JP2004041331A - 体内埋込医療器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内の管腔に直接、局所的に適用することが可能であり、なおかつ平滑筋細胞の増殖を抑制するとともに内皮細胞のNO産生を促進させて、再狭窄を確実に抑制する体内埋込医療器具を提供する。
【解決手段】体内埋込医療器具は、医療器具本体とHMG−CoA還元酵素阻害剤で構成されており、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、前記体内埋込医療器具を前記管腔に留置した際に周辺組織内に放出され、なおかつ前記周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるように前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部の改善に使用される体内埋込医療器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体内の管腔に生じた狭窄部を改善するためにステントが多く使用されている。ステントは、血管あるいはその他の生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張させた状態に維持するための管状の器具であり、例えば心臓の冠状動脈においては、経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄防止に用いられている。そして、PTCAにより狭窄部を拡張させた後、金属製のメッシュ構造からなるステントを留置することによって再狭窄率を低下させることに成功したが、ステント留置後も、20%前後の割合で再狭窄が認められ、再狭窄の問題は依然として解決していない。
【0003】
再狭窄が起こる原因は、これまで様々な説が考えられているが、現在はステントを留置することによりステント周囲の平滑筋細胞のフェノタイプが収縮型から合成型へ変化し、ステント内腔側へ遊走・増殖することにより内膜肥厚が起こり、結果再狭窄現象が起こると考え方が主流になっている。
【0004】
そこでこの平滑筋細胞の遊走・増殖を抑制し得る薬剤をステントに搭載することにより、再狭窄を予防する検討が種々なされている。このような薬剤の具体的な例としては、特表平9−503488号公報にタキソールが、特開平9−56807号公報にマイトマシンC、アドリアマイシン、ゲニステイン、チルフォスチンが、また、特表平11−500635号公報にサイトカラシンが、それぞれ開示されている。
【0005】
一方、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、従来、肝臓でのコレステロール合成をブロックすることから、高脂血症治療薬として使用されているが、最近、血管壁に直接適用することによって、血管内膜の肥厚抑制に関係する効果がある事が報告されている。具体的には、LDLの酸化抑制(Massy Ziad A.,et al.,Biochem Biophys Res Commun 267 536−540(2000))、炎症反応の抑制(Sakai M.,et al.,Atherosclerosis 133 51−59(1997))、平滑筋細胞・マクロファジーの泡沫化抑制(Bellosta S.,et al.,Atherosclerosis 137 Suppl. S101−109(1998))等の効果が、それぞれ報告されている。
【0006】
そして、最近ではHMG−CoA還元酵素阻害剤のNO産性作用(LaufsU et al、Circulation (97) 1129−1135 1998)が注目されている。血管内皮細胞においてNO産生が促進することにより、内皮細胞の機能が改善し、血管の内皮化が促進すると考えられている。そして、血管の内皮化促進により、平滑筋細胞の内膜側への遊走が抑制されると考えられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、生体内の管腔に直接、局所的に適用することが可能であり、なおかつ平滑筋細胞の増殖を抑制するとともに内皮細胞のNO産生を促進させて、再狭窄を確実に抑制する体内埋込医療器具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。
【0009】
(1)生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、前記体内埋込医療器具は少なくとも、
医療器具本体とHMG−CoA還元酵素阻害剤で構成されており、
前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、前記体内埋込医療器具を前記管腔に留置した際に周辺組織内に放出され、なおかつ前記周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるように前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とする体内埋込医療器具。
【0010】
(2)前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、シンバスタチン、セリバスタチンナトリウム、ピタバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウム、ロスバスタチンのいずれかであることを特徴とする(1)に記載の体内埋込医療器具。
【0011】
(3)前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有された形態で前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とする(1)に記載の体内埋込医療器具。
【0012】
(4)前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、前記医療器具本体の表面に直接搭載されており、なおかつ前記HMG−CoA還元酵素阻害剤の外側が生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層で被覆されていることを特徴とする(1)に記載の体内埋込医療器具。
【0013】
(5)前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする(1)に記載の体内埋込医療器具。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の体内埋込医療器具について詳細に説明する。
【0015】
本発明の体内埋込医療器具は、医療器具本体と、医療器具本体に搭載されたHMG−CoA還元酵素阻害剤で構成されている。
【0016】
HMG−CoA還元酵素阻害剤の医療器具本体への搭載の形態は、特に限定されず、例えば医療器具本体の表面にHMG−CoA還元酵素阻害剤をコートしても良く、また医療器具本体の内側にHMG−CoA還元酵素阻害剤を含有させても良い。
【0017】
医療器具本体は、例えばステント、カテーテル、バルーン、血管補綴材、人工血管等が挙げられ、中でも生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、その拡張された内腔を確保するためにそこに長期間留置することが可能であるステントが好ましい様態である。以下、医療器具本体がステントである場合について添付図面に示す好適な実施の形態に基づいてより詳細に説明する。
【0018】
図1はステントの一様態を示す側面図、図2は図1の線A−Aに沿って切断した拡大横断面図、図3は図2と同様の図であって、HMG−CoA還元酵素阻害剤のコートの形態が異なる様態を示す。
【0019】
ステントは、血管、胆管、気管、食道、尿道などの生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、かつそこに留置することができれば、その材料、形状、大きさ等は特に限定されない。
【0020】
ステントを形成する材料は、適用箇所に応じて適宜選択すれば良く、例えば金属材料、高分子材料、セラミックス等が挙げられる。ステントを金属材料で形成した場合、金属材料は強度に優れているため、ステントを狭窄部に確実に留置することが可能である。また、ステントを高分子材料で形成した場合、高分子材料は柔軟性に優れているため、ステントの狭窄部への到達性(デリバリー性)という点で優れた効果を発揮する。
【0021】
金属材料としては、例えばステンレス鋼、Ni−Ti合金、タンタル、チタン、金、プラチナ、インコネル、イリジウム、タングステン、コバルト系合金等が挙げられる。そしてステンレス鋼の中では、耐食性が良好であるSUS316Lが好適である。
【0022】
高分子材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、セルロースナイトレート等が挙げられる。
【0023】
ステントの形状は、生体内の管腔に生じた狭窄部に安定して留置するに足る強度を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属材料のワイヤーや高分子材料の繊維をネット状にすることにより構成される円筒体等の任意の形状体や、図1に示すような金属材料や高分子材料で構成される円筒体に細孔を設けたものが好適に挙げられる。
【0024】
ステントは、バルーンエクスパンダブルタイプ、セルフエクスパンダブルタイプのいずれであってもよい。また、ステントの大きさは適用箇所に応じて適宜選択すれば良い。例えば、心臓の冠状動脈に用いる場合は、通常拡張前における外径は1.0〜3.0mm、長さは5〜50mmが好ましい。
【0025】
ステントの表面にはHMG―CoA還元酵素阻害剤が搭載(コート)されており、ステントを生体内の管腔の狭窄部に留置した際に、HMG―CoA還元酵素阻害剤は留置部位およびその周辺組織内に放出される。
【0026】
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、例えばシンバスタチン、セリバスタチンナトリウム、ピタバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウム、ロスバスタチンが挙げられる。
【0027】
ステントの表面に搭載(コート)されるHMG−CoA還元酵素阻害剤の量は、HMG−CoA還元酵素阻害剤が留置部位の周辺組織内に放出され際に、周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるようにすれば特に限定されないが、HMG−CoA還元酵素阻害剤の各薬剤、例えばシンバスタチンとセリバスタチンナトリウムでは、上記濃度に達するのに必要な量が異なる。したがって、各薬剤ごとにステント本体にコートする量を選択する必要がある。
【0028】
周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲であると、平滑筋細胞の増殖が抑制されるとともに、内皮細胞のNO産生が促進されるため、内皮細胞の機能が改善されて血管等の内皮化が促進され、その結果再狭窄を確実に抑制することが可能である。一方、濃度が1×10−9M未満の場合、平滑筋細胞の増殖がほとんど抑制されないのに加えて、NOもほとんど産生されないため血管等の内皮化が促進されず、再狭窄が起こりやすくなる。また、濃度が1×10−4M以上になると、血管等の内皮細胞が死滅するため、NOが産生されず、その結果再狭窄が起こりやすくなる。また、内皮細胞の死滅による炎症反応が見られる場合もある。
【0029】
なお、ここで言う濃度とは、ステントの留置部位およびその周辺における血管等の管腔を取り出した後、ステントを管腔より取り除き、管腔を細かく切断した後、水と一緒にホモジナイズ処理を行い、有機溶媒(アセトニトリル)を用いてHMG−CoA還元酵素阻害剤を抽出した後、HPLCにて測定された濃度のことである。
【0030】
HMG−CoA還元酵素阻害剤のステントへの搭載(コート)の形態は特に限定されず、例えば図2のようにHMG−CoA還元酵素阻害剤を生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有(混合)させた形態にしてステントに搭載(コート)しても良く、また図3のようにステントの表面にHMG−CoA還元酵素阻害剤を直接搭載(コート)してHMG−CoA還元酵素阻害剤単独の層を設け、さらにその外側を、生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層で被覆しても良い。
【0031】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が生分解性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、あるいはHMG−CoA還元酵素阻害剤の外側が生分解性ポリマーからなるポリマー層で被覆されている場合は、生分解性ポリマーが分解することによって、HMG−CoA還元酵素阻害剤がステントの留置部位およびその周辺組織内に直接放出される。
【0032】
生分解性ポリマーは、生体内で酵素的、非酵素的に分解され、分解産物が毒性を示さず、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤の放出が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、、ポリα−アミノ酸、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。中でも長期間にわたってHMG−CoA還元酵素阻害剤を放出することが可能であるポリ乳酸が好ましい。
【0033】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、あるいはHMG−CoA還元酵素阻害剤の外側が生体適合性ポリマーからなるポリマー層で被覆されている場合は、HMG−CoA還元酵素阻害剤が生体適合性ポリマーの外表面に浸出することによって、HMG−CoA還元酵素阻害剤がステントの留置部位およびその周辺組織に直接放出される。
【0034】
生体適合性ポリマーは、本質的に血小板が付着し難く、組織に対しても刺激性を示さず、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤の浸出が可能なものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーン、ポリエーテル型ポリウレタンとジメチルシリコンのブレンドもしくはブロック共重合体、セグメント化ポリウレタン等のポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等のポリカーボネート等、各種合成ポリマーが挙げられる。
【0035】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有されている場合、含有の様態は、特に限定されず、HMG−CoA還元酵素阻害剤がポリマー層中に均一または不均一に存在していてもよく、また局所的に存在していても良い。
【0036】
本発明の体内埋込医療器具の製造する方法は特に限定されない。例えば、医療器具本体としてステントを、HMG−CoA還元酵素阻害剤としてシンバスタチンを、生体適合性ポリマーとしてシリコーンを、それぞれ用いる場合は、シンバスタチンをヘキサンに懸濁させた溶液をステントにスプレーしてシンバスタチン単独の層を設けた後、そのシンバスタチンの表面にシリコーンをヘキサンに溶解した溶液をスプレーして、シンバスタチンの外側にポリマー層を設ける方法等が挙げられる。
【0037】
このようにして得られた本発明の体内埋込医療器具は、生体内の管腔に直接、留置して用いることができる。そして、体内埋込医療器具を留置した部位の周辺組織内におけるHMG−CoA還元酵素阻害剤の濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるため、平滑筋細胞の増殖を抑制するとともに内皮細胞のNO産生を促進させて、再狭窄を確実に抑制する。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
シンバスタチン50mgをTHF1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmステントにスプレーして、シンバスタチンをステント表面にコートした後、そのシンバスタチンの表面にシリコーン20mgをヘキサン1mlに溶解した溶液をスプレーして、ポリマー層を設け、本発明の体内埋込医療器具を作成した。ステントに搭載(コート)されたシンバスタチンの量は349μgであった。
この体内埋込医療器具をウサギ腸骨動脈内に留置し、約1日後に剖検し、ステント留置部位及び近傍の血管を取り出した後、ステントを血管より取り除き、血管を細かく切断した後、水と一緒にホモジナイズ処理を行い、有機溶媒(アセトニトリル)を用いてシンバスタチン抽出した後、HPLCを用いて濃度を測定した結果、ステント周囲の血管組織内濃度は9.3×10−6Mであった。
【0040】
(比較例1)
シンバスタチン0.1mgをTHF1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmステントにスプレーして、シンバスタチンをステント表面にコートした後、そのシンバスタチンの表面にシリコーン20mgをヘキサン1mlに溶解した溶液をスプレーしてポリマー層を設け、体内埋込医療器具を作製した。ステントに搭載(コート)されたシンバスタチンの量は0.01μgであった。
この体内埋込医療器具をウサギ腸骨動脈内に留置し、約1日後に剖検し、ステント留置部位及び近傍の血管を取り出した後、ステントを血管より取り除き、血管を細かく切断した後、水と一緒にホモジナイズ処理を行い、有機溶媒(アセトニトリル)を用いてシンバスタチンを抽出した後、HPLCを用いて濃度を測定した結果、ステント周囲の血管組織内濃度は1×10−10M以下であった。
【0041】
(比較例2)
シンバスタチン100mgをTHF1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmステントにスプレーして、シンバスタチンをステント表面にコートした後、そのシンバスタチンの表面にシリコーン20mgをヘキサン1mlに溶解した溶液をスプレーしてポリマー層を設け、体内埋込医療器具を作製した。ステントに搭載(コート)されたシンバスタチンの量は1963μgであった。
この体内埋込医療器具をウサギ腸骨動脈内に留置し、約1日後に剖検し、ステント留置部位及び近傍の血管を取り出した後、ステントを血管より取り除き、血管を細かく切断した後、水と一緒にホモジナイズ処理を行い、有機溶媒(アセトニトリル)を用いてシンバスタチンを抽出した後、HPLCを用いて濃度を測定した結果、ステント周囲の血管組織内濃度は2.8×10−4Mであった。
【0042】
(比較例3)
シリコーン20mgをヘキサン1mlに溶解した溶液を、直径2mmのステンレスパイプを加工して作製した長さ15mmステントにスプレーしてポリマー層を設け、体内埋込医療器具を作製した。
【0043】
(評価)
ウサギ腸骨動脈バルーン擦過による血管傷害モデルを用いた治療効果比較試験ウサギにケタミン(30mg/kg)及びキシラジン(3mg/kg)を筋肉内に投与し麻酔した。右総頸動脈を組織より剥離した。耳介静脈よりヘパリンを約150U/kg導入後、所定の方法でシースイントロデューサーを導入した。予めガイドワイヤーを装填したPTCAバルーンを血管内に挿入し、腸骨動脈遠位部まで運んだ。バルーンを規定圧まで拡張した状態で腸骨動脈近位部までバルーンを引き血管を擦過した。このバルーン擦過を3回繰り返し実施した。続いて、(実施例1)にて作製したステント、(比較例1)にて作製したステント、(比較例2)にて作製したステント、(比較例3)にて作製したステントをそれぞれ右腸骨動脈に導入し、規定圧で拡張留置した。バルーンを抜去後、総頸動脈を結紮し、3層縫合した。
【0044】
4週間後、ステント留置時と同様の方法で、左頸動脈から血管へアプローチし、左右腸骨動脈を造影後、開腹して腹部大静脈を露出した。頸動脈シースラインより2U/mlのヘパリン加生理食塩水による灌流を開始し、同時に腹部大静脈を切除し脱血死させた。ヘパリン加生理食塩水による全身灌流後、10%中性緩衝ホルマリン液にて全身灌流し、標的血管を固定した。固定した試料を定法に従い樹脂包埋し病理切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を実施した。これを光学顕微鏡による観察に供し、内膜厚を測定した。
【0045】
その結果、(比較例3)にて作製したステントを留置した右腸骨動脈の肥厚厚さは、218±41μm(n=3)であったのに対して、(実施例1)にて作製したステントを留置した右腸骨動脈の肥厚厚さは、137±24μm(n=3)であり、有意(p<0.05)に肥厚抑制効果が確認された。これに対して(比較例1)にて作製したステント右腸骨動脈の肥厚厚さは205±36μm(n=3)であり、(比較例3)と比較して肥厚抑制効果は確認出来なかった。また、(比較例2)にて作製したステントを留置した右腸骨動脈の肥厚厚さは、253±32μm(n=3)であり、(比較例3)と比較して肥厚抑制効果は確認出来ず、さらに血管内における炎症反応も見られた。
【0046】
この結果より、シンバスタチンの血管組織内濃度が9.3×10−6Mになるように作製された(実施例1)のみにおいて、肥厚抑制効果が確認された。
【0047】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、医療器具本体とHMG−CoA還元酵素阻害剤で構成されており、前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、前記体内埋込医療器具を前記管腔に留置した際に周辺組織内に放出され、なおかつ前記周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるように前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とするため、生体内の管腔に直接、局所的に適用することが可能であり、なおかつ平滑筋細胞の増殖を抑制するとともに内皮細胞のNO産生を促進させて、再狭窄を確実に抑制する。
【0048】
また、前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする場合、生体内の管腔に生じた狭窄部を拡張し、その拡張された内腔を確保するためにそこに長期間留置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステントの一様態を示す側面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿って切断した拡大横断面図である。
【図3】図2と同様の図であって、HMG−CoA還元酵素阻害剤のコートの形態が異なる様態を示す。
【符号の説明】
1 ステント
2 ポリマー層
3 HMG−CoA還元酵素阻害剤
4 ポリマー層
5 HMG−CoA還元酵素阻害剤

Claims (5)

  1. 生体内の管腔に留置するための体内埋込医療器具であって、前記体内埋込医療器具は少なくとも、
    医療器具本体とHMG−CoA還元酵素阻害剤で構成されており、
    前記HMG−CoA還元酵素阻害剤は、前記体内埋込医療器具を前記管腔に留置した際に周辺組織内に放出され、なおかつ前記周辺組織内における濃度が1×10−9〜1×10−4Mの範囲となるように前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とする体内埋込医療器具。
  2. 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、シンバスタチン、セリバスタチンナトリウム、ピタバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、プラバスタチンナトリウム、ロスバスタチンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の体内埋込医療器具。
  3. 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、生分解性ポリマーもしくは生体適合適合性ポリマーからなるポリマー層中に含有された形態で前記医療器具本体に搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の体内埋込医療器具。
  4. 前記HMG−CoA還元酵素阻害剤が、前記医療器具本体の表面に直接搭載されており、なおかつ前記HMG−CoA還元酵素阻害剤の外側が生分解性ポリマーもしくは生体適合性ポリマーからなるポリマー層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の体内埋込医療器具。
  5. 前記医療器具本体が、ステントであることを特徴とする請求項1に記載の体内埋込医療器具。
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