JP5445649B2 - ステント - Google Patents

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本発明は、血管内療法や外科手術、特に狭窄冠動脈、狭窄頚動脈、胆管、食道の拡張、動脈瘤の閉塞などに用いられるステント(管腔内移植片)に関する。詳細には、複数の拡径可能な管状のステント本体をそれらの長手方向に間隔をあけて配列し、ポリマーフィルムによってカバーすると共に一体化したステントに関する。
従来虚血性心疾患の治療は軽皮経管的冠動脈形成術(PTCA)、つまりバルーンカテーテルを血管内の管腔を通し例えば狭窄部位に運び、その後バルーンを生理食塩水のような液体により拡張させて治療する方法が一般的であった。しかしこの方法では、急性期の冠閉塞やPTCA施行部位の再度の狭窄(いわゆる再狭窄)が生じる確率が高かった。これらの問題を解決するために、ステントと呼ばれる管腔内移植片が開発され最近急激に実用化され普及している。最近のデータによるとバルーンカテーテルによる手術の75%近くはすでにステントを使用した手術に置き変わってきていることを示している。
ステント本体は血管等の管腔内を通って運ばれ管腔の治療部位でその直径を拡張することにより、内側からの作用によって支持する管腔内移植片である。現在は主に上述した冠動脈手術に多く使われているためにここでは冠動脈手術を主体に説明するものの、ステントは胆管、食道、気管、前立腺、尿管、卵管、大動脈瘤、末梢動脈、腎動脈、頸動脈、脳血管等人体の他の管腔部位にも用いることができる。特に、ステントの利用分野は益々広がり、従って、将来的にステントは狭窄部位拡張術、動脈瘤閉塞術、ガン療法などの多くの手術で用いられ、特に脳外科の分野での利用にともない極細ステントの重要性が高まることが予想される。
ステントを用いた手術の普及によって再狭窄は飛躍的に防止することができるようになった。しかしながら一方、金属製ステント本体は体内において異物であることから、ステント本体挿入後数週間内に血栓症が発症する。つまり金属ステント自体が血栓性を有することから血液に晒されるとアルブミンやフィブリノーゲンなどの血漿蛋白と接触し血小板の粘着から凝集が起きる。また金属製ステント本体を留置することにより血管内皮の肥厚を促しこれも再狭窄のひとつの原因になっているという指摘もある。そこで、特開平11−299901号公報には、金属製ステント本体の外周面を、微細孔を有した柔軟なポリマーフィルムで被覆することが記載されている。
図2は、このようなステントに用いられるメッシュ上の金属製ステント本体10を示す斜視図であり、図3はこの図2のステント本体10を拡径させた状態10’を示す斜視図である。また、図4は、このようなステント本体10の外周面を微細孔を有する柔軟なポリマーフィルム19で被覆したステント20を示す斜視図であり、図5は、このステント20が拡張した状態を示す斜視図である。
生体組織中、血管などの内表面、つまり血液と接触する部分は内皮細胞と呼ばれる細胞層に覆われている。この内皮細胞はその表面が糖で覆われることと、内皮細胞自体がプロスタグランジンのような血小板の活性化を抑える物質を分泌するために、生体組織では血栓などが起きにくい。上記特開平11−299901号公報のステントでは、ポリマーフィルムで金属製ステント本体の外周面を被覆することにより、適度な細胞の内皮化を促進し血栓性を低下させることができる。
なお、特開平11−299901号公報においては、ステント本体の外周面を覆うポリマーフィルムは、次のようにして形成されている。即ち、まず、カバーストリップ用マンドリルをポリマー溶液に含浸した後、乾燥及び穿孔し、その後、マンドリルを抜き去ること
特開平11−299901号公報
特開平11−299901号公報のステントであれば、金属製のステント本体の外周面を微細孔を有する柔軟なポリマーフィルムで被覆することにより、その外周面において、細胞の内皮化を促進して血栓発生性を低下させることができるが、特開平11−299901号公報のステントは、ステント本体の内周面はポリマーフィルムで被覆されておらず、金属製ステント本体が露出したままであるため、ステントの内周面において、血栓発生、金属アレルギー、金属による細胞の刺激、錆発生の問題がある。ステントの内周面で発生した血栓は、剥離して下流へ飛ぶ(血流に乗って抹消側へと流れていく)ことによって下流側の細い血管を梗塞したり、血栓中の血小板から放出される血小板由来増殖因子などが血管細胞を刺激して内膜の肥厚を惹起するという問題があった。また、ステント拡張時にステント本体に対して、ポリマーフィルムの位置がずれて、ステントストラットによって微細孔が閉塞されて血栓が発生する恐れがあった。したがって本発明の目的は、ステント拡張時にポリマーフィルムの位置がずれないように、ステント本体の外側と内側の全表面にポリマー層を隙間なく密着して被覆したステントを提供することである。
しかも、ステント本体を袋状のカバーフィルム内に挿入し、単に袋状のカバーフィルムを収縮させてステント本体の外周面にポリマーフィルムの外皮膜を形成するのみでは、次のような不具合がある。即ち、図2,3に示す如く、特開平11−299901号公報で用いられるステント本体10は、斜交格子状のメッシュ状であるが、このようなメッシュ状のステント本体10に前述の方法でポリマーフィルムの外皮膜を形成した場合、この外皮膜は、図6に示す如く、メッシュ状ステント本体外周面において、メッシュ状ステント本体を構成するステントストラット11の各々に対して接点部分において固着されたものとなり、ポリマーフィルム19とステント本体との一体性は低い。
このため、ステント本体の拡径時には、このステントストラット11とポリマーフィルム19との接点部分が滑り移動することになる。即ち、ステントの拡張時にステント本体の外周面を被覆するポリマーフィルム19の位置がずれる。
特開平11−299901号公報では、ポリマーフィルム19に略均一な間隔をおいて微細孔が配置されている。当該微細孔は、ステント内壁に内皮細胞を生着させて血栓の発生や、内膜の肥厚を抑制する目的で穿孔されるため、ステント骨格の直上位置を避けて穿孔されると考えられるが、このようにステントの拡張時にステント本体に対するポリマーフィルムの位置がずれると、ステントストラットによって微細孔が閉塞される可能性があり、もし閉塞される場合にはこの微細孔の配置設計が全く意味のないものとなる。
特開平11−299901号公報には、また、このポリマーフィルムに生分解性ポリマーや薬物をコーティングすることが記載されているが、ステント本体の内周面にこのような機能剤をコーティングした場合、ポリマーフィルムの内周面のうち、メッシュ状ステント本体のストラットが存在する部分には、機能剤のコーティング層は形成されないにもかかわらず、ステントの拡張時にはステント本体に対してポリマーフィルムの位置がずれることにより、機能剤がコーティングされていない面が露出するようになり、このコーティングも意味のないものとなる。
特開平11−299901号公報の第[0040]段落にはカバーストリップでステント本体を被覆する際、加熱した気体を送ることによって、熱融着によってステント本体10の外周部への密着を確実にしてもよい旨の記載があるが、この操作によって、ポリマーフィルム19とメッシュ状ステント本体を構成するステントストラット11との接点の密着力は高められるが、ポリマーフィルム19でこのステントストラット11を面状に被覆することはできない。一般にステント本体は、金属管のレーザー加工によって作成されるため、切削されたステントストラット部分の鋭いエッヂをケミカルポリッシング、ソニック処理によって丸めるためステント本体自体の表面は鏡面仕上げとなっていることが多い。平滑な表面の金属材料への樹脂材料の接着が困難であるのと同様に、ステント本体とポリマーフィルムとの接着は簡単ではない。ポリマーフィルム19でこのステントストラット11を面状に被覆して、ポリマーフィルム19による密着性をより一層高めるためには、カバーストリップを一瞬でも溶融させてステント本体に対して押圧する必要があり、このためには、相当の高温の気体を送給する必要がある一方で、カバーストリップは薄膜で微細孔を有するものであり、ポリマーフィルムを溶融させるような高温の気体を送給することにより、ポリマーフィルムは形状を維持し得なくなり、破裂、破損、ピンホール、亀裂等の欠陥の発生に到る。
本発明はこのような特開平11−299901号公報のステントの欠点を解消し、ステント本体をポリマー層で密着性良く被覆することにより、血栓の発生をより一層確実に防止すると共に、ステント本体と被覆層とのずれの問題も解消したステントを提供することを目的とする。
すなわち、本発明のステントは、拡径可能な管状の金属製ステント本体と、該ステント本体の外側と内側の全表面に隙間なく密着して被覆された、複数の微細孔を有する柔軟なポリマー層とを有するステントであって、該ステントは、円筒形の内孔を有する成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給して該内孔の内周面にステント本体の外側を被覆するポリマー層を成形し、次いで、この成形型の内孔にステント本体を挿入して該ステント本体の該周面を該ポリマー層で被覆した後、この成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給してステント本体の内周面をポリマー層被覆し、しかる後、内外周面がポリマー層で隙間なく密着して被覆された該ステント本体成形型から脱型した後、レーザー加工によって、該ポリマー層に直径10〜500μmの複数の微細孔を略均一な間隔で穿孔することにより製造されてなることを特徴とするものである。
本発明のステントは、ステント本体の外周面だけでなく、その全外表面を柔軟なポリマー層が隙間なく密着して被覆しているため、血栓の発生を十分に制御することができるとともに、金属アレルギー、金属による細胞の刺激、錆の発生などの問題もない。また、ステント拡張時のステント本体とポリマー層の位置ずれがなく、拡張の前後でステント本体とポリマー層との位置関係は維持される。
本発明のステントのポリマー層による被覆状態を示す模式的断面図である。 ステント本体の斜視図である。 拡径させたステント本体の斜視図である。 ステントの斜視図である。 拡径させたステントの斜視図である。 特開平11−299901号公報のステントのポリマーフィルムによる被覆状態を示す模式的な断面図である。 ポリマー層の微細孔のパターンと、微細孔の直径及び配置間隔と孔密度との関係を示す説明図である。 ポリマー層の孔密度と血管内へステント留置した際に形成される血管内膜の肥厚厚みとの関係を示すグラフである。 移植1ヶ月後のステントの顕微鏡写真である。 ステントが移植された生体組織の断面の顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
本発明のステントを構成するステント本体は、長さが2〜40mm程度であり、直径が長さの1/10〜1/2程度の管状であることが好ましい。また、ステント本体の厚さ(管状部の肉厚)は好ましくは11〜2000μmであり、より好ましくは51〜500μmであり、とりわけ好ましくは101〜300μmである。このステント本体は、柔軟に拡径しうるように、メッシュ状であることが好ましく、特に図2の如く斜交格子状であり且つ格子の延在方向が螺旋方向となるものが好ましい。
このステント本体は好ましくは生体適合性のある金属製とされる。この生体適合性のある金属としては、ステンレス、チタン、タンタル、アルミニウム、タングステン、ニッケル・チタン合金、コバルト・クロム・ニッケル・鉄合金等が例示される。この金属製のステント本体は、形状記憶させるために好ましくは熱処理が施される。この熱処理により、ステント本体に自己拡張性を付与することができる。
柔軟性ポリマー層として用いる材料としては、柔軟性の高い高分子エラストマーが好適であり、例えばポリスチレン系、ポリオレフィン糸、ポリエステル糸、ポリアミド系、シリコーン系、ウレタン系、フッソ樹脂系、天然ゴム系などの各種エラストマー及びそれらの共重合体またはそれらのポリマーアロイを用いる事ができる。それらの中でもセグメント化ポリウレタン、ポリオレフィン系ポリマー、シリコーン系ポリマーが好ましく、特に、柔軟性が高くて強度も強い、セグメント化ポリウレタンが最適である。
セグメント化ポリウレタンポリマーは、ソフトセグメントとして柔軟なポリエーテル部分と、ハードセグメントとして芳香環とウレタン結合とが豊富な部分とを有し、このソフトセグメントとハードセグメントが相分離して微細構造を作っているものである。このセグメント化ポリウレタンポリマーは、抗血栓性に優れている。また、強度、伸度等の特性に優れており、ステントが拡径される際にも破断することなく十分伸長できる。
このセグメント化ポリウレタンポリマー等のポリマー層の被覆厚さ(後述の図1のd)は1μm〜100μm、特に5μm〜50μmの厚さを有することが好ましい。
このポリマー層には好ましくは複数の微細孔が設けられる。この微細孔は、ランダムに配置されてもよいが、好ましくは、略均一の間隔で微細孔が穿孔される。略均一の間隔で微細孔が穿孔されるというのは、間隔が同一であるという意味ではなく、微細孔の間隔が制御された方法でほぼ一定の間隔に配置されているという意味である。従って、略均一の間隔には一見するとランダムに配置されているように見える斜め状、円状、楕円状の配置なども含まれる。微細孔というのは内皮細胞が出入りできる大きさであればどのような大きさや形状でもよい。好ましくは、直径が5〜500μm、最も好ましくは10〜100μmの円形である。楕円形、正方形、長方形などの他の形状も含まれることは言うまでもない。これらは拡張される前の状態でのことであり、ステント本体が拡張されて管腔内に留置される時点では円形は長楕円形に変形し、直径もそれにしたがって変化する。また微細孔の配置間隔としては、51〜10000μm、好ましくは101〜8000μm、より好ましくは201〜5000μmの間隔で複数の直線上に配置される。これらの複数の直線は、ステントの軸線方向に所定の一定の角度間隔で配置された例えば10〜50本の直線からなる。
ただし、最も好ましい微細孔の直径と配置間隔には互いに従属関係があり、当該関係はポリマー層上の孔密度として考えると分かり易い。つまり、例えば図7に示される3つのパターンのように略円形の孔を略一定間隔で配置した場合、当然、単位面積あたりの密度は微細孔の直径及び配置間隔に依存する。
そして、この孔密度と血管内へステント留置した際に形成される血管内膜の肥厚厚みとの関係が図8である。
図8より、好ましい微細孔の直径と配置間隔には、孔密度において関係があることが分かる。ただし、いかに密度が好ましくとも、孔の直径が小さ過ぎると内皮細胞のステント内側への増殖が不十分になり、逆に孔の直径が大き過ぎるとポリマー層の強度が低下すると共に内膜組織の侵入が進みすぎ好ましくないことは言うまでもない。
ポリマー層は、生体内分解性ポリマー(生体吸収性ポリマー)によってコーティングされてもよい。このような生体内分解性ポリマーとしては、ゼラチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、カプロラクトン、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリギオキサノン、キチンなどが例示される。
また、この生体内分解性ポリマーに抗血小板剤、抗血栓剤、増殖促進剤、増殖阻止剤、免疫抑制剤などの治療薬を含有させてもよい。この治療薬は、生体内分解性ポリマーの分解に伴って体内に放出され、血栓の生成を抑制したり、平滑筋細胞の増殖を抑制して狭窄を予防したり、ガン化した細胞の増殖を抑制したり、内皮細胞の増殖を促進して早期に内皮化を得るのに有効である。
この治療薬としては、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3−脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、血管内皮増殖因子(VEGF)、ラパマイシン、FK506等の薬物が挙げられる。
また、ステントの外周面側のポリマー層は、人体内の細かな血管内での移動をスムースにするために、外表面を潤滑性物質によってコーティングされてもよい。そのような潤滑性物質としてはグリセリンのような低分子量親水性物質、ヒアルロン酸やゼラチンのような生体親和性物質、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの合成親水性ポリマーなどが挙げられる
ステント本体の外側と内側の全表面がポリマー層で隙間なく密着して被覆された本発明のステントは、次の方法により製造することができる。
円筒形の内孔を有する成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給して該内孔の内周面にステント本体の外側を被覆するポリマー層を成形し、次いで、この成形型の内孔にステント本体を挿入した後、この成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給してステント本体の内側にポリマー層を被覆し、しかる後、該ステント本体の全表面にポリマー層が隙間なく密着して被覆されたステントを成形型から脱型する方法である。
この方法においては、まず、内周面が円筒形となっている好ましくは円筒形状の成形型を用い、この成形型をその軸心回りに回転させると共にその中に外側ポリマー層用のポリマー溶液を供給して外側ポリマー層を遠心成形する。
このポリマー溶液は、ポリマーの溶液であってもよく、モノマー等の重合性溶液であってもよい。このポリマー溶液としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の有機溶剤からなるセグメント化ポリウレタンポリマー溶液を用いることができる。モノマー等の重合性溶液としては、例えば、脱アセトン型、脱アルコール型、脱オキシム型の縮合硬化系シリコンゴムなどを用いることができる。
ポリマー溶液の供給と成形型の回転とは、いずれを先としてもよいが、回転している成形型中にポリマー溶液を供給する方が好ましい。また、ポリマー溶液の注入位置を成形型の軸心方向に沿って移動させ、成形型内の広い範囲に均一にポリマー溶液を供給することが好ましい。
外層用ポリマー溶液の膜が成形型の内周面に形成された後、ステント本体を成形型の内部に供給し、次いで、内側ポリマー層を成形するためのポリマー溶液を成形型内に供給し、遠心成形する。その後、乾燥、紫外線照射、加熱処理などの硬化処理した後、ステント素体を成形型から脱型し、このステント素体に対し穿孔処理を施す。
なお、外層用ポリマー溶液の膜を成形型内周面に沿って形成した後、乾燥、紫外線照射等の硬化処理を施した後にステント本体を成形型内に供給するのが好ましい。ステント本体を成形型内に供給するに際しては、ステント本体をそのまま成形型内に供給してもよく、樹脂材料液に浸漬してプレウェッチングさせてから成形型内に供給してもよい。
前記生体内分解性ポリマーの被覆層を外側ポリマー層に形成するときには、この生体内分解性ポリマー溶液を成形型内に供給して第1層を形成した後、上記セグメント化ポリウレタンポリマーなどのポリマー溶液を成形型内に供給して第2層を遠心成形してもよい。同様に、内側ポリマー層に生体内分解性ポリマーの被覆層を形成するときには、上記セグメント化ポリウレタンポリマー等のポリマー溶液によって第1層を遠心成形した後、生体内分解性ポリマー用ポリマー溶液を成形型内に供給して第2層を形成してもよい。
生体内分解性ポリマーの被覆層を形成するときには、セグメント化ポリウレタンポリマーなどのポリマー層形成用ポリマー溶液を用いて上述の如くステント素体を作成し、脱型後にステント素体を生体内分解性ポリマー用ポリマー溶液中に浸漬して被覆層を形成してもよい。この場合、生体内分解性ポリマー溶液に浸漬して引き上げた後に紫外線などによって重合を促進し、コーティング層を形成することもできる。
また、上記生体内分解性ポリマー溶液中に治療薬を配合すると、治療薬を含有したコーティングが形成される。この生体内分解性ポリマーの種類、分子量、コーティングの厚さなどを調整することによって、治療薬が体内に放出される時間や期間を設定できる。
上述の如く、成形型から脱型されたステント素体に対しレーザー等により微細孔を穿孔する。生体内分解性ポリマーあるいは潤滑性ポリマーのコーティング層の形成とレーザー加工による微細孔の穿孔は、いずれを先に行うことも可能であるが、ここではレーザー加工による微細孔の穿孔を後に行う方法を記載した。
このようにして製造された本発明のステントは、例えば、図1にその断面を示す如く、メッシュ状のステント本体を構成するステントストラット11の全外表面をポリマー層12が密着して被覆している。このようなステントであれば、血栓の発生を十分に制御することができるとともに、金属製ステント本体の露出面が全くないため、金属アレルギー、金属による細胞の刺激、錆の発生の問題も解消される。また、ステント拡張時のステント本体とポリマー層の位置ずれの問題もない。
なお、前述のポリマー層の被覆厚さとは、図1にdで示すステントストラット11を直接被覆しているポリマー層12の厚さ部分を示す。
実施例1
ステント本体として図2に示す直径4mm、長さ20mm、厚さ0.2mmのメッシュ状のステント本体10を採用した。
図3は、拡張した後の金属製ステント本体10‘の側面図である。この金属製ステント本体10’は、直径8mm、長さ20mm、厚さ0.2mmである。
この金属製ステント本体10の全外表面にセグメント化ポリウレタンポリマー層を被覆させてなるステントを製造した。具体的には、円筒形の内孔を有するSUS316製の成形型その軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にセグメント化ポリウレタンポリマー溶液を供給して該内孔の内周面にステント本体の外側を被覆するポリマー層を成形し、次いで、この成形型の内孔に少し拡張したステント本体が強く重ねた状態で挿入した後、ステント本体を挿入した成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にセグメント化ポリウレタンポリマー溶液を供給してステント本体の内側に被膜化させることでステント本体の画面にポリマーを被覆し、しかる後、該ステント本体の全表面にポリマー層が隙間なく密着して被覆されたステントを成形型から脱型した。
ポリウレタン溶液は、テトラハイドロフランとジオキサンの混合溶液にCapdiomat(商標)SPU:セグメントポリウレタン(Kontoron Cardiovascular Inc社製)の10重量%溶液である。
形成されたポリウレタンポリマー層にエキシマレーザーにより直径100μmの孔を200μmの間隔で略均一に穿けた。長軸方向に一列孔を穿けた後、ステント素体を円周方向に15°ずつ回転させ全周上で24列の孔を穿けた。このようにして得られたステントのポリウレタンポリマー層の被覆厚さdは25μmであった。
図1に示す如く、このステントは、ステント本体の格子状ストラット11の全外表面を、ポリウレタンポリマー層12が密着性良く被覆したものであり、ステント本体の拡張によってステント骨格が動いてもポリウレタンポリマー層はこれに追随し、ポリマー層とステントの位置関係が保存されることが分かる。また、血流を妨げるステントストラットの凸条突出構造がポリマーフィルムでラミネーションされて平滑になっていることが分かる。
比較例1
前述の特開平11−29990号公報に記載される方法で、ステント本体の外周面にのみ、ポリウレタンポリマーフィルムの被膜を設け、実施例1と同様に微細孔を形成した。このステントは図6に示す如く、ステント本体の外周面をポリマーフィルムが点(線)接触で嵌装され、接点部分のみで固定されていることが分かる。ステントの拡張時にはこの接点は滑り移動することが示唆される。
これらのステントを兎頸動脈に移植し、一か月後に観察を行った。その結果を表1に示す。図9(a)は比較例1、図9(b)は実施例1を示す。ポリマー層の外側が旧内膜である。主から明らかな通り、実施例1((b)図)は比較例1((a)図)に比べて内膜肥厚が薄い。また、図10に示す通り、比較例1ではステントストラットが血流面に飛び出しているためストラット周囲で血小板由来増殖因子等が放出され、内膜肥厚が起きやすくなる。これに対し、実施例1では血栓生成が抑制された。
Figure 0005445649
比較例2
スピロンベンゾフェノン系の光反応性ゼラチン5%、ヘパリン2.5%及び銀粉末0.1%を含む混合水溶液を調製した。比較例1で作成したステントを水平に静置し、ステント内壁に1cmあたりに混合水溶液を20μL相当量を滴下して、PTFE製丸棒にて均質に引き延ばした後に光照射を行って固定した。この操作を2回繰り返した。このようにして内壁がコーティングされたステントを空気中でバルーンカテーテルにて拡張した後に、X線顕微鏡にて観察した。
以上より、拡張前にステントストラットが存在した部分は薬剤が塗布されておらず、拡張によってステントストラットとポリマーフィルムとの間で滑り現象が生じ、薬剤が塗布されていない部分が表面に露出したことがわかる。ここで、比較例1において穿孔された微細孔は、ステント本体の拡張時にステントストラットはポリマー層上をすべるように移動し、微細孔の位置はX線不透過性のステントストラットの裏側へ移動した結果、微細孔は閉塞されたことになる。従って、厳密に設計された孔の直径と配置間隔がステント本体の拡張によって変化することは、図8に示されるように、孔密度も変化し、内膜肥厚の問題を惹起する可能性があることが示唆された。
10 ステント本体
11 ステントストラット
12 ポリマー層
19 ポリマーフィルム
20 ステント

Claims (4)

  1. 拡径可能な管状の金属製ステント本体と、該ステント本体の外側と内側の全表面に隙間なく密着して被覆された、複数の微細孔を有する柔軟なポリマー層を有するステントであって、
    該ステントは、円筒形の内孔を有する成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給して該内孔の内周面にステント本体の外側を被覆するポリマー層を成形し、次いで、この成形型の内孔にステント本体を挿入して該ステント本体の外周面を該ポリマー層で被覆した後、この成形型をその軸心回りに回転させるとともに、該成形型の内孔にポリマー溶液を供給してステント本体の内周面をポリマー層被覆し、しかる後、内外周面がポリマー層隙間なく密着して被覆されたステント本体成形型から脱型した後、レーザー加工によって、該ポリマー層に直径10〜500μmの複数の微細孔を略均一な間隔で穿孔することにより製造されてなることを特徴とするステント。
  2. 該柔軟なポリマー層セグメント化ポリウレタン、ポリオレフィン系ポリマー、シリコーン系ポリマーから選ばれた一つであることを特徴とする請求項1に記載のステント。
  3. 該ポリマー層生体内分解性ポリマーで被覆されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のステント。
  4. 該生体内分解性ポリマーが薬物を含有することを特徴とする請求項3に記載のステント。
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