JP2004042451A - スクリーン印刷方法、スクリーン印刷用スペーサ、スクリーンマスク - Google Patents

スクリーン印刷方法、スクリーン印刷用スペーサ、スクリーンマスク Download PDF

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Abstract

【課題】インクに相当するペースト状物体を一様に嵩高く被印刷物に付着させることが可能なスクリーン印刷方法、そのような印刷方法で用いられるスクリーン印刷用スペーサおよびスクリーンマスクを提供すること。
【解決手段】支持板と、支持板の片面に着設された粘着層とを備えたスクリーン印刷用スペーサと、スクリーン印刷用スペーサの粘着層の着設された面とは反対側に配設されたスクリーン板とを有するスクリーンマスクであって、スクリーン板には所定位置に貫通孔が穿設され、支持板にはこの貫通孔より直径の大きな第2の貫通孔が貫通孔位置に重なるように配置されているスクリーンマスクのスクリーン印刷用スペーサ側を被印刷物に面状に接触させ、この状態において、スクリーンマスクの被印刷物とは反対の面側に設けられたスキージでスクリーンマスクの貫通孔にペーストを充填し、スクリーンマスクを被印刷物から隔離する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーンマスク(スクリーン版)により被印刷物に印刷を行なうスクリーン印刷方法、そのような印刷方法で用いられるスクリーン印刷用スペーサおよびスクリーンマスクに係り、特に、インクに相当するペースト状物体を一様に嵩高く被印刷物に付着させるのに適するスクリーン印刷方法、そのような印刷方法で用いられるスクリーン印刷用スペーサおよびスクリーンマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
微細な構造物を物体面上に形成するためスクリーン印刷を応用する技術が種々の場面で用いられている。図10は、スクリーン印刷を用いて、被印刷物(この場合は例えば配線板または金属箔)上に微細構造物としての導電バンプを形成する方法を模式的に説明する図である。なお、このような方法で印刷・形成される導電バンプは、尖りを有するので半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)を貫通しやすくその貫通により絶縁板間の層間接続体として使用することができるものである。
【0003】
図示するように、配線板または金属箔78に対向しかつ離間してスクリーンマスク75を配置させる。スクリーンマスク75は、スクリーンマスク張設部73、74に張設されている。また、スクリーンマスク75は、導電性ペースト76を配線板または金属箔78に移動転写し付着させるための貫通孔75a、75b、75c、75d、75e、…を備えている。
【0004】
スキージ71は、線状にスクリーンマスク75を押し下げ、スクリーンマスク75と配線板または金属箔78とが当接するようにする。この状態で、スキージ71は、図上右から左に移動(当接線状と垂直方向に移動)するが、その際にスキージ71の前方に接してスクリーンマスク75上に導電性ペースト76が存在するようにしておく。
【0005】
このような状態でのスキージ71の動きにより、導電性ペースト76は、スキージ71の直下近くではその一部が貫通孔75bに充填される。貫通孔75bに充填された導電性ペースト76は、スキージ71が移動しスクリーンマスク75が配線板または金属箔78から隔離し始めると、粘着力または表面張力により一部は配線板または金属箔78に引っ張られ、一部は貫通孔75b(75c)に残留するように引っ張られる。
【0006】
スクリーンマスク75と配線板または金属箔78との距離がさらに離間すると、一部が貫通孔75c(75d、75e)に残り、配線板または金属箔78に引っ張られた部分は分断されて先が尖った形状で配線板または金属箔78に付着する。
【0007】
この先の尖った形状の導電性ペースト(先の尖った形状の導電性ペーストを以下では導電バンプ77という)を乾燥させて硬化し、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)を貫通させて層間接続体にすることができる。このようなスクリーン印刷による層間接続体は細かいピッチで形成することができ、配線板として要求される微細パターン化に応えるものとして用いられている。
【0008】
以上説明の層間接続体の形成は、図示したように、被印刷物とスクリーンマスク75とを離間させた状態において、スキージ71によりスクリーンマスク75を押し下げて導電性ペースト76を貫通孔75a等を介して配線板または金属箔78に移動転写し付着させるものである。
【0009】
スクリーン印刷としては、上記のように被印刷物とスクリーンマスク75とをあらかじめ離間させて行なう方法(いわゆるオフコンタクト)の他に、被印刷物とスクリーンマスク75とをあらかじめ面状に接触させておいてから印刷する方法(いわゆるオンコンタクト)も存在する。
【0010】
オンコンタクトの場合には、被印刷物とスクリーンマスク75とを面状に接触させた状態において、スキージ71を移動させて導電性ペースト76を貫通孔75a等に充填しかつその充填された導電性ペースト76の底部を配線板または金属箔78に付着させる。しかるのち、スクリーンマスク75を被印刷物78から隔離する。この隔離により、貫通孔75a等内の導電性ペースト76は、粘着力または表面張力により一部は配線板または金属箔78に引っ張られ、一部は貫通孔75a等に残留するように引っ張られる。
【0011】
これにより、スクリーンマスク75と配線板または金属箔78との距離がさらに隔離したときに、一部が貫通孔75a等に残り、配線板または金属箔78に引っ張られた部分は分断されて先が尖った形状で配線板または金属箔78に付着する。したがって、上記のオフコンタクトの場合と同様に、先の尖った形状の導電性ペースト76が形成され、これを乾燥させて硬化することにより層間接続体(導電バンプ77)を形成することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような導電バンプ77の形成は、絶縁板を貫通するためある程度の高さが必要である。また、配線板で必要とされる狭ピッチ化がさらに進むと、高さを維持したままで底面積に対して相対的に高さが高い形状、いわゆる高アスペクト比の形状に形成される必要がある。
【0013】
このような将来的観点でスクリーン印刷による導電バンプ形成をみてみると、高アスペクト比化に一定の限界がある。これは、上記のように、オフコンタクト、オンコンタクトいずれの場合も、導電バンプの形成高さは、スクリーンマスク75と配線板または金属箔78との距離が離間したときに、導電性ペースト76が配線板または金属箔78に粘着して引っ張られる量によって決まるからである。
【0014】
したがって、単純には、貫通孔75a(75b、75c、75d、75e)の容積を相対的に増して貫通孔75a等に充填される導電性ペースト76の量を増加させればよいので、例えば、スクリーンマスク75の厚さを厚くすることが考えられる。しかしながら、このようにしても貫通孔75a等に引っ張られ残留する量も多くなり、配線板または金属箔78に付着する量として単純に増加しない。
【0015】
そこで、貫通孔75a等に充填される導電性ペースト76の量が実質的に増加されるようにし、これにかかわらず貫通孔75a等に引っ張られ残留する量が少なくなるようにするための方策として、貫通孔75a等の縦断面形状を単純な方形ではなく、被印刷物に接する側からスクリーンマスク75の中途の厚さまで貫通孔75a等の直径を大きくした形状(すなわち例えば縦断面形状として凸形状)とすることも考えられる。
【0016】
このようにすれば、実質的にスクリーンマスク75の厚さを厚くすることができるとともに、直径の大きな部分では、導電性ペースト76が貫通孔75a等の側壁に接しないようにすることができる。貫通孔75a等に残留する導電性ペースト76の量は、貫通孔75a等の直径の小さな部分に対応するスクリーンマスク75の厚さ分に対応して決まることから、したがって、より多くの導電性ペースト76を配線板または金属箔78に付着することができる。
【0017】
このような方法をいわゆるオンコンタクトのスクリーン印刷において適用すると、しかしながら、以下のような問題が考えられる。すなわち、被印刷物とスクリーンマスク75とをあらかじめ面状に接触させたときに、一様な接触状態が得られるかどうかということである。一般的には、スクリーンマスク75に局部的にはしわが発生して浮き上がり、被印刷物との十分な接触が確保されない部位が発生する。
【0018】
このようなスクリーンマスク75の浮き上がりが生じると、貫通孔75a等の位置により充填される導電性ペースト76の量が異なってくる。そして浮き上がりが生じた部位では、充填される導電性ペースト76の量が増加するので、スクリーンマスク75を被印刷物から隔離したときに、先の尖った形状の導電性ペースト76の、高さの異常や底面積の異常が発生する。すなわち、導電バンプ77の形成高さや形状のばらつき要因になり得る。
【0019】
このような導電バンプ77を有する被印刷物では、導電バンプ77による絶縁層への貫通状態も一様にはなされなくなる。例えば、プリント基板製造時に導電バンプ77がその軸方向に加圧圧縮された場合に配線板面に沿って異常に塑性変形することにより不要部分の導通などの不良発生も考えられる。すなわち層間接続体としての信頼性が劣化し品質確保に影響が生じ得る。
【0020】
本発明は、上記した事情を考慮してなされたもので、スクリーンマスクにより被印刷物に印刷を行なうスクリーン印刷方法、そのような印刷方法で用いられるスクリーン印刷用スペーサおよびスクリーンマスクにおいて、インクに相当するペースト状物体を一様に嵩高く被印刷物に付着させることが可能なスクリーン印刷方法、そのような印刷方法で用いられるスクリーン印刷用スペーサおよびスクリーンマスクを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るスクリーン印刷方法は、支持板と、前記支持板の片面に着設された粘着層とを備えたスクリーン印刷用スペーサと、前記スクリーン印刷用スペーサの前記粘着層の着設された面とは反対側に配設されたスクリーン板とを有するスクリーンマスクであって、前記スクリーン板には所定位置に貫通孔が穿設され、前記支持板には前記貫通孔より直径の大きな第2の貫通孔が前記貫通孔位置に重なるように配置されている前記スクリーンマスクの前記スクリーン印刷用スペーサ側を被印刷物に面状に接触させる工程と、前記被印刷物に前記スクリーンマスクが面状に接触された状態において、前記スクリーンマスクの前記被印刷物とは反対の面側に設けられたスキージで前記スクリーンマスクの前記貫通孔にペーストを充填する工程と、前記充填されたペーストを前記貫通孔に有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物から隔離する工程とを具備することを特徴とする。
【0022】
すなわち、スクリーンマスクとして、スクリーン板とスクリーン印刷用スペーサとが積層された状態のものを用い、そのスクリーン印刷用スペーサの被印刷物に接する側の面には粘着層が存在する。スクリーン板には貫通孔があり、スクリーン印刷用スペーサにはこの貫通孔より大きな直径の第2の貫通孔が重なるように配置されている。
【0023】
このようなスクリーンマスクを被印刷物に面状に接触させ、しかるのちスキージで貫通孔にペーストを充填する。スクリーンマスクを被印刷物に面状に接触させたときには、上記粘着層のはたらきによりスクリーンマスクと被印刷物とは一様に、すなわちスクリーンマスクにしわなどが発生することなく、接触状態になる。したがって、そのあとの貫通孔へのペーストの充填も各貫通孔に対して一様な量で行なうことができる。
【0024】
そして、一様な量でペーストが充填された状態のスクリーンマスクを被印刷物から隔離するので各貫通孔から被印刷物へのペースト付着量が一様化される。また、各貫通孔におけるペーストの量は、スクリーン印刷用スペーサの第2の貫通孔による分を合わせると増加している。ここでこのスクリーン印刷用スペーサの第2の貫通孔は、スクリーン板の貫通孔より直径が大きくされているのでその側壁へのペーストの接触が避けられ、被印刷物側へのペースト付着量の増加をもたらす。よって、この印刷方法によれば、ペースト状物体を一様にかつ嵩高く被印刷物に付着させることができる。
【0025】
なお、貫通孔、第2の貫通孔の平面形状は、円のほか、楕円や多角形などとしてもよい。スクリーン板には、周知の材質のものを用いることができる。例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真ちゅうなどである。スクリーン印刷用スペーサの支持板には、例えば樹脂を用いることができるが、スクリーン板に用いるような金属であってもよい。
【0026】
スクリーン印刷用スペーサの粘着層は、粘着力として、十分に被印刷物との密着を確保できる程度の強さを備え、かつ被印刷面からスクリーンマスクを隔離するときには比較的容易にはがれる程度の強さのものが適当である。例えるなら付せん紙に用いられる糊材や清掃用ロールの粘着材などの粘着力である。また、粘着層とは言っても、吸着に近いメカニズムで2者間の着接状態を維持するものであってもよい。例えば、微細構造の気泡を表面に有する物体面が被印刷面に接触することにより弾性変形して着接状態を発揮し得る材料である。
【0027】
また、被印刷物には、リジッドまたはフレキシブルな配線板基材、金属箔(銅箔)、ガラス板、セラミック板などを用いることができる。
【0028】
また、本発明に係るスクリーン印刷用スペーサは、支持板と、前記支持板の片面に着設された粘着層とを具備することを特徴とする。上記スクリーン印刷方法で使用可能なスクリーン印刷用スペーサである。
【0029】
また、本発明に係るスクリーンマスクは、支持板と、前記支持板の片面に着設された粘着層とを備えたスクリーン印刷用スペーサと、前記スクリーン印刷用スペーサの前記粘着層の着設された面とは反対側に配設されたスクリーン板とを具備することを特徴とする。上記スクリーン印刷方法で使用可能なスクリーンマスクである。
【0030】
【発明の実施の形態】
スクリーン印刷方法の実施態様として、前記充填されたペーストを前記貫通孔に有する前記スクリーンマスクを前記被印刷面から隔離する前記工程は、前記スクリーンマスク上にロールを配し前記配されたロールを転がして前記スクリーンマスクを前記ロール上に巻き取ることによりなされる。スクリーンマスクの被印刷物からの隔離を、被印刷面に対して一度に行なうのではなく、ロールが接する線に従って順次行なうものである。被印刷物からのスクリーンマスクの隔離をより一様化する可能性がある。
【0031】
また、スクリーン印刷方法の実施態様として、前記ロールは磁力を有し前記ロール上に前記スクリーンマスクを巻き取るのに前記磁力が利用される。ロールへのスクリーンマスクの巻き取りを、より確実化するものである。
【0032】
また、スクリーン印刷方法の実施態様として、前記ロールはバキューム吸着機能を有し、前記ロール上に前記スクリーンマスクを巻き取るのに前記バキューム吸着機能が利用される。これもロールへのスクリーンマスクの巻き取りを、より確実化するものである。
【0033】
また、スクリーンマスクの実施態様として、前記スクリーン板には所定位置に貫通孔が穿設され、前記支持板には前記貫通孔より直径の大きな第2の貫通孔が前記貫通孔位置に重なるように配置されている。貫通孔、第2の貫通孔を、生産される配線板としてのレイアウトに従う位置に形成したものである。
【0034】
また、スクリーンマスクとして、前記スクリーン板と前記支持板とは同一部材である。スクリーンマスクとしての構成を簡略化しその生産や印刷での取り扱いを容易化するものである。
【0035】
以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷方法を実行するためのスクリーン印刷機を模式的に示す図であり、印刷面を横方向から見た図である。
【0036】
このスクリーン印刷機は、印刷台11上に載置された被印刷物たる配線板基材12主面上に導電バンプを形成するものである。構成を述べるに、配線板基材12主面にスクリーンマスク18の片面が対向するように離間して配置され得るようになっている。
【0037】
スクリーンマスク18は、互いに対向して位置するスクリーンマスク張設部13、14によって端部が保持されて張設される。スクリーンマスク張設部13、14は、張設されたスクリーンマスク18を下方に移動させこれを配線板基材12主面上に接触させることができる。また、この接触された状態から上方に移動させ配線板基材12から隔離することができる。印刷台11上に配線板基材12を載置・保持するには、例えば印刷台11にバキューム吸着機構を設けることによりこれが可能である。
【0038】
スクリーンマスク18は、スクリーン板15と、スクリーン印刷用スペーサの支持板としてのシム16と、粘着層17との積層構造になっている。また、スクリーンマスク18を貫通して、ペーストを吐出させるための貫通孔15a、15b、15c、15d、15e、…(直径は例えば50μmから500μm程度)および貫通孔16a、16b、16c、16d、16e、…(直径は例えば貫通孔15a等の1.1倍から2倍程度)が穿設されている。貫通孔15a、15b、15c、15d、15e、…はスクリーン板15に穿設されており、貫通孔16a、16b、16c、16d、16e、…はシム16に穿設されている。これらの穿設位置は重なっており、両者でスクリーンマスク18を貫通する。粘着層は、シム16の下面(配線板基材12に面する側)に設けられている。
【0039】
なお、スクリーンマスク18の各部位15、16、17には、すでに説明したような材質、性質のものを用いることができる。また、スクリーン板15の厚さは例えば50μmないし300μm程度、シム16の厚さは例えば100μmないし350μm程度のうちで、形成すべき導電バンプが所定の底面大きさに対して所定の高さになるように選択することができる。形成すべき導電バンプは、一例を挙げれば、底面直径が150μmないし300μm程度、高さが200μm前後程度である。
【0040】
張設されたスクリーンマスク18の上方には、図示するように垂直方向に対して傾きをもったスキージ19が待機可能に設けられている。スキージ19は、後述するようにその下端部が線状に(紙面垂直方向に)スクリーンマスク18上に当接され、その状態で図右から左方向に(すなわち傾いたスキージの上方をスキージの下方が追いかける方向に)移動される。
【0041】
スキージ19の材質としては、ウレタン樹脂のような樹脂、金属、金属に樹脂をコーティングしたものなどを利用することができる。または、スキージ19は、印刷に供用して経時的に摩耗するので装置として交換可能に構成してもよい。
【0042】
図2は、図1に示したスクリーン印刷装置で用いるスクリーンマスク18を平面図(上面図)で示すものであり、図1と同一の部分には同一の番号を付してある。図2に示すように、貫通孔15a、16a等の配置は、生産される配線板としてのレイアウトに従う位置であり、貫通孔15a、16a等により形成される導電バンプはそれぞれ独立している。
【0043】
図3は、図1に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図であり、すでに説明した構成要素には同一番号を付してある。図示するように、スクリーンマスク18は、スクリーンマスク張設部13、14の下方への移動により配線板基材12の主面に接触状態となる(あるいは、印刷台11の方が上方に移動することによりこのような状態になるようにしてもよい。)。そして、スキージ19は、スクリーンマスク18上であって図の右端近くに当接される。
【0044】
スキージ19の進行する方向のスクリーンマスク18上には、導電性ペースト20が供給されている。導電性ペースト20のこのような供給は、スキージ19の進行前方にペースト供給用のノズルを設けこれをスキージ19の移動とともに移動させるようにして行なうことができる。また、供給される導電性ペースト20の量を調整するため、同様の位置にペースト吸い取り用のノズルを設けるようにしてもよい。導電性ペースト20には、例えばペースト状樹脂の中に金属粒(銀、金、銅、半田など)を分散させ、加えて揮発性の溶剤を混合させたものを用いる。
【0045】
本実施形態では、スクリーンマスク18の配線板基材12側には、粘着層17が着設されており、上記のようなスクリーンマスク18と配線板基材12との接触により一様に密着する状態になる。すなわち、スクリーンマスク18にしわなどが生じることなく密着する。
【0046】
なお、このような密着のためには、スクリーンマスク張設部13、14によるスクリーンマスク18の張力を調整するようにして接触状態に至らせるようにしてもよい。例えば、張力が緩めになるように調整しておくとスクリーンマスク18には多少たわみが生じるので、たわんでより下に位置するスクリーンマスク18の部位から徐々に配線基材12に接触させるようにするなどである。
【0047】
図4は、図3に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図であり、すでに説明した構成要素には同一番号を付してある。図示するように、スキージ19は、スクリーンマスク18に当接された状態でこの当接線と垂直の方向に図右端近くから図左端近くまでスクリーンマスク18上を移動する。
【0048】
これにより、スクリーンマスク18の各貫通孔15a、16a等に導電性ペースト20が供給充填される(充填された導電性ペーストを符号20a、20b、20c、20d、20e、…で示す。)。ここで、各貫通孔15a、16a等のうちシム16に設けられた貫通孔16a等は、スクリーン板15に設けられた貫通孔15a等より直径が大きくされているので、貫通孔16a等の側壁には導電性ペースト20a等が接触しないが、導電性ペースト20a等の底面は配線板基材20上に接触するようになる。
【0049】
ここで、各貫通孔15a、16a等への導電性ペースト20a等の充填量は、均一性の高いものとなる。これは、スクリーンマスク18と配線板基材12との密着が粘着層17により一様になされており、配線板基材12の上面からスクリーンマスク18の上面までの距離としてスクリーンマスク18の面で一様だからである。
【0050】
図5は、図4に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図であり、すでに説明した構成要素には同一番号を付してある。図示するように、スキージ19は、スクリーンマスク18上方に退避される。そして、スクリーンマスク張設部13、14が張設されたスクリーンマスク18を上方に移動させることにより(または印刷台11が下方に移動するようにしてもよい。)、これを配線板基材12から隔離させる。
【0051】
このような動作により、各貫通孔15a、16a等に充填された導電性ペースト20a等は分断されて、配線板基材12上には先の尖った形状(=ほぼ円錐状)の導電バンプ21a、21b、21c、21d、21e、…が形成される。また、スクリーン板15の貫通孔15a等には残り部分の導電性ペースト20aが残留する。この残留した分は、次の配線板基材に導電性ペースト20の印刷を行なうときの導電バンプ形成の材料分になる。
【0052】
ここで形成される導電バンプ21a等は、各貫通孔15a、16a等に充填された導電性ペースト20a等からより大きな割合をもって分断され形成されたものである。これは、配線板基材12に対向するシム16がスペーサとして機能して上記充填量を増し、しかも充填された導電性ペースト20a等には接触しないのでスクリーンマスク18側に導電性ペースト20a等を引っ張る力に寄与しないためである。したがって、導電バンプ21a等を高アスペクトに形成することができる。
【0053】
また、上記したように、各貫通孔15a、16a等への導電性ペースト20a等の充填量が均一性高くなされているので、導電バンプ21a等の高さや形状も均一性高くなっている。高さばらつき(導電バンプ21a等の高さに対するパーセンテージ)は、例えば粘着層17がないスクリーンマスクを用いたときの例えば1/3程度(上記パーセンテージでいうと5%程度)にはすることができる。
【0054】
以上の工程に続いて、この一様かつ高アスペクトに形成された導電バンプ21a等が形成された配線板基材12について例えば百数十℃で乾燥を行ない、導電バンプ21a等を硬化する。硬化された導電バンプ21aを有する配線板基材12を、半硬化状態の絶縁板(プリプレグ)と積層プレスして導電バンプ21a等によりプリプレグを貫通させて層間接続体にすることができる。
【0055】
このような層間接続体は、上記のようなより一様な高アスペクト化により接続信頼性が向上しており、配線板として要求される微細パターン化に応えるものとして用いることができる。また、用いるプリプレグとして材料の選択肢を広げることもできる(例えばより硬いものも使用できる)ので、コストや生産性を改善できる。
【0056】
次に、本発明に係るスクリーン印刷方法の別の実施形態を図6を参照して説明する。図6は、本発明に係るスクリーン印刷方法の別の実施形態を示す模式図であり、すでに説明した構成要素には同一番号を付してある。本実施形態のスクリーン印刷方法は、先の実施形態と図1ないし図4までの動作としてほぼ同じである。
【0057】
すなわち、先の実施形態の図5に示した動作に代えて図6に示す動作を行う。図5に示した場合では、スクリーンマスク18を配線板基材12から一時に隔離するようにしたが、この実施形態では、図示するように、ロール25の外筒面上にスクリーンマスク18を巻き取るようにして、スクリーンマスク18を配線板基材12から隔離する。
【0058】
このようなスクリーンマスク18の隔離方法によれば、配線板基材12からのスクリーンマスク21の隔離は線状に順次行なわれる。したがって、例えば、配線板基材12上での導電バンプ21a等の配置密度が場所によって大きく違っていても、スクリーンマスク21のたわみを回避して場所によらず一様にスクリーンマスク21を隔離することができる。すなわち、配線板基材12からのスクリーンマスク21の隔離をより一様化し、高さばらつきが一層軽減された導電バンプ21a等を形成することができる。
【0059】
また、ロール25の外筒面から外に磁力線が発生するようにロール25に磁石(永久磁石または電磁石)を備えるようにしてもよい。このようにすれば、スクリーンマスク18に磁性材料が含まれている場合に、ロール25によるスクリーンマスク18を巻き取りがより確実になる。
【0060】
また、ロール25にバキューム吸着機能を設けるようにしても、ロール25によるスクリーンマスク18を巻き取りがより確実になるという効果を得ることできる。この場合、ロール25の外筒面上に吸着孔が形成されるようにしておく。
【0061】
次に、上記の各実施形態で使用することができるスクリーンマスクについて図7を参照してさらに説明する。図7は、スクリーンマスクの製造プロセスの一例を説明する断面図であり、図1で説明した構成要素には同一番号を付してある。
【0062】
まず、図7(a)に示すように、スクリーン板15を形成する。スクリーン板15にはすでに説明したような材質のものを用い、かつ生産される配線板としてのレイアウトに従う位置に貫通孔15n、…を貫通・形成する。貫通孔15nの形成には、レーザー加工、プラズマ加工、エッチング、ドリリング、放電加工、電鋳法などを用いることができる。
【0063】
また、同時に図7(b)に示すように、スクリーン印刷用スペーサとしてのシム16および粘着層17を形成する。シム16には、すでに説明したような材質のものを用い、かつ生産される配線板としてのレイアウトに従う位置に貫通孔16n、…を貫通・形成する。貫通孔16n、…の直径は、上記貫通孔15n、…の直径の1.1倍ないし2倍程度のものである。粘着層17は、シム16の一面にあらかじめ形成するようにしても、貫通孔16nを形成したあとに粘着層17を例えば粘着材料の塗布により形成するようにしてもよい。
【0064】
次に、スクリーン板15とシム16とを図7(c)に示すように貼り合わせる。この貼り合わせには、周知の各方法を用いることができる。例えば接着剤や両面接着テープなどを利用することができる。以上により、上記各実施形態で使用できるスクリーンマスクを得ることができる。
【0065】
次に、上記の各実施形態で使用することができる別のスクリーンマスクについて図8を参照してさらに説明する。図8は、スクリーンマスクの製造プロセスの別例を説明する断面図である。
【0066】
このスクリーンマスクは、スクリーン印刷用スペーサの要部であるシムを別部材ではなく同一部材として製造したものである。すなわち、例えば、スクリーン板15Aとしてシム分の厚さをも有するものを用意し、貫通孔15Anとしては、片面から中ほどの厚さまでは径の小さい孔を、もう片面から中ほどまでの厚さまでは上記径の小さい孔と位置を合わせてかつ貫通するようにより大きな径の孔を、それぞれ形成する。このような貫通孔の形成は、両面それぞれからレーザー加工、プラズマ加工、エッチング、ドリリング、放電加工、電鋳法などのいずれかを用いることによって行なうことができる。径サイズの関係についてはすでに説明した通りである。
【0067】
そして、より径の大きな孔が形成された面に粘着層17を例えば粘着材料の塗布により形成する。以上により、上記各実施形態で使用できる、別のスクリーンマスクを得ることができる。
【0068】
このようなスクリーンマスクによればスクリーンマスクとしての構成を簡略化しスクリーンマスクの生産やスクリーン印刷での取り扱いを容易化することができる。
【0069】
図9は、図8に示したスクリーンマスクの変形例を示す図であり、対応する部位には同一番号を付してある。この場合には、貫通孔15Bn、…の縦断面形状を図8に示したものとは異ならしめ、径の大きな方の孔についてU字形としたものである。すでに説明したように、径の大きな方の孔はその側壁に、径の小さい方の孔から充填されてくる導電性ペーストが接触しないようにされていればよい。この意味でこのようなU字形の縦断面や、この他にもテーパ型、弧状形、半円型、半楕円型などの縦断面にしてもよい。
【0070】
このような縦断面形状を有する孔の形成には、上記で述べたレーザー加工、プラズマ加工、エッチング、ドリリング、放電加工、電鋳法を適宜応用または組み合わせて行なうことができる。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明よれば、スクリーンマスクとして、スクリーン板とスクリーン印刷用スペーサとが積層された状態のものを用い、そのスクリーン印刷用スペーサの被印刷物に接する側の面には粘着層が存在するので、スクリーンマスクと被印刷物とは一様に、すなわちスクリーンマスクにしわなどが発生することなく、接触状態になる。したがって、そのあとの貫通孔へのペーストの充填も各貫通孔に対して一様な量で行なうことができる。また、各貫通孔におけるペーストの量は、スクリーン印刷用スペーサの第2の貫通孔による分を合わせると増加している。以上より、ペースト状物体を一様にかつ嵩高く被印刷物に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷方法を実行するためのスクリーン印刷機を模式的に示す図。
【図2】図1に示したスクリーン印刷装置で用いるスクリーンマスク18の平面図。
【図3】図1に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図。
【図4】図3に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図。
【図5】図4に示したスクリーン印刷機の次段階の状態を示す図。
【図6】本発明に係るスクリーン印刷方法の別の実施形態を示す模式図。
【図7】本発明の実施形態に係るスクリーンマスクの製造プロセスを説明する断面図。
【図8】本発明の別の実施形態に係るスクリーンマスクの製造プロセスを説明する断面図。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係るスクリーンマスクの製造プロセスを説明する断面図。
【図10】スクリーン印刷を用いて配線板または金属箔上に微細構造物としての導電バンプを形成する方法を模式的に説明する図(従来図)。
【符号の説明】
11…印刷台 12…配線板基材 13、14…スクリーンマスク張設部 15…スクリーン板 15a、15b、15c、15d、15e…貫通孔 16…シム 16a、16b、16c、16d、16e…貫通孔 17…粘着層 18…スクリーンマスク 19…スキージ 20、20a、20b、20c、20d、20e…導電性ペースト 21a、21b、21、21c、21d、21e…導電バンプ 25…ロール

Claims (8)

  1. 支持板と、前記支持板の片面に着設された粘着層とを備えたスクリーン印刷用スペーサと、前記スクリーン印刷用スペーサの前記粘着層の着設された面とは反対側に配設されたスクリーン板とを有するスクリーンマスクであって、前記スクリーン板には所定位置に貫通孔が穿設され、前記支持板には前記貫通孔より直径の大きな第2の貫通孔が前記貫通孔位置に重なるように配置されている前記スクリーンマスクの前記スクリーン印刷用スペーサ側を被印刷物に面状に接触させる工程と、
    前記被印刷物に前記スクリーンマスクが面状に接触された状態において、前記スクリーンマスクの前記被印刷物とは反対の面側に設けられたスキージで前記スクリーンマスクの前記貫通孔にペーストを充填する工程と、
    前記充填されたペーストを前記貫通孔に有する前記スクリーンマスクを前記被印刷物から隔離する工程と
    を具備することを特徴とするスクリーン印刷方法。
  2. 前記充填されたペーストを前記貫通孔に有する前記スクリーンマスクを前記被印刷面から隔離する前記工程は、
    前記スクリーンマスク上にロールを配し前記配されたロールを転がして前記スクリーンマスクを前記ロール上に巻き取ることによりなされることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷方法。
  3. 前記ロールは磁力を有し前記ロール上に前記スクリーンマスクを巻き取るのに前記磁力が利用されることを特徴とする請求項2記載のスクリーン印刷方法。
  4. 前記ロールはバキューム吸着機能を有し、前記ロール上に前記スクリーンマスクを巻き取るのに前記バキューム吸着機能が利用されることを特徴とする請求項2記載のスクリーン印刷方法。
  5. 支持板と、
    前記支持板の片面に着設された粘着層と
    を具備することを特徴とするスクリーン印刷用スペーサ。
  6. 支持板と、前記支持板の片面に着設された粘着層とを備えたスクリーン印刷用スペーサと、
    前記スクリーン印刷用スペーサの前記粘着層の着設された面とは反対側に配設されたスクリーン板と
    を具備することを特徴とするスクリーンマスク。
  7. 前記スクリーン板には所定位置に貫通孔が穿設され、前記支持板には前記貫通孔より直径の大きな第2の貫通孔が前記貫通孔位置に重なるように配置されていることを特徴とする請求項6記載のスクリーンマスク。
  8. 前記スクリーン板と前記支持板とは同一部材であることを特徴とする請求項7記載のスクリーンマスク。
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