したインダクタンスの変化によって小型化するほど発振周波数が高くなってしまう。
なお、図3に示した測定において、本発明の実施例の場合、発振周波数のばらつきは、±10MHzに収まっていて、陽極筒体の縮径の程度に拘わらず、規定の発振周波数に安定維持できることも確認された。
【0033】
なお、測定に使用した実施例では、環挿通凹部17の切り込み深さD1とインダクタンス調整用凹み20の切り込み深さD3とは、互いに異なる値に設定したが、要は、板状ベイン15の幅方向で、双方の凹み17,20の先端部がオーバーラップして、板状ベイン15上に蛇行した高周波電流の経路が形成できれば良く、双方の凹み17,20の切り込み深さを同一値としても、同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
次に、本実施形態のマグネトロン100の組み立て工程について、説明する。マグネトロン100の真空管部1(図11参照)を構成する陽極筒体6、複数枚の板状ベイン15、均圧リング9,10、マイクロ波放出用アンテナ11等は、図4に示すように、陽極筒体6の下部に挿入される台座型カーボン治具31と、陽極筒体6の上側から中心軸上に挿通する心出し用のセラミック治具33とで、陽極筒体6に対する位置決めを行い、位置決めした状態で、接触している部品相互を互いにロウ付けすることで、一体化する。
なお、図4では、二枚の板状ベイン15しか示していないが、実際には、複数枚(偶数枚)の板状ベイン15が陽極筒体6の中心軸回りに放射状に並んだ状態に立設されて、台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aによって、各板状ベイン15相互の周方向の間隔が規制される。
【0035】
また、複数枚の板状ベイン15を、台座型カーボン治具31によって陽極筒体6内に放射状に配列した後、図5に示すように、陽極筒体6の中心部にセラミック治具33を挿入することで、板状ベイン15の各上端縁16の外側縁を陽極筒体6の内壁面に当接させた状態に、位置決めする。
このセラミック治具33の挿入を行う前に、本実施の形態の組み立て工程では、台座型カーボン治具31によって陽極筒体6内に位置決めする各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に、前述したリング状の誘電体21を嵌合させて、誘電体21を板状ベイン15の撓み変形を防止する治具として活用する。
【0036】
上記の組み立て工程について、図4を参照しながら更に詳細に述べると、台座型カーボン治具31上に板状ベイン15の下端縁側に設けられる均圧リング9,10を配置した状態で、インダクタンス調整用凹み20が上端縁側に開口された一方の板状ベイン15を台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aに1枚おきに配置した後、リング状の誘電体21をこの板状ベイン15の上記したインダクタンス調整用凹み20に嵌入する。その後、インダクタンス調整用凹み20が下端縁側に開口された他方の板状ベイン15でリング状の誘電体21に被せるように、この板状ベイン15を、台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aに配置された先の一方の板状ベイン15間に配置する。この結果、図5に示すように、リング状の誘電体21は、板状ベイン15によって上下方向に位置規制された状態に保持される。その後、上記の予備組立て体を陽極筒体6に挿通して、板状ベイン15の上端縁側に設けられる均圧リング9,10を配置した状態で、更に、既述したセラミック治具33を適用して各部品を位置決めした状態で、接触している部品相互のロウ付けを行った後、台座型カーボン治具31及びセラミック治具33が取り外される。
なお、予備組立て体は、陽極筒体6内に嵌め合わされた時点でセラミック治具33を適用することで、各部品が位置決めされ、台座型カーボン治具31を取り外すこともできる。
【0037】
本実施の形態のマグネトロン100は、インダクタンス調整用凹み20を追加形成した分、板状ベイン15が複雑、且つ不安定な形状となり、板状ベイン15を陽極構体6の内壁面へ位置決めする時に、撓みや傾倒等が生じて正確な位置決めが困難になる虞がある。
特に、図6(a)、(b)に示すように、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に誘電体21を埋め込まない状態でセラミック治具33を挿入する場合などは、セラミック治具33から作用する押圧力で、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20の周辺部位に撓みや傾倒等が生じ易く、組み立てが極めて困難になる。
しかし、図6(c)に示すように、セラミック治具33の挿入前に、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に誘電体21を埋め込んだ形態にして、誘電体21を陽極筒体6の内壁に配置される板状ベイン15の位置決め治具として活用することで、陽極構体6の内壁面への板状ベイン15の位置決めを、正確、且つ、容易にすることができ、また、撓みや傾倒等の発生を誘電体21による支えによって防止して、本発明により小型化したマグネトロンの組立て性を向上させることができる。
【0038】
なお、板状ベイン15の上下の端縁16,18に装備する環係合凹部12と環挿通凹部17,19との配列順は、上記の実施の形態に限らない。
例えば、図7に示すように、板状ベイン15の上端縁16では、環係合凹部12の内側に環挿通凹部17を装備するようにし、また、それとは逆に、下端縁18では、環挿通凹部19の内側に環係合凹部12を装備するようにしても良い。
【0039】
また、板状ベイン15に装備するインダクタンス調整用凹み20は、図8に示すように、陽極筒体6の内壁面に接触する細幅の端縁23を残して、誘電体21が直接陽極筒体6に接触しない構造としても良い。
【0040】
更に、図9に示すように、陽極筒体6の内壁面に、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に埋め込まれる誘電体21との接触面積を減らす凹溝24を周設するようにしても良い。このように構成すると、陽極筒体6の金属面と板状ベイン15の金属が近接することによるインダクタンスの吸収が抑えられて当初の特性が得られる。同様な考えに基づいて、環挿通凹部の均圧リングに関与しない領域に、誘電体を配置することもできる。
【0041】
なお、上記の各実施の形態では、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20を埋める誘電体21を、陽極筒体6の内壁面に沿うリング状としているが、例えば、図10に示すように、各板状ベイン15を放射方向に位置決めするために使用する台座型カーボン治具31のベイン嵌合用スリット31aの外周部に、誘電体21を保持させる誘電体収容部31bを形成しておくことで、誘電体21を各板状ベイン15毎に独立したブロック上にすることもできる。
但し、誘電体21は、一体のリング状とした方が治具としての使い勝ってが向上する。
【0042】
【発明の効果】
このように構成されたマグネトロンにおいては、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0043】
また、マグネトロンを組み立てる際、インダクタンス調整用凹みを埋めている誘電体がその径方向の圧縮応力を受ける治具を兼ねるので、板状ベインの先端部が、インダクタンス調整用凹みやその周辺部位の歪みや撓みによって不揃いとなることがなく、不揃いとなることに起因するマイクロ波の出力特性の低下を防止することができる。また、板状ベインの位置決めを、正確、且つ、容易にすることができて、マグネトロンの組立て性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマグネトロンの第1の実施の形態の要部の縦断面図である。
【図2】図1に示したマグネトロンに使用している板状ベイン及び誘電体の拡大図である。
【図3】図1に示したマグネトロンの陽極筒体の内径と発振周波数との関係を従来と比較して示す図である。
【図4】図1に示したマグネトロンの組み立て工程を説明する分解斜視図である。
【図5】図1に示したマグネトロンの組み立て工程における板状ベインの位置決め状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示した位置決め方法による作用効果の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態によるマグネトロンの要部の拡大斜視図である。
【図11】従来のマグネトロンの断面図である。
【符号の説明】
6 陽極筒体
9 均圧リング
10 均圧リング
11 アンテナ
15 板状ベイン
16 端面
17 環挿通凹部
18 端面
19 環挿通凹部
20 インダクタンス調整用凹み
21 誘電体
100 マグネトロン
D1,D2,D3 凹みの深さ寸法
W1,W2 凹みの底辺から端面までの距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジなどに用いられるマグネトロン及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネトロンは、例えば2,450MHzの基本周波数で動作するマイクロ波発振管であり、マイクロ波加熱器あるいはマイクロ波放電ランプなどのマイクロ波を用いた電気機器において高周波源として使用されている。
【0003】
このようなマグネトロンは一般に、図11に示されるように、中心部には真空管部1があり、この真空管部1の外周に配設された複数枚の放熱用フィン2と、真空管部1と同軸に配設された一対の環状磁石3と、この環状磁石3を磁気的に繋ぐ一対の枠状継鉄4と、フィルタ回路部5とで構成されている。
【0004】
真空管部1は、円筒状の陽極筒体6と、陽極筒体6と同軸上に配置された陰極7と、陽極筒体6の中心軸の周りに放射状に配置された複数枚の板状ベイン8と、これらを1枚おきに電気的に接続するための複数個の均圧リング9,10と、一端がいずれか1枚の板状ベイン8に接続されたマイクロ波放出用アンテナ11とを具備した構成となっている。
【0005】
各板状ベイン8は、略矩形状で、上下の端縁には、均圧リング9,10を接合するための環係合凹部12と、均圧リング9,10を非接触に挿通させるための環挿通凹部13とが、陽極筒体6の半径方向に位置をずらして形成されている。また、上下端縁に形成される環係合凹部12と環挿通凹部13は、上端縁と下端縁とで配置が逆になるように設けられている。更に、板状ベイン8の上端縁で、環係合凹部12及び環挿通凹部13の装備位置よりも陽極筒体6の内壁面寄りとなる位置に、アンテナ11を固定する溝14が形成されている。
【0006】
このような板状ベイン8は、一枚おきに上下を反転させた逆向きで陽極筒体6の内壁面に固定される。従って、隣接する板状ベイン8相互では、上端縁と下端縁が周方向に対向する状態となり、環係合凹部12及び環挿通凹部13の装備位置が逆転している。
周方向に並ぶ板状ベイン8相互は、環係合凹部12に接合される均圧リング9,10によって1枚おきに電気的に接続され、且つ、既述したように複数枚の内の一枚の板状ベイン8の上端縁の溝14にマイクロ波放出用アンテナ11が接合されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、新たな応用機器の開発や新たな市場の拡大を進めるにあたって、マグネトロンの小型化が熱望されている。
しかしながら、従来のマグネトロンでは、小型化を目的として陽極筒体の内径寸法を従来の略35mmよりも小さくし、その陽極筒体の縮径に相応して、板状ベイン8の半径方向の長さを短縮すると、隣り合った板状ベインと陽極筒体とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路が短くなることからインダクタンスが変化してしまい、その結果、マイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて、規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題が発生する。
即ち、マグネトロンの小型化は、陽極筒体の内径寸法を単純に縮径させるといった対応だけでは解決されず、インダクタンスの変化に起因するマイクロ波発振特性の変動を防止するために、その他の構成部品の電気的及び磁気的な見直しが必要になり、高額な開発費,開発時間が必要になるという問題があった。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、変更前と同じインダクタンスを保って、インダクタンスの変化に起因するマイクロ波発振特性の変動を防止することができ、従って、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることのできるマグネトロンを提供すること、更には、小型化したマグネトロンを効率良く組み立てできるマグネトロンの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るマグネトロンは、請求項1に記載したように、陽極筒体の内壁面に中心軸に向かって突設された複数枚の板状ベインの上下の端縁に、均圧リングを接合するための環係合凹部と、均圧リングを非接触に挿通させるための環挿通凹部とを形成し、
前記板状ベイン相互が環係合凹部に接合される均圧リングによって1枚おきに電気的に接続されるマグネトロンであって、
前記板状ベインの環挿通凹部と異なる上下の端縁において該環挿通凹部よりも陽極筒体の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さが前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹みを形成すると共に、
前記環挿通凹部の上下方向の切れ込み深さを前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定したことを特徴とする。
【0010】
このように構成されたマグネトロンにおいては、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、板状ベイン上での高周波電流の経路は蛇行路となって経路長が増大しており、隣り合った板状ベインと陽極筒体とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路を、寸法の変更前と同一に維持することができる。そのため、共振空胴を流れる高周波電流の経路長の短縮に起因するインダクタンスの変化を防止することができる。
従って、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0011】
また、請求項2に記載のマグネトロンは、上記目的を達成するために、請求項1に記載のマグネトロンにおいて、更に、前記板状ベインのインダクタンス調整用凹みを埋める誘電体を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載のマグネトロンは、上記目的を達成するために、請求項2に記載のマグネトロンにおいて、更に、前記誘電体が、前記陽極筒体の内壁面に沿って周回するリング状に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
このように構成されたマグネトロンにおいては、マグネトロンを組み立てる際のろう付け時やマグネトロンの動作時等、陽極が高温となる場合に、均圧リングが熱膨張し、それによって各板状ベインには径方向へ大きな圧縮応力が作用するが、インダクタンス調整用凹みを埋めている誘電体がその径方向の圧縮応力を受けて、板状ベインのインダクタンス調整用凹みの周辺部位に歪みや撓みが生じることを防止できる。
【0013】
また、請求項4に記載のマグネトロンの製造方法は、請求項2又は請求項3に記載のマグネトロンの組み立て工程において、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内壁面に接合するために、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内側に所定の位置関係で位置決めする際、前記インダクタンス調整用凹みに前記誘電体を嵌合させて、前記誘電体を前記板状ベインの撓み変形を防止する治具として使用することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るマグネトロンは、インダクタンス調整用凹みを追加形成した分、板状ベインが複雑且つ不安定な形状となり、板状ベインを陽極構体の内壁面へ位置決めする時に、撓みや傾倒等が生じて正確な位置決めが困難になる虞があるが、上記の製造方法によれば、誘電体を陽極筒体の内壁に配置される板状ベインの位置決め治具として活用することで、陽極構体の内壁面への板状ベインの位置決めを、正確且つ容易にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の第1の実施の形態に係るマグネトロン及びその製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施の形態において、既に図11に示した従来のマグネトロンで使用している部材と同一の構成については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0016】
図1及び図2は、本発明に係るマグネトロンの第1の実施の形態を示したものである。
この第1の実施の形態のマグネトロン100は、図11に示したマグネトロンにおける板状ベイン8を、改良した板状ベイン15に置き換えると共に、この板状ベイン15に誘電体21を装備するようにしたもので、それ以外の構成部品は、何れも従来と同一でよい。
即ち、本実施形態のマグネトロン100も、陽極筒体6,陽極筒体6と同軸上に配置された陰極7,陽極筒体6に接合された複数枚のベイン15を1枚おきに電気的に接続するための複数個の均圧リング9,10,一端がいずれか1枚の板状ベイン15に接続されたマイクロ波放出用アンテナ11等の構成部品を備えている。
均圧リング9は、均圧リング10よりも径が大きく、均圧リング10の外側に同心状に配置される。
【0017】
但し、本実施形態の場合、陽極筒体6の内壁面に中心軸に向かって突設された複数枚の板状ベイン15は、略矩形状で、図2に示すように、上下の端縁16,18のそれぞれに、均圧リング9,10を接合するための環係合凹部12と、均圧リング9,10を非接触に挿通させるための環挿通凹部17,19とを設けている。
【0018】
板状ベイン15の上端縁16には、環挿通凹部17と環係合凹部12とが装備されているが、環挿通凹部17の位置は、環係合凹部12よりも半径方向外側に設定されている。
一方、板状ベイン15の下端縁18には、環挿通凹部19と環係合凹部12とが装備されているが、上端縁16の場合とは逆に、環挿通凹部19の位置は、環係合凹部12よりも半径方向内側に設定されている。
即ち、板状ベイン15に形成する環係合凹部12及び環挿通凹部17,19は、同じ端縁に並ぶものは半径方向に位置をずらしており、また、上端縁と下端縁とで配置が逆になるように設けられている。
【0019】
更に、1枚の板状ベイン15の上端縁16で、環係合凹部12及び環挿通凹部17の装備位置よりも陽極筒体6の内壁面寄りとなる位置に、アンテナ11を固定する溝14が形成されている。
【0020】
又、本実施形態の場合、板状ベイン15の下端縁18上で、上下の端縁16,18に設けられた環挿通凹部17,19よりも陽極筒体6の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さD3が板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹み20を形成している。
また、板状ベイン15の上端縁16上の環挿通凹部17の上下方向の切れ込み深さD1も、板状ベイン15の上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定されている。
このように切り込み深さD3,D1を設定したことで、板状ベイン15上の高周波電流の経路は、図に矢印xで示すように、蛇行した形態になる。
【0021】
板状ベイン15の下端縁18上の環挿通凹部19の上下方向の切れ込み深さD2は、従来の環挿通凹部13と同じ深さで、環挿通凹部17の装備位置における板状ベイン15の残り幅W1よりも小さく設定されている。
【0022】
インダクタンス調整用凹み20の装備位置における板状ベイン15の残り幅W2は、陽極筒体6との接合部に規定の高周波電流の経路として必要十分な断面積が確保でき、しかも、前記した切れ込み深さD3を確保できるように、適宜値に設定される。
以上の環挿通凹部17,19及びインダクタンス調整用凹み20は、何れも、上下方向に延びる矩形の溝で、環挿通凹部17,19の溝幅Cは、従来の環挿通凹部13と同一で良い。
【0023】
また、本実施の形態では、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20は、誘電体21によって埋められている。この誘電体21は、図4にも示すように、陽極筒体6の内壁面に沿って周回するリング状に形成されている。
【0024】
以上の板状ベイン15は、一枚おきに上下を反転させた逆向きで陽極筒体6の内壁面に固定される。従って、隣接する板状ベイン15相互では、上端縁16と下端縁18が周方向に対向する状態となり、環係合凹部12及び環挿通凹部17,19の装備位置が逆転している。
そして、陽極筒体6の内壁面に配置される板状ベイン15相互は、環係合凹部12に接合される均圧リング9,10によって1枚おきに電気的に接続され、且つ、複数枚の内の一枚の板状ベイン15の上端縁の溝14にマイクロ波放出用アンテナ11が接合される。
【0025】
このように構成されたマグネトロン100においては、陽極筒体6の内径寸法の縮径や板状ベイン15の半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、板状ベイン15上での高周波電流の経路は蛇行路となって経路長が増大しており、隣り合った板状ベイン15と陽極筒体6とで構成される共振空胴を流れる高周波電流の経路を、寸法の変更前と同一に維持することができる。そのため、共振空胴を流れる高周波電流の経路長の短縮に起因するインダクタンスの変化を防止することができる。
【0026】
従って、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体6の内径寸法や板状ベイン15の半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態のマグネトロン100においては、マグネトロンを組み立てる際のろう付け時やマグネトロンの動作時等、陽極が高温となる場合に、均圧リング9,10が熱膨張し、それによって各板状ベイン15には径方向へ大きな圧縮応力が作用するが、インダクタンス調整用凹み20を埋めている誘電体21がその径方向の圧縮応力を受けて、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20の周辺部位に歪みや撓みが生じることを防止する。
従って、電子の運動空間である作用空間を構成する板状ベイン15の先端部が、インダクタンス調整用凹み20やその周辺部位の歪みや撓みによって不揃いとなることがなく、よって、板状ベイン15の先端部が不揃いとなることに起因するマイクロ波の出力特性の低下を防止することができる。
【0028】
また、本実施の形態のように、誘電体21がリング状に形成されている場合は、均圧リング9,10の熱膨張によって板状ベイン15に作用する圧縮応力を、誘電体21を介して周方向に効率よく分散させることができて、各板状ベイン15毎に独立した誘電体21を使用する場合と比較すると、インダクタンス調整用凹み20やその周辺部位の歪みや撓みの発生を更に低減させることができる。
【0029】
また、インダクタンス調整用凹み20を埋める誘電体21は、共振空洞内に存在することによって該誘電体21内での伝搬波長が比誘電率εγに応じて1/√(εγ)だけ短くなり、結果的にインダクタンスの変化防止に貢献し、陽極筒体6や板状ベイン15の寸法短縮によるマグネトロンの小型化の一助となっている。
【0030】
以上の作用効果を確認するため、本願発明者等は、陽極筒体の内径や板状ベインの半径方向の長さを徐々に短縮して、マイクロ波の発振周波数への影響を調べた。
但し、従来のマグネトロン場合、陽極筒体の内径は35mmで、板状ベインの上下方向の幅Wは9.5mmである。
【0031】
環挿通凹部19の切り込み深さD2は従来と同じ1.7mmとしたままで、環挿通凹部17の切り込み深さD1は板状ベイン15の幅Wの1/2以上である5.8mmに設定し、また、インダクタンス調整用凹み20の切り込み深さD3は板状ベイン15の幅Wの1/2以上である7.5mmに設定した。
上記実施形態に準じた実施例のマグネトロンは、陽極筒体の内径を22mmまで縮径させた場合でも、陽極筒体の内径及び板状ベインの半径方向の長さを短縮しない従来のマグネトロンと同様に、2450MHzで発振して、発振周波数の変動がみられず、良好なマイクロ波の出力特性を得ることができた。
即ち、上記の実施形態の構成とすることで、マイクロ波の出力特性等を犠牲にせずに、陽極筒体の内径を13mmも縮径することができて、大幅な小型化を実現できることが確認できた。
【0032】
図3は、このような陽極筒体の内径を縮径した場合の発振周波数を、多種の内径について、本実施の形態に準じた実施例と従来例とで比較測定したもので、本発明の実施例の場合は、陽極筒体が何れの内径でも、発振周波数が規定の2450MHzに維持されているが、従来例で単純に陽極筒体の内径を縮径させると前述したインダクタンスの変化によって小型化するほど発振周波数が高くなってしまう。
なお、図3に示した測定において、本発明の実施例の場合、発振周波数のばらつきは、±10MHzに収まっていて、陽極筒体の縮径の程度に拘わらず、規定の発振周波数に安定維持できることも確認された。
【0033】
なお、測定に使用した実施例では、環挿通凹部17の切り込み深さD1とインダクタンス調整用凹み20の切り込み深さD3とは、互いに異なる値に設定したが、要は、板状ベイン15の幅方向で、双方の凹み17,20の先端部がオーバーラップして、板状ベイン15上に蛇行した高周波電流の経路が形成できれば良く、双方の凹み17,20の切り込み深さを同一値としても、同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
次に、本実施形態のマグネトロン100の組み立て工程について、説明する。マグネトロン100の真空管部1(図11参照)を構成する陽極筒体6、複数枚の板状ベイン15、均圧リング9,10、マイクロ波放出用アンテナ11等は、図4に示すように、陽極筒体6の下部に挿入される台座型カーボン治具31と、陽極筒体6の上側から中心軸上に挿通する心出し用のセラミック治具33とで、陽極筒体6に対する位置決めを行い、位置決めした状態で、接触している部品相互を互いにロウ付けすることで、一体化する。
なお、図4では、二枚の板状ベイン15しか示していないが、実際には、複数枚(偶数枚)の板状ベイン15が陽極筒体6の中心軸回りに放射状に並んだ状態に立設されて、台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aによって、各板状ベイン15相互の周方向の間隔が規制される。
【0035】
また、複数枚の板状ベイン15を、台座型カーボン治具31によって陽極筒体6内に放射状に配列した後、図5に示すように、陽極筒体6の中心部にセラミック治具33を挿入することで、板状ベイン15の各上端縁16の外側縁を陽極筒体6の内壁面に当接させた状態に、位置決めする。
このセラミック治具33の挿入を行う前に、本実施の形態の組み立て工程では、台座型カーボン治具31によって陽極筒体6内に位置決めする各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に、前述したリング状の誘電体21を嵌合させて、誘電体21を板状ベイン15の撓み変形を防止する治具として活用する。
【0036】
上記の組み立て工程について、図4を参照しながら更に詳細に述べると、台座型カーボン治具31上に板状ベイン15の下端縁側に設けられる均圧リング9,10を配置した状態で、インダクタンス調整用凹み20が上端縁側に開口された一方の板状ベイン15を台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aに1枚おきに配置した後、リング状の誘電体21をこの板状ベイン15の上記したインダクタンス調整用凹み20に嵌入する。その後、インダクタンス調整用凹み20が下端縁側に開口された他方の板状ベイン15でリング状の誘電体21に被せるように、この板状ベイン15を、台座型カーボン治具31のベイン位置決めスリット31aに配置された先の一方の板状ベイン15間に配置する。この結果、図5に示すように、リング状の誘電体21は、板状ベイン15によって上下方向に位置規制された状態に保持される。その後、上記の予備組立て体を陽極筒体6に挿通して、板状ベイン15の上端縁側に設けられる均圧リング9,10を配置した状態で、更に、既述したセラミック治具33を適用して各部品を位置決めした状態で、接触している部品相互のロウ付けを行った後、台座型カーボン治具31及びセラミック治具33が取り外される。
なお、予備組立て体は、陽極筒体6内に嵌め合わされた時点でセラミック治具33を適用することで、各部品が位置決めされ、台座型カーボン治具31を取り外すこともできる。
【0037】
本実施の形態のマグネトロン100は、インダクタンス調整用凹み20を追加形成した分、板状ベイン15が複雑、且つ不安定な形状となり、板状ベイン15を陽極構体6の内壁面へ位置決めする時に、撓みや傾倒等が生じて正確な位置決めが困難になる虞がある。
特に、図6(a)、(b)に示すように、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に誘電体21を埋め込まない状態でセラミック治具33を挿入する場合などは、セラミック治具33から作用する押圧力で、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20の周辺部位に撓みや傾倒等が生じ易く、組み立てが極めて困難になる。
しかし、図6(c)に示すように、セラミック治具33の挿入前に、各板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に誘電体21を埋め込んだ形態にして、誘電体21を陽極筒体6の内壁に配置される板状ベイン15の位置決め治具として活用することで、陽極構体6の内壁面への板状ベイン15の位置決めを、正確、且つ、容易にすることができ、また、撓みや傾倒等の発生を誘電体21による支えによって防止して、本発明により小型化したマグネトロンの組立て性を向上させることができる。
【0038】
なお、板状ベイン15の上下の端縁16,18に装備する環係合凹部12と環挿通凹部17,19との配列順は、上記の実施の形態に限らない。
例えば、図7に示すように、板状ベイン15の上端縁16では、環係合凹部12の内側に環挿通凹部17を装備するようにし、また、それとは逆に、下端縁18では、環挿通凹部19の内側に環係合凹部12を装備するようにしても良い。
【0039】
また、板状ベイン15に装備するインダクタンス調整用凹み20は、図8に示すように、陽極筒体6の内壁面に接触する細幅の端縁23を残して、誘電体21が直接陽極筒体6に接触しない構造としても良い。
【0040】
更に、図9に示すように、陽極筒体6の内壁面に、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20に埋め込まれる誘電体21との接触面積を減らす凹溝24を周設するようにしても良い。このように構成すると、陽極筒体6の金属面と板状ベイン15の金属が近接することによるインダクタンスの吸収が抑えられて当初の特性が得られる。同様な考えに基づいて、環挿通凹部の均圧リングに関与しない領域に、誘電体を配置することもできる。
【0041】
なお、上記の各実施の形態では、板状ベイン15のインダクタンス調整用凹み20を埋める誘電体21を、陽極筒体6の内壁面に沿うリング状としているが、例えば、図10に示すように、各板状ベイン15を放射方向に位置決めするために使用する台座型カーボン治具31のベイン嵌合用スリット31aの外周部に、誘電体21を保持させる誘電体収容部31bを形成しておくことで、誘電体21を各板状ベイン15毎に独立したブロック上にすることもできる。
但し、誘電体21は、一体のリング状とした方が治具としての使い勝ってが向上する。
【0042】
【発明の効果】
このように構成されたマグネトロンにおいては、陽極筒体の内径寸法の縮径や板状ベインの半径方向の長さの短縮等の変更を行っても、寸法の変更前と同じインダクタンスを保つことができ、インダクタンスの変化によってマイクロ波の発振周波数が規定周波数からずれて規定のマイクロ波発振特性が得られなくなるという問題を回避することができ、陽極筒体の内径寸法や板状ベインの半径方向の長さを短縮することで、簡単に小型化を図ることができる。
【0043】
また、マグネトロンを組み立てる際、インダクタンス調整用凹みを埋めている誘電体がその径方向の圧縮応力を受ける治具を兼ねるので、板状ベインの先端部が、インダクタンス調整用凹みやその周辺部位の歪みや撓みによって不揃いとなることがなく、不揃いとなることに起因するマイクロ波の出力特性の低下を防止することができる。また、板状ベインの位置決めを、正確、且つ、容易にすることができて、マグネトロンの組立て性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマグネトロンの第1の実施の形態の要部の縦断面図である。
【図2】図1に示したマグネトロンに使用している板状ベイン及び誘電体の拡大図である。
【図3】図1に示したマグネトロンの陽極筒体の内径と発振周波数との関係を従来と比較して示す図である。
【図4】図1に示したマグネトロンの組み立て工程を説明する分解斜視図である。
【図5】図1に示したマグネトロンの組み立て工程における板状ベインの位置決め状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示した位置決め方法による作用効果の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態によるマグネトロンの要部断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態によるマグネトロンの要部の拡大斜視図である。
【図11】従来のマグネトロンの断面図である。
【符号の説明】
6 陽極筒体
9 均圧リング
10 均圧リング
11 アンテナ
15 板状ベイン
16 端面
17 環挿通凹部
18 端面
19 環挿通凹部
20 インダクタンス調整用凹み
21 誘電体
100 マグネトロン
D1,D2,D3 凹みの深さ寸法
W1,W2 凹みの底辺から端面までの距離
Claims (4)
- 陽極筒体の内壁面に中心軸に向かって突設された複数枚の板状ベインの上下の端縁に、均圧リングを接合するための環係合凹部と、均圧リングを非接触に挿通させるための環挿通凹部とを形成し、
前記板状ベイン相互が環係合凹部に接合される均圧リングによって1枚おきに電気的に接続されるマグネトロンであって、
前記板状ベインの環挿通凹部と異なる上下の端縁において該環挿通凹部よりも陽極筒体の内壁面側にずれた位置に、上下方向の切れ込み深さが前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上となるインダクタンス調整用凹みを形成すると共に、
前記環挿通凹部の上下方向の切れ込み深さを前記板状ベインの上下方向の幅寸法Wの1/2以上に設定したことを特徴とするマグネトロン。 - 前記板状ベインのインダクタンス調整用凹みを埋める誘電体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
- 前記誘電体が、前記陽極筒体の内壁面に沿って周回するリング状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマグネトロン。
- 前記マグネトロンの組み立て工程において、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内壁面に接合するために、前記複数枚の板状ベインを前記陽極筒体の内側に所定の位置関係で位置決めする際、前記インダクタンス調整用凹みに前記誘電体を嵌合させて、前記誘電体を前記板状ベインの撓み変形を防止する治具として使用することを特徴とするマグネトロンの製造方法。
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