JP2004041042A - 抗dnaモノクローナル抗体及びその産生ハイブリドーマ - Google Patents
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Abstract
【課題解決手段】HeLa細胞の核ホルマリン固定化物を抗原として、マウス脾細胞を免疫感作して得られた細胞、とミエローマ細胞とを融合して得たハイブリドーマから、上記特性を有する抗DNAモノクローナル抗体を得る。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基配列の特異的認識性がなく、長さ認識性を有する抗DNAモノクローナル抗体及びその産生ハイブリドーマに関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAは生体内において異物として認識されにくいため抗原性が低く、動物に免役する通常の方法によりDNAに対する抗体を作成することは、従来困難であった。しかしながら自己免疫疾患である全身性紅斑性狼瘡(SLE; Systemic Lupus Erythematosus)の患者血清中には多くの高結合性抗DNA抗体が存在していることが知られている。これらの中には一本鎖DNA、二本鎖DNA、Z−DNA、二本鎖RNA、rRNA、ポリADPリボース等を認識する抗体が含まれている事が判明しており、またその他の自己免疫疾患患者血清中においてはヒストン、HMGタンパク、リボヌクレオプロテイン、RNAポリメレース、tRNA合成酵素、トポイソメレース等に対する抗体が含まれている事が既に報告されている。これら自己免疫疾患患者において見られる自己抗体がどのようにして作製されるのかは未だ充分解明されていないが、死細胞の核分解物が抗原刺激となっていると予想されている。
【0003】
また、核分解産物の一つであるヌクレオソームは、抗DNA抗体の作製を助けるT細胞を刺激することも報告されている。そこでこれまで多くの場合、抗DNA抗体はSLE患者より供与された血清を用いて精製により得ることが多かった。この場合、抗体価、抗原DNAの特徴ならびに抗原に対する親和性、抗原抗体反応速度等の抗体の特徴が患者血清のロットの差が顕著であり、同一規格の抗体の安定供給を行うことが非常に困難であった。また日本においてはSLE患者の血清を入手することは困難であり、これら生体試料を全て輸入に頼ることは倫理面においても問題があった。また近年自己免疫疾患モデルマウス(MRL/lprマウスやNZB/NZWマウス)より脾細胞を調製し、これを用いて抗DNAモノクローナル抗体の作製も行われている。しかしながら本方法で得られる抗DNAモノクローナル抗体のクローン数は限られており、得られるモノクローナル抗体の種類も限定されている。
【0004】
さらに、従来の抗DNAモノクローナル抗体についての技術は、主にDNAの塩基配列を特異的に認識する抗体の開発に向けられていたため、該抗体は特定の塩基配列を有する遺伝子の研究等にしか使えずその汎用性は低いものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、DNAを、その塩基配列レベルで識別しなくとも、DNA一般を識別する抗体は、例えばアフィニティクロマトにより、タンパク質、RNAあるいはその他夾雑物からDNAのみ容易にかつ精度よく分離するために有用な手段であり、さらに後記する多様な用途に使用できるものである。そこで本発明の課題は、DNAの塩基配列の特異的認識性がなく、DNA一般を識別可能な抗DNA抗体を、上記従来技術等における血清等からの分離手段によらず、モノクローナル抗体として提供することにあり、また、このため、該抗体を容易にかつ多量に生産しうるハイブリドーマを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、鋭意研究の結果、HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原として、マウス脾細胞を免疫感作して得られた細胞とミエローマ細胞とを融合して得られたハイブリドーマをスクリーニングすることにより、DNAの塩基配列の特異的認識性がなく、DNA一般を識別可能な抗DNAモノクローナル抗体を高率に産生するとともに、かつ増殖性に優れたクローンを見いだし本発明を完成させるに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下(1)及び(2)に係るものである。
(1) HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原とし、ハイブリドーマ法により得られた抗DNAモノクローナル抗体であって、DNAの塩基配列に対する特異的認識性がなく、かつ、1000塩基対以上の2本鎖DNAを認識する、長さ認識性を有する抗DNAモノクローナル抗体。
(2) HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原として、マウス脾細胞を免疫感作して得られた細胞とミエローマ細胞とを融合して得られたものであって、請求項1に記載の抗DNAモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(FERM P−18913)。
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の抗DNAモノクローナル抗体は、HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原とし、ハイブリドーマ法により得られたものであるが、この製法についてさらに具体的に説明する。
使用する抗原は、HeLa細胞から核を分離精製し、ホルムアルデヒドにより核内構造を固定化した後、超音波により破砕し断片化したものである。
該抗原による免疫感作は、マウスより取り出した脾細胞を用い、Bossの方法(Boss, B. D. (1984) Brain Res., 291, 193−196)に従って、in vitroで行った。
【0009】
Bossの方法とは抗体を作製するにあたり、通常のマウスやウサギに抗原を免役する方法に代わり、in vitroにおいて免疫感作する方法である。本方法の長所としては、▲1▼少ない抗原量においても免役することが可能、▲2▼免疫期間が短い、▲3▼通常の動物に感作した場合に観察される免疫寛容や免疫抑制を避けることができ、抗原性に依存することなく抗体を作製することが可能、▲4▼毒性の強い抗原においても免疫が可能、▲5▼免役した動物に対して為害性を示す抗体についても作成可能といった事があげられる。B細胞の抗体産生を誘導するためにはマクロファージ、T細胞による抗原提示やシグナルクロストークが必要とされるが、脾細胞中にはB細胞を始めとしてこれらの細胞が含まれている。そこでマウスより脾細胞を調製し、無血清培地中でアジュバントであるN−acetyl−muramyl−L−alanyl−D−isoglutamineと共に抗原刺激を行い、培地中で免疫感作する。
【0010】
次いで上記免疫感作された脾細胞とミエローマ細胞をポリエチレングリコールにより細胞融合させ、常法により、HAT培地でハイブリドーマを選別し、さらに希釈法により得たハイブリドーマの各クローンの培養上澄みを、上記抗原の核ホルマリン固定化物を使用した酵素免疫測定法(ELISA)により測定し陽性のハイブリドーマクローンを得る。さらに得られたクローンについて、HeLa細胞核を細分化した、DNA画分、ヌクレオソーム画分、ヒストン画分、核マトリックス画分を用いたELISAにより認識抗原の決定を行い、DNA画分に特異的に陽性反応を示すハイブリドーマクローンを得る。この後、抗体産生能力及び増殖性が良好なクローンをさらにスクリーニングし、本発明の抗DNAモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得る。
【0011】
本発明の抗DNAモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(mAb D−1−1)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号 FERM P−18913として寄託されている。
上記ハイブリドーマから得られた本発明の抗DNAモノクローナル抗体は、一本鎖、二本鎖DNAに対しても同じように認識することができ、また特別な特異配列認識性は見られなかった。しかし、DNAの長さ選択性を有しており、二本鎖DNAにおいては1000塩基対以上のDNAに対して認識し、500塩基対以下のDNAは全く認識しない。また一本鎖DNAに対しても、1000塩基対以上のDNAを認識する。
【0012】
本発明の抗DNAモノクローナル抗体は、1本鎖あるいは2本鎖DNAの塩基配列に基づかず、これらDNA一般を認識するものであるから、例えばに本発明の抗DNAモノクローナル抗体を使用したアフィニティクロマトを行うことにより、塩基配列の相違によらず、各種細胞破砕物等から1000塩基対以上のgenomic DNAやplasmidDNA等のDNAのみを容易に分離精製できる。極めて汎用性に富む。また、該抗DNA抗体を固定化した金薄膜チップを用いて、外からDNA溶液を加えたときの表面プラズモン共鳴(SPR ; Surface Plasmon Resonance)を測定することにより、本DNA抗体と結合したDNA量を知ることができる。またチップ等の固相上に合成されたDNAに対しては、該抗DNA抗体を反応させた後、反応した抗体量を、2次抗体を用いて間接的に測定するか、もしくは該抗DNA抗体を蛍光標識等でラベルすることにより直接測定することにより各種試料中の一本鎖および二本鎖DNAの定量を行うことができる。
【0013】
本発明の抗DNAモノクローナル抗体は上記用途のほかにも様々な用途に使用できる。これらについて以下に例示する。
(a)自己免疫疾患研究用モデルマウスの作製
ヒト自己免疫疾患、特にSLE患者血清中には、抗DNA抗体が存在していることが知られている。またこれら疾患のモデルマウス(NZB x NZW)F1、MRL、BXSBなどにおいても同様に、血清中に抗DNA抗体が存在している。この血清中の抗DNA抗体量と臨床症状に相関関係があり、抗DNA抗体が自己免疫疾患の何らかの原因になっていると考えられている(Stollar, B. D., FASEB J. (1994), 8, 337−342)。またSLEにおいて見られる抗DNA抗体が、NR2グルタミン酸受容体と反応することが判明し、これによりSLEにおける神経症状が誘起されることが示された(DeGiorgio, L. A. et al., Nature Medicine (2001), 7, 1189−1193)。よって今回樹立された抗DNAモノクローナル抗体をマウスに接種することにより、自己免疫疾患研究用モデルマウスが作成可能となる。
【0014】
(b)細胞毒性物質の評価
培養細胞を、種々の細胞毒性物質で処理すると、細胞が死滅していく。この時死細胞核内から培地中に放出される遺伝子DNAを、本抗DNAモノクローナル抗体を用い、上記の手法で定量することにより、生細胞率(死滅率)を測定することができ、これにより、細胞毒性物質の評価を行うことができる。
【0015】
(c)PCR反応時の偽反応物の生成の防止
PCR法においては、反応時においては偽反応物の生成がしばしば問題になっている。これは多くの場合、一番最初の反応時に、溶液温度が上昇していく途中にプライマーがミスアニールしてしまうことに起因している。そこでTaq polymeraseに対する抗体を用いて不活化させておき、ある一定温度に達すると抗体が外れTaq polymeraseが活性化される方法がとられている。
これに対して、本抗DNAモノクローナル抗体を用いれば、抗体自身が基質DNAを保持しプライマーとのアニーリングを阻害することが可能となる。反応液がある一定温度に達すると抗体が外れ通常のPCR反応を行うことができ、本方法を用いることにより特異性の高いPCR反応を行うことが可能となる。
【0016】
(d)細胞あるいは核内への遺伝子やタンパク等の輸送
近年、SLEマウスより作製された抗DNAモノクローナル抗体やそれに由来するペプチドが、細胞質内や核内に物質を運ぶベクターとして働くことが報告されており(Avrameas, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1998), 95, 5601−5606)、本抗体も同様に物質を細胞内に輸送するキャリアーとして利用することが期待できる。すなわち、本発明の抗DNAモノクローナル抗体は、DNAの塩基配列の特異的認識性がないため、様々な遺伝子やタンパク質等を担持でき、極めて広い汎用性を有するベクターとして、これら遺伝子を細胞あるいは核内へ輸送することを可能とする。
【0017】
(e)本発明の抗DNAモノクローナル抗体の改変による各種DNA抗体の作成
現在、抗体の遺伝子改変による各々特異性が異なる抗体を作成する手段が研究されており、これには、例えば、抗体産生細胞からモノクローナル抗体mRNAを抽出し、抗原認識部位(Variable region)に変異を人工的に導入することにより、抗原の認識性を調節するものがある。本発明のハイブリドーマから得られる抗DNAモノクローナル抗体は、DNA一般を認識し、塩基配列を特異的に認識しないので、本発明のハイブリドーマから抗DNAモノクローナル抗体mRNAを抽出し、変異を加えることにより、種々の特異的塩基配列認識抗体あるいは特異的遺伝子構造認識抗体等のより広い範囲の特異性を有する抗体を作成できる可能性があり、この種の抗体改変技術の研究において、極めて有用な被験試料を提供できる。
【0018】
実施例:
(1)抗原の調製
HeLa細胞1 x 108個を10 mM Tris−HCl (pH 7.5), 10 mM NaCl, 3 mM MgCl溶液に懸濁し、NP−40存在下においてホモジナイズした後1000 x g 5分間の遠心にて核を沈殿として分離精製する。1%ホルムアルデヒド溶液5 ml中に精製した核を懸濁し室温にて20分間反応させることによりDNAを含めた核内構造を固定した。この固定化核画分を2分間超音波破砕によりDNAが平均3 kbpになるくらいまで断片化し、これを抗原として用いた。
【0019】
(2)細胞融合及びクローニング
8週齡雌マウスより脾細胞5 x 108個を調製し、Bossの方法(Boss, B. D. (1984)Brain Res., 291, 193−196)に従いN−acetyl−muramyl−L−alanyl−D−isoglutamine存在下にて、先に調製した抗原を用いてin vitroにて免疫感作を行った。3日間感作培養の後、6 x 107個の脾細胞と6 x 106個の8−アザグアニン耐性マウスミエローマ細胞であるP3U1 (P3−X63−Ag8−U1)とを混合し、遠心後の沈査に50%ポリエチレングリコール(平均分子量4000)を添加し、2分間穏やかに反応させることにより細胞融合を行った。得られたハイブリドーマ含有液を96ウェルマイクロカルチャープレートに植え込み、HAT培地を用いて2週間培養を行った。増殖の認められたウェルの培養上清を採取して酵素免疫測定法(ELISA)によりスクリーニングを行い、抗原として用いたHeLa細胞固定化核全画分に陽性を示したウェルの細胞についてクローニングを行った。ELISA陽性ウェル中の細胞を96ウェルマイクロカルチャープレートに平均1ウェル当り0.1−1個を植え込んだ。培養開始後2週間でコロニーの形成が認められ、こうして得られたコロニーについて上記と同様にスクリーニング及びクローニングを行い、所期の反応性を示す抗体を産生しているハイブリドーマ(クローン)を得た。
【0020】
(3)スクリーニング
上記(2)で得たハイブリドーマのうち、抗DNA抗体を産生する所期のクローンを得るためのスクリーニングは、ELISA法を利用して行った。即ち、抗原に用いた核画分を更にDNA画分、ヌクレオソーム画分、核マトリックス画分、主にヒストンを含む硫酸抽出画分に分画し、それぞれ(10μg/mlの濃度で100μl/ウェル)を96ウェルマイクロプレートに固相化(4℃、一昼夜)させた後に、BSAでブロッキングしたウェルで培養上清を反応させ(室温、90分間)、洗浄後にさらにパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG+IgM抗体を添加して室温で60分間反応させ、次いでo−フェニレンジアミンを基質とした発色系で検出した。
【0021】
(4)抗DNA抗体産生ハイブリドーマの作製及び当該抗DNA抗体の取得
上記(2)により、固定化核抗原認識抗体の産生能を有するハイブリドーマを20クローン樹立することができたが、さらに、上記(3)のスクリーニングを行うことにより、上記DNA画分に対して陽性の抗DNA抗体産生ハイブリドーマは3クローン樹立された。このうちハイブリドーマ増殖性及び抗体産生能におけるバランスの面から最も優れていると考えられるクローンに係るハイブリドーマ(mAb D−1−1(FERM P−18913))を血清無添加培地中もしくはプリスタン投与マウスの腹腔内において増殖させその培養上清もしくは腹水を回収した。これらを硫安塩析後、HPLCハイドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィーにより精製回収し、本発明の抗DNAモノクローナル抗体を得た。
【0022】
(5)抗DNAモノクローナル抗体の特性
(a)抗DNAモノクローナル抗体の基質特異性
種々の濃度のHeLa細胞遺伝子DNA、λファージDNA、pBluescriptSKプラスミドDNA、t−RNAを96ウェルマイクロプレートに固相化(4。C、一昼夜)させた後に、BSAでブロッキングし、抗DNAモノクローナル抗体(1μg/ml)を100μl各ウェルに加えて反応させた(室温、90分間)。洗浄後にさらにパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG+IgM抗体を添加して室温で60分間反応させ、次いでo−フェニレンジアミンを基質とした発色系を用い、492 nmの吸光度を測定した。結果を第1図に示す。図示されるように、本抗DNAモノクローナル抗体はHeLa細胞遺伝子DNAのみならずλファージDNA、プラスミドDNA等も認識することが判明した。以上のことから本抗体はDNA一般を認識しうることが示唆された。
【0023】
(b)一本鎖および二本鎖DNAに対する反応性
5’末端ビオチン化一本鎖及び二本鎖DNA(ヒトβ−グロビン遺伝子由来の長さ1.3kbpDNA断片)溶液(5μg/ml)100μlをストレプトアビジン固相化ELISAプレート中で4°Cにて一昼夜反応させる。BSAでブロッキングしたウェルに精製した様々な濃度の本DNAモノクローナル抗体(50μg/ml−25ng/ml)100μlを加え、室温で1時間反応させ、洗浄後にさらにパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG+IgM抗体を添加して室温で60分間反応させ、次いでo−フェニレンジアミンを基質とした発色系を用い、492 nmの吸光度を測定した。結果を第2図に示す。
図に示されるように、本抗DNAモノクローナル抗体は一本鎖、二本鎖DNAともに同様に認識する。
【0024】
(c)二本鎖DNAの長さに対する反応性
長さ200 bpおきに様々な長さの二本鎖DNA(200 bp Ladder, 宝酒造社製)を[γ−32P]−ATPとT4 Polynucleotide kinaseを用いて5’末端をラベルした。4 ngの32P標識されたDNAと種々の量の本抗DNAモノクローナル抗体(1μg−2μg)を16 mM HEPES (pH 7.5), 150 mM KCl, 16% Glycerol, 1.6 mM MgCl2, 0.8 mM DTT, 0.4 mM PMSF, 0.01% NP−40, 1 mM EDTA溶液中において室温で30分間反応させた後、4%未変成ポリアクリルアミドゲル電気泳動にてDNA・抗体結合物を検出するゲルシフト解析を行った。結果を第3図に示す。これによれば2μgの抗体を用いた場合1000 bp以上の長さのDNAは完全に本抗体と結合していた。以上の結果より本抗DNAモノクローナル抗体は1000 bp以上の長さのDNAを認識している事が判明した。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の抗DNAモノクローナル抗体は、DNAの塩基配列の特異的認識性がなく、DNA一般を識別可能なものであるから、各種DNAの分離精製、定量等、極めて広い範囲の用途に適用可能なものである。また、本発明のハイブリドーマは、上記モノクローナル抗体を効率よく生産可能なものであり、本発明は、細胞、遺伝子操作技術等において極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗DNAモノクローナル抗体のDNA認識性を、各種DNA及びtRNAについて試験した結果を示すグラフである。
【図2】一本鎖DNA及び2本鎖DNAに対する本発明の抗DNAモノクローナル抗体の結合性を試験した結果を示すグラフである。
【図3】各種長さの2本鎖DNAに対する本発明の抗DNAモノクローナル抗体の反応性をゲルシフト解析により試験した結果を示す電気泳動図である。
Claims (2)
- HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原とし、ハイブリドーマ法により得られた抗DNAモノクローナル抗体であって、DNAの塩基配列に対する特異的認識性がなく、かつ、1000塩基対以上の2本鎖DNAを認識する、長さ認識性を有することを特徴とする抗DNAモノクローナル抗体。
- HeLa細胞の核ホルマリン固定化物の破砕物を抗原として、マウス脾細胞を免疫感作して得られた細胞とミエローマ細胞とを融合して得られたものであって、請求項1に記載の抗DNAモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
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