JP2004046728A - タッチパネル及びタッチパネル搭載表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも片面に透明導電膜を有する第一の透明基板と第二の透明基板とが、透明導電膜同士が対向するように配置されたタッチパネルであって、
(a)該タッチパネルの最外層として、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物からなるハードコート層及び屈折率の異なる2層以上の層からなる反射防止ハードコート層を有し、かつ(b)該反射防止ハードコート層の屈折率の異なる各層が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物を主体とする層または該硬化物と金属酸化物微粒子とを主体とする層であることを特徴とするタッチパネル。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タッチパネルおよびタッチパネルを搭載した表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タッチパネルには、抵抗膜方式、光学式、静電容量式、超音波式、および電磁誘導式等の方式がある。これらの中で、抵抗膜方式は、比較的低コストである、薄型軽量化が容易である、という特徴を有し、ディスプレイの表面に装着するだけで外部入力が可能となり、現在、特に携帯機器を中心にして広く用いられている。近年、携帯電話、情報携帯端末などの携帯機器の成長が著しく、太陽光のもとでの視認性、および薄型軽量が強く求められている。
抵抗膜方式のタッチパネルは、2枚の透明導電膜付き基板が、空間を介して透明導電膜同士を向かいあわせて配置されたものである。押圧によって透明導電膜同士が接触した際の、接触位置または抵抗値を検出することによって、位置を検出する。通常、タッチパネルは、ディスプレイ表面に装着される。この場合、空気層が2層となり、各空気界面での反射による視認性の低下が著しく、さらに装置自体が厚くなるという問題点があった。
これに対して、特開平5−127822号公報、および月刊ディスプレイ1999年1月号69頁に偏光板と液晶セルの間に抵抗膜式タッチパネルの機能を挿入したインナー型タッチパネルの提案がされている。この方式によれば、界面が減少し、さらにλ/4板と組み合わせることで、界面反射が著しく低減され、視認性が向上する。
【0003】
また、タッチパネル表面の反射を防止して視認性を向上させるための手段としては、表面に反射防止層を形成する方法もあり、特にインナー型タッチパネルと組み合わせると内部反射、外部反射ともに削減できるため、視認性を著しく向上することができる。しかしながら、反射防止膜の耐擦傷性が充分でなく、タッチパネルの表面に用いるとキズが発生しやすいため、タッチパネル表面に多くは用いられていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、表示装置に適用したときの視認性に優れ、しかも表面硬度が高くかつ耐擦傷性に優れたタッチパネルを提供することにある。
本発明の他の目的は、表面硬度が高くかつ耐擦傷性に優れたタッチパネルを搭載し、視認性が向上したタッチパネル付き表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成のタッチパネル及び付き表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
1.少なくとも片面に透明導電膜を有する第一の透明基板と第二の透明基板とが、透明導電膜同士が対向するように配置されたタッチパネルであって、
(a)該タッチパネルの最外層として、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物からなるハードコート層及び屈折率の異なる2層以上の層からなる反射防止ハードコート層を有し、かつ
(b)該反射防止ハードコート層の屈折率の異なる各層が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物を主体とする層または該硬化物と金属酸化物微粒子とを主体とする層である、
ことを特徴とするタッチパネル。
2.少なくとも操作者面側の透明基板が円偏光機能を有していることを特徴とする上記1に記載のタッチパネル。
3.上記1または2に記載のタッチパネルを搭載した表示装置。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のタッチパネルおよびタッチパネル付き表示装置の構成の代表的な例を、図1、図2に概略断面図として模式的に示した。図1の例は、タッチパネルの上下基板に円偏光板を有さないもので、図2の例はタッチパネルの上部基板として円偏光板を有するいわゆるインナー型タッチパネルであり、円偏光板によって内部反射を無くすことにより、コントラストが向上する。
図1、2のいずれにおいても、液晶セル3は、透過型用の液晶セルでも反射型用の液晶セルでもよいし、透過型、反射型のいずれにも使用可能な半透過型の液晶セルでもよい。
なお、本発明のタッチパネル付き表示装置はこの例に限定されず、各種のバリエーションがあることは言うまでもない。
【0007】
図1のタッチパネル付き表示装置においては、バックライト1の上方に、円偏光板2、液晶セル3、円偏光板2がこの順序で配置され、液晶表示装置が構成されている。そして液晶表示装置上にタッチパネル12が貼り付けられている。該タッチパネル12は、固定基板である下部基板4、透明導電膜5及び6、可動基板である上部基板7、ハードコート層8と屈折率の異なる2層(9,10)からなる反射防止膜とからなる反射防止ハードコート層11がこの順序で配置されて構成される。
図2のタッチパネル付き表示装置においては、液晶表示装置の構成は図1の場合と液晶セル3までは同じであるが、その上に直接タッチパネル12が貼り付けられている。タッチパネル12は、固定基板である下部基板4、透明導電膜5及び6、タッチパネルの可動基板を兼ねる円偏光板2、ハードコート層8と屈折率の異なる2層(9,10)からなる反射防止膜とからなる反射防止ハードコート層11この順序で配置されて構成されている。図2の場合のタッチパネルは、タッチパネル内に円偏光板が組み込まれ、いわゆるインナー型タッチパネルとなる。
【0008】
[反射防止ハードコート層]
まず、本発明のタッチパネルの最外層に位置する反射防止ハードコート層につき説明する。
反射防止ハードコート層は、透明支持体上に形成される。
(支持体)
反射防止ハードコート層を表面に形成するための透明支持体の好ましい例としては、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースニトレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリ(メタ)アクリレート(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチレンが含まれる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートである。また、インナー型タッチパネルとして、円偏光板の偏光膜の保護膜としての機能を兼ねさせる意味ではセルロースエステルが好ましい。
透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45以上1.70以下であることが好ましい。
【0009】
(ハードコート層)
反射防止ハードコート層を構成するハードコート層の形成には、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることができるが、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等のプレポリマーの架橋反応を利用するものが挙げられる。
ハードコート層の鉛筆硬度は、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、更に好ましくは4H以上である。またハードコート層を高硬度化するために、有機または無機微粒子などを混合しても構わない。更に鉛筆硬度向上のためには、ハードコート層の厚みを通常の3〜10μmよりも厚くすることが効果的であるが、ハードコート層の割れが生じやすい等、脆性破壊の問題が発生するため、表面弾性率を4.5GPa以上9GPa以下の範囲、かつ弾性率とハードコート層厚みの三乗の積が30KPa・mm3以上700KPa・mm3以下の範囲に制御したハードコート層を用い、ハードコート層の硬度と脆性破壊を避けることとの両立を図ることも好ましい。
【0010】
前記活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化するための活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。活性エネルギーの照射により形成される活性エネルギー線硬化樹脂層は、架橋しているポリマーを含む。架橋しているポリマーを含む活性エネルギー線硬化層は、活性エネルギー線硬化性樹脂、好ましくは多官能モノマーと重合開始剤を含む塗布液を上記の透明基材フィルム上に塗布し、活性エネルギーの照射により多官能モノマーを重合させることにより形成できる。多官能性モノマーの官能基としては、エチレン性不飽和基が好ましい。
【0011】
上記多官能モノマーは、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサノール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジペンタエリスリトール、1,2,4−シクロヘキサノール、ポリウレタンポリオールおよびポリエステルポリオールが含まれる。これらの中では、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびポリウレタンポリオールが好ましい。二種類以上の多官能モノマーを併用してもよい。
【0012】
多官能モノマーの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン、ジビニルスルホン、メチレンビスアクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテルなどが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
【0013】
多官能モノマーとしてエチレン性不飽和基を有するモノマーに加えて、架橋性官能基を有する化合物を併用して、高硬度することもできる。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。開環重合性の架橋性官能基が好ましく、エポキシ基が特に好ましい。架橋性官能基を有する化合物はモノマーであってもポリマーであってもよい。
【0014】
上記エポキシ基含有化合物としては、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシ−アクリル酸付加物等のエポキシエステルや、脂環式エポキシ等のモノマーおよびオリゴマーやその他、特開平11−209717号、同6−157819号等に記載の化合物が上げられる。架橋性官能基を有する化合物を併用する場合は、多官能モノマー中、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
10μm以上のハードコート層を付与する場合、硬度と脆性破壊を避けることとの両立の点からハードコート層の組成として、上記のエチレン性不飽和基を有するモノマーと開環重合性基を有する化合物とを併用した組成であるものが好ましい。
【0015】
ハードコート層としての活性エネルギー線硬化層が無機微粒子を含有することで架橋収縮率を改良し、塗膜の硬度を上げることができる。無機微粒子としては硬度が高いものが好ましく、モース硬度が6以上の無機粒子が好ましい。例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子が含まれる。
【0016】
これらの無機微粒子の平均粒子径は、1nm以上400nm以下、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下の微粒子を10質量%以上60質量%以下、より好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上45質量%以下添加させる。1nm以下では分散が難しく凝集粒子ができ、400nm以上ではヘイズが大きくなり、どちらも透明性を落としてしまい好ましくない。
【0017】
無機微粒子の添加量は、活性エネルギー線硬化層の全量の1以上99質量%以下であることが好ましく、10以上90質量%以下であることがより好ましく、20以上80質量%以下であることがさらに好ましく、20以上60質量%以下であることが最も好ましい。
【0018】
一般に無機微粒子はバインダーポリマー(活性エネルギー線硬化樹脂)との親和性が悪いため単に両者を混合するだけでは界面が破壊して、膜が割れやすく、耐傷性を改善することは困難である。無機微粒子とポリマーバインダーとの親和性を改良するため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤(表面処理剤)で処理することができる。表面処理剤としては、一方で無機微粒子と結合を形成し、他方でポリマーバインダーと高い親和性を有することが好ましい。
無機微粒子の金属原子と結合を生成し得る官能基を有する化合物としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド化合物や、リン酸、スルホン酸、カルボン酸基等のアニオン性基を有する化合物が好ましい。またバインダーポリマーとは化学的に結合することが好ましく、末端にビニル性重合基等を導入したものが好適である。例えば、エチレン性不飽和基を重合性基および架橋性基として有するモノマーからバインダーポリマーを合成する場合は、金属アルコキシド化合物またはアニオン性基含有化合物の末端にエチレン性不飽和基を有していることが好ましい。
【0019】
以下に表面処理剤の具体例を挙げる。
有機金属化合物の表面処理剤例
a)シラン含有有機化合物
a−1 H2C=CHCOOC4H8OSi(OC4H9)3
a−2 (H2C=CHCOOC4H8O)2Si(OC4H9)2
a−3 (H2C=CHCOOC4H8O)3SiOC4H9
a−4 H2C=CHCOOC3H6OSi(OC4H9)3
a−5 (H2C=CHCOOC3H6O)2Si(OC4H9)2
a−6 (H2C=CHCOOC3H6O)3SiOC4H9
【0020】
b)アルミニウム含有有機化合物
b−1 H2C=CHCOOC4H8OAl(OC4H9)2
b−2 H2C=CHCOOC3H6OAl(OC3H7)2
b−3 H2C=CHCOOC2H4OAl(OC2H5)2
b−4 H2C=CHCOOC2H4OC2H4OAl(OC2H4OC2H5)2
b−5 H2C=C(CH3)COOC4H8OAl(OC4H9)2
b−6 H2C=CHCOOC4H8OAl(OC4H9)OC4H8COOCH=CH2
b−7 H2C=CHCOOC2H4OAl{O(1,4−ph)}2
【0021】
c)ジルコニウム含有有機化合物
c−1 H2C=CHCOOC4H8OZr(OC4H9)3
c−2 H2C=CHCOOC3H7OZr(OC3H7)3
c−3 H2C=CHCOOC2H4OZr(OC2H5)3
c−4 H2C=C(CH3)COOC4H8OZr(OC4H9)3
c−5 {CH2=C(CH3)COO}2Zr(OC4H9)2
【0022】
d)チタニウム含有有機化合物
d−1 {H2C=C(CH3)COO}3TiOC2H4OC2H4OCH3
d−2 Ti{OCH2C(CH2OC2H4CH=CH2)2C2H5}4
d−3 H2C=CHCOOC4H8OTi(OC4H9)3
d−4 H2C=CHCOOC3H7OTi(OC3H7)3
d−5 H2C=CHCOOC2H4OTi(OC2H5)3
d−6 H2C=CHCOOSiOTi(OSiCH3)3
d−7 H2C=C(CH3)COOC4H8OTi(OC4H9)2
【0023】
アニオン性官能基含有表面処理剤例
e)リン酸基含有有機化合物
e−1 H2C=C(CH3)COOC2H4OPO(OH)2
e−2 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
e−3 H2C=CHCOOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
e−4 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
e−5 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OPOCl2
e−6 H2C=C(CH3)COOC2H4CH{OPO(OH)2)2
e−7 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OPO(ONa)2
e−8 H2C=CHCOOC2H4OCO(1,4−ph)C5H10OPO(OH)2
e−9 (H2C=C(CH3)COO)2CHC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
【0024】
f)スルホン酸基含有有機化合物例
f−1 H2C=C(CH3)COOC2H4OSO3H
f−2 H2C=C(CH3)COOC3H6SO3H
f−3 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OSO3H
f−4 H2C=CHCOOC2H4OCOC5H10OSO3H
f−5 H2C=CHCOOC12H24(1,4−ph)SO3H
f−6 H2C=C(CH3)COOC2H4OCOC5H10OSO3Na
【0025】
g)カルボン酸基含有有機化合物例
g−1 H2C=CHCOO(C5H10COO)2H
g−2 H2C=CHCOOC5H10COOH
g−3 H2C=CHCOOC2H4OCO(1,2−ph)COOH
g−4 H2C=CHCOO(C2H4COO)2H
g−5 H2C=C(CH3)COOC5H10COOH
g−6 H2C=CHCOOC2H4COOH
ここでphはフェニル基を示す。
【0026】
これらの無機微粒子の表面処理は、溶液中でなされることが好ましい。表面修飾剤を溶解した溶液に無機微粒子を添加し、超音波、スターラー、ホモジナイザー、ディゾルバー、サンドグラインダーを用いて、撹拌、分散することが好ましい。
【0027】
表面処理剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
【0028】
表面処理した無機微粒子溶液に、上記の多官能モノマーと重合開始剤を加え活性エネルギー線硬化塗布液(組成物)とする。
【0029】
光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類が含まれる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)に記載されている。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントンが含まれる。また、架橋性官能基を有する化合物を併用する場合には、光カチオン性重合開始剤を併用することが好ましく、光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウムなどのオニウム塩が好ましくあげられる。これらの具体例としては特開平11−209717号、同6−157819号等に記載の化合物が挙げられる。
【0030】
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。
光重合反応は、活性エネルギー線硬化層の塗布および乾燥後、紫外線照射により実施することが好ましい。
【0031】
ハードコート層は、透明基材フィルム上に活性エネルギー線硬化性塗料をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グラビア法、ワイヤーバー法等の公知の薄膜形成方法で形成、乾燥、活性エネルギー線照射して作製することができる。
【0032】
ハードコート層の耐擦傷性の評価方法としては、鉛筆硬度評価法、微小硬度計による表面硬度測定法、テンシロンによる弾性率測定法等が挙げられるが、JIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法が好ましい。
【0033】
(反射防止層)
本発明では、上記で作製したハードコート層の上に、低屈折率層と高屈折率層とからなる耐擦傷性に優れた反射防止層を設けることにより、高表面硬度かつ高耐擦傷性の反射防止ハードコート層とすることができるが、当然、3層以上の屈折率の異なる層を用いた反射防止層を用いてもよい。
【0034】
本発明における低屈折率層および高屈折率層は、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物を主体とする層であるか、または該硬化物と金属酸化物微粒子とを主体とする層である。
活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂としては、同一分子内に2個以上のアクリル基を有する硬化性樹脂が好ましい。具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ビスフェノール−Aジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート類、ポリイソシアネート硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られる多官能のウレタンアクリレートやポリエポキシ硬化性樹脂とヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート(メタアクリレート)の反応によって得られる多官能のエポキシアクリレート等を挙げることができる。さらに、以下のA−1からA−44等のエチレン性不飽和基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
高屈折率層に金属酸化物微粒子を加える場合は、金属酸化物微粒子としては、平均粒子サイズが100nm以下、好ましくは50nm以下の二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などの屈折率が1.6より大きいものが挙げられる。屈折率が大きい二酸化チタンが添加量が少なくでき好ましい。
【0041】
無機微粒子と硬化樹脂との親和性を増すため、無機微粒子表面を有機セグメントを含む表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理剤は、無機微粒子と結合を形成するか無機微粒子に吸着しうる官能基と、他方で活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と高い親和性を有するものが好ましい。
無機微粒子に結合もしくは吸着し得る官能基を有する表面処理剤としては、シラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシド硬化性樹脂や、リン酸基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性基を有する表面処理剤が好ましい。さらに有機成分との親和性の高い官能基としては単に有機成分と親疎水性を合わせただけのものでもよいが、有機成分と化学的に結合しうる官能基が好ましく、特にエチレン性不飽和基が好ましい。
本発明において好ましい金属酸化物微粒子の表面処理剤は、金属アルコキシドもしくはアニオン性基とエチレン性不飽和基を同一分子内に有する硬化性樹脂やカルボン酸等のアニオン性基を有するアクリル酸共重合ポリマー等である。
【0042】
これら表面処理剤の代表例として以下の不飽和二重結合含有のカップリング剤や、リン酸基含有有機硬化性樹脂、硫酸基含有有機硬化性樹脂、カルボン酸基含有有機硬化性樹脂等が挙げられる。
S−1 H2C=C(X)COOC3H6Si(OCH3)3
S−2 H2C=C(X)COOC2H4OTi(OC2H5)3
S−3 H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10OPO(OH)2
S−4 (H2C=C(X)COOC2H4OCOC5H10O)2POOH
S−5 H2C=C(X)COOC2H4OSO3H
S−6 H2C=C(X)COO(C5H10COO)2H
S−7 H2C=C(X)COOC5H10COOH
(X=H、あるいはCH3を表す)
【0043】
これらの無機微粒子の表面処理は、溶液中でなされることが好ましい。無機微粒子を機械的に微細分散する時に、一緒に表面処理剤を存在させるか、または無機微粒子を微細分散したあとに表面処理剤を添加して攪拌するか、さらには無機微粒子を微細分散する前に表面処理を行って(必要により、加温、乾燥した後に加熱、またはpH変更を行う)、そのあとで微細分散を行う方法でも良い。
表面処理剤を溶解する溶液としては、極性の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコール、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
【0044】
本発明において高屈折率層の形成には、活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。その中でも紫外線を用いてラジカルを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
【0045】
紫外線によりラジカルを発生させる重合開始剤の例としてはアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤が使用できる。また上記で挙げたように通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
【0046】
重合開始剤は、単独でも複数開始剤を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の添加量としては、高屈折率層を形成するための硬化性組成物中に含まれる硬化性樹脂の総質量に対し、0.1乃至15質量%の範囲で使用することが好ましく、1乃至10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
【0047】
これらの活性エネルギー線の照射により硬化性組成物が硬化して形成された高屈折率層の屈折率は、1.6以上、更に1.65以上が好ましく、低屈折率層の屈折率よりも0.2以上大きいことが好ましい。
【0048】
低屈折率層には、高屈折率層に使用する活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂と同様の硬化性樹脂を使用することができる。使用する樹脂の硬化後の屈折率は、1.6以下が好ましく、金属酸化物微粒子を用いる場合は屈折率の小さな二酸化ケイ素が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.4以上1.6以下であることがより好ましく、1.45以上1.55以下であることが更に好ましい。
【0049】
これらの高屈折率層と低屈折率層は、好ましくは硬化後の厚みが20〜150nmの範囲、より好ましくは50〜120nmの範囲となるように塗布液がそれぞれ塗布される。反射防止の効果を大きくするために光学距離(屈折率×厚み)を観測波長の4分の1にすることが好ましいが、高屈折率層を観察波長の4分の1からずらしても、低屈折率層の厚みで調整することは可能である。
本発明において、高屈折率層と低屈折率層は、ハードコート層上に上記活性エネルギー線硬化性組成物の塗布液を、高屈折率層、低屈折率層の順にスピナー法、グラビア法、ワイヤーバー法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、活性エネルギー線照射して、硬化させることにより形成することができる。
ハードコート層上に高屈折率層と低屈折率層を形成することにより、反射防止ハードコート層が作製される。
【0050】
上記反射防止層の反射率(正反射率)は、3.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましい。
【0051】
上記反射防止層の防汚性を向上させるために、低屈折率層にフッ素および/またはケイ素を含有する硬化樹脂を含有させたり、低屈折率層上にフッ素および/またはケイ素を含有する硬化樹脂を含有する層を設けることもできる。
低屈折率層に含有される上記硬化樹脂は、相当する硬化前の硬化性樹脂を挙げれば、公知のフッ素含有硬化性樹脂やケイ素含有硬化性樹脂、さらにはフッ素含有ブロックとケイ素含有ブロックを有する硬化性樹脂が挙げられる。なかでも、低屈折率層を主として構成する硬化樹脂及び/または金属酸化物等と、相溶性の良いセグメントとフッ素及び/またはケイ素を含有するセグメントとを有する硬化性樹脂が好ましく、その硬化物を低屈折率層が含有することで、表面にフッ素あるいはケイ素を偏在させることができる。
【0052】
フッ素及び/またはケイ素を含有する硬化性樹脂としては、フッ素あるいはケイ素を含有するモノマーと他の親水性あるいは親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。
上記フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表されるパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
上記ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。
上記親水性あるいは親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0053】
市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーのデフェンサMCF−300、312、323等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーのメガファックF−170、F−173、F−175等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーのメガファックF−171等(大日本インキ化学(株)製)や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系のモディパーF−200、220、600、820等、シリコン系のモディパーFS−700、710等(日本油脂(株)製)が挙げられる。
【0054】
低屈折率層の上に防汚性の層を設けるには、既に述べたことであるが、フッ素原子及び/または珪素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号、特開平2−19801号、特開平3−17901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
以上、本発明のタッチパネルを構成する反射防止ハードコート層について説明した。次に、本発明のタッチパネル及びタッチパネル搭載表示装置を構成する他の要素につき説明する。
【0055】
[偏光板]
インナー型のタッチパネルの場合は、タッチパネルの上部基板として円偏光板を直接用いることが好ましい。以下、本発明に用いられる円偏光板について、さらに説明する。
本発明の円偏光板は、偏光能を持つ偏光膜を有し、通常該偏光膜の両面又は片面に保護膜(保護膜)が接着剤層を介して設けられ、さらに片面側には、1/4波長板(λ/4板)が設けられる。
通常、長尺の偏光板(通常ロール形態)を製造し、それを用途に合わせて打ち抜くことにより、実用上の偏光板が得られる。
【0056】
本発明の円偏光板を構成するλ/4板としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折率フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフィルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフィルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフィルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースエステルフィルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を挙げることができる。
【0057】
液晶材料や配向方向、視野角特性などの観点から、λ/4板の遅相軸と偏光膜の吸収軸との角度は20°以上70°未満とするが、偏光膜の吸収軸と45°の角度で配置されることが望ましい。
また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、偏光板とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0058】
一般に、λ/4板、λ/2板などの位相差板は疎水性であり、透湿性が低くなるので、通常10%以上と比較的含水率の高い偏光膜と直に貼り合わせると、偏光膜中の水が偏光板外に揮発するまでの時間が長くなり、偏光度が低下したり、色ムラを生じたり好ましくない。したがって、通常は、λ/4板が偏光膜の保護膜を兼ねることができず、偏光板としては、保護膜/偏光膜/保護膜/(λ/4板)の構成となる。
しかし、最終的に偏光膜の含水率を5%以下の少ない状態に乾燥すると、λ/4板のように透湿性の低いフィルムを偏光膜の保護膜として、偏光膜に直接貼り合わせることができ、結果として、保護膜の使用枚数を減らすこととなり、偏光板全体の厚みを薄くすることができるので、この構成が好ましい。
また、セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板を用いると、当然偏光膜の保護膜として、偏光膜の含水量を特に少ない状態にすることなく、偏光膜に直接貼り合せることができ、非常に好適である。セルロースエステルフィルムを用いたλ/4板としては、セルロースエステルフィルム中に位相差を生じる化合物を混合した後に延伸などの手法で配向させて、λ/4板を作成してもよいし、セルロースエステルフィルムの上に、λ/4の位相差を有する層を塗布など手段で形成してもよい。また、λ/4の位相差を有する層は1層で形成されていてもよいし、λ/2の位相差を有する層とλ/4の位相差を有する層を積層して、広帯域のλ/4板を作成してもよい。
【0059】
偏光膜の吸収軸は長尺の偏光膜においては一般に長手方向に位置しているが、本発明では、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもないことが好ましい(かかる長尺の円偏光板を以下単に「斜め配向した」円偏光板と称することもある)。偏光膜の長手方向と吸収軸方向とがなす角度は、好ましくは10°以上90°未満、より好ましくは20°以上70゜未満、更に好ましくは40°以上50゜未満、特に好ましくは44°以上46゜未満である。これにより、貼合せ前に偏光板とλ/4板を打ち抜き、枚葉で貼り合せるということをせず、ロール・ツー・ロールの貼合せで連続的に長尺の円偏光版が作製することができ、非常に好適である。
【0060】
また、本発明に用いられる円偏光板の単板透過率は、550nmで35%以上かつ偏光度が550nmで80%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、偏光度は好ましくは95.0%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。
【0061】
[本発明のタッチパネルの概要]
本発明のタッチパネルは、第一、第二の透明基板として、液晶セルに近い側の固定基板と、対向する可動基板とからなる。固定基板と可動基板の対向面に、それぞれ透明導電膜を備えている。
基板が円偏光機能を備えないタッチパネルの場合、固定基板及び可動基板は、表示品質を高めるため、透明な光学材料で形成されていることが好ましく、可動基板としては上記の反射防止ハードコート付き透明基板を用いることが望ましい。透明な基板としてはフィルム、プラスチック、硝子のどれでもよいが、入力の差異を感じる入力感の観点から、可撓性を有する透明フィルムが特に望ましい。透明フィルムの例としては非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムが挙げられるが、これに限るものではない。反射防止ハードコート付き透明基板は、透明導電膜付き透明基板に張り合わせてもよいし、反射防止膜付き透明基板の反射防止膜とは反対側に透明導電膜を形成してもよい。
固定基板としては、例えば、ガラスおよび非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムなどが挙げられる。
また、インナー型タッチパネルの場合は、可動基板としては、円偏光板を用いてもよいし、または上記で挙げた透明フィルム上に円偏光板を貼り合わせたものを用いてもよい。また、可動基板表面に上記の反射防止ハードコート層付き透明フィルムを貼り付けてもよいし、反射防止ハードコート層付き透明フィルムをλ/4板とは逆側に位置する保護膜として直接偏光膜に貼り付けて、円偏光板として一体化してもよい。固定基板としては、例えば、ガラスおよび非晶性フィルム、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、セルロースエステル、環状ポリオレフィンなどのポリマーフィルムなどを用いる。また、一般の透過型液晶装置のように、液晶セルの両側に直線偏光板が配置されている表示機器に、今回発明のタッチパネルを搭載する場合は、タッチパネルの固定基板としてλ/4機能を有するフィルムを用いる、または、λ/4機能を有するフィルムを透明基板に貼り付けて使うことも可能である。
【0062】
2つの透明導電膜間には、ギャップが形成される。ギャップ間には通常空気層が存在するが、オプティカル・マッチングを取るために透明導電膜と屈折率の近い液体を充填させることもできる。また、透明導電膜の基板側にアンダーコート層、または、基板と反対側にオーバーコート層を付与し、光反射を低減させることもできる。スティッキング性をなくし、耐久性を改善するために、透明電極膜表面は粗面化されていてもよい。ギャップ間にはスペーサを設けることができる。スペーサとしては、ドット状スペーサを固定基板または可動基板のどちらかに設ける。ドットスペーサーのサイズは径20〜150μm、高さ5〜20μmが望ましく、ピッチ1〜8mmで基板全面に作製されていることが望ましいが、作製密度は基板内で均一でない場合もある。
【0063】
タッチパネルは、デジタル式、アナログ式のどちらとしても用いられる。デジタル式では、押圧による透明電極同士の接触と、接触位置に対応してデータ位置を検出することができる。アナログ式では、例えば、固定基板のX軸方向の両端部、および、可動基板のY軸方向の両端部に電極を形成し、押圧により透明電極同士が接触し、接触位置により生じるX方向、Y方向の抵抗値を検出することによって、データ入力位置を検出することができる。
本発明においては、タッチパネルは表示素子と共に用いられることが好ましい。タッチパネル部が表示部とは別々になっていても構わないし、両者が一体となっていても構わない。タッチパネルを偏光板(あるいは円偏光板)とともに用いる場合、偏光板がタッチパネルと表示素子との間にあっても構わないし(タッチパネルAタイプ)、円偏光板がタッチパネルの外側(操作者側)に設けられても構わない(タッチパネルBタイプ、いわゆるインナー型タッチパネル)。外光の反射の低減、コントラストの向上の面からは、タッチパネルBタイプを用いる方が好ましい。
【0064】
[透明導電膜]
本発明のタッチパネルに用いる透明導電膜としては、表面抵抗率は、2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがさらに好ましい。さらに好ましくは100Ω/□以上900Ω/□以下である。
可動基板、固定基板とも少なくとも片方の表面には透明導電性膜が必要であり、可動基板用には、反射防止ハードコートと反対側の面に透明導電膜を設け、タッチパネルとして用いることが特に好ましい。
【0065】
透明導電膜の表面抵抗率を上記のような値にするためには、導電性微粒子分散物、金属アルコキシドなどの塗布によって設けても構わないし、スパッタリング、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法によっても、大気圧での気相成長法によって透明導電膜を形成しても構わないが、好ましくはスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、特に好ましくはスパッタリング法である。
【0066】
真空成膜法にとしては「透明導電膜の新展開」シーエムシー、澤田 豊監修=u月刊ディスプレイ」1999年9月号に記載の方法を用いることができる。
成膜する金属酸化物としてはIn2O3系(Snなどドープ品、ITO含む)、SnO2系(F、Sbなどドープ品含む)、ZnO系(Al、Gaなどのドープ品含む)またはこれらの複合品In2O3−ZnO系などが挙げられる。金属窒化物としてはTiNなどが挙げられる。
また、銀などと共に成膜しても良い。
【0067】
スパッタなどでポリマーフィルム上に成膜する際にはその表面をフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、プロピレン系樹脂、ビニル系樹脂などの高分子や、SiO2,TiO2,ZrO2,SnO2などの無機物でコートすることが好ましい。また、高分子中に無機微粒子を分散してコートすることも好ましい。コートする膜厚としては2nm以上100μm以下が好ましく、さらに好ましくは2nm以上50μm以下であり、特に好ましくは2nm以上10μm以下である。
スパッタ法により酸化インジウムを主として含む膜を成膜する方法としては、インジウムを主成分とする金属ターゲット、または酸化インジウムを主成分とする焼結体であるターゲットを用いた反応性スパッタリングを行うことができる。反応の制御上、後者が好ましい。特に好ましくは酸化スズを含有する酸化インジウムであり、酸化スズを1重量%から20重量%含むのが望ましく、3重量%から12重量%含むのが特に望ましい。反応性スパッタリング法においてはスパッタリングガスとしては、アルゴンなどの不活性ガスを用い、反応性ガスとしては酸素を用いる。また、酸素の流量を制御する方法としてはプラズマエミッションモニター法で行うことが好ましい。放電形式には特に規定しないが、DCマグネトロンスパッタ、RFマグネトロンスパッタ、1対のターゲット間にAC電圧を印加する方法などが好ましい。成膜時の基板の温度は特に規定はないが、基板の硝子転移点以下で可能な範囲で加熱した方が膜強度は向上する傾向がある。
【0068】
透明導電膜を付与したポリマーフィルムの光の透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、85%以上であることが特に好ましい。タッチパネルBタイプの場合には偏光板を作成する前にλ/4板または他の透明フィルムの上に透明導電膜を形成することが望ましく。上記透過率はこの状態での透過率を示す。
【0069】
透明導電膜の厚みは、ITOを用いた場合を例にとると、5〜200がよく、好ましくは5〜150nm、更に好ましくは5nm〜30nm、最も好ましくは7〜20nmである。透明導電膜は、全面を電極として用いる場合と、全面電極形成後にレジスト形成およびエッチングを行ってパターン加工して用いる場合がある。
【0070】
本発明のタッチパネルは、様々な表示装置と組み合せて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶表示装置などである。本発明のタッチパネルを用いることで、これらタッチパネル付き表示装置の外光の反射を低減することができる。この表示装置の中では、液晶表示装置または有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイと組み合せて用いるのが好ましい。
【0071】
液晶表示装置と組み合わせて用いる場合は、用いられる液晶モードは特に限定されないが、TN(twisted nematic )型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型、OCB(Optically Compensated bend)型、ECB(Electrically controlled birefringence)型、VA(Vertically Aligned)型または、GH(Guest Host)型であることが好ましい。また、反射型、半透過型、透過型いずれに対しても用いることができる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
(プラスチックフィルムの作製)
室温において、平均酢化度59.7%のセルロースアセテート120質量部、トリフェニレンホスフェート9.36質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート4.68質量部、メチレンクロリド538.2質量部、メタノール46.8質量部を混合して溶液(ドープ)を作製した。得られたドープを、ステンレス製バンド上に流延し、自己支持性を持つまでフィルムを乾燥した後バンドから剥ぎ取った。このフィルムを120℃、30分乾燥した。
このようにして得られたフィルムの厚みは78μmであった。
【0074】
(ハードコート層の形成)
(ハードコート用素材の作製)
(開環重合性基含有化合物Aの合成)
メチルエチルケトン(MEK)275mlを窒素気流下、60℃で1時間攪拌後、V−65(和光純薬製重合開始剤)0.5gをMEK8.3mlに溶解したものを全量添加した。その後、グリシジルメタクリレート(50g)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、V−65(0.5g)のMEK(8.3ml)溶液を添加し、2時間反応させた。その後、反応温度を80℃として2時間反応させ、反応終了後、室温まで冷却させた。得られた反応溶液をヘキサン10Lに1時間かけて滴下し、沈殿物を35℃、8時間減圧乾燥し、開環重合性基含有化合物Aを45g得た。
【0075】
(無機架橋微粒子分散液の調製)
セラミックコートのベッセルに各試薬を以下の量を計量した。
・メチルイソブチルケトン 234g
・アニオン性官能基含有表面処理剤 S−6(X=H)
H2C=C(X)COO(C5H10COO)2H 36g
・アルミナC(日本アエロジル(株)社製 平均粒径:13nm) 180g
上記混合液をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて1600rpm、10時間微細分散した。メディアは1mmφのジルコニアビーズを1400g用いた。分散後、ビーズを分離し、表面処理した無機架橋微粒子分散液を得た。
【0076】
(ハードコート液(h−1)の調製)
エチレン性不飽和基含有化合物(DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製))と開環重合性基含有化合物Aとラジカル重合開始剤(イルガキュア184(チバガイギー社製))とカチオン重合開始剤(UVI−6990(ユニオンカーバイド日本(株)製)をメチルイソブチルケトン/メチルエチルケトン混合溶液(1/1)に溶解後、上記無機架橋微粒子分散液の混合液を添加し、30分間攪拌し、ハードコート液を作製した。なお、エチレン性不飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物との混合比は、質量比で65:35であり、架橋微粒子は、ハードコート層中の体積充填率が12.8%になるように調整した。
重合開始剤は、エチレン性不飽和基含有化合物と開環重合性基含有化合物の総質量に対し、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤を各々2.9質量%ずつ添加した。
【0077】
(ハードコート付きプラスチックフィルムの作製)
上記にて作製したプラスチックフィルムを用い、上記にて作製したハードコート液をワイヤーバーで塗布、100℃で2分乾燥し、750mJ/cm2の紫外線照射後、100℃、10分加熱することによって、10μmのハードコート付きプラスチックフィルムを作製した。
【0078】
(反射防止層の作製)
(1)高屈折率層塗布液の調製
二酸化チタン微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散し、質量平均径55nmの二酸化チタン分散液を調製した。前記二酸化チタン分散物にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、日本化薬(株)製)と、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製、モノマーの合計量(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーの合計量に対し5%)とを混合し、高屈折率層の屈折率が1.85になるように調整した。
【0079】
(2)低屈折率層塗布液の調製
ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA、日本化薬(株)製)60質量部、光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)2質量部、メガファック531A(C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、大日本インキ化学工業(株)製)9質量g、およびメチルエチルケトンを混合、攪拌して、低屈折率層の塗布液を調製した。
屈折率の調整は、二酸化ケイ素微粒子(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)30.0質量部、カルボン酸基含有モノマー(アロニクスM−5300東亞合成(株)製)4.5質量部およびシクロヘキサノン65.5質量部を、サンドグラインダーミルにより分散調整した、質量平均径12nmの二酸化ケイ素微粒子分散液を添加して行った。本実施例では屈折率が1.53となるように調整した。
【0080】
(3)反射防止層付きハードコートフィルムの形成
ハードコート付きプラスチックフィルム(ハードコートフィルムと同義)に、高屈折率層塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が75nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し、さらに、高屈折率層の上に低屈折率層塗布液を乾燥膜厚が90nmになるように塗布、乾燥、紫外線照射し反射防止層を形成した反射防止ハードコートフィルムを得た。
【0081】
(位相差板の作製)
室温において、平均酢化度59.5%のセルロースエステル100質量部、トリフェニルホスフェート7.8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート3.9質量部、下記のレターデーション上昇剤1.32質量部、メチレンクロリド587.69質量部、メタノール50.85質量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
【0082】
【化6】
【0083】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースエステルフィルムをバンドから剥離し、120℃で10分間乾燥した後、130℃で流延方向とは平行な方向に実倍で1.34倍に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、120℃で30分間乾燥した後、延伸フィルムを取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%であった。
得られたポリマーフィルムフィルム(PF−1)の厚さは、113μmであり、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、125.2nm、137.8nmおよび141.1nmであった。従って、このセルロースエステルフィルムは、広い波長領域でλ/4を達成していた。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算したところ、1.48であった。
【0084】
(透明導電膜付き位相差板の形成)
上記位相差板を巻取り型のスパッタリング装置にセットして、真空槽を1.2mPaの圧力まで排気した後、Ar+O2混合ガス(O2=1.5%)を導入し、圧力を0.25Paに調整した後、基板温度を25℃、投入電力密度1W/cm2にて、スパッタリングを行ない、厚み20nmのIn2O3系の透明導電膜を形成した。
このようにして得られた透明導電膜付き位相差フィルムの透明導電膜側の表面抵抗率を、4端子法にて測定した結果、420Ω/□であり、光の透過率は89%であった。
【0085】
(タッチパネル上部基板の作製)
上記位相差板の透明導電膜を設けた面の反対側の面と、上記反射防止層付きハードコートフィルムの反射防止層を設けた面の反対側の面がそれぞれ偏光膜と接するように、透明導電膜付き位相差板と反射防止層付きハードコートフィルムを同時に偏光膜に貼り付けた。位相差板の延伸方向(遅相軸方向と平行)と偏光膜の透過軸方向とのなす角は45°とした。このようにして、タッチパネル上部基板を作製した。
【0086】
(タッチパネルの作製)
片面の表面抵抗率が415Ω/□の透明導電膜(ITO)が付いた0.7mm厚みのガラス板を用意し、表面に1mmピッチで70μm径のドットスペーサを印刷した後、周辺部に絶縁コートおよび銀電極を印刷し、基板の長辺側の両端部に直線状に透明導電膜と接するような銀電極を形成した。また、上記タッチパネル上部基板の周辺部に絶縁コートおよび銀電極を印刷し、基板の短辺側の両端部に直線状に透明導電膜と接するような銀電極を形成した。銀電極を形成したガラス板と上部基板をそれぞれ透明導電膜同士が対向するように接着し、その後、銀電極からの電気信号を読み出すための4端子のフレキシブル電極を取り付けた。接着は両基板の周囲に絶縁性貼り合せ剤を形成し、両基板間に70μmの空間を設けるように行った。このようにしてタッチパネルを作製した。
【0087】
(タッチパネル付き反射型液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、偏光板と位相差板を剥がし、上記で作製したタッチパネルを取り付け、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0088】
[実施例2]
高屈折率層の屈折率を1.80低屈折率層の屈折率を1.50に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0089】
[実施例3]
高屈折率層の屈折率を1.70、厚みを80nm、低屈折率層の屈折率を1.50に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0090】
[実施例4]
高屈折率層の屈折率を1.90、厚みを72nm、低屈折率層の屈折率を1.50に変更する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0091】
[実施例5]
ハードコート層の膜厚を18μmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0092】
[実施例6]
ハードコート層を下記の通りに形成する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
(ハードコート層の形成)
(ハードコート液(h−2)の作製)
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12,000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295;大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部を30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを撹拌しながら混合し、ハードコート層塗布液を作製した。
【0093】
(ハードコート付きプラスチックフィルムの作製)
実施例1と同じプラスチックフィルムを用い、上記にて作製したハードコート液をワイヤーバーで塗布した後、100℃で2分乾燥し、750mJ/cm2の紫外線照射後、100℃、10分加熱することによって、17μmのハードコート付きプラスチックフィルムを作製した。
【0094】
[実施例7]
ハードコート層の膜厚を39μmに変更する以外は、実施例6と同様の方法で、各評価を実施し、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0095】
[実施例8]
ハードコート層を下記の通りに形成する以外は、実施例1と同様の方法で、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
(ハードコート液(h−3)の調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌してハードコート層用塗布液を調製した。
【0096】
(ハードコート付きプラスチックフィルムの作製)
実施例1と同じプラスチックフィルムを用い、上記にて作製したハードコート液をワイヤーバーで塗布した後、100℃で2分乾燥し、750mJ/cm2の紫外線照射し、3μmのハードコート付きプラスチックフィルムを作製した。
【0097】
[実施例9]
ハードコート層の膜厚を10μmに変更する以外は、実施例8と同様の方法で、各評価を実施し、タッチパネル付き反射型液晶表示装置を作製した。
【0098】
[実施例10]
実施例1で用いた反射防止ハードコート付きフィルムの反射防止膜と逆側の面に実施例1と同じ透明導電性膜を設けてタッチパネルの可動基板とした以外は実施例1と同様の方法でタッチパネルを作製した後、TN型液晶セルを使用した、タッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)に設けられているタッチパネル部を取り外し、作製したタッチパネルを取り付けた。
【0099】
[比較例1]
TN型液晶セルを使用したタッチパネル付き反射型液晶表示装置(パワーザウルスMI−C1、シャープ(株)製)にて、それぞれの項目について評価を実施した。尚、フィルムの透過率、ヘイズ、鉛筆硬度、反射率、スチールウール耐性、消しゴム擦りについては、表面のハードコート付きプラスチックフィルムを上記装置から剥がし、測定を実施した。
【0100】
[比較例2]
TN型液晶セルを使用したタッチパネル付き反射型液晶表示装置(CLIE PEG−N700C、ソニー(株)製)にて、それぞれの項目について評価を実施した。コントラスト測定はフロントライトの導光板を取り外した状態で行った。尚、フィルムの透過率、ヘイズ、鉛筆硬度、反射率、スチールウール耐性、消しゴム擦りについては、表面のハードコート付きプラスチックフィルムを上記装置から剥がし、測定を実施した。
【0101】
それぞれの評価方法は、以下の方法で行った。結果を表1に示した。
なお、鉛筆硬度試験、スチールウール試験、消しゴム擦り、防汚性、反射率の評価は反射防止ハードコートフィルムの状態で実施した。また、動作性、コントラストの評価はタッチパネル付き画像表示装置の状態で実施した。
・鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆硬度のなかで最大硬度の値である。
・表面反射率の測定;裏面をサンドペーパーで擦り、黒マジックを塗り裏面の反射が起こらないようにした試料を作製し、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、450〜650nmの波長領域における入射光5゜における正反射の表面反射率を求めた。
・スチールウール試験;#0000のスチールウールを用い、1.96N/cm2の荷重を掛けながら擦った時の傷が目視で見えるようになる回数を求めた。
・消しゴム擦り;ライオン(株)製消しゴムNo.50を用いて9.8Nの荷重で、表面を50往復させ、表面の損傷を目視で評価した。傷の発生、変化が認められないものを○とした。
・防汚性;フィルム表面に書いた速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を東レ(株)製「トレシー」(登録商標)を用いて数回擦ってふき取った状態の評価(○は書いた跡が完全にふき取れた状態、△は一部がふき取れずに残った状態、×は大部分がふき残った状態)。
・タッチパネルの動作性確認および光学特性の測定;上記実施例1〜7、比較例1〜3にて作製したタッチパネル付き反射型液晶表示装置の動作確認を実施、また測定機(CM−2002 ミノルタ(株)製)を用いて、黒表示反射率、白表示反射率を測定し、コントラスト(白表示反射率/黒表示反射率)を算出した。
【0102】
【表1】
【0103】
上記の表2に示される結果から明らかなように、本発明のタッチパネルは優れた動作性及びコントラストを有しながら、同時に優れた鉛筆硬度および耐擦傷性も有し、さらには防汚性にも優れている。
【0104】
【発明の効果】
本発明のタッチパネルは、表面硬度が高くかつ耐擦傷性に優れ、表示装置に適用したときに、良好な動作性及びコントラストを有するなどの視認性に優る。
また、本発明のタッチパネルを装着したタッチパネル付き表示装置は、視認性が良好であり、表面の耐擦傷性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タッチパネル一体型透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である(タッチパネルAタイプ)。
【図2】タッチパネル一体型透過型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式図である(タッチパネルBタイプ)。
【符号の説明】
1 バックライト
2 円偏光板
3 液晶セル
4 下部基板
5 透明導電膜
6 透明導電膜
7 上部基板
8 ハードコート層
9 高屈折率層
10 低屈折率層
11 反射防止ハードコート層
12 タッチパネル
Claims (3)
- 少なくとも片面に透明導電膜を有する第一の透明基板と第二の透明基板とが、透明導電膜同士が対向するように配置されたタッチパネルであって、
(a)該タッチパネルの最外層として、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物からなるハードコート層及び屈折率の異なる2層以上の層からなる反射防止ハードコート層を有し、かつ
(b)該反射防止ハードコート層の屈折率の異なる各層が、活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性樹脂の硬化物を主体とする層または該硬化物と金属酸化物微粒子とを主体とする層である、
ことを特徴とするタッチパネル。 - 少なくとも操作者面側の透明基板が円偏光機能を有していることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
- 請求項1または2に記載のタッチパネルを搭載した表示装置。
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