JP2004043182A - 鉄筋用吊り具 - Google Patents

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Yasuo Wada
和田 保雄
Takaaki Shibamoto
芝本 高明
Shuji Ota
太田 修二
Hajime Doi
土井 元
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Abstract

【課題】簡易な構成によって、鉄筋を確実に吊り上げることができ、しかも、小型軽量であるため、円滑な作業を図ることのできる、鉄筋用吊り具を提供すること。
【解決手段】鉄筋Fを保持する保持部材2と、保持部材2に揺動可能に支持され保持部材2に対して鉄筋Fを押さえ込む押込部材3と、カップリング15が係止され押込部材3に揺動可能に連結される吊り部材4とからクランプ1を構成し、吊り部材4を保持部材2の挿通部7に上下方向に移動可能に支持させ、押込部材3を、吊り部材4の移動によって鉄筋Fに対する押さえ込みまたはその解除がなされるように揺動可能に構成する。これにより、吊り部材4を吊り上げると、吊り部材4が上方に移動して、その吊り部材4に連結されている押込部材3が揺動することにより、保持部材2に保持されている鉄筋Fが、その押込部材3によって押さえ込まれる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋用吊り具に関し、詳しくは、鉄筋を搬送および設置するためなどに用いられる鉄筋用吊り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋を吊り上げるクランプとして、たとえば、実公昭63−20703号公報や特開平10−236762号公報などに、一対の側板と、この側板の一方に固着された固定挟持部を有する本体、この本体の案内部に係合して移動可能な吊上杆と、この吊上杆に連結された連結杆と、この連結杆にその一端が枢着され、他端が可動挟持部を形成するように支持軸に回動可能に支持されたカム状挟持部材とからなる挟持機構、この挟持機構を挟持状態に維持するために、本体に支持される回動軸に固着された錠止カム部材と、この錠止カム部材の回動を錠止位置で停止するためのストッパと、このストッパに対して錠止カム部材を付勢するばね部材とからなる錠止機構、そしてこの錠止機構の錠止カム部材の回動軸に固着された解除レバーからなる解除機構とから構成されるクランプが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実公昭63−20703号公報や特開平10−236762号公報に提案されているクランプは、本体内に、吊上杆や連結杆などが収容されるとともに、挟持機構、錠止機構および解除機構などの多数の部品が設けられるため、重量が重く、機構が複雑であり、また、装置の大型化が不回避である。そのため、円滑な作業を図ることが困難である。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成によって、鉄筋を確実に吊り上げることができ、しかも、小型軽量であるため、円滑な作業を図ることのできる、鉄筋用吊り具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、鉄筋を保持する保持部材と、前記保持部材に揺動可能に支持され、前記保持部材に対して鉄筋を押さえ込む押込部材と、吊り具が係止され、前記押込部材に連結される吊り部材とを備え、前記吊り部材は、前記保持部材に移動可能に支持されており、前記押込部材は、前記吊り部材の移動によって、鉄筋に対する押さえ込みまたはその解除がなされるように構成されていることを特徴としている。
【0006】
このような構成によると、吊り具によって吊り部材を吊り上げると、吊り部材が移動して、その吊り部材に連結されている押込部材が揺動することにより、保持部に保持されている鉄筋が、押込部材によって押さえ込まれる。これによって簡易な構成により、鉄筋を確実に保持して吊り上げることができる。
【0007】
また、この構成では、基本的には、吊り部材、押込部材および保持部材のみの簡易な構成であり、小型軽量に形成することができるので、持ち運びに便利であり、かつ、簡易な操作によるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記押込部材を、常には、鉄筋に対して押さえ込む方向に付勢させる付勢手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によると、押込部材が、付勢手段の付勢力によって、常時、鉄筋に対して押さえ込む方向に付勢されるので、鉄筋の確実な保持を実現することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記保持部材には、前記吊り部材が挿通される挿通部が設けられており、前記挿通部には、前記押込部材の鉄筋に対する解放状態をロックするロック機構部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によると、ロック機構部のロックを解除すると、付勢手段の付勢力によって押込部材が鉄筋を押さえ込み、かつ、付勢手段の付勢力に抗して、ロック機構部をロックすると、押込部材の鉄筋に対する押さえ込みが解放される。そのため、簡易な操作によって、押込部材による鉄筋の押さえ込みまたはその解除を達成することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記押込部材には、前記押込部材の鉄筋に対する押込状態において、前記保持部材と前記押込部材との間で保持される鉄筋を覆うカバー部材が、前記押込部材と一体的に揺動可能に設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような構成によると、押込部材によって鉄筋を押さえ込む時には、押込部材とともに、カバー部材が一体的に揺動され、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋が、このカバー部材によって覆われる。また、押込部材による鉄筋の押さえ込みを解除する時には、押込部材とともに、カバー部材が一体的に揺動され、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋が、このカバー部材から開放される。そのため、簡易な構成によって、押込部材によって鉄筋を押さえ込む時には、カバー部材によって、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋を確実に覆うことができ、また、押込部材による鉄筋の押さえ込みを解除する時には、カバー部材を、その鉄筋から確実に開放することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記押込部材には、前記押込部材の鉄筋に対する押込状態において、前記保持部材と前記押込部材との間で保持される鉄筋を覆うカバー部材が、前記押込部材に対して揺動可能に設けられており、前記カバー部材は、常には、鉄筋を覆う方向に付勢されており、付勢に抗して開放方向に揺動するときには、前記押込部材が前記カバー部材と一体的に揺動可能とされていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、カバー部材が、常には、鉄筋を覆う方向に付勢されているので、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋が、このカバー部材によって覆われる。また、押込部材による鉄筋の押さえ込みを解除する時には、カバー部材を開放すれば、押込部材がカバー部材と一体的に揺動され、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋が、このカバー部材から開放されるとともに、押込部材から解放される。さらに、吊り作業の途中において、鉄筋の撓みなどによって、押込部材が解放される方向に揺動しても、カバー部材は、鉄筋を覆う方向に付勢されたままであるため、鉄筋の保持部材と押込部材との間からの抜け落ちを防止することができる。そのため、簡易な構成によって、カバー部材によって、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋を必要なときに確実に覆うことができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記カバー部材には、前記カバー部材を開放方向に揺動させるための遠隔操作部材が連結されていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、遠隔操作部材によって、カバー部材を開放方向に揺動させることができるので、たとえば、鉄筋を、鉄筋用吊り具によって作業者が直接操作できない上方に設置した場合でも、カバー部材を開放することにより、押込部材を鉄筋に対して解除する方向に揺動させて、設置された鉄筋から鉄筋用吊り具をこの遠隔操作部材によって確実に解放することができる。そのため、より一層の作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前遠隔操作部材は、前記カバー部材に連結され作業者が操作する紐状部材と、前記紐状部材を前記紐状部材の長手方向途中で前記保持部材に着脱自在に係止させる係止部材とを備えていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によると、吊り作業中には、紐状部材を係止部材によって長手方向途中で保持部材に係止させておけば、誤って紐状部材が、他の部材に引っ掛かって引っ張られても、その引張り力は、係止部材によって係止されている途中から、カバー部材に連結されている部分には作用せず、これによって、吊り作業中におけるカバー部材の不用意な開放を防止することができる。一方、カバー部材を開放するときには、紐状部材を係止部材によって長手方向途中で保持部材から脱離させれば、紐状部材を操作することにより、カバー部材を開放することができる。そのため、吊り作業中におけるカバー部材の不用意な開放の防止と、カバー部材の確実な開放とを図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図3は、本発明の鉄筋用吊り具としてのクランプの一実施形態を示す正面側斜視図、図2は、その背面側斜視図である。なお、以下の説明において、特に言及のない限り、上下方向、前後方向、左右方向は、クランプ1が後述する吊り孔13によって吊り上げられた図1に示す状態を基準としている。
【0021】
図1および図2において、このクランプ1は、鉄筋Fを保持する保持部材2と、この保持部材2に揺動可能に支持され、保持部材2に対して鉄筋Fを押さえ込む押込部材3と、吊り具としてのカップリング15が係止され、押込部材3に連結される吊り部材4とを備えている。
【0022】
保持部材2は、略矩形状の厚板部材からなる背部5と、背部5の一端側側端部から前方に向かって略直交方向に屈曲形成される被押込部6と、背部5の他端側上側端部から前後方向において対向するように二股状に突出形成される前側挿通部7aおよび後側挿通部7bを備える平面視略コ字状の挿通部7と、背部5の他端側下側端部から突出形成される連結部8とが一体的に形成されている。
【0023】
背部5の前面と連続する被押込部6の内側表面は、後述する押込部材3との間で鉄筋Fを上下方向に沿って確実に保持するために、上端から下端までにわたって平面視において凹状に湾曲形成されている。
【0024】
挿通部7の遊端部には前側挿通部7aと後側挿通部7bとを前後方向に連結するボルト9が設けられており、前側挿通部7aと後側挿通部7bとボルト9とによって囲まれる開口部内には、後述する吊り部材4が上下方向に移動可能に挿通支持されている。また、ボルト9における前側挿通部7aと後側挿通部7bとの間の軸周りには、ボルト9に対して回転可能なカラー部材9aが設けられている。これによって、吊り部材4の上下方向の移動時において、吊り部材4がカラー部材9aに摺擦したとしても、カラー部材9aがボルト9に対して回転可能なため、カラー部材9aが吊り部材4との摺擦に伴なって回転することにより、吊り部材4の移動が円滑に行なわれる。また、前側挿通部7aの前面略中央部には、後述するロック機構部10が設けられている。
【0025】
連結部8には、次に述べる押込部材3が枢軸11によって揺動可能に取り付けられている。
【0026】
押込部材3は、正面視略L字状をなし、その屈曲部において枢軸11により保持部材2の連結部8に揺動可能に支持されるとともに、一方側の遊端部が、ボルト12によって後述する吊り部材4の下端部と揺動可能に連結されている。また、押込部材3の屈曲部から他方側の遊端部までに至る外側面が、被押込部6との間で鉄筋Fを保持するための押込面3aとして断面略鋸歯状に形成されている。
【0027】
押込面3aは、より具体的には、図6が参照されるように、正面視弧状に湾曲形成され、上下方向に沿って複数の畝が形成され、その各畝が鋸歯状に形成されている。また、前後方向における両端部の各畝よりも中心部の各畝の高さが低く形成されており、被押込部6との間で鉄筋Fを上下方向に沿って確実に保持するために、上端から下端までにわたって平面視において凹状に湾曲形成されている。
【0028】
また、押込部材3の背面には、常には、押込部材3を鉄筋Fに対して押さえ込む方向に付勢させる付勢手段としての押込ばね3bが設けられている。
【0029】
押込ばね3bは、枢軸11を周回するループ部を介して略くの字状に設けられる針金状部材からなり、その一方側端部が、押込部材3の背面に設けられた溝部3cに係止された状態で押込部材3の一方側の遊端部の下部まで延び、その他方側端部が、保持部材2の連結部8の前面に係止されている。これによって、押込ばね3bは、他方側端部が連結部8に係止された状態で、一方側端部が押込部材3の一方側の遊端部を上方に向けて付勢するため、押込部材3は、常には、図8が参照されるように、枢軸11を支点として、一方側の遊端部が上方に向けて付勢されることにより、他方側の遊端部に至る外側面の押込面3aが被押込部6に近接する方向(すなわち、鉄筋Fに対して押さえ込む方向)に付勢されている。
【0030】
吊り部材4は、図1ないし図3が参照されるように、細長い杆状部材からなり挿通部7に上下方向に移動可能に挿通支持されており、その上端部に、チェーン14が連結されたカップリング15を係止するための吊り孔13が開口形成されるとともに、その下端部が、ボルト12によって押込部材3の一方側の遊端部と揺動可能に連結されている。また、吊り部材4の長手方向(図1における上下方向)の略中央部には、後述するロック機構部10の進退軸25が挿通されるロック孔16(図3参照)が略円形状に開口形成されている。また、吊り部材4の上部における、吊り孔13とロック孔16との間には、後述する操作ワイヤ22が挿通されるアイボルト17が取り付けられている。また、この吊り部材4は、押込ばね3bによって、常には押込部材3の支持軸12を支点として、上方に向けて付勢されている。
【0031】
また、押込部材3には、押込部材3の鉄筋Fに対する押さえ込み状態において、保持部材2の被押込部6と押込部材3の押込面3aとの間で保持される鉄筋Fを覆うカバー部材19が取り付けられている。
【0032】
カバー部材19は、楕円形状の板状部材からなり、一方側の端部が、枢軸11によって押込部材3とともに連結部8に揺動可能に支持されるとともに、その枢軸11の上方近傍において、ボルト20によって押込部材3に固定されている。これによって、カバー部材19は、押込部材3と一体的に揺動可能とされている。また、カバー部材19の他方側の端部には、ボルト21によって遠隔操作部材としての操作ワイヤ22の一端部が連結固定されている。
【0033】
操作ワイヤ22は、被覆ワイヤからなり、一端部がボルト21によってカバー部材19に固定された状態から上方に向かって延び、吊り部材4に取り付けられているアイボルト17のアイ部に挿通され、さらに、挿通部7に取り付けられたボルト9に設けられた貫通孔に挿通された状態において、さらに下方に向かって所定の長さで設けられている。これによって、図9(a)が参照されるように、操作ワイヤ22の他端部側が下方に引っ張られると、カバー部材19の他方側の端部に固定されている操作ワイヤ22の一端部がアイボルト17側に引き上げられるため、カバー部材19の他方側の端部が枢軸11を支点として上方に向けて揺動される。この時、カバー部材19が、ボルト20によって押込部材3と一体的に揺動されるように取り付けられているため、押込部材3は、枢軸11を支点として時計方向(上方向)、すなわち、押込部材3を鉄筋Fに対して解放する方向に揺動されるので、押込面3aが鉄筋Fから離間され、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みが解除される。
【0034】
ロック機構部10は、図4が参照されるように、前側挿通部7aの略中央部に開口形成される軸孔23に設けられており、台座部24、進退軸25、つまみ部26およびロックばね27を備えている。
【0035】
台座部24は、中空円筒状の基端部に略六角ボルトが形成されており、その基端部の内周部にばね係止溝24aが設けられている。この台座部24は、基端部の六角ボルトが軸孔23に螺着されることにより、前側挿通部7aに固定されている。進退軸25は、その軸周りにロックばね27が巻回された状態で、台座部24内に挿通されており、その一端部が、台座部24の遊端部の外周に進退可能に嵌合されるつまみ部26に係止されている。ロックばね27は、進退軸25の軸方向に沿って巻回されており、一端部が進退軸25に係止され、他端部が台座部24のばね係止溝24aに係止されている。そして、このロックばね27は、常には、進退軸25を、つまみ部26が台座部24により深く嵌合される方向、すなわち、後側挿通部7b側に進出する方向に付勢している。
【0036】
このようにして、ロック機構部10は、図1が参照されるように、吊り部材4が下方に下がり、前後方向においてロック孔16が軸孔23と略同一位置に位置されている時には、図5が参照されるように、進退軸25の他端部が、ロック孔16を貫通し、後側挿通部7bの表面に達する状態となる。これによって、押込ばね3bによって押込部材3を介して上方に向けて付勢されている吊り部材4は、ロック機構部10によってその上方への移動がロックされた状態とされる。
【0037】
また、図7(b)が参照されるように、ロックばね27の付勢力に抗してつまみ部26を前方側(台座部24から離間する方向)に引くと、図4が参照されるように、進退軸25の他端部がロック孔16から退出され、吊り部材4のロックが解除される。そうすると、吊り部材4は、押込ばね3bの付勢力によって上方に移動され、これに伴ない、押込部材3の一方側の遊端部が上方に揺動され、押込面3aが被押込部6側に近接される。
【0038】
次に、上記したクランプ1を用いて、鉄筋Fを吊り上げる方法について、図7ないし図11を参照して説明する。
【0039】
この方法では、まず、図10に示すように、水平方向に積載されている鉄筋Fに、図7(a)に示すように、このクランプ1の保持部材2を被押込部6に沿って挿入する。
【0040】
そして、図7(b)に示すように、ロック機構部10のつまみ部26を前方側(台座部24から離間する方向)に引き、吊り部材4に対するロックを解除する。そうすると、図8(b)が参照されるように、吊り部材4は、押込ばね3bの付勢力によって挿通部7を水平方向左側にスライド移動されるので、その下端部に支持軸12を介して連結される押込部材3の一方側の遊端部が水平方向左側に引かれ、押込部材3は、枢軸11を支点として、反時計方向に揺動される。これによって、押込面3aが押込ばね3bの付勢力によって鉄筋Fに押し当てられる。
【0041】
このように、このクランプ1では、ロック機構部10のつまみ部26を前方側に引いて、ロック機構部10による押込部材3の鉄筋Fへの解放状態のロックを解除すれば、押込部材3が、押込ばね3bの付勢力によって、常時、鉄筋Fに対して押さえ込む方向に付勢されているので、押込部材3によって鉄筋Fが押さえ込まれるため、鉄筋Fの確実な保持を実現することができる。
【0042】
そして、図10が参照されるように、吊り孔13に係止されるカップリング15を介してクレーンなどの吊り上げ装置により吊り部材4を吊り上げると、図8(a)が参照されるように、吊り部材4が上方に引き上げられるため、この吊り部材4の下端部に連結されている押込部材3が枢軸11を支点として押さえ込む方向に揺動されるため、保持部材2に保持されている鉄筋Fが、押込面3aによって被押込部6に向けてより強固に押さえ込まれるので、押込面3aと被押込部6との間において鉄筋Fを確実に保持することができる。
【0043】
また、保持部材2の被押込部6および押込部材3の押込面3aは、ともに平面視において凹状に湾曲形成されているため、鉄筋Fの押さえ込み時においては、鉄筋Fは、常に被押込部6および押込面3aの湾曲形成された凹部の中央部に位置されるので、押込部材3による鉄筋Fの安定した押さえ込みが可能となり、クランプ1による確実な吊り上げが確保される。
【0044】
なお、クランプ1による鉄筋Fの吊り上げ状態においては、鉄筋Fの自重が押込面3aに作用して、押込部材3をより鉄筋Fが押さえ込まれる方向に揺動させようとするので、吊り上げ中における鉄筋Fのより一層確実な保持を達成することができる。
【0045】
また、このクランプ1では、鉄筋Fを覆うカバー部材19が押込部材3と一体的に揺動可能に設けられているため、上記のように押込部材3が鉄筋Fを押さえ込む方向に揺動され、押込部材3によって鉄筋Fを押さえ込む時には、押込部材3とともに、カバー部材19が一体的に揺動され、保持部材2と押込部材3との間で保持される鉄筋Fの前面が、このカバー部材19によって覆われる。そのため、簡易な構成によって、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みとともに、カバー部材19によって、保持部材2と押込部材3との間で保持される鉄筋Fを確実に覆うことができる。
【0046】
そして、このようにして、クランプ1により鉄筋Fを吊り上げて、たとえば、図11が参照されるように、既設の鉄筋Fの上端部に吊り上げ状態にある鉄筋Fの下端部を溶接(または、つなぎ金具)などにより固定する。
【0047】
その後、クランプ1に保持されている鉄筋Fを解放する時には、図9(a)が参照されるように、吊り部材4によって吊り上げられている状態で、操作ワイヤ22の他端側を下方に向けて引っ張ることにより、操作ワイヤ22の一端部が係止されているカバー部材19の一端部が、挿通されているアイボルト17側の上方に向けて揺動され、鉄筋Fの前面が開放される。また、これとともに、そのカバー部材19が一体的に取り付けられている押込部材3も、時計方向に揺動され、押込部材3の押込面3aが鉄筋Fから離間する方向に揺動されるとともに、吊り部材4の下端部と連結されている押込部材3の一方側の遊端部が下方に向けて揺動される。
【0048】
これによって、吊り部材4が挿通部7内を下方にスライド移動され、吊り部材4のロック孔16が前側挿通部7aの軸孔23と前後方向において略同一位置まで達した時に、常時、後側挿通部7b側に向けて付勢されているロック機構部10の進退軸25が、図9(b)が参照されるように、裏側挿通部7bに向けてロック孔16に挿通されるので、上記した押込部材3による鉄筋Fの解放状態がロックされる。
【0049】
上記したように、このクランプ1では、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みを解除する時に、操作ワイヤ22を下方に引き下げ、カバー部材19の一端側を上方に揺動させると、押込部材3も、カバー部材19と一体的に揺動され、保持部材2と押込部材3との間で保持される鉄筋Fが、このカバー部材19から解放される。そのため、簡易な構成によって、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みの解除とともに、カバー部材19を、その鉄筋Fから確実に解放することができる。
【0050】
なお、このクランプ1は、吊り上げた鉄筋Fの自重よりも軽い力では、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込み状態を、操作ワイヤ22によって解除することができず、鉄筋Fが溶接などによって固定され、自立できる状態になって初めて円滑な押さえ込み状態の解除ができるため、クランプ1による吊り上げ作業中においては、安全な吊り上げ状態が確保される。
【0051】
また、このクランプ1では、上記のように、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みを解除する時に、操作ワイヤ22を下方に引き下げ、押込部材3の押込面3aを鉄筋Fから離間させると、押込部材3の他方側の遊端部と連結される吊り部材4が挿通部7内を下方にスライド移動され、ロック機構部10によってその解放状態がロックされる。そのため、このようにロック機構部10によって吊り部材4の移動をロックすることにより、押込ばね3bの付勢力に抗して押込部材3の鉄筋Fに対する押さえ込みが解放された状態を保持することができる。そのため、簡易な操作によって、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みの解除を達成することができるので、鉄筋Fからのクランプ1の取り外し作業を円滑に達成することができる。
【0052】
また、このクランプ1では、操作ワイヤ22によってカバー部材19および押込部材3を一体的に鉄筋Fに対して解放する方向に揺動させることができるので、操作ワイヤ22の他端部側を、所望の長さで設けることにより、たとえば、図11が参照されるように、鉄筋Fを、クランプ1によって作業者が直接操作できない上方に設置した場合でも、設置された鉄筋Fからクランプ1をこの操作ワイヤ22によって確実に解放することができる。そのため、より一層の作業効率の向上を図ることができる。
【0053】
しかも、この操作ワイヤ22は、押込部材3と一体的に揺動可能なカバー部材19に設けられているので、操作ワイヤ22の操作によって、カバー部材19の円滑確実な開放および押込部材3の円滑確実な解放を確保することができる。
【0054】
また、このクランプ1では、基本的には、吊り部材4、押込部材3および保持部材2のみの簡易な構成であり、小型軽量に形成することができるので、持ち運びに便利であり、かつ、簡易な操作によるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0055】
なお、上記の実施形態では、クランプ1の吊り具としてカップリング15を係止させたが、本発明の吊り具としてとしては、これに限定されず、たとえば、チェーン14を直接係止させてもよく、さらには、チェーン14に代えてワイヤーロープや繊維ロープを用いて、これらワイヤーロープや繊維ロープを直接係止させてもよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、操作ワイヤ22を、アイボルト17およびボルト9に挿通させたが、ボルト12を図1の破線で示す貫通孔が形成されるボルト12aに代えて、その貫通孔にも、操作ワイヤ22を挿通させるように構成してもよく、また、ボルト9に挿通させずにアイボルト17およびボルト12aのみに挿通させるようにしてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、ロック機構部10のロック解除状態では、押込ばね3bの付勢力によって押込部材3が鉄筋Fを押し当てるように構成したが、押込ばね3bの付勢力は、ロック機構部10のロック状態からつまみ部26を前方側に引いてロックを解除した時に、ロック孔16と軸孔23とが進退軸25の軸方向において一致しない状態となるように、吊り部材4をスライド移動させる程度の付勢力であってもよい。
【0058】
また、上記の説明では、カバー部材19を、ボルト20によって押込部材3に固定して、カバー部材19を押込部材3と一体的に揺動可能とし、また、操作ワイヤ22を、保持部材2の前側において吊り部材4のアイボルト17のアイ部に挿通したが、たとえば、図12および図13に示すように、カバー部材19を押込部材3に対して揺動可能に設け、また、操作ワイヤ22の長手方向途中を、保持部材2の後側において後側挿通部7bに着脱自在に係止させてもよい。なお、図12ないし図18において、上記した部材と同様の部材には同一の符号を付しており、以下の説明以外は、同一の構成を備えているものとして、その詳細な説明を省略する。
【0059】
すなわち、図12および図13において、このクランプ1は、上記と同様に、鉄筋Fを保持する保持部材2と、この保持部材2に揺動可能に支持され、保持部材2に対して鉄筋Fを押さえ込む押込部材3と、吊り具としてのカップリング15が係止され、押込部材3に連結される吊り部材4とを備えている。
【0060】
保持部材2は、上記と同様の背部5、被押込部6、前側挿通部7aおよび後側挿通部7bを備える平面視略コ字状の挿通部7、連結部8が一体的に形成されている。また、前側挿通部7aには、上記と同様のロック機構部10が設けられており、後側挿通部7bの背面には、図13に示すように、後述する係止ピン35を係脱自在に装着するための円筒状のピン嵌合部36が螺着されている。
【0061】
このピン嵌合部36には、図14に示すように、係止ピン35を挿入可能な中空円筒状のピン挿入孔37が形成されており、そのピン挿入孔37の長手方向途中において、係止ピン35を係止させるための止めピン38が、ピン嵌合部36を径方向に貫通し、その先端部がピン挿入孔37内に少し突出するように、ピン嵌合部36に螺着されている。
【0062】
押込部材3は、図12および図13に示すように、上記と同様に、常には、枢軸11を支点として、押込ばね3bによって、一方側の遊端部が上方に向けて付勢されることにより、他方側の遊端部に至る外側面の押込面3aが被押込部6に近接する方向(すなわち、鉄筋Fに対して押さえ込む方向)に付勢されている。また、この押込部材3の前面には、後述するコイルばね31が係止されるばね係止軸32(図15(a)、図16(a)参照)と、ばね係止軸32の下側に設けられ、後述するカバー部材19の押圧部材33が当接される略円弧状の受け部材34とが設けられている(図15(a)、図16(a)参照)。
【0063】
吊り部材4は、上記と同様に、その上端部に吊り孔13が、開口形成されるとともに、その下端部が、ボルト12によって押込部材3の一方側の遊端部と揺動可能に連結されており、その長手方向の略中央部には、ロック機構部10の進退軸25が挿通されるロック孔16が略円形状に開口形成されている。また、その長手方向における吊り孔13とロック孔16との間には、上記したアイボルト17に代えて、操作ワイヤ22を前側から後側に挿通するためのワイヤ挿通孔30が略円形状に開口形成されている。また、この吊り部材4は、押込ばね3bによって、常には押込部材3の支持軸12を支点として、上方に向けて付勢されている。
【0064】
また、カバー部材19は、略三角形状の板状部材からなり、一方側の端部が、ボルト20によって押込部材3に対して揺動可能に支持されている。
【0065】
また、ボルト20における押込部材3とカバー部材19との間には、コイルばね31が介装されている。このコイルばね31は、ボルト20を周回するループ部を介して略くの字状に設けられる針金状部材からなり、その一方側端部が、押込部材3の前面に設けられたばね係止軸32に係止され、その他方側端部が、カバー部材19の背面に埋設されるように固定されている。これによって、コイルばね31は、一方側端部がばね係止軸32に係止された状態で、他方側端部がカバー部材19を下方に向けて付勢するため、カバー部材19は、押込部材3に対して揺動自在であって、常には、押込部材3に対して、ボルト20を支点として、被押込部6に近接する方向(すなわち、鉄筋Fに対して被覆する方向)に付勢されている。
【0066】
また、カバー部材19におけるボルト20の上方近傍には、押込部材3の受け部材34に当接可能な押圧部材33が、カバー部材19の背面から押込部材3の前面に向かって突出するように設けられている。この押圧部材33は、カバー部材19が鉄筋Fを被覆する状態から開放方向に揺動された時に、受け部材34と当接する位置に設けられている。
【0067】
また、カバー部材19の他方側の端部には、上記と同様に、ボルト21によって遠隔操作部材の紐状部材としての操作ワイヤ22の一端部が連結固定されている。
【0068】
操作ワイヤ22は、一端部がボルト21によってカバー部材19に固定された状態から上方に向かって延び、吊り部材4のワイヤ挿通孔30に挿通され、保持部材2の前面から背面にまわり、さらに下方に向かって所定の長さで設けられている。
【0069】
また、この操作ワイヤ22の長手方向途中であって、カバー部材19に固定された一端部の近傍には、図14に示すように、遠隔操作部材の係止部材としての係止ピン35と、その係止ピン35を挟んで両側に移動規制部材39とが設けられている。
【0070】
係止ピン35は、円柱状のピン本体40と、そのピン本体40の長手方向両側に設けられる2つの挿入軸41とを備えている。ピン本体40は、その長手方向途中に径方向を貫通する貫通孔42が形成されている。また、各挿入軸41は、ピン本体40の長手方向両端部から、さらに長手方向外側に延びるように形成されており、各挿入軸41の軸方向途中には、ピン挿入孔37の止めピン38に係止される係止円環溝43がそれぞれ形成されている。
【0071】
このように、2つの挿入軸41を、ピン本体40に対して互いに反対方向に延びるように設けることにより、後述する挿入軸41のピン挿入孔37への挿入時において、いずれの挿入軸41をピン挿入孔37に挿入しても、ピン嵌合部36に対して係止ピン35を係止させることができるので、作業効率の向上を図ることができる。
【0072】
また、挿入軸41のピン挿入孔37への挿入においては、挿入軸41の係止円環溝43の、ピン挿入孔37の止めピン38に対する係止により、挿入軸41をピン挿入孔37に対して、容易には抜けない程度(後述する脱離時には容易に脱離する程度)に固定することができる。
【0073】
各移動規制部材39は、金属の筒状部材からなり、操作ワイヤ22の長手方向において、係止ピン35の両側からそれぞれ少しの間隔を隔てた位置において、操作ワイヤ22に対してかしめられ、操作ワイヤ22に対して相対移動不能に固定されている。これによって、係止ピン35は、操作ワイヤ22の長手方向において、両側の移動規制部材39の間でのみ、操作ワイヤ22に沿って移動可能とされている。なお、カバー部材19に固定された一端部と、その一端部に近い側の移動規制部材39との間の操作ワイヤ22の長さは、図12に示すように、係止ピン35がピン嵌合部36のピン挿入孔37に挿入された状態において、それらの間において少し遊びがある程度の長さに設定されている。
【0074】
次に、この図12および図13に示すクランプ1を用いて、鉄筋Fを吊り上げる方法について、図15ないし図18を参照して説明する。
【0075】
この方法では、まず、図18に示すように、水平方向に積載されている鉄筋Fに、図15(a)に示すように、操作ワイヤ22を引っ張るか、あるいは、手で持ち上げることにより、カバー部材19を、コイルばね31の付勢力に抗して、ボルト20を支点として被押込部6から離間する方向(すなわち、鉄筋Fに対して開放する方向)に揺動させて、このクランプ1の保持部材2を被押込部6に沿って挿入する。なお、鉄筋Fの挿入後は、カバー部材19は、コイルばね31の付勢力によって、再び被覆方向に揺動される。
【0076】
そして、図15(b)に示すように、まず、ロック機構部10のつまみ部26を前方側(台座部24から離間する方向)に引き、吊り部材4に対するロックを解除する。そうすると、吊り部材4は、押込ばね3bの付勢力によって挿通部7を水平方向左側にスライド移動されるので、その下端部に支持軸12を介して連結される押込部材3の一方側の遊端部が水平方向左側に引かれ、押込部材3は、枢軸11を支点として、反時計方向に揺動される。これによって、押込面3aが押込ばね3bの付勢力によって鉄筋Fに押し当てられる。次いで、図16(b)に示すように、係止ピン35の挿入軸41を、挿通部7のピン嵌合部36のピン挿入孔37に挿入して、係止円環溝43を止めピン38に係止させ、これによって、係止ピン35を挿通部7に係止させる。
【0077】
そして、図18が参照されるように、吊り孔13に係止されるカップリング15を介してクレーンなどの吊り上げ装置により吊り部材4を吊り上げると、図16(a)が参照されるように、吊り部材4が上方に引き上げられるため、この吊り部材4の下端部に連結されている押込部材3が枢軸11を支点として押さえ込む方向に揺動されるため、保持部材2に保持されている鉄筋Fが、押込面3aによって被押込部6に向けてより強固に押さえ込まれるので、押込面3aと被押込部6との間において鉄筋Fを確実に保持することができる。
【0078】
このとき、押込面3aと被押込部6との間において保持されている鉄筋Fが、たとえば、吊り上げによって撓み(そり)、押込面3aを上方に押圧して、その結果、押込部材3が、一瞬、押込部材3の押込面3aから離間する方向に揺動される場合がある。しかし、このクランプ1では、カバー部材19が押込部材3に対して揺動可能であり、常には、コイルばね31によって、鉄筋Fに対して被覆する方向に付勢されているので、たとえ、押込部材3が押込面3aから解放する方向に揺動されても、カバー部材19は、コイルばね31の付勢力によって、鉄筋Fを被覆したままの状態を保持することができる。そのため、鉄筋Fの保持部材2と押込部材3との間からの抜け落ちを防止することができる。
【0079】
その後、クランプ1を吊り上げれば、上記と同様に、鉄筋Fの自重が押込面3aに作用して、押込部材3をより鉄筋Fが押さえ込まれる方向に揺動させようとするので、吊り上げ中における鉄筋Fのより一層確実な保持を達成することができる。また、このクランプ1では、吊り上げ中においても、カバー部材19が、コイルばね31の付勢力によって、鉄筋Fを被覆したままの状態を確実に保持することができる。
【0080】
また、このような吊り作業中において、たとえば、操作ワイヤ22が誤って他の部材に引っ掛かって引っ張られても、その引張り力は、操作ワイヤ22における係止ピン35がピン嵌合部36に係止されている途中から、カバー部材19に連結されている一端部には作用せず、これによって、吊り作業中におけるカバー部材19の不用意な開放を防止することができる。
【0081】
そして、上記と同様に、既設の鉄筋Fの上端部に吊り上げ状態にある鉄筋Fの下端部を溶接(または、つなぎ金具)などにより固定した後に、クランプ1に保持されている鉄筋Fを解放する時には、まず、操作ワイヤ22の他端側を把持して、その操作ワイヤ22を、係止ピン35をピン嵌合部36に対して離間する方向に振る。そうすると、図17(b)に示すように、係止ピン35の挿入軸41が、ピン嵌合部36のピン挿入孔37から脱離される。次いで、図17(a)に示すように、その操作ワイヤ22の他端側を下方に向けて引っ張れば、操作ワイヤ22の一端部が係止されているカバー部材19の一端部が、コイルばね31の付勢力に抗して上方に向けて揺動される。そうすると、カバー部材19に設けられている押圧部材33が、押込部材3の受け部材34に当接して、そのまま受け部材34を上方へ持ち上げようとするので、その結果、カバー部材19の開放方向への揺動に伴なって、押込部材3が一体的に揺動され、鉄筋Fは、カバー部材19から開放されるとともに、押込部材3から解放される。
【0082】
そのため、簡易な構成によって、このクランプ1では、カバー部材19によって、保持部材2と押込部材3との間で保持される鉄筋Fを必要なときに確実に覆い、かつ、必要なときに確実に開放することができる。
【0083】
また、カバー部材19を開放するときには、係止ピン35を嵌合部36に対して離間する方向に振れば、上記したように、係止円環溝43に対する止めピン38の係止が解除され、操作ワイヤ22が挿通部7から脱離されるので、操作ワイヤ22を操作することにより、カバー部材19を開放することができる。そのため、吊り作業中におけるカバー部材19の不用意な開放の防止と、カバー部材19の確実な開放とを図ることができる。なお、このクランプ1では、1本の操作ワイヤ22で、その操作ワイヤ22のロックおよびロック解除、カバー部材19の開放および押込部材3の解放をすることができるので、複数の操作ワイヤを用いる場合よりも、他の部材に引っ掛かかる確率が少なく、円滑かつ確実な操作を確保することができる。
【0084】
また、このクランプ1では、上記と同様に、押込部材3による鉄筋Fの押さえ込みを解除する時に、操作ワイヤ22を下方に引き下げ、押込部材3の押込面3aを鉄筋Fから離間させると、押込部材3の他方側の遊端部と連結される吊り部材4が挿通部7内を下方にスライド移動され、ロック機構部10によってその解放状態がロックされる。
【0085】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、簡易な構成により、鉄筋を確実に保持して吊り上げることができる。また、小型軽量に形成することができるので、持ち運びに便利であり、かつ、簡易な操作によるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0086】
請求項2に記載の発明によれば、鉄筋の確実な保持を実現することができる。
【0087】
請求項3に記載の発明によれば、簡易な操作によって、押込部材による鉄筋の押さえ込みまたはその解除を達成することができる。
【0088】
請求項4に記載の発明によれば、簡易な構成によって、押込部材によって鉄筋を押さえ込む時には、カバー部材によって、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋を確実に覆うことができ、また、押込部材による鉄筋の押さえ込みを解除する時には、カバー部材を、その鉄筋から確実に解放することができる。
【0089】
請求項5に記載の発明によれば、簡易な構成によって、カバー部材によって、保持部材と押込部材との間で保持される鉄筋を必要なときに確実に覆うことができる。
【0090】
請求項6に記載の発明によれば、より一層の作業効率の向上を図ることができる。
【0091】
また、請求項7に記載の発明によれば、吊り作業中におけるカバー部材の不用意な開放の防止と、カバー部材の確実な開放とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄筋用吊り具としてのクランプの一実施形態を示す正面側斜視図である。
【図2】図1に示すクランプの背面側斜視図である。
【図3】図1に示すクランプの吊り上げた状態での正面側斜視図である。
【図4】図1に示すクランプのロック機構部のロック解除状態における側断面図である。
【図5】図1に示すクランプのロック機構部のロック状態における側断面図である。
【図6】図1に示すクランプの押込部材の背面側斜視図である。
【図7】図1に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、押込部材を鉄筋に挿入した状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック状態の断面図である。
【図8】図1に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、吊り部材が吊り上げられ、押込部材によって被押込部に鉄筋が押し込まれている状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック解除状態の断面図である。
【図9】図1に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、操作ワイヤが引き下げられ、押込部材による鉄筋の押さえ込みが解除された状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック状態の断面図である。
【図10】図1に示すクランプの使用状態を示す図であって、鉄筋にクランプを取り付けた状態を示す図である。
【図11】図10に続いて、図1に示すクランプの使用状態を示す図であって、鉄筋を設置した後に、操作ワイヤによってクランプによる鉄筋の保持を解除している状態を示す図である。
【図12】本発明の鉄筋用吊り具としてのクランプの他の実施形態の吊り上げた状態での正面側斜視図である。
【図13】図12に示すクランプの背面側斜視図である。
【図14】図12に示すクランプのロック機構部、ピン嵌合部および係止ピンを示す側断面図である。
【図15】図12に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、押込部材を鉄筋に挿入した状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック状態、および、ピン嵌合部に対する係止ピンの脱離状態を示す断面図である。
【図16】図12に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、吊り部材が吊り上げられ、押込部材によって被押込部に鉄筋が押し込まれている状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック解除状態、および、ピン嵌合部に対する係止ピンの嵌合状態を示す断面図である。
【図17】図12に示すクランプの使用状態を示す図であって、
(a)は、操作ワイヤが引き下げられ、カバー部材が開放されるとともに押込部材による鉄筋の押さえ込みが解除された状態の側面図であって、
(b)は、ロック機構部のロック状態、および、ピン嵌合部に対する係止ピンの脱離状態を示す断面図である。
【図18】図12に示すクランプの使用状態を示す図であって、鉄筋にクランプを取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
1  クランプ
2  保持部材
3  押込部材
3b 押込ばね
4  吊り部材
7  挿通部
10  ロック機構部
15  カップリング
19  カバー部材
22  操作ワイヤ
35  係止ピン
F  鉄筋

Claims (7)

  1. 鉄筋を保持する保持部材と、前記保持部材に揺動可能に支持され、前記保持部材に対して鉄筋を押さえ込む押込部材と、吊り具が係止され、前記押込部材に連結される吊り部材とを備え、
    前記吊り部材は、前記保持部材に移動可能に支持されており、
    前記押込部材は、前記吊り部材の移動によって、鉄筋に対する押さえ込みまたはその解除がなされるように構成されていることを特徴とする、鉄筋用吊り具。
  2. 前記押込部材を、常には、鉄筋に対して押さえ込む方向に付勢させる付勢手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の鉄筋用吊り具。
  3. 前記保持部材には、前記吊り部材が挿通される挿通部が設けられており、
    前記挿通部には、前記押込部材の鉄筋に対する解放状態をロックするロック機構部が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の鉄筋用吊り具。
  4. 前記押込部材には、前記押込部材の鉄筋に対する押込状態において、前記保持部材と前記押込部材との間で保持される鉄筋を覆うカバー部材が、前記押込部材と一体的に揺動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄筋用吊り具。
  5. 前記押込部材には、前記押込部材の鉄筋に対する押込状態において、前記保持部材と前記押込部材との間で保持される鉄筋を覆うカバー部材が、前記押込部材に対して揺動可能に設けられており、
    前記カバー部材は、常には、鉄筋を覆う方向に付勢されており、付勢に抗して開放方向に揺動するときには、前記押込部材が前記カバー部材と一体的に揺動可能とされていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄筋用吊り具。
  6. 前記カバー部材には、前記カバー部材を開放方向に揺動させるための遠隔操作部材が連結されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の鉄筋用吊り具。
  7. 前遠隔操作部材は、前記カバー部材に連結され作業者が操作する紐状部材と、前記紐状部材を前記紐状部材の長手方向途中で前記保持部材に着脱自在に係止させる係止部材とを備えていることを特徴とする、請求項6に記載の鉄筋用吊り具。
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