JP2004045750A - 高含水性眼用レンズ及びその製造方法 - Google Patents

高含水性眼用レンズ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004045750A
JP2004045750A JP2002202969A JP2002202969A JP2004045750A JP 2004045750 A JP2004045750 A JP 2004045750A JP 2002202969 A JP2002202969 A JP 2002202969A JP 2002202969 A JP2002202969 A JP 2002202969A JP 2004045750 A JP2004045750 A JP 2004045750A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ophthalmic lens
lens
diethylene glycol
polymerizable monomer
monomer composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002202969A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Ichihara
市原 真治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Menicon Co Ltd
Original Assignee
Menicon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Menicon Co Ltd filed Critical Menicon Co Ltd
Priority to JP2002202969A priority Critical patent/JP2004045750A/ja
Priority to US10/614,375 priority patent/US20040010082A1/en
Priority to EP03254313A priority patent/EP1380856A3/en
Publication of JP2004045750A publication Critical patent/JP2004045750A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
    • G02B1/041Lenses
    • G02B1/043Contact lenses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/14Macromolecular materials
    • A61L27/16Macromolecular materials obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2430/00Materials or treatment for tissue regeneration
    • A61L2430/16Materials or treatment for tissue regeneration for reconstruction of eye parts, e.g. intraocular lens, cornea

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Eyeglasses (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

【課題】凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒したり等しても、極めて優れた寸法安定性を実現し、且つ白濁することのない高含水性眼用レンズと、そのような優れた特性を有する高含水性眼用レンズを有利に製造する方法を、提供すること。
【解決手段】酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物を重合し、そしてその得られた共重合体をケン化処理することによって、含水率が73〜84%の高含水性眼用レンズを、形成せしめた。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズ等の高含水性眼用レンズ及びその製造方法に係り、特に、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒す等しても、極めて優れた寸法安定性を実現し、且つ白濁することのない高含水性眼用レンズと、そのような高含水性眼用レンズを有利に製造する方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、コンタクトレンズは、軟質のソフトコンタクトレンズと、硬質のハードコンタクトレンズの2種類に大別され、何れのコンタクトレンズにあっても、角膜に対して充分な酸素が供給され得るように、酸素透過性のより一層優れたものが、求められている。
【0003】
そして、このコンタクトレンズにおける酸素透過性は、酸素のレンズ素材への溶け込み易さ(溶解)やレンズ素材中における酸素の移動のし易さ(拡散)に大きく依存し、それら酸素の溶解や拡散が行われ易いもの程、酸素透過性に優れたレンズとなることが、知られているのである。具体的には、ハードコンタクトレンズの場合には、酸素がレンズ素材の分子間隙を通過する等して、角膜に供給されるようになっているところから、分子間隙を大きくしたり、酸素との親和性が高い成分を使用すること等によって、酸素透過性の向上が図られている。しかしながら、ハードレンズは、眼にゴミ等が入ると大変痛いことから、近年においては、装用感に優れたソフトコンタクトレンズ、中でも、使い捨て型のソフトコンタクトレンズの需要が、急速に伸びてきている。而して、かかるソフトコンタクトレンズの酸素透過性は、シリコーン系素材からなるものを除き、レンズに含まれる水に溶け込んだ酸素が移動することにより、酸素がレンズを透過して角膜に供給されるようになっているところから、含水率に依存することとなり、このため、含水率の高いレンズが、特に、望まれているのである。
【0004】
ところで、ビニルアルコール単位を主成分とするポリビニルアルコール系高分子材料は、含水率が高く、官能基として有するアルコール性水酸基(−OH基)が中性且つ非イオン性であること等から、酸素透過性に優れ、また、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れが付着し難くなる等といった効果も得られるところから、コンタクトレンズ材料として特に好ましい材料であると考えられ、これまでに、各種のものが提案されている。
【0005】
例えば、特開平2−15233号公報には、脂肪酸ビニルエステルを主成分とし、これと、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー(以下、マクロモノマーと呼称する)と、所定の架橋剤との共重合体を用い、それをケン化して得られるポリビニルアルコール系高分子材料が、提案されているのであるが、かかるマクロモノマーは、生産上、複雑な工程を必要とするために、生産コストが高くなるという欠点を有しているのである。しかも、このマクロモノマーは、分子内に少なくとも平均1個の重合性基を有するところから、2個以上の重合性基を有するものは、架橋剤の如き作用を為し、多量に使用すれば、レンズが脆くなったりする問題があり、また、そのようなマクロモノマーは、高分子量のモノマーであるところから、分子量分布が存在して、一定の分子量とならず、且つ、1分子中の重合性基の数も一定とはならないところから、そのようなマクロモノマーを用いて作製されたレンズは、含水率が一定とならず、変動するといった欠点をも有するものであった。
【0006】
さらに、特開平9−40719号公報や特開平9−40720号公報には、酢酸ビニルを、架橋性モノマーであるトリアリルイソシアヌレート乃至はジアリリデンペンタエリスリットと重合して得られる共重合体を用い、そのような共重合体をケン化したポリビニルアルコール系高分子材料からなるコンタクトレンズが提案されているのであるが、何れのレンズにあっても、架橋性モノマーの添加量を僅かに変えるだけで、含水率が大きく変化してしまうところから、製造上において、問題を内在するものであったのである。
【0007】
加えて、上述せる如き、従来から提案されているポリビニルアルコール系高分子材料からなるコンタクトレンズにあっては、含水率の高いもの程、5℃程度といった低温下に長期間晒されたり、また凍結と解凍が繰り返されたり等すると、ポリビニルアルコール鎖の結晶化に起因すると推察される、レンズサイズの縮小やレンズの白濁等といった、眼用レンズにとっては致命的な問題が惹起される恐れを内在しており、冬期においては、その使用が困難であることが、明らかとなったのである。
【0008】
なお、かかる結晶化を防止するために、特開平6−102471号公報には、結晶化を防止する成分となる、耐凍結性を付与してサイズ変化を抑制する成分として、マレイン酸エステルやN−ビニルラクタム類が重合性成分の一つとして添加されたポリビニルアルコール系の重合体からなる含水性コンタクトレンズが提案され、これによって、耐凍結性に優れたレンズが得られるようになったのであるが、前者のマレイン酸エステルを共重合成分として用いたレンズは、共重合後のケン化により、エステルが加水分解されて、ポリマー鎖にカルボン酸が残り、このため、レンズがマイナスの電荷を有することとなって、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れが吸着され易くなるという問題を内在しているのである。また、後者のN−ビニルラクタムを共重合成分として用いたレンズにあっても、アミド基が塩基性であるところから、酸性汚れが付着し易くなるという問題を内在している。しかも、何れのレンズにあっても、強度が極端に低いという問題を有するものであったのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒したり等しても、極めて優れた寸法安定性を実現し、且つ白濁することのない高含水性眼用レンズと、そのような優れた特性を有する高含水性眼用レンズを有利に製造する方法を、提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の課題とするところは、レンズ素材自体を、陰イオンや陽イオンを生じない非イオン性とすることにより、耐汚れ付着性に優れた眼用レンズを提供することにあり、更に、別の解決課題とするところは、実用上において問題のない、充分な強度を有する眼用レンズを提供することにある。
【0011】
加えて、上述せる如き特徴を有する眼用レンズを、安定的に且つ安価に製造する方法を提供することも、その解決課題とするものである。
【0012】
【解決手段】
そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ビニルアルコール単位[−CH2 −CH(OH)−]を与えるモノマー成分として、酢酸ビニルを選択すると共に、架橋性モノマー(架橋剤)としてジエチレングリコールジビニルエーテルを採用し、それら2成分のみからなる重合性モノマー組成物にてポリビニルアルコール系高分子材料を形成して、その含水率を73%〜84%の範囲内に設定すれば、従来のポリビニルアルコール系高分子材料において問題となっていた結晶化が有利に抑制乃至は阻止され、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度(1℃〜9℃)の低温下に長期間晒されたり等しても、極めて優れた寸法安定性を実現し、且つ白濁することのない、高含水性眼用レンズが得られることを見出したのである。
【0013】
従って、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、ビニルアルコール単位を主成分として含有する高分子材料からなる眼用レンズにして、前記高分子材料が、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物を重合せしめて得られた共重合体をケン化処理することによって、形成されると共に、73%〜84%の含水率を有し、且つ、かかる高分子材料からなる眼用レンズを、−10℃以下の温度にて12時間以上放置する凍結操作と、15℃〜30℃の温度にて6時間以上放置する解凍操作とを、3回繰り返した後において、及び/又は、1℃〜9℃の温度にて3ヶ月間保存した後において、該眼用レンズの寸法変化率が±2%未満であると共に、白濁しないことを特徴とする高含水性眼用レンズにある。
【0014】
すなわち、かかる本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、それを与える高分子材料として、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルの2成分からなる重合性モノマー組成物を重合して得られた共重合体をケン化処理することによって得られるものが採用されていると共に、73%〜84%という高含水性が確保されているところから、結晶化が有利に抑制乃至は阻止され、これによって、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒されたり等しても、レンズサイズの縮小やレンズの白濁等といった、眼用レンズにおいては致命的な問題が何等惹起されることがなく、寸法安定性及び透明性に優れた高含水性眼用レンズが得られることとなったのである。
【0015】
なお、レンズの結晶化が抑制乃至は阻止されるメカニズムは、未だ明らかにされてはいないものの、架橋によるポリマー鎖の自由度が低下することや、架橋性モノマーであるジエチレングリコールジビニルエーテルのポリエーテル構造が、何等かの影響を与えていることに依るものと推察されている。
【0016】
また、ジエチレングリコールジビニルエーテルは、その理由は明らかではないものの、トリアリルイソシアヌレートやジアリリデンペンタエリスリットとは異なり、その使用量の少量の変化で、含水率が大きく変化するようなことが無いところから、所望とする含水率の眼用レンズを、安定して得ることが出来るようになっているのである。
【0017】
さらに、そのような本発明に係る眼用レンズを構成する高分子材料は、官能基として、アルコール性OH基を有し、通常のレンズの使用条件下(中性付近)において、非イオン性であることから、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも、付着し難くなっているのである。
【0018】
加えて、本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、従来のマレイン酸エステル等を用いたポリビニルアルコール系高分子材料とは異なり、強度が著しく低下するようなこともなく、このため、眼用レンズに必要とされる強度を充分に確保することが出来るのである。
【0019】
なお、このような本発明に従う高含水性眼用レンズの好ましい態様の一つによれば、前記重合性モノマー組成物が、前記酢酸ビニルの92〜98.5重量%と、前記ジエチレングリコールジビニルエーテルの1.5〜8重量%とから構成されていることが望ましく、このような構成を採用することによって、73%〜84%の含水率が、極めて有利に実現されることとなる。
【0020】
また、本発明は、上述せる如き高含水性眼用レンズを製造する方法にして、目的とする眼用レンズ形状を与える重合成形型の成形キャビティ内に、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる前記重合性モノマー組成物を収容して、光重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことを特徴とする高含水性眼用レンズの製造方法も、また、その要旨とするものである。このような本発明に係る製造方法に従って、眼用レンズを作製すれば、上述せる如き寸法安定性や透明性等の特性に優れた、所望とする眼用レンズを、極めて有利に製造することが出来るのである。しかも、光重合法を採用することによって、熱重合に比して重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るといった効果が享受され得るのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
ここにおいて、本発明に従う高含水性眼用レンズは、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルの2成分とからなる重合性モノマー組成物を重合せしめ、その得られた共重合体を、ケン化処理することによって形成される、ポリビニルアルコール系高分子材料からなるものであり、その含水率が、73%〜84%の範囲内となるように構成されている。
【0022】
けだし、眼用レンズの含水率が73%に満たないような場合には、所望とする高い酸素透過性が得られず、また、レンズ自体の強度も低下するからであり、一方、含水率が84%を越えるようになると、レンズの結晶化を防止することが不可能となって、凍結・解凍を繰り返したり、低温度下に長期間保存することにより、レンズサイズが縮小したり、レンズが白濁するようになるからである。
【0023】
そして、上述せる如き重合性モノマー組成物を構成する成分の一つである酢酸ビニルは、主たる構成成分であって、重合後のケン化処理により、エステル結合が加水分解せしめられて、ビニルアルコール単位[−CH2 −CH(OH)−]を与えるものであり、かかるビニルアルコール単位の水酸基によって、目的とする眼用レンズに含水性が付与され得るようになっているのである。
【0024】
なお、上記した酢酸ビニルに代えて、共重合後のケン化処理によって容易に加水分解されてビニルアルコール単位を与え得る、プロピオン酸ビニルや酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、クロロ酢酸ビニルのうちの何れかを用い、これとジエチレングリコールジビニルエーテルとを共重合した場合には、ケン化処理後のレンズに、必要とされる弾性が充分に得られなくなるのである。これは、これらの酸の立体的な構造障害、酸強度の低下乃至は上昇等に起因して、重合性が変化したことによって、架橋性モノマーであるジエチレングリコールジビニルエーテルとの共重合性が悪化するためであると推察される。
【0025】
一方、上述せる如き酢酸ビニルと共に重合せしめられる、重合性モノマー組成物を構成する成分の一つであるジエチレングリコールジビニルエーテルは、架橋性モノマー(架橋剤)であって、眼用レンズを与える高分子材料に橋かけ結合を形成し、眼用レンズに必要とされる形状保持性や適度な弾性を確保せしめるためのものである。
【0026】
なお、上述せる如きジエチレングリコールジビニルエーテルに代えて、同様な構造を有するジエチレングリコールジアリルエーテルを用い、これと酢酸ビニルとを共重合した場合には、重合が充分に進行せず、重合工程後においても、液体であったり、また、固体となっても、ケン化処理後のレンズに、必要とされる弾性が充分に得られなくなるのである。これは、ジエチレングリコールジアリルエーテルに替えたことから、酢酸ビニルとの共重合性が悪化するためだと推察される。
【0027】
而して、上述せる如き酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルの配合割合としては、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物の100重量部に対して、ジエチレングリコールジビニルエーテルが1.5〜8重量部となる割合が、好適に採用されることとなる。換言すれば、酢酸ビニルの配合割合としては、重合性モノマー組成物の92〜98.5重量%となる割合が採用される一方、ジエチレングリコールジビニルエーテルの配合割合としては、重合性モノマー組成物の1.5〜8重量%となる割合が、有利に採用されるのである。
【0028】
何故ならば、かかるジエチレングリコールジビニルエーテルの配合割合が1.5重量%未満である場合には、目的とする眼用レンズの架橋密度が充分でないためなのかどうかは明らかではないものの、凍結・解凍を繰り返したり、5℃付近の低温度に長期間保存することにより、レンズサイズが縮小したり、レンズが白濁する等といった、結晶化に起因すると推察される問題を効果的に抑制乃至は阻止することが出来なくなるからであり、逆に、ジエチレングリコールジビニルエーテルの配合割合が8重量%を超える場合には、目的とする眼用レンズの含水率が70%にも満たず、高い酸素透過性が得られないのみならず、架橋密度が多くなり過ぎてレンズが脆くなるからである。
【0029】
因みに、後述する実施例からも明らかなように、ジエチレングリコールジビニルエーテルが、重合性モノマー組成物の1.5重量%となる割合において用いられた場合には、得られるレンズの含水率は84%程度となる一方、8重量%となる割合において用いられた場合には、得られるレンズの含水率は73%程度となるのである。
【0030】
これに対して、特開平9−40719号公報及び特開平9−40720号公報においては、本発明に用いられるジエチレングリコールジビニルエーテルの代わりに、トリアリルイソシアヌレート及びジアリリデンペンタエリスリットが、それぞれ、架橋性モノマーとして使用されているのであるが、そのような架橋性モノマーを、本発明に従って、1.5〜8重量%の配合割合となるように使用しても、70%以上の含水率は得られず、また、架橋性モノマーの添加量を僅かに変えるだけで、含水率が大きく変化するようになる。
【0031】
特に、本発明において、重合性モノマー組成物を構成する成分として採用される酢酸ビニルは、沸点(73℃)が余り高くなく、揮発する恐れが内在しているところから、かかる揮発によって、重合性モノマー組成物の配合組成も、微妙に変化する恐れがある。このため、重合性モノマー組成物の配合組成が多少変化しても含水率が殆ど変化しないことが望まれているのである。しかしながら、上記したトリアリルイソシアヌレートやジアリリデンペンタエリスリットでは、上述せるように、添加量を僅かに変えるだけで含水率が大きく変化するところから、所望とする含水率を安定して得ることは出来ないのである。
【0032】
一方、本発明において採用されるジエチレングリコールジビニルエーテルは、酢酸ビニルの揮発によって、重合性モノマー組成物の配合組成が多少変化しても、所期の含水率を有するレンズを安定して得ることが出来るという特徴を有しているのである。
【0033】
ところで、上述せる如き酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物にて、眼用レンズを得る際には、更に必要に応じて、従来から眼用レンズに一般的に用いられている各種の添加剤、例えば、眼用レンズに紫外線吸収性を付与したり、レンズを着色するために、重合性の紫外線吸収性モノマーや色素、紫外線吸収性色素等を、従来と同様に、添加せしめて、共重合体中に導入し、レンズ構成成分の一つとすることも可能である。但し、それらの添加剤は、本発明の目的を阻害しないものであり、また阻害しない量的範囲において、用いられることとなることは、勿論、言うまでもないところである。
【0034】
かくして、上述せる如き重合性モノマー組成物を用いて、目的とする眼用レンズを得るには、先ず、かかる重合性モノマー組成物を重合せしめて、共重合体を形成せしめ、次いで、そのようにして得られた共重合体に対して、ケン化処理を施すのである。
【0035】
具体的には、重合性モノマー組成物の重合手法としては、かかる重合性モノマー組成物に増感剤を添加した後、適当な光線(例えば、紫外線等)を照射して重合を行なう方法(光重合法)が、有利に採用され、これによって、熱重合に比して、重合時間を短縮して、生産性の向上を図ることが可能となり、以て、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るのである。更に、重合形式としては、効率が良く、生産性に優れた、通常の塊状重合法が採用されることが望ましいが、必要に応じて溶液重合法等が採用されても、何等差支えない。
【0036】
ここにおいて、用いられる増感剤としては、通常の増感剤、例えば、ジエトキシアセトフェノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロピル−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロピル−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノフェニル−ブタノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0037】
また、これらの増感剤は、そのうちの1種又は2種以上を選択して、使用すればよく、その使用割合としては、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物の100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは、0.002〜3重量部となる割合が採用され得ることとなる。なお、0.001重量部に満たない使用量の場合には、残留モノマーが多くなり過ぎて、共重合体が固化しなくなる一方、5重量部を超えるような使用量の場合には、共重合体の平均分子量が大きくならず、レンズに必要とされる強度が確保され得なくなったり、レンズが黄変したり等して、望ましくない。
【0038】
そして、上記した重合によって得られた共重合体を用い、それに対して、ケン化処理を施すことによって、共重合体のエステル部分が加水分解されて、親水化した眼用レンズ、つまり、ポリビニルアルコール系高分子材料からなる眼用レンズが得られることとなるのであるが、ここでいうケン化処理とは、従来より公知のポリビニルアルコール(PVA)を得るためのポリビニルエステルのケン化処理方法と同様の方法が採用され得るのであり、共重合体中の酢酸ビニル単位を、アルカリ性化合物又は酸性化合物により処理して、ビニルアルコール単位とすることにある。但し、後者の酸性化合物によるケン化処理は、ケン化速度が遅く、また均一なものが得られ難く、副反応が惹起される等といった欠点があるため、本発明においては、アルカリ性化合物によるケン化処理手法が、好適に採用されることとなる。
【0039】
なお、上述せる如きケン化処理に採用されるアルカリ性化合物としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を例示することが出来る。また、これらのアルカリ性化合物は、一般に、固体であるため、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、水等の溶媒に溶解せしめられ、アルカリ性溶液として用いられるのであり、そして、そのようなアルカリ性溶液中に共重合体が浸漬されることによって、ケン化処理が施されるのである。なお、かかるアルカリ性溶液の中でも、特に、アルコール類を用いた、0.1〜1.0Nのアルカリアルコール溶液が好ましいが、ケン化処理を効率よく進めるために、該アルカリアルコール溶液に、アルカリ水溶液を混合して用いることも出来る。
【0040】
また、ケン化温度としては、一般に、0〜70℃の範囲の温度に適宜に設定されるが、ケン化処理の効率を上げるためには、ケン化処理を行なう溶液を、20〜70℃程度の温度範囲に設定することが好ましい。なお、あまり高温でのケン化処理は、眼用レンズの劣化を招来する恐れがあるところから、反応温度は、70℃程度以下となるように設定することが好ましい。また、ケン化時間にあっては、アルカリ性化合物の種類、アルカリ性化合物の濃度、ケン化温度等に応じて、適宜に設定されることとなるが、実用的には、例えば、室温でケン化処理を行なう場合には、数分〜数時間でケン化反応が完了するように、アルカリ性化合物の種類とその濃度を選択することが好ましい。また、不均一系でケン化反応を行なうことも可能である。
【0041】
なお、ケン化度は、90モル%以上、好ましくは95モル%以上であることが望ましい。これは、ケン化度が、90モル%未満である場合には、所望とする含水率が確保され難くなったり、得られる眼用レンズを長期に亘って用いる際に、煮沸処理等を繰り返すこと等によって含水率が変化し、サイズ変化を起こし易くなる等といった長期安定性に劣るものとなる傾向があるからである。
【0042】
次いで、このようにしてケン化処理が施された共重合体には、アルカリ性化合物等が残留しているところから、水や生理食塩水で洗浄されたり等して中和され、また、滅菌されたり等して、生体に対して安全で、含水された状態の眼用レンズとなるのである。
【0043】
また、かくの如きPVA系材料からなる眼用レンズ、例えば、コンタクトレンズや眼内レンズ等を成形する方法(加工方法)としては、重合を適当な成形型内又は容器内で行ない、棒状、ブロック状、板状等の素材(重合体)を得た後、切削加工、研磨加工等の機械的加工によって所望の形状に成形する切削加工法や、所望とする眼用レンズ形状を与える重合成形型を用意し、この型内で前記した重合成分の重合を行なって成形物を得る鋳型(モールド)法、更に必要に応じて、機械的に仕上げ加工を施すモールド法と切削加工法を組み合わせた方法等、当業者に従来から公知の各種の手法が、何れも採用され得るのであるが、本発明においては、上記した方法の中でも、特に、モールド法が、生産コストを効果的に低減せしめることが出来るため、採用されることとなる。
【0044】
なお、そのようなモールド法にて、眼用レンズとしてのコンタクトレンズを製造するには、以下の如き方法を、一例として例示することが出来る。すなわち、先ず、所望とするコンタクトレンズ形状を与える成形面を有する雄型と雌型とからなる重合成形型を用い、それら雄型と雌型を型合せすることによりそれらの型間に形成される成形キャビティ内に、重合のために必要な増感剤が添加された重合性モノマー組成物を収容した後、紫外線等の光線を照射して光重合を行なうことにより、共重合体を形成せしめるのである。
【0045】
この際、使用される重合成形型の材質としては、重合成形型を構成する雄型と雌型のうちの少なくとも一方が、光線を透過し得る材料(光透過性材料)にて形成されておれば、特に限定されるものではなく、従来から眼用レンズの製造に使用されているものが適宜に選択されて用いられ得るのである。
【0046】
次いで、このようにして得られた共重合体を、常法に従って離型して、前述せる如きケン化処理を行なうことによって、本発明に従う眼用レンズが製造されるのである。なお、かかる眼用レンズには、生体に対する充分な安全性が確保されるように、中和処理や滅菌処理等が施されることは、勿論、言うまでもないところである。
【0047】
そして、かくの如くして製造された眼用レンズにあっては、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルの2成分からなる重合性モノマー組成物が用いられていると共に、その含水率が73%〜84%となるように調整されているところから、その理由は未だ明らかとはなってはいないが、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒されたり等しても、極めて優れた寸法安定性が実現され得ると共に、また、白濁することもなく、レンズの透明性が極めて高度に確保され得ているのである。具体的には、−10℃以下の温度にて12時間以上放置する凍結操作と、凍結したレンズを15℃〜30℃の温度にて6時間以上して放置する解凍操作とを、3回繰り返しても、及び/又は、1℃〜9℃の温度にて3ヶ月間保存しても、優れた寸法安定性と透明性が確保され得るのである。
【0048】
また、かくの如き本発明に従う眼用レンズは、ジエチレングリコールジビニルエーテルが架橋性モノマーとして用いられているところから、その使用量の少量の変化で、含水率が大きく変化するようなことは全くなく、以て、所望とする含水率を安定して確保することが出来るのである。
【0049】
さらに、この本発明に従う眼用レンズを構成する高分子材料は、非イオン性であるところから、カルシウムイオンや蛋白質等の汚れも付着し難くなっているのである。しかも、その含水率が73%〜84%とされているところから、眼用レンズに必要とされる強度が充分に確保され得るのである。
【0050】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0051】
実施例1〜4、比較例1,2
−重合性モノマー組成物の調製と重合−
下記表1に示される配合組成となるように、酢酸ビニルとジエチレングリコールジエチルエーテルを混合して、それぞれ、実施例1〜4及び比較例1,2に係る重合性モノマー組成物を調製した後、更に、増感剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを加えると共に、必要に応じて、着色剤として、テトラ(4−メタクリルアミド)銅フタロシアニンを加え、0.45μmの孔径サイズのメンブランフィルターで濾過した。次いで、この増感剤等が添加された実施例1〜4及び比較例1,2に係る各種重合性モノマー組成物を、ぞれぞれ、ポリプロピレン製の重合成形型の雌型に充填した後、雄型と型合せすることによって、重合成形型の成形キャビティ内に重合性モノマー組成物を充填、収容せしめ、そして、その後、2kWの高圧水銀ランプを用いて、10mW/cm2 の強度の紫外線を15分間照射することによって、各々の重合性モノマー組成物を重合せしめた。そして、かかる重合の後、重合成形型の型開きを行ない、エタノール中に浸漬せしめることによって、エタノールで膨潤したコンタクトレンズを重合成形型から分離した。
【0052】
【表1】
Figure 2004045750
【0053】
−ケン化処理−
上記で得られた膨潤したコンタクトレンズを、バイアル瓶に収容された0.5NのNaOHを含有する65%メタノール水溶液の2mLに浸漬して、そのまま、室温で2時間放置することによって、ケン化処理を実施した。その後、かかるコンタクトレンズを、レンズ重量の20倍量の蒸留水に10分間浸漬する工程を繰り返して、浸漬液が中性となったことを確認し、更に、レンズ重量の20倍量の蒸留水で2時間煮沸し、冷後、レンズ重量の20倍量の蒸留水で8時間煮沸することにより、残留モノマー、残留オリゴマー及び未架橋ポリマー等の溶出性不純物の抽出処理を行った。冷後、そのコンタクトレンズを、2mlの生理食塩水が入った耐熱性の瓶に入れて蓋をした後、121℃の温度で20分間、高圧蒸気滅菌した。
【0054】
−含水率の測定−
かかる高圧蒸気滅菌が施された実施例1〜4及び比較例1,2に係る各種コンタクトレンズを、20℃の水の中に2時間浸漬した後、吸湿紙で余分な水分を拭き取って、含水状態のレンズの重量(W1 )を測定した。また、コンタクトレンズを、60℃の乾燥機に一夜放置して乾燥させて、乾燥状態のレンズの重量(W2 )を測定した。そして、それら含水状態のレンズの重量(W1 )と乾燥状態のレンズ重量(W2 )とを用いて、下記(I)式により、含水率を算出し、その結果を、下記表2に示した。
含水率(重量%)=[(W1 −W2  )/W1 ]×100 ・・・(I)
【0055】
−擦り強度の評価−
実施例1〜3及び比較例1,2に係る各種コンタクトレンズに、それぞれ、洗浄液を滴下し、パフ上で、指で擦ることによって、その擦り強度を評価し、その結果を下記表2に示した。なお、評価基準としては、◎:指で強く擦っても破損が惹起されない、○:指で強く擦ると破損するものがあり、弱めに擦れば破損が惹起されない(長期使用レンズとしては使用不可能であるが、使い捨てレンズとしては使用可能)、×:指で弱めに擦っても破損する(使い捨てレンズとしても使用不可能)、を採用した。
【0056】
−寸法安定性・透明性の評価−
(1)評価試験1: 3回の凍結・解凍操作
また、高圧蒸気滅菌後の実施例1〜4及び比較例1に係る各種のコンタクトレンズを、それぞれ、20℃の水の中に浸漬した状態で、2時間放置せしめた後、レンズサイズ(S1 )を測定した。次いで、そのコンタクトレンズを、水が収容されたバイアル瓶の中に、水中に浸漬された状態となるようにして、戻し入れた。そして、かかるバイアル瓶を−20℃の冷凍庫に一夜放置せしめて凍結させ、次いで、その凍結したものを20℃の水中に8時間浸漬して、解凍した。このような凍結・解凍の操作を3回繰り返した。
【0057】
そして、3回目の解凍が終了したコンタクトレンズを、20℃の水中に浸漬した状態で、2時間放置せしめた後、再び、レンズサイズ(S2 )の測定を行ない、そのレンズサイズ(S2 )と凍結・解凍操作前のレンズサイズ(S1 )から、寸法変化率を、下記(II)式により算出し、得られた結果を、凍結・解凍前後のレンズサイズ(S1 ,S2 )と共に、下記表2に併せ示した。なお、比較例1に係るコンタクトレンズにあっては、1回目の凍結・解凍操作にて、目視で、大きな変化が見られたところから、1回目の解凍後にも、レンズサイズの測定を行なったところ、18.2mmだったレンズサイズが、17.5mmになっていることを確認した。
寸法変化率(%)=[(S2 −S1 )/S1 ]×100 ・・・(II)
【0058】
また、凍結・解凍操作を行なう前と、3回の凍結・解凍操作後のコンタクトレンズの外観を、投影機と肉眼にて観察することによって、その透明性を評価し、無色透明で白濁を認めない場合を◎、投影機では僅かに白濁が認められるものの、肉眼では透明で白濁を認めない場合を○、投影機及び肉眼で白濁が認められる場合を×として、その結果を、下記表2に示した。
【0059】
(2)評価試験2: 低温(1℃〜9℃)下で長期間(3ケ月)の保存
上記(1)の評価試験1を行なった実施例1〜4に係る各種のコンタクトレンズを、それぞれ、水が収容されたバイアル瓶に、再び入れ、5℃の温度下で、3ヶ月間、保存した。そして、かかる3ヶ月保存したコンタクトレンズを、20℃の水中に2時間浸漬せしめた後、再び、レンズサイズ(S3 )の測定を行なったところ、何れのコンタクトレンズにあっても、保存前のレンズサイズ(S2 )からサイズ変化はなかった。また、かかる3ヶ月保存後のコンタクトレンズの外観を、投影機と肉眼にて観察したところ、何れのレンズにあっても、変化が生じていないことを、確認した。
【0060】
【表2】
Figure 2004045750
【0061】
かかる表2の結果から明らかなように、含水率が73%〜84%とされた実施例1〜4に係るコンタクトレンズにあっては、上述せる如き凍結・解凍操作を3回繰返し行なった後においても、或いは、低温度下に長期間晒されても、レンズサイズは殆ど変わらず、優れた寸法安定性を有していると共に、透明性も確保され得ていることが分かる。
【0062】
これに対して、含水率が87%とされた比較例1に係るコンタクトレンズにあっては、凍結・解凍操作を3回繰り返すと、レンズサイズが6.0%も収縮すると共に、レンズが白濁するところから、低温環境下においては、実用に供し得ないレンズとなっていることが認められる。また、含水率が70%とされた比較例2に係るコンタクトレンズにあっては、レンズが脆過ぎて、実用に供し得ないレンズとなっていることが、分かる。
【0063】
比較例3〜25
また、比較例3〜25に係るコンタクトレンズとして、特開平2−15233号公報に示される実施例と同様にして、該公報の実施例番号1〜23に係るコンタクトレンズを作製した。但し、コンタクトレンズは、直径:14mm、中心厚み:0.1mm、内面曲率半径:8.5mm、頂点屈折力:−3Dとした。
【0064】
そして、かかる比較例3〜25(特開平2−15233号公報の実施例番号1〜23)に係るコンタクトレンズの寸法安定性、透明性を評価するために、上述せる如き、評価試験1[3回の凍結・解凍操作]を行ない、その結果を、下記表3に示した。
【0065】
【表3】
Figure 2004045750
【0066】
上記表3の結果から明らかなように、従来のポリビニルアルコール系高分子材料からなるコンタクトレンズにあっては、何れも、白濁すると共に、レンズサイズが3.6%以上も収縮し、低温環境下においては、その使用が困難であることが、認められるのである。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う高含水性眼用レンズにあっては、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルの2成分からなる重合性モノマー組成物を重合し、それによって得られた共重合体をケン化処理することによって得られるポリビニルアルコール系高分子材料から形成されていると共に、含水率が73%〜84%となるように調整されているところから、眼用レンズの結晶化が効果的に抑制乃至は阻止され得、これによって、凍結と解凍を繰り返したり、5℃程度の低温下に長期間晒されたり等しても、レンズサイズの縮小やレンズの白濁等といった問題が何等惹起されることなく、優れた寸法安定性や透明性が実現され得るのである。
【0068】
しかも、かかる眼用レンズを構成する高分子材料は、非イオン性であるところから、プラス電荷を有するカルシウムイオンや蛋白質等の汚れの他、マイナスの電荷を有する汚れも付着し難く、優れた耐汚れ付着性が実現され得る。
【0069】
加えて、本発明に従う眼用レンズにあっては、架橋剤であるジエチレングリコールジビニルエーテルが、上述せる如き73%〜84%の含水率を実現し得るように、所定の割合において配合されるところから、眼用レンズに必要とされる強度も充分に確保され得ているのである。
【0070】
また、本発明に従う高含水性眼用レンズの製造方法によれば、上述せる如き優れた寸法安定性や透明性を有する高含水性眼用レンズを、安定して、また、優れた生産性をもって製造することが可能となり、眼用レンズの製造コストを可及的に低くすることが出来るのである。

Claims (3)

  1. ビニルアルコール単位を主成分として含有する高分子材料からなる眼用レンズにして、
    前記高分子材料が、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる重合性モノマー組成物を重合せしめて得られた共重合体をケン化処理することによって、形成されると共に、73%〜84%の含水率を有し、且つ、かかる高分子材料からなる眼用レンズを、−10℃以下の温度にて12時間以上放置する凍結操作と、15℃〜30℃の温度にて6時間以上放置する解凍操作とを、3回繰り返した後において、及び/又は、1℃〜9℃の温度にて3ヶ月間保存した後において、該眼用レンズの寸法変化率が±2%未満であると共に、白濁しないことを特徴とする高含水性眼用レンズ。
  2. 前記重合性モノマー組成物が、前記酢酸ビニルの92〜98.5重量%と、前記ジエチレングリコールジビニルエーテルの1.5〜8重量%とから構成される請求項1に記載の高含水性眼用レンズ。
  3. 前記請求項1又は請求項2に記載の高含水性眼用レンズを製造する方法にして、
    目的とする眼用レンズ形状を与える重合成形型の成形キャビティ内に、酢酸ビニルとジエチレングリコールジビニルエーテルとからなる前記重合性モノマー組成物を収容して、光重合せしめた後、その得られた共重合体に対してケン化処理を施すことを特徴とする高含水性眼用レンズの製造方法。
JP2002202969A 2002-07-11 2002-07-11 高含水性眼用レンズ及びその製造方法 Pending JP2004045750A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002202969A JP2004045750A (ja) 2002-07-11 2002-07-11 高含水性眼用レンズ及びその製造方法
US10/614,375 US20040010082A1 (en) 2002-07-11 2003-07-07 Highly water-absorptive ophthalmic lens and method of producing the same
EP03254313A EP1380856A3 (en) 2002-07-11 2003-07-08 Highly water-absorptive ophthalmic lens and method of producing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002202969A JP2004045750A (ja) 2002-07-11 2002-07-11 高含水性眼用レンズ及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004045750A true JP2004045750A (ja) 2004-02-12

Family

ID=29728506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002202969A Pending JP2004045750A (ja) 2002-07-11 2002-07-11 高含水性眼用レンズ及びその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20040010082A1 (ja)
EP (1) EP1380856A3 (ja)
JP (1) JP2004045750A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007079564A (ja) * 2005-08-09 2007-03-29 Coopervision Inc シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造のための組成物及び方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102011084478A1 (de) * 2011-10-13 2013-04-18 Kuraray Europe Gmbh Copolymere enthaltend Vinylester, Vinylalkohol- und Divinylethergruppen
US10894111B2 (en) * 2016-12-16 2021-01-19 Benz Research And Development Corp. High refractive index hydrophilic materials

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2804273B2 (ja) * 1988-03-09 1998-09-24 株式会社メニコン 高含水性眼用レンズ材料
JPH06102471A (ja) * 1992-09-22 1994-04-15 Menicon Co Ltd 含水性コンタクトレンズ
CA2208967A1 (en) * 1994-12-30 1996-07-11 Novartis Ag Polymers based on block copolymers
TW385317B (en) * 1995-02-12 2000-03-21 Akzo Nobel Nv Ophthalmic lenses
US6402995B1 (en) * 1997-07-31 2002-06-11 Seed Co., Ltd. Process for preparing polyvinyl alcohol contact lenses

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007079564A (ja) * 2005-08-09 2007-03-29 Coopervision Inc シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製造のための組成物及び方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP1380856A2 (en) 2004-01-14
US20040010082A1 (en) 2004-01-15
EP1380856A3 (en) 2004-07-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6927230B2 (ja) 医療デバイスおよびその製造方法
TWI825015B (zh) 醫療器材
JP2619245B2 (ja) 透明なヒドロゲルコンタクトレンズ用ポリマー物質および該物質から成る光学的に透明な親水性コンタクトレンズ
US3700761A (en) Fabrication of soft plastic contact lens blank
JP2907391B2 (ja) アクリル酸及びメタクリル酸のポリマー誘導体からのレンズ
DK171052B1 (da) Fremgangsmåde til fremstilling af formede hydrogelgenstande, navnlig bløde kontaktlinser
JP3939927B2 (ja) 眼用レンズ材料およびその製法
JP4782508B2 (ja) 高酸素透過含水性眼用レンズ
TW201125915A (en) Wettable hydrogel materials for use in ophthalmic applications and methods
JPS6339882B2 (ja)
TWI432486B (zh) 製造具有高含水率之聚矽氧水膠的方法
US3841985A (en) Irradiated composition for soft contact lens
JP4772939B2 (ja) 重合性単量体組成物およびコンタクトレンズ
JP2004045750A (ja) 高含水性眼用レンズ及びその製造方法
US3822196A (en) Fabrication of soft plastic contact lens blank and composition therefor
JP4024081B2 (ja) 高含水性眼用レンズ及びその製造方法
JP2004045749A (ja) 高含水性眼用レンズ及びその製造方法
JP3936999B2 (ja) 天然生体高分子を含有するコンタクトレンズ及びその製造方法
US20030218717A1 (en) Highly water-absorptive ophthalmic lens and method of producing the same
JP2844772B2 (ja) ソフトコンタクトレンズ
KR102545476B1 (ko) Mpc를 이용한 기능성이 향상된 실리콘 하이드로겔 콘택트 렌즈의 제조 방법
JP6954490B1 (ja) 医療デバイスの製造方法
JP2005250321A (ja) 水濡れ性に優れたコンタクトレンズ用溶液
CN117716262A (zh) 用于生产可润湿硅酮水凝胶接触镜片的方法
WO2021039519A1 (ja) 医療デバイスの製造方法