JP2004045477A - ポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光特性の低下を伴わず、かつ、加熱硬化後の基材との接着特性が良好なポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマー(A)と下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とするポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
【化1】
(R1とR2はそれぞれ、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基。R3とR4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。)
【化2】
(R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基を含む。)
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマー(A)と下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とするポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
【化1】
(R1とR2はそれぞれ、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基。R3とR4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。)
【化2】
(R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基を含む。)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体分野において層間絶縁膜、表面保護層などに用いられる耐熱樹脂前駆体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性樹脂は、半導体分野において層間絶縁膜、表面保護膜(バッファーコート膜、アルファー線遮蔽膜)などに利用されている。これらの膜の形成方法としては、有機溶剤への溶解性の高い耐熱樹脂前駆体の状態でまず塗膜形成をさせた後、ノボラック樹脂などのフォトレジストを用いてパターン加工し、しかる後に加熱硬化させて不溶、不融の耐熱性樹脂とする方法がとられている。近年は、耐熱性樹脂自身がパターン加工可能なネガ型、ポジ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物を用いることでフォトレジスト工程の簡略化が図られている。
【0003】
露光した部分が現像によって残るネガ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物の例としては、化学線により2量化する有機基または重合可能な炭素−炭素二重結合を含むアミノ化合物またはその四級化塩をポリアミド酸に添加したもの、ポリアミド酸にアクリルアミド類を添加したもの、炭素−炭素二重結合基をポリマーの側鎖ないしは主鎖に有するポリイミド前駆体などが知られている。
【0004】
また、露光した部分がアルカリ水溶液による現像によって溶解するポジ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物としては、o−ニトロベンジル基をエステル結合によってポリマー側鎖に導入したポリイミド前駆体、ポリアミド酸エステルにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、フェノール性水酸基を有するポリアミド酸あるいはポリアミド酸エステルにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、フェノール性水酸基を有するポリイミドにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、ポリヒドロキシアミドにo−キノンジアジド化合物を混合したものなどが知られている。
【0005】
耐熱樹脂前駆体組成物を半導体用途に用いる場合、加熱硬化後の樹脂はデバイス内にパーマネント皮膜として残るため、加熱硬化膜の強度や信頼性が非常に重要である。半導体パッケージにおける信頼性を確保するためには、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、リンシリケートガラスなどの基材との接着性が大切である。
【0006】
耐熱性樹脂は一般的に、その剛直な主鎖構造から基材との接着強度が高くないとされ、上記に挙げた感光性前駆体から形成された耐熱性樹脂の場合、組成物を構成する感光剤、増感剤、酸発生剤および溶解調整剤などの添加物が加熱硬化後も微量に残留しているために、添加物を含有していないものに比べて接着強度がさらに低いという問題点があった。
【0007】
この問題点を解決すべく、シランカップリング剤、とりわけ、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するカップリング剤を組成物に添加して効果的な改善が図られてきたが、o−キノンジアジド化合物などの酸発生剤が含まれているポジ型感光性樹脂においては、脂肪族アミンによって酸発生剤の分解が促進され、感光特性の著しい低下が見られるといった問題が生じていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況を鑑み、本発明は、感光特性の低下を伴わず、かつ、加熱硬化後の基材との接着特性が良好なポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を克服すべく鋭意検討した結果、アミノシラン構造中のアミノ基を熱脱離基によって封止することで、常温加工時におけるポジ型の感光特性を損なうことなく、かつ、加熱硬化後における基材との接着性が良好となることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマー(A)と下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物(B)を含むことを特徴とするポジ型感光性耐熱性樹脂前駆体組成物をその骨子とする。
【0011】
【化3】
【0012】
(R1とR2はそれぞれ、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基。R3とR4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。)
【0013】
【化4】
【0014】
(R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に使用するポリマーAは、下記一般式で表される構造単位を主成分とするポリマーである。ここで、主成分とは60モル%以上であることを言う。
【0017】
【化5】
【0018】
一般式(1)中、R1を構成する残基は酸の構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基である。本発明の組成物の耐熱性の点から、R1は芳香環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価から8価の有機基であるのが好ましい。
【0019】
一般式(1)中、R2を構成する残基はジアミンの構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基である。本発明の組成物の耐熱性の点から、R2は芳香環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価から6価の有機基であるのが好ましい。
【0020】
一般式(1)中、R3、R4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基を示す。R3やR4は各々同じでも異なっていてもよい。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。
【0021】
本発明に使用するポリマーAは、一般式(1)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であってもよい。その際、一般式(1)で表される構造単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0022】
本発明の効果は、一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーであればいずれでも得られるが、なかでも下記一般式(3)〜(6)に示すようなポリマーが好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】
(R20は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。R21は少なくとも2つの炭素原子を有する2価の有機基。R22とR23はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基。m2は3から100000までの整数を示す。)
【0025】
【化7】
【0026】
(R24は少なくとも2つの炭素原子を有する3価から8価の有機基。R25は、少なくとも2つの炭素原子を有する2価から6価の有機基。R26は水素または炭素数1から20までの有機基。m3は3から100000までの整数。tは1または2。rとsは0から4までの整数であり、r+s>0である。)
【0027】
【化8】
【0028】
(R27は少なくとも2つの炭素原子を有する2価の有機基。R28は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。m4は3から100000までの整数を示す。)
【0029】
【化9】
【0030】
(R29は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。R30は少なくとも2つの炭素原子を有する3〜4価の有機基。R31からR33はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。uは1または2の整数であり、uが2の場合のR33は同じでも異なっていてもよい。m5は3から100000までの整数を示す。)
上記一般式(3)において、本発明の組成物の耐熱性の点から、R20は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の4価の有機基であるのが好ましい。R20の好ましい具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R20はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0031】
一般式(3)において、本発明の組成物の耐熱性の点から、R21は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の有機基であるのが好ましい。R21の好ましい具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ジメチルベンジジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ジクロロベンジジン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンなどの化合物の残基及びその水素添加化合物の残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、R21はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0032】
上記一般式(3)において、R22とR23はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。炭素数1〜20の有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数1〜20の有機基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。銅のマイグレーションを抑えるためには、R22およびR23のうち70モル%以上が炭素数1〜20の有機基であることが好ましく、炭素数1〜4の有機基であることがより好ましい。R22およびR23は単独種であってもよいし、2種以上の混合であってもよい。さらにR22およびR23は同じであっても、異なっても良い。
【0033】
一般式(3)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成される。すなわち、R22、R23が水素である場合は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなどの方法によって合成することができる。
【0034】
また、R22、R23がアルキル基である場合は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物を反応させた後、塩化チオニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミンと選択的に組み合わせるか、またはジシクロへキシルカルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンと選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなどの公知の方法によって合成することができる。
【0035】
一般式(4)において、R24は酸成分の残基を表している。また、R25はジアミン成分の残基を表している。耐熱性の点からR24およびR25は芳香族環を有することが好ましい。rとsは0〜4までの整数であり、r+s>0である。すなわち、一般式(4)においては、ジアミン成分、酸成分のうち少なくとも一方が水酸基、好ましくはフェノール性水酸基を有していることが必要である。さらに好ましくはフェノール性水酸基がアミド結合に対してオルソ位にあることである。耐熱性の点から、rとsは好ましくは0〜2までの整数である。
【0036】
ここで、r=0の場合、R24の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR20の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、r>0の場合、R24を含む構造式の具体例としては、一般式(7)に示すような構造のものがあげられるが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
【化10】
【0038】
また、一般式(4)において、s=0の場合、R25の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR21の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、s>0の場合、R25を含む構造の具体例としては、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシジアミノピリミジン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、ジヒドロキシベンゼンなどの化合物や、一般式(8)に示すような構造のものがあげられるが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
【化11】
【0040】
一般式(4)で表されるポリマーの原料である酸化合物またはジアミン化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて使用される。このとき、酸化合物のうち水酸基を含有する酸化合物が全酸化合物の70モル%以上であるか、または、ジアミン化合物のうち水酸基を含有するジアミン化合物が全ジアミン化合物の70モル%以上であることが好ましい。水酸基を含有する化合物の割合が上記範囲未満になるとアルカリ現像液への溶解性が低下するので注意を要する。
【0041】
一般式(4)のR26は、水素または炭素数1〜20の有機基を表している。より好ましくは炭素数1〜10の有機基である。R26の炭素数が20を越えるとアルカリ水溶液に溶解しにくくなる。得られる感光性樹脂溶液の安定性からR26は有機基が好ましいが、アルカリ水溶液に対する溶解性からみると水素が好ましい。つまり、R26はすべて水素であることやすべて有機基であるよりも、これらの両方が含まれているのが好ましい。このR26の水素と有機基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。銅のマイグレーションを抑えるためには、R26のうち70モル%以上が炭素数1〜20の有機基であることが好ましく、70モル%以上が炭素数1〜4の有機基であることが特に好ましい。tは好ましくは2である。
【0042】
一般式(4)において、カルボキシル基の一部をイミド化することによって、残存カルボキシル基の量を調節することが可能である。イミド化の方法としては、公知の方法を用いることができる。イミド化率は1%以上50%以下が好ましい。イミド化率が50%を超えると露光に使用する化学線に対するポリマーの吸収が大きくなり、感度が低下する傾向となる。
【0043】
一般式(4)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させたあと、側鎖のカルボキシル基の一部を熱処理によってイミド化させたり、エステル化試薬などを用いてアルキルエステル化するなどの方法を用いることができる。
【0044】
一般式(5)において、本発明の組成物の耐熱性から、R27は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の有機基であることが好ましい。R27の好ましい具体例としては、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、ベンゾフェノン−3,3’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−3,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R27はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0045】
一般式(5)において、本発明の組成物の耐熱性から、R28は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の4価の有機基であることが好ましい。R28の好ましい具体例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R28はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0046】
一般式(5)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は公知の方法によって合成することができる。例えば、ジヒドロキシジアミンとハロゲン化ジカルボン酸との縮合反応、あるいはジヒドロキシジアミンとジカルボン酸をジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下で縮合させる方法などによって得ることができる。
【0047】
一般式(6)において、本発明の組成物の耐熱性から、R29は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の有機基であることが好ましい。
R29の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR20の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
一般式(6)において、本発明の組成物の耐熱性から、R30は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の3〜4価の有機基であることが好ましい。R30の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR21の具体例として挙げた残基や、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノー3−カルボキシフェニル)メチレン、4,4’−ジアミノ3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルビフェニルなどの残基が挙げられれるが、これらに限定されない。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0049】
一般式(6)で表されるポリマーの原料であるジアミン化合物のうち、側鎖にカルボニル基を有していないジアミン化合物の使用量は、ジアミン化合物の総モル数に対して、90モル%以下とすることが好ましい。90モル%を越えるとアルカリ現像液への溶解性が低下するので注意を要する。
【0050】
一般式(6)において、R31とR32はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。炭素数1〜20の有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。ここで、炭素数1〜20の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数が20を越えると、熱硬化時にエステル部が脱離せず、脱水閉環が完全に進まず、良好な特性を持つポリイミド樹脂皮膜が得られにくい。
【0051】
一般式(6)において、R33は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。アルカリ現像液への溶解性を考えると、R33は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンのいずれかであることが好ましく、水素であることが最も好ましい。
【0052】
一般式(6)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成することができる。例えば、R31、R32が水素である場合は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させることで合成することができる。
【0053】
また、R31、R32がアルキル基である場合は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物を反応させた後、塩化チオニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミンと選択的に組み合わせる方法、またはジシクロへキシルカルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンと選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させる方法など、公知の方法によって合成することができる。
【0054】
上記した一般式(3)〜(6)で表されるポリマーは単独で用いても良いし、共重合体、またはブレンド体であっても構わない。
【0055】
本発明で使用するポリマーAは、接着特性を向上させるために、ポリマーの両末端のうち少なくとも一方がフェノール基、チオフェノール基から選ばれるいずれかを含むことが好ましい。末端基の具体例としては下記一般式(9)で表される基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
【化12】
【0057】
本発明は下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物Bを必須の成分とする。
【0058】
【化13】
【0059】
一般式群(2)中、R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基を表す。その具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基である。。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数が6を越えると、キュア時の膜収縮が大きくなるため好ましくない。一般式群(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記一般式群(10)で表されるような化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
【化14】
【0061】
本発明に使用する化合物Bは、ポリマーA 100重量部に対して0.001重量部以上添加する。好ましくは0.001〜30重量部添加する。より好ましくは0.005〜20重量部、特に好ましくは0.01〜15重量部である。0.001重量部より少ないと接着改良効果が見られないため好ましくない。また、30重量部を越えると、組成物の耐熱性が低下する恐れがある。
【0062】
次に、感光性について記載する。
【0063】
本発明で使用するポリマーAは、露光する化学線に対してできるだけ透明であることが望ましい。そのため、365nmにおけるポリマーAの吸光度は1μmあたり0.1以下であることが好ましい。より好ましくは0.08以下である。0.1を超えると365nmの化学線での露光に対する感度が低下傾向となる。
【0064】
本発明で使用するポリマーAに光酸発生剤を添加することでポジ型の感光性を付与することができる。とくに、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される構造単位を主成分とするポリマーにおいて光酸発生剤が好ましく用いられる。
【0065】
本発明で用られる光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ジアゾキノンスルホン酸アミド、ジアゾキノンスルホン酸エステル、ジアゾキノンスルホン酸塩、ニトロベンジルエステル、オニウム塩、ハロゲン化物、ハロゲン化イソシアネート、ハロゲン化トリアジン、ビスアリールスルホニルジアゾメタン、ジスルホン等の光照射により分解し酸を発生する化合物が挙げられる。特に、o−キノンジアジド化合物は未露光部の水溶性を抑制する効果を有するために望ましい。o−キノンジアジド化合物としては、1,2−ベンゾキノン−2−アジド−4−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド等が挙げられる。これらの化合物は、例えば、1,2−ベンゾキノン−2−アジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等のo−キノンジアジドスルホニルクロリド類とポリヒドロキシ化合物又はポリアミノ化合物を脱塩酸触媒の存在下で縮合反応することによって得ることができる。
【0066】
ここで、ポリヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、4−フェニルメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、4−エチル−1,3−ベンゼンジオール、4−フェニルメチル−1,3−ベンゼンジオール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、(2,4−ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、4−ジフェニルメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、2,4’、4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4’,4”,4’”−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビスフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘシルフェノール、2,2’−メチレンビス[6−[(2/4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−ビフェノール、4,4’−シクロヘシリデンビスフェノール4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベンゼン−1,2−ジオール]、5,5’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベンゼン−1,2,3−トリオール]4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ベンゼンジオール、4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−1,2−ベンゼンジオール、4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−1,3−ベンゼンジオール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]−1,2,3−ベンゼントリオール没食子酸メチル、没食子酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
また、ポリアミノ化合物としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
また、ポリヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明で用いられる光酸発生剤の具体例としては、例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸メチル、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4,4’,4’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビスフェノールのいずれかであって、かつ少なくとも一つのヒドロキシル基が1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基であるo−キノンジアジド化合物が好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本発明において、光酸発生剤は、ポリマーA 100重量部に対して好ましくは5から100重量部、より好ましくは5から40重量部の範囲で配合される。配合量が5重量部未満では十分な感度が得にくく、また、100重量部を超えると、光照射およびそれに続く現像によるパターンの形成が難しく、また本発明の組成物の耐熱性が低下する可能性がある。したがって、光酸発生剤の添加量は必要最小限であることが好ましい。
【0071】
本発明の組成物は溶解調整剤を含有することができる。溶解調整剤としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、スルホンアミド化合物、ウレア化合物など、一般にポジ型レジストに溶解調整剤として用いられる化合物であれば、いずれの化合物でも好ましく用いることができる。とくに、キノンジアジド化合物を合成する際の原料であるポリヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸メチル、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4,4’,4’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
溶解調整剤は、ポリマーA 100重量部に対して好ましくは1から100重量部、より好ましくは5から40重量部の範囲で配合される。配合量が1重量部未満では十分な効果が得にくく、また、100重量部を越えると樹脂組成物の耐熱性が低下する可能性がある。溶解調整剤は必要最小限の添加量であることが好ましい。
【0073】
本発明の組成物は溶媒を含むことができる。本発明に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらを単独、または混合して使用することができる。
【0074】
本発明の組成物は、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、およびリンシリケートガラス基板との接着性をさらに高めるために、アミノ基、およびアミノ残基を有しないシランカップリング剤、チタンキレート剤などを添加することもできる。例えば、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、ビニルシランなどのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をポリマーに対して0.001から10重量部添加することが好ましい。
【0075】
また、上記シリコン系基板との接着性を高める手法として、一般式(3)〜(6)において、R21、R25、R28、R30の中の1〜10モル%をシロキサン結合を有するジアミン化合物の残基で共重合させることも好ましく用いられる。このシロキサン結合を有するジアミン化合物の具体例としては、例えば、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどが挙げられるが、これに限定されない
本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した以外の成分(例えば、補強剤など)を含有することができる。
【0076】
次に、本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を用いて、好適にパターンを形成する方法について説明する。
【0077】
本発明の耐組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコン、セラミックス類、ガリウムヒ素などのウエハが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0078】
次にポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を塗布した基板を乾燥して、ポジ型耐熱樹脂前駆体組成物皮膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃から150℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。必要に応じて、80℃で2分の後120℃で2分など、2段あるいはそれ以上で乾燥することもできる。
【0079】
次に、この皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0080】
現像時のパターン解像度が向上したり、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間が好ましい。この範囲を外れると、反応が進行しなかったり、全ての領域が溶解しなくなるなどの恐れがある。
【0081】
パターンを形成するには、現像処理を行う。ポジ型感光性の場合、露光部を現像液で除去することによりレリーフ・パターンが得られる。
【0082】
現像液は、使用するポリマーAの構造に合わせて適当なものを選択することができるが、アンモニア、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液を好ましく使用することができる。
【0083】
また、現像液として、本発明の組成物の溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを単独で用いても良いし、あるいはこれらの溶媒と、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、メチルカルビトール、エチルカルビトール、トルエン、キシレン、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどの貧溶媒とを単独あるいは数種組み合わせた混合液も好ましく使用することができる。
【0084】
現像は、例えば、上記の現像液を塗膜面にそのまま、あるいは、霧状にして放射する方法、現像液中に浸漬する方法、あるいは浸漬しながら超音波をかける方法などによって行うことができる。
【0085】
次いで、リンス液により、現像によって形成したレリーフ・パターンを洗浄することが好ましい。リンス液としては、現像液にアルカリ水溶液を用いた場合、水を好ましく使用できる。このとき、エタノール、イソプロピルアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、炭酸ガス、塩酸、酢酸などの酸などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0086】
有機溶媒を用いてリンスすることもできる。有機溶媒としては、現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0087】
耐熱樹脂前駆体を耐熱樹脂に変換するためには、200℃から500℃の温度を加える。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施するのが好ましい。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分づつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0088】
本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物は、表面保護膜(パッシベーション膜、バッファーコート膜、α線遮蔽膜)や層間絶縁膜などとして、半導体装置に好ましく用いられる。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するために、実施例で説明する。
【0090】
まず、実施例で用いた評価方法を記載する。
1)基材との接着性評価
まず、シリコンウエハ上に耐熱樹脂前駆体ワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレートで3分ベーク(大日本スクリーン製造(株)製SKW−636使用)し、最終的に厚さ8μmのプリベーク膜を作製した。この膜をオーブンに投入して170℃で30分、次いで320℃で1時間キュアしてポリイミド膜を得た。キュアは窒素中で行った。キュア後の膜に2mm間隔で10行10列の碁盤目状の切り込みをいれ、200時間のプレッシャークッカーテスト(以降、PCTと記載する)処理を行った後に、セロテープ(R)による引き剥がしによって100マスのうち何マス剥がれたかで接着特性の評価を行った。引き剥がしテストで剥がれ個数が10未満を合格、10以上を不合格とした。PCT処理は121℃、2気圧の飽和条件で行った。
【0091】
2)感光特性の評価
まず、シリコンウエハ上に耐熱樹脂前駆体ワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレートで3分ベーク(大日本スクリーン製造(株)製SKW−636使用)し、最終的に厚さ8μmのプリベーク膜を作製した。この膜をi線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて0〜800mJ/cm2の露光量にて50mJ/cm2ステップで露光し、露光後、2.38%のTMAH水溶液で90秒現像、ついで純水でリンスした。得られたパターンを顕微鏡観察し、パターン形成に必要な最低露光量Eth(1)を見積もった。次に、この耐熱性樹脂前駆体ワニスを23℃で3日間放置し、上記と同様の評価を行って最低露光量Eth(2)を見積もった。ついで、Eth(2)−Eth(1)の値を算出し、
この値の絶対値が50mJ/cm2以下なら合格、50mJ/cm2を越える場合は不合格とした。
【0092】
合成例1
乾燥窒素気流下、1Lの4つ口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.2g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降、NMPと記載する)100gに入れ溶解させた。ここに、無水ピロメリット酸10.8g(0.05モル)と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物15.0g(0.047モル)を加え、室温で6時間反応を行いポリアミド酸を得た。この溶液を40℃に加熱し、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール23.8g(0.20モル)を加えて2時間攪拌し、その後、室温に降温した。降温後に酢酸60g(1モル)加えて1時間攪拌し、その後、純水中に投入して再沈させ、沈殿物を濾別した。濾別した沈殿物を70℃で120時間乾燥し、目的のポリマーを得た。このポリマー30gを100gのNMPに溶解させ耐熱樹脂前駆体のワニスAを得た。
【0093】
合成例2:ヒドロキシル基含有酸無水物の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと記載する)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)を酢酸エチル100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここに酢酸エチル50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1Lに投入して酸無水物を得た。この化学式を下記する。得られた物質は350℃までに明確な融点が見られなかった。
【0094】
【化15】
【0095】
合成例3:ヒドロキシル基含有ジアミン化合物の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をテトラヒドロフランとエタノールの溶液で再結晶した。再結晶して集めた固体をエタノール100mlとテトラヒドロフラン300mlに溶解させて、5%パラジウム−炭素を2g加えて、激しく攪拌させた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約4時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ジアミン化合物を得た。この化学式を下記する。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0096】
【化16】
【0097】
合成例4
乾燥窒素気流下、BAHF36.6g(0.1モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100ml中に溶解させ、−5℃に冷却した。ここに、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)を加えて、ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド29.5g(0.1モル)をアセトン50gに溶解させた溶液を反応溶液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、10℃まで溶液の温度を上げて1時間攪拌を続け、その後、20℃で6時間攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液を10Lの水に投入してポリヒドロキシアミドの沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後60℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。この乾燥させたポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)の固体10gとオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとして4NT−300(2,3,4,4’−テトラヒドロキシビンゾフェノン1モルに対して1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド3モルを反応させて得られたエステル:東洋合成工業(株)製)2gをγ−ブチロラクトン(以降GBLと記載する)20gに溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスBを得た。
【0098】
合成例5
BAHF18.3g(0.05モル)をエタノール150ml中に溶解させ5℃に冷却した。ここに、カリウム−t−ブトキシド11.2g(0.1モル)を徐々に加えた。さらに、二炭酸−t−ブチル21.8g(0.1モル)を徐々に加えて2時間攪拌を続け、BAHFの水酸基がt−ブトキシカルボニル基で保護されたジアミン化合物を得た。この溶液を水1lに投入して、沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、30℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
乾燥窒素気流下、BAHF27.5g(0.075モル)と上記で合成したBAHFの水酸基をt−ブトキシカルボニル基で保護したジアミン13.4g(0.25モル)をN,N−ジメチルアセトアミド150ml中に溶解させ、−5℃に冷却した。ここに、グリシジルメチルエーテル52.8g(0.6モル)を加えて、イソフタル酸ジクロリド20.3g(0.1モル)をアセトン100gに溶解させた溶液を反応溶液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、10℃にまで溶液の温度を上げて1時間攪拌を続け、その後、20℃で6時間攪拌させた。攪拌終了後、溶液を10Lの水に投入してポリヒドロキシアミドアミド酸の沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後60℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。この乾燥させたポリヒドロキシアミド酸(ポリベンゾオキサゾール前駆体)の固体10gと光酸発生剤としてNAI−105(みどり化学(株)製)1gをGBL20gに溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスCを得た。
【0099】
合成例6
乾燥窒素気流下、1Lの4つ口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1モル)をGBL350gに溶解させた。ここに、合成例2で合成した酸無水物71.4g(0.1モル)をGBL40gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで40℃で2時間反応させた。さらにN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール23.8g(0.2モル)を加え、40℃で2時間撹拌し、室温に降温した。その後、酢酸60g(1モル)を投入し、室温で1時間攪拌した。これを水10Lに投入して沈殿物を濾別し、70℃で120時間乾燥して目的のポリマーを得た。得られたポリマー35gをGBL65gに溶解させ、これにo−キノンジアジド化合物4NT−300(東洋合成工業(株)製)5.5gを加えて耐熱樹脂前駆体のワニスDを得た。
【0100】
合成例7
乾燥窒素気流下、1lの4つ口フラスコに合成例3で合成したジアミン化合物24.2g(0.04モル)をNMP100gに溶解させ、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物12.4g(0.04モル)を加えて80℃で3時間撹拌した。さらにN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール8.8g(0.06モル)を加え、40℃で2時間撹拌し、室温に降温した。その後、酢酸24g(0.4モル)を投入し、室温で1時間攪拌した。これを水5Lに投入して沈殿物を濾別し、70℃で120時間乾燥して目的のポリマーを得た。得られたポリマー35gをGBL65gに溶解させ、これに合成例9で用いたo−キノンジアジド化合物4NT−300を3.5g混合して耐熱樹脂前駆体のワニスEを得た。
【0101】
合成例8
乾燥窒素気流下、500mlの4つ口フラスコに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物24.8gとn−ブチルアルコール59.3gを入れ、95℃で5時間反応させた。過剰なn−ブチルアルコールを減圧下で留去し、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルを得た。ついで、乾燥窒素気流下、300mlの4つ口フラスコに塩化チオニル95.2g、トルエン70.0gを入れ、40℃で3時間反応させた。減圧により、過剰の塩化チオニルをトルエンと共沸させて除去した。NMP186gを添加し、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルジクロリドの溶液を得た。
つぎに、乾燥窒素気流下、500mlの4つ口フラスコにNMP95.0gと3,5−ジアミノ安息香酸8.5g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.8gを入れ、攪拌溶解した。その後、ピリジン12.7gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を5lの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリアミド酸n−ブチルエステルを得た。
ポリアミド酸n−ブチルエステル30.0g、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドを1/3のモル比で反応させた化合物7.5gと(p−ニトロベンジル)−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナート2.0gをNMP45.0gに攪拌溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスFを得た。
【0102】
合成例9
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)の代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.0g(0.08モル)と3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例1と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスGを得た。
【0103】
合成例10
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1モル)の代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.0g(0.08モル)と3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例6と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスHを得た。
【0104】
合成例11
合成例3で合成したジアミン化合物24.2g(0.04モル)の代わりに、合成例3で合成したジアミン化合物19.3g(0.032モル)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5g(0.002モル)および、3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例7と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスIを得た。
【0105】
実施例1〜13および比較例1〜9
合成例で作製したワニスを使用して表1の組成で感光性耐熱樹脂前駆体組成物を作製し、評価した。結果を表1に合わせて示す。実施例1〜13は、接着性、感光特性共に優れていた。一方、一般式群(2)で表される化合物を含まない比較例1〜9においては接着性、感光特性のいずれかが不合格であった。
【0106】
【表1】
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、感光特性の低下を伴わず、かつ、加熱硬化後の基材との接着特性が良好であるポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体分野において層間絶縁膜、表面保護層などに用いられる耐熱樹脂前駆体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性樹脂は、半導体分野において層間絶縁膜、表面保護膜(バッファーコート膜、アルファー線遮蔽膜)などに利用されている。これらの膜の形成方法としては、有機溶剤への溶解性の高い耐熱樹脂前駆体の状態でまず塗膜形成をさせた後、ノボラック樹脂などのフォトレジストを用いてパターン加工し、しかる後に加熱硬化させて不溶、不融の耐熱性樹脂とする方法がとられている。近年は、耐熱性樹脂自身がパターン加工可能なネガ型、ポジ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物を用いることでフォトレジスト工程の簡略化が図られている。
【0003】
露光した部分が現像によって残るネガ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物の例としては、化学線により2量化する有機基または重合可能な炭素−炭素二重結合を含むアミノ化合物またはその四級化塩をポリアミド酸に添加したもの、ポリアミド酸にアクリルアミド類を添加したもの、炭素−炭素二重結合基をポリマーの側鎖ないしは主鎖に有するポリイミド前駆体などが知られている。
【0004】
また、露光した部分がアルカリ水溶液による現像によって溶解するポジ型の感光性耐熱樹脂前駆体組成物としては、o−ニトロベンジル基をエステル結合によってポリマー側鎖に導入したポリイミド前駆体、ポリアミド酸エステルにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、フェノール性水酸基を有するポリアミド酸あるいはポリアミド酸エステルにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、フェノール性水酸基を有するポリイミドにo−キノンジアジド化合物を混合したもの、ポリヒドロキシアミドにo−キノンジアジド化合物を混合したものなどが知られている。
【0005】
耐熱樹脂前駆体組成物を半導体用途に用いる場合、加熱硬化後の樹脂はデバイス内にパーマネント皮膜として残るため、加熱硬化膜の強度や信頼性が非常に重要である。半導体パッケージにおける信頼性を確保するためには、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、リンシリケートガラスなどの基材との接着性が大切である。
【0006】
耐熱性樹脂は一般的に、その剛直な主鎖構造から基材との接着強度が高くないとされ、上記に挙げた感光性前駆体から形成された耐熱性樹脂の場合、組成物を構成する感光剤、増感剤、酸発生剤および溶解調整剤などの添加物が加熱硬化後も微量に残留しているために、添加物を含有していないものに比べて接着強度がさらに低いという問題点があった。
【0007】
この問題点を解決すべく、シランカップリング剤、とりわけ、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するカップリング剤を組成物に添加して効果的な改善が図られてきたが、o−キノンジアジド化合物などの酸発生剤が含まれているポジ型感光性樹脂においては、脂肪族アミンによって酸発生剤の分解が促進され、感光特性の著しい低下が見られるといった問題が生じていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況を鑑み、本発明は、感光特性の低下を伴わず、かつ、加熱硬化後の基材との接着特性が良好なポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を克服すべく鋭意検討した結果、アミノシラン構造中のアミノ基を熱脱離基によって封止することで、常温加工時におけるポジ型の感光特性を損なうことなく、かつ、加熱硬化後における基材との接着性が良好となることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマー(A)と下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物(B)を含むことを特徴とするポジ型感光性耐熱性樹脂前駆体組成物をその骨子とする。
【0011】
【化3】
【0012】
(R1とR2はそれぞれ、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基。R3とR4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。)
【0013】
【化4】
【0014】
(R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明に使用するポリマーAは、下記一般式で表される構造単位を主成分とするポリマーである。ここで、主成分とは60モル%以上であることを言う。
【0017】
【化5】
【0018】
一般式(1)中、R1を構成する残基は酸の構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基である。本発明の組成物の耐熱性の点から、R1は芳香環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価から8価の有機基であるのが好ましい。
【0019】
一般式(1)中、R2を構成する残基はジアミンの構造成分を表しており、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価から8価の有機基である。本発明の組成物の耐熱性の点から、R2は芳香環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価から6価の有機基であるのが好ましい。
【0020】
一般式(1)中、R3、R4はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基を示す。R3やR4は各々同じでも異なっていてもよい。m1は3から100000までの整数。nとoはそれぞれ、0から2までの整数である。pとqは0から4までの整数であり、n+q>0である。
【0021】
本発明に使用するポリマーAは、一般式(1)で表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいはブレンド体であってもよい。その際、一般式(1)で表される構造単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいはブレンドに用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0022】
本発明の効果は、一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーであればいずれでも得られるが、なかでも下記一般式(3)〜(6)に示すようなポリマーが好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】
(R20は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。R21は少なくとも2つの炭素原子を有する2価の有機基。R22とR23はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基。m2は3から100000までの整数を示す。)
【0025】
【化7】
【0026】
(R24は少なくとも2つの炭素原子を有する3価から8価の有機基。R25は、少なくとも2つの炭素原子を有する2価から6価の有機基。R26は水素または炭素数1から20までの有機基。m3は3から100000までの整数。tは1または2。rとsは0から4までの整数であり、r+s>0である。)
【0027】
【化8】
【0028】
(R27は少なくとも2つの炭素原子を有する2価の有機基。R28は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。m4は3から100000までの整数を示す。)
【0029】
【化9】
【0030】
(R29は少なくとも2つの炭素原子を有する4価の有機基。R30は少なくとも2つの炭素原子を有する3〜4価の有機基。R31からR33はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1から20までの有機基から選ばれる基。uは1または2の整数であり、uが2の場合のR33は同じでも異なっていてもよい。m5は3から100000までの整数を示す。)
上記一般式(3)において、本発明の組成物の耐熱性の点から、R20は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の4価の有機基であるのが好ましい。R20の好ましい具体例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R20はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0031】
一般式(3)において、本発明の組成物の耐熱性の点から、R21は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の有機基であるのが好ましい。R21の好ましい具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、メチルパラフェニレンジアミン、メチルメタフェニレンジアミン、ジメチルパラフェニレンジアミン、ジメチルメタフェニレンジアミン、トリメチルパラフェニレンジアミン、トリメチルメタフェニレンジアミン、テトラメチルパラフェニレンジアミン、テトラメチルメタフェニレンジアミン、トリフルオロメチルパラフェニレンジアミン、トリフルオロメチルメタフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルパラフェニレンジアミン、ビス(トリフルオロ)メチルメタフェニレンジアミン、メトキシパラフェニレンジアミン、メトキシメタフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシパラフェニレンジアミン、トリフルオロメトキシメタフェニレンジアミン、フルオロパラフェニレンジアミン、フルオロメタフェニレンジアミン、クロロパラフェニレンジアミン、クロロメタフェニレンジアミン、ブロモパラフェニレンジアミン、ブロモメタフェニレンジアミン、カルボキシパラフェニレンジアミン、カルボキシメタフェニレンジアミン、メトキシカルボニルパラフェニレンジアミン、メトキシカルボニルメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ビス(アミノメチルフェニル)メタン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)メタン、ビス(アミノエチルフェニル)メタン、ビス(アミノクロロフェニル)メタン、ビス(アミノジメチルフェニル)メタン、ビス(アミノジエチルフェニル)メタン、ジアミノジフェニルプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノエチルフェニル)プロパン、ビス(アミノクロロフェニル)プロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)プロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノジエチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノエチルフェニル)スルホン、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジメチルフェニル)スルホン、ビス(アミノジエチルフェニル)スルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ビス(アミノメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノトリフルオロメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノエチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジメチルフェニル)エーテル、ビス(アミノジエチルフェニル)エーテル、ジメチルベンジジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ジクロロベンジジン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテル、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンなどの化合物の残基及びその水素添加化合物の残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、R21はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0032】
上記一般式(3)において、R22とR23はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。炭素数1〜20の有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数1〜20の有機基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。銅のマイグレーションを抑えるためには、R22およびR23のうち70モル%以上が炭素数1〜20の有機基であることが好ましく、炭素数1〜4の有機基であることがより好ましい。R22およびR23は単独種であってもよいし、2種以上の混合であってもよい。さらにR22およびR23は同じであっても、異なっても良い。
【0033】
一般式(3)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成される。すなわち、R22、R23が水素である場合は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなどの方法によって合成することができる。
【0034】
また、R22、R23がアルキル基である場合は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物を反応させた後、塩化チオニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミンと選択的に組み合わせるか、またはジシクロへキシルカルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンと選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させるなどの公知の方法によって合成することができる。
【0035】
一般式(4)において、R24は酸成分の残基を表している。また、R25はジアミン成分の残基を表している。耐熱性の点からR24およびR25は芳香族環を有することが好ましい。rとsは0〜4までの整数であり、r+s>0である。すなわち、一般式(4)においては、ジアミン成分、酸成分のうち少なくとも一方が水酸基、好ましくはフェノール性水酸基を有していることが必要である。さらに好ましくはフェノール性水酸基がアミド結合に対してオルソ位にあることである。耐熱性の点から、rとsは好ましくは0〜2までの整数である。
【0036】
ここで、r=0の場合、R24の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR20の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、r>0の場合、R24を含む構造式の具体例としては、一般式(7)に示すような構造のものがあげられるが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
【化10】
【0038】
また、一般式(4)において、s=0の場合、R25の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR21の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、s>0の場合、R25を含む構造の具体例としては、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシジアミノピリミジン、1,3−ジアミノ−4−ヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−5−ヒドロキシベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、ジヒドロキシベンゼンなどの化合物や、一般式(8)に示すような構造のものがあげられるが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
【化11】
【0040】
一般式(4)で表されるポリマーの原料である酸化合物またはジアミン化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて使用される。このとき、酸化合物のうち水酸基を含有する酸化合物が全酸化合物の70モル%以上であるか、または、ジアミン化合物のうち水酸基を含有するジアミン化合物が全ジアミン化合物の70モル%以上であることが好ましい。水酸基を含有する化合物の割合が上記範囲未満になるとアルカリ現像液への溶解性が低下するので注意を要する。
【0041】
一般式(4)のR26は、水素または炭素数1〜20の有機基を表している。より好ましくは炭素数1〜10の有機基である。R26の炭素数が20を越えるとアルカリ水溶液に溶解しにくくなる。得られる感光性樹脂溶液の安定性からR26は有機基が好ましいが、アルカリ水溶液に対する溶解性からみると水素が好ましい。つまり、R26はすべて水素であることやすべて有機基であるよりも、これらの両方が含まれているのが好ましい。このR26の水素と有機基の量を制御することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。銅のマイグレーションを抑えるためには、R26のうち70モル%以上が炭素数1〜20の有機基であることが好ましく、70モル%以上が炭素数1〜4の有機基であることが特に好ましい。tは好ましくは2である。
【0042】
一般式(4)において、カルボキシル基の一部をイミド化することによって、残存カルボキシル基の量を調節することが可能である。イミド化の方法としては、公知の方法を用いることができる。イミド化率は1%以上50%以下が好ましい。イミド化率が50%を超えると露光に使用する化学線に対するポリマーの吸収が大きくなり、感度が低下する傾向となる。
【0043】
一般式(4)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させたあと、側鎖のカルボキシル基の一部を熱処理によってイミド化させたり、エステル化試薬などを用いてアルキルエステル化するなどの方法を用いることができる。
【0044】
一般式(5)において、本発明の組成物の耐熱性から、R27は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の有機基であることが好ましい。R27の好ましい具体例としては、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、ベンゾフェノン−3,3’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−3,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸などの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R27はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0045】
一般式(5)において、本発明の組成物の耐熱性から、R28は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の4価の有機基であることが好ましい。R28の好ましい具体例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノ−3,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどの残基が挙げられるが、これらに限定されない。また、R28はこれらのうちの1種の残基から構成されていても良いし、2種以上の残基から構成されていても構わない。
【0046】
一般式(5)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体は公知の方法によって合成することができる。例えば、ジヒドロキシジアミンとハロゲン化ジカルボン酸との縮合反応、あるいはジヒドロキシジアミンとジカルボン酸をジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下で縮合させる方法などによって得ることができる。
【0047】
一般式(6)において、本発明の組成物の耐熱性から、R29は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の有機基であることが好ましい。
R29の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR20の具体例として挙げた残基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
一般式(6)において、本発明の組成物の耐熱性から、R30は芳香族または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の3〜4価の有機基であることが好ましい。R30の好ましい具体例としては、一般式(3)におけるR21の具体例として挙げた残基や、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、ビス(4−アミノー3−カルボキシフェニル)メチレン、4,4’−ジアミノ3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ジメチルビフェニルなどの残基が挙げられれるが、これらに限定されない。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0049】
一般式(6)で表されるポリマーの原料であるジアミン化合物のうち、側鎖にカルボニル基を有していないジアミン化合物の使用量は、ジアミン化合物の総モル数に対して、90モル%以下とすることが好ましい。90モル%を越えるとアルカリ現像液への溶解性が低下するので注意を要する。
【0050】
一般式(6)において、R31とR32はそれぞれ、水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。炭素数1〜20の有機基としては脂肪族有機基が好ましく、含有される有機基としては、炭化水素基、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基などが挙げられるがこれらに限定されない。ここで、炭素数1〜20の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数が20を越えると、熱硬化時にエステル部が脱離せず、脱水閉環が完全に進まず、良好な特性を持つポリイミド樹脂皮膜が得られにくい。
【0051】
一般式(6)において、R33は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の有機基から選ばれる基を表す。アルカリ現像液への溶解性を考えると、R33は水素、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンのいずれかであることが好ましく、水素であることが最も好ましい。
【0052】
一般式(6)で表される構造単位を主成分とするポリマーは公知の方法によって合成することができる。例えば、R31、R32が水素である場合は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどを主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させることで合成することができる。
【0053】
また、R31、R32がアルキル基である場合は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール化合物を反応させた後、塩化チオニル等を用いて酸塩化物を合成した後に適当なジアミンと選択的に組み合わせる方法、またはジシクロへキシルカルボジイミド等の適当な脱水剤を用いてジアミンと選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド等を主成分とする極性溶媒や、γ−ブチロラクトンを主成分とする溶媒中で反応させる方法など、公知の方法によって合成することができる。
【0054】
上記した一般式(3)〜(6)で表されるポリマーは単独で用いても良いし、共重合体、またはブレンド体であっても構わない。
【0055】
本発明で使用するポリマーAは、接着特性を向上させるために、ポリマーの両末端のうち少なくとも一方がフェノール基、チオフェノール基から選ばれるいずれかを含むことが好ましい。末端基の具体例としては下記一般式(9)で表される基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
【化12】
【0057】
本発明は下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物Bを必須の成分とする。
【0058】
【化13】
【0059】
一般式群(2)中、R5〜R6とR7〜R10はそれぞれ、少なくとも1つの炭素原子を有する有機基を表す。その具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられるがこれらに限定されない。R11〜R15とR16〜R19はそれぞれ、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基である。。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭素数が6を越えると、キュア時の膜収縮が大きくなるため好ましくない。一般式群(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記一般式群(10)で表されるような化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
【化14】
【0061】
本発明に使用する化合物Bは、ポリマーA 100重量部に対して0.001重量部以上添加する。好ましくは0.001〜30重量部添加する。より好ましくは0.005〜20重量部、特に好ましくは0.01〜15重量部である。0.001重量部より少ないと接着改良効果が見られないため好ましくない。また、30重量部を越えると、組成物の耐熱性が低下する恐れがある。
【0062】
次に、感光性について記載する。
【0063】
本発明で使用するポリマーAは、露光する化学線に対してできるだけ透明であることが望ましい。そのため、365nmにおけるポリマーAの吸光度は1μmあたり0.1以下であることが好ましい。より好ましくは0.08以下である。0.1を超えると365nmの化学線での露光に対する感度が低下傾向となる。
【0064】
本発明で使用するポリマーAに光酸発生剤を添加することでポジ型の感光性を付与することができる。とくに、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される構造単位を主成分とするポリマーにおいて光酸発生剤が好ましく用いられる。
【0065】
本発明で用られる光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ジアゾキノンスルホン酸アミド、ジアゾキノンスルホン酸エステル、ジアゾキノンスルホン酸塩、ニトロベンジルエステル、オニウム塩、ハロゲン化物、ハロゲン化イソシアネート、ハロゲン化トリアジン、ビスアリールスルホニルジアゾメタン、ジスルホン等の光照射により分解し酸を発生する化合物が挙げられる。特に、o−キノンジアジド化合物は未露光部の水溶性を抑制する効果を有するために望ましい。o−キノンジアジド化合物としては、1,2−ベンゾキノン−2−アジド−4−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸エステル又はスルホン酸アミド等が挙げられる。これらの化合物は、例えば、1,2−ベンゾキノン−2−アジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等のo−キノンジアジドスルホニルクロリド類とポリヒドロキシ化合物又はポリアミノ化合物を脱塩酸触媒の存在下で縮合反応することによって得ることができる。
【0066】
ここで、ポリヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、4−フェニルメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、4−エチル−1,3−ベンゼンジオール、4−フェニルメチル−1,3−ベンゼンジオール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、(2,4−ジヒドロキシフェニル)フェニルメタノン、4−ジフェニルメチル−1,2,3−ベンゼントリオール、2,4’、4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4’,4”,4’”−(1,2−エタンジイリデン)テトラキスフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビスフェノール、2,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘシルフェノール、2,2’−メチレンビス[6−[(2/4−ヒドロキシフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、2,2’−ビフェノール、4,4’−シクロヘシリデンビスフェノール4,4’−シクロペンチリデンビスフェノール2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベンゼン−1,2−ジオール]、5,5’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[ベンゼン−1,2,3−トリオール]4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ベンゼンジオール、4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−1,2−ベンゼンジオール、4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]−1,3−ベンゼンジオール、4−[(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]−1,2,3−ベンゼントリオール没食子酸メチル、没食子酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
また、ポリアミノ化合物としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
また、ポリヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明で用いられる光酸発生剤の具体例としては、例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸メチル、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4,4’,4’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビスフェノールのいずれかであって、かつ少なくとも一つのヒドロキシル基が1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基であるo−キノンジアジド化合物が好ましく挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本発明において、光酸発生剤は、ポリマーA 100重量部に対して好ましくは5から100重量部、より好ましくは5から40重量部の範囲で配合される。配合量が5重量部未満では十分な感度が得にくく、また、100重量部を超えると、光照射およびそれに続く現像によるパターンの形成が難しく、また本発明の組成物の耐熱性が低下する可能性がある。したがって、光酸発生剤の添加量は必要最小限であることが好ましい。
【0071】
本発明の組成物は溶解調整剤を含有することができる。溶解調整剤としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、スルホンアミド化合物、ウレア化合物など、一般にポジ型レジストに溶解調整剤として用いられる化合物であれば、いずれの化合物でも好ましく用いることができる。とくに、キノンジアジド化合物を合成する際の原料であるポリヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸メチル、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4,4’,4’−テトラキス[(1−メチルエチリデン)ビス(1,4−シクロヘキシリデン)]フェノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
溶解調整剤は、ポリマーA 100重量部に対して好ましくは1から100重量部、より好ましくは5から40重量部の範囲で配合される。配合量が1重量部未満では十分な効果が得にくく、また、100重量部を越えると樹脂組成物の耐熱性が低下する可能性がある。溶解調整剤は必要最小限の添加量であることが好ましい。
【0073】
本発明の組成物は溶媒を含むことができる。本発明に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらを単独、または混合して使用することができる。
【0074】
本発明の組成物は、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、およびリンシリケートガラス基板との接着性をさらに高めるために、アミノ基、およびアミノ残基を有しないシランカップリング剤、チタンキレート剤などを添加することもできる。例えば、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、ビニルシランなどのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をポリマーに対して0.001から10重量部添加することが好ましい。
【0075】
また、上記シリコン系基板との接着性を高める手法として、一般式(3)〜(6)において、R21、R25、R28、R30の中の1〜10モル%をシロキサン結合を有するジアミン化合物の残基で共重合させることも好ましく用いられる。このシロキサン結合を有するジアミン化合物の具体例としては、例えば、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどが挙げられるが、これに限定されない
本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した以外の成分(例えば、補強剤など)を含有することができる。
【0076】
次に、本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を用いて、好適にパターンを形成する方法について説明する。
【0077】
本発明の耐組成物を基板上に塗布する。基板としてはシリコン、セラミックス類、ガリウムヒ素などのウエハが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1から150μmになるように塗布される。
【0078】
次にポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を塗布した基板を乾燥して、ポジ型耐熱樹脂前駆体組成物皮膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃から150℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。必要に応じて、80℃で2分の後120℃で2分など、2段あるいはそれ以上で乾燥することもできる。
【0079】
次に、この皮膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。
【0080】
現像時のパターン解像度が向上したり、現像条件の許容幅が増大する場合には、現像前にベーク処理工程を取り入れても差し支えない。この温度としては50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜150℃の範囲がより好ましい。時間は10秒〜数時間が好ましい。この範囲を外れると、反応が進行しなかったり、全ての領域が溶解しなくなるなどの恐れがある。
【0081】
パターンを形成するには、現像処理を行う。ポジ型感光性の場合、露光部を現像液で除去することによりレリーフ・パターンが得られる。
【0082】
現像液は、使用するポリマーAの構造に合わせて適当なものを選択することができるが、アンモニア、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液を好ましく使用することができる。
【0083】
また、現像液として、本発明の組成物の溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを単独で用いても良いし、あるいはこれらの溶媒と、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、メチルカルビトール、エチルカルビトール、トルエン、キシレン、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどの貧溶媒とを単独あるいは数種組み合わせた混合液も好ましく使用することができる。
【0084】
現像は、例えば、上記の現像液を塗膜面にそのまま、あるいは、霧状にして放射する方法、現像液中に浸漬する方法、あるいは浸漬しながら超音波をかける方法などによって行うことができる。
【0085】
次いで、リンス液により、現像によって形成したレリーフ・パターンを洗浄することが好ましい。リンス液としては、現像液にアルカリ水溶液を用いた場合、水を好ましく使用できる。このとき、エタノール、イソプロピルアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、炭酸ガス、塩酸、酢酸などの酸などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0086】
有機溶媒を用いてリンスすることもできる。有機溶媒としては、現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、酢酸エチルなどが好ましく用いられる。
【0087】
耐熱樹脂前駆体を耐熱樹脂に変換するためには、200℃から500℃の温度を加える。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間実施するのが好ましい。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分づつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0088】
本発明のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物は、表面保護膜(パッシベーション膜、バッファーコート膜、α線遮蔽膜)や層間絶縁膜などとして、半導体装置に好ましく用いられる。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明するために、実施例で説明する。
【0090】
まず、実施例で用いた評価方法を記載する。
1)基材との接着性評価
まず、シリコンウエハ上に耐熱樹脂前駆体ワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレートで3分ベーク(大日本スクリーン製造(株)製SKW−636使用)し、最終的に厚さ8μmのプリベーク膜を作製した。この膜をオーブンに投入して170℃で30分、次いで320℃で1時間キュアしてポリイミド膜を得た。キュアは窒素中で行った。キュア後の膜に2mm間隔で10行10列の碁盤目状の切り込みをいれ、200時間のプレッシャークッカーテスト(以降、PCTと記載する)処理を行った後に、セロテープ(R)による引き剥がしによって100マスのうち何マス剥がれたかで接着特性の評価を行った。引き剥がしテストで剥がれ個数が10未満を合格、10以上を不合格とした。PCT処理は121℃、2気圧の飽和条件で行った。
【0091】
2)感光特性の評価
まず、シリコンウエハ上に耐熱樹脂前駆体ワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレートで3分ベーク(大日本スクリーン製造(株)製SKW−636使用)し、最終的に厚さ8μmのプリベーク膜を作製した。この膜をi線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて0〜800mJ/cm2の露光量にて50mJ/cm2ステップで露光し、露光後、2.38%のTMAH水溶液で90秒現像、ついで純水でリンスした。得られたパターンを顕微鏡観察し、パターン形成に必要な最低露光量Eth(1)を見積もった。次に、この耐熱性樹脂前駆体ワニスを23℃で3日間放置し、上記と同様の評価を行って最低露光量Eth(2)を見積もった。ついで、Eth(2)−Eth(1)の値を算出し、
この値の絶対値が50mJ/cm2以下なら合格、50mJ/cm2を越える場合は不合格とした。
【0092】
合成例1
乾燥窒素気流下、1Lの4つ口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.2g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降、NMPと記載する)100gに入れ溶解させた。ここに、無水ピロメリット酸10.8g(0.05モル)と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物15.0g(0.047モル)を加え、室温で6時間反応を行いポリアミド酸を得た。この溶液を40℃に加熱し、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール23.8g(0.20モル)を加えて2時間攪拌し、その後、室温に降温した。降温後に酢酸60g(1モル)加えて1時間攪拌し、その後、純水中に投入して再沈させ、沈殿物を濾別した。濾別した沈殿物を70℃で120時間乾燥し、目的のポリマーを得た。このポリマー30gを100gのNMPに溶解させ耐熱樹脂前駆体のワニスAを得た。
【0093】
合成例2:ヒドロキシル基含有酸無水物の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと記載する)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)を酢酸エチル100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここに酢酸エチル50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1Lに投入して酸無水物を得た。この化学式を下記する。得られた物質は350℃までに明確な融点が見られなかった。
【0094】
【化15】
【0095】
合成例3:ヒドロキシル基含有ジアミン化合物の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をテトラヒドロフランとエタノールの溶液で再結晶した。再結晶して集めた固体をエタノール100mlとテトラヒドロフラン300mlに溶解させて、5%パラジウム−炭素を2g加えて、激しく攪拌させた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約4時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ジアミン化合物を得た。この化学式を下記する。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0096】
【化16】
【0097】
合成例4
乾燥窒素気流下、BAHF36.6g(0.1モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100ml中に溶解させ、−5℃に冷却した。ここに、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)を加えて、ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド29.5g(0.1モル)をアセトン50gに溶解させた溶液を反応溶液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、10℃まで溶液の温度を上げて1時間攪拌を続け、その後、20℃で6時間攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液を10Lの水に投入してポリヒドロキシアミドの沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後60℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。この乾燥させたポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)の固体10gとオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとして4NT−300(2,3,4,4’−テトラヒドロキシビンゾフェノン1モルに対して1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド3モルを反応させて得られたエステル:東洋合成工業(株)製)2gをγ−ブチロラクトン(以降GBLと記載する)20gに溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスBを得た。
【0098】
合成例5
BAHF18.3g(0.05モル)をエタノール150ml中に溶解させ5℃に冷却した。ここに、カリウム−t−ブトキシド11.2g(0.1モル)を徐々に加えた。さらに、二炭酸−t−ブチル21.8g(0.1モル)を徐々に加えて2時間攪拌を続け、BAHFの水酸基がt−ブトキシカルボニル基で保護されたジアミン化合物を得た。この溶液を水1lに投入して、沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、30℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
乾燥窒素気流下、BAHF27.5g(0.075モル)と上記で合成したBAHFの水酸基をt−ブトキシカルボニル基で保護したジアミン13.4g(0.25モル)をN,N−ジメチルアセトアミド150ml中に溶解させ、−5℃に冷却した。ここに、グリシジルメチルエーテル52.8g(0.6モル)を加えて、イソフタル酸ジクロリド20.3g(0.1モル)をアセトン100gに溶解させた溶液を反応溶液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、10℃にまで溶液の温度を上げて1時間攪拌を続け、その後、20℃で6時間攪拌させた。攪拌終了後、溶液を10Lの水に投入してポリヒドロキシアミドアミド酸の沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後60℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。この乾燥させたポリヒドロキシアミド酸(ポリベンゾオキサゾール前駆体)の固体10gと光酸発生剤としてNAI−105(みどり化学(株)製)1gをGBL20gに溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスCを得た。
【0099】
合成例6
乾燥窒素気流下、1Lの4つ口フラスコに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1モル)をGBL350gに溶解させた。ここに、合成例2で合成した酸無水物71.4g(0.1モル)をGBL40gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで40℃で2時間反応させた。さらにN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール23.8g(0.2モル)を加え、40℃で2時間撹拌し、室温に降温した。その後、酢酸60g(1モル)を投入し、室温で1時間攪拌した。これを水10Lに投入して沈殿物を濾別し、70℃で120時間乾燥して目的のポリマーを得た。得られたポリマー35gをGBL65gに溶解させ、これにo−キノンジアジド化合物4NT−300(東洋合成工業(株)製)5.5gを加えて耐熱樹脂前駆体のワニスDを得た。
【0100】
合成例7
乾燥窒素気流下、1lの4つ口フラスコに合成例3で合成したジアミン化合物24.2g(0.04モル)をNMP100gに溶解させ、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物12.4g(0.04モル)を加えて80℃で3時間撹拌した。さらにN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール8.8g(0.06モル)を加え、40℃で2時間撹拌し、室温に降温した。その後、酢酸24g(0.4モル)を投入し、室温で1時間攪拌した。これを水5Lに投入して沈殿物を濾別し、70℃で120時間乾燥して目的のポリマーを得た。得られたポリマー35gをGBL65gに溶解させ、これに合成例9で用いたo−キノンジアジド化合物4NT−300を3.5g混合して耐熱樹脂前駆体のワニスEを得た。
【0101】
合成例8
乾燥窒素気流下、500mlの4つ口フラスコに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物24.8gとn−ブチルアルコール59.3gを入れ、95℃で5時間反応させた。過剰なn−ブチルアルコールを減圧下で留去し、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルを得た。ついで、乾燥窒素気流下、300mlの4つ口フラスコに塩化チオニル95.2g、トルエン70.0gを入れ、40℃で3時間反応させた。減圧により、過剰の塩化チオニルをトルエンと共沸させて除去した。NMP186gを添加し、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルジクロリドの溶液を得た。
つぎに、乾燥窒素気流下、500mlの4つ口フラスコにNMP95.0gと3,5−ジアミノ安息香酸8.5g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.8gを入れ、攪拌溶解した。その後、ピリジン12.7gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸ジn−ブチルエステルジクロリドの溶液を1時間で滴下した後、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を5lの水に投入し、析出物を回収、洗浄した後、減圧乾燥してポリアミド酸n−ブチルエステルを得た。
ポリアミド酸n−ブチルエステル30.0g、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドを1/3のモル比で反応させた化合物7.5gと(p−ニトロベンジル)−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナート2.0gをNMP45.0gに攪拌溶解させ、耐熱樹脂前駆体のワニスFを得た。
【0102】
合成例9
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)の代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.0g(0.08モル)と3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例1と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスGを得た。
【0103】
合成例10
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.0g(0.1モル)の代わりに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16.0g(0.08モル)と3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例6と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスHを得た。
【0104】
合成例11
合成例3で合成したジアミン化合物24.2g(0.04モル)の代わりに、合成例3で合成したジアミン化合物19.3g(0.032モル)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.5g(0.002モル)および、3−アミノフェノール2.2g(0.02モル)を加える以外は合成例7と同様にして耐熱樹脂前駆体のワニスIを得た。
【0105】
実施例1〜13および比較例1〜9
合成例で作製したワニスを使用して表1の組成で感光性耐熱樹脂前駆体組成物を作製し、評価した。結果を表1に合わせて示す。実施例1〜13は、接着性、感光特性共に優れていた。一方、一般式群(2)で表される化合物を含まない比較例1〜9においては接着性、感光特性のいずれかが不合格であった。
【0106】
【表1】
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、感光特性の低下を伴わず、かつ、加熱硬化後の基材との接着特性が良好であるポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物を提供することができる。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマー(A)と下記一般式群(2)で表される少なくとも1種の化合物(B)を含むことを特徴とするポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
- ポリマー(A)の両末端のうち少なくとも1方がフェノール基、チオフェノール基から選ばれるいずれかの基を含むことを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
- 光酸発生剤および/または溶解調整剤を含有することを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
- 光酸発生剤がo−キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項3記載のポジ型感光性耐熱樹脂前駆体組成物。
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