JP2004043941A - 変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼板の処理条件に変動が生じても、冷却帯での変色を抑えることが可能となる鋼板の連続焼鈍方法およびそのための設備を提案する。
【解決手段】鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却するに際し、冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気を酸素含有雰囲気とする鋼板の連続焼鈍方法。また、冷却帯前段に酸素および/または空気を供給する手段と、前記冷却帯前段の雰囲気中の酸素濃度を測定する手段と、前記測定された酸素濃度が所望の値となるよう、前記酸素および/または空気の供給量を調整する手段とを有する鋼板の連続焼鈍装置。
【選択図】 図2
【解決手段】鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却するに際し、冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気を酸素含有雰囲気とする鋼板の連続焼鈍方法。また、冷却帯前段に酸素および/または空気を供給する手段と、前記冷却帯前段の雰囲気中の酸素濃度を測定する手段と、前記測定された酸素濃度が所望の値となるよう、前記酸素および/または空気の供給量を調整する手段とを有する鋼板の連続焼鈍装置。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼板の連続焼鈍方法に関し、特に冷却帯の酸素濃度を調整することで鋼板の変色等を防止する方法およびそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の連続焼鈍炉においては鋼板を走行状態で所望の温度に加熱し、材質の作りこみや表面反応が達成され、最終的に冷却される。この間、鋼板表面を商品機能上適正に維持するため、雰囲気の制御が実施され、例えば酸化を抑えるための水素付加、水分、酸素の低減など設備、操業の工夫が随所に為されている。
冷却帯においても板温が高い段階では水素などで酸素ポテンシャルを抑え、ある程度低温となったところで窒素雰囲気でジェットクーラーによる冷却が施され、変色を抑制する工夫が為されている。操業的にもガス量やガスの吹き込み位置の適正化を実施して変色を抑え込んでいるのが実情である。例えば、特開2002−3953号公報では冷却帯へのガス供給量を他帯よりも多くし、冷却帯から前後帯へのガス流れを形成することで鋼板の酸化抑制が可能であることが開示されている。
【0003】
ところが近年、ユーザニーズの多様化からプロダクトミックスが進み、同一ラインで各種サイズの鋼板を各種速度で処理するようになるに伴い、従来条件では発生しなかった変色が新たな条件では発生するという事態、例えば従来の厚手材では発生しなかった変色が薄手材では発生する等の事態が生じており、その対策に苦慮するケースが増えている。
一般的に鋼板酸化を抑制するためには雰囲気の低酸素化、低水分化が基本であるが、設備機能、操業条件にも限界があり、例えば高速で循環するジェットクーラー冷却設備においては、外気侵入を完全に無くし酸素濃度を0とすることは不可能に近い。また、多量の雰囲気ガスを吹き込むことも設備制約やコスト圧迫などの点から困難が多い。このように無酸化の理想条件を実現するには莫大な設備費やコストを要することになり非現実的となる。
現実的に解決するためには、完全とは言えない従来条件でも発生しなかった変色が新たな条件ではなぜ発生するのかその変色の普遍的メカニズムを明確化し、設備や操業に活かす必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上述べた課題を解決し、鋼板の処理条件に変動が生じても、冷却帯での変色を抑えることが可能でかつ比較的簡易な鋼板の連続焼鈍方法およびそのための設備を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却するに際し、冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気を酸素含有雰囲気とすることを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
(2) 冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気中の酸素濃度が、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とする(1)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
log〔O〕 ≦ (T−500)/100 ・・・(1)
ただし、〔O〕:酸素濃度(ppm)、T:鋼板温度(℃)
(3) 処理鋼板が珪素含有量0.5質量%以上の電磁鋼板であることを特徴とする(1)又は(2)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
(4) 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却する装置において、冷却帯前段に酸素および/または空気を供給する手段を有することを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
(5) さらに、前記冷却帯前段の雰囲気中の酸素濃度を測定する手段と、前記測定された酸素濃度が所望の値となるよう、前記酸素および/または空気の供給量を調整する手段とを有することを特徴とする(4)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
図1は本発明で対象とした焼鈍炉の一例であり、鋼板1を水平パスで連続焼鈍する構成で、加均熱帯2に続き、徐冷帯3を有し、ガス供給管5より水素+窒素を雰囲気ガスとして供給し炉前方方向へ流している。そして、冷却帯6は循環式ジェットクーラー4により冷却する方式で、ガス供給管5より窒素を供給し、これも炉前方へ流している。
【0007】
鋼板は還元雰囲気下での均熱後、冷却される過程の何れかで酸化性雰囲気に触れることとなるが、この条件によって変色の発生有無が決定されると考え、変色有無時の実機条件比較を行うと共に、ラボ実験を実施して変色発生条件の詳細を検討した。その結果、鋼板酸化の条件次第で変色程度が大きく異なり、特に低温、低酸素ポテンシャル化ほど変色が少ないという一般的認識とは異なる現象が生じることを見出した。
【0008】
図2は珪素含有量が1%の電磁鋼板を用いて、酸化性雰囲気に入る時の板温および雰囲気酸素濃度を種々変更したときの変色発生有無結果をマッピングしたものである。全般に酸素濃度低減により変色が抑えられる傾向は従来知見に合致し、何れの温度でも酸素濃度を20ppm以下とすることで変色を抑制可能である。一方、酸素濃度がある程度高くなった場合、板温が400℃以下の低温では変色は抑えられ、ある程度高温で変色が著しくなる傾向は従来知見通りであるが、700℃以上の温度では雰囲気中の酸素濃度が高くなっても変色が軽減する傾向となり、800℃になるとその酸素濃度範囲も広がるなど、通常認識とは異なる結果が得られた。
【0009】
この実験で得られた鋼板を分析したところ、変色が著しい鋼板は酸素含有量が100ppm以上であったのに対し、変色が抑えられた鋼板は酸素含有で高温処理にもかかわらず数十ppmと酸化が抑えられていることが判明した。特に高温で酸化を開始した鋼板には、表面にSiなど特定元素の濃化が見出されたことから、表面にタイトな酸化膜が形成された結果、その後の酸化が抑えられたものと推定される。
本発明は特に0.5質量%以上のSiを含有する電磁鋼板などの、酸化しやすい元素を多く含有する鋼板を処理する場合に効果を発揮する。
【0010】
また、実操業において板厚の厚い場合には発生しなかった変色が、薄手材で発生するようになった理由としては、冷却初期の水素含有雰囲気下での板温低下量が板厚で異なり、その後のジェット冷却帯の酸素含有雰囲気に突入した際の板温が厚手材では高いのに対し、薄手材では変色の著しい600℃程度まで低下していたと理解され、実機現象とも合致することが確認された。
即ち、冷却を開始する際に板温400℃以上700℃未満の間の雰囲気を低酸素化することに加え、板温700℃以上の間に微量酸素を含有する雰囲気と接触させる方法によっても、鋼板の変色を抑えることが可能であることを見出したものである。
特に、好ましい酸素濃度と冷却開始温度としては、図2から、以下の式(1)の範囲とすることが好ましい。
log〔O〕 ≦ (T−500)/100 ・・・(1)
ただし、〔O〕:酸素濃度(ppm)、T:鋼板温度(℃)
【0011】
なお、現状の炉内酸素はジェットクーラーの循環系から侵入したものが前方への流れに乗って、冷却帯前部へと流れながら鋼板と接触反応し、鋼板温度の低い状態から段階的に酸素が消費されるため、板温に対する酸素濃度の分布を完全に制御するのは困難である。これを積極的に制御する手段としては、冷却帯6における鋼板温度700〜400℃の間の酸素濃度を20ppm以下とすべく、シール強化やガス流を制御することが考えられるが、このような低酸素化が困難な場合は、図3に示すように、板温が700℃以上となる徐冷帯3に酸素および/または空気を供給する配管8を設置して、高温段階で確実に微量酸素濃度雰囲気に接触させて鋼板の変色を抑える方法を選択することも可能となる。
このときはさらに、徐冷帯3の雰囲気中の酸素濃度を酸素濃度計7により測定し、測定された酸素濃度が所望の値となるよう、コントローラーを介してバルブ9を制御して、酸素および/または空気の供給量を調整することで、鋼板の板厚や材質が変更になっても鋼板の変色を防止することが可能となる。
【0012】
【実施例】
図3の構成からなる焼鈍炉を用いて、徐冷帯3に空気を導入する注入装置により雰囲気酸素濃度を調節しながら、珪素含有量が1質量%の電磁鋼板を各種条件下で処理した。このときの鋼板の変色有無を表1に示す。
ケース1〜3および10〜12は従来の空気吹き込みを行っていない場合であり、徐冷帯後方の酸素濃度は殆ど0であった。これに対し、ケース4〜9は徐冷帯後方の酸素濃度を100〜1000ppmとすべく空気供給量を調整したものである。またケース10〜12は、特に冷却帯6の前方から後方へのガス流れを形成し、侵入酸素を抑えて低酸素化を実現したものである。
ケース1〜3では冷却帯6へ突入する板温の条件によっては変色が発生する場合があったが、空気を導入して徐冷帯の酸素濃度を高めたケース4〜9の場合はいずれも変色がないか軽微に抑えることができた。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、比較的簡易な手段であるが、鋼板の処理条件に変動が生じても、冷却帯での変色を確実に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする鋼板の連続焼鈍炉の模式図。
【図2】鋼板の変色実験結果を酸化開始温度と雰囲気中酸素濃度でマッピングした図。
【図3】連続焼鈍炉の徐冷帯の雰囲気酸素濃度を制御する装置を説明する図。
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼板の連続焼鈍方法に関し、特に冷却帯の酸素濃度を調整することで鋼板の変色等を防止する方法およびそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の連続焼鈍炉においては鋼板を走行状態で所望の温度に加熱し、材質の作りこみや表面反応が達成され、最終的に冷却される。この間、鋼板表面を商品機能上適正に維持するため、雰囲気の制御が実施され、例えば酸化を抑えるための水素付加、水分、酸素の低減など設備、操業の工夫が随所に為されている。
冷却帯においても板温が高い段階では水素などで酸素ポテンシャルを抑え、ある程度低温となったところで窒素雰囲気でジェットクーラーによる冷却が施され、変色を抑制する工夫が為されている。操業的にもガス量やガスの吹き込み位置の適正化を実施して変色を抑え込んでいるのが実情である。例えば、特開2002−3953号公報では冷却帯へのガス供給量を他帯よりも多くし、冷却帯から前後帯へのガス流れを形成することで鋼板の酸化抑制が可能であることが開示されている。
【0003】
ところが近年、ユーザニーズの多様化からプロダクトミックスが進み、同一ラインで各種サイズの鋼板を各種速度で処理するようになるに伴い、従来条件では発生しなかった変色が新たな条件では発生するという事態、例えば従来の厚手材では発生しなかった変色が薄手材では発生する等の事態が生じており、その対策に苦慮するケースが増えている。
一般的に鋼板酸化を抑制するためには雰囲気の低酸素化、低水分化が基本であるが、設備機能、操業条件にも限界があり、例えば高速で循環するジェットクーラー冷却設備においては、外気侵入を完全に無くし酸素濃度を0とすることは不可能に近い。また、多量の雰囲気ガスを吹き込むことも設備制約やコスト圧迫などの点から困難が多い。このように無酸化の理想条件を実現するには莫大な設備費やコストを要することになり非現実的となる。
現実的に解決するためには、完全とは言えない従来条件でも発生しなかった変色が新たな条件ではなぜ発生するのかその変色の普遍的メカニズムを明確化し、設備や操業に活かす必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上述べた課題を解決し、鋼板の処理条件に変動が生じても、冷却帯での変色を抑えることが可能でかつ比較的簡易な鋼板の連続焼鈍方法およびそのための設備を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却するに際し、冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気を酸素含有雰囲気とすることを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
(2) 冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気中の酸素濃度が、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とする(1)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
log〔O〕 ≦ (T−500)/100 ・・・(1)
ただし、〔O〕:酸素濃度(ppm)、T:鋼板温度(℃)
(3) 処理鋼板が珪素含有量0.5質量%以上の電磁鋼板であることを特徴とする(1)又は(2)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
(4) 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却する装置において、冷却帯前段に酸素および/または空気を供給する手段を有することを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
(5) さらに、前記冷却帯前段の雰囲気中の酸素濃度を測定する手段と、前記測定された酸素濃度が所望の値となるよう、前記酸素および/または空気の供給量を調整する手段とを有することを特徴とする(4)記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
図1は本発明で対象とした焼鈍炉の一例であり、鋼板1を水平パスで連続焼鈍する構成で、加均熱帯2に続き、徐冷帯3を有し、ガス供給管5より水素+窒素を雰囲気ガスとして供給し炉前方方向へ流している。そして、冷却帯6は循環式ジェットクーラー4により冷却する方式で、ガス供給管5より窒素を供給し、これも炉前方へ流している。
【0007】
鋼板は還元雰囲気下での均熱後、冷却される過程の何れかで酸化性雰囲気に触れることとなるが、この条件によって変色の発生有無が決定されると考え、変色有無時の実機条件比較を行うと共に、ラボ実験を実施して変色発生条件の詳細を検討した。その結果、鋼板酸化の条件次第で変色程度が大きく異なり、特に低温、低酸素ポテンシャル化ほど変色が少ないという一般的認識とは異なる現象が生じることを見出した。
【0008】
図2は珪素含有量が1%の電磁鋼板を用いて、酸化性雰囲気に入る時の板温および雰囲気酸素濃度を種々変更したときの変色発生有無結果をマッピングしたものである。全般に酸素濃度低減により変色が抑えられる傾向は従来知見に合致し、何れの温度でも酸素濃度を20ppm以下とすることで変色を抑制可能である。一方、酸素濃度がある程度高くなった場合、板温が400℃以下の低温では変色は抑えられ、ある程度高温で変色が著しくなる傾向は従来知見通りであるが、700℃以上の温度では雰囲気中の酸素濃度が高くなっても変色が軽減する傾向となり、800℃になるとその酸素濃度範囲も広がるなど、通常認識とは異なる結果が得られた。
【0009】
この実験で得られた鋼板を分析したところ、変色が著しい鋼板は酸素含有量が100ppm以上であったのに対し、変色が抑えられた鋼板は酸素含有で高温処理にもかかわらず数十ppmと酸化が抑えられていることが判明した。特に高温で酸化を開始した鋼板には、表面にSiなど特定元素の濃化が見出されたことから、表面にタイトな酸化膜が形成された結果、その後の酸化が抑えられたものと推定される。
本発明は特に0.5質量%以上のSiを含有する電磁鋼板などの、酸化しやすい元素を多く含有する鋼板を処理する場合に効果を発揮する。
【0010】
また、実操業において板厚の厚い場合には発生しなかった変色が、薄手材で発生するようになった理由としては、冷却初期の水素含有雰囲気下での板温低下量が板厚で異なり、その後のジェット冷却帯の酸素含有雰囲気に突入した際の板温が厚手材では高いのに対し、薄手材では変色の著しい600℃程度まで低下していたと理解され、実機現象とも合致することが確認された。
即ち、冷却を開始する際に板温400℃以上700℃未満の間の雰囲気を低酸素化することに加え、板温700℃以上の間に微量酸素を含有する雰囲気と接触させる方法によっても、鋼板の変色を抑えることが可能であることを見出したものである。
特に、好ましい酸素濃度と冷却開始温度としては、図2から、以下の式(1)の範囲とすることが好ましい。
log〔O〕 ≦ (T−500)/100 ・・・(1)
ただし、〔O〕:酸素濃度(ppm)、T:鋼板温度(℃)
【0011】
なお、現状の炉内酸素はジェットクーラーの循環系から侵入したものが前方への流れに乗って、冷却帯前部へと流れながら鋼板と接触反応し、鋼板温度の低い状態から段階的に酸素が消費されるため、板温に対する酸素濃度の分布を完全に制御するのは困難である。これを積極的に制御する手段としては、冷却帯6における鋼板温度700〜400℃の間の酸素濃度を20ppm以下とすべく、シール強化やガス流を制御することが考えられるが、このような低酸素化が困難な場合は、図3に示すように、板温が700℃以上となる徐冷帯3に酸素および/または空気を供給する配管8を設置して、高温段階で確実に微量酸素濃度雰囲気に接触させて鋼板の変色を抑える方法を選択することも可能となる。
このときはさらに、徐冷帯3の雰囲気中の酸素濃度を酸素濃度計7により測定し、測定された酸素濃度が所望の値となるよう、コントローラーを介してバルブ9を制御して、酸素および/または空気の供給量を調整することで、鋼板の板厚や材質が変更になっても鋼板の変色を防止することが可能となる。
【0012】
【実施例】
図3の構成からなる焼鈍炉を用いて、徐冷帯3に空気を導入する注入装置により雰囲気酸素濃度を調節しながら、珪素含有量が1質量%の電磁鋼板を各種条件下で処理した。このときの鋼板の変色有無を表1に示す。
ケース1〜3および10〜12は従来の空気吹き込みを行っていない場合であり、徐冷帯後方の酸素濃度は殆ど0であった。これに対し、ケース4〜9は徐冷帯後方の酸素濃度を100〜1000ppmとすべく空気供給量を調整したものである。またケース10〜12は、特に冷却帯6の前方から後方へのガス流れを形成し、侵入酸素を抑えて低酸素化を実現したものである。
ケース1〜3では冷却帯6へ突入する板温の条件によっては変色が発生する場合があったが、空気を導入して徐冷帯の酸素濃度を高めたケース4〜9の場合はいずれも変色がないか軽微に抑えることができた。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、比較的簡易な手段であるが、鋼板の処理条件に変動が生じても、冷却帯での変色を確実に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする鋼板の連続焼鈍炉の模式図。
【図2】鋼板の変色実験結果を酸化開始温度と雰囲気中酸素濃度でマッピングした図。
【図3】連続焼鈍炉の徐冷帯の雰囲気酸素濃度を制御する装置を説明する図。
Claims (5)
- 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却するに際し、冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気を酸素含有雰囲気とすることを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
- 冷却中の鋼板温度が700℃以上の範囲における雰囲気中の酸素濃度が、下記の式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
log〔O〕 ≦ (T−500)/100 ・・・(1)
ただし、〔O〕:酸素濃度(ppm)、T:鋼板温度(℃) - 処理鋼板が珪素含有量0.5質量%以上の電磁鋼板であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法。
- 鋼板を通板しながら連続的に熱処理し、冷却する装置において、冷却帯前段に酸素および/または空気を供給する手段を有することを特徴とする変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
- さらに、前記冷却帯前段の雰囲気中の酸素濃度を測定する手段と、前記測定された酸素濃度が所望の値となるよう、前記酸素および/または空気の供給量を調整する手段とを有することを特徴とする請求項4記載の変色の少ない鋼板の連続焼鈍装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002206460A JP2004043941A (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 変色の少ない鋼板の連続焼鈍方法および装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012511628A (ja) * | 2008-12-12 | 2012-05-24 | フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー | 改善された電磁鋼帯を製造するための方法 |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002206460A patent/JP2004043941A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012511628A (ja) * | 2008-12-12 | 2012-05-24 | フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー | 改善された電磁鋼帯を製造するための方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |