JP2004040322A - 無線通信回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】時分割多重接続方式と符号分割多重接続方式とに対応可能であると共に、符号分割多重接続方式の受信信号を常時受信可能であり、且つ符号分割多重接続方式の受信信号の経路の損失を低減できる無線通信回路を実現する。
【解決手段】無線通信回路10は、アンテナ1に接続されたダイプレクサ21と、ダイプレクサ21に接続された2つの高周波スイッチ22,23とを備えている。これらは、GSM方式の送信信号および受信信号、DCS方式の送信信号および受信信号、PCS方式の送信信号および受信信号、ならびにWCDMA方式の送信信号を互いに分離する。無線通信回路10は、更に、アンテナ1とダイプレクサ21との間の信号の経路から分岐するように設けられた分岐経路40と、この分岐経路40に挿入され、WCDMA方式の受信信号を通過させるバンドパスフィルタ41とを備えている。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の無線通信装置において送信信号および受信信号を処理するための無線通信回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話は、第3世代を迎え、単なる通話機能だけではなく、高速データ通信機能をも有することが必須となりつつある。そのため、各国において、高速データ通信を可能にする種々の多重化方式の採用が検討されている。しかしながら、多重化方式の統一は困難な状況である。そのため、携帯電話には、マルチモード(複数方式)およびマルチバンド(複数の周波数帯)に対応することが求められている。
【0003】
例えば、時分割多重接続方式でマルチバンド対応の携帯電話は実用化されている。一方で、近年、大きなデータ通信速度(例えば2Mbps)を実現することができる広帯域符号分割多重接続(以下、WCDMAとも記す。)方式の携帯電話も実用化されている。そこで、時分割多重接続方式の既存の基盤(インフラ)を活かしながらWCDMA方式の通信も利用可能にするために、両方式の通信機能を有するマルチモードおよびマルチバンド対応の携帯電話の実現が求められている。
【0004】
ここで、上述のマルチモードおよびマルチバンド対応の携帯電話のフロントエンド部の構成について考える。このフロントエンド部の構成としては、単純に、従来の時分割多重接続方式でマルチバンド対応の携帯電話のフロントエンド部に、WCDMA方式の通信機能に対応する回路を付加した構成が考えられる。このようなフロントエンド部の構成の一例を図20に示す。図20に示したフロントエンド部は、GSM(Global System for Mobile Communications)方式、DCS(Digital Cellular System)方式およびPCS(Personal Communications Service)方式の3つの時分割多重接続方式の信号の入出力とWCDMA方式の信号の入出力とを行うようになっている。
【0005】
GSM方式の送信信号の周波数帯域は880MHz〜915MHzである。GSM方式の受信信号の周波数帯域は925MHz〜960MHzである。DCS方式の送信信号の周波数帯域は1710MHz〜1785MHzである。DCS方式の受信信号の周波数帯域は1805MHz〜1880MHzである。PCS方式の送信信号の周波数帯域は1850MHz〜1910MHzである。PCS方式の受信信号の周波数帯域は1930MHz〜1990MHzである。WCDMA方式の送信信号の周波数帯域は1920MHz〜1980MHzである。WCDMA方式の受信信号の周波数帯域は2110MHz〜2170MHzである。
【0006】
図20に示したフロントエンド部110は、ダイプレクサ111と、2つの高周波スイッチ112,113とを備えている。ダイプレクサ111は、第1ないし第3のポートと、第1のポートと第2のポートとの間に設けられたローパスフィルタ(図ではLPFと記す。)111Aと、第1のポートと第3のポートとの間に設けられたハイパスフィルタ(図ではHPFと記す。)111Bとを有している。第1のポートは、アンテナ101に接続されている。
【0007】
高周波スイッチ112は、1つの電子的切替接点112aと2つの接点112b,112cとを有している。高周波スイッチ113は、1つの電子的切替接点113aと4つの接点113b,113c,113d,113eとを有している。高周波スイッチ112の電子的切替接点112aは、ダイプレクサ111の第2のポートに接続されている。高周波スイッチ113の電子的切替接点113aは、ダイプレクサ111の第3のポートに接続されている。
【0008】
図20に示したフロントエンド部110は、更に、GSM方式の送信信号GSM/Txの入力端121と、GSM方式の受信信号GSM/Rxの出力端122と、DCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txの入力端123と、DCS方式の受信信号DCS/Rxの出力端124と、PCS方式の受信信号PCS/Rxの出力端125と、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの入力端126と、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの出力端127とを備えている。
【0009】
図20に示したフロントエンド部110は、更に、高周波スイッチ112の接点112bと入力端121との間に設けられたローパスフィルタ131と、高周波スイッチ113の接点113bと入力端123との間に設けられたローパスフィルタ132と、高周波スイッチ113の接点113e、入力端126および出力端127に接続されたデュプレクサ133とを有している。デュプレクサ133は、第1ないし第3のポートと、互いに通過帯域が異なる2つのバンドパスフィルタ(図ではBPFと記す。)133A,133Bを有している。バンドパスフィルタ133Aは第1のポートと第2のポートとの間に設けられ、バンドパスフィルタ133Bは第1のポートと第3のポートとの間に設けられている。第2のポートは入力端126に接続され、第3のポートは出力端127に接続されている。
【0010】
また、図20に示したフロントエンド部110において、高周波スイッチ112の接点112cは出力端122に接続され、高周波スイッチ113の接点113cは出力端124に接続され、高周波スイッチ113の接点113dは出力端125に接続されている。
【0011】
図20に示したフロントエンド部110のうち、高周波スイッチ113の接点113e、デュプレクサ133、入力端126および出力端127を除いた部分120の構成は、GSM方式、DCS方式およびPCS方式の3つの時分割多重接続方式に対応した従来の携帯電話のフロントエンド部の構成と同様である。
【0012】
図20に示したフロントエンド部110では、電子的切替接点112aが接点112bに接続された状態においてGSM方式の送信信号GSM/Txの送信が可能になり、電子的切替接点112aが接点112cに接続された状態においてGSM方式の受信信号GSM/Rxの受信が可能になる。また、このフロントエンド部110では、電子的切替接点113aが接点113bに接続された状態においてDCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txの送信が可能になり、電子的切替接点113aが接点113cに接続された状態においてDCS方式の受信信号DCS/Rxの受信が可能になり、電子的切替接点113aが接点113dに接続された状態においてPCS方式の受信信号PCS/Rxの受信が可能になる。また、このフロントエンド部110では、電子的切替接点113aが接点113eに接続された状態においてWCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの送信とWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの受信とが可能になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、時分割多重接続方式とWCDMA方式の両方式の通信機能を有する携帯電話では、WCDMA方式のデータ通信速度が大きいという利点を活かして、WCDMA方式の信号を用いてデータを受信しながら、時分割多重接続方式の信号を用いて通話を行うことができる機能を持たせることが考えられる。そのためには、WCDMA方式の受信信号を常時受信可能な状態にしておく必要がある。
【0014】
しかしながら、図20に示したフロントエンド部110では、常時、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを受信可能な状態にしておくことはできず、上述の機能を実現することはできない。
【0015】
また、図20に示したフロントエンド部110では、アンテナ101からWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの出力端127までの信号の経路中に、ダイプレクサ111、高周波スイッチ113およびデュプレクサ133が存在している。一般的に、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域において、ダイプレクサ111の挿入損失の最大値は0.5dB程度、高周波スイッチ113の挿入損失の最大値は1.0dB程度、デュプレクサ133の挿入損失の最大値は2.5dB程度である。従って、上記経路の挿入損失の最大値は、少なくとも4.0dB程度になってしまう。これに、上記経路中の伝送線路による損失や上記経路中の各部品間の不整合による損失が加わると、上記経路の挿入損失の最大値は、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxに要求される感度が得られなくなるような大きな値になる可能性がある。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、時分割多重接続方式と符号分割多重接続方式とに対応可能であると共に、符号分割多重接続方式の受信信号を常時受信可能であり、且つ符号分割多重接続方式の受信信号の経路の損失を低減できるようにした無線通信回路を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信回路は、アンテナに接続され、1以上の時分割多重接続方式の送信信号および受信信号と符号分割多重接続方式の送信信号および受信信号を処理するための回路であって、
信号の経路を切り換えるためのスイッチを含み、アンテナに接続され、時分割多重接続方式の送信信号、時分割多重接続方式の受信信号および符号分割多重接続方式の送信信号を互いに分離する分離手段と、
アンテナとスイッチとの間の信号の経路から分岐するように設けられた分岐経路と、
分岐経路に挿入され、符号分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタとを備えたものである。
【0018】
本発明の無線通信回路では、アンテナとスイッチとの間の信号の経路から分岐するように分岐経路が設けられ、この分岐経路に、符号分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタが挿入されている。従って、この無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号を常時受信可能であり、且つ符号分割多重接続方式の受信信号の経路の損失を低減することができる。
【0019】
本発明の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た分岐経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であってもよい。
【0020】
また、本発明の無線通信回路では、時分割多重接続方式の送信信号、時分割多重接続方式の受信信号および符号分割多重接続方式の送信信号の各周波数帯域において、アンテナから見た分岐経路の規格化インピーダンスは、その抵抗分の値が0.2以上であることと、そのリアクタンス分の値が0.5以上または−0.5以下であることの少なくとも一方を満たすものであってもよい。この場合、無線通信回路は、更に、分岐経路において、フィルタよりもアンテナに近い位置に設けられ、分岐経路の規格化インピーダンスを調整するインピーダンス調整手段を備えていてもよい。インピーダンス調整手段は、分布定数線路を含んでいてもよい。また、インピーダンス調整手段は、リアクタンス素子を含んでいてもよい。
【0021】
また、本発明の無線通信回路では、時分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であってもよい。
【0022】
また、本発明の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上であってもよい。
【0023】
また、本発明の無線通信回路では、時分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の受信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であってもよい。
【0024】
また、本発明の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の受信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上の値であってもよい。
【0025】
また、本発明の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、アンテナから見た符号分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であってもよい。
【0026】
また、本発明の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た符号分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上であってもよい。
【0027】
また、本発明の無線通信回路は、更に、時分割多重接続方式の送信信号の経路に挿入され、時分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタと、時分割多重接続方式の受信信号の経路に挿入され、時分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタと、符号分割多重接続方式の送信信号の経路に挿入され、符号分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタのうちの少なくとも1つを備えていてもよい。また、本発明の無線通信回路では、全ての構成要素が集積化されていてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例について説明する。この携帯電話は、GSM方式、DCS方式およびPCS方式の3つの時分割多重接続方式と、WCDMA方式とに対応可能な携帯電話である。
【0029】
図1に示した高周波回路は、アンテナ1と、このアンテナ1に接続された本実施の形態に係る無線通信回路10と、この無線通信回路10に接続されたアンプ部11と、このアンプ部11に接続された集積回路12とを備えている。無線通信回路10は、上記の4つの方式の送信信号および受信信号を処理する回路である。集積回路12は、主に信号の変調および復調を行う回路である。アンプ部11は、無線通信回路10より出力された受信信号を増幅して集積回路12に送るローノイズアンプや、集積回路12より出力された送信信号を増幅して無線通信回路10に送るパワーアンプ等を有している。
【0030】
次に、本実施の形態に係る無線通信回路10の構成について詳しく説明する。無線通信回路10は、ダイプレクサ21と、信号の経路を切り換えるための2つの高周波スイッチ22,23とを備えている。ダイプレクサ21は、第1ないし第3のポートと、第1のポートと第2のポートとの間に設けられたローパスフィルタ(図ではLPFと記す。)21Aと、第1のポートと第3のポートとの間に設けられたハイパスフィルタ(図ではHPFと記す。)21Bとを有している。第1のポートは、分布定数線路31を介してアンテナ1に接続されている。
【0031】
ローパスフィルタ21Aは、GSM方式の送信信号GSM/Txと、GSM方式の受信信号GSM/Rxとを通過させる。ハイパスフィルタ21Bは、DCS方式の送信信号DCS/Tx、DCS方式の受信信号DCS/Rx、PCS方式の送信信号PCS/Tx、PCS方式の受信信号PCS/RxおよびWCDMA方式の送信信号WCDMA/Txを通過させる。
【0032】
高周波スイッチ22は、1つの電子的切替接点22aと2つの接点22b,22cとを有している。高周波スイッチ23は、1つの電子的切替接点23aと3つの接点23b,23c,23dとを有している。高周波スイッチ22の電子的切替接点22aは、分布定数線路32を介して、ダイプレクサ21の第2のポートに接続されている。高周波スイッチ23の電子的切替接点23aは、分布定数線路33を介して、ダイプレクサ21の第3のポートに接続されている。
【0033】
無線通信回路10は、更に、GSM方式の送信信号GSM/Txを通過させるローパスフィルタ24と、GSM方式の受信信号GSM/Rxを通過させるバンドパスフィルタ(図では、BPFと記す。)25と、DCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txを通過させるローパスフィルタ26と、DCS方式の受信信号DCS/Rxを通過させるバンドパスフィルタ27と、PCS方式の受信信号PCS/Rxを通過させるバンドパスフィルタ28と、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txを通過させるバンドパスフィルタ29とを備えている。
【0034】
ローパスフィルタ24の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路34を介して高周波スイッチ22の接点22bに接続されている。バンドパスフィルタ25の入力端は分布定数線路35を介して高周波スイッチ22の接点22cに接続され、出力端はアンプ部11に接続されている。
【0035】
ローパスフィルタ26の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路36を介して高周波スイッチ23の接点23bに接続されている。バンドパスフィルタ27の入力端およびバンドパスフィルタ28の入力端は、分布定数線路37を介して高周波スイッチ23の接点23cに接続されている。バンドパスフィルタ27の出力端およびバンドパスフィルタ28の出力端は、アンプ部11に接続されている。バンドパスフィルタ29の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路39を介して高周波スイッチ23の接点23dに接続されている。
【0036】
無線通信回路10は、更に、アンテナ1とダイプレクサ21との間の信号の経路のうち、アンテナ1と分布定数線路31との間から分岐するように設けられた分岐経路40と、この分岐経路40に挿入され、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ41と、分岐経路40において、バンドパスフィルタ41よりもアンテナ1に近い位置に設けられた分布定数線路42とを備えている。バンドパスフィルタ41の入力端は分布定数線路42に接続され、出力端はアンプ部11に接続されている。
【0037】
無線通信回路10において、ダイプレクサ21およびスイッチ22,23は、本発明における分離手段に対応する。また、分布定数線路42は、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスを調整するために、その長さが調整される。分布定数線路42は、本発明におけるインピーダンス調整手段に対応する。また、分布定数線路31〜39は、アンテナ1から見た、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の各信号の経路のインピーダンスを調整するために、その長さが調整される。
【0038】
無線通信回路10は、例えば多層基板によって、全ての構成要素が集積化されて、モジュール化されていてもよい。あるいは、例えば多層基板によって、無線通信回路10の一部を構成する複数の構成要素が集積化されて、これらがモジュール化されていてもよい。多層基板は、誘電体層と、パターン化された導体層とが交互に積層された構造になっている。無線通信回路10は、多層基板の内部および表面上の導体層と、多層基板に搭載された素子とによって構成することができる。多層基板は、例えば、低温焼成セラミック多層基板でもよいし、誘電体層の材料に樹脂を用いた多層基板でもよい。
【0039】
無線通信回路10中のハイパスフィルタやローパスフィルタは、例えば、多層基板の内部の導体層を用いて構成することができる。
【0040】
無線通信回路10中のバンドパスフィルタは、例えば同軸誘電体形のものでもよいが、弾性表面波素子あるいは薄膜圧電共振子を用いたものであることが好ましい。弾性表面波素子あるいは薄膜圧電共振子を用いたバンドパスフィルタは、小型および軽量であると共に容易に多層基板に実装することができる。従って、弾性表面波素子あるいは薄膜圧電共振子を用いたバンドパスフィルタを用いることにより、バンドパスフィルタを含めた無線通信回路10全体を、容易にモジュール化することができ、且つ小型化することができる。
【0041】
スイッチ22,23は、例えばpinダイオードを用いたものでもよいし、ガリウムひ素を使用して構成された電界効果トランジスタを用いたものでもよい。
【0042】
分布定数線路31〜39,42は、例えば、多層基板の内部の導体層を用いて構成されたストリップ線路であってもよい。
【0043】
次に、本実施の形態に係る無線通信回路10の作用について説明する。この無線通信回路10では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ41は、常時、アンテナ1に接続されている。従って、この無線通信回路10では、常時、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを受信可能な状態になっている。アンテナ1によって受信されたWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxは、バンドパスフィルタ41を通過してアンプ部11に入力される。他の方式の受信信号は、バンドパスフィルタ41で遮断される。
【0044】
WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号については、以下に示すように、高周波スイッチ22,23の状態に応じて送信または受信が可能になる。
【0045】
高周波スイッチ22の電子的切替接点22aが接点22bに接続された状態では、GSM方式の送信信号GSM/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号GSM/Txは、ローパスフィルタ24、スイッチ22およびローパスフィルタ21Aを通過して、アンテナ1に供給される。
【0046】
高周波スイッチ22の電子的切替接点22aが接点22cに接続された状態では、GSM方式の受信信号GSM/Rxの受信が可能になる。アンテナ1によって受信された受信信号GSM/Rxは、ローパスフィルタ21A、スイッチ22およびバンドパスフィルタ25を通過して、アンプ部11に入力される。
【0047】
高周波スイッチ23の電子的切替接点23aが接点23bに接続された状態では、DCS方式の送信信号DCS/TxまたはPCS方式の送信信号PCS/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号DCS/Txまたは送信信号PCS/Txは、ローパスフィルタ26、スイッチ23およびハイパスフィルタ21Bを通過して、アンテナ1に供給される。
【0048】
高周波スイッチ23の電子的切替接点23aが接点23cに接続された状態では、DCS方式の受信信号DCS/RxまたはPCS方式の受信信号PCS/Rxの受信が可能になる。アンテナ1によって受信された受信信号DCS/Rxは、ハイパスフィルタ21B、スイッチ23およびバンドパスフィルタ27を通過して、アンプ部11に入力される。また、アンテナ1によって受信された受信信号PCS/Rxは、ハイパスフィルタ21B、スイッチ23およびバンドパスフィルタ28を通過して、アンプ部11に入力される。
【0049】
高周波スイッチ23の電子的切替接点23aが接点23dに接続された状態では、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号WCDMA/Txは、バンドパスフィルタ29、スイッチ23およびハイパスフィルタ21Bを通過して、アンテナ1に供給される。
【0050】
次に、本実施の形態におけるバンドパスフィルタ41を含む分岐経路40のインピーダンス特性について説明する。まず、図2を参照して、以下の説明で使用する規格化インピーダンスのスミスチャート(以下、単にスミスチャートと言う。)について説明する。図2に示したスミスチャートは、反射係数と規格化インピーダンスとの関係を表わしている。なお、規格化インピーダンスとは、線路の特性インピーダンスで規格化された負荷のインピーダンスである。
【0051】
ここで、反射係数をΓで表わす。反射係数Γは、複素数であり、実数分Uと虚数分Vとを用いて、以下の式で表わされる。なお、“j”は√(−1)を表わす。
【0052】
Γ=U+jV
【0053】
図2に示したスミスチャートにおいて、横軸は反射係数Γの実数分Uを示し、縦軸は反射係数Γの虚数分Vを示している。
【0054】
一方、規格化インピーダンスZは、抵抗分Rとリアクタンス分Xとを用いて、以下の式で表わされる。
【0055】
Z=R+jX
【0056】
図2に示したスミスチャートにおいて、横軸上に中心が配置された円群は、規格化インピーダンスZの抵抗分Rが一定の軌跡を示し、これらの円群に直交する曲線群は、規格化インピーダンスZのリアクタンス分Xが一定の軌跡を示している。
【0057】
図2に示したスミスチャートにおいて、R=1、X=0(U=0、V=0)の点(真中の点)は、負荷のインピーダンスが線路の特性インピーダンス(例えば50Ω)に等しく、線路と負荷の境界で信号の反射が生じない状態を表わす。また、R=0、X=0(U=−1、V=0)の点(左端の点)は、負荷側が短絡されている状態を表わす。また、R=∞、X=0(U=1、V=0)の点(右端の点)は、負荷側が開放されている状態を表わす。
【0058】
無線通信回路10において、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxは、分岐経路40に対して、無反射に近い状態で入力されるようにする必要がある。そのため、本実施の形態では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域2110MHz〜2170MHzにおいて、アンテナ1から見た分岐経路40の反射係数の絶対値|Γ|が、0〜0.3の範囲内の値となるようにする。これを第1の要件とする。
【0059】
本実施の形態では、分岐経路40は常時、アンテナ1に接続されている。そのため、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号(以下、他の信号とも言う。)の周波数帯域において、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスが、R=0およびX=0で表わされる値に近い値となる周波数が存在する場合には、その周波数において他の信号の電力の損失が大きくなり、結果的に他の信号の減衰が大きくなる。従って、他の信号の周波数帯域において、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスは、R=0およびX=0で表わされる値に近い値にならないようにする必要がある。そのため、本実施の形態では、他の信号の周波数帯域において、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスは、その抵抗分Rの値が0.2以上であることと、そのリアクタンス分Xの値が0.5以上または−0.5以下であることの少なくとも一方を満たす値とする。これを第2の要件とする。
【0060】
図2のスミスチャート中の曲線は、上記の第1および第2の要件を満たす分岐経路40のインピーダンス特性の一例を示している。この例では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域2110MHz〜2170MHzにおいて、アンテナ1から見た分岐経路40の反射係数の絶対値|Γ|は、0〜0.3の範囲内の値となっている。すなわち、この例は第1の要件を満たしている。また、この例では、1990MHz以下の周波数範囲において、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスは、その抵抗分Rの値が0.2以上であることと、そのリアクタンス分Xの値が0.5以上または−0.5以下であることの少なくとも一方を満たす値となっている。すなわち、この例は第2の要件を満たしている。なお、図2には、抵抗分Rの値が0〜0.2の範囲内の値で且つリアクタンス分Xの値が−0.5〜0.5の範囲内の値となる領域にハッチングを付している。以下、この領域を記号Aで表わす。第2の要件を満たすには、他の周波数帯域におけるインピーダンスが領域A内に入らないようにすればよい。
【0061】
以下、上記の第1および第2の要件を満たす分岐経路40のインピーダンス特性を実現するためのいくつかの方法について説明する。
【0062】
第1の方法は、バンドパスフィルタ41のインピーダンス特性を、例えば図2に示したような、第1および第2の要件を満たす特性とし、分布定数線路42による分岐経路40のインピーダンス特性の変化を十分に小さくする方法である。
【0063】
第2の方法は、バンドパスフィルタ41のインピーダンス特性だけでは、分岐線路40のインピーダンス特性が第1および第2の要件を満たす特性とはならない場合に、分布定数線路42の長さを調整することによって、第1および第2の要件を満たすように分岐経路40のインピーダンス特性を調整する方法である。
【0064】
図3は、第1および第2の要件を満たさないバンドパスフィルタ41のインピーダンス特性の一例を示している。図4は、図3に示した特性のバンドパスフィルタ41を用い、分布定数線路42の長さを調整することによって、第1および第2の要件を満たすように調整された分岐経路40のインピーダンス特性の一例を示している。図4に示した例では、GSM方式の受信信号GSM/Rxの周波数帯域とDCS方式の送信信号DCS/Txの周波数帯域との間の960MHz〜1710MHzの周波数範囲のうちの一部の周波数におけるインピーダンスは、領域A内に入っている。しかし、図4に示した例では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外のいずれの信号の周波数帯域におけるインピーダンスも領域A内には入っていない。
【0065】
図4に示したように、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外のいずれの信号の周波数帯域におけるインピーダンスも領域A内に入らないようにすれば、通信に使用されない周波数範囲におけるインピーダンスは領域A内に入っていてもよい。従って、例えば、GSM方式の送信信号GSM/Txの周波数帯域よりも低い周波数範囲、例えば600MHz以下の周波数範囲におけるインピーダンスが領域A内に入っていてもよい。
【0066】
第3の方法は、バンドパスフィルタ41のインピーダンス特性だけでは第1および第2の要件を満たす特性とはならない場合に、分岐経路40中のバンドパスフィルタ41よりもアンテナ1に近い位置にリアクタンス素子を設け、このリアクタンス素子によって、分岐経路40のインピーダンス特性を調整する方法である。
【0067】
図5は、上記リアクタンス素子の一例を示している。この例では、リアクタンス素子として、バンドパスフィルタ41に対して直列に接続されたキャパシタ51と、一端が分岐経路40中のキャパシタ51よりもアンテナ1に近い位置に接続され、他端が接地されたインダクタ52とが設けられている。
【0068】
図6は、図3に示した特性のバンドパスフィルタ41と、図5に示したキャパシタ51およびインダクタ52とを用いて、第1および第2の要件を満たすように調整された分岐経路40のインピーダンス特性の一例を示している。
【0069】
なお、分岐経路40のインピーダンス特性を調整するためのリアクタンス素子は、キャパシタとインダクタの一方だけでもよい。また、リアクタンス素子の配置は、図5に示した配置に限らない。また、分布定数線路42とリアクタンス素子の両方を用いて、分岐経路40のインピーダンス特性を調整してもよい。
【0070】
次に、本実施の形態におけるWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号(他の信号)の経路(以下、他の経路とも言う。)のインピーダンス特性について説明する。無線通信回路10において、スイッチ22,23によって、他の経路が形成されたときに、他の信号は、その信号の経路とアンテナ1との間で、無反射に近い状態で入出力されるようにする必要がある。そのため、本実施の形態では、他の信号の周波数帯域において、アンテナ1から見た他の経路の反射係数の絶対値|Γ|が、0〜0.3の範囲内の値となるようにする。これを第3の要件とする。
【0071】
本実施の形態では、分岐経路40は常時、アンテナ1に接続されている。そのため、他の経路が形成されたときに、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域において、アンテナ1から見た他の経路の規格化インピーダンスが小さいと、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの減衰が大きくなってしまう。従って、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域において、アンテナ1から見た他の経路の規格化インピーダンスは、ある程度大きくする必要がある。そのため、本実施の形態では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域において、アンテナ1から見た他の経路の規格化インピーダンスの抵抗分Rの値を2以上とする。これを第4の要件とする。
【0072】
また、本実施の形態では、分布定数線路31〜39の各長さを調整することによって、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の全て信号の経路について上記第3および第4の要件を満たすように、各経路のインピーダンス特性を調整する。
【0073】
ここで、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの経路を例にとって、他の経路のインピーダンス特性の調整の方法について説明する。図7は、第3および第4の要件を満たさないバンドパスフィルタ29のインピーダンス特性の一例を示している。図8は、図7に示した特性のバンドパスフィルタ29を用い、分布定数線路31,33,39の各長さを調整することによって、第3および第4の要件を満たすように調整された、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの経路のインピーダンス特性の一例を示している。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態に係る無線通信回路10は、GSM方式、DCS方式およびPCS方式の3つの時分割多重接続方式と、WCDMA方式とに対応可能である。また、本実施の形態では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ41は、常時、アンテナ1に接続されている。従って、本実施の形態によれば、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを常時受信することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、バンドパスフィルタ41とアンテナ1との間に、他のフィルタやスイッチが存在しないため、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの経路(分岐経路40)の損失は、ほとんどバンドパスフィルタ41のみによるものとなる。従って、本実施の形態によれば、図20に示した構成に比べて、受信信号WCDMA/Rxの経路の損失を低減することができる。例えば、本実施の形態によれば、受信信号WCDMA/Rxの経路の挿入損失の最大値を2.5dB程度にまで小さくすることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、第1および第2の要件を満たすように分岐経路40のインピーダンス特性を調整している。従って、本実施の形態によれば、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを、分岐経路40に対して無反射に近い状態で入力させることができると共に、他の信号の減衰を抑制することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の全て信号の経路について、第3および第4の要件を満たすようにインピーダンス特性を調整している。従って、本実施の形態によれば、他の信号を、その信号の経路とアンテナ1との間で、無反射に近い状態で入出力させることができると共に、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの減衰を抑制することができる。
【0078】
また、本実施の形態では、無線通信回路10は、各信号を通過させるフィルタ24〜29を含んでいる。従って、本実施の形態によれば、無線通信回路10内において、各フィルタ24〜29,41の特性を含めて、各信号の経路のインピーダンス特性を最適化することができる。
【0079】
ところで、無線通信回路10のうち、各信号を通過させるフィルタ24〜29,41以外の部分をモジュール化した場合には、モジュールと各フィルタとを接続する際に、各信号の経路のインピーダンス特性を調整する必要がある。これに対し、無線通信回路10全体をモジュール化した場合には、モジュール内だけで、各フィルタ24〜29,41の特性を含めて、各信号の経路のインピーダンス特性を最適化することができる。従って、この場合には、無線通信回路10の設計が容易になると共に、モジュールと他の回路との接続も容易になる。
【0080】
また、多層基板を用いて無線通信回路10全体をモジュール化した場合には、個別の部品を用いて無線通信回路10を構成する場合に比べて、例えば占有面積が3分の1程度になるように、無線通信回路10を小型化することができる。
【0081】
また、本実施の形態において、無線通信回路10とアンプ部11の少なくとも一部とを含めてモジュール化してもよい。
【0082】
[第2の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信回路について説明する。図9は、本実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
本実施の形態に係る無線通信回路10は、信号の経路を切り換えるための高周波スイッチ61を備えている。高周波スイッチ61は、1つの電子的切替接点61aと3つの接点61b,61c,61dとを有している。電子的切替接点61aは、分布定数線路71を介してアンテナ1に接続されている。
【0084】
無線通信回路10は、更に、ローパスフィルタ62,66,67と、ハイパスフィルタ63,68と、バンドパスフィルタ64,65,69,70を備えている。ローパスフィルタ62の出力端およびハイパスフィルタ63の入力端は、分布定数線路72を介して、スイッチ61の接点61bに接続されている。ローパスフィルタ62の入力端はアンプ部11に接続されている。ローパスフィルタ62は、GSM方式の送信信号GSM/Txを通過させる。
【0085】
バンドパスフィルタ64,65の各入力端は、分布定数線路73を介して、ハイパスフィルタ63の出力端に接続されている。バンドパスフィルタ64,65の各出力端はアンプ部11に接続されている。バンドパスフィルタ64は、DCS方式の受信信号DCS/Rxを通過させる。バンドパスフィルタ65は、PCS方式の受信信号PCS/Rxを通過させる。
【0086】
ローパスフィルタ66の出力端は、分布定数線路73を介して、スイッチ61の接点61cに接続されている。ローパスフィルタ66の入力端はアンプ部11に接続されている。ローパスフィルタ66は、DCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txを通過させる。
【0087】
ローパスフィルタ67の入力端およびハイパスフィルタ68の出力端は、分布定数線路75を介して、スイッチ61の接点61dに接続されている。バンドパスフィルタ69の入力端は、分布定数線路76を介して、ローパスフィルタ67の出力端に接続されている。バンドパスフィルタ69の出力端はアンプ部11に接続されている。バンドパスフィルタ69は、GSM方式の受信信号GSM/Rxを通過させる。バンドパスフィルタ70の出力端は、分布定数線路77を介して、ハイパスフィルタ68の入力端に接続されている。バンドパスフィルタ70の入力端はアンプ部11に接続されている。バンドパスフィルタ70は、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txを通過させる。
【0088】
無線通信回路10は、更に、アンテナ1とスイッチ61との間の信号の経路のうち、アンテナ1と分布定数線路71との間から分岐するように設けられた分岐経路40と、この分岐経路40に挿入され、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ41と、分岐経路40において、バンドパスフィルタ41よりもアンテナ1に近い位置に設けられた分布定数線路42とを備えている。バンドパスフィルタ41の入力端は分布定数線路42に接続され、出力端はアンプ部11に接続されている。
【0089】
本実施の形態に係る無線通信回路10において、スイッチ61およびフィルタ62,63,64,65,67,68は、本発明における分離手段に対応する。分布定数線路42は、アンテナ1から見た分岐経路40の規格化インピーダンスを調整するために、その長さが調整される。分布定数線路42は、本発明におけるインピーダンス調整手段に対応する。また、分布定数線路71〜77は、アンテナ1から見た、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の各信号の経路のインピーダンスを調整するために、その長さが調整される。
【0090】
第1の実施の形態と同様に、無線通信回路10は、例えば多層基板によって、全ての構成要素が集積化されて、モジュール化されていてもよい。あるいは、例えば多層基板によって、無線通信回路10の一部を構成する複数の構成要素が集積化されて、これらがモジュール化されていてもよい。
【0091】
次に、本実施の形態に係る無線通信回路10の作用について説明する。この無線通信回路10では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ41は、常時、アンテナ1に接続されている。従って、この無線通信回路10では、常時、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを受信可能な状態になっている。アンテナ1によって受信されたWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxは、バンドパスフィルタ41を通過してアンプ部11に入力される。他の方式の受信信号は、バンドパスフィルタ41で遮断される。
【0092】
WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号については、以下に示すように、高周波スイッチ61の状態に応じて送信または受信が可能になる。
【0093】
高周波スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61bに接続された状態では、GSM方式の送信信号GSM/Txの送信、DCS方式の受信信号DCS/Rxの受信またはPCS方式の受信信号PCS/Rxの受信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号GSM/Txは、ローパスフィルタ62およびスイッチ61を通過して、アンテナ1に供給される。アンテナ1によって受信された受信信号DCS/Rxは、スイッチ61、ハイパスフィルタ63およびバンドパスフィルタ64を通過して、アンプ部11に入力される。また、アンテナ1によって受信された受信信号PCS/Rxは、スイッチ61、ハイパスフィルタ63およびバンドパスフィルタ65を通過して、アンプ部11に入力される。
【0094】
高周波スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61cに接続された状態では、DCS方式の送信信号DCS/TxまたはPCS方式の送信信号PCS/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号DCS/Txまたは送信信号PCS/Txは、ローパスフィルタ66およびスイッチ61を通過して、アンテナ1に供給される。
【0095】
高周波スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61dに接続された状態では、GSM方式の受信信号GSM/Rxの受信またはWCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの送信が可能になる。アンテナ1によって受信された受信信号GSM/Rxは、スイッチ61、ローパスフィルタ67およびバンドパスフィルタ69を通過して、アンプ部11に入力される。アンプ部11より出力された送信信号WCDMA/Txは、バンドパスフィルタ70、ハイパスフィルタ68およびスイッチ61を通過して、アンテナ1に供給される。
【0096】
本実施の形態において、バンドパスフィルタ41を含む分岐経路40のインピーダンス特性は、第1の実施の形態と同様に、第1および第2の要件を満たすように調整される。また、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号の経路については、分布定数線路71〜77の各長さを調整することによって、第1の実施の形態と同様に、第3および第4の要件を満たすようにインピーダンス特性が調整される。
【0097】
ここで、図10ないし図18に、上述のようにインピーダンス特性が調整された各経路毎の挿入損失の周波数特性の一例を示す。図10は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61bに接続された状態におけるWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの経路(分岐経路40)の特性を示している。図11は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61bに接続された状態におけるGSM方式の送信信号GSM/Txの経路の特性を示している。図12は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61bに接続された状態におけるDCS方式の受信信号DCS/Rxの経路の特性を示している。図13は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61bに接続された状態におけるPCS方式の受信信号PCS/Rxの経路の特性を示している。
【0098】
図14は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61cに接続された状態におけるWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの経路(分岐経路40)の特性を示している。図15は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61cに接続された状態におけるDCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txの経路の特性を示している。
【0099】
図16は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61dに接続された状態におけるWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの経路(分岐経路40)の特性を示している。図17は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61dに接続された状態におけるGSM方式の受信信号GSM/Rxの経路の特性を示している。図18は、スイッチ61の電子的切替接点61aが接点61dに接続された状態におけるWCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの経路の特性を示している。
【0100】
図10、図14および図16から分かるように、スイッチ61の状態に関わらず、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域において、分岐経路40の挿入損失の最大値は2.5dB程度になっている。
【0101】
また、図11〜図13、図15、図17および図18から分かるように、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号の経路の挿入損失は、各信号の周波数帯域では十分小さく、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxの周波数帯域では十分大きくなっている。
【0102】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0103】
[第3の実施の形態]
次に、図19を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信回路について説明する。図19は、本実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例を示すブロック図である。
【0104】
本実施の形態に係る無線通信回路10は、ダイプレクサ81と、信号の経路を切り換えるための2つの高周波スイッチ82,83とを備えている。ダイプレクサ81は、第1ないし第3のポートと、第1のポートと第2のポートとの間に設けられたローパスフィルタ81Aと、第1のポートと第3のポートとの間に設けられたハイパスフィルタ81Bとを有している。第1のポートはアンテナ1に接続されている。
【0105】
ローパスフィルタ81Aは、GSM方式の送信信号GSM/Txと、GSM方式の受信信号GSM/Rxとを通過させる。ハイパスフィルタ81Bは、DCS方式の送信信号DCS/Tx、DCS方式の受信信号DCS/Rx、PCS方式の送信信号PCS/Tx、PCS方式の受信信号PCS/Rx、WCDMA方式の送信信号WCDMA/TxおよびWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させる。
【0106】
高周波スイッチ82は、1つの電子的切替接点82aと2つの接点82b,82cとを有している。高周波スイッチ83は、1つの電子的切替接点83aと3つの接点83b,83c,83dとを有している。高周波スイッチ82の電子的切替接点82aは、分布定数線路92を介して、ダイプレクサ81の第2のポートに接続されている。高周波スイッチ83の電子的切替接点83aは、ダイプレクサ81の第3のポート側から順に配置された分布定数線路95,96を介して、ダイプレクサ81の第3のポートに接続されている。
【0107】
無線通信回路10は、更に、GSM方式の送信信号GSM/Txを通過させるローパスフィルタ84と、GSM方式の受信信号GSM/Rxを通過させるバンドパスフィルタ85と、DCS方式の送信信号DCS/TxおよびPCS方式の送信信号PCS/Txを通過させるローパスフィルタ86と、DCS方式の受信信号DCS/Rxを通過させるバンドパスフィルタ87と、PCS方式の受信信号PCS/Rxを通過させるバンドパスフィルタ88と、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txを通過させるバンドパスフィルタ89とを備えている。
【0108】
ローパスフィルタ84の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路93を介して高周波スイッチ82の接点82bに接続されている。バンドパスフィルタ85の入力端は分布定数線路94を介して高周波スイッチ82の接点82cに接続され、出力端はアンプ部11に接続されている。
【0109】
ローパスフィルタ86の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路97を介して高周波スイッチ83の接点83bに接続されている。バンドパスフィルタ87の入力端およびバンドパスフィルタ88の入力端は、分布定数線路98を介して高周波スイッチ83の接点83cに接続されている。バンドパスフィルタ87,88の各出力端はアンプ部11に接続されている。バンドパスフィルタ89の入力端はアンプ部11に接続され、出力端は分布定数線路99を介して高周波スイッチ83の接点83dに接続されている。
【0110】
無線通信回路10は、更に、アンテナ1とスイッチ83との間の信号の経路のうち、分布定数線路95と分布定数線路96の間から分岐するように設けられた分岐経路90と、この分岐経路90に挿入され、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ91と、分岐経路90において、バンドパスフィルタ91よりもアンテナ1に近い位置に設けられた分布定数線路100とを備えている。バンドパスフィルタ91の入力端は分布定数線路100に接続され、出力端はアンプ部11に接続されている。
【0111】
無線通信回路10において、ダイプレクサ81およびスイッチ82,83は、本発明における分離手段に対応する。また、分布定数線路100は、アンテナ1から見た分岐経路90の規格化インピーダンスを調整するために、その長さが調整される。分布定数線路100は、本発明におけるインピーダンス調整手段に対応する。また、分布定数線路92〜99は、アンテナ1から見た、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の各信号の経路のインピーダンスを調整するために、その長さが調整される。
【0112】
第1の実施の形態と同様に、無線通信回路10は、例えば多層基板によって、全ての構成要素が集積化されて、モジュール化されていてもよい。あるいは、例えば多層基板によって、無線通信回路10の一部を構成する複数の構成要素が集積化されて、これらがモジュール化されていてもよい。
【0113】
次に、本実施の形態に係る無線通信回路10の作用について説明する。この無線通信回路10では、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを通過させるバンドパスフィルタ91は、常時、アンテナ1に接続されている。従って、この無線通信回路10では、常時、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxを受信可能な状態になっている。アンテナ1によって受信されたWCDMA方式の受信信号WCDMA/Rxは、バンドパスフィルタ91を通過してアンプ部11に入力される。他の方式の受信信号は、バンドパスフィルタ91で遮断される。
【0114】
WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号については、以下に示すように、高周波スイッチ82,83の状態に応じて送信または受信が可能になる。
【0115】
高周波スイッチ82の電子的切替接点82aが接点82bに接続された状態では、GSM方式の送信信号GSM/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号GSM/Txは、ローパスフィルタ84、スイッチ82およびローパスフィルタ81Aを通過して、アンテナ1に供給される。
【0116】
高周波スイッチ82の電子的切替接点82aが接点82cに接続された状態では、GSM方式の受信信号GSM/Rxの受信が可能になる。アンテナ1によって受信された受信信号GSM/Rxは、ローパスフィルタ81A、スイッチ82およびバンドパスフィルタ85を通過して、アンプ部11に入力される。
【0117】
高周波スイッチ83の電子的切替接点83aが接点83bに接続された状態では、DCS方式の送信信号DCS/TxまたはPCS方式の送信信号PCS/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号DCS/Txまたは送信信号PCS/Txは、ローパスフィルタ86、スイッチ83およびハイパスフィルタ81Bを通過して、アンテナ1に供給される。
【0118】
高周波スイッチ83の電子的切替接点83aが接点83cに接続された状態では、DCS方式の受信信号DCS/RxまたはPCS方式の受信信号PCS/Rxの受信が可能になる。アンテナ1によって受信された受信信号DCS/Rxは、ハイパスフィルタ81B、スイッチ83およびバンドパスフィルタ87を通過して、アンプ部11に入力される。また、アンテナ1によって受信された受信信号PCS/Rxは、ハイパスフィルタ81B、スイッチ83およびバンドパスフィルタ88を通過して、アンプ部11に入力される。
【0119】
高周波スイッチ83の電子的切替接点83aが接点83dに接続された状態では、WCDMA方式の送信信号WCDMA/Txの送信が可能になる。アンプ部11より出力された送信信号WCDMA/Txは、バンドパスフィルタ89、スイッチ83およびハイパスフィルタ81Bを通過して、アンテナ1に供給される。
【0120】
本実施の形態において、バンドパスフィルタ91を含む分岐経路90のインピーダンス特性は、第1の実施の形態と同様に、第1および第2の要件を満たすように調整される。また、WCDMA方式の受信信号WCDMA/Rx以外の信号の経路については、分布定数線路92〜99の各長さを調整することによって、第1の実施の形態と同様に、第3および第4の要件を満たすようにインピーダンス特性が調整される。
【0121】
本実施の形態では、バンドパスフィルタ91とアンテナ1との間に、ハイパスフィルタ81Bが存在するため、第1の実施の形態に比べると、受信信号WCDMA/Rxの経路の損失は大きくなる。しかし、図20に示した構成に比べると、バンドパスフィルタ91とアンテナ1との間にスイッチが存在しない分だけ、受信信号WCDMA/Rxの経路の損失を低減することができる。
【0122】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0123】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施の形態における無線通信回路10では、GSM方式、DCS方式およびPCS方式の3つの時分割多重接続方式と、WCDMA方式とに対応可能になっているが、本発明は、1以上の時分割多重接続方式と、符号分割多重接続方式とに対応可能になっていればよい。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし14のいずれかに記載の無線通信回路は、信号の経路を切り換えるためのスイッチを含み、アンテナに接続され、時分割多重接続方式の送信信号、時分割多重接続方式の受信信号および符号分割多重接続方式の送信信号を互いに分離する分離手段と、アンテナとスイッチとの間の信号の経路から分岐するように設けられた分岐経路と、分岐経路に挿入され、符号分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタとを備えている。従って、本発明によれば、時分割多重接続方式と符号分割多重接続方式とに対応可能であると共に、符号分割多重接続方式の受信信号を常時受信可能であり、且つ符号分割多重接続方式の受信信号の経路の損失を低減することができるという効果を奏する。
【0125】
また、請求項2記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た分岐経路の反射係数の絶対値を0〜0.3の範囲内の値としている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の受信信号を、分岐経路に対して無反射に近い状態で入力させることができるという効果を奏する。
【0126】
また、請求項3ないし6のいずれかに記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号以外の信号の各周波数帯域において、アンテナから見た分岐経路の規格化インピーダンスは、その抵抗分の値が0.2以上であることと、そのリアクタンス分の値が0.5以上または−0.5以下であることの少なくとも一方を満たしている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の受信信号以外の信号の減衰を抑制することができるという効果を奏する。
【0127】
また、請求項7記載の無線通信回路では、時分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値を0〜0.3の範囲内の値としている。従って、本発明によれば、時分割多重接続方式の送信信号を、その経路とアンテナとの間で無反射に近い状態で入出力させることができるという効果を奏する。
【0128】
また、請求項8記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値を2以上としている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の受信信号の減衰を抑制することができるという効果を奏する。
【0129】
また、請求項9記載の無線通信回路では、時分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の受信信号の経路の反射係数の絶対値を0〜0.3の範囲内の値としている。従って、本発明によれば、時分割多重接続方式の受信信号を、その経路とアンテナとの間で無反射に近い状態で入出力させることができるという効果を奏する。
【0130】
また、請求項10記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た時分割多重接続方式の受信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値を2以上としている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の受信信号の減衰を抑制することができるという効果を奏する。
【0131】
また、請求項11記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、アンテナから見た符号分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値を0〜0.3の範囲内の値としている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の送信信号を、その経路とアンテナとの間で無反射に近い状態で入出力させることができるという効果を奏する。
【0132】
また、請求項12記載の無線通信回路では、符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、アンテナから見た符号分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値を2以上としている。従って、本発明によれば、符号分割多重接続方式の受信信号の減衰を抑制することができるという効果を奏する。
【0133】
また、請求項13記載の無線通信回路は、更に、時分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタと、時分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタと、符号分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタのうちの少なくとも1つを備えている。従って、本発明によれば、無線通信回路内において、フィルタの特性を含めて、各信号の経路の特性を最適化することができるという効果を奏する。
【0134】
また、請求項14記載の無線通信回路では、全ての構成要素が集積化されている。従って、本発明によれば、集積化された無線通信回路内において、各信号の経路の特性を最適化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1における分岐経路のインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図3】図1における分岐経路中のハンドパスフィルタのインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図4】分布定数線路によって調整された図1における分岐経路のインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図5】図1における分岐経路のインピーダンス特性を調整するためのリアクタンス素子の一例を示す回路図である。
【図6】図5に示したリアクタンス素子によって調整された図1における分岐経路のインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図7】図1におけるWCDMA方式の送信信号の経路中のハンドパスフィルタのインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図8】分布定数線路によって調整された図1におけるWCDMA方式の送信信号の経路のインピーダンス特性の一例を示す特性図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるWCDMA方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるGSM方式の送信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるDCS方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるPCS方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態におけるWCDMA方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態におけるDCS方式の送信信号およびPCS方式の送信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態におけるWCDMA方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態におけるGSM方式の受信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態におけるWCDMA方式の送信信号の経路の特性の一例を示す特性図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る無線通信回路を含む携帯電話の高周波回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図20】従来のマルチバンド対応のフロントエンド部にWCDMA方式の通信機能に対応する回路を付加した構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…アンテナ、10…無線通信回路、21…ダイプレクサ、21A…ローパスフィルタ、21B…ハイパスフィルタ、22,23…高周波スイッチ、24,26…ローパスフィルタ、25,27,28,29,41…バンドパスフィルタ、31〜39,42…分布定数線路、40…分岐経路。

Claims (14)

  1. アンテナに接続され、1以上の時分割多重接続方式の送信信号および受信信号と符号分割多重接続方式の送信信号および受信信号を処理するための無線通信回路であって、
    信号の経路を切り換えるためのスイッチを含み、前記アンテナに接続され、時分割多重接続方式の送信信号、時分割多重接続方式の受信信号および符号分割多重接続方式の送信信号を互いに分離する分離手段と、
    前記アンテナと前記スイッチとの間の信号の経路から分岐するように設けられた分岐経路と、
    前記分岐経路に挿入され、符号分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタと
    を備えたことを特徴とする無線通信回路。
  2. 符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記分岐経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であることを特徴とする請求項1記載の無線通信回路。
  3. 時分割多重接続方式の送信信号、時分割多重接続方式の受信信号および符号分割多重接続方式の送信信号の各周波数帯域において、前記アンテナから見た前記分岐経路の規格化インピーダンスは、その抵抗分の値が0.2以上であることと、そのリアクタンス分の値が0.5以上または−0.5以下であることの少なくとも一方を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の無線通信回路。
  4. 更に、前記分岐経路において、前記フィルタよりも前記アンテナに近い位置に設けられ、前記分岐経路の規格化インピーダンスを調整するインピーダンス調整手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の無線通信回路。
  5. 前記インピーダンス調整手段は、分布定数線路を含むことを特徴とする請求項4記載の無線通信回路。
  6. 前記インピーダンス調整手段は、リアクタンス素子を含むことを特徴とする請求項4記載の無線通信回路。
  7. 時分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記時分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無線通信回路。
  8. 符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記時分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の無線通信回路。
  9. 時分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記時分割多重接続方式の受信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の無線通信回路。
  10. 符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記時分割多重接続方式の受信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上の値であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の無線通信回路。
  11. 符号分割多重接続方式の送信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記符号分割多重接続方式の送信信号の経路の反射係数の絶対値は、0〜0.3の範囲内の値であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の無線通信回路。
  12. 符号分割多重接続方式の受信信号の周波数帯域において、前記アンテナから見た前記符号分割多重接続方式の送信信号の経路の規格化インピーダンスの抵抗分の値は2以上であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の無線通信回路。
  13. 更に、時分割多重接続方式の送信信号の経路に挿入され、時分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタと、時分割多重接続方式の受信信号の経路に挿入され、時分割多重接続方式の受信信号を通過させるフィルタと、符号分割多重接続方式の送信信号の経路に挿入され、符号分割多重接続方式の送信信号を通過させるフィルタのうちの少なくとも1つを備えたことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の無線通信回路。
  14. 全ての構成要素が集積化されていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の無線通信回路。
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