JP2004043615A - ファウリング物質除去剤及びファウリング物質除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロセス運転を停止することなく、熱交換器等からファウリング物質を顕著に除去する除去剤及びそのための除去方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表し、xは1〜6の整数を表す)で表されるジアルキルサルファイド化合物を含むことを特徴とするファウリング物質除去剤、及び、式(1)で表される化合物を原料油に添加するファウリング物質の除去方法であって、該化合物の添加量が原料油の10重量ppm〜2重量%であることを特徴とする方法。
【選択図】 なし
【解決手段】下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表し、xは1〜6の整数を表す)で表されるジアルキルサルファイド化合物を含むことを特徴とするファウリング物質除去剤、及び、式(1)で表される化合物を原料油に添加するファウリング物質の除去方法であって、該化合物の添加量が原料油の10重量ppm〜2重量%であることを特徴とする方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油精製プロセスにおける熱交換器群、中でも水素化脱硫工程中における水素化脱硫反応装置前に設置されている熱交換器群等に生成・堆積するファウリング物質の除去剤及び該ファウリング物質の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油精製プロセスにおける、常圧蒸留、減圧蒸留、熱分解及びビスブレーキング等では、プロセス温度を上昇させることでより多くの軽質留分を得ることができる。
【0003】
しかしながら、これらのプロセスにおいては、反面、昇温すればするほど、熱交換器内に同時にファウリング物質が付着・堆積し、C/H比の大きな物質が生成・堆積するといった問題点がある。
【0004】
また、原料油(フィード)から脱硫する方法の一つとして、水素化脱硫方法が知られている。かかる水素化脱硫方法では、フィードを高圧水素とを共存させた状態で水素化脱硫反応装置を通過させることによって脱硫を行っている。この際、水素化脱硫反応装置にフィードを投入するにあたっては、水素化脱硫反応装置前に設置された熱交換器群でフィードを常温領域から脱硫反応装置投入温度である高温領域250℃〜380℃位に昇温する必要がある。
【0005】
しかしながら、フィードは、かかる昇温工程で水素と一緒に加熱されることもあり、熱分解を受けやすい。実機の運転例からは、かかる昇温工程でファウリング物質が熱交換器チューブ内壁表面に付着する事が確認されている。さらに、そのファウリング物質が、徐々にC/H比の大きな物質に変化して熱交換器の伝熱性能を低下する事も実機で検証されている。
【0006】
特に、直接脱硫装置や深度脱硫装置の様な水素化熱分解プロセスにおいては、高温運転のために熱交換器内のチューブ内壁に多量のファウリング物質が発生して配管を閉塞して運転停止に陥ることすらある。
【0007】
このように、高温の加熱処理を要する各種石油精製プロセスにおいては、高温化に伴い、より多くのファウリング物質が熱交換器チューブ内に生成・堆積するため、伝熱係数を低下させ、その結果、より多くの加熱燃料油を消費することとなってしまう。
【0008】
かかるファウリング物質を除去する方法として、これまでは、一旦、プロセスの運転を停止した上で、ファウリング物質が付着、堆積している熱交換器等から該ファウリング物質を機械的に除去する方法が用いられてきた。
【0009】
しかしながら、かかる方法では、ファウリング物質の除去のためにプロセス運転を停止することとなることから、生産効率の低下をきたす原因の一つとなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、プロセス運転を停止することなく、熱交換器等からファウリング物質を顕著に除去する除去剤及びそのための除去方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、石油精製プロセスにおける加熱処理を伴う各種装置に通油されるフィードに、特定のジアルキルサルファイド化合物を添加すると、ファウリング物質が分解・除去されることを見出したことにより、本願発明をなすに至った。
【0012】
つまり、上記した課題を解決するための手段として、本発明においては、下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表し、xは1〜6の整数を表す)で表されるジアルキルサルファイド化合物を含むことを特徴とするファウリング物質除去剤、及び式(1)で表される化合物を原料油に添加することを特徴とするファウリング物質の除去方法、とを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
で表されるジアルキルサルファイド化合物をファウリング除去剤として用いる点に大きな特徴がある。
【0014】
ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表す。該アルキル基としては、直鎖状でも、分枝状でも、いずれでもかまわない。そのようなアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、n−ドデシル、t−ドデシル等が挙げられる。また、R1とR2は、同一であっても、それぞれ異なっていてもいずれでも良いが、同一のもののほうが安価で入手が容易である点で好ましい。
【0015】
また、xは1〜6、好ましくは2〜4を表す。
【0016】
また、該化合物中の硫黄含量は、10〜70%が好ましい。
【0017】
これらの化合物は単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもいずれでも良い。
【0018】
かかる式(1)で表されるジアルキルサルファイド化合物の具体例としては、ジメチルジサルファイド(DMDS、硫黄含有量68%)、ジ−t−ブチルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS54(商標)、硫黄含有量54%)、ジ−t−オクチルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS44(商標)、硫黄含有量44%)、ジ−t−ドデシルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS20(商標)、硫黄含有量20%)、ジ−t−ドデシルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS32(商標)、硫黄含有量32%)等が挙げられる。なお、上記アトフィナ社製のTPS54、TPS44、TPS20及びTPS32はいずれも2種以上の混合物である。
【0019】
また、本願における「ファウリング物質」とは、石油精製プロセス等において、原料油の熱変性等により、特に熱交換器等の高温域において生成し、付着、堆積する物質をいう。
【0020】
本願発明では、各種精製プロセスの運転中等に上記特定のジアルキルサルファイド化合物を原料油に添加することにより、熱交換器等に付着、堆積しているファウリング物質が除去できる。
【0021】
当該除去は、加圧水素の存在下で行われるのが好ましく、なかでも、高圧水素と共に通油され、かつ高温にさらされる水素化脱硫装置前に設置される熱交換器において特に有効に行われる。
【0022】
また、当該化合物は、原料油に対して、好ましくは10重量ppm〜2重量%、より好ましくは50重量ppm〜0.3重量%、さらに好ましくは100重量ppm〜0.2重量%添加される。
【0023】
また、除去処理の際における、熱交換器内での当該ジアルキルサルファイド化合物を含むフィードの滞留時間は1〜60分が好ましく、5〜45分がより好ましく、10〜30分が更に好ましい。
【0024】
また、除去処理の際における、熱交換機内の温度は、200〜400℃が好ましく、275〜350℃がより好ましい。
【0025】
また、熱交換器内の圧力は、10〜200kg/cm2が好ましく、30〜180kg/cm2がより好ましい。
【0026】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例1
除去剤としてDMDS(アトフィナ社製)を用いた。該剤をフィードに対して1000重量ppmの濃度でフィードに添加し、下記の方法で当該除去剤の効果の確認を行った。
【0028】
その結果、除去されたファウリング物質の量は、4.10gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の効果が顕著であることが確認できた。
【0029】
・除去剤の効果の確認方法
直接脱硫装置の前に設置された熱交換器チューブ内に堆積していたファウリング物質を採取し、ベンゼンで洗浄後、得られたファウリング物質から10gを量り取り、これをフィード10gと共に混合し、更に上記添加剤を加えた。その後、各種水素化脱硫装置を想定した、図1に示したバッチ式高圧水素化反応装置を用いて、反応温度300℃、反応圧50kg/cm2、反応時間30分の条件で反応を行った。反応終了後に生成油を濾過し、濾紙上に残ったスラッジをベンゼンで洗浄後、乾燥し重量を測定した。この値を10g(反応前のファウリング物質の重量)から差し引くことにより、除去されたファウリング物質の量を求めた。
【0030】
実施例2
添加剤としてTPS54を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.86gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の効果が顕著であることが確認できた。
【0031】
比較例1
添加剤としてペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネートエステル(PTMP)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.22gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0032】
比較例2
添加剤として3−メルカプトプロピオン酸メチルエステル(MMP、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.14gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0033】
比較例3
添加剤として2−メルカプトエタノール(2−ME、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、2.95gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0034】
比較例4
添加剤としてターシャリー・ドデシルメルカプタン(TDM、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.02gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0035】
比較例5
添加剤としてターシャリー・ノニルメルカプタン(TNM、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.11gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、石油精製プロセスにおいて、運転を停止することなく、石油精製プロセスにおける熱交換器群、中でも水素化脱硫工程中における水素化脱硫反応装置前に設置されている熱交換器群等に付着・堆積しているファウリング物質を、顕著に除去できる。
【0037】
さらに、その結果、熱交換器等の性能が回復、つまり、熱交換器プロセス運転中における伝熱係数が向上し、熱交換器等に要する加熱燃料を節約することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】除去剤の効果の確認のための実験装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
1:窒素タンク
2:水素タンク
3:サーマルマスフローコントローラー
4:圧力ゲージ
5:反応器
6:熱電対
7:保圧弁
8:電気炉
9:温度コントローラー
10:パワーコントローラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油精製プロセスにおける熱交換器群、中でも水素化脱硫工程中における水素化脱硫反応装置前に設置されている熱交換器群等に生成・堆積するファウリング物質の除去剤及び該ファウリング物質の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油精製プロセスにおける、常圧蒸留、減圧蒸留、熱分解及びビスブレーキング等では、プロセス温度を上昇させることでより多くの軽質留分を得ることができる。
【0003】
しかしながら、これらのプロセスにおいては、反面、昇温すればするほど、熱交換器内に同時にファウリング物質が付着・堆積し、C/H比の大きな物質が生成・堆積するといった問題点がある。
【0004】
また、原料油(フィード)から脱硫する方法の一つとして、水素化脱硫方法が知られている。かかる水素化脱硫方法では、フィードを高圧水素とを共存させた状態で水素化脱硫反応装置を通過させることによって脱硫を行っている。この際、水素化脱硫反応装置にフィードを投入するにあたっては、水素化脱硫反応装置前に設置された熱交換器群でフィードを常温領域から脱硫反応装置投入温度である高温領域250℃〜380℃位に昇温する必要がある。
【0005】
しかしながら、フィードは、かかる昇温工程で水素と一緒に加熱されることもあり、熱分解を受けやすい。実機の運転例からは、かかる昇温工程でファウリング物質が熱交換器チューブ内壁表面に付着する事が確認されている。さらに、そのファウリング物質が、徐々にC/H比の大きな物質に変化して熱交換器の伝熱性能を低下する事も実機で検証されている。
【0006】
特に、直接脱硫装置や深度脱硫装置の様な水素化熱分解プロセスにおいては、高温運転のために熱交換器内のチューブ内壁に多量のファウリング物質が発生して配管を閉塞して運転停止に陥ることすらある。
【0007】
このように、高温の加熱処理を要する各種石油精製プロセスにおいては、高温化に伴い、より多くのファウリング物質が熱交換器チューブ内に生成・堆積するため、伝熱係数を低下させ、その結果、より多くの加熱燃料油を消費することとなってしまう。
【0008】
かかるファウリング物質を除去する方法として、これまでは、一旦、プロセスの運転を停止した上で、ファウリング物質が付着、堆積している熱交換器等から該ファウリング物質を機械的に除去する方法が用いられてきた。
【0009】
しかしながら、かかる方法では、ファウリング物質の除去のためにプロセス運転を停止することとなることから、生産効率の低下をきたす原因の一つとなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、プロセス運転を停止することなく、熱交換器等からファウリング物質を顕著に除去する除去剤及びそのための除去方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、石油精製プロセスにおける加熱処理を伴う各種装置に通油されるフィードに、特定のジアルキルサルファイド化合物を添加すると、ファウリング物質が分解・除去されることを見出したことにより、本願発明をなすに至った。
【0012】
つまり、上記した課題を解決するための手段として、本発明においては、下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表し、xは1〜6の整数を表す)で表されるジアルキルサルファイド化合物を含むことを特徴とするファウリング物質除去剤、及び式(1)で表される化合物を原料油に添加することを特徴とするファウリング物質の除去方法、とを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
で表されるジアルキルサルファイド化合物をファウリング除去剤として用いる点に大きな特徴がある。
【0014】
ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表す。該アルキル基としては、直鎖状でも、分枝状でも、いずれでもかまわない。そのようなアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、n−ドデシル、t−ドデシル等が挙げられる。また、R1とR2は、同一であっても、それぞれ異なっていてもいずれでも良いが、同一のもののほうが安価で入手が容易である点で好ましい。
【0015】
また、xは1〜6、好ましくは2〜4を表す。
【0016】
また、該化合物中の硫黄含量は、10〜70%が好ましい。
【0017】
これらの化合物は単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもいずれでも良い。
【0018】
かかる式(1)で表されるジアルキルサルファイド化合物の具体例としては、ジメチルジサルファイド(DMDS、硫黄含有量68%)、ジ−t−ブチルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS54(商標)、硫黄含有量54%)、ジ−t−オクチルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS44(商標)、硫黄含有量44%)、ジ−t−ドデシルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS20(商標)、硫黄含有量20%)、ジ−t−ドデシルポリサルファイド(例えばアトフィナ社製のTPS32(商標)、硫黄含有量32%)等が挙げられる。なお、上記アトフィナ社製のTPS54、TPS44、TPS20及びTPS32はいずれも2種以上の混合物である。
【0019】
また、本願における「ファウリング物質」とは、石油精製プロセス等において、原料油の熱変性等により、特に熱交換器等の高温域において生成し、付着、堆積する物質をいう。
【0020】
本願発明では、各種精製プロセスの運転中等に上記特定のジアルキルサルファイド化合物を原料油に添加することにより、熱交換器等に付着、堆積しているファウリング物質が除去できる。
【0021】
当該除去は、加圧水素の存在下で行われるのが好ましく、なかでも、高圧水素と共に通油され、かつ高温にさらされる水素化脱硫装置前に設置される熱交換器において特に有効に行われる。
【0022】
また、当該化合物は、原料油に対して、好ましくは10重量ppm〜2重量%、より好ましくは50重量ppm〜0.3重量%、さらに好ましくは100重量ppm〜0.2重量%添加される。
【0023】
また、除去処理の際における、熱交換器内での当該ジアルキルサルファイド化合物を含むフィードの滞留時間は1〜60分が好ましく、5〜45分がより好ましく、10〜30分が更に好ましい。
【0024】
また、除去処理の際における、熱交換機内の温度は、200〜400℃が好ましく、275〜350℃がより好ましい。
【0025】
また、熱交換器内の圧力は、10〜200kg/cm2が好ましく、30〜180kg/cm2がより好ましい。
【0026】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
実施例1
除去剤としてDMDS(アトフィナ社製)を用いた。該剤をフィードに対して1000重量ppmの濃度でフィードに添加し、下記の方法で当該除去剤の効果の確認を行った。
【0028】
その結果、除去されたファウリング物質の量は、4.10gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の効果が顕著であることが確認できた。
【0029】
・除去剤の効果の確認方法
直接脱硫装置の前に設置された熱交換器チューブ内に堆積していたファウリング物質を採取し、ベンゼンで洗浄後、得られたファウリング物質から10gを量り取り、これをフィード10gと共に混合し、更に上記添加剤を加えた。その後、各種水素化脱硫装置を想定した、図1に示したバッチ式高圧水素化反応装置を用いて、反応温度300℃、反応圧50kg/cm2、反応時間30分の条件で反応を行った。反応終了後に生成油を濾過し、濾紙上に残ったスラッジをベンゼンで洗浄後、乾燥し重量を測定した。この値を10g(反応前のファウリング物質の重量)から差し引くことにより、除去されたファウリング物質の量を求めた。
【0030】
実施例2
添加剤としてTPS54を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.86gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の効果が顕著であることが確認できた。
【0031】
比較例1
添加剤としてペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネートエステル(PTMP)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.22gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0032】
比較例2
添加剤として3−メルカプトプロピオン酸メチルエステル(MMP、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.14gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0033】
比較例3
添加剤として2−メルカプトエタノール(2−ME、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、2.95gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0034】
比較例4
添加剤としてターシャリー・ドデシルメルカプタン(TDM、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.02gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0035】
比較例5
添加剤としてターシャリー・ノニルメルカプタン(TNM、エルフ・アトケム社製)を用い、実施例1と同様の条件で実験を行った結果、除去されたファウリング物質の量は、3.11gであり、添加剤なしで同様の実験を実施した結果(2.97g)と比較して同添加剤の顕著な効果は確認出来なかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、石油精製プロセスにおいて、運転を停止することなく、石油精製プロセスにおける熱交換器群、中でも水素化脱硫工程中における水素化脱硫反応装置前に設置されている熱交換器群等に付着・堆積しているファウリング物質を、顕著に除去できる。
【0037】
さらに、その結果、熱交換器等の性能が回復、つまり、熱交換器プロセス運転中における伝熱係数が向上し、熱交換器等に要する加熱燃料を節約することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】除去剤の効果の確認のための実験装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
1:窒素タンク
2:水素タンク
3:サーマルマスフローコントローラー
4:圧力ゲージ
5:反応器
6:熱電対
7:保圧弁
8:電気炉
9:温度コントローラー
10:パワーコントローラー
Claims (4)
- 下記式(1)
R1−Sx−R2 (1)
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基を表し、xは1〜6を表す)
で表されるジアルキルサルファイド化合物を含むことを特徴とするファウリング物質除去剤。 - 式(1)で表される化合物を原料油に添加することを特徴とするファウリング物質の除去方法。
- 加圧水素の存在下において除去処理を行うことを特徴とする、請求項2に記載のファウリング物質の除去方法。
- 式(1)で表される化合物の添加量が原料油の10重量ppm〜2重量%であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のファウリング物質の除去方法。
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JP (1) | JP2004043615A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7332070B2 (en) | 2003-07-15 | 2008-02-19 | Mitsui Chemicals, Inc. | Method of preventing heat exchanger fouling |
US20110042268A1 (en) * | 2009-08-21 | 2011-02-24 | Baker Hughes Incorporated | Additives for reducing coking of furnace tubes |
EP2737026A1 (en) * | 2011-07-27 | 2014-06-04 | The Lubrizol Corporation | Improved hydroprocessing of biorenewable feedstocks |
US9139784B2 (en) | 2011-12-07 | 2015-09-22 | Nova Chemicals (International) S.A. | Reducing fouling in heat exchangers |
-
2002
- 2002-07-11 JP JP2002202205A patent/JP2004043615A/ja active Pending
Cited By (6)
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