JP2004043686A - ステロール脂肪酸エステル濃縮物の製造方法、ステロール脂肪酸エステル濃縮物、及びその利用 - Google Patents

ステロール脂肪酸エステル濃縮物の製造方法、ステロール脂肪酸エステル濃縮物、及びその利用 Download PDF

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麻生 茂樹
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Abstract

【課 題】油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物から、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物を安定的に得ることのできる製造方法を提供する。
【解決手段】油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物を、遊離の脂肪酸を除いた後高真空蒸留を行いスクアレン等炭化水素類を除去後、さらにトコフェロールを留分として分取した後の蒸留残滓を原料として、低級の一価アルコールと触媒を加えて穏やかな条件でアルコーリシスを行い、次に未反応のアルコール、触媒、及び生成したグリセリンを水洗により除去し、その後一価アルコールの脂肪酸エステルを減圧蒸留により除去することにより、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物が得られた。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステロール脂肪酸エステル濃縮物の製造方法に関し、より詳しくは、油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物を精製し、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物を得る方法、及び得られたステロール脂肪酸エステル濃縮物及びその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物中に1〜25%含まれるステロール脂肪酸エステルは、遊離のステロールと同様その乳化安定作用や皮膚に対する湿潤性保持などの効果から、化粧品基材として使われるほか、血中コレステロール低減効果を期待してマーガリン類に添加する用途が、近年注目されている。
【0003】
従来、脱臭留出物からの遊離のステロールの分離・精製は工業的に行われているが、ステロール脂肪酸エステルの分離・濃縮方法についてはほとんど報告されていないし、また工業的に実施もされていない。これは、スクアレン等炭化水素類、脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、トコフェロール、遊離のステロール、ステロール脂肪酸エステルなどの多成分系から成る脱臭留出物から、物理的・化学的性質の似ているステロール脂肪酸エステルを高純度で濃縮することが技術的に極めて困難なためと思われる。
【0004】
唯一、特開昭60−81200には脱臭留出物を芳香族系溶剤に溶解し、遊離のステロールを不溶分として除去した後、この溶液に炭素数1〜3の飽和脂肪族アルコールを加えることにより、ステロール脂肪酸エステルを不溶分として析出させ、取得する方法が開示されている。しかし、この方法ではステロール脂肪酸エステルの回収率が低く、コストアップとなるため、工業的に実施する方法としては適当でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物から、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物、換言すれば、ステロール脂肪酸エステルの精製物を安定的に得ることのできる製造方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物から脱臭留出物に含まれる種々の不純物の中でも、特に脂肪酸、トコフェロール類及びグリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンを除去することによって、より詳しくは脱臭留出物を脂肪酸を除くため前処理した後、高真空蒸留を行いスクアレン等炭化水素類を除去し、さらにトコフェロールを留分として分取した後の蒸留残滓を、低級の一価アルコールと触媒を加えて穏やかな条件でグリセリン脂肪酸エステルのアルコーリシスを行い、次に未反応のアルコール、触媒、及び生成したグリセリンを水洗により除去し、その後アルコーリシスにより生成した低級の一価アルコールの脂肪酸エステルを減圧蒸留により除去することにより、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物が安定的に得られることを見出し、この知見に基づいて、さらに検討を行って本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本発明は、次の1〜7からなっている。
1 植物性食用油脂の脱臭留出物から、遊離の脂肪酸、トコフェロール類、グリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンを除去することを特徴とするステロール脂肪酸エステルの濃縮物の製造方法、
2 植物性食用油脂の脱臭留出物から高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物を得る方法であって、下記の工程を実施することを特徴とする製造方法、
(a)脱臭留出物から、含まれるステロール脂肪酸エステルの50重量%以上を残したまま遊離の脂肪酸を除去する工程、
(b)(a)の処理を行った脱臭留出物から、高真空蒸留によりスクアレンを除去後、さらにトコフェロール類を分離回収する工程、
(c)(b)工程により得られる蒸留残滓を、含まれるグリセリン脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解され、ステロール脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解されず残される条件でアルコーリシスする工程、
(d)(c)で生じたアルコールの脂肪酸エステルを減圧蒸留で除去する工程、
3 更に脱色の工程を実施することを特徴とする前記1又は2に記載の製造方法、
4 更にカラムクロマトグラフィーの工程を実施することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の製造方法、
5 前記1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られる、ステロール脂肪酸エステル濃縮物、
6 前記5に記載のステロール脂肪酸エステル濃縮物を含有することを特徴とする食品、
7 ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、フライ用油脂、製菓・製パン用ショートニングから成る群から選択される前記6記載の食品、
8 植物性食用油脂の脱臭留出物由来であって、脂肪酸、トコフェロール、グリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンが除去されている高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について述べる。
本発明においてステロールとは、植物油脂中に含まれるステロール類を指し、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等が挙げられる。またこれら植物ステロールを含む植物性食用油脂としては、特に限定されないが、例えば大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、小麦胚芽油等が挙げられる。
【0009】
これら油脂中にはトコフェロール類も含まれており、トコフェロール類を回収する多くの方法が既に知られている。これらの方法で直接使用することができる適切な出発物質は特に、これら植物性食用油脂の脱臭工程で副生する脱臭スカム、脱臭スラッジ、ホットウエル油滓等(以後脱臭留出物という)である。本発明における脱臭留出物として、これらが使用されうるが、これらに特に制限されることなく、植物性食用油脂の脱臭留出物はいずれも使用されうる。例えば大豆油からの脱臭留出物が主としてこの本発明の原料目的に使用されるが、他の植物性食用油脂からの脱臭留出物も同様に使用される。
【0010】
脱臭留出物は、トコフェロール類の他に、遊離の脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、遊離のステロール、ステロール脂肪酸エステル、スクアレン等炭化水素類、ワックス、その他ある程度までしか同定できない付随物質を含む残部を含んでいる。
【0011】
本発明においては、まず脱臭留出物から、含まれるステロール脂肪酸エステルの50重量%以上を残したまま、好ましくは含まれるステロール脂肪酸エステルの70重量%以上を残したまま、更に好ましくはステロール脂肪酸エステルの90重量%以上を残したまま、遊離の脂肪酸が除去される。
【0012】
以下に遊離の脂肪酸を除去する方法を例示するが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
脂肪酸を除去するための第1の方法では、脱臭留出物中に含まれる遊離の脂肪酸は、好ましくは低級の一価アルコールと水の混合溶剤中でアルカリで処理して中和され、中和反応によって生成する塩を除去する。ここで用いられる低級の一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール及び直鎖又は分岐鎖のブタノール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。またここで用いられるアルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム或いはナトリウムメチラート等が好ましい。アルカリの使用量は、遊離の脂肪酸の含有量から計算される当量以上が、反応を完結させるためには必要である。しかし、過剰にアルカリ量を増やすとステロール脂肪酸エステルの鹸化反応が進行するため好ましくない。
ここで、中和の際に用いられるアルコールと水の混合溶剤中の水の混合比率は特に限定されないが、水がアルコールに対して4重量%以上となることが好ましい。
脱臭留出物のアルコールに対する濃度は特に限定されないが、溶媒への溶解性の面から10重量%以下が好ましい。また中和反応の条件は特に限定されず、10〜100℃で0.1〜10時間行うことが好ましい。中和反応終了後、水相と油相は分離され、通常続いて油層は水洗され、次の工程に付されうる。
【0013】
第2の方法では、脱臭留出物中に含まれる遊離の脂肪酸は、特開昭60−185776に開示されている方法を利用して処理される。即ち、脱臭留出物はトコフェロールが留出しないような条件で水蒸気蒸留、好ましくは減圧水蒸気蒸留され、含まれる遊離の脂肪酸の大部分が留出・除去される。水蒸気蒸留の条件は特に限定されず、例えば圧力30mmHg以下、好ましくは20mmHg以下、温度170〜230℃、好ましくは180〜210℃で行われる。蒸留に要する時間は限定されるものではなく、被蒸留物の酸価が5〜20、好ましくは5以下を目標に、適宜サンプリングしながら決められる。
次に、被蒸留物中に残留する遊離の脂肪酸は、好ましくは例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ物質の水溶液で処理して中和される。アルカリの使用量は、遊離の脂肪酸の含有量から計算される当量以上が、反応を完結させるためには必要である。しかし、過剰にアルカリ量を増やすとステロール脂肪酸エステルの鹸化反応が進行するため好ましくない。中和反応の条件は特に限定されず、10〜100℃で0.1〜10時間行うことが好ましい。中和反応終了後、水相と油相は分離され、続いて油相は水洗され、次の工程の原料として使用されうる。
【0014】
第3の方法では、脱臭留出物中に含まれる遊離の脂肪酸は、通常触媒の存在下、低級の一価のアルコール(通常炭素数1〜3の一価アルコール)、好ましくはメタノール、でエステル化される。脱臭留出物とアルコールの混合液は、用いられたアルコールの沸点以下の温度、即ちメタノールの場合はおよそ65℃以下で緩やかな還流状態を維持しながら、攪拌される。触媒は酸触媒が好ましく用いられ、例えば硫酸、塩酸等が挙げられる。触媒の量は特に限定されない。脱臭留出物のアルコールに対する濃度もまた特に限定されないが、一例として、脱臭留出物1重量部当り5容量部のメタノールが用いられる。
次に、反応終了液は好ましくは中和、溶剤除去、水洗され、次に減圧蒸留により上記の反応により生成した脂肪酸メチルエステルが留去される。減圧蒸留の条件は特に限定されず、例えば約10−2〜1.0mmHgの真空条件下、温度約150〜200℃で行われる。減圧蒸留残留物を次の工程の原料として使用しうる。
【0015】
第4の方法では、脱臭留出物中に含まれる遊離の脂肪酸は、減圧蒸留により除去される。脱臭留出物は、好ましくは簡単な前処理、例えば水洗、遠心分離、ろ過等の操作を行った後、減圧蒸留をすることにより、脱臭留出物中に含まれる遊離の脂肪酸は留去される。減圧蒸留の条件は特に限定されないが、例えば約10−1〜1.0mmHgの真空条件下、温度約160〜220℃で行われる。この減圧蒸留によって、スクアレン等炭化水素類も同時に除去されうる。
【0016】
これらの前処理により、酸価が5以下、好ましくは1以下にまで精製された脱臭留出物は、約5×10−3〜5×10−1mmHgの真空条件下、温度約140〜230℃、好ましくは約160〜200℃でさらに残っている遊離の脂肪酸、スクアレンを含む炭化水素類等の低沸点化合物を除いた後、少し温度を上げて、温度約170〜260℃、好ましくは約180〜255℃で蒸留され、遊離のステロールと共にトコフェロール類が回収される。ここで用いられる蒸留方法、装置は特に限定されることなく、例えば流下薄膜式分子蒸留装置、遠心式分子蒸留装置、精密蒸留装置等が好ましく用いられる。トコフェロール類が留分として分取された後の蒸留残滓は、グリセリン脂肪酸エステル、ステロール脂肪酸エステル、ワックスその他ある程度までしか同定できない付随物質を含む残部を含んでいる。
【0017】
本発明において、蒸留残滓は、含まれるグリセリン脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解され、ステロール脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解されず残される条件で、好ましくは含まれるグリセリン脂肪酸エステルの70重量%以上が加水分解され、ステロール脂肪酸エステルの70重量%以上が加水分解されず残される条件で、更に好ましくは含まれるグリセリン脂肪酸エステルの90%重量以上が加水分解され、ステロール脂肪酸エステルの90重量%以上が加水分解されず残される条件で、通常、触媒の存在下、アルコーリシスされる。
【0018】
ここで用いられるアルコールとしては低級の一価のアルコールが挙げられ、中でもメタノールが好ましく用いられる。蒸留残滓とアルコールの混合液は、好ましくは用いられたアルコールの沸点以下の温度、即ちメタノールの場合は通常、およそ65℃以下、好ましくは55℃以下で攪拌される。触媒は酸またはアルカリ触媒が用いられ、酸触媒としては例えば硫酸、塩酸等が、アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム或いはナトリウムメチラート等が挙げられる。触媒の量は特に限定されない。蒸留残滓に対するアルコールの濃度は特に限定されないが、少なくとも10重量%以上、好ましくは30重量%以上である。反応時間は触媒の種類と量、及び反応温度によって異なり、例えば蒸留残滓に対してメタノール30重量%、水酸化カリウム0.5重量%添加した場合、反応温度約50℃で、約30分間反応される。アルコーリシス終了後、好ましくは、反応液は中和、溶剤除去、水洗される。これらの処理は常法に従ってよい。ステロール脂肪酸エステル並びにアルコーリシスで生成した一価アルコールの脂肪酸エステルを含む油層を次工程に付する。
【0019】
得られた油性組成物は、トコフェロール類の重合物や原料植物油脂由来の色素類が含まれているため赤褐色を呈している。そこで、これらの呈色成分を除去するため、脱色操作を行うのが好ましい。脱色は公知の方法によって行われ、例えば吸着剤を用いる場合には、吸着剤として活性白土、活性炭等が挙げられる。活性白土は得られた油相に対して約0.5〜30重量%程度用いられ、脱色が困難な場合には更に活性炭が併用される。
脱色操作は好ましくは約30〜50mmHgの減圧下で常法に従い脱気と共に脱水を行い、次に約80〜120℃、好ましくは約80〜100℃で加熱、攪拌される。一定時間経過後、吸着平衡になったスラリーはろ紙或いはろ布を通して、必要ならば珪藻土などのろ過助剤を使用して、ろ過される。
脱色操作は、通常一価アルコールの脂肪酸エステルを含む油性組成物に対して行われるが、一価アルコールの脂肪酸エステルが減圧蒸留で留去された後に得られる油性組成物に対して行っても良い。脱色後、該油性組成物は黄〜橙色を呈する。
【0020】
一価アルコールの脂肪酸エステルを含む油性組成物は、減圧蒸留により一価アルコールの脂肪酸エステルが留去される。減圧蒸留の条件は特に限定されず、例えば約10−2〜1.0mmHgの真空条件下、温度約150〜200℃で行われる。一価アルコールの脂肪酸エステルを除去することにより、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物が得られる。
【0021】
本発明においては、該ステロール脂肪酸エステル濃縮物は、所望により、カラムクロマトグラフィーにより更に高純度化が図られる。
カラムクロマトグラフィーは公知の方法によって行われてよく、充填剤としては特に限定されないがシリカゲルが好ましく用いられる。溶剤としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の脂肪族アルコール、が挙げられる。
該ステロール脂肪酸エステル濃縮物は好ましくは非極性溶剤に溶解された後シリカゲル、フロリジル等のカラムに負荷され、次に移動相の極性を非極性から極性に移しながら吸着成分を展開し、目的とするステロール脂肪酸エステル画分が高純度で回収されうる。
【0022】
最後に、ステロール脂肪酸エステル濃縮物はごくわずかに残留する一価アルコールの脂肪酸エステルや溶剤を除去するため、水蒸気蒸留が行われるのが好ましい。
なお、本発明方法においては、脱臭留出物に含まれる遊離の脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、トコフェロール類及びスクアレンの全てが除去される必要はなく、これらの大部分が除去されればよい。大部分とは通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
【0023】
本発明の方法で得られるステロール脂肪酸エステル濃縮物中の、ステロール脂肪酸エステルの純度は60重量%以上で、しばしば80重量%を越えるものも得られ、更に精製が行われた場合、90重量%以上のものが得られる。また脱臭留出物中のステロール脂肪酸エステルの回収率は約80重量%以上であり、工業的にも有用な製造方法を提供することが可能となった。
本発明になるステロール脂肪酸エステル濃縮物は、そのまま或いは食用油脂類に溶解して、更には乳化液として、広範囲の食品に適用することができる。例えばドレッシング、マヨネーズ、ホイップクリーム、焼肉のたれ等のO/W型乳化油脂加工食品、マーガリン、スプレッド、バタークリーム等のW/O型乳化油脂加工食品、フライ用油脂、製菓・製パン用ショートニング等の加工油脂食品等に使用できる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0025】
[ステロール脂肪酸エステル含量測定方法]
脱臭留出物、蒸留残滓及びステロール脂肪酸エステル濃縮物のステロール脂肪酸エステル含量の分析は、薄層自動検出装置(製品名;イアトロスキャンMK−6(株)ダイアヤトロン)を用いて行い、専用のインテグレータTC−21により、クロマトグラム上のステロール脂肪酸エステルのピーク情報から得られる測定結果を定量した。但し、脱臭留出物は予め脂肪酸を除いたものを試料とした。
ここで展開溶媒は
1.クロロホルム:エチルエーテル:酢酸=94:5:1(vol)、
2.石油エーテル:エチルエーテル:酢酸=82:18:1(vol)又は
3.ヘプタン:イソプロピルエーテル:酢酸=60:40:4(vol)である。
[グリセリン脂肪酸エステル含量測定方法]
脱臭留出物、蒸留残滓及びステロール脂肪酸エステル濃縮物のグリセリン脂肪酸エステル含量の測定もまた上記の方法で行われ、クロマトグラム上のモノ、ジ、及びトリアシルグリセリンのピーク情報から得られる測定結果を定量した。
【0026】
〔実施例1〕
大豆脱臭留出物(酸価:78.0;ステロール脂肪酸エステル10.7%、グリセリン脂肪酸エステル17.5%含有)500g、メタノール170mLを、硫酸15gと共に3Lのガラス製フラスコに仕込み、65℃で還流下、約3時間攪拌した。反応終了後、30重量%水酸化ナトリウム水溶液約20mLを加え触媒を中和した後ナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターでメタノールを留去した。次に濃縮液を3Lの分液ロートに移し、約70℃の3重量%食塩水を加え軽く振り混ぜた後静置し、水相と油相を分離した。油相は更に水相がアルカリ性を示さなくなるまで水洗された。次に油相はロータリーエバポレーターで残存する水が除かれ、脂肪酸メチルエステルを含む油性組成物(酸価:0.8;ステロール脂肪酸エステル10.5重量%、グリセリン脂肪酸エステル17.1重量%含有)約510gが得られた。
次に、該油性組成物は、遠心式分子蒸留装置(実験機;CEH−300B 日本真空(株)製)を用いて蒸留され、1×10−1mmHgの真空条件下、温度約180℃で脂肪酸メチルエステル、スクアレン等炭化水素類及びその他の低沸点化合物が除かれた後、温度約260℃で遊離のステロール及びトコフェロール類からなる留分約125gが分取された。蒸留後、蒸留残滓(ステロール脂肪酸エステル30.6重量%、グリセリン脂肪酸エステル63.7重量%含有)約175gが回収された。
該蒸留残滓150g、1重量%水酸化カリウム−メタノール溶液100mLを500mLのガラス製フラスコに仕込み、50℃で30分間攪拌した。アルコーリシス終了後酢酸1.5gを加え、水酸化カリウムを中和した後室温まで冷却した。次に反応液を1Lの分液ロートに移し、3重量%食塩水150 mLを加え軽く振り混ぜた後静置し、水相と油相を分離した。油相は更に水相がアルカリ性を示さなくなるまで3回以上水洗された。
次に脂肪酸メチルエステルを含む油性組成物約150gを500mLのガラス製フラスコに移し、活性白土(商品名;SA−80 日本活性白土(株)製)45gを加え、約30mmHgの減圧下で脱気と共に脱水を行い、次に約80℃で30分間加熱、攪拌した。スラリーはヘキサン100mLを加えて溶解後、ろ紙を通して、珪藻土をろ過助剤として使用して、ろ過された。
ろ液約200gは500mLの枝付きフラスコに移され、約20mmHgの減圧下でヘキサンが留去された後、約1×10−1mmHgの真空条件下、温度約250℃で減圧蒸留され、脂肪酸メチルエステルが留去された。引き続き、わずかに残留する脂肪酸メチルエステルを除くため、約20mmHgの減圧下、温度約180℃で常法により水蒸気蒸留された。
以上の操作により、黄〜橙色、ほとんど無臭のステロール脂肪酸エステル濃縮物(ステロール脂肪酸エステル85.0重量%、グリセリン脂肪酸エステル4.0重量%含有)約50gが得られた。
【0027】
〔実施例2〕
実施例1のステロール脂肪酸エステル濃縮物約150mgをヘキサン50mLに溶解して、シリカゲル(製品名;Wakosil C−200 和光純薬工業(株)製)12gを充填したカラム(1.2×24 cm)に負荷し、更にヘキサン45mLを通液した。次に、ヘキサン‐エチルエーテル(99:1,vol)95mLを流量2mL/minで通液し、溶出液を回収した。溶出液はロータリーエバポレーターで濃縮され、高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物(ステロール脂肪酸エステル94.0重量%)約130mgが得られた。
【0028】
【発明の効果】
本発明方法によれば、油脂類の脱臭工程で発生する脱臭留出物から、遊離の脂肪酸とグリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンの大部分を除去し、トコフェロール類を回収することによって、ステロール脂肪酸エステルを高純度で含むステロール脂肪酸エステル濃縮物が得られる。

Claims (8)

  1. 植物性食用油脂の脱臭留出物から、遊離の脂肪酸、トコフェロール類、グリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンを除去することを特徴とするステロール脂肪酸エステルの濃縮物の製造方法。
  2. 植物性食用油脂の脱臭留出物から高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物を得る方法であって、下記の工程を実施することを特徴とする製造方法。
    (a)脱臭留出物から、含まれるステロール脂肪酸エステルの50重量%以上を残したまま遊離の脂肪酸を除去する工程。
    (b)(a)の処理を行った脱臭留出物から、高真空蒸留によりスクアレンを除去後、さらにトコフェロール類を分離回収する工程。
    (c)(b)工程により得られる蒸留残滓を、含まれるグリセリン脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解され、ステロール脂肪酸エステルの50重量%以上が加水分解されず残される条件でアルコーリシスする工程。
    (d)(c)で生じたアルコールの脂肪酸エステルを減圧蒸留で除去する工程。
  3. 更に脱色の工程を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 更にカラムクロマトグラフィーの工程を実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られる、ステロール脂肪酸エステル濃縮物。
  6. 請求項5に記載のステロール脂肪酸エステル濃縮物を含有することを特徴とする食品。
  7. ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン、スプレッド、フライ用油脂、製菓・製パン用ショートニングから成る群から選択される請求項6記載の食品。
  8. 植物性食用油脂の脱臭留出物由来であって、脂肪酸、トコフェロール、グリセリン脂肪酸エステル及びスクアレンが除去されている高純度のステロール脂肪酸エステル濃縮物。
JP2002204905A 2002-07-12 2002-07-12 ステロール脂肪酸エステル濃縮物の製造方法、ステロール脂肪酸エステル濃縮物、及びその利用 Withdrawn JP2004043686A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005255746A (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Chikuno Shokuhin Kogyo Kk 米糠油脱臭スカム不ケン化物濃縮物製造法

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