JP2004040207A - 光ネットワーク及びノード装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】10Gbit/sクラスのエンドユーザからのバースト信号を効率よく収容し、OXCなどの大規模スイッチを必要とせず、PONに用いられている電気多重分離装置とそのタイミング制御機構も必要なく、コストの安いネットワークを提供する。
【解決手段】複数のノード装置が光通信路によって相互に接続された光ネットワークを構成する。これらのノード装置は、励起光を発する励起光源と、励起光源から光通信路への励起光の注入あるいは遮断を制御する励起光注入遮断制御手段とを具備するものであり、光データ信号の送信側のノード装置あるいはデータ信号の受信側のノード装置あるいはデータ信号の送信側と受信側との双方のノード装置から光通信路に注入される励起光によって光データ信号のパスを決定し、このパスに沿って光データ信号が伝送される。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、通信ネットワークに関する。特に、複数のノード装置が光ファイバなどの光通信路によって接続された光ネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝送システムの通信速度(ビットレート)は10Gbit/s(ギガビット毎秒)から40Gbit/sへと上昇し、また波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いるとその数倍から数百倍までの通信容量を達成することができるようになった。この背景には光増幅技術の発展がある。
【0003】
すなわち、ビットレート上昇に伴う1ビットあたりのフォトン数の減少を補い、さらに多数の波長を一括で増幅できる技術、とくにエルビウム添加光ファイバ増幅器は、光通信の流れを一変した。一方、最近では、さらに高性能の光増幅器として、ラマン増幅器とくに分布ラマン増幅器に関する研究が活発に行われている。分布ラマン増幅技術は、伝送路である光ファイバを増幅媒体とする技術である。ファイバのロスにより光パワーが下がりきる前に、ファイバ内で増幅できることより、光SNRの改善、非線型光学効果の低減、などに効果がある。分布ラマン増幅では、終端装置から高パワーの励起光をファイバに注入することにより、ファイバ内のSiOあるいはGeOなどにより構成されるアモルファスの振動(光学モード)状態を基底準位から励起準位へと励起する。ここで光信号(励起光よりも100nm(ナノメートル)ほど長波長)がファイバに入力すると、励起準位から中間準位へと振動順位の遷移が起き、準位間のエネルギー差に相当する波長の光が放出されることによって、光信号が増幅される。中間準位から基底準位への遷移はフォノンによって散乱される。
【0004】
光増幅器とくにラマン増幅の登場により、光ファイバヘの入力パワーは増加の一途をたどり、分布ラマン増幅では数W(ワット)もの励起光が光ファイバに入力される。光ファイバシステムは、光がファイバ内に閉じ込められている限り安全である。しかしながらひとたびファイバ断やコネクタ着脱などで、光が外に漏れた場合、そのエネルギーの照射によって危険な状態が起こる可能性がある。安全を確保するために、IEC60825ではハザードレベル(潜在する危険度)を定義し、自動的に光パワーを落とす機構(APR:Automatic Power Reduction )を光ファイバ伝送システムに課している。またITU−TではG.664という勧告を策定しており、自動的に光を遮断するプロシジャ(ALS:Automatic Laser Shutdown)とその遮断時間を規定している。IECおよびITU−Tとも、分布ラマンシステムについての扱いについては議論中である。いずれにしても分布ラマン増幅システムでは、励起光の遮断と復旧の機能は必須である。
【0005】
一方、光伝送システムは、その機能が高度化することにより、線的なシステムから、より面的なネットワークヘと変貌を遂げつつある。その鍵となるのが、波長ルーティング(ありは光クロスコネクト)技術である。波長ルーティング技術では、波長を一つのルーティング識別子として、送信ノードから受信ノードヘ、道筋(パス)が決定され、正確に信号が届けられる。現在大規模な光クロスコネクトシステム(OXC:Optical Cross−Connect )が研究開発されており、波長を用いた光ネットワークは今後導入されると考えられる。最近では、半固定的な光の道(パス)を設定するだけでなく、ダイナミックに光パスを設定・解除・切替を行う機能を具備した波長ルータという装置が研究開発されている。さらに、その制御に用いられるプロトコルもIETFあるいはOIFにおいて、GMPLSあるいはO−UNIという形で標準化されている。
また、アクセス系の光ネットワークではPON(Passive Optical Network )がすでに導入されている。この技術は、OXCなどのスイッチを持たずに、光カップラという受動デバイスで構成されるというコストメリットがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の波長ルーティングネットワークは、ダイナミックに光パスを設定・解除・切替ができる反面、ハードウェア装置には従来と同じ光クロスコネクトが用いられる。光クロスコネクトはMEMS(Micro Electro−Mechanical Systems)やPLC(プレーナ光波回路, Planar Lightwave Circuit)などを用いた光スイッチで構成されており、その価格は高く、また規模の大きいものとなっている。今後のデータネットワーク(とくに幹線系ではなく、メトロポリタン系やアクセス系)では、データ信号が流れつづけるわけではなぐ、いわばバーストトラフィックが主流になると考えられる。したがって、波長を占有することを目標に製作されたOXCは、GMPLSやO_UNIなど制御機構の改善はあるものの、コストと規模の点でこれらメトロ系やアクセスにおいて最適なネットワーク構成とはいえない。
【0007】
PONでは、各ノードでは複雑な制御をしなければならない。すなわち、時間領域に各ノードの使用できるタイムスロットを規定するいわばTDMA(Time Division Multiple Access )方式である。遠隔ノードヘのタイミング分配などの制御が複雑であり、また多重分離、分配などが電気レベルで行われるために、そのための装置が必要である。さらに、このネットワークもバースト的にトラフックが発生したときにシステムの帯域全てを使用できるわけではなく、エンドユーザの使用できる帯域は限られている。とくに最近ではEthernet(登録商標)が高速化してきており、10Gbit/sEthernet(登録商標)も標準化が終了した。したがって近々10Gbit/sの速度を持ったエンドユーザが出現すると考えられ、このような状況ではPONは帯域不足となり機能しないと考えられる。
【0008】
本発明は、上記のような事情を考慮して、メトロ系あるいはアクセス系の光ネットワークを構成するものである。近々出現する10Gbit/sクラスのエンドユーザからのバースト信号を効率よく収容し、OXCなどの大規模スイッチは必要なく、PONに用いられている電気多重分離装置とそのタイミング制御機構も必要なく、コストの安いネットワークを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数のノード装置が光通信路によって相互に接続された光ネットワークであって、前記ノード装置は、励起光を発する励起光源と、前記励起光源から前記光通信路への励起光の注入あるいは遮断を制御する励起光注入遮断制御手段とを具備するものであり、光データ信号の送信側のノード装置あるいはデータ信号の受信側のノード装置あるいはデータ信号の送信側と受信側との双方のノード装置から前記光通信路に注入される励起光によって前記光データ信号のパスを決定し、このパスに沿って前記光データ信号が伝送されることを特徴とする光ネットワークを要旨とする。
【0010】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記ノード装置は、他のノード装置との間で前記光データ信号の伝送の開始あるいは終了の連絡をとるための通信を行う制御通信手段と、前記光データ信号を送信する際に、前記制御通信手段を用いて、他のノード装置に対して光データ信号の送信開始あるいは送信終了の制御信号を送る送信開始終了制御手段と、前記制御通信手段が他のノード装置から光データ信号の送信開始の制御信号を受信したとき、当該光データ信号が自ノード装置宛のものであるか否かを認識する認識手段とを具備し、前記励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって自ノード装置宛のものであると認識した場合には励起光を注入する制御を行い、前記認識手段によって自ノード装置宛のものでないと認識した場合には励起光を遮断する制御を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記制御通信手段が、他のノード装置から光データ信号の送信終了の制御信号を受信したとき、前記認識手段は、光データ信号の送信終了を認識し、励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって光データ信号の送信終了が認識されると、励起光を遮断する制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記ノード装置は、複数のデータ信号用波長によるデータ信号を切り替えて送受信する手段を備え、あるデータ信号用波長が当該光ネットワークにおいて既に使用されているときに他のデータ信号用波長を用いてデータ信号を送受信するものであり、前記励起光源は、各データ信号用波長に応じて異なる励起光波長の励起光を発するものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の光ネットワークにおいては、前記ノード装置は前記光通信路によってスター形の形態で接続されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、複数のノード装置が光通信路によって相互に接続された光ネットワークを構成するノード装置であって、励起光を発する励起光源と、前記励起光源から前記光通信路への励起光の注入あるいは遮断を制御する励起光注入遮断制御手段とを具備し、励起光を前記光通信路に注入するか否かによって光データ信号のパスを決定し、このパスに沿って他のノード装置との間で光データ信号の伝送を行うことを特徴とするノード装置である。
【0019】
また、本発明のノード装置においては、他のノード装置との間で前記光データ信号の伝送の開始あるいは終了の連絡をとるための通信を行う制御通信手段と、前記光データ信号を送信する際に、前記制御通信手段を用いて、他のノード装置に対して光データ信号の送信開始あるいは送信終了の制御信号を送る送信開始終了制御手段と、前記制御通信手段が他のノード装置から光データ信号の送信開始の制御信号を受信したとき、当該光データ信号が自ノード装置宛のものであるか否かを認識する認識手段とをさらに具備し、前記励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって自ノード装置宛のものであると認識した場合には励起光を注入する制御を行い、前記認識手段によって自ノード装置宛のものでないと認識した場合には励起光を遮断する制御を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明のノード装置においては、前記制御通信手段が、他のノード装置から光データ信号の送信終了の制御信号を受信したとき、前記認識手段は、光データ信号の送信終了を認識し、励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって光データ信号の送信終了が認識されると、励起光を遮断する制御を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のノード装置においては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0022】
また、本発明のノード装置においては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0023】
また、本発明のノード装置においては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0024】
また、本発明のノード装置においては、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする。
【0025】
また、本発明のノード装置においては、前記ノード装置は、複数のデータ信号用波長によるデータ信号を切り替えて送受信する手段をさらに備え、あるデータ信号用波長が光ネットワークにおいて既に使用されているときに他のデータ信号用波長を用いてデータ信号を送受信するものであり、前記励起光源は、各データ信号用波長に応じて異なる励起光波長の励起光を発するものであることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、複数の前記ノード装置が前記光通信路によってスター形の形態で接続されることを特徴とするノード装置である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明は、光カップラを用いたスターネットワーク構成において、分布ラマン増幅あるいは遠隔励起システムの励起光遮断・復旧機能により、光信号の道筋(パス)を決定する。従来、安全のために用いられていた機能を、スイッチ機能に応用する。送信ノードと受信ノードが励起光を注入しあうと、そのペア間において通信が確立する。他のノードはロスバジェットにより通信できない、という設定にする。マルチキャスト通信も、複数の受信ノードからの励起光注入によって簡単に実現できる。基本的には一波長でマルチアクセス通信ができる。この一波長が使用されている限り、他のノードは送信できない状態となる。すなわち一波長で見ると、Ethernet(登録商標)で用いられるCSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection )と同じ制御機構が必要である。なお、以下では分布ラマン増幅システムについて説明するが、その代わりに、遠隔励起システムあるいは他のシステムを用いて本発明を実施しても良い。
【0028】
この制御機構を実現するのに、本発明では、データ送信前のプリアンブルを用いる。各ノードに固有のRF周波数を割り当てて、データ送信前(つまり励起光注入前)にこの固有の周波数で光強度変調する。この固有の周波数は数MHz(メガヘルツ)程度とする。10Gbit/s信号と数MHz信号では受信感度が10dB(デシベル)以上、大きく異なり、プリアンブルは受信できるが、データは励起光なしでは受信できないというロスバジェットを設定できる。
なお、遠隔励起システムの場合は、励起光がない状態では30dB以上の信号のロスとなり上記プリアンブル方式を使用できないケースも考えられる。そのようなケースでは、代わりに、制御機構のために光ファイバ以外の通信媒体(別線あるいは無線など)を用いるようにしても良い。
【0029】
送信したいデータを有する送信ノードは、まずプリアンブル(固有周波数の強度変調光)をネットワークに送信する。カップラを通って送信ノード以外の全てのノードにこの固有の強度変調光は行き渡る。割り当てられた周波数のノードは受信ノードであるので励起光を光ファイバに注入する。送信ノードはある時間の後、データを送信する。分布ラマン増幅の利得は10dB以上とれるので、10GBいt/sのデータが送受信できる。それ以外のノードは励起光を遮断した状態を維持する。複数の受信ノードの場合は、送信ノードは異なる複数の固有周波数を電気で加算して光強度変調すればよい。本発明では、一波長では送信ノードはたった一つであるCSMA/CDであるが、多数の送信ノードを同時に許容するのには、WDM特にCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing )を用いる。分布ラマン増幅の励起光一波長で増幅できる信号光波長の帯域はおよそ10nmである。したがって20nm以上離れた波長を用いて波長分割すれば、波長間でクロストークが生じることを抑えられる(CWDMの定義は波長間隔1000GHz(ギガヘルツ)以上50nm間隔である)。このとき励起光源は、波長数分だけ必要となる。波長間で独立な任意のトラフィックパターンを設定できるので、トラフィックの多いマルチアクセスが可能となる。
【0030】
以下、図面を参照しこの発明の複数の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
本実施携帯では、一波長のネットワークに関する実施の形態を説明する。図1に本発明の原理図を示す。図1に示すネットワークでは、スターカプラを中心に複数のノードが光ファイバ(光通信路)によってスター状に接続されている。本実施形態では、分布ラマン増幅あるいは遠隔励起システムの励起光の遮断・復旧機能をネットワークスイッチングの目的に応用する。なお、以下では分布ラマン増幅システムについて説明するが、その代わりに、遠隔励起システムあるいは他のシステムを用いて本発明を実施しても良い。
ここで図1では、送信と受信ノードの双方から励起光が注入される、いわゆるbi−directional pumping(双方向ポンプ)方式が示されているが、受信ノードからのみ注入される、いわゆるback−ward pumping (バックワードポンプ)方式でもよい。図1において、送信ノードと受信ノードの双方より励起光が注入されるファイバペアが、光信号の通る道筋(パス)を決定する。その他のファイバについては、損失により信号が通らないという設定にする。
【0031】
分布ラマン増幅のゲインは10dB以上とれるので、この設定は可能である。ここで図1では、ファイバペア(すなわちスターカップラの前と後のファイバ)によってパスが決定する、シングルスター構成が描かれているが、これでなくともよい。ただしカップラが2つ以上配置される場合は、途中のカップラのどこかで励起光を遮断・注入しなければならない可能性があり、ノード構成として高いコストになる可能性がある。受信ノードが複数の場合のマルチキャスト通信も簡単に可能である。すなわち受信ノードの複数が励起光を注入すれば良い。
【0032】
本実施形態は、一波長の場合の形態であり、したがって図1で、送信ノードがデータを送信している時間は、他のノードは送信ノードとはなりえない。Ethernet(登録商標)などに用いられているCSMA/CD(Carrier Sense MultipleAccess/Collision Detection )方式である。この制御のために、本実施例では各ノードに固有に割り当てられた周波数による強度変調光をプリアンブルとして用いる。送信ノードから送信される信号の様子を図2に示す。
【0033】
図2に示すように、送信したいデータを持つノード(送信ノード)は、まず宛先受信ノードの固有周波数(たとえば10MHz)の強度変調光を送信する。このプリアンブルはネットワークの全ノードに行き渡る。データを10Gbit/sとし、プリアンブルを10MHz程度とすれば、受信感度には10dB以上の差がある。したがって、プリアンブルは全てのノードで受信でき、データは励起光を持ってはじめて受信できるという設定にする。固有周波数の強度変調光を受信した受信ノードは、自分の割り当てられた周波数なので、ここで自分宛てにデータが送られてくるのを認識して励起光(バックワード)を注入する。他のノードは自分の周波数ではないので、励起光は遮断したままである。またこの時、送信したいデーダを持っていたとしても、送信ノードがデータ送信中なので、通信が終了するまで、待機する。データが送信し終わったとき、再びプリアンブルが送信される。このデータ送信終了を表すプリアンブルは、ノードに割り当てられた周波数ではなく、各ノードで共通の周波数(たとえば20MHz)とする。送信するデータを保持しているノードは、データ終了プリアンブルの受信を持って、初めて送信プリアンブルを送信し、データを送信できる。
【0034】
図3は、本実施形態の光ネットワークを構成するノード装置のハードウェア構成例を示す。ここで図3に示すノード装置は、送信・受信が一体となったモジュールであり、またファイバは双方向通信を前提としているが、そうでなくともよい。図3で、ノード装置1は、主信号光源13(データ信号光源;データあるいは周波数による強度変調手段を含む)、データとプリアンプルを切り替える電気スイッチ12、各ノードの固有周波数発振器11(可変周波数発振器でもよい)、サーキュレータ3、励起光をファイバに注入するための光カップラ2、励起光源33、励起光遮断・復旧を制御するコントローラ32(励起光注入遮断制御手段)、励起光をカットするフィルタ21、主信号光受信器22、データ識別およびクロック抽出回路23、固有の周波数あるいは送信終了周波数を検出する受信器31から構成される。ここで励起光源は、このノードが送信ノードの場合は、フォワードポンプ光として作用し、受信ノードの場合はバックワードポンプ光として作用する。
【0035】
ここで、図3における各部の動作の説明をする。複数の固有周波数発振器11は、それぞれ、固有の周波数を発振する。この固有周波数による信号は、スイッチ12への入力となる。また、外部から供給されるデータ(10Gbit/sデータ)の信号も、スイッチ12への入力となる。スイッチ12は、適宜、固有周波数発振器11からの固有周波数信号と外部からの10Gbit/sデータとを切り替えて、主信号光源13側へ渡す。主信号光源13から発せられる光は、上記データ信号又は固有周波数信号を用いて変調され、サーキュレータ3および光カップラ2を経由してネットワーク側(光ファイバ側)へ出力される。
【0036】
一方、ネットワーク側(光ファイバ側)から送られてきた光信号は、光カップラ2およびサーキュレータ3を経由して、励起光カットフィルタ21へ入力される。励起光カットフィルタ21は、光信号に含まれる励起光をカットして、固有周波数信号光又はデータ信号光を主信号光受信器22側へ通す。主信号光受信器22から出力されたデータ信号光はデータ識別クロック抽出回路23によって復調され、データ(10Gbit/sデータ)の信号が外部に出力される。主信号光受信器22から出力された固有周波数信号は、固有周波数受信器31によって受信される。固有周波数受信器31は、受信した信号の固有周波数を識別して、その固有周波数に応じた信号を励起光遮断・復旧コントローラ32に供給する。励起光遮断・復旧コントローラ32は、励起光源33からの励起光を遮断するかあるいは光カップラ2側に注入するかを制御する。励起光源33からの励起光が光カップラ側に注入されると、その励起光はネットワーク側(光ファイバ側)に出力され、この励起光によってネットワークにおけるスイッチングの制御が行われる。
【0037】
また、図3に示す構成には一部図示しないが、制御通信手段と、送信開始終了制御手段と、認識手段の各手段の機能が含まれる。
制御通信手段は、送信開始あるいは送信終了の連絡を他のノードとの間でとるための通信を行う。具体的には、制御通信手段は、図2を用いて説明したような宛先受信ノード毎の固有周波数の強度変調光を送信あるいは受信する。
なお、制御通信手段は、データ信号が伝送される光ファイバと同じ光ファイバを用いて、データ信号が伝送されない時間領域、あるいはデータ信号が伝送されない周波数領域、あるいはデータ信号が伝送されない空間領域で制御信号の通信を行う。あるいは、制御通信手段は、当該光ファイバ以外の他の伝送媒体(電線や、無線など)を用いて制御信号の通信を行っても良い。
送信開始終了制御手段は、特定の固有周波数発振器11による発振周波数の強度変調光をデータ信号の送信開始あるいは送信終了の制御信号として送信する。認識手段は、固有周波数受信器31が受信する制御信号に基づき、自ノード装置宛てのデータ信号の送信開始か、自ノード装置宛てでないデータ信号の送信開始か、あるいは送信終了かを認識する。
【0038】
なお、固有の周波数によって光強度変調された光信号を送信開始あるいは送信終了の制御信号として用いる代わりに、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信するようにしても良い。
【0039】
[第2の実施形態]
本実施形態は、波長多重技術を用いて、CSMA/CDの欠点、すなわちある瞬間では送信ノードは一つしか許されないという欠点を補償する。図3に示されている励起光源は、ある一波長(たとえば主信号が1550nmならば1450nm近辺)の光源である。この励起光の増幅帯域は約10nmである。したがって、20nm以上離れた別の波長を異なる主信号通信に用いれば、この主信号波長(データ信号用波長)は前述の励起光(1450nm)では増幅されず、まったく独立の通信を行うことができる。このように20nm以上はなれた波長多重の方法をCoarse WDM(CWDM)という。ただし主信号波長と励起光波長が複数必要である。この原理を図4に示す。図4に示すとおり、波長λ1と励起光λp1はノード1とノード2の間の通信に用いられている最中でも、λ2と励起光λp2はまったく別のトラフィックパターンの通信を許容する。λ3とλp3も同様である。この第2の実施形態を用いれば、同時に複数の送信ノードを許容し、大量のトラフィックをネットワークが収容することができる。
なお、使用可能な主信号波長と励起光波長とのペアのうち、どの主信号波長と励起光波長とを選択するかは、何らかの規則に基づいて予め決定しておいても良いし、ネットワークの状況に応じて動的に決定しても良い。
【0040】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明を用いれば、大規模な光スイッチ(あるいは光クロスコネクト)を必要とせず、電気多重分離回路と複雑な制御も必要とせず、低コストな光ネットワークを提供することができ、さらにエンドユーザが瞬間的に10Gbit/sクラスの帯域を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態による光ネットワークにおけるスイッチングの原理を示す概略図である。
【図2】この発明の実施形態による光ネットワークにおける、送信プリアンブル、データ伝送、送信終了プリアンブルの送信タイミングを表す概略図である。
【図3】この発明の実施形態による光ネットワークを構成するノード装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施形態による光ネットワークにおいて、波長分割方式(WDM)を用いる場合の原理を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ノード装置
2 光カップラ
3 サーキュレータ
11 固有周波数発振器
12 スイッチ
13 主信号光源
21 励起光カットフィルタ
22 主信号光受信機
23 データ識別クロック抽出回路
31 固有周波数受信器
32 励起光遮断・復旧コントローラ
33 励起光源

Claims (18)

  1. 複数のノード装置が光通信路によって相互に接続された光ネットワークであって、
    前記ノード装置は、
    励起光を発する励起光源と、
    前記励起光源から前記光通信路への励起光の注入あるいは遮断を制御する励起光注入遮断制御手段と、
    を具備するものであり、
    光データ信号の送信側のノード装置あるいはデータ信号の受信側のノード装置あるいはデータ信号の送信側と受信側との双方のノード装置から前記光通信路に注入される励起光によって前記光データ信号のパスを決定し、このパスに沿って前記光データ信号が伝送されることを特徴とする光ネットワーク。
  2. 請求項1に記載の光ネットワークであって、
    前記ノード装置は、
    他のノード装置との間で前記光データ信号の伝送の開始あるいは終了の連絡をとるための通信を行う制御通信手段と、
    前記光データ信号を送信する際に、前記制御通信手段を用いて、他のノード装置に対して光データ信号の送信開始あるいは送信終了の制御信号を送る送信開始終了制御手段と、
    前記制御通信手段が他のノード装置から光データ信号の送信開始の制御信号を受信したとき、当該光データ信号が自ノード装置宛のものであるか否かを認識する認識手段と、
    を具備し、
    前記励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって自ノード装置宛のものであると認識した場合には励起光を注入する制御を行い、前記認識手段によって自ノード装置宛のものでないと認識した場合には励起光を遮断する制御を行う
    ことを特徴とする光ネットワーク。
  3. 請求項2に記載の光ネットワークであって、
    前記制御通信手段が、他のノード装置から光データ信号の送信終了の制御信号を受信したとき、
    前記認識手段は、光データ信号の送信終了を認識し、
    励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって光データ信号の送信終了が認識されると、励起光を遮断する制御を行う
    ことを特徴とする光ネットワーク。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の光ネットワークであって、
    前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする光ネットワーク。
  5. 請求項2又は請求項3に記載の光ネットワークであって、
    前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする光ネットワーク。
  6. 請求項2又は請求項3に記載の光ネットワークであって、
    前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする光ネットワーク。
  7. 請求項2又は請求項3に記載の光ネットワークであって、
    前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とする光ネットワーク。
  8. 請求項1に記載の光ネットワークであって、
    前記ノード装置は、複数のデータ信号用波長によるデータ信号を切り替えて送受信する手段を備え、あるデータ信号用波長が当該光ネットワークにおいて既に使用されているときに他のデータ信号用波長を用いてデータ信号を送受信するものであり、
    前記励起光源は、各データ信号用波長に応じて異なる励起光波長の励起光を発するものである
    ことを特徴とする光ネットワーク。
  9. 請求項1に記載の光ネットワークであって、
    前記ノード装置は前記光通信路によってスター形の形態で接続されていることを特徴とする光ネットワーク。
  10. 複数のノード装置が光通信路によって相互に接続された光ネットワークを構成するノード装置であって、
    励起光を発する励起光源と、
    前記励起光源から前記光通信路への励起光の注入あるいは遮断を制御する励起光注入遮断制御手段と、
    を具備し、
    励起光を前記光通信路に注入するか否かによって光データ信号のパスを決定し、このパスに沿って他のノード装置との間で光データ信号の伝送を行うことを特徴とするノード装置。
  11. 請求項10に記載のノード装置であって、
    他のノード装置との間で前記光データ信号の伝送の開始あるいは終了の連絡をとるための通信を行う制御通信手段と、
    前記光データ信号を送信する際に、前記制御通信手段を用いて、他のノード装置に対して光データ信号の送信開始あるいは送信終了の制御信号を送る送信開始終了制御手段と、
    前記制御通信手段が他のノード装置から光データ信号の送信開始の制御信号を受信したとき、当該光データ信号が自ノード装置宛のものであるか否かを認識する認識手段と、
    をさらに具備し、
    前記励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって自ノード装置宛のものであると認識した場合には励起光を注入する制御を行い、前記認識手段によって自ノード装置宛のものでないと認識した場合には励起光を遮断する制御を行う
    ことを特徴とするノード装置。
  12. 請求項11に記載のノード装置であって、
    前記制御通信手段が、他のノード装置から光データ信号の送信終了の制御信号を受信したとき、
    前記認識手段は、光データ信号の送信終了を認識し、
    励起光注入遮断制御手段は、前記認識手段によって光データ信号の送信終了が認識されると、励起光を遮断する制御を行う
    ことを特徴とするノード装置。
  13. 請求項11又は請求項12に記載のノード装置であって、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とするノード装置。
  14. 請求項11又は請求項12に記載のノード装置であって、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない時間領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とするノード装置。
  15. 請求項11又は請求項12に記載のノード装置であって、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置に固有の周波数によって光強度変調された送信開始の制御信号あるいは送信終了の制御信号に固有の周波数によって光強度変調された送信終了の制御信号を送受信することを特徴とするノード装置。
  16. 請求項11又は請求項12に記載のノード装置であって、前記制御通信手段は、前記制御信号として、光データ信号が通信されない周波数領域における光信号であって、宛先ノード装置のノード番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信開始の制御信号あるいは送信終了を表す番号がパケットあるいはフレーム中に含まれる送信終了の制御信号を送受信することを特徴とするノード装置。
  17. 請求項10に記載のノード装置であって、
    前記ノード装置は、複数のデータ信号用波長によるデータ信号を切り替えて送受信する手段をさらに備え、あるデータ信号用波長が光ネットワークにおいて既に使用されているときに他のデータ信号用波長を用いてデータ信号を送受信するものであり、
    前記励起光源は、各データ信号用波長に応じて異なる励起光波長の励起光を発するものである
    ことを特徴とするノード装置。
  18. 請求項10に記載のノード装置であって、
    複数の前記ノード装置は前記光通信路によってスター形の形態で接続されることを特徴とするノード装置。
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