JP2004043374A - カルシウムチャンネル阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルシウムチャンネル阻害作用を有し、長期間服用しても安全で尚且つ確実な治療を行うのに充分満足できるような脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤及びそれらの剤を含有する経口用又は非経口用組成物、食品あるいは医薬を提供すること
【解決手段】プロポリス、ケールまたはその抽出物を含有する、カルシウムチャンネル阻害剤は、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療疼痛性疾患に対する治療剤、血圧の降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、それらを含有する経口用又は非経口用組成物、食品又は医薬。
【選択図】 なし
【解決手段】プロポリス、ケールまたはその抽出物を含有する、カルシウムチャンネル阻害剤は、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療疼痛性疾患に対する治療剤、血圧の降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、それらを含有する経口用又は非経口用組成物、食品又は医薬。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、脳梗塞性疾患に対する治療、偏頭痛疾患に対する治療、てんかん性疾患に対する治療、精神病疾患に対する治療、疼痛性疾患に対する治療、血圧の降下、狭心症に対する治療、不整脈に対する治療に有効な剤、それらを含有する経口用又は非経口用組成物、食品又は医薬に関する。
【0002】
【従来技術】カルシウムチャンネルとは、カルシウムイオンを透過させて情報伝達を行う膜タンパク質のことで、神経、脳、筋肉、分泌細胞などに分布する。カルシウムイオンが細胞内の調節機構に大きな役割を果たすために、他のチャンネルがイオンによる電位変化を情報伝達機構とするのと対照的に、微量のカルシウムイオンの細胞内への流入の抑制が主な役目である。
【0003】
脱分極によって開口するカルシウムチャンネルは、電位(依存)型チャンネルに属する。それはさらに、T(transient)型、N(neither L nor T)型、L(long−lasting)型に分類される。特に、L型のものはナトリウムチャンネルと高い相同性を持つ1873残基、分子量212018のサブユニットを持ち、他に小さいサブユニットが伴う。バリウムイオン、セレニウムイオンにも透過性を示すが、マグネシウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンはほとんど通さない。カルシウムチャンネルにも電位型の他にリガンド型のチャンネルがある。ホスファチジルイノシトールビスリン酸から形成されるイノシトールトリスリン酸(以下、IP3と略す)は細胞内のカルシウムイオン貯蔵部位である小胞体からのカルシウムイオン遊離を促進する。IP3をリガンドとして開口するカルシウムチャンネルが小胞体に存在し、その全構造が決定されている。
【0004】
現在、上述のカルシウムチャンネル阻害剤は臨床的に狭心症、全身性高血圧症、不整脈などの治療薬として使用されている(Howard R. Leeら;Life Sciences,35(7),721−732,(1984))。
【0005】
一方、脳は虚血または虚血再灌流によるダメージに特に脆弱な組織である。脳卒中等の一過性脳虚血による低酸素状態に置かれると、海馬などの記憶、学習、情緒などに関係する組織が選択的に破壊され、痴呆をはじめとする種々の後遺症が生ずる。脳虚血から痴呆に至る過程には、神経細胞膜の脱分極、電位依存性カルシウムチャンネルの開口によるカルシウムの神経細胞内への流入、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸をはじめとした神経伝達物質の神経細胞からの大量の放出、アゴニスト依存性カルシウムチャンネルの開口による細胞内カルシウムの蓄積等が関与している(松尾嘉之ら;蛋白質・核酸・酵素,37,1382−1393,(1992))。N型カルシウムチャンネルは神経系に特異的に存在する膜電位依存性カルシウムチャンネルの一種であり、種々の神経伝達物質の放出に関与している(阿部輝雄;Brain Medical ,5,25−31,(1993))。従って、N型カルシウムチャンネルの機能を阻害すれば脳虚血後に起こる大量の神経伝達物質の放出が抑制され、これによって脳虚血によって生じる神経細胞死を防止することができ、このような阻害剤は、抗脳梗塞剤として使用できる。
【0006】
また、抗てんかん作用を示すバルビツレートがN型カルシウムチャンネルを阻害する事が報告されており(R. A. Gross ら;Neurology,38,443−450,(1998))、てんかんにおけるカルシウムチャンネルの関与が考えられている。したがって、N型カルシウムチャンネル阻害剤は、抗てんかん剤として使用できる。
【0007】
さらに、N型カルシウムチャンネルは脊髄背側部にも分布し、痛みの伝達に関与することからN型カルシウムチャンネル阻害剤は疼痛剤にもなりうる(A. B.Malmbergら;J. Neurosci.,14,4882−4890,(1994))。現在、N型カルシウムチャンネルの特異的阻害剤としては不可逆的阻害剤としてω−コノトキシンGVIA、可逆的阻害剤としてω−コノトキシンMVII Aが知られており、ω−コノトキシンMVII Aはラットを用いた一過性脳虚血実験において、記憶固定の場所として重要である海馬領域の神経細胞死を防止することが報告されている(K.Valentino ら;Proc. Natl. Acad. Sci.,90,7894−7897,(1993))。これらω−コノトキシン類は分子量が約3000と比較的大きく、脳内への移行性が良くない。したがって、これらの化合物以外に脳内への移行性の良い低分子のN型カルシウムチャンネル阻害剤が望まれている。
【0008】
また、中枢神経系(以下、CNSと略す)の細胞における制御されない高濃度のカルシウムが上記疾患に関連した大抵の変性的変化を惹起することが知られている。それ故、脳細胞のカルシウムチャンネルをブロックすることができる化合物は無酸素症、虚血、偏頭痛、癲癇の治療と、これらの疾患に関連した変性的変化の予防に有効である。CNSにおけるいわゆるL型カルシウムチャンネルをブロックする化合物は、CNSにおけるカルシウム吸収を直接ブロックすることによって、上記障害の治療に有効である。
【0009】
さらに、いわゆるN型とP型のカルシウムチャンネル並びに恐らく他の型のカルシウムチャンネルも神経伝達物質放出の調節に関与していることは周知である。N型及び/又はP型のカルシウムチャンネルをブロックする化合物は、CNSのこのような機能亢進期間後に見られる強化された神経伝達物質放出、特にCNSのこのような機能亢進期間後の神経毒性の強化されたグルタメート放出を阻害することによって、上述したような脳の機能亢進期間後のCNSにおけるカルシウム過負荷を間接的にかつ非常に強力に防止する。さらに、N型及び/又はP型のカルシウムチャンネルのブロッカーは、問題の化合物の選択性に依存して、種々な他の神経伝達物質、例えばアスパルテート、γ−アミノ酪酸(GABA)、グリシン、ドパミン、セロトニン及びノルアドレナリンの放出を阻害することが知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、長期間服用しても安全で尚且つ確実な治療を行うのに充分満足できるような脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤及びそれらの剤を含有する経口用又は非経口用組成物、食品あるいは医薬を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意研究を行った結果、抗癌作用や免疫賦活作用などの目的で健康補助食品に利用されているプロポリス及び青汁と称されて搾汁を飲用しているアブラナ科植物のケールに、カルシウムチャンネル阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、プロポリス又はケール或はその抽出物を含有するカルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、これらを含有する経口用組成物、その食品、医薬に関する。
【0013】
【発明の実施形態】本発明で使用するプロポリスは、蜂が集めた樹脂状の黒い塊であり、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリス、オーストラリア産プロポリス、ウルグアイ産プロポリス、日本産プロポリスなど何れの産地のものでもよく、特に限定されるものではないが、汎用性の面から見て、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリスが好ましい。
【0014】
本発明で使用されるケール(Brassicca Oleracea L.var.acephala DC.)には、キッチンケール、マローケール、ブッシュケール、ツリーケール、コラード、緑葉カンランなどがある。アブラナ科の植物でもともと南ヨーロッパ原産の野菜であり、キャベツの原種といわれている。葉など通常食用として供されているもので構わないし、栽培方法や栽培地も特に限定されるものでもない。
【0015】
本発明におけるプロポリス或はケールは、プロポリス或はケール自体を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、超臨界抽出物、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分など、全てを含む。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。
【0016】
例えば、ブラジル産プロポリスの原塊乾燥物1Kgに99.5%エタノール抽出液3Lを加え、室温で一晩浸漬することにより得た抽出液を、そのまま使用しても良いし、各種クロマトグラフィーを組み合わせて、精製したものを使用しても良い。
【0017】
抽出されたプロポリス或はケール抽出物の溶液中のプロポリス或はケール抽出物濃度は特に制限はないが、15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%程度が好ましい。この濃度が15質量%未満では、乾燥時に多量のエタノールや水などの溶液を蒸発させる必要があり、70質量%を超えると溶液の粘度が高くなり過ぎ、加工適性が悪くなる恐れがある。
【0018】
これらの本発明によるプロポリス或はケールの乾燥物または抽出物に、カルシウムチャンネル阻害作用を有することは、従来から全く知られておらず、本発明により得られた新知見である。
【0019】
本発明によるプロポリス或はケールは、卓越したカルシウムチャンネル阻害作用を有しており、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤を目的とした食品又は医薬として使用可能である。
【0020】
すなわち、カルシウムチャンネル阻害剤が臨床的に使用されている狭心症、高血圧症、不整脈の治療に使用できる。N型カルシウムチャンネルが、種々の神経伝達物質の放出に関与しているので、N型カルシウムチャンネルの機能を阻害して、脳虚血によって生じる神経細胞死を防止し、脳梗塞性疾患の治療に有用である。
【0021】
また、N型カルシウムチャンネル阻害作用を有するバルビツレートと同様にてんかん性疾患の治療に使用でき、さらに、N型カルシウムチャンネルが痛みの伝達に関与しているので、疼痛性疾患の治療にも使用できる。脳細胞のカルシウムチャンネルをブロックすることにより、偏頭痛、てんかんのような疾患の治療、およびこれらの疾患に関連した、中枢神経系の細胞における高濃度のカルシウムによって惹起される変性的変化の予防に有効である。
【0022】
N型およびP型のカルシウムチャンネルをブロックすることにより、中枢神経系におけるカルシウム過負荷を間接的にかつ強力に防止することができる。
【0023】
本発明のプロポリス或はケールを、カルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤含有食品又は医薬として製造することができる。
【0024】
本発明のカルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤のような医薬の適用方法としては、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0025】
食品としては、そのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、脳梗塞性疾患、偏頭痛疾患、てんかん性疾患、精神病疾患、疼痛性疾患、血圧降下、狭心症、不整脈に有用な保健用食品又は食品素材として食される。例えば、上述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、茶、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
【0026】
本発明のプロポリスの有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択・決定されるが、例えば、経口投与の場合、一般に乾燥重量として1日当たり10〜500mg/kg体重程度、好ましくは、1日当たり150〜350mg/kg体重程度とされ、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0027】
また、ケールの投与量としては、乾燥重量として、通常成人換算で0.1kg/体重kg以上であり、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0028】
プロポリス及びケールの毒性は低く、例えばブラジル産プロポリスのエタノール抽出物を毎日1000mg/kg、100日間という長期間に亘ってラットに経口投与しても、死亡例は認められず、体重変化も観察されなかった。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0030】
[製造例1]プロポリス抽出物の製造
ブラジル産及び中国産プロポリス原塊それぞれ10gに99.5%エタノール(和光純薬工業)3Lを加え、50℃で一晩浸漬した後、ロータリーエバポレーターにてエタノールを除去することにより、プロポリス抽出物をそれぞれ324mg、216mgを得た。
【0031】
[製造例2]ケール抽出物の製造
ケールの葉を90℃で乾燥させ、苦みの渋味成分となる酵素を失活させた。その粉砕物4kgを電熱式水浴機で加熱還流しながら、99.5%エタノール(和光純薬工業)20Lを用いて抽出を行い、ケール抽出物80gを得た。
【0032】
[実施例]カルシウムチャンネル阻害試験
カルシウムチャンネル阻害試験は、Howard R. Leeらの方法(Life Sciences,35(7),721−732,1984)を一部改変して行った。
【0033】
すなわち、体重250−350gの雄性SDラットを断頭して殺した後、脳を速やかに取り出した。そして、大脳皮質を氷冷したベトリ皿上で脳の残屑から解剖した。その後、得た大脳皮質を19倍容量のKrebsのリン酸緩衝液(120mM NaCl、4.8mMKCl、2.1mM MgSO4、1.3mM CaCl2、20.3mM Na2HPO4、3.2mM HCl、10mM D−glucose、pH 7.4)を遠心管に加え、ポリトロン(Brinkman社製)を用いて10秒間、3回(調節速度;40%)、ホモジナイズした。その後、このホモジナイズした大脳皮質を2回、48000×gで10分間、遠心分離することにより洗浄し、上述のKrebsのリン酸緩衝液にて再懸濁させた。
【0034】
このようにして得られた新鮮な大脳皮質ホモジネートを湿重量で1−5mg/組織になるように調整し、その後、Krebsのリン酸緩衝液を含むチューブ中に総容量が2mlとなるように0.04nM[3H]標識したイソプロピル 4−(2,1,3−ベンゾキサジアゾル−4−イル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−ピリジン−3,5−ジカルボキシル酸メチル 1−メチルエチルエステル(isopropyl 4−(2,1,3−benzoxadiazol−4−yl)−1,4−dihydro−2,6−dimethyl−pyridine−3,5−dicarboxylic acid methyl 1−methylethylester、以下[3H](+)PN 200−100と略す)(89Ci/mmol、New England Nuclear,Boston,Mass.社製)及び製造例1あるいは製造例2で得られた最終濃度が500μg/mlの濃度になるように調整したプロポリス抽出物又はケール抽出物を加え、ナトリウムランプを用いた暗室で、22℃、90分間、インキュベーションした。
【0035】
その後、膜に結合した放射活性をグラスファイバーフィルター(Whatman社製、GF/B)を用いて吸引濾過してトラップし、次いで、0.9%食塩水5mlを用いて3回洗浄した。そして、フィルターを乾燥させ、シンチレーション溶液中で一晩浸漬することにより、フィルター中の放射活性を溶出させた後、この溶出物中の放射活性を液体シンチレーションスペクトロメトリー(43% efficiency)を用いて測定し、以下に示す式を用いてカルシウムチャンネル阻害活性を算出した。
【0036】
また、特異的結合は、1μMのニフェジピン(nifedipine)と置換される結合と定義し、タンパク質量は、Lowryらの方法(O.H.Lowry, N.J.Rosenbrough, A.L.Farr and R.J.Randall;J. Biol. Chem. 193, 265−275 (1951))。
阻害率(%)=100−〔(C1−B)/(C0 −B)〕×100
(式中、C1 は、既知量の供試化合物と[3H](+)PN 200−100が共存している状態での[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わし、C0 は、供試化合物を除いた時の[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わし、Bは、過剰のnifedipine(1×10−6M)存在下での[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わす。)
【0037】
なお、本反応系におけるポジティブコントロールとしてのカルシウムチャンネル阻害剤であるニトレンジピン(nitrendipine、ファイザー製薬社製)のIC50値は、1.7nMであった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から、本発明のプロポリス抽出物及びケール抽出物は、カルシウムチャンネルに対するニトレンジピンの結合を競合的に阻害し、強いカルシウムチャンネル阻害作用を有することがわかる。
【0040】
以下に処方例を示す。
[錠剤の製造]
製造例1で得られたブラジル産プロポリスのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
【0041】
[ジュースの製造]
製造例2で得られたケールのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
【0042】
【発明の効果】プロポリス又はケール或はその抽出物がカルシウムチャンネル阻害作用を有することから、これらを含有するカルシウムチャンネル阻害作用剤は、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、それらを含有する経口用組成物、食品又は医薬として有用である。このような組成物は、長期間服用しても安全で、確実な治療を行うことができる。
【発明が属する技術分野】本発明は、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、脳梗塞性疾患に対する治療、偏頭痛疾患に対する治療、てんかん性疾患に対する治療、精神病疾患に対する治療、疼痛性疾患に対する治療、血圧の降下、狭心症に対する治療、不整脈に対する治療に有効な剤、それらを含有する経口用又は非経口用組成物、食品又は医薬に関する。
【0002】
【従来技術】カルシウムチャンネルとは、カルシウムイオンを透過させて情報伝達を行う膜タンパク質のことで、神経、脳、筋肉、分泌細胞などに分布する。カルシウムイオンが細胞内の調節機構に大きな役割を果たすために、他のチャンネルがイオンによる電位変化を情報伝達機構とするのと対照的に、微量のカルシウムイオンの細胞内への流入の抑制が主な役目である。
【0003】
脱分極によって開口するカルシウムチャンネルは、電位(依存)型チャンネルに属する。それはさらに、T(transient)型、N(neither L nor T)型、L(long−lasting)型に分類される。特に、L型のものはナトリウムチャンネルと高い相同性を持つ1873残基、分子量212018のサブユニットを持ち、他に小さいサブユニットが伴う。バリウムイオン、セレニウムイオンにも透過性を示すが、マグネシウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンはほとんど通さない。カルシウムチャンネルにも電位型の他にリガンド型のチャンネルがある。ホスファチジルイノシトールビスリン酸から形成されるイノシトールトリスリン酸(以下、IP3と略す)は細胞内のカルシウムイオン貯蔵部位である小胞体からのカルシウムイオン遊離を促進する。IP3をリガンドとして開口するカルシウムチャンネルが小胞体に存在し、その全構造が決定されている。
【0004】
現在、上述のカルシウムチャンネル阻害剤は臨床的に狭心症、全身性高血圧症、不整脈などの治療薬として使用されている(Howard R. Leeら;Life Sciences,35(7),721−732,(1984))。
【0005】
一方、脳は虚血または虚血再灌流によるダメージに特に脆弱な組織である。脳卒中等の一過性脳虚血による低酸素状態に置かれると、海馬などの記憶、学習、情緒などに関係する組織が選択的に破壊され、痴呆をはじめとする種々の後遺症が生ずる。脳虚血から痴呆に至る過程には、神経細胞膜の脱分極、電位依存性カルシウムチャンネルの開口によるカルシウムの神経細胞内への流入、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸をはじめとした神経伝達物質の神経細胞からの大量の放出、アゴニスト依存性カルシウムチャンネルの開口による細胞内カルシウムの蓄積等が関与している(松尾嘉之ら;蛋白質・核酸・酵素,37,1382−1393,(1992))。N型カルシウムチャンネルは神経系に特異的に存在する膜電位依存性カルシウムチャンネルの一種であり、種々の神経伝達物質の放出に関与している(阿部輝雄;Brain Medical ,5,25−31,(1993))。従って、N型カルシウムチャンネルの機能を阻害すれば脳虚血後に起こる大量の神経伝達物質の放出が抑制され、これによって脳虚血によって生じる神経細胞死を防止することができ、このような阻害剤は、抗脳梗塞剤として使用できる。
【0006】
また、抗てんかん作用を示すバルビツレートがN型カルシウムチャンネルを阻害する事が報告されており(R. A. Gross ら;Neurology,38,443−450,(1998))、てんかんにおけるカルシウムチャンネルの関与が考えられている。したがって、N型カルシウムチャンネル阻害剤は、抗てんかん剤として使用できる。
【0007】
さらに、N型カルシウムチャンネルは脊髄背側部にも分布し、痛みの伝達に関与することからN型カルシウムチャンネル阻害剤は疼痛剤にもなりうる(A. B.Malmbergら;J. Neurosci.,14,4882−4890,(1994))。現在、N型カルシウムチャンネルの特異的阻害剤としては不可逆的阻害剤としてω−コノトキシンGVIA、可逆的阻害剤としてω−コノトキシンMVII Aが知られており、ω−コノトキシンMVII Aはラットを用いた一過性脳虚血実験において、記憶固定の場所として重要である海馬領域の神経細胞死を防止することが報告されている(K.Valentino ら;Proc. Natl. Acad. Sci.,90,7894−7897,(1993))。これらω−コノトキシン類は分子量が約3000と比較的大きく、脳内への移行性が良くない。したがって、これらの化合物以外に脳内への移行性の良い低分子のN型カルシウムチャンネル阻害剤が望まれている。
【0008】
また、中枢神経系(以下、CNSと略す)の細胞における制御されない高濃度のカルシウムが上記疾患に関連した大抵の変性的変化を惹起することが知られている。それ故、脳細胞のカルシウムチャンネルをブロックすることができる化合物は無酸素症、虚血、偏頭痛、癲癇の治療と、これらの疾患に関連した変性的変化の予防に有効である。CNSにおけるいわゆるL型カルシウムチャンネルをブロックする化合物は、CNSにおけるカルシウム吸収を直接ブロックすることによって、上記障害の治療に有効である。
【0009】
さらに、いわゆるN型とP型のカルシウムチャンネル並びに恐らく他の型のカルシウムチャンネルも神経伝達物質放出の調節に関与していることは周知である。N型及び/又はP型のカルシウムチャンネルをブロックする化合物は、CNSのこのような機能亢進期間後に見られる強化された神経伝達物質放出、特にCNSのこのような機能亢進期間後の神経毒性の強化されたグルタメート放出を阻害することによって、上述したような脳の機能亢進期間後のCNSにおけるカルシウム過負荷を間接的にかつ非常に強力に防止する。さらに、N型及び/又はP型のカルシウムチャンネルのブロッカーは、問題の化合物の選択性に依存して、種々な他の神経伝達物質、例えばアスパルテート、γ−アミノ酪酸(GABA)、グリシン、ドパミン、セロトニン及びノルアドレナリンの放出を阻害することが知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、長期間服用しても安全で尚且つ確実な治療を行うのに充分満足できるような脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤及びそれらの剤を含有する経口用又は非経口用組成物、食品あるいは医薬を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意研究を行った結果、抗癌作用や免疫賦活作用などの目的で健康補助食品に利用されているプロポリス及び青汁と称されて搾汁を飲用しているアブラナ科植物のケールに、カルシウムチャンネル阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、プロポリス又はケール或はその抽出物を含有するカルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、これらを含有する経口用組成物、その食品、医薬に関する。
【0013】
【発明の実施形態】本発明で使用するプロポリスは、蜂が集めた樹脂状の黒い塊であり、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリス、オーストラリア産プロポリス、ウルグアイ産プロポリス、日本産プロポリスなど何れの産地のものでもよく、特に限定されるものではないが、汎用性の面から見て、ブラジル産プロポリス、中国産プロポリスが好ましい。
【0014】
本発明で使用されるケール(Brassicca Oleracea L.var.acephala DC.)には、キッチンケール、マローケール、ブッシュケール、ツリーケール、コラード、緑葉カンランなどがある。アブラナ科の植物でもともと南ヨーロッパ原産の野菜であり、キャベツの原種といわれている。葉など通常食用として供されているもので構わないし、栽培方法や栽培地も特に限定されるものでもない。
【0015】
本発明におけるプロポリス或はケールは、プロポリス或はケール自体を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、超臨界抽出物、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分など、全てを含む。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。
【0016】
例えば、ブラジル産プロポリスの原塊乾燥物1Kgに99.5%エタノール抽出液3Lを加え、室温で一晩浸漬することにより得た抽出液を、そのまま使用しても良いし、各種クロマトグラフィーを組み合わせて、精製したものを使用しても良い。
【0017】
抽出されたプロポリス或はケール抽出物の溶液中のプロポリス或はケール抽出物濃度は特に制限はないが、15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%程度が好ましい。この濃度が15質量%未満では、乾燥時に多量のエタノールや水などの溶液を蒸発させる必要があり、70質量%を超えると溶液の粘度が高くなり過ぎ、加工適性が悪くなる恐れがある。
【0018】
これらの本発明によるプロポリス或はケールの乾燥物または抽出物に、カルシウムチャンネル阻害作用を有することは、従来から全く知られておらず、本発明により得られた新知見である。
【0019】
本発明によるプロポリス或はケールは、卓越したカルシウムチャンネル阻害作用を有しており、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤を目的とした食品又は医薬として使用可能である。
【0020】
すなわち、カルシウムチャンネル阻害剤が臨床的に使用されている狭心症、高血圧症、不整脈の治療に使用できる。N型カルシウムチャンネルが、種々の神経伝達物質の放出に関与しているので、N型カルシウムチャンネルの機能を阻害して、脳虚血によって生じる神経細胞死を防止し、脳梗塞性疾患の治療に有用である。
【0021】
また、N型カルシウムチャンネル阻害作用を有するバルビツレートと同様にてんかん性疾患の治療に使用でき、さらに、N型カルシウムチャンネルが痛みの伝達に関与しているので、疼痛性疾患の治療にも使用できる。脳細胞のカルシウムチャンネルをブロックすることにより、偏頭痛、てんかんのような疾患の治療、およびこれらの疾患に関連した、中枢神経系の細胞における高濃度のカルシウムによって惹起される変性的変化の予防に有効である。
【0022】
N型およびP型のカルシウムチャンネルをブロックすることにより、中枢神経系におけるカルシウム過負荷を間接的にかつ強力に防止することができる。
【0023】
本発明のプロポリス或はケールを、カルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤含有食品又は医薬として製造することができる。
【0024】
本発明のカルシウムチャンネル阻害剤、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤のような医薬の適用方法としては、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0025】
食品としては、そのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、カルシウムチャンネル阻害作用を有し、脳梗塞性疾患、偏頭痛疾患、てんかん性疾患、精神病疾患、疼痛性疾患、血圧降下、狭心症、不整脈に有用な保健用食品又は食品素材として食される。例えば、上述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、茶、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。
【0026】
本発明のプロポリスの有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、素材の阻害活性の強さなどにより、適宜選択・決定されるが、例えば、経口投与の場合、一般に乾燥重量として1日当たり10〜500mg/kg体重程度、好ましくは、1日当たり150〜350mg/kg体重程度とされ、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0027】
また、ケールの投与量としては、乾燥重量として、通常成人換算で0.1kg/体重kg以上であり、1日に数回に分けて投与してもよい。
【0028】
プロポリス及びケールの毒性は低く、例えばブラジル産プロポリスのエタノール抽出物を毎日1000mg/kg、100日間という長期間に亘ってラットに経口投与しても、死亡例は認められず、体重変化も観察されなかった。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0030】
[製造例1]プロポリス抽出物の製造
ブラジル産及び中国産プロポリス原塊それぞれ10gに99.5%エタノール(和光純薬工業)3Lを加え、50℃で一晩浸漬した後、ロータリーエバポレーターにてエタノールを除去することにより、プロポリス抽出物をそれぞれ324mg、216mgを得た。
【0031】
[製造例2]ケール抽出物の製造
ケールの葉を90℃で乾燥させ、苦みの渋味成分となる酵素を失活させた。その粉砕物4kgを電熱式水浴機で加熱還流しながら、99.5%エタノール(和光純薬工業)20Lを用いて抽出を行い、ケール抽出物80gを得た。
【0032】
[実施例]カルシウムチャンネル阻害試験
カルシウムチャンネル阻害試験は、Howard R. Leeらの方法(Life Sciences,35(7),721−732,1984)を一部改変して行った。
【0033】
すなわち、体重250−350gの雄性SDラットを断頭して殺した後、脳を速やかに取り出した。そして、大脳皮質を氷冷したベトリ皿上で脳の残屑から解剖した。その後、得た大脳皮質を19倍容量のKrebsのリン酸緩衝液(120mM NaCl、4.8mMKCl、2.1mM MgSO4、1.3mM CaCl2、20.3mM Na2HPO4、3.2mM HCl、10mM D−glucose、pH 7.4)を遠心管に加え、ポリトロン(Brinkman社製)を用いて10秒間、3回(調節速度;40%)、ホモジナイズした。その後、このホモジナイズした大脳皮質を2回、48000×gで10分間、遠心分離することにより洗浄し、上述のKrebsのリン酸緩衝液にて再懸濁させた。
【0034】
このようにして得られた新鮮な大脳皮質ホモジネートを湿重量で1−5mg/組織になるように調整し、その後、Krebsのリン酸緩衝液を含むチューブ中に総容量が2mlとなるように0.04nM[3H]標識したイソプロピル 4−(2,1,3−ベンゾキサジアゾル−4−イル)−1,4−ジヒドロ−2,6−ジメチル−ピリジン−3,5−ジカルボキシル酸メチル 1−メチルエチルエステル(isopropyl 4−(2,1,3−benzoxadiazol−4−yl)−1,4−dihydro−2,6−dimethyl−pyridine−3,5−dicarboxylic acid methyl 1−methylethylester、以下[3H](+)PN 200−100と略す)(89Ci/mmol、New England Nuclear,Boston,Mass.社製)及び製造例1あるいは製造例2で得られた最終濃度が500μg/mlの濃度になるように調整したプロポリス抽出物又はケール抽出物を加え、ナトリウムランプを用いた暗室で、22℃、90分間、インキュベーションした。
【0035】
その後、膜に結合した放射活性をグラスファイバーフィルター(Whatman社製、GF/B)を用いて吸引濾過してトラップし、次いで、0.9%食塩水5mlを用いて3回洗浄した。そして、フィルターを乾燥させ、シンチレーション溶液中で一晩浸漬することにより、フィルター中の放射活性を溶出させた後、この溶出物中の放射活性を液体シンチレーションスペクトロメトリー(43% efficiency)を用いて測定し、以下に示す式を用いてカルシウムチャンネル阻害活性を算出した。
【0036】
また、特異的結合は、1μMのニフェジピン(nifedipine)と置換される結合と定義し、タンパク質量は、Lowryらの方法(O.H.Lowry, N.J.Rosenbrough, A.L.Farr and R.J.Randall;J. Biol. Chem. 193, 265−275 (1951))。
阻害率(%)=100−〔(C1−B)/(C0 −B)〕×100
(式中、C1 は、既知量の供試化合物と[3H](+)PN 200−100が共存している状態での[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わし、C0 は、供試化合物を除いた時の[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わし、Bは、過剰のnifedipine(1×10−6M)存在下での[3H](+)PN 200−100の膜画分に対する結合量を表わす。)
【0037】
なお、本反応系におけるポジティブコントロールとしてのカルシウムチャンネル阻害剤であるニトレンジピン(nitrendipine、ファイザー製薬社製)のIC50値は、1.7nMであった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から、本発明のプロポリス抽出物及びケール抽出物は、カルシウムチャンネルに対するニトレンジピンの結合を競合的に阻害し、強いカルシウムチャンネル阻害作用を有することがわかる。
【0040】
以下に処方例を示す。
[錠剤の製造]
製造例1で得られたブラジル産プロポリスのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
【0041】
[ジュースの製造]
製造例2で得られたケールのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
【0042】
【発明の効果】プロポリス又はケール或はその抽出物がカルシウムチャンネル阻害作用を有することから、これらを含有するカルシウムチャンネル阻害作用剤は、脳梗塞性疾患に対する治療剤、偏頭痛疾患に対する治療剤、てんかん性疾患に対する治療剤、精神病疾患に対する治療剤、疼痛性疾患に対する治療剤、血圧降下剤、狭心症に対する治療剤、不整脈に対する治療剤、それらを含有する経口用組成物、食品又は医薬として有用である。このような組成物は、長期間服用しても安全で、確実な治療を行うことができる。
Claims (12)
- プロポリス又はケール或はそれらの抽出物を含有することを特徴とするカルシウムチャンネル阻害剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする脳梗塞性疾患に対する治療剤。
- プロポリス又はケール或はそれらの抽出物を含有することを特徴とする偏頭痛疾患に対する治療剤。
- プロポリス又はケール或はそれらの抽出物を含有することを特徴とするがてんかん性疾患に対する治療剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする精神病疾患に対する治療剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする疼痛性疾患に対する治療剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする血圧降下剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする狭心症に対する治療剤。
- 請求項1に記載のカルシウムチャンネル阻害剤を含有することを特徴とする不整脈に対する治療剤。
- 請求項1〜9のいずれか記載の剤を含む経口用又は非経口用組成物。
- 食品である請求項10記載の経口用組成物。
- 医薬である請求項10記載の経口用組成物。
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