JP2004043365A - 過酢酸の合成方法 - Google Patents

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大坂 武男
Sudan Shaha Madou
マドゥー スーダン シャハ
Masaharu Uno
宇野 雅晴
Yoshinori Nishiki
錦 善則
Tsuneto Furuta
古田 常人
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Abstract

【課題】従来の過酢酸の合成は、液相触媒を使用して行われ、特に得られる過酢酸からの触媒の分離が困難で、更に反応温度が高くオンサイト合成が困難であるという問題点があった。
【解決手段】無機過酸化物及び酢酸を固体酸3を触媒として反応させ過酢酸を合成する。触媒が固体酸であるため過酢酸からの分離が容易で、更にこの反応は室温下でも進行するため、オンサイト合成が可能になる。特に無機過酸化物として過酸化水素を使用しこの過酸化水素を隣接する電解セル7で電気化学的に製造すると、比較的危険な過酸化水素の保存や輸送が不要になる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業的に重要な酸化剤である過酢酸又は過酢酸化合物を簡易に合成するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
過酢酸は食品産業などの製品容器、製造ラインの洗浄及び殺菌剤用水等として汎用されている。これ以外に過酢酸は合成化学用酸化剤として有用であり、ラジカル反応開始剤や重合触媒として使用されている。
しかし過酢酸は分解し易いので安定化剤を添加することが多く安全性の問題があり、これを回避するためにはオンサイトで合成することが望ましく、かつオンサイト合成は効率的にも有利である。
【0003】
工業的には、約100〜200℃で活性化させた酸素によりアセトアルデヒドを酸化させて合成する方法が一般的である。又過酸化水素からの酸化合成も可能であり、この合成では硫酸が酸触媒として使用される。しかし触媒が液体である硫酸であるため、生成する過酢酸から触媒を分離することが困難で作業安全性の観点から液体触媒の使用は避けるべきである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
それに対し、固体酸触媒は得られる過酢酸からの分離という点で過酢酸合成用として有利であり、該固体酸触媒としては、金属酸化物、複合酸化物、三塩化アルミニウム、五フッ素化アンチモン、ジルコニア、スチレン系炭化水素イオン交換樹脂、各種ゼオライト担体などがあり、いずれも反応溶液との分離が容易であることが注目されている。しかしながら過酸化水素を使用すると、その分解過程で生成する活性酸素により多くの触媒が劣化消耗することが知られている。
【0005】
近年、ナフィオン(登録商標)−H(Perfluorinated Resin−Sulfonic Acid)は超強酸触媒であり、ハメット関数値Hとして−2程度を有し、触媒として用いると効率良く合成が進行することが見出されている。ナフィオンはパラフィンの選択的部分酸化(Appl. Catal.A Gen,vol.180, p325, 1999年)、アルキル化(Ind. Eng. Chem.Res,vol.26,p1276, 1987年)、環化あるいは開裂反応(Synthesis,p89, 1983年)などに利用され、良好な結果が報告されている。
しかしながら過酢酸の合成に固体酸触媒を使用する例は報告されていない。
本発明は前述の従来技術の欠点を解消し、取扱いの難しい過酢酸を固体酸を触媒として使用し簡便に合成するための方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、無機過酸化物及び酢酸を固体酸を触媒として反応させ過酢酸を合成することを特徴とする方法である。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、無機過酸化物及び酢酸から過酢酸を合成する際に従来の硫酸等の液相触媒に替えて、固体酸触媒を使用することを特徴とする。
活性と化学的安定性の点で望ましい固体酸であるナフィオンを使用して、無機過酸化物例えば過酸化水素と酢酸を反応させると、反応は次式に従って進行する。
【0008】
+CHCOOH+(H)→CHOOH(OH)+HO→HO+CHCOOOH+(H
【0009】
平衡定数をKとし、[]内が活量、濃度を表すとき以下の平衡が成立する。この平衡式中の水はプロトンと結合していない自由水であり、水活量(濃度)は溶液の酸性度の増加により顕著に減少するため、過酢酸の濃度は増加する。
【0010】
K=[CHCOOOH]・[HO]/[CHCOOOH]・[H
【0011】
この反応は酸触媒の存在下で平衡的に進行し、プロトン供与により過酸化水素の酸素原子どうしの結合が切断され、一方のOHラジカルがプロトンと反応して水になり、他方は酢酸と反応して過酢酸となる。過酢酸が安定して合成されるのは、ナフィオンの骨格であるフッ素化カーボン樹脂がOHラジカルに対しても化学的に不活性であり、生成した過酢酸による触媒の分解も進行しないためと推測できる。
前述の通り本発明で使用する触媒は固体酸触媒とする。
酸触媒にはプロトン性強酸とルイス酸がある。強酸の例としては、ハロゲン化酸(例えば塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸)、ハロゲン化又は非ハロゲン化酸素酸(例えば硫酸、過硫酸、過塩素酸)、ハロスルホン酸(例えばフルオロスルホン酸、クロロスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸)があるが、これらの液体触媒は、得られる過酢酸からの分離が困難で本発明では使用しない。
【0012】
固体プロトン性強酸としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化珪素及び酸化セリウム、あるいはこれらの混合酸化物、粘土及び各種ゼオライトなどが使用可能である。他の固体酸触媒として、特にリン酸、ホウ酸、リン酸アルミニウム又はリン酸ガリウムなどのリン酸塩を挙げることができる。これらの固体酸触媒は過酢酸合成に使用可能であるが、得られる過酢酸の分解が進行し高濃度の過酢酸が得られない場合がある。
【0013】
本発明で使用可能なルイス酸にはハロゲン化物があり、例えばアルミニウム、スズ、リン、アンチモン、ヒ素、ビスマス、チタン、タンタル、テルル、セレン、ジルコニウム、バナジウム、サマリウム、ニオブ、タングステン、白金、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛及びカドミウムの塩化物、臭化物、フッ素化物及びヨウ化物が含まれる。このようなハロゲン化物の具体例として、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、三塩化バナジウム、塩化サマリウム、五フッ素化アンチモン、三塩化ビスマス、塩化第一スズを挙げることができる。これらのルイス酸は本発明の固体酸に含まれるが、化合物によっては取扱いが困難で、生成物中に不純物として混入する危険がある。
【0014】
一方プロトン性の固体酸触媒は前述のルイス酸触媒の欠点がなく実用性に優れている。前記以外のプロトン性の固体酸触媒の例としてスルホン樹脂があり、この樹脂はヘテロポリ酸HXM1240(X=珪素、リン等、M=モリブデン、タングステン、バナジウム等)などで代表される固体酸で、具体例としてはHPW1240、HSiW1240などが知られている。
前記スルホン樹脂は種々の商品名で市販されている樹脂(例えばAMBERLYST、DOWEX)を使用でき、ビーズ状又は顆粒として利用することが好ましい。通常のスルホン樹脂は、官能基であるスルホン基を担持するポリスチレン−ジビニルベンゼン骨格から構成されるが、スチレン骨格は炭化水素系であるため、生成する過酢酸や過酸化水素により分解しやすく、安価であるが長期の使用に耐え得ない可能性がある。
【0015】
化学的な耐性の優れた樹脂として、イオン交換基としてスルホン基を有するフッ素化樹脂があり、商品名ナフィオンとして市販されている。ナフィオンはテトラフルロエチレンとペルフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)−プロピル]ビニルエーテルのコポリマーから製造される。
イオン交換能を有する固体酸としては前述した市販のイオン交換樹脂粒子が利用でき、粒子状のイオン交換樹脂を使用する際の径は0.01〜3mmとすることが好ましい。前記イオン交換樹脂には炭化水素系樹脂とフッ素化樹脂があり、前者にはスチレン系、アクリル酸系及び芳香族系などがあり、耐食性の面からは後者のフッ素化樹脂の使用が望ましい。又市販のイオン交換樹脂を使用する代わりに、適当な多孔性支持部材にイオン交換能を有する成分を形成し使用しても良い。
固体酸として、有機−無機複合触媒の使用も可能で、ナフィオン−シリカ複合体(例えば市販のナフィオンSAC13)などが利用できるが、シリカ表面で生成する過酢酸が分解することもある。
【0016】
次に、本発明方法の原料である無機過酸化物として、過酸化水素、過酸化炭酸水素ナトリウム等の過酸化水素アルカリ塩及び過酸化水酸化ナトリウム等の過酸化アルカリ塩が使用でき、これ以外にもNaやNaHOなどの過酸が使用できる。
本発明方法の原料として使用可能な過酸化水素は、既存のものを酢酸と混合して使用し、過酢酸を合成するようにしても良いが、必要なときに電気化学的に合成して酢酸と混合するようにすると、安全性の観点からより好ましく、例えば次のようにして電気化学的合成を行うことができる。
【0017】
酸素ガス陰極の触媒としては、白金族金属又はその酸化物、黒鉛や導電性ダイヤモンド等のカーボン、又はポリアニリンやチオール(SH基含有有機物)を使用できる。これらの触媒はそのまま板状として用いるか、ステンレス、ジルコニウム、銀、カーボン等の耐食性を有する板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体上に、熱分解法、樹脂による固着法、複合めっきなどにより1〜1000g/mとなるように形成させる。
陰極給電体としては、カーボン、ニッケル、チタンなどの金属、これらの合金や酸化物が使用できる。反応生成ガスや液の供給及び除去を速やかに行うために疎水性や親水性の材料を分散担持することが好ましい。疎水性シートを陽極と反対側の陰極裏面に形成すると、反応面へのガス供給が制御でき効果的である。
陽極としては通常の電極を使用すれば良く、例えば寸法安定性電極(DSA)を使用すれば良い。
【0018】
陰極への酸素の供給量は、理論値の1.1〜10倍程度が良く、原料の酸素含有ガスとして空気、空気を分離濃縮した酸素富化空気、ボンベに詰めた酸素ガス等が使用できる。酸素含有ガスは電極裏面にガス室が存在する場合にはそのガス室に供給するが、供給前の電解液に吹き込み吸収させておいても良い。
電解条件は、温度が室温以上60℃以下が望ましく、通常の電極を使用する場合の電流密度が0.1〜100A/dmであることが好ましい。電極間距離は抵抗損失を低下させるためになるべく小さくすることが好ましいが、水供給の際のポンプの圧力損失を小さくし、圧力分布を均一に保つため、1〜50mmとすることが望ましい。生成する過酸化水素の濃度は、水量と電流密度を調節することにより、50000ppm(5重量%)まで制御可能である。
【0019】
電解セル材料としては、耐久性及び過酸化水素の安定性確保の観点から、ガラスライニング材料、カーボン、耐食性の優れたチタンやステンレス、PTFE樹脂などが好ましく使用できる。
【0020】
本発明で使用する原料である酢酸は、遊離の酢酸の他に、酢酸ナトリウムや酢酸カリウム等の酢酸塩も含む。
前記無機過酸化物と酢酸は、等モルで反応させることが好ましく、それぞれの濃度は大きいほど反応速度が増大するが、過酸化物の取扱いの安全面から原料である無機過酸化物と生成物である過酢酸ともその濃度は10重量%以下であることが好ましい。又その濃度比は1:3〜3:1が好ましい。
【0021】
本発明方法における無機過酸化物と酢酸の反応は、これらの原料や生成する過酢酸に対して安定な容器内で進行させることが望ましい。このような容器の材料として、ガラスや、ポリプロピレン、ポリエチレン等の炭化水素樹脂、又はポリテトラフルロエチレンやフッ素化エチレンプロピレン等のフッ素樹脂等がある。反応を速やかに進行させるためには、十分に攪拌することが好ましい。容器の形状や合成する過酢酸の量にも依るが、前記攪拌はバッチ式ではスターラー、フロー式ではポンプを用いて行うようにする。
反応時の温度は高い方が反応速度が増加し、短時間で平衡に達するが、得られる過酢酸の分解速度も増大するため、適正な温度範囲があり、室温より高く、80℃より低く制御することが好ましい。使用する固体酸にも依るが、容器が炭化水素系材料の場合には高温安定性が得にくくなる。
【0022】
添加する固体酸は多量であるほど高濃度の過酢酸を短時間で得ることができるが、実際には装置コストの制約から上限があり、実用的には触媒体積は原料体積の10分の1以下が好ましい。
反応時間に関しては、理論的には時間を掛ければ平衡状態まで到達させることが可能であるが、実用的な時間範囲で連続的に合成を行うことが望ましく、反応時間は1〜24時間が好ましい。
合成後に残留する原料のうち、過酸化水素が問題になる場合には、カタラーゼ等の触媒を使用して接触分解しても良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に添付図面に基づいて本発明方法の実施態様を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1は本発明方法による過酢酸合成に使用可能な反応容器を例示する概略断面図、図2は図1の反応容器に電解法で生成した過酸化水素などの無機過酸化物を供給しながら過酢酸合成を行う態様を例示する概略断面図である。
【0025】
図1の反応容器1は有底円筒状の樹脂等から成り、内部に反応液2が収容されている。この反応液2中には、原料である過酸化水素と酢酸が溶解し、更に固体酸であるスルホン酸系のフッ素化イオン交換樹脂粒子3が添加されている。
前記反応容器1の中央には、上部から回転可能な棒4が進入し、下端部に接続された攪拌翼5が回転することにより、反応液2中のイオン交換樹脂粒子3を流動させるとともに、反応液中の過酸化水素と過酢酸及びこれらとイオン交換樹脂粒子3との接触を促進して過酢酸を合成する。
反応容器1はヒーター6上に載置され、ヒーター6に通電することで過酢酸合成速度を増大させることが可能であるが、前記反応は室温下でも進行するため、ヒーター6による加熱の要否は過酢酸の合成速度により判断すれば良い。
【0026】
図2の例では、図1と同一構成の反応容器1に隣接して過酸化水素などの無機過酸化物製造用電解セル7が設置されている。この電解セル7はイオン交換膜8により陽極9が収容された陽極室10とガス拡散陰極11が収容された陰極室に区画され、更に該陰極室は前記ガス拡散陰極11により陰極液室12と陰極ガス室13に区画されている。
両極9及び11間に通電すると、陰極液室12で過酸化水素などの無機過酸化物が発生し、この過酸化水素を前記反応容器1中に導くと、オンサイト製造された過酸化水素などの無機過酸化物を過酢酸製造に利用でき、安全性を高めることができる。
【0027】
[実施例]
次に本発明に係る過酢酸合成に関する実施例及び比較例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0028】
実施例1
100mlのガラス製反応容器に、市販の酢酸及び30%過酸化水素をそれぞれ0.5M及び0.38Mとなるように添加した後、粒状のプロトン型ナフィオン樹脂(デュポン社製NR−50)を2.5重量%になるように添加した。この溶液をスターラーで攪拌しながら室温下17時間放置し、生成した過酢酸の濃度をHPLC液体クロマトグラフ装置で測定したところ、0.01Mであった。又溶液のpHは約2.5であった。
【0029】
実施例2
プロトン型ナフィオン樹脂の添加量を5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.02Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0030】
実施例3
0.5M酢酸の替わりに0.25M酢酸と0.25M酢酸ナトリウムを用いて、実施例1と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.02Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0031】
実施例4
酢酸の替わりに0.5M酢酸ナトリウムを用いて、実施例1と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.001Mで、溶液のpHは6〜9であった。
【0032】
実施例5
0.25M酢酸と0.25M酢酸ナトリウム、及び0.38Mの過酸化水素を含む水溶液を調製後、ナフィオンNR−50を粉砕した粉末状のプロトン型ナフィオン樹脂が5重量%となるように添加し、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.02Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0033】
実施例6
プロトン型ナフィオン樹脂が2.5重量%となるように添加し、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.018Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0034】
実施例7
プロトン型ナフィオン樹脂が10重量%となるように添加し、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.002Mで、溶液のpHは4〜5であった。生成効率が低いのは樹脂の量が多過ぎて攪拌が不十分であったからと推測できる。
【0035】
実施例8
実施例3と同様な系で反応時間を、2、5、(17)及び48時間に替えたところ、得られた過酢酸の濃度は順に0.013,0.016、(0.020)及び0.038Mとなった。
【0036】
実施例9
0.4M酢酸と0.4M酢酸ナトリウム、及び0.15Mの過酸化水素を含む水溶液を調製後、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.006Mであった。
【0037】
実施例 10
0.33M酢酸と0.33M酢酸ナトリウム、及び0.25Mの過酸化水素を含む水溶液を調製後、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.016Mであった。
【0038】
実施例 11
0.17M酢酸と0.17M酢酸ナトリウム、及び0.5Mの過酸化水素を含む水溶液を調製後、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.027Mであった。
【0039】
実施例 12
温度を40℃としたこと以外、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.048Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0040】
実施例 13
温度を60℃としたこと以外、実施例12と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.06Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0041】
実施例 14
プロトン型ナフィオン樹脂の替わりに、ナフィオンSAC−13(デュポン社製ナフィオン−シリカ複合体)5重量%を添加したこと以外は実施例5と同様の合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.008Mであった。シリカ表面で過酢酸が分解したため過酢酸濃度が低くなったものと推定される。
【0042】
実施例 15
プロトン型ナフィオン樹脂の替わりに、アンバーリスト(アルドリッチ社製No.36)5重量%を添加したこと以外は実施例5と同様の合成を行
ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.008Mで、溶液のpHは3〜であった。この操作を数回繰り返したところ、アンバーリスト樹脂に劣化が発生した。
【0043】
実施例 16
酸化イリジウム触媒を熱分解法によりチタン多孔板に10g/mとなるように被覆して陽極とした。黒鉛粉末(東海カーボン株式会社製TGP−2)をPTFE樹脂と混練し、芯材であるカーボンクロス(ゾルテック社製PWB−3)上に塗布し330℃で焼成し0.5mm厚のシートを構成し、酸素ガス陰極とした。両電極を、電極間距離を5mm、電解有効面積が20cmとして電解セル内に設置して過酢酸合成用電解セルとした。
【0044】
空気を陰極ガス室に毎分20mlで供給し、セルの入口から0.25M水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.5mlで供給しながら、温度を25℃に維持し、電流2Aを流して電解したところ、セル電圧は8Vで、0.15Mの過酸化水素ナトリウム(NaH)が電流効率約50%で得られた。
この過酸化水素溶液に酢酸が0.5Mになるように混合し、2時間後に過酢酸濃度を測定したところ、0.013Mであった。
【0045】
実施例 17
温度を5℃とし、反応時間を2時間としたこと以外、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.002Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0046】
実施例 18
温度を90℃とし、反応時間を2時間としたこと以外、実施例3と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.002Mで、溶液のpHは4〜5であった。
【0047】
実施例 19
酢酸及び30%過酸化水素をそれぞれ1.2M、2Mとなるよう添加した後、プロトン型ナフィオン樹脂を5重量%となるように添加し、スターラーで攪拌しながら室温下24時間放置し、生成した過酢酸の濃度をHPLC液体クロマトグラフ装置で測定したところ、生成した過酢酸は0.45Mであった。
【0048】
実施例 20
酢酸及び30%過酸化水素をそれぞれ1.2M、2Mとなるようにした溶液を、プロトン型ナフィオン樹脂を充填した内容積10mlの反応容器に、ポンプを用いて1ml/Hの速度で供給し、室温下で1時間後から72時間の間で、容器出口で生成した過酢酸の濃度を測定したところ、安定して0.3Mであった。
【0049】
比較例1
ナフィオン樹脂の替わりにトリフリン酸(triflic  acid, CFSOH)5重量%を添加したこと以外は、実施例5と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.018Mで、溶液のpHは4〜5であった。しかし得られた過酢酸をトリフリン酸から分離できず、純粋な過酢酸は得られなかった。
【0050】
比較例2
ナフィオン樹脂の替わりに合成ゼオライト(東ソー株式会社、A−3、200メッシュ)5重量%を添加したこと以外は、実施例5と同様にして合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.01Mで、溶液のpHは5〜6であった。
【0051】
比較例3
ナフィオン樹脂の替わりにDowex(アルドリッチ社製No.2030、30
〜60メッシュ)を5重量%を添加したこと以外は実施例5と同様の合成を行ったところ、得られた過酢酸の濃度は0.008Mで、溶液のpHは2.5〜3.5であった。
【0052】
比較例4
ナフィオン樹脂の替わりに2N硫酸を添加したこと以外は実施例5と同様の合成を行ったところ、過酢酸は検出されず、溶液のpHは約1.7であった。
【0053】
比較例5
ナフィオン樹脂の替わりにホスホタングステン酸(12WO・HPO・xHO)を触媒として5重量%添加したこと以外は実施例1と同様の合成を行ったところ、過酢酸は高濃度で生成したが、溶液が着色し触媒が分解してしまうことが確認された。
【0054】
比較例6
ナフィオン樹脂の替わりにホスホモリブデン酸(12MoO・HPO・xHO)を触媒として5重量%添加したこと以外は実施例1と同様の合成を行ったところ、過酢酸は高濃度で生成したが、溶液が着色し触媒が分解してしまうことが確認された。
【0055】
【発明の効果】
本発明は、無機過酸化物及び酢酸を固体酸を触媒として反応させ過酢酸を合成することを特徴とする方法である。
本発明方法によると、従来と異なり固体酸を触媒として使用するため、合成された過酢酸から触媒を容易に分離でき、合成系全体の効率が向上し、簡易に過酢酸が合成できる。
【0056】
更に従来の硫酸を使用する過酢酸の合成では、反応温度が約200℃と高くオンサイト合成には適さなかったが、本発明方法の反応は室温下でも進行するため、オンサイト合成が可能になり、環境保全及び安全面での改善が期待できる。又触媒は半永久的に使用可能であり、環境汚染を誘発しない。
更に電気化学的に過酸化水素などの無機過酸化物をオンサイトで発生させると、電気と水と酢酸からオンサイトで過酢酸を合成でき、比較的危険な過酸化水素の保存や輸送が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法による過酢酸合成に使用可能な反応容器を例示する概略断面図。
【図2】図1の反応容器に電解法で生成した無機過酸化物を供給しながら過酢酸合成を行う反応容器を例示する概略断面図。
【符号の説明】
1 反応容器
2 反応液
3 イオン交換樹脂粒子
5 攪拌翼
7 過酸化水素製造用電解セル

Claims (5)

  1. 無機過酸化物及び酢酸を固体酸を触媒として反応させ過酢酸を合成することを特徴とする方法。
  2. 無機過酸化物が電解により合成される請求項1記載の方法。
  3. 無機過酸化物が、過酸化水素、過酸化水素アルカリ塩及び過酸化アルカリ塩から選択される請求項1記載の方法。
  4. 固体酸が、フッ素化イオン交換樹脂又は炭化水素系イオン交換樹脂である請求項1記載の方法。
  5. 合成温度が10〜80℃である請求項1記載の方法。
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