JP2004044158A - 防水シート固定治具及びシート防水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】躯体に高い強度で安定状態に固定でき、防水シートを高い強度で安定状態に接着できる防水シート固定治具を提供する。
【解決手段】本発明は、建造物躯体1の表面に固定され、躯体表面に張り渡された防水シート5の所要部分を接着するための防水シート固定治具10を対象とする。本治具10は、中央領域にシート接着部11が設けられ、両側に固定用フランジ15が設けられる。シート接着部11における表面全域が平坦面に形成される。両固定用フランジ15にそれぞれ固定孔16が形成される。両固定用フランジ15の固定孔16に固着具3がそれぞれ挿通されて躯体1に打ち込まれることによって、固定治具10が躯体1に固定されるとともに、その治具10のシート接着部11の表面に防水シート5の所要部分が高周波溶着等によって接着される。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明は、建造物躯体1の表面に固定され、躯体表面に張り渡された防水シート5の所要部分を接着するための防水シート固定治具10を対象とする。本治具10は、中央領域にシート接着部11が設けられ、両側に固定用フランジ15が設けられる。シート接着部11における表面全域が平坦面に形成される。両固定用フランジ15にそれぞれ固定孔16が形成される。両固定用フランジ15の固定孔16に固着具3がそれぞれ挿通されて躯体1に打ち込まれることによって、固定治具10が躯体1に固定されるとともに、その治具10のシート接着部11の表面に防水シート5の所要部分が高周波溶着等によって接着される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、防水シートを躯体に接合固定するための防水シート固定治具及びシート防水工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すにように、ビルの屋上やベランダ等の建造物躯体(1)の表面を、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製防水シート(5)を用いて防水施工を行うに際し、躯体(1)の表面に点在状態に、複数のシート固定治具(2)を固定しておき、躯体表面に張り渡した防水シート(5)の各固定治具(2)に対応する部分を、固定治具(2)に接着し、残り多くの部分を躯体(1)の表面から遊離させたままの状態に敷設するようにした絶縁工法が周知である。
【0003】
従来、このようなシート防水構造において、防水シート固定治具(2)としては、図6及び図7に示すように、固定ディスク等と称される円板状のものが採用されている。この固定治具(2)は、例えば鋼板の表面に、防水シートと同じ材質の合成樹脂、例えばポリ塩化ビニル樹脂等が積層された樹脂被覆鋼板からなり、中央に固定孔(2a)が形成されている。そして、治具中央の固定孔(2a)に開脚釘、カールプラグ等の固着具(3)が挿通されて躯体(1)に打ち込まれることによって、固定治具(2)が躯体(1)に固定されるとともに、その固定治具(2)の表面樹脂層に防水シート(5)が、溶剤や熱風による溶融着処理、あるいは接着剤による接着処理等によって接着されるものである。
【0004】
また近年においては、環境問題等に配慮して、防水シート(5)として、ポリオレフィン系樹脂製のものを使用する傾向が高まっている。このポリオレフィン系樹脂製の防水シート(5)は、接着性の観点から、高周波誘導加熱を用いた高周波溶着によって、固定治具(2)に接着する技術が好んで用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の固定治具(2)は、その中央に固定孔(2a)が設けられているため、その固定孔(2a)の部分には、防水シート(5)を接着することは不可能である。つまり、固定治具(2)におけるシート接着領域の中央部に、防水シート(5)の非接着領域が形成されるため、固定治具(2)の上面全域にわたって防水シート(5)を均一に接着することができず、安定した接着状態を得ることが困難であり、場合によっては、この非接着領域を起点として、防水シート(5)が固定治具(2)から部分的あるいは全体的に剥離してしまう恐れがあった。
【0006】
一方、ポリオレフィン系樹脂シート(5)の接着手段として多く用いられる高周波融着は、高周波によって、固定治具(2)の金属製芯板を誘導加熱して、固定治具(2)の表面樹脂層及び防水シート(5)を溶融して相互に融着するものである。しかしながら、上記従来の固定治具(2)は、その中央の固定孔(2a)に挿着される固着具(3)が、通常、金属等の電気導電体により構成されるため、高周波誘導加熱を行った際に、固着具(3)も誘導加熱されて、いわゆるエネルギーロスが発生する。このエネルギーロスによって、固定治具(2)の熱分布に偏りが発生して、接着強度に部分的なバラツキが発生し、接着信頼性が低下するという問題があった。更に上記のエネルギーロスにより、固定治具(2)のみを効率良く加熱できず、シート溶着作業に時間を要し、作業効率が低下するという問題も抱えている。
【0007】
また従来の固定治具(2)は、たった1本の固着具(3)により躯体(1)に固定するものであるため、各固定治具(2)の躯体(1)に対する固定強度を十分に確保することが困難である。このため、シート施工域全域における固定強度を高めるために、取付ピッチが小さく制限される。その結果、固定治具(2)の取付数が多くなり、その分、作業効率の低下及びコストの増大を来すという問題が発生する。
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、躯体への固定及び防水シートの接着を良好に行えて、シートが剥離するのを有効に防止できる上、防水シートを誘導加熱によって確実に接着施工でき、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができる防水シート固定治具及びシート防水工法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明は、建造物躯体の表面に固定され、躯体表面に張り渡された防水シートの所要部分を接着するための防水シート固定治具であって、治具中央領域にシート接着部が設けられるとともに、治具外周領域に固定用フランジが設けられ、前記シート接着部における表面のほぼ全域が平坦面に形成されるとともに、前記固定用フランジに、周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成され、前記固定用フランジの各固定孔に固着具がそれぞれ挿通されて躯体に固着されることによって、躯体に固定される一方、前記シート接着部の表面に防水シートの所要部分が接着されるよう構成されてなるものを要旨としている。
【0010】
本第1発明の防水シート固定治具においては、表面のほぼ全域が平坦なシート接着部に防水シートを接着するものであるため、防水シートをシート接着部の表面全域にわたって均一に接着することができ、安定した接着状態を得ることができる。
【0011】
更に固定治具を2本以上の固着具によって高い強度で固定できる上、治具外周領域の2箇所以上の位置で、治具全域をバランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。
【0012】
また固定治具を、上記したように躯体に高い強度で安定した状態に固定できるとともに、防水シートを接着強度で安定した状態に接着できるため、固定治具の取付ピッチを大きくしても、防水シート全域をバランス良く安定状態に施工でき、固定治具の取付数を減少させることができる。
【0013】
また固定治具は、その外周領域のフランジを固着具により固定するものであるため、例えば治具中央のシート接着領域内に、固着具等の導電部材が配置されることがなく、高周波溶着によって防水シートを接着するような場合に、エネルギーロスがなく、シート接着部全域をバランス良く均一に加熱することができ、防水シートをシート接着部の全域にバラツキのない均一な状態で接着することができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがないので、その溶着作業を効率良く行うことができる。
【0014】
一方、本第1発明においては、前記シート接着部が、平面視において円形に形成されてなる構成を採用するのが好ましい。
【0015】
すなわちこの構成を採用する場合、高周波等によってシート接合部の全域を、より一層バランス良く均一に加熱することができ、より安定した状態に防水シートを接着することができる。
【0016】
また本第1発明においては、前記固定孔が周方向に等間隔おきに配置されてなる構成を採用するのが良い。
【0017】
すなわちこの構成を採用する場合、固定治具の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。
【0018】
更に本第1発明においては、前記固定孔が4つ形成されてなる構成を採用するのが望ましい。
【0019】
すなわちこの構成を採用する場合、躯体に対する固定強度を十分に確保することができる。
【0020】
本第2発明は、上記第1発明の防水シート固定治具を用いた上で、高周波溶着により防水シートを接着するようにしたシート防水工法を特定するものである。
【0021】
すなわち本第2発明のシート防水工法は、導電性の芯板と、その表面に設けられた合成樹脂製の接着層とを備え、中央領域に表面のほぼ全域が平坦なシート接着部が設けられるとともに、外周領域に固定用フランジが設けられ、前記固定用フランジに周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成された防水シート固定治具を準備する工程と、前記防水シート固定治具を建造物躯体に配置した状態で、前記固定用フランジの各固定孔に固着具をそれぞれ挿通して躯体に固着することによって、前記防水シート固定治具を躯体に固定する工程と、防水シートを躯体上に張り渡して、その防水シートの前記シート接着部に対応する部分を、前記シート接着部の接着層に高周波溶着によって接着する工程とを含むものを要旨とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1及び図2はこの発明の第1実施形態である防水シート固定治具(10)を示す図である。両図に示すように、この固定治具(10)は、鋼板の両面にポリ塩化ビニル樹脂が積層された樹脂被覆鋼板のプレス成形品をもって構成されており、平面視長円形ないしは楕円形に形成されている。この治具(10)は、その中央領域が円形に膨出成形されて、平面視円形のシート接着部(11)として形成されるとともに、その両側領域が、シート接着部(11)に対し外方突出状に配置されて固定用フランジ(15)として形成されている。
【0023】
シート接着部(11)は、その表面(上面)が、固定用フランジ(15)の表面よりも高位に配置されるとともに、表面全域が平坦面に形成されている。また、両固定用フランジ(15)には、固定孔(16)がそれぞれ形成されている。
【0024】
本実施形態においては、この構成の固定治具(10)を多数用いて、ビルの屋上やベランダ等の建造物躯体(1)の表面に、ポリ塩化ビニル樹脂製の防水シート(5)を敷設施工するものである。
【0025】
すなわち固定治具(10)を、躯体(1)の表面における所定位置に配置し、その状態で、両固定用フランジ(15)の固定孔(16)に、開脚釘(アンカー釘)、カールプラグ等の固着具(3)をそれぞれ挿通して躯体(1)に打ち込むことにより、固定治具(10)を躯体表面に固定する。
【0026】
同様に多数の固定治具(10)を、躯体表面の所要位置に点在状態に固定する。
【0027】
続いて、防水シート(5)を躯体表面に張り渡して、固定治具(10)におけるシート接着部(11)の表面樹脂層に、防水シート(5)を接着する。
【0028】
ここで、この接着手段としては、溶剤や熱風を用いた溶融着、接着剤を用いた接着の他、高周波誘導加熱を用いた高周波溶着等を好適に採用することができる。
【0029】
また防水シート(5)としては、上記のポリ塩化ビニル樹脂製のものの他に、ポリオレフィン系樹脂製のものを好適に用いることができるが、それ以外の合成樹脂製のものや、合成ゴム製のものも使用することができる。
【0030】
また固定治具(10)としては、防水シート(5)との接着性を考慮して、表面樹脂層が、施工する防水シート(5)と同じ材質のものを使用するのが良い。
【0031】
更に固定治具(10)の芯板としては、所定の支持強度を有するものであれば、どのようなものでも良いが、高周波溶着を行うためには、導電性の材料からなるもの、好ましくは鋼板等の金属からなるものにより構成するのが良い。
【0032】
また固定治具(10)の芯板は、必ずしも板状のものである必要はなく、網状のものや、多孔状のもの等も採用することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態によるシート防水構造によれば、固定治具(10)の中央に表面全域が平坦なシート接着部(11)を形成し、この接着部(11)に防水シート(5)を接着するものであるため、防水シート(5)をシート接着部(11)の全域にわたって均一に接着することができ、例えばシート接着部に部分的に非接着領域が形成されることがないので、安定した接着状態を得ることができるとともに、防水シート(5)がシート接着部(11)から部分的あるいは全体的に剥離してしまうような不具合を有効に防止することができる。
【0034】
更に固定治具(10)の両側に固定用フランジ(15)を設けて、両フランジ(15)に貫通した固着具(3)によって、固定治具(10)を躯体(1)に固定するものであるため、1つの固定治具(10)を2本の固着具(3)によって固定することができ、固定強度を向上させることができる。しかも固着具(3)によって固定治具(10)の両側位置を固定するものであるため、固定治具(10)の全域をバランス良く安定した状態で躯体(1)に固定することができる。
【0035】
しかも、上記したように固定治具(10)を躯体(1)に高い強度で安定した状態に固定できるとともに、防水シート(5)を固定治具(10)に高い強度で安定した状態に接着できるため、固定治具(10)の取付ピッチを大きくしても、防水シート全域をバランス良く安定状態に敷設できる。その結果、固定治具(10)の取付数を減少させることができ、その分、作業効率を向上できるとともに、コストを削減することができる。
【0036】
また本実施形態においては、特に防水シート(5)の接着手段として、高周波溶着を用いる場合には一段と有益である。すなわち本実施形態の固定治具(10)はそのシート接着部(11)の領域内に、金属製固着具等の導電部材が配置されることがないので、高周波溶着時に、エネルギーロスがなく、固定治具(10)の芯板鋼板だけを的確に誘導加熱することができる。このため、固定治具(10)の芯板鋼板全域を均一にバランス良く加熱することができ、防水シート(5)をシート接着部(11)の全域にバラツキのない均一な状態で接着することができ、良好な接着状態を得ることができ、接着信頼性を向上させることができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがなく、誘導加熱を効率良く行うことができるため、より一層作業効率を向上させることができる。
【0037】
図3及び図4はこの発明の第2実施形態である固定治具(10)を示す図である。両図に示すように、この固定治具(10)は、平面視が正方形状に形成されており、中央の円形シート接着部(11)の外周に、正方形状の固定用フランジ(15)が設けられるとともに、固定用フランジ(15)の四隅部分に、固定孔(16)がそれぞれ形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一又は相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0038】
この第2実施形態の固定治具(10)は、その周囲4箇所の固定孔(16)にそれぞれ挿通した4本の固着具(3)により躯体(1)に固定されるとともに、中央領域のシート接着部(11)に上記と同様に防水シート(5)が接着されるものである。
【0039】
この第2実施形態の固定治具(10)においても、上記と同様に同様の効果を得ることができる。しかも、この第2実施形態の固定治具(10)においては、周囲4箇所を固着具(3)により躯体(1)に固定するものであるため、躯体(1)への固定強度を、より一層高めることができるとともに、固定治具(10)の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体(1)に固定することができる。
【0040】
<実施例>
上記第1実施形態(図1及び図2参照)の固定治具(10)に倣って実施例の固定治具(10)を作製した。すなわち、厚さ0.6mmのポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を打ち抜いて、短軸70mm、長軸100mmの楕円形の中間製品を得、その中間製品の内側(中央領域)を円形皿状にプレス成形して、直径65mmの円形のシート接合部(11)を形成するとともに、両側領域を固定用フランジ(15)として構成した。更に固定用フランジ(15)にそれぞれ固定孔(16)を形成し、これにより実施例の固定治具(10)を得た。
【0041】
これに対し、上記図6及び図7に示す従来の固定治具(2)に倣って比較例の固定治具(2)を作製した。すなわち、厚さ0.6mmのポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を打ち抜いて、直径65mmの円形の中間製品を得、その中間製品の中央に固定孔(2a)を形成して、比較例の固定治具(2)を得た。
【0042】
こうして得られた各固定治具(10)(2)をコンクリート構造物に、アンカー釘(固着具3)を用いて固定した後、厚さ2.0mmのポリ塩化ビニル樹脂製の防水シート(5)を被せて、高周波加熱器により、防水シート(5)と各固定治具(10)(2)とを溶融接着した。そして、実施例及び比較例の固定治具(10)(2)について、接着状態、作業効率、及びコンクリート構造物との接合強度とを調査した。
【0043】
その結果、実施例の固定治具(10)によるものは、防水シート(5)を治具(シート接着部)全域にわたって均一に接着でき、更に接着時の作業もスムーズに効率良く行うことができた。これに対し比較例の固定治具(2)によるものは、実施例のものに比べ、接着状態にバラツキがあり、更に接着作業をスムーズに行えず、作業効率が低いものであった。
【0044】
またコンクリート構造物に対する固定強度に関しては、実施例の固定治具(10)では、比較例の固定治具(2)に対し、約2倍の強度を有していた。従って、実施例の固定治具(10)は、比較例の固定治具(2)に対し、固定面積を約2倍に設定することが可能である。つまり、比較例(従来)の固定治具(2)では、取付ピッチが600mm程度であるのに対し、実施例の固定治具(10)は、取付ピッチを800〜900mm程度と大きく設定することができる。従って本発明に関連した実施例の固定治具では、比較例(従来)の固定治具に比べて、単位面積当たりの取付数を削減でき、施工効率の向上及びコストの削減を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本第1発明の防水シート固定治具によれば、中央領域に略全域が平坦なシート接着部を形成するとともに、外周領域に固定用フランジを形成し、固定用フランジの固定孔に挿通した固着具によって躯体に固定して、シート接着部に防水シートを接着するものであるため、防水シートをシート接着部の表面全域にわたって均一に接着することができ、安定した接着状態を得ることができ、防水シートが接着部から剥離してしまうような不具合を有効に防止することができる。更に2本以上の固着具によって高い強度で固定できる上、治具外周領域の2箇所以上の位置で、治具全域をバランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。またこのように防水シートを安定状態に施工できるため、固定治具の取付ピッチを大きく設定でき、固定治具の取付数を減少させることができ、その分、作業効率を向上できるとともに、コストを削減することができる。また治具中央領域のシート接着領域内に、固着具等の導電部材が配置されないため、高周波溶着時に、エネルギーロスがなく、シート接着部全域をバランス良く均一に加熱することができる。従って防水シートをシート接着部の全域にわたって均一に接着することができ、良好な接着状態を得ることができて、接着信頼性を向上させることができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがないので、その溶着作業をより一層効率良く行うことができるという効果がある。
【0046】
本第1発明において、シート接合部を円形に形成する場合、高周波等によってシート接合部の全域を、より一層バランス良く均一に加熱することができ、より安定した状態に防水シートを接着できるため、より一層、接着信頼性を向上させることができるという利点がある。
【0047】
更に本第1発明において、固定孔を周方向に等間隔おきに形成する場合には、固定治具の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体に固定することができるという利点がある。
【0048】
また本第1発明において、固定孔を4つ形成する場合には、躯体に対する固定強度を十分に確保することができるという利点がある。
【0049】
一方、本第2発明のシート防水工法は、上記第1発明の防水シート固定治具を用いた上で、高周波溶着により防水シートを接着するようにしたシート防水工法を特定するものであるため、上記第1発明と同様に、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である防水シート固定治具を示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は側面断面図である。
【図2】第1実施形態の固定治具が適用されたシート防水構造を示す断面図である。
【図3】この発明の第2実施形態である防水シート固定治具を示す平面図である。
【図4】第2実施形態の固定治具が適用されたシート防水構造を示す断面図である。
【図5】従来のシート防水構造をその防水シートの一部を捲り上げた状態で示す斜視図である。
【図6】従来の防水シート固定治具を示す平面図である。
【図7】従来のシート防水構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…躯体
3…固着具
5…防水シート
10…防水シート固定治具
11…シート接着部
15…固定用フランジ
16…固定孔
【発明の属する技術分野】
この発明は、防水シートを躯体に接合固定するための防水シート固定治具及びシート防水工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すにように、ビルの屋上やベランダ等の建造物躯体(1)の表面を、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製防水シート(5)を用いて防水施工を行うに際し、躯体(1)の表面に点在状態に、複数のシート固定治具(2)を固定しておき、躯体表面に張り渡した防水シート(5)の各固定治具(2)に対応する部分を、固定治具(2)に接着し、残り多くの部分を躯体(1)の表面から遊離させたままの状態に敷設するようにした絶縁工法が周知である。
【0003】
従来、このようなシート防水構造において、防水シート固定治具(2)としては、図6及び図7に示すように、固定ディスク等と称される円板状のものが採用されている。この固定治具(2)は、例えば鋼板の表面に、防水シートと同じ材質の合成樹脂、例えばポリ塩化ビニル樹脂等が積層された樹脂被覆鋼板からなり、中央に固定孔(2a)が形成されている。そして、治具中央の固定孔(2a)に開脚釘、カールプラグ等の固着具(3)が挿通されて躯体(1)に打ち込まれることによって、固定治具(2)が躯体(1)に固定されるとともに、その固定治具(2)の表面樹脂層に防水シート(5)が、溶剤や熱風による溶融着処理、あるいは接着剤による接着処理等によって接着されるものである。
【0004】
また近年においては、環境問題等に配慮して、防水シート(5)として、ポリオレフィン系樹脂製のものを使用する傾向が高まっている。このポリオレフィン系樹脂製の防水シート(5)は、接着性の観点から、高周波誘導加熱を用いた高周波溶着によって、固定治具(2)に接着する技術が好んで用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の固定治具(2)は、その中央に固定孔(2a)が設けられているため、その固定孔(2a)の部分には、防水シート(5)を接着することは不可能である。つまり、固定治具(2)におけるシート接着領域の中央部に、防水シート(5)の非接着領域が形成されるため、固定治具(2)の上面全域にわたって防水シート(5)を均一に接着することができず、安定した接着状態を得ることが困難であり、場合によっては、この非接着領域を起点として、防水シート(5)が固定治具(2)から部分的あるいは全体的に剥離してしまう恐れがあった。
【0006】
一方、ポリオレフィン系樹脂シート(5)の接着手段として多く用いられる高周波融着は、高周波によって、固定治具(2)の金属製芯板を誘導加熱して、固定治具(2)の表面樹脂層及び防水シート(5)を溶融して相互に融着するものである。しかしながら、上記従来の固定治具(2)は、その中央の固定孔(2a)に挿着される固着具(3)が、通常、金属等の電気導電体により構成されるため、高周波誘導加熱を行った際に、固着具(3)も誘導加熱されて、いわゆるエネルギーロスが発生する。このエネルギーロスによって、固定治具(2)の熱分布に偏りが発生して、接着強度に部分的なバラツキが発生し、接着信頼性が低下するという問題があった。更に上記のエネルギーロスにより、固定治具(2)のみを効率良く加熱できず、シート溶着作業に時間を要し、作業効率が低下するという問題も抱えている。
【0007】
また従来の固定治具(2)は、たった1本の固着具(3)により躯体(1)に固定するものであるため、各固定治具(2)の躯体(1)に対する固定強度を十分に確保することが困難である。このため、シート施工域全域における固定強度を高めるために、取付ピッチが小さく制限される。その結果、固定治具(2)の取付数が多くなり、その分、作業効率の低下及びコストの増大を来すという問題が発生する。
【0008】
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、躯体への固定及び防水シートの接着を良好に行えて、シートが剥離するのを有効に防止できる上、防水シートを誘導加熱によって確実に接着施工でき、作業効率の向上及びコストの削減を図ることができる防水シート固定治具及びシート防水工法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明は、建造物躯体の表面に固定され、躯体表面に張り渡された防水シートの所要部分を接着するための防水シート固定治具であって、治具中央領域にシート接着部が設けられるとともに、治具外周領域に固定用フランジが設けられ、前記シート接着部における表面のほぼ全域が平坦面に形成されるとともに、前記固定用フランジに、周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成され、前記固定用フランジの各固定孔に固着具がそれぞれ挿通されて躯体に固着されることによって、躯体に固定される一方、前記シート接着部の表面に防水シートの所要部分が接着されるよう構成されてなるものを要旨としている。
【0010】
本第1発明の防水シート固定治具においては、表面のほぼ全域が平坦なシート接着部に防水シートを接着するものであるため、防水シートをシート接着部の表面全域にわたって均一に接着することができ、安定した接着状態を得ることができる。
【0011】
更に固定治具を2本以上の固着具によって高い強度で固定できる上、治具外周領域の2箇所以上の位置で、治具全域をバランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。
【0012】
また固定治具を、上記したように躯体に高い強度で安定した状態に固定できるとともに、防水シートを接着強度で安定した状態に接着できるため、固定治具の取付ピッチを大きくしても、防水シート全域をバランス良く安定状態に施工でき、固定治具の取付数を減少させることができる。
【0013】
また固定治具は、その外周領域のフランジを固着具により固定するものであるため、例えば治具中央のシート接着領域内に、固着具等の導電部材が配置されることがなく、高周波溶着によって防水シートを接着するような場合に、エネルギーロスがなく、シート接着部全域をバランス良く均一に加熱することができ、防水シートをシート接着部の全域にバラツキのない均一な状態で接着することができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがないので、その溶着作業を効率良く行うことができる。
【0014】
一方、本第1発明においては、前記シート接着部が、平面視において円形に形成されてなる構成を採用するのが好ましい。
【0015】
すなわちこの構成を採用する場合、高周波等によってシート接合部の全域を、より一層バランス良く均一に加熱することができ、より安定した状態に防水シートを接着することができる。
【0016】
また本第1発明においては、前記固定孔が周方向に等間隔おきに配置されてなる構成を採用するのが良い。
【0017】
すなわちこの構成を採用する場合、固定治具の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。
【0018】
更に本第1発明においては、前記固定孔が4つ形成されてなる構成を採用するのが望ましい。
【0019】
すなわちこの構成を採用する場合、躯体に対する固定強度を十分に確保することができる。
【0020】
本第2発明は、上記第1発明の防水シート固定治具を用いた上で、高周波溶着により防水シートを接着するようにしたシート防水工法を特定するものである。
【0021】
すなわち本第2発明のシート防水工法は、導電性の芯板と、その表面に設けられた合成樹脂製の接着層とを備え、中央領域に表面のほぼ全域が平坦なシート接着部が設けられるとともに、外周領域に固定用フランジが設けられ、前記固定用フランジに周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成された防水シート固定治具を準備する工程と、前記防水シート固定治具を建造物躯体に配置した状態で、前記固定用フランジの各固定孔に固着具をそれぞれ挿通して躯体に固着することによって、前記防水シート固定治具を躯体に固定する工程と、防水シートを躯体上に張り渡して、その防水シートの前記シート接着部に対応する部分を、前記シート接着部の接着層に高周波溶着によって接着する工程とを含むものを要旨とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1及び図2はこの発明の第1実施形態である防水シート固定治具(10)を示す図である。両図に示すように、この固定治具(10)は、鋼板の両面にポリ塩化ビニル樹脂が積層された樹脂被覆鋼板のプレス成形品をもって構成されており、平面視長円形ないしは楕円形に形成されている。この治具(10)は、その中央領域が円形に膨出成形されて、平面視円形のシート接着部(11)として形成されるとともに、その両側領域が、シート接着部(11)に対し外方突出状に配置されて固定用フランジ(15)として形成されている。
【0023】
シート接着部(11)は、その表面(上面)が、固定用フランジ(15)の表面よりも高位に配置されるとともに、表面全域が平坦面に形成されている。また、両固定用フランジ(15)には、固定孔(16)がそれぞれ形成されている。
【0024】
本実施形態においては、この構成の固定治具(10)を多数用いて、ビルの屋上やベランダ等の建造物躯体(1)の表面に、ポリ塩化ビニル樹脂製の防水シート(5)を敷設施工するものである。
【0025】
すなわち固定治具(10)を、躯体(1)の表面における所定位置に配置し、その状態で、両固定用フランジ(15)の固定孔(16)に、開脚釘(アンカー釘)、カールプラグ等の固着具(3)をそれぞれ挿通して躯体(1)に打ち込むことにより、固定治具(10)を躯体表面に固定する。
【0026】
同様に多数の固定治具(10)を、躯体表面の所要位置に点在状態に固定する。
【0027】
続いて、防水シート(5)を躯体表面に張り渡して、固定治具(10)におけるシート接着部(11)の表面樹脂層に、防水シート(5)を接着する。
【0028】
ここで、この接着手段としては、溶剤や熱風を用いた溶融着、接着剤を用いた接着の他、高周波誘導加熱を用いた高周波溶着等を好適に採用することができる。
【0029】
また防水シート(5)としては、上記のポリ塩化ビニル樹脂製のものの他に、ポリオレフィン系樹脂製のものを好適に用いることができるが、それ以外の合成樹脂製のものや、合成ゴム製のものも使用することができる。
【0030】
また固定治具(10)としては、防水シート(5)との接着性を考慮して、表面樹脂層が、施工する防水シート(5)と同じ材質のものを使用するのが良い。
【0031】
更に固定治具(10)の芯板としては、所定の支持強度を有するものであれば、どのようなものでも良いが、高周波溶着を行うためには、導電性の材料からなるもの、好ましくは鋼板等の金属からなるものにより構成するのが良い。
【0032】
また固定治具(10)の芯板は、必ずしも板状のものである必要はなく、網状のものや、多孔状のもの等も採用することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態によるシート防水構造によれば、固定治具(10)の中央に表面全域が平坦なシート接着部(11)を形成し、この接着部(11)に防水シート(5)を接着するものであるため、防水シート(5)をシート接着部(11)の全域にわたって均一に接着することができ、例えばシート接着部に部分的に非接着領域が形成されることがないので、安定した接着状態を得ることができるとともに、防水シート(5)がシート接着部(11)から部分的あるいは全体的に剥離してしまうような不具合を有効に防止することができる。
【0034】
更に固定治具(10)の両側に固定用フランジ(15)を設けて、両フランジ(15)に貫通した固着具(3)によって、固定治具(10)を躯体(1)に固定するものであるため、1つの固定治具(10)を2本の固着具(3)によって固定することができ、固定強度を向上させることができる。しかも固着具(3)によって固定治具(10)の両側位置を固定するものであるため、固定治具(10)の全域をバランス良く安定した状態で躯体(1)に固定することができる。
【0035】
しかも、上記したように固定治具(10)を躯体(1)に高い強度で安定した状態に固定できるとともに、防水シート(5)を固定治具(10)に高い強度で安定した状態に接着できるため、固定治具(10)の取付ピッチを大きくしても、防水シート全域をバランス良く安定状態に敷設できる。その結果、固定治具(10)の取付数を減少させることができ、その分、作業効率を向上できるとともに、コストを削減することができる。
【0036】
また本実施形態においては、特に防水シート(5)の接着手段として、高周波溶着を用いる場合には一段と有益である。すなわち本実施形態の固定治具(10)はそのシート接着部(11)の領域内に、金属製固着具等の導電部材が配置されることがないので、高周波溶着時に、エネルギーロスがなく、固定治具(10)の芯板鋼板だけを的確に誘導加熱することができる。このため、固定治具(10)の芯板鋼板全域を均一にバランス良く加熱することができ、防水シート(5)をシート接着部(11)の全域にバラツキのない均一な状態で接着することができ、良好な接着状態を得ることができ、接着信頼性を向上させることができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがなく、誘導加熱を効率良く行うことができるため、より一層作業効率を向上させることができる。
【0037】
図3及び図4はこの発明の第2実施形態である固定治具(10)を示す図である。両図に示すように、この固定治具(10)は、平面視が正方形状に形成されており、中央の円形シート接着部(11)の外周に、正方形状の固定用フランジ(15)が設けられるとともに、固定用フランジ(15)の四隅部分に、固定孔(16)がそれぞれ形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一又は相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0038】
この第2実施形態の固定治具(10)は、その周囲4箇所の固定孔(16)にそれぞれ挿通した4本の固着具(3)により躯体(1)に固定されるとともに、中央領域のシート接着部(11)に上記と同様に防水シート(5)が接着されるものである。
【0039】
この第2実施形態の固定治具(10)においても、上記と同様に同様の効果を得ることができる。しかも、この第2実施形態の固定治具(10)においては、周囲4箇所を固着具(3)により躯体(1)に固定するものであるため、躯体(1)への固定強度を、より一層高めることができるとともに、固定治具(10)の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体(1)に固定することができる。
【0040】
<実施例>
上記第1実施形態(図1及び図2参照)の固定治具(10)に倣って実施例の固定治具(10)を作製した。すなわち、厚さ0.6mmのポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を打ち抜いて、短軸70mm、長軸100mmの楕円形の中間製品を得、その中間製品の内側(中央領域)を円形皿状にプレス成形して、直径65mmの円形のシート接合部(11)を形成するとともに、両側領域を固定用フランジ(15)として構成した。更に固定用フランジ(15)にそれぞれ固定孔(16)を形成し、これにより実施例の固定治具(10)を得た。
【0041】
これに対し、上記図6及び図7に示す従来の固定治具(2)に倣って比較例の固定治具(2)を作製した。すなわち、厚さ0.6mmのポリ塩化ビニル樹脂被覆鋼板を打ち抜いて、直径65mmの円形の中間製品を得、その中間製品の中央に固定孔(2a)を形成して、比較例の固定治具(2)を得た。
【0042】
こうして得られた各固定治具(10)(2)をコンクリート構造物に、アンカー釘(固着具3)を用いて固定した後、厚さ2.0mmのポリ塩化ビニル樹脂製の防水シート(5)を被せて、高周波加熱器により、防水シート(5)と各固定治具(10)(2)とを溶融接着した。そして、実施例及び比較例の固定治具(10)(2)について、接着状態、作業効率、及びコンクリート構造物との接合強度とを調査した。
【0043】
その結果、実施例の固定治具(10)によるものは、防水シート(5)を治具(シート接着部)全域にわたって均一に接着でき、更に接着時の作業もスムーズに効率良く行うことができた。これに対し比較例の固定治具(2)によるものは、実施例のものに比べ、接着状態にバラツキがあり、更に接着作業をスムーズに行えず、作業効率が低いものであった。
【0044】
またコンクリート構造物に対する固定強度に関しては、実施例の固定治具(10)では、比較例の固定治具(2)に対し、約2倍の強度を有していた。従って、実施例の固定治具(10)は、比較例の固定治具(2)に対し、固定面積を約2倍に設定することが可能である。つまり、比較例(従来)の固定治具(2)では、取付ピッチが600mm程度であるのに対し、実施例の固定治具(10)は、取付ピッチを800〜900mm程度と大きく設定することができる。従って本発明に関連した実施例の固定治具では、比較例(従来)の固定治具に比べて、単位面積当たりの取付数を削減でき、施工効率の向上及びコストの削減を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本第1発明の防水シート固定治具によれば、中央領域に略全域が平坦なシート接着部を形成するとともに、外周領域に固定用フランジを形成し、固定用フランジの固定孔に挿通した固着具によって躯体に固定して、シート接着部に防水シートを接着するものであるため、防水シートをシート接着部の表面全域にわたって均一に接着することができ、安定した接着状態を得ることができ、防水シートが接着部から剥離してしまうような不具合を有効に防止することができる。更に2本以上の固着具によって高い強度で固定できる上、治具外周領域の2箇所以上の位置で、治具全域をバランス良く安定した状態で躯体に固定することができる。またこのように防水シートを安定状態に施工できるため、固定治具の取付ピッチを大きく設定でき、固定治具の取付数を減少させることができ、その分、作業効率を向上できるとともに、コストを削減することができる。また治具中央領域のシート接着領域内に、固着具等の導電部材が配置されないため、高周波溶着時に、エネルギーロスがなく、シート接着部全域をバランス良く均一に加熱することができる。従って防水シートをシート接着部の全域にわたって均一に接着することができ、良好な接着状態を得ることができて、接着信頼性を向上させることができる。更に高周波溶着時のエネルギーロスがないので、その溶着作業をより一層効率良く行うことができるという効果がある。
【0046】
本第1発明において、シート接合部を円形に形成する場合、高周波等によってシート接合部の全域を、より一層バランス良く均一に加熱することができ、より安定した状態に防水シートを接着できるため、より一層、接着信頼性を向上させることができるという利点がある。
【0047】
更に本第1発明において、固定孔を周方向に等間隔おきに形成する場合には、固定治具の全域を、より一層バランス良く安定した状態で躯体に固定することができるという利点がある。
【0048】
また本第1発明において、固定孔を4つ形成する場合には、躯体に対する固定強度を十分に確保することができるという利点がある。
【0049】
一方、本第2発明のシート防水工法は、上記第1発明の防水シート固定治具を用いた上で、高周波溶着により防水シートを接着するようにしたシート防水工法を特定するものであるため、上記第1発明と同様に、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である防水シート固定治具を示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は側面断面図である。
【図2】第1実施形態の固定治具が適用されたシート防水構造を示す断面図である。
【図3】この発明の第2実施形態である防水シート固定治具を示す平面図である。
【図4】第2実施形態の固定治具が適用されたシート防水構造を示す断面図である。
【図5】従来のシート防水構造をその防水シートの一部を捲り上げた状態で示す斜視図である。
【図6】従来の防水シート固定治具を示す平面図である。
【図7】従来のシート防水構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…躯体
3…固着具
5…防水シート
10…防水シート固定治具
11…シート接着部
15…固定用フランジ
16…固定孔
Claims (5)
- 建造物躯体の表面に固定され、躯体表面に張り渡された防水シートの所要部分を接着するための防水シート固定治具であって、
治具中央領域にシート接着部が設けられるとともに、治具外周領域に固定用フランジが設けられ、
前記シート接着部における表面のほぼ全域が平坦面に形成されるとともに、
前記固定用フランジに、周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成され、前記固定用フランジの各固定孔に固着具がそれぞれ挿通されて躯体に固着されることによって、躯体に固定される一方、前記シート接着部の表面に防水シートの所要部分が接着されるよう構成されてなることを特徴とする防水シート固定治具。 - 前記シート接着部が、平面視において円形に形成されてなる請求項1記載の防水シート固定治具。
- 前記固定孔が周方向に等間隔おきに配置されてなる請求項1又は2記載の防水シート固定治具。
- 前記固定孔が4つ形成されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の防水シート固定治具。
- 導電性の芯板と、その表面に設けられた合成樹脂製の接着層とを備え、中央領域に表面のほぼ全域が平坦なシート接着部が設けられるとともに、外周領域に固定用フランジが設けられ、前記固定用フランジに周方向に間隔をおいて2つ以上の固定孔が形成された防水シート固定治具を準備する工程と、前記防水シート固定治具を建造物躯体に配置した状態で、前記固定用フランジの各固定孔に固着具をそれぞれ挿通して躯体に固着することによって、前記防水シート固定治具を躯体に固定する工程と、
防水シートを躯体上に張り渡して、その防水シートの前記シート接着部に対応する部分を、前記シート接着部の接着層に高周波溶着によって接着する工程とを含むものとしたシート防水工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002201099A JP2004044158A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 防水シート固定治具及びシート防水工法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010106527A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Tsutsunaka Sheet Bosui Kk | 防水シートの敷設方法 |
KR101181999B1 (ko) | 2010-01-27 | 2012-09-11 | 오재연 | 콘크리트 구조물의 방수시트 및 그 시공방법 |
JP2013053517A (ja) * | 2012-12-17 | 2013-03-21 | S.B. Sheet Waterproof System Co Ltd | 防水シートの敷設方法 |
JP2015042845A (ja) * | 2014-12-01 | 2015-03-05 | 住ベシート防水株式会社 | 防水シートの敷設方法 |
-
2002
- 2002-07-10 JP JP2002201099A patent/JP2004044158A/ja active Pending
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