JP2006100066A - 周波数可変型マグネトロン - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイヤフラムやベローズなどの高価な部品を用いることなく、安価な構造で発振周波数の調整を行うことができ、しかも放電などを起し難く、安定な発振をすることができる構造のマグネトロンを提供する。
【解決手段】 円筒状のアノードシェル11の内周に複数個のベーン12が中心に向かって放射状に設けられ、隣接するベーン12間に複数個の共振空胴14が形成されることによりアノード1が形成され、そのアノードの中心部にアノードシェル11の軸方向に沿ってカソード2が設けられている。そして、共振空胴14の少なくとも1つに、スリット15を介してその1つの共振空胴14aと電気的に結合される外部空間16が設けられており、そのスリット15と対向する外部空間16の金属壁面17aが、スリット15との距離を変化させ得るような可動構造に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波を発振するマグネトロンに関する。さらに詳しくは、簡単な構造で発振周波数を可変させることができる構造の周波数可変型マグネトロンに関する。
マグネトロンの発振周波数は、主として共振空胴のリアクタンスとストラップの静電容量とで決定される。これらの定数は、通常マグネトロンを組み立てる工程で調整が行われ、真空封止後は特別な調整機構を設けない限り調整することができなかった。したがって、周波数調整後の工程で発生する周波数変動要因に対しての発振周波数のずれを修正することができなかった。
上記の組立時の調整は、ネットワークアナライザなどを使用してマグネトロン出力側よりマグネトロン共振器のリターンロスを観察することにより、共振周波数を測定して行われるが、この共振周波数と実際に真空管にして動作させたときの発振周波数とは異なり、しかも共振周波数と発振周波数との関係も常に一定とはならない。その理由は、実際の発振においては、カソードから電子の放出が起こり作用空間内に電子が滞在するため、この空間電荷の影響を受けて発振周波数が変るからであると考えられている。そのため、調整時の共振周波数より発振周波数は数十MHz程度低くなり、また、封止後の周波数変化は、製造の際のバラツキにより一定とならないため、共振周波数と発振周波数との関係は比例せず、発振周波数が設計通りに一定の発振周波数とならない。
一方、マグネトロンの使用時に発振周波数を変えて動作させる場合があり、周波数同調機構を有するマグネトロンも用いられている。このようなマグネトロンの周波数同調機構は、共振空胴内にインダクタンス素子である同調棒とよばれる非磁性体金属を挿入して、その挿入長を可変させることにより共振空胴のリアクタンスを変化させたり、ベーンとポールピースとの間に同調リングを設け、同調リングとベーンなどのアノードとの距離を変えることにより容量を変化させたりする、機械的に発振周波数を変化させる方法が知られている。たとえば、同調棒が共振空胴内に深く挿入されることにより共振空胴のインダクタンスが減少して発振周波数が高くなり、同調リングがベーンなどから遠ざかることにより容量が大きくなって発振周波数が高くなり、同調棒や同調リングを逆に動かせば発振周波数を低くすることができる(たとえば非特許文献1参照)。
このような機械的に同調をとるマグネトロンは、たとえば図8に縦断面および一部破断の上面図が示されるような構造になっている。すなわち、図8において、円筒状のアノードシェル11の内周壁に中心に向かって放射状に延びるベーン12が複数個設けられ、そのベーン12間に共振空胴14を形成したアノード1と、ベーン12の先端部で囲まれた空間にカソード2が設けられている。ベーン12には、1個おきに連結するストラップ13が設けられている。なお、3は、ベーン12の先端とカソード2との間の作用空間に磁界を集中させるための一対のポールピースである。この構造のマグネトロンの共振空胴14に、インダクタンス素子9がその挿入長を可変にできるようにダイヤフラム8を介して取り付けられている。このダイヤフラム8は、真空外囲器の一部をなし、カソード2側の真空を維持しながら、端板9aに外力が加えられることにより、変形してインダクタンス素子9の挿入長が変るようになっている。なお、図8で10はポールピース3を保持して真空壁とする端板である。
また、別の方法として、アノードの共振空胴と電気的に結合してアノードシェルの外側に設けられた外部共振空胴内に対向して配置される2枚の金属板の間隔を変化させることにより、発振周波数を可変にする方法も知られている(たとえば特許文献1参照)。このような構造にしても、外部共振空胴は真空領域となり、金属板の間隔を変えるために可動させる金属板を、真空外囲器の機能を果たしながら伸縮することができるベローズにより保持しなければならない。
さらに、他の方法として、同軸マグネトロンにおいて、スリットにより外部同軸空胴と結合させ周波数を可変とする方法も知られている(たとえば特許文献2参照)。この場合、発振周波数に近い周波数に共振させる空胴を外部に設けるために、非常に大きな空間を必要とする。その上で、この空間の容積をピストン状の部品により変化させて発振周波数を変化させている。
さらに、機械的ではなく、電子的に同調する方法として、共振空胴内に電子を通過させて、その電荷量を変化させることにより周波数を可変としたり、カソードを動作用とチューニング用との、カソード径の異なる2つに分けて、カソード径の大小により電流動作点が変化することにより周波数を可変させたりする電子同調の方法も知られている。
ミルトン エス キヴァー(Milton S. Kiver)著、末崎他訳、「マイクロ波入門」、第1版第15刷、株式会社近代科学社、昭和45年12月1日、p.196〜199 特開2000−3676号公報(図1) 特開平10−269953号公報(図3)
上述のように、マグネトロンを動作させる場合に発振周波数を変える必要のあるときは、同調機構を有するマグネトロンが用いられ、発振周波数を可変することができ、設計値の発振周波数とずれが生じてもその同調機構を用いて所望の発振周波数にすることができる。しかし、この同調機構は、前述のように、機械的同調機構にすると、管球内、すなわち真空領域で素子を動かす必要があり、ダイヤフラムやベローズというような真空外囲器を構成しながら、伸縮可能な部品を用いなければならず、非常に高価になる。また、電子同調をする場合でも、複雑な機構とコントロール回路が必要となり、機械的同調よりさらに高価になる。
また、マグネトロンの動作中に発振周波数を可変させる必要がなく、安価に量産する必要のあるマグネトロンでは、コスト面からとても高価な同調機構を設けることはできない。そのため、真空封止後のマグネトロンでは発振周波数がばらつくという問題がある。さらに、従来の共振空胴内に同調棒などのインダクタンス素子を挿入する構造では、発振時に放電を起して発振が不安定になるという問題もある。一方において、組立段階で空胴の共振周波数調整の結果と、真空管にした後の発振周波数とは必ずしも相関性がなく、所望の発振周波数で製造することができない場合がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、ダイヤフラムやベローズなどの高価な部品を用いることなく、安価な構造で発振周波数の調整を行うことができ、しかも放電などを起し難く、安定な発振をすることができる構造の周波数可変型マグネトロンを提供することを目的とする。
本発明による周波数可変型マグネトロンは、円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、前記共振空胴の1つとスリットを介して電気的に結合される外部空間とを具備し、該外部空間を区画し、前記スリットと対向する金属壁面が、前記スリットとの距離を変化させ得るような可動構造に形成されていることを特徴とする。ここに外部空間とは、本来の共振空胴とは異なるが本来の共振空胴と共に共振空胴の一部として作用する空間を意味し、真空外囲器の内外を意味するものではない。なお、真空外囲器とは、真空管の真空領域を区画する境界壁を意味する。
前記スリットの前記外部空間側またはその反対側に、誘電体からなり真空外囲器の一部を構成する隔壁が設けられることにより、スリットと金属壁面との距離を変える構造を簡単に構成することができる。
また、前記スリットと対向する金属壁面が、真空外囲器の一部を構成する金属板の一面により形成され、該金属板が外部からの応力により変形されることにより、前記スリットと前記金属壁面との距離を変化させ得る構造に形成されてもよい。
たとえば、前記金属壁面が、可動金属片の一面により形成され、該可動金属片が前記アノードシェル内でスライドする構造に形成されることにより、前記スリットと前記金属壁面との距離を可変させる構造にすることができる。この場合、前記可動金属片と前記アノードシェルとがネジにより滑合され、ネジ部での回転により前記スリットと前記金属壁面との距離を可変させる構造にすることができる。
さらに、前記スリットが板状部品に形成され、該板状部品が前記少なくとも1つの共振空胴の開口部にロウ付けされることにより、板状部品にスリットを形成したスリット板をアノードシェルにロウ付けすればよいため、スリットの大きさを比較的容易に変更しやすい。
また、前記スリット内に誘電体材料が挿入されることにより、波長短縮効果が生じるため、スリットを小さくしても外部空間との結合を大きくすることができる。
本発明の構成により、共振空胴とスリットを介して外部空間が形成されているため、この外部空間にも共振空胴の電界分布が張り出してくる。そのため、外部空間のスリットと対向する金属壁面を移動させてその距離を変えることにより、共振空胴の共振周波数を変化させることができる。このスリットの共振空胴側または外部空間側に誘電体からなり、真空外囲器の一部を構成する隔壁が設けられることにより、外部空間は真空外囲器の外側となり、真空領域を維持することを考慮する必要がなく、ベローズなどの高価な真空保持手段を用いる必要がなく、たとえば金属壁面を可動金属片の一面で構成することにより、可動金属片に形成されたネジなどにより可動金属片をスライドさせることにより、簡単にスリットと金属壁面との距離を可変させることができる。
その結果、非常に安価に発振周波数を調整する機構を設けることができ、量産用の安価なマグネトロンにおいても、製造段階で細心の注意を払って発振周波数を一定の範囲に収めるように努力をする必要なく、マグネトロンの製造後に発振特性を見ながら所望の発振周波数になるように簡単に調整することができる。そのため、製造工程が非常に容易になり、コストダウンを図ることができる。また、周波数同調型のマグネトロンであっても、たとえば発振周波数を一定に揃えたい場合や、敢えて少しずらしたい場合など、その同調範囲が狭い場合には、ベローズなどの高価な部品を使用することなく、非常に安価に周波数同調型のマグネトロンを得ることができる。
また、スリットの前後に誘電体からなる隔壁が設けられない場合でも、たとえば銅などの可撓性の有る金属板により外部空間の金属壁面を形成することにより、組立後の発振周波数のずれ程度の周波数変化を調整することができ、ベローズなどの高価な真空保持手段を用いることなく、発振周波数を調整することができる。
さらに、本発明によれば、マグネトロンの発振周波数を決定するリアクタンスを調整する場所が、アノードシェルの外側のように、電界の小さい部分に設けられているため、インダクタンス素子がベーンなどのアノード部分と異常に接近しすぎて放電を起こすということがなく、非常に安定した発振をさせることができる。また、構成する部品形状を簡素化でき、可動部の構成も複雑な形状とならないため、破損や変形の心配がなく、非常に信頼性が向上する。
つぎに、図面を参照しながら本発明のマグネトロンについて説明をする。本発明による周波数可変型マグネトロンは、図1(a)にその一実施形態の断面説明図が示されるように、円筒状のアノードシェル11の内周に複数個のベーン12が中心に向かって放射状に設けられ、隣接するベーン12間に複数個の共振空胴14が形成されることによりアノード1が形成され、そのアノードの中心部にアノードシェル11の軸方向に沿ってカソード2が設けられている。そして、共振空胴14の少なくとも1つに、スリット15を介してその1つの共振空胴14aと電気的に結合される外部空間16が設けられており、そのスリット15と対向する外部空間16の金属壁面17aが、スリット15との距離を変化させ得るような可動構造に形成されていることに特徴がある。
図1に示される例では、1つの共振空胴14aを形成する1つの側壁であるアノードシェル11にスリット15が設けられると共に、そのスリット15と連通してアノードシェル11に凹部11aが形成され、その凹部11aを蓋するように一面に金属壁面17aが形成された可動し得る可動金属片17が設けられることにより、スリット15と可動金属片17のスリット15に対向する一面である金属壁面17aとの間に外部空間16が形成されている。なお、図1に示される例では、スリット15を閉塞するようにスリット15の外側に誘電体板18がロウ付けなどにより接着されて真空外囲器を構成する隔壁が設けられ、外部空間16が真空外囲器の外側に設けられるようになっている。これにより、スリット15と金属壁面17aとの間隔を真空領域と関係なく変化させることができる。しかし、後述する図5に示される例のように、真空外囲器と金属壁面とを共用する構成にすることもできる。
図1(a)のB−B断面図が図1(b)に示されるように、スリット15の幅Aは、たとえば発振波長をλとして約λ/40程度に形成され、スリット15の長さCは、約λ/4程度に、深さDは、約λ/100程度の大きさに形成される。また、外部空間16の幅Eは、λ/4程度、高さFはλ/4程度以上、距離Gは可変されるが、通常はλ/10〜λ/200程度にそれぞれ形成される。スリット15の大きさは、共振空胴14aと外部空間16との結合を大きくして周波数変化を大きくしたい場合には幅Aおよび長さCの少なくとも一方を大きくし、逆に結合を小さくしたい場合にはスリット15の大きさを小さくする。
アノード1部の基本的構造は、図8に示される従来構造と同様であるが、たとえば無酸素銅などからなる円筒状のアノードシェル11の内周壁に、一端部が固着され、その一端部と対向する先端部がアノードシェル11の中心に向かって放射状に延びるように、複数個のベーン(アノード片)12が設けられることにより隣接するベーン12間に共振空胴が複数個形成されている。そして、そのベーン12を1個おきにストラップ13により連結して、それぞれ隣接する共振空胴間の高周波振動の位相差がπラジアンになるようにし、πモード発振をしやすい構造に形成されている。アノードシェル11の中心部には、軸方向に沿ってカソード2が設けられ、ベーン12の先端部とカソード2とが対向する作用空間にカソ−ド2とほぼ平行な磁界を印加し得るように、1組の鉄などからなる図示しな
いポールピースが設けられて磁界が印加される構成になっている。
その結果、カソード2から放出される電子は、作用空間に印加される電磁界により電子が曲げられ、周回することによりエネルギーを共振空胴に与えて発振し、発振したマイクロ波エネルギーは、1個のベーン12と結合した出力アンテナ4を介して取り出され、導波管5と結合して所望の場所に伝播されるようになっている。なお、出力アンテナ4は、セラミックスなどからなるマイクロ波を透過する真空外囲器4aにより封止されている。
つぎに、スリット15および外部空間16が設けられ、スリット15と金属壁面17aとの間隔を変化させることにより発振周波数を調整し得る理由について説明をする。1つの共振空胴14aの一部にスリット15が設けられることにより、スリット15より外部空間16に電界を張り出させることができる。この外部空間16に張り出した電界に対して、金属壁面17aを接近させることにより、共振空胴14aのリアクタンスが変化し、本来のマグネトロンの発振周波数が変化する。すなわち、金属壁面17aをスリット15に近づけると、電界の張り出しに対し、金属壁面17aが大きく作用し、リアクタンスが誘導性となるため、発振周波数が高くなり、金属壁面17aをスリット15から遠ざけると、その逆に作用し、発振周波数を低くすることができる。これは、外部に共振周波数に見合った共振空胴を設けてその空間の容積を変化させる方式や、外部に第2の出力により導き出して、その容量を変化させる方式と原理的に異なり、距離Gがλ/10〜λ/200程度という非常に小さな外部空間16で充分にマグネトロンの発振周波数を可変することが可能になる。
図2は、スリット15と外部空間16が前述の大きさのときに、この金属壁面17aとスリット15との距離Gに対するアノード全体における発振周波数の関係を示したものである。金属壁面17aがスリット15に近づくと発振周波数が高くなることが分る。また、発振周波数の可変量は、金属壁面17aとスリット15との距離が僅か3mm程度変化することにより、約50MHz変化することが分る。したがって、非常に小さい動きで大きく発振周波数を変化させることが可能となる。
図3は、金属壁面17aとスリット15との距離Gを変化させ、発振周波数を調整した場合の導波管5から見た共振空胴14との結合度の変化を測定したものである。可動金属片17を動かしてスリット15と金属壁面17aとの距離Gを変化させても、その結合度変化は約5%未満と小さく抑えられている。したがって、本発明による発振周波数の調整を行った場合にも、出力アンテナ4から導波管5に出力されるレベルは殆ど変化しないことになり、本来のマグネトロンの発振出力に影響が出ないことが分る。
図4(a)および(b)は、スリット15をアノードシェル11に形成しないで、アノードシェル11には適当な大き目の開口部11bを形成しておき、金属板にスリット15を形成したスリット板15aを接着した例である。この構造にすることにより、誘電体板18は、図4(a)に示されるように、スリット15の外部空間16側に設けられることもできるし、図4(b)に示されるように、外部空間16と反対側に設けられることもできる。このようなスリット板15aを用いることにより、アノードシェル11に直接スリット15を形成する必要がないため、自由にスリット15の大きさを調整することができるし、さらに図4(b)のように真空外囲器(誘電体板18)の外側にスリット板15aが設けられる場合には、マグネトロンを製造した後に、スリット15の大きさを変更して発振周波数の調整量を変えることもできる。
図5は、本発明の他の実施形態を示すもので、図1(a)と同様の断面説明図である。すなわち、この例は、スリット15と対向する金属壁面6aがアノードシェル11に直接ロウ付けされた金属板6の一面で形成され、金属板6が真空外囲器の一部を構成している。そして、金属板6が可動金属片17による応力で直接前後に変形されることにより、スリット15と金属壁面6aとの距離が変えられるようになっている。そのため、金属板6は、たとえば銅のように、たわみ(可撓)性の高い金属が用いられたり、0.5mm程度の薄い金属板が用いられる。この構造にすることにより、セラミックスなどからなる誘電体板を用いる必要がなくなり、簡単な構造で安価にアノード1側の真空を保持することができる。この場合、可動金属片17は真空外囲器とは関係なく、可動金属片17の移動により、金属板6を変形させることにより、発振周波数を変化させることができる。この場合、周波数調整後に可動金属片17を取り外すことも可能となり、つまり、可動金属片17を調整治具として使用することも可能となる。
上述した誘電体板18、スリット板15aおよび金属板6は、いずれもアノードシェル11の凹部11a内に直接ロウ付けなどにより固定することもできる。この構造にすることにより、組立が非常に容易になり、組立工数を低減させることができ、かつ、真空保持を容易に行うことができる。この場合、誘電体板18をアノードシェル11またはスリット板15aにロウ付けする場合には、図6に示されるように、誘電体板18の一面の外周にメタライズ層18aを形成しておいてからロウ付けを行うことにより、簡単にロウ付けすることができる。
図7は、本発明の他の実施形態で、図1(a)と同様の断面図で、スリット15近傍のみが示されている。すなわち、この例では、スリット15内にセラミックスなどの誘電体材料18bが挿入されている。この誘電体材料18bは、誘電体板18の一部として形成されていてもよく、誘電体板18とは別の材料で、別部品として形成されていてもよい。このような誘電体材料18bがスリット15内に挿入されることにより、波長の短縮効果を得ることができる。
すなわち、アノードシェル11の高さは、設計上ポールピース3(図8参照)のギャップにより自ずと制限され、スリット15の大きさを自在に大きくすることができない。そのため、有効な結合が得られるスリット15の高さにすることができない場合がある。たとえば発振周波数が9410MHzのマグネトロンでは、スリット15の長さC(図1(b)参照)が、λ/4となる7.9mmを超えると、スリット15の外部に対して電界の張り出しを大幅に増加させることが可能となるが、ポールピースギャップからくる制限で、この寸法を確保できない場合がある。このとき、たとえば比誘電率が4の誘電体材料18bがスリット15内に挿入されることにより、スリット15の高さを約半分の3.95mmで同様の結合を得ることができる。このようにスリット15の長さを短縮することができる効果がある。
本発明によれば、固定周波数のマグネトロンで、製造上のバラツキにより発振周波数がばらつく場合でも、そのバラツキは本発明の同調機構により充分に調整して、一定の発振周波数に合せることができると共に、発振周波数を可変にして使用する同調型マグネトロンにする場合でも、ダイヤフラムなどの高価な部品を使用することなく、非常に簡単な構成で安価に可変同調型のマグネトロンが得られる。なお、上述の例では、1個の共振空胴のみに同調機構を設ける例であったが、複数の共振空胴に設けることもでき、複数の共振空胴に設けることにより、さらに可変周波数の範囲を広くすることができる。
前述の各例では、アノードシェル11の内周壁に複数枚のベーン12を固着して共振空胴14を複数個形成するベーン構造のマグネトロンが示されているが、アノードがスリットにより分割されて多分割にされたラインジングサン型や、アノードシェルと一体物にスロットが形成されることにより複数個の共振空胴にされる場合などでも、同様に本発明を適用することができる。
本発明によるマグネトロンの一実施形態を説明する図である。 図1に示される構造で、金属壁面とスリットとの距離を変えたときの発振周波数の変化の関係を示す説明図である。 図1に示される構造で、金属壁面とスリットとの距離を変えたときの導波管から見た共振空胴の結合度の関係を示す説明図である。 本発明によるマグネトロンの他の実施形態を説明する図である。 本発明によるマグネトロンのさらに他の実施形態を説明する図である。 図1や図4に用いられる誘電体板にメタライズが施される状態を示す斜視説明図である。 本発明によるマグネトロンのさらに他の実施形態を説明する図である。 従来のマグネトロンにおける機械的同調の一例を示す断面説明図である。
符号の説明
1 アノード
2 カソード
4 出力アンテナ
5 導波管
6 金属板
11 アノードシェル
12 ベーン
13 ストラップ
14 共振空胴
15 スリット
16 外部空間
17 可動金属片
17a 金属壁面
18 誘電体板

Claims (6)

  1. 円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、前記共振空胴の1つとスリットを介して電気的に結合される外部空間とを具備し、該外部空間を区画し、前記スリットと対向する金属壁面が、前記スリットとの距離を変化させ得るような可動構造に形成されていることを特徴とする周波数可変型マグネトロン。
  2. 前記スリットの前記外部空間側またはその反対側に、誘電体からなり真空外囲器の一部を構成する隔壁が設けられてなる請求項1記載の周波数可変型マグネトロン。
  3. 前記スリットと対向する金属壁面が、真空外囲器の一部を構成する金属板の一面により形成され、該金属板が外部からの応力により変形されることにより、前記スリットと前記金属壁面との距離を変化させ得る構造に形成されてなる請求項1記載の周波数可変型マグネトロン。
  4. 前記金属壁面が、可動金属片の一面により形成され、該可動金属片が前記アノードシェル内でスライドする構造に形成されることにより、前記スリットと前記金属壁面との距離を可変させる構造である請求項1または2記載の周波数可変型マグネトロン。
  5. 前記スリットが板状部品に形成され、該板状部品が前記少なくとも1つの共振空胴の開口部にロウ付けされてなる請求項1ないし4のいずれか1項記載の周波数可変型マグネトロン。
  6. 前記スリット内に誘電体材料が挿入されてなる請求項1ないし5のいずれか1項記載の周波数可変型マグネトロン。
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