JP2005251634A - マグネトロン - Google Patents

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英幸 小畑
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Abstract

【課題】 ダイヤフラムやベローズなどの高価な部品を用いることなく、安価な構造で発振周波数調整を行うことができ、しかも放電などを起し難く、安定な発振をすることができる構造のマグネトロンを提供する。
【解決手段】 円筒状のアノードシェル11の内周に複数個のベーン12が中心に向かって放射状に設けられ、隣接するベーン12間に複数個の共振空胴14が形成されることによりアノード1が形成され、そのアノードの中心部にアノードシェル11の軸方向に沿ってカソード2が設けられている。そして、共振空胴14の少なくとも1つに真空外囲器の一部が食い込むように誘電体により形成された隔壁4が設けられ、その隔壁4の真空領域外で共振空胴14内にインダクタンス素子5が挿入し得るように設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波を発振するマグネトロンに関する。さらに詳しくは、簡単な構造で発振周波数を可変させることができる構造のマグネトロンに関する。
マグネトロンの発振周波数は、主として共振空胴のリアクタンスとストラップの静電容量で決定される。これらの定数は、通常マグネトロンを組み立てる工程で調整が行われ、真空封止後は特別な調整機構を設けない限り調整することができなかった。したがって、周波数調整後の工程で発生する周波数変動要因に対しての発振周波数のずれを修正することができなかった。
上記の組立時の調整は、ネットワークアナライザなどを使用してマグネトロン出力側よりマグネトロン共振器のリターンロスを観察することにより、共振周波数を測定して行われるが、この共振周波数と実際に真空管にして動作させたときの発振周波数とは異なり、しかも共振周波数と発振周波数との関係も常に一定とはならない。その理由は、実際の発振においては、カソードから電子の放出が起こり作用空間内に電子が滞在するため、この空間電荷の影響を受けて発振周波数が変るからであると考えられている。そのため、調整時の共振周波数より発振周波数は数十MHz程度低くなり、また、封止後の周波数変化は、製造の際のバラツキにより一定とならないため、共振周波数と発振周波数との関係は比例せず、発振周波数が設計通りに一定の発振周波数とならない。
一方、マグネトロンを使用時に発振周波数を変えて動作させる場合があり、周波数同調機構を有するマグネトロンも用いられている。このようなマグネトロンの周波数同調機構は、共振空胴内にインダクタンス素子である同調棒とよばれる非磁性体金属を挿入して、その挿入長を可変させることにより共振空胴のリアクタンスを変化させたり、ベーンとポールピースとの間に同調リングを設け、同調リングとベーンなどのアノードとの距離を変えることにより容量を変化させたりする、機械的に発振周波数を変化させる方法が知られている。たとえば、同調棒が共振空胴内に深く挿入されることにより共振空胴のインダクタンスが減少して発振周波数が高くなり、同調リングがベーンなどから遠ざかることにより容量が大きくなって発振周波数が高くなり、同調棒や同調リングを逆に動かせば発振周波数を低くすることができる(たとえば非特許文献1参照)。
このような機械的に同調をとるマグネトロンは、たとえば図6に縦断面および一部破断の上面図が示されるような構造になっている。すなわち、図6において、円筒状のアノードシェル11の内周壁に中心に向かって放射状に延びるベーン12が複数個設けられ、そのベーン12間に共振空胴14を形成したアノード1とされ、ベーン12の先端部で囲まれた空間にカソード2が設けられている。ベーン12には、1個おきに連結するストラップ13が設けられ、ベーン12により囲まれる共振空胴の位相をπラジアン異ならせ、πモードで発振しやすくされている。なお、3は、ベーン12の先端とカソード2との間の作用空間に磁界を集中させるための一対のポールピースである。この構造のマグネトロンの共振空胴14に、インダクタンス素子9がその挿入長を可変にできるようにダイヤフラム8を介して取り付けられている。このダイヤフラム8は、真空外囲器の一部をなし、カソード2側の真空を維持しながら、端板9aに外力が加えられることにより、変形してインダクタンス素子9の挿入長が変るようになっている。なお、図6で10はポールピース3を保持して真空壁とする端板である。
また、別の方法として、アノードの共振空胴と電気的に結合してアノードシェルの外側
に設けられた外部共振空胴内に対向して配置される2枚の金属板の間隔を変化させることにより、発振周波数を可変にする方法も知られている(たとえば特許文献1参照)。このような構造にしても、外部共振空胴は真空領域となり、金属板の間隔を変えるために可動させる金属板を、真空外囲器の機能を果たしながら伸縮することができるベローズにより保持しなければならない。
さらに、機械的ではなく、電子的に同調する方法として、共振空胴内に電子を通過させて、その電荷量を変化させることにより周波数を可変としたり、カソードを動作用とチューニング用との、カソード径の異なる2つに分けて、カソード径の大小により電流動作点が変化することにより周波数を可変させたりする電子同調の方法も知られている。
「磁電管の同調」(ミルトン エス キヴァー(Milton S. Kiver)著、マイクロ波入門(株式会社近代科学社発行)、196〜199頁) 特開2000−3676号公報(図1)
上述のように、マグネトロンを動作させる場合に発振周波数を変える必要のあるときは、同調機構を有するマグネトロンが用いられ、発振周波数を可変することができ、設計値の発振周波数とずれが生じてもその同調機構を用いて所望の発振周波数にすることができる。しかし、この同調機構は、前述のように、機械的同調機構にすると、管球内、すなわち真空領域で素子を動かす必要があり、ダイヤフラムやベローズというような真空外囲器を構成しながら、伸縮可能な部品を用いなければならず、非常に高価になる。また、電子同調をする場合でも、複雑な機構とコントロール回路が必要となり、機械的同調よりさらに高価になる。
また、マグネトロンの動作中に発振周波数を可変させる必要がなく、安価に量産する必要のあるマグネトロンでは、コスト面からとても高価な同調機構を設けることはできない。そのため、マグネトロンになった場合に発振周波数がばらつくという問題がある。さらに、従来の共振空胴内に同調棒などのインダクタンス素子を挿入する構造では、発振時に放電を起して発振が不安定になるという問題もある。一方において、組立段階で空胴の共振周波数調整の結果と、真空管にした後の発振周波数とは必ずしも相関性がなく、所望の発振周波数で製造することができない場合がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、ダイヤフラムやベローズなどの高価な部品を用いることなく、安価な構造で発振周波数調整を行うことができ、しかも放電などを起し難く、安定な発振をすることができる構造のマグネトロンを提供することを目的とする。
本発明によるマグネトロンは、円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、前記共振空胴の少なくとも1つに真空外囲器の一部が食い込むように誘電体により形成される隔壁と、該隔壁の真空領域外で前記共振空胴内に挿入し得るように設けられるインダクタンス素子とを具備している。ここに真空外囲器とは、真空管の真空領域を区画する境界壁を意味する。
前記隔壁が、該隔壁と前記アノードシェルとの熱膨張率差に基づく応力を吸収する応力吸収手段を介して前記アノードシェルに封止されていることにより、共振空胴内に設けられるセラミックスなどの誘電体により形成される隔壁とアノードシェルとの熱膨張率が異なっていても、熱膨張差に基づき生じる応力を吸収することができ、隔壁の破損や接合部
の剥離を防止することができる。具体的には、前記応力吸収手段が、前記隔壁とアノードシェルとの封止部に介在される金属リングであれば細い金属リング部分で応力を吸収することができ、また、前記応力吸収手段が、前記隔壁とアノードシェルとの封止部に介在される前記アノードシェルの材質より熱膨張率の小さい材質により形成された部品であってもよい。熱膨張率が隔壁と金属シェルの中間の材料であれば、両者の熱膨張率差の緩衝材となり、隔壁の熱膨張率よりも小さいか同程度の熱膨張率の材料が介在されることにより、隔壁を構成するセラミックスの割れを防止することができる。
前記隔壁が、温度の上昇により誘電率および/または透磁率が減少する誘電体からなることにより、動作により隔壁の温度が上昇した場合に発振周波数を上げるように変化することになるため、発振周波数の変化を小さくすることができて好ましい。
温度の上昇により前記インダクタンス素子の前記共振空胴内への突込み長が温度上昇による発振周波数の変化を補償するようにインダクタンス素子移動機構を有することが好ましい。なお、インダクタンス素子移動機構としては、たとえばバイメタルなどによりインダクタンス素子を移動させる構造にすることができる。
本発明の構成にすることにより、真空外囲器の一部を構成する隔壁が共振空胴内に食い込むように形成されているため、発振周波数を可変するインダクタンス素子を真空外囲器の外側から共振空胴内に出入させることができる。そのため、真空外囲器の一部を伸縮させる必要がなく、真空外囲器の一部にベローズなどの高価な真空保持手段を用いる必要がない。その結果、非常に安価に発振周波数を調整する機構を設けることができ、量産用の安価なマグネトロンにおいても、製造段階で細心の注意を払って発振周波数を一定の範囲に収めるように努力をしなくてもマグネトロンの製造後に発振特性を見ながら所望の発振周波数になるように簡単に調整することができる。その結果、製造工程が非常に容易になり、コストダウンを図ることができる。また、周波数同調型のマグネトロンであっても、その同調範囲が狭い場合には、ベローズなどの高価な部品を使用することなく、非常に安価に周波数同調型のマグネトロンを得ることができる。
さらに、誘電体からなる隔壁が共振空胴内に設けられており、その外側にインダクタンス素子が設けられているため、インダクタンス素子がベーンなどのアノード部分と異常に接近し過ぎるということがない。そのため、放電を起すことなく非常に安定した発振をさせることができる。また、隔壁とアノードシェルとの接合部に応力吸収手段が設けられることにより、動作・非動作の繰返しや製造工程における急激な昇温に対しても隔壁にクラックや破損が生じたり、接合部の剥離などが生じたりすることがなく、非常に信頼性が向上する。
つぎに、図面を参照しながら本発明のマグネトロンについて説明をする。本発明によるマグネトロンは、図1(a)〜(b)にその一実施形態の縦断面および(a)のB−B断面の説明図が示されるように、円筒状のアノードシェル11の内周に複数個のベーン12が中心に向かって放射状に設けられ、隣接するベーン12間に複数個の共振空胴14が形成されることによりアノード1が形成され、そのアノードの中心部にアノードシェル11の軸方向に沿ってカソード2が設けられている。そして、共振空胴14の少なくとも1つに真空外囲器の一部が食い込むように誘電体により形成された隔壁4が設けられ、その隔壁4の真空領域外で共振空胴14内にインダクタンス素子5が挿入し得るように設けられている。すなわち、真空領域外に設けられるインダクタンス素子5により、ある程度の発振周波数を調整し得る同調機構が形成されていることに特徴がある。
マグネトロンの基本的な構成は、たとえば図1(a)に縦断面の説明図が示されるように、たとえば無酸素銅などからなる円筒状のアノードシェル11の内周壁に、一端部が固着され、その一端部と対向する先端部がアノードシェル11の中心に向かって放射状に延びるように、複数個のベーン(アノード片)12が設けられることにより隣接するベーン12間に共振空胴が複数個形成され、この複数個の共振空胴の全体でアノード共振空胴が形成されることによりアノード1を構成している。そして、そのアノードシェル11の中心部に軸方向に沿ってカソード2が設けられている。このベーン12を1個おきにストラップ13により連結して、それぞれ隣接する共振空胴間の高周波振動の位相差がπラジアンになるようにし、πモード発振をしやすい構造に形成されている。そして、ベーン12の先端部とカソード2とが対向する作用空間にカソ−ド2とほぼ平行な磁界を印加し得るように、1組の鉄などからなるポールピース3が設けられて磁界が印加される構成になっている。カソード2から放出される電子は、作用空間に印加される電磁界により電子が曲げられ、周回することによりエネルギーを空胴に与え、発振するように形成されている。
図1に示される例では、アノードシェル11の内周壁に複数枚のベーン12を固着して共振空胴14を複数個形成するベーン構造のマグネトロンが示されているが、アノードがスリットにより分割されて多分割にされたラインジングサン型や、アノードシェルと一体物にスロットが形成されることにより複数個の共振空胴にされる場合などでも、同様に本発明を適用することができる。
隔壁4は、たとえばアルミナからなるセラミックスなどの誘電体により、先端が閉塞されて内部に凹部を有する筒状体に形成され、図1に示される例では、アノードシェル11の側壁に設けられた貫通孔11aから1個の共振空胴内に挿入されて筒状体の底部側に設けられる鍔部4bがアノードシェル11にロウ付けされることなどにより気密に封止されて、真空外囲器の一部を構成している。そして、この隔壁4の凹部4a内、すなわち真空壁外に、たとえば金属棒からなるインダクタンス素子5が挿入長を可変できるように設けられることにより、同調機構が構成されている。
すなわち、本発明者らは発振周波数を可変する必要のない固定周波数のマグネトロンであっても、製造時のバラツキにより発生する発振周波数のバラツキをなくして、一定の発振周波数のマグネトロンを簡単に得るため、また、使用時に発振周波数を変化させる場合でも安価な構造で発振周波数を変化し得るマグネトロンを得るため、鋭意検討を重ねた結果、図1に示されるように、共振空胴14の少なくとも1つに真空外囲器の一部を形成し、真空壁外で同調用のインダクタンス素子を共振空胴14内に挿入して、その挿入長を変えることにより発振周波数を可変できることを見出した。この際、共振空胴内に食い込ませる真空外囲器の一部を金属で形成すると、共振空胴が小さくなって共振周波数が変りすぎると共にその外部にインダクタンス素子を設けても共振周波数を変えることはできず、共振周波数に余り影響のない誘電体で隔壁を形成する必要があり、さらにマグネトロンの信頼性を向上させるには、つぎの施策を施すことが好ましいことも見出した。すなわち、隔壁を誘電体で形成するとアノードシェルとの熱膨張率の差に基づく応力が働くが、その応力により隔壁が破損しないように設けること、および発振時に放電を起さないように共振空胴内に隔壁やインダクタンス素子を設けることを、達成しながら同調機構を設けることが好ましい。
まず、発振時に放電させないようにするため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、共振空胴内で電界の強度に大きな勾配があり、電界強度の弱い位置に隔壁およびインダクタンス素子を設けることにより全く発振時の放電を起させることなく同調機構を設けることができた。すなわち、図2に、共振空胴の一部の平面説明図で、電界強度の強さが点の数で示されている(すなわち点数が多く、黒色の濃いところが電界が強い)ように、ベーン12先端のカソード2側が最も強く、ベーン12の先端から内側ストラップ13の間がそ
の次に強く、ついで内側および外側のストラップの間および外側ストラップ13のさらに外側に一定の距離の範囲に強い部分があるが、そこからアノードシェル11の内壁までは比較的弱く、この電界の弱い部分Aに隔壁およびインダクタンス素子(同調棒)5を挿入しても、発振時に殆ど放電を起すことなく、非常に安定した発振をさせ得ることを見出した。
すなわち、図1に示されるように、アノードシェル11の側壁に貫通孔11aを穿設して、横側から同調棒5を挿入することにより、最も電界の弱いところに同調機構を設けることになり、非常に安定した発振をさせることができる。しかし、アノードシェル11の側壁から同調棒を挿入しないで、ポールピース3側から同調棒を挿入したり、側壁およびポールピース側の両方から挿入したりしてもよく、この場合でも、できるだけアノードシェル11の内壁に近い部分に挿入することが放電を防止する観点から望ましい。このような構成で、後述するように、1個の共振空胴に挿入するだけでも50MHz程度という発振周波数の変化を得ることができ、通常の可変周波数の変化は充分に得ることができる。
つぎに、熱膨張率差に基づく誘電体からなる隔壁の破損防止策について説明をする。前述のように、共振空胴14内に近接して真空外囲器の一部を形成するには、共振周波数の関係などからセラミックスなどの誘電体で形成せざるを得ない。しかし、アノードシェル11は前述のように無酸素銅(線膨張係数:20℃で、16.5×10-6/℃)などの金属材料により形成されているため、隔壁4のセラミックス(たとえばアルミナの20℃での線膨張係数:7×10-6/℃)と熱膨張率が大きく相違する。しかもアノードは温度上昇が激しく、隔壁4部分での温度が120℃程度以上になるため、熱膨張率の差に基づく応力が隔壁4や隔壁4とアノードシェル11との接合部にかかると共に、真空外囲器を構成するため真空の圧力にも耐える必要がある。この真空の圧力や熱膨張率差に基づく応力から隔壁4の破損を防止するためには、0.5mm程度以上の厚さのアルミナにより隔壁を形成することにより、ある程度破損を防止することができるが、接合部などを含めた信頼性を向上させるためには、応力を吸収する手段が、さらに設けられることが好ましい。
図3は、その応力吸収手段の一実施形態を示す隔壁部分の横断面の説明図である。すなわち、図3に示される例は、隔壁4とアノードシェル11との接合部に金属リング6が介在されている。金属リング6は、たとえばアノードシェル11と同じ無酸素銅などの金属またはアノードシェル11と同程度の熱膨張率を有する材料により形成してもよいし、後述するように、熱膨張率がアノードシェル11よりも小さい材料により形成してもよい。熱膨張率がアノードシェル11と同じ材料からなる場合には、図3に示されるように、金属リング6は、たとえば肉厚tが0.3〜1mm程度で、高さhが1mm程度のリングに形成される。このような肉厚の薄い金属リング6が介在されることにより、アノードシェル11と隔壁4との間の熱膨張率の差により、動作・非動作の繰返しによる応力が働いても、この金属リング6が撓むことにより、隔壁4の破損や接合部の剥れなどが生じない。金属リング6が、この例のようにアノードシェル11と同じ材料により形成される場合には、アノードシェル11と一体に加工することもできる。
前述の例では、金属リング6をアノードシェル11と同じ材料により形成したが、アノードシェル11よりも熱膨張率の小さい材料により形成することもできる。すなわち、たとえばコバール(線膨張係数:20℃で、4.5×10-6/℃)のように、熱膨張率がアノードシェル11と隔壁4との間か、または小さい熱膨張率を有する材料が接合部に介在されると、両者の熱膨張率の差を吸収することができ、隔壁4の破損や接合部の剥離などを防止することができる。この場合には、図3に示されるような肉厚の薄い金属リングにしなくても、0.3〜2mm程度の厚さのスペーサのように隔壁4がアノードシェル11と接触する部分全体をカバーするような形状で形成されていてもよい。
前述の隔壁4は、たとえば図4に示されるように、一端部が閉塞され、内部に凹部4aが形成された筒状の開放端側にアノードシェル11と接合するための鍔部4bが形成され、鍔部4bの表面4cにはメタライズが施され、アノードシェル11にロウ付けなどにより気密に封止される構造になっている。したがって、たとえばアノードシェル11の側壁に貫通孔11aを形成しておき、隔壁4を予め所望の形状に形成しておけば、この隔壁4とアノードシェル11とのロウ付けは、通常のアノードシェル11とベーン12やストラップ13などとのロウ付けと同時に、同じロウ材を用いて行うことができるため、工数増加をもたらすことなく簡単に作り込むことができる。
この隔壁4の形状は、たとえば図4(a)に示されるように、コーン状に尖らせた形状にすることもできるし、図4(b)に示されるように、同じ幅の円筒体形状の構造のものでもよいし、その他の共振空胴の形状や用途に応じた形状にすることもできる。コーン形状にすれば、前述のアノードシェル11の側壁から共振空胴14内に挿入する場合には、共振空胴14は中心側に行くにしたがってベーン12の間隔が狭くなるため、共振空胴14と相似形になって好ましい。しかし、前述のように、余りアノードシェル11の中心部側まで隔壁4が挿入されると電界が強くなり放電の危険性があり、アノードシェル11の内壁近傍のみに挿入する場合には、図4(b)に示されるような円筒形状のものでもよい。また、図示されていないが、アノードシェル11の側壁から挿入するのではなく、ポールピース3(図1参照)側から挿入する場合でも、図4(b)のような円筒形状でよい。
また、隔壁4は、前述のようにアルミナなどのセラミックスが一般的に用いられるが、このような温度上昇と共に誘電率が下がる材料が用いられることが温度上昇による発振周波数の低下を補償することができて好ましい。アルミナなどの通常のセラミックスでも、不純物を混入させることにより、温度上昇に対する誘電率の低下が大きくなるため好ましい。また、隔壁4は、温度上昇と共に、その透磁率が低下するものでもよい。すなわち、透磁率が低下しても発振周波数は上昇するため、温度上昇による発振周波数の低下を補償することができる。温度上昇と共に透磁率が低下するセラミックスとしては、たとえばフェライト系を含むセラミックスを用いることができる。
さらに、前述のインダクタンス素子5を、バイメタルなどのように、温度上昇と共に自動的に変位する温度可動部材に取り付け、その温度可動部材を温度が上昇したときにインダクタンス素子5が共振空胴14内に入り込むように取り付ることにより、すなわちインダクタンス素子移動機構が設けられることにより、温度上昇による発振周波数の変化を補償することができる。たとえば図5に示されるように、スペーサ7aを介してバイメタル7をアノードシェル11に取り付け、そのバイメタル7にインダクタンス素子5を固着しておくことにより、温度上昇によりバイメタル7が反り、インダクタンス素子5の挿入長が変化する。このような構成にすることにより、マグネトロンが動作して温度が上昇すると、発振周波数は下がるが、一方でインダクタンス素子5が自動的に共振空胴内から抜けるため、発振周波数を上げるように作用する。その結果、発振周波数の変動を補償することができる。なお、インダクタンス素子5の取付けは、このように自動的に可動するように取り付けることもできるし、図1に示されるように、ネジなどにより隔壁4の凹部4a内に形成した雌ネジにねじ込むように取り付けることもできるし、隔壁4の鍔部4bの裏面にナットを固定し、そのナットにビスをねじ込んで挿入長を可変できるように取りつけることもできるし、その他種々の方法で取り付けることができる。
本発明によれば、真空外囲器の一部が共振空胴の中に食い込むように誘電体からなる隔壁により形成され、その隔壁の真空領域外にインダクタンス素子が設けられているため、ダイヤフラムなどの高価な真空外囲器を用いることなく共振空胴のリアクタンスを変化させることができ、発振周波数を変えることができる。前述の図1に示される構造で、アノードを12分割にした発振周波数が9410MHzのマグネトロンで同調棒5の挿入長を変化させた結果、50MHzの発振周波数を変化させることができた。しかも、このときの共振空胴のQ値は、1%未満の変化であり、マグネトロンの他の電気特性には殆ど影響がないことを確認できた。
その結果、固定周波数のマグネトロンで、製造上のバラツキにより発振周波数がばらつく場合でも、そのバラツキは本発明の同調機構により充分に調整して一定の発振周波数に合せることができると共に、周波数を可変にして使用する同調型マグネトロンであっても、ダイヤフラムなどの高価な部品を使用することなく、非常に簡単な構成で安価に可変同調型のマグネトロンが得られる。なお、前述の例では、1個の共振空胴のみに同調機構を設ける例であったが、複数の共振空胴に設けることもでき、複数の共振空胴に隔壁とインダクタンス素子からなる同調機構が設けられることにより、さらに可変周波数の範囲を広くすることができる。
本発明によるマグネトロンの一実施形態を説明する図である。 共振空胴の電界強度分布を示す説明図である。 図1に示される構造で、隔壁とアノードシェルとの接合部に応力吸収手段が設けられた一例の説明図である。 隔壁の構造例を示す図である。 インダクタンス素子移動機構の一例を示す図である。 従来の機械的同調の一例を示す断面説明図である。
符号の説明
1 アノード
2 カソード
3 ポールピース
4 隔壁
5 インダクタンス素子
11 アノードシェル
12 ベーン
13 ストラップ
14 共振空胴

Claims (6)

  1. 円筒状のアノードシェル内周側に複数個に分割された共振空胴が形成されるアノードと、該アノードの中心部に前記アノードシェルの軸方向に沿って設けられるカソードと、前記共振空胴の少なくとも1つに真空外囲器の一部が食い込むように誘電体により形成される隔壁と、該隔壁の真空領域外で前記共振空胴内に挿入し得るように設けられるインダクタンス素子とを具備するマグネトロン。
  2. 前記隔壁が、該隔壁と前記アノードシェルとの熱膨張率差に基づく応力を吸収する応力吸収手段を介して前記アノードシェルに封止されてなる請求項1記載のマグネトロン。
  3. 前記応力吸収手段が、前記隔壁とアノードシェルとの封止部に介在される金属リングである請求項2記載のマグネトロン。
  4. 前記応力吸収手段が、前記隔壁とアノードシェルとの封止部に介在される前記アノードシェルの材質より熱膨張率の小さい材質により形成された部品である請求項2または3記載のマグネトロン。
  5. 前記隔壁が、温度の上昇により誘電率および/または透磁率が減少する誘電体からなる請求項1ないし4のいずれか1項記載のマグネトロン。
  6. 温度の上昇により前記インダクタンス素子の前記共振空胴内への突込み長が温度上昇による発振周波数の変化を補償するようにインダクタンス素子移動機構を有する請求項1ないし5のいずれか1項記載のマグネトロン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009026600A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Toshiba Corp 電子銃およびx線源

Cited By (1)

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JP2009026600A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Toshiba Corp 電子銃およびx線源

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