JP2004040925A - 渦電流式減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数が少なく、かつ組み立て作業性に優れた渦電流式減速装置を提供する。
【解決手段】回転軸1に連結された制動ドラム3と、その制動ドラム3の内側で固定側に接続された環状電磁石体6とを備え、上記環状電磁石体6は、複数の電磁石7を環状に連結して形成され、上記電磁石7は、鉄心10と電磁コイル11とを有し、鉄心10は、中心が制動ドラム3の周方向に略沿ったコア部13を備え、上記コア部13の外周に、予めコイル状に巻かれた電磁コイル11をコア部13の他端側から嵌め込み可能としたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】回転軸1に連結された制動ドラム3と、その制動ドラム3の内側で固定側に接続された環状電磁石体6とを備え、上記環状電磁石体6は、複数の電磁石7を環状に連結して形成され、上記電磁石7は、鉄心10と電磁コイル11とを有し、鉄心10は、中心が制動ドラム3の周方向に略沿ったコア部13を備え、上記コア部13の外周に、予めコイル状に巻かれた電磁コイル11をコア部13の他端側から嵌め込み可能としたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に大型車両において補助ブレーキとして使用される渦電流式減速装置に係り、特に、電磁石を用いた渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラック等の大型車両では一般に、補助ブレーキとして渦電流式減速装置(リターダ)が使用されている。
【0003】
渦電流式減速装置には、制動力を発生させる磁力を供給するための磁石として永久磁石を用いるタイプと、電磁石を用いるタイプとがある。
【0004】
永久磁石を用いるタイプは、複数の永久磁石を周方向に支持した磁石支持筒を液圧シリンダ等のアクチュエータにより回動させるなどして作動位置と非作動位置(制動位置と非制動位置)とを切り換える必要がある。これに対して、電磁石を用いるタイプは電磁石の電磁コイルへの通電・非通電を切り換えることで作動・非作動を切り換えることができるため、アクチュエータを必要としないというメリットがある。
【0005】
図10を用いて、電磁石を用いた渦電流式減速装置の一例を説明する。
【0006】
図10(a)は部分正面図であり、図10(b)は上半分を示す側面断面図である。
【0007】
図に示すように、車両の回転軸(例えばプロペラシャフト)50に円筒状の制動ドラム51が連結される。制動ドラム51の内側にはミッションケース(図示せず)等の固定側に接続された円筒状のヨーク52が配置され、そのヨーク52の外周部に複数の電磁石53が周方向に等間隔を隔てて配置される。
【0008】
電磁石53は、ヨーク52の外周部に放射状に設けられたコア(磁心)55と、そのコア55の径方向外側端部に配置され、コア55よりも制動ドラム51の周方向両側及び軸方向両側に突出した磁極片56と、コア55の外周に巻回された電磁コイル57とからなる。磁極片56とコア55とはボルト59によりヨーク52と一体に固定される。
【0009】
各電磁石53は、その電磁コイル57に通電したときに磁化される各磁極片56の極性が交互に異なるように設けられる。
【0010】
制動時には各電磁石53の電磁コイル57に通電され、コア55及び磁極片56が磁化される。そして、N極に磁化された磁極片56からの磁束が制動ドラム51の内部を通って隣接するS極に磁化された磁極片56へと入り、コア55及びヨーク52を通って再びN極に磁化された磁極片56へと戻る。従って、隣接する二つの電磁石53と、制動ドラム51と、ヨーク52との間に図中点線で示す磁気回路wが形成される。回転する制動ドラム51がこの磁気回路wを横切ることによって制動ドラム51内部に渦電流が発生し、制動力が発生する。
【0011】
非制動時には、電磁石53の電磁コイル57への電流は遮断され、コア55及び磁極片56は磁化されない。従って、制動ドラム51に磁束は作用せず、当然、制動力も発生しない。
【0012】
ところで、近年では部品点数低減の目的から、ヨーク52、コア55及び磁極片56を一体化した渦電流式減速装置が提案されている。
【0013】
図11及び図12を用いて、その渦電流式減速装置を説明する。
【0014】
図11に示す渦電流式減速装置は、本出願人が特開2002−95235号公報で開示しているものである。
【0015】
図示するように、この渦電流式減速装置の電磁石60は、環状の鉄心61と電磁コイル62とで構成される。鉄心61は、図10の渦電流式減速装置のヨーク52に相当する環状部63と、その環状部63から径方向外方に突出し、外周部に電磁コイル62が巻回されるコア部64と、コア部64の径方向外側端部に形成され、コア部64より制動ドラム51の周方向両側に突出した磁極片65とを備えている。鉄心61は、環状部63、コア部64及び磁極片65が全て一体的に形成された電磁鋼板61aを複数枚積層して形成される。鉄心61は、ボルト67により固定側に接続された環状の支持部材68に取り付けられる。
【0016】
次に、図12に示す渦電流式減速装置は、本出願人が特開2002−101637号公報で開示しているものである。
【0017】
図示するように、この渦電流式減速装置の電磁石70は、環状の鉄心71と電磁コイル72とで構成される。鉄心71は、制動ドラム51の周方向に沿うように延び、外周部に電磁コイル72が巻回された複数のコア部73と、各コア部73間に形成され、コア部73より径方向外方に突出した磁極片75とを備えている。鉄心71はコア部73及び磁極片75が一体的に形成された電磁鋼板71aを積層して構成される。
【0018】
これら図11及び図12に示す渦電流式減速装置において、電磁石60,70の電磁コイル62,72に通電すると、それぞれ点線で示す磁気回路wが発生し制動ドラム51に制動力が作用する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11及び図12に示した渦電流式減速装置では、電磁コイル62,72を巻回するコア部64,73の両端部が、コア部64,73よりも外側に突出しているため、コア部64,73に予めコイル状に形成した電磁コイルを嵌め込むことができなかった。
【0020】
このため、これら渦電流式減速装置を組み立てる際には、鉄心61,71の各コア部64,73の外周部に導線を巻き付けて一つずつ電磁コイル62,72を形成しなければならず、組み立て作業性が悪かった。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、部品点数が少なく、かつ組み立て作業性に優れた渦電流式減速装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸に連結された制動ドラムと、その制動ドラムの内側で固定側に接続された環状電磁石体とを備え、その環状電磁石体は複数の電磁石を環状に連結して形成され、電磁石は鉄心と電磁コイルとを有し、上記鉄心は、中心が上記制動ドラムの周方向に略沿ったコア部を備え、上記コア部の外周に、予めコイル状に巻かれた電磁コイルをコア部の他端側から嵌め込み可能としたものである。
【0023】
ここで、上記制動ドラムの内側で固定側に接続された支持部材を備え、上記環状電磁石体を構成する上記複数の電磁石が上記支持部材に取り付けられるようにしても良い。
【0024】
また、上記電磁石の上記鉄心は上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向外方に突出した第1連結部と、上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向内方に突出した第2連結部と、上記第1連結部と第2連結部との間に形成された凹部と、上記コア部の他端に一体的に突出形成された第3連結部とを有し、上記各電磁石の上記第1連結部、第2連結部及び第3連結部が上記支持部材に対して固定され、その固定状態において、相隣接する電磁石の一方の電磁石の上記第3連結部が他方の電磁石の上記凹部内に挿入され、両方の電磁石の上記第1連結部及び第2連結部が一方の電磁石の上記コア部外周に配置された上記電磁コイルを挟むように位置されるようにしても良い。
【0025】
また、上記鉄心を電磁鋼板からなる薄板を積層して形成するようにしても良い。
【0026】
また、上記環状電磁石体の径方向中間部に永久磁石を設けても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0028】
図1は本実施形態に係る渦電流式減速装置の部分正面図であり、周方向に連結された電磁石からなる環状電磁石体を示している。図2は環状電磁石体の各電磁石を固定・支持するための支持部材を示した部分正面図である。図3は図1のIII−III線に沿った部分側面断面図である。図4は図1のIV−IV線に沿った部分側面断面図である。
【0029】
図示するように、車両の回転軸(例えばプロペラシャフト)1に対して放射状に突出するように連結された複数の支持腕2に円筒状の制動ドラム3が接続される。制動ドラム3は溶接などにより支持腕2に対して接続される。制動ドラム3の外周面には放熱フィン3aが形成される。制動ドラム3は鉄などの磁性体からなる。
【0030】
本実施形態では、制動ドラム3の内周面の軸方向両端部に銅などの良導体からなる環状体4が結合されている。これにより、制動時に渦電流の軸方向への広がりを促し、制動能力を高めている。
【0031】
制動ドラム3の内側には、ミッションケース(図示せず)等の固定側に接続された円状の支持板(支持部材)5が配置されている。支持板5はアルミニウム等の非磁性体からなる。支持板5の軸方向内側(図3において右側)には環状電磁石体6(図1参照)が支持される。
【0032】
環状電磁石体6は、多数の独立した電磁石7を制動ドラム3の周方向に連結して構成される。各電磁石7はボルト8によって支持板5に固定される。即ち、本実施形態では、複数の電磁石7を支持板5を介して周方向に連結して環状電磁石体6を構成する。
【0033】
図1及び図5に示すように、各電磁石7は、鉄心10と電磁コイル11とからなる。鉄心10は、外周部に電磁コイル11を配置するためのコア部(磁心部)13と、作動時に磁化するための磁極片12とを備えている。
【0034】
図に示すようにコア部13はその中心線Cが制動ドラム3の周方向に略沿うように配置される。より詳しくは、中心線Cが環状電磁石体6の接線方向に延びるように配置される。磁極片12はコア部13の一端(図1において右側端部)の径方向外側端部に一体的に形成され、コア部13よりも径方向外方に突出する。
【0035】
図5に示すように、磁極片12には電磁石7を支持板5に固定するボルト8を挿通させるためのボルト穴9aが形成されている。従って、磁極片12は電磁石7を支持板5に連結するための第1連結部としての機能も有している。
【0036】
コア部13の一端の径方向内側端部には磁極片12とほぼ同形状で径方向内方に突出した第2連結部15が一体的に形成されている。第2連結部15にもボルト8を挿通するためのボルト穴9bが形成されている。
【0037】
コア部13の他端の径方向中間部には、周方向に突出した第3連結部16が一体的に形成されている。第3連結部16にもボルト8を挿通するためのボルト穴9cが形成されている。
【0038】
要するに、各電磁石7は鉄心10のコア部13の一端に形成された磁極片(第1連結部)12及び第2連結部15と、コア部13の他端の径方向中間部に形成された第3連結部16との3ポイントで支持板5に対して固定される。
【0039】
ここで、第3連結部16の外部形状は、コア部13の外縁部よりも外側に突出しないように形成される。言い換えれば、第3連結部16の外縁部はコア部13の外周に配置される電磁コイル11の内縁部よりも小さい。従って、電磁コイル11は各電磁石7を周方向に連結する前であれば、コア部13の他端側からコア部13の外周に対して嵌め込んだり、抜き取ったりできる。つまり、単品の電磁石7を組み立てる際には、予めコイル状に巻いて形成した電磁コイル11をコア部13の外周にその他端側から嵌め込むことが可能である。
【0040】
コア部13の一端側において、磁極片(第1連結部)12と第2連結部15との間には磁極片12及び第2連結部15よりも周方向に窪んだ凹部18が形成される。
【0041】
図1に示すように、各電磁石7は、相隣接する電磁石7の一方の電磁石7の第3連結部16を、他方の(図において左隣の)電磁石7の凹部18内に挿入させて周方向に連結される。この結果、隣接する二つの電磁石7の磁極片(第1連結部)12及び第2連結部15が、一方の電磁石7のコア部13外周に配置された電磁コイル11を周方向両側から挟み込むように位置する。従って、電磁石7を支持板5に固定して周方向に連結し環状電磁石体6を組み立てた後は、電磁コイル11がコア部13の他端側から抜けることはない。
【0042】
各電磁石7は、その電磁コイル11に通電したときに、磁極片12の極性が交互に異なるように配置される(図1参照)。しかしながら、本発明はこの点において限定されず、磁極片12の極性が二つおきに異なるようにしても良い。即ち、電磁コイル11に通電したときに、磁極片12の極性がN,N,S,S,N,N・・・となるようにしても良い。
【0043】
図3に示すように、鉄心10は、電磁鋼板からなる薄板10aを複数枚積層して構成される。
【0044】
図2に示すように、支持板5には、電磁石7の磁極片(第1連結部)12、第2連結部15及び第3連結部16に形成されたボルト穴9a,9b,9cそれぞれに対応するボルト穴20a,20b,20cが形成される。各ボルト穴20a,20b,20cは放射状に配置される。また、支持板5には、電磁石7の電磁コイル11の軸方向端部を収容するための開口部21が形成される。電磁石7を支持板5に取り付けると電磁コイル11の軸方向端部が開口部21から突出する(図4参照)。
【0045】
更に本実施形態では、強度を高める目的から、図3及び図4に示すように、支持板5と反対側から電磁石7を挟み込むように環状の補強板22が設けられている。補強板22は支持板5と同様にアルミニウム等の非磁性体から形成される。また、補強板22にも支持板5と同様にボルト挿通穴(図示せず)及び開口部23が形成される。
【0046】
従って、本実施形態では、ボルト8は支持板5と、鉄心10を構成する各電磁鋼板10aと、補強板22とを一体に固定する。なお、補強板22は本発明に必ずしも必要なものではない。
【0047】
さて、この渦電流式減速装置において、制動時には各電磁石7の電磁コイル11に通電する。すると、鉄心10のコア部13及び磁極片12が磁化され、N極に磁化された磁極片12からの磁束が制動ドラム3の内部を通って隣接するS極に磁化された磁極片12へと入る。従って、隣接する二つの電磁石7と制動ドラム3との間に図1に点線で示す磁気回路Wが形成される。回転する制動ドラム3がこの磁気回路Wを横切ることによって制動ドラム3内部に渦電流が発生し、制動力が発生する。
【0048】
一方、非制動時には、電磁石7の電磁コイル11への電流は遮断され、コア部13及び磁極片12は磁化されない。従って、制動ドラム3に磁束は作用せず、当然、制動力も発生しない。
【0049】
この渦電流式減速装置によれば、各電磁石7の鉄心10がコア部13と磁極片12とを一体化した構造であるため、部品点数が少なくシンプルな構造とすることができる。また、各電磁石7を組み立てる際に、予めコイル状に形成した電磁コイル11をコア部13の他端側から嵌め込むことができるため、組み立て作業性が良い。即ち、組み立て作業性の良さを損なうことなく部品点数を低減できる。
【0050】
また、図11に示した渦電流式減速装置と比較すると、本実施形態の渦電流式減速装置では制動時に電磁石7と制動ドラム3との間で形成される磁気回路Wの経路が短い。従って、制動ドラムに作用する磁力が大きく、高い制動力を得ることができる。
【0051】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
【0052】
まず、図4に点線で示すように、電磁石7の電磁コイル11の外周部を覆うように防熱材30を設けても良い。こうすることで、制動時(電磁コイル11に通電時)に電磁コイル11で発生した熱が制動ドラム3に伝達することを防止できる。制動ドラム3が高温になると変形や歪みを引き起こすおそれがあり好ましくないからである。なお、電磁コイル11を防熱材30で覆うかわりに、電磁コイル11の外周部をモールドしても良い。
【0053】
図6に示した形態も、電磁コイル11で発生した熱が制動ドラム3に伝達されることを防止したものである。この形態では支持板5の最外周部に防熱板31が取り付けられる。電磁石7を支持板5に取り付けると、防熱板31が電磁石7の電磁コイル11の外周部を覆う。図6(b)に示すように、防熱板31には各電磁石7の磁極片12に対応する位置に穴32が形成されており、磁極片12のみが制動ドラム3の内周面と対向する。従って、防熱板31を取り付けても制動力が低下することはない。なお、防熱板31は、必ずしも支持板5に取り付ける必要はなく、防熱板31の穴32を各電磁石7の磁極片12に嵌め込んでロー付け、溶接又は接着などにより取り付けても良い。
【0054】
図7に示した形態は、各電磁石7の磁極片12の径方向外側端部に磁性体からなる磁極部材33を取り付けたものである。磁極部材33は、支持板5、電磁石7の磁極片12及び補強板22の外周部にボルト35を介して取り付けられる。制動時には電磁石7の磁極片12と共に磁極部材33が磁化される。磁極部材33は制動ドラム3の内周面に対してより近接して位置されているため、より高い制動力を得ることができる。なお、磁極部材33の取付方法はボルト締結に限定されず、溶接、接着などを用いても良いことは勿論である。
【0055】
次に、図8に示す形態について説明する。
【0056】
この形態は、より高い制動力を得るために環状電磁石体6の径方向中間部分に永久磁石を設けたものである。具体的には、電磁石7の鉄心10の凹部18の周方向長さを、第3連結部16の周方向長さよりも大きく形成する。従って、各電磁石7を支持板5に取り付けて周方向に連結したときに、凹部18と第3連結部16との間にスペースが形成され、そのスペースに永久磁石37を設ける。永久磁石37は、その永久磁石37から出る磁束の方向と、各電磁石7の電磁コイル11に通電したときに発生する磁束の方向とが一致するように方向付けて配置される。
【0057】
非制動時には、永久磁石37からの磁束は電磁石7の鉄心10内で短絡的磁気回路を形成する。従って、制動ドラム3へその磁束は作用しない。
【0058】
制動時には、電磁石7から出る磁束と永久磁石37から出る磁束の方向が同じであるため、永久磁石37からの磁束も電磁石7からの磁束と同様にN極に磁化された磁極片12から出て制動ドラム3の内部を通りS極に磁化された磁極片12へと入る。この結果、制動ドラム3には、永久磁石37からの磁束と電磁石7からの磁束とが作用することになり、より大きな制動力が発生する。なお、永久磁石37は、各電磁石7の鉄心10のコア部13内部に設けるようにしても良い。
【0059】
次に、図9に示した形態は、支持板5と電磁石7の鉄心10との間にアルミニウムなどの非磁性材からなる磁気遮断部材39を設けたものである。こうすれば、支持部材5を鉄などの磁性体で形成することが可能となり、強度向上を図ることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、部品点数が少なく、かつ組み立て作業性に優れた渦電流式減速装置を提供できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図であり、周方向に連結された電磁石からなる環状電磁石体を示している。
【図2】図1の渦電流式減速装置の部分正面図であり、電磁石を固定するための支持部材を示している。
【図3】図1のIII−III線に沿った部分側面断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った部分側面断面図である。
【図5】電磁石単体の正面図である。
【図6】(a)は、本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図6(a)のVI矢視図である。
【図7】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図10】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図10(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図11】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図11(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図12】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図12(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【符号の説明】
1 回転軸
3 制動ドラム
5 支持部材
6 環状電磁石体
7 電磁石
10 鉄心
10a 電磁鋼板
11 電磁コイル
12 磁極片(第1連結部)
13 コア部
15 第2連結部
16 第3連結部
18 凹部
37 永久磁石
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に大型車両において補助ブレーキとして使用される渦電流式減速装置に係り、特に、電磁石を用いた渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トラック等の大型車両では一般に、補助ブレーキとして渦電流式減速装置(リターダ)が使用されている。
【0003】
渦電流式減速装置には、制動力を発生させる磁力を供給するための磁石として永久磁石を用いるタイプと、電磁石を用いるタイプとがある。
【0004】
永久磁石を用いるタイプは、複数の永久磁石を周方向に支持した磁石支持筒を液圧シリンダ等のアクチュエータにより回動させるなどして作動位置と非作動位置(制動位置と非制動位置)とを切り換える必要がある。これに対して、電磁石を用いるタイプは電磁石の電磁コイルへの通電・非通電を切り換えることで作動・非作動を切り換えることができるため、アクチュエータを必要としないというメリットがある。
【0005】
図10を用いて、電磁石を用いた渦電流式減速装置の一例を説明する。
【0006】
図10(a)は部分正面図であり、図10(b)は上半分を示す側面断面図である。
【0007】
図に示すように、車両の回転軸(例えばプロペラシャフト)50に円筒状の制動ドラム51が連結される。制動ドラム51の内側にはミッションケース(図示せず)等の固定側に接続された円筒状のヨーク52が配置され、そのヨーク52の外周部に複数の電磁石53が周方向に等間隔を隔てて配置される。
【0008】
電磁石53は、ヨーク52の外周部に放射状に設けられたコア(磁心)55と、そのコア55の径方向外側端部に配置され、コア55よりも制動ドラム51の周方向両側及び軸方向両側に突出した磁極片56と、コア55の外周に巻回された電磁コイル57とからなる。磁極片56とコア55とはボルト59によりヨーク52と一体に固定される。
【0009】
各電磁石53は、その電磁コイル57に通電したときに磁化される各磁極片56の極性が交互に異なるように設けられる。
【0010】
制動時には各電磁石53の電磁コイル57に通電され、コア55及び磁極片56が磁化される。そして、N極に磁化された磁極片56からの磁束が制動ドラム51の内部を通って隣接するS極に磁化された磁極片56へと入り、コア55及びヨーク52を通って再びN極に磁化された磁極片56へと戻る。従って、隣接する二つの電磁石53と、制動ドラム51と、ヨーク52との間に図中点線で示す磁気回路wが形成される。回転する制動ドラム51がこの磁気回路wを横切ることによって制動ドラム51内部に渦電流が発生し、制動力が発生する。
【0011】
非制動時には、電磁石53の電磁コイル57への電流は遮断され、コア55及び磁極片56は磁化されない。従って、制動ドラム51に磁束は作用せず、当然、制動力も発生しない。
【0012】
ところで、近年では部品点数低減の目的から、ヨーク52、コア55及び磁極片56を一体化した渦電流式減速装置が提案されている。
【0013】
図11及び図12を用いて、その渦電流式減速装置を説明する。
【0014】
図11に示す渦電流式減速装置は、本出願人が特開2002−95235号公報で開示しているものである。
【0015】
図示するように、この渦電流式減速装置の電磁石60は、環状の鉄心61と電磁コイル62とで構成される。鉄心61は、図10の渦電流式減速装置のヨーク52に相当する環状部63と、その環状部63から径方向外方に突出し、外周部に電磁コイル62が巻回されるコア部64と、コア部64の径方向外側端部に形成され、コア部64より制動ドラム51の周方向両側に突出した磁極片65とを備えている。鉄心61は、環状部63、コア部64及び磁極片65が全て一体的に形成された電磁鋼板61aを複数枚積層して形成される。鉄心61は、ボルト67により固定側に接続された環状の支持部材68に取り付けられる。
【0016】
次に、図12に示す渦電流式減速装置は、本出願人が特開2002−101637号公報で開示しているものである。
【0017】
図示するように、この渦電流式減速装置の電磁石70は、環状の鉄心71と電磁コイル72とで構成される。鉄心71は、制動ドラム51の周方向に沿うように延び、外周部に電磁コイル72が巻回された複数のコア部73と、各コア部73間に形成され、コア部73より径方向外方に突出した磁極片75とを備えている。鉄心71はコア部73及び磁極片75が一体的に形成された電磁鋼板71aを積層して構成される。
【0018】
これら図11及び図12に示す渦電流式減速装置において、電磁石60,70の電磁コイル62,72に通電すると、それぞれ点線で示す磁気回路wが発生し制動ドラム51に制動力が作用する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11及び図12に示した渦電流式減速装置では、電磁コイル62,72を巻回するコア部64,73の両端部が、コア部64,73よりも外側に突出しているため、コア部64,73に予めコイル状に形成した電磁コイルを嵌め込むことができなかった。
【0020】
このため、これら渦電流式減速装置を組み立てる際には、鉄心61,71の各コア部64,73の外周部に導線を巻き付けて一つずつ電磁コイル62,72を形成しなければならず、組み立て作業性が悪かった。
【0021】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、部品点数が少なく、かつ組み立て作業性に優れた渦電流式減速装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸に連結された制動ドラムと、その制動ドラムの内側で固定側に接続された環状電磁石体とを備え、その環状電磁石体は複数の電磁石を環状に連結して形成され、電磁石は鉄心と電磁コイルとを有し、上記鉄心は、中心が上記制動ドラムの周方向に略沿ったコア部を備え、上記コア部の外周に、予めコイル状に巻かれた電磁コイルをコア部の他端側から嵌め込み可能としたものである。
【0023】
ここで、上記制動ドラムの内側で固定側に接続された支持部材を備え、上記環状電磁石体を構成する上記複数の電磁石が上記支持部材に取り付けられるようにしても良い。
【0024】
また、上記電磁石の上記鉄心は上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向外方に突出した第1連結部と、上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向内方に突出した第2連結部と、上記第1連結部と第2連結部との間に形成された凹部と、上記コア部の他端に一体的に突出形成された第3連結部とを有し、上記各電磁石の上記第1連結部、第2連結部及び第3連結部が上記支持部材に対して固定され、その固定状態において、相隣接する電磁石の一方の電磁石の上記第3連結部が他方の電磁石の上記凹部内に挿入され、両方の電磁石の上記第1連結部及び第2連結部が一方の電磁石の上記コア部外周に配置された上記電磁コイルを挟むように位置されるようにしても良い。
【0025】
また、上記鉄心を電磁鋼板からなる薄板を積層して形成するようにしても良い。
【0026】
また、上記環状電磁石体の径方向中間部に永久磁石を設けても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0028】
図1は本実施形態に係る渦電流式減速装置の部分正面図であり、周方向に連結された電磁石からなる環状電磁石体を示している。図2は環状電磁石体の各電磁石を固定・支持するための支持部材を示した部分正面図である。図3は図1のIII−III線に沿った部分側面断面図である。図4は図1のIV−IV線に沿った部分側面断面図である。
【0029】
図示するように、車両の回転軸(例えばプロペラシャフト)1に対して放射状に突出するように連結された複数の支持腕2に円筒状の制動ドラム3が接続される。制動ドラム3は溶接などにより支持腕2に対して接続される。制動ドラム3の外周面には放熱フィン3aが形成される。制動ドラム3は鉄などの磁性体からなる。
【0030】
本実施形態では、制動ドラム3の内周面の軸方向両端部に銅などの良導体からなる環状体4が結合されている。これにより、制動時に渦電流の軸方向への広がりを促し、制動能力を高めている。
【0031】
制動ドラム3の内側には、ミッションケース(図示せず)等の固定側に接続された円状の支持板(支持部材)5が配置されている。支持板5はアルミニウム等の非磁性体からなる。支持板5の軸方向内側(図3において右側)には環状電磁石体6(図1参照)が支持される。
【0032】
環状電磁石体6は、多数の独立した電磁石7を制動ドラム3の周方向に連結して構成される。各電磁石7はボルト8によって支持板5に固定される。即ち、本実施形態では、複数の電磁石7を支持板5を介して周方向に連結して環状電磁石体6を構成する。
【0033】
図1及び図5に示すように、各電磁石7は、鉄心10と電磁コイル11とからなる。鉄心10は、外周部に電磁コイル11を配置するためのコア部(磁心部)13と、作動時に磁化するための磁極片12とを備えている。
【0034】
図に示すようにコア部13はその中心線Cが制動ドラム3の周方向に略沿うように配置される。より詳しくは、中心線Cが環状電磁石体6の接線方向に延びるように配置される。磁極片12はコア部13の一端(図1において右側端部)の径方向外側端部に一体的に形成され、コア部13よりも径方向外方に突出する。
【0035】
図5に示すように、磁極片12には電磁石7を支持板5に固定するボルト8を挿通させるためのボルト穴9aが形成されている。従って、磁極片12は電磁石7を支持板5に連結するための第1連結部としての機能も有している。
【0036】
コア部13の一端の径方向内側端部には磁極片12とほぼ同形状で径方向内方に突出した第2連結部15が一体的に形成されている。第2連結部15にもボルト8を挿通するためのボルト穴9bが形成されている。
【0037】
コア部13の他端の径方向中間部には、周方向に突出した第3連結部16が一体的に形成されている。第3連結部16にもボルト8を挿通するためのボルト穴9cが形成されている。
【0038】
要するに、各電磁石7は鉄心10のコア部13の一端に形成された磁極片(第1連結部)12及び第2連結部15と、コア部13の他端の径方向中間部に形成された第3連結部16との3ポイントで支持板5に対して固定される。
【0039】
ここで、第3連結部16の外部形状は、コア部13の外縁部よりも外側に突出しないように形成される。言い換えれば、第3連結部16の外縁部はコア部13の外周に配置される電磁コイル11の内縁部よりも小さい。従って、電磁コイル11は各電磁石7を周方向に連結する前であれば、コア部13の他端側からコア部13の外周に対して嵌め込んだり、抜き取ったりできる。つまり、単品の電磁石7を組み立てる際には、予めコイル状に巻いて形成した電磁コイル11をコア部13の外周にその他端側から嵌め込むことが可能である。
【0040】
コア部13の一端側において、磁極片(第1連結部)12と第2連結部15との間には磁極片12及び第2連結部15よりも周方向に窪んだ凹部18が形成される。
【0041】
図1に示すように、各電磁石7は、相隣接する電磁石7の一方の電磁石7の第3連結部16を、他方の(図において左隣の)電磁石7の凹部18内に挿入させて周方向に連結される。この結果、隣接する二つの電磁石7の磁極片(第1連結部)12及び第2連結部15が、一方の電磁石7のコア部13外周に配置された電磁コイル11を周方向両側から挟み込むように位置する。従って、電磁石7を支持板5に固定して周方向に連結し環状電磁石体6を組み立てた後は、電磁コイル11がコア部13の他端側から抜けることはない。
【0042】
各電磁石7は、その電磁コイル11に通電したときに、磁極片12の極性が交互に異なるように配置される(図1参照)。しかしながら、本発明はこの点において限定されず、磁極片12の極性が二つおきに異なるようにしても良い。即ち、電磁コイル11に通電したときに、磁極片12の極性がN,N,S,S,N,N・・・となるようにしても良い。
【0043】
図3に示すように、鉄心10は、電磁鋼板からなる薄板10aを複数枚積層して構成される。
【0044】
図2に示すように、支持板5には、電磁石7の磁極片(第1連結部)12、第2連結部15及び第3連結部16に形成されたボルト穴9a,9b,9cそれぞれに対応するボルト穴20a,20b,20cが形成される。各ボルト穴20a,20b,20cは放射状に配置される。また、支持板5には、電磁石7の電磁コイル11の軸方向端部を収容するための開口部21が形成される。電磁石7を支持板5に取り付けると電磁コイル11の軸方向端部が開口部21から突出する(図4参照)。
【0045】
更に本実施形態では、強度を高める目的から、図3及び図4に示すように、支持板5と反対側から電磁石7を挟み込むように環状の補強板22が設けられている。補強板22は支持板5と同様にアルミニウム等の非磁性体から形成される。また、補強板22にも支持板5と同様にボルト挿通穴(図示せず)及び開口部23が形成される。
【0046】
従って、本実施形態では、ボルト8は支持板5と、鉄心10を構成する各電磁鋼板10aと、補強板22とを一体に固定する。なお、補強板22は本発明に必ずしも必要なものではない。
【0047】
さて、この渦電流式減速装置において、制動時には各電磁石7の電磁コイル11に通電する。すると、鉄心10のコア部13及び磁極片12が磁化され、N極に磁化された磁極片12からの磁束が制動ドラム3の内部を通って隣接するS極に磁化された磁極片12へと入る。従って、隣接する二つの電磁石7と制動ドラム3との間に図1に点線で示す磁気回路Wが形成される。回転する制動ドラム3がこの磁気回路Wを横切ることによって制動ドラム3内部に渦電流が発生し、制動力が発生する。
【0048】
一方、非制動時には、電磁石7の電磁コイル11への電流は遮断され、コア部13及び磁極片12は磁化されない。従って、制動ドラム3に磁束は作用せず、当然、制動力も発生しない。
【0049】
この渦電流式減速装置によれば、各電磁石7の鉄心10がコア部13と磁極片12とを一体化した構造であるため、部品点数が少なくシンプルな構造とすることができる。また、各電磁石7を組み立てる際に、予めコイル状に形成した電磁コイル11をコア部13の他端側から嵌め込むことができるため、組み立て作業性が良い。即ち、組み立て作業性の良さを損なうことなく部品点数を低減できる。
【0050】
また、図11に示した渦電流式減速装置と比較すると、本実施形態の渦電流式減速装置では制動時に電磁石7と制動ドラム3との間で形成される磁気回路Wの経路が短い。従って、制動ドラムに作用する磁力が大きく、高い制動力を得ることができる。
【0051】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
【0052】
まず、図4に点線で示すように、電磁石7の電磁コイル11の外周部を覆うように防熱材30を設けても良い。こうすることで、制動時(電磁コイル11に通電時)に電磁コイル11で発生した熱が制動ドラム3に伝達することを防止できる。制動ドラム3が高温になると変形や歪みを引き起こすおそれがあり好ましくないからである。なお、電磁コイル11を防熱材30で覆うかわりに、電磁コイル11の外周部をモールドしても良い。
【0053】
図6に示した形態も、電磁コイル11で発生した熱が制動ドラム3に伝達されることを防止したものである。この形態では支持板5の最外周部に防熱板31が取り付けられる。電磁石7を支持板5に取り付けると、防熱板31が電磁石7の電磁コイル11の外周部を覆う。図6(b)に示すように、防熱板31には各電磁石7の磁極片12に対応する位置に穴32が形成されており、磁極片12のみが制動ドラム3の内周面と対向する。従って、防熱板31を取り付けても制動力が低下することはない。なお、防熱板31は、必ずしも支持板5に取り付ける必要はなく、防熱板31の穴32を各電磁石7の磁極片12に嵌め込んでロー付け、溶接又は接着などにより取り付けても良い。
【0054】
図7に示した形態は、各電磁石7の磁極片12の径方向外側端部に磁性体からなる磁極部材33を取り付けたものである。磁極部材33は、支持板5、電磁石7の磁極片12及び補強板22の外周部にボルト35を介して取り付けられる。制動時には電磁石7の磁極片12と共に磁極部材33が磁化される。磁極部材33は制動ドラム3の内周面に対してより近接して位置されているため、より高い制動力を得ることができる。なお、磁極部材33の取付方法はボルト締結に限定されず、溶接、接着などを用いても良いことは勿論である。
【0055】
次に、図8に示す形態について説明する。
【0056】
この形態は、より高い制動力を得るために環状電磁石体6の径方向中間部分に永久磁石を設けたものである。具体的には、電磁石7の鉄心10の凹部18の周方向長さを、第3連結部16の周方向長さよりも大きく形成する。従って、各電磁石7を支持板5に取り付けて周方向に連結したときに、凹部18と第3連結部16との間にスペースが形成され、そのスペースに永久磁石37を設ける。永久磁石37は、その永久磁石37から出る磁束の方向と、各電磁石7の電磁コイル11に通電したときに発生する磁束の方向とが一致するように方向付けて配置される。
【0057】
非制動時には、永久磁石37からの磁束は電磁石7の鉄心10内で短絡的磁気回路を形成する。従って、制動ドラム3へその磁束は作用しない。
【0058】
制動時には、電磁石7から出る磁束と永久磁石37から出る磁束の方向が同じであるため、永久磁石37からの磁束も電磁石7からの磁束と同様にN極に磁化された磁極片12から出て制動ドラム3の内部を通りS極に磁化された磁極片12へと入る。この結果、制動ドラム3には、永久磁石37からの磁束と電磁石7からの磁束とが作用することになり、より大きな制動力が発生する。なお、永久磁石37は、各電磁石7の鉄心10のコア部13内部に設けるようにしても良い。
【0059】
次に、図9に示した形態は、支持板5と電磁石7の鉄心10との間にアルミニウムなどの非磁性材からなる磁気遮断部材39を設けたものである。こうすれば、支持部材5を鉄などの磁性体で形成することが可能となり、強度向上を図ることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、部品点数が少なく、かつ組み立て作業性に優れた渦電流式減速装置を提供できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図であり、周方向に連結された電磁石からなる環状電磁石体を示している。
【図2】図1の渦電流式減速装置の部分正面図であり、電磁石を固定するための支持部材を示している。
【図3】図1のIII−III線に沿った部分側面断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った部分側面断面図である。
【図5】電磁石単体の正面図である。
【図6】(a)は、本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図6(a)のVI矢視図である。
【図7】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分正面図である。
【図9】本発明の他の実施形態の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図10】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図10(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図11】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図11(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【図12】(a)は、従来の渦電流式減速装置の部分正面図である。
(b)は、図12(a)の渦電流式減速装置の部分側面断面図である。
【符号の説明】
1 回転軸
3 制動ドラム
5 支持部材
6 環状電磁石体
7 電磁石
10 鉄心
10a 電磁鋼板
11 電磁コイル
12 磁極片(第1連結部)
13 コア部
15 第2連結部
16 第3連結部
18 凹部
37 永久磁石
Claims (5)
- 回転軸に連結された制動ドラムと、その制動ドラムの内側で固定側に接続された環状電磁石体とを備え、
上記環状電磁石体は、複数の電磁石を環状に連結して形成され、
上記電磁石は、鉄心と電磁コイルとを有し、
上記鉄心は、中心が上記制動ドラムの周方向に略沿ったコア部を備え、
上記コア部の外周に、予めコイル状に巻かれた電磁コイルをコア部の他端側から嵌め込み可能としたことを特徴とする渦電流式減速装置。 - 上記制動ドラムの内側で固定側に接続された支持部材を備え、
上記環状電磁石体を構成する上記複数の電磁石が上記支持部材に取り付けられる請求項1記載の渦電流式減速装置。 - 上記電磁石の上記鉄心は上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向外方に突出した第1連結部と、上記コア部の一端に一体的に形成されコア部より径方向内方に突出した第2連結部と、上記第1連結部と第2連結部との間に形成された凹部と、上記コア部の他端に一体的に突出形成された第3連結部とを有し、
上記各電磁石の上記第1連結部、第2連結部及び第3連結部が上記支持部材に対して固定され、
その固定状態において、相隣接する電磁石の一方の電磁石の上記第3連結部が他方の電磁石の上記凹部内に挿入され、両方の電磁石の上記第1連結部及び第2連結部が一方の電磁石の上記コア部外周に配置された上記電磁コイルを挟むように位置される請求項2記載の渦電流式減速装置。 - 上記鉄心が、電磁鋼板からなる薄板を積層して形成される請求項1〜3いずれかに記載の渦電流式減速装置。
- 上記環状電磁石体の径方向中間部に永久磁石を設けたことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の渦電流式減速装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007082334A (ja) * | 2005-09-14 | 2007-03-29 | Isuzu Motors Ltd | 渦電流式減速装置 |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002195706A patent/JP2004040925A/ja active Pending
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