JP2004040061A - 3−5族化合物半導体の電極、その製造方法及びそれを用いた半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体結晶の表面上に、ニッケル(Ni)である第1金属層11と、金(Au)である第2金属層12と、プラチナ(Pt)である第3金属層13とをこの順序で積層した後、210℃〜690℃で熱処理して第1〜第3金属層11〜13を合金化し、オーミック電極10とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−5族化合物半導体の電極及び電極製造方法並びに半導体発光素子に関し、特に、p型窒化物系化合物半導体のためのオーミック電極及びその製造方法並びにこのオーミック電極を用いた半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、青色発光ダイオードにおいては、一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体(以下、窒化ガリウム系化合物半導体と称することがある)にp型ドーパントをドープした3−5族化合物半導体結晶が利用されており、これにオーミック電極が形成されている。したがって、このオーミック電極は所要の窒化ガリウム系化合物半導体との間の接触抵抗が小さいこと、すなわちオーミック特性が良好であることが好ましい。
【0003】
そこで、従来からp型の窒化ガリウム系化合物半導に対して良好なオーミック特性を有する各種の電極構造及び製造方法が提案されており、例えば特開平10−135515号公報には、ニッケル(Ni)と金(Au)とをこの順序で窒化ガリウム系化合物半導体の結晶表面上に積層形成し、酸素雰囲気中でアニールすることによって結晶表面側からAu、Niの順に元素が存在するようにしたオーミック電極の形成方法が開示されている。
【0004】
この開示された従来方法によるとニッケルよりも金が深く浸透した分布とすることができるので、電極の接触抵抗を小さくすることができる上に、ニッケルを半導体結晶表面に最初に形成しているので接合面の改善が図られるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術によると、アニール処理を400℃〜700℃程度の高温で行う必要がある。このため温度によるプロセス制限のために生産性の向上を図りにくく、コストの低減化を阻害する要因となっている。
【0006】
また、良好なオーミック接触を実現しようとしてアニール処理を行うと、加熱により溶融している金の表面張力が下地との密着性よりも大きくなって、金が球状に凝集する所謂ボールアップ現象が生じ、得られた電極の表面に亀裂が生じる等表面の品質を損なう傾向を有している。
【0007】
特開平10−308534号公報には、ボールアップを有効に防止するため、Au層とNi層との2層構造とした透明電極の作製方法が提案されており、ここでは熱処理を300℃以上の温度で1分以上行うことが特徴として示されている。しかし、ここで開示されている技術は、透光性電極の安定した製造を主眼としており、オーミック特性の改善を図ることを目的としたものではなく、このような低温処理によって良好なオーミック特性を得ることは極めて難しい。
【0008】
さらに、特開平8−51235号公報には、窒化ガリウム系化合物半導体をp型化するためのアニール処理とオーミック電極形成のためのアニール処理とを同時に行うようにした技術が開示されているが、この場合でも400℃以上での熱処理が必要とされており、これ以下の温度でのアニール処理ではp型化の促進がうまく行われず、良好な素子、電極の作製はできない。
【0009】
特開平5−291621号公報には、Au、Pt、Ni、Agまたはこれらの合金による所要の金属積層構造を形成した上でアニール処理を行うことにより良好なオーミック電極を得ることが開示されている。しかし、良好なオーミック電極の形成のためには、400℃以上のアニールが必要である。
【0010】
このように、現在においては、良好なオーミック特性の電極を作製するための理論は未だ確立されているとは言えず、材料、積層構造、プロセス条件を適宜に組み合わせて実験を重ねて良好なオーミック特性の実現を図っているのが実情であり、上述した従来技術が良好なオーミック特性のための方法や電極層構造を見い出すための指導、示唆をしているとは必ずしも言えないのである。
【0011】
本発明の目的は、従来技術における上述の問題点を解決することができる、改善された3−5族化合物半導体の電極及び電極製造方法並びに半導体発光素子を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、低温処理によってオーミック特性の良好なオーミック電極を窒化ガリウム系化合物半導体結晶上に形成することができるようにした電極の製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、窒化ガリウム系化合物半導体結晶に対する電極においてオーミック特性をより改善することができる3−5族化合物半導体の電極を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、オーミック特性が良好な電極を有する半導体発光素子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体結晶上に実用上問題のない接触抵抗の小さなオーミック電極を低温の熱処理で製造できるようにするため、該結晶上にニッケル(Ni)、金(Au)、プラチナ(Pt)の各金属層をこの順序で、またはニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、金(Au)の各金属をこの順で積層して電極を形成した後、熱処理することにより実用上問題のない低接触抵抗のオーミック電極を400℃以下の低温熱処理でも製造できるようにした点にある。結晶上にニッケル(Ni)、金(Au)、プラチナ(Pt)の各金属層をこの順序で積層するのがより好ましい。
【0016】
請求項1の発明によれば、p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体結晶上にオーミック電極を形成するに当り、前記3−5族化合物半導体結晶の表面上に、ニッケル(Ni)である第1金属層と、金(Au)またはプラチナ(Pt)から選ばれる1種の金属からなる第2金属層と、金(Au)またはプラチナ(Pt)から選ばれる1種の金属であって前記第2金属層とは異なる金属からなる第3金属層とをこの順序で積層した後、熱処理することを特徴とする3−5族化合物半導体の電極の製造方法が提案される。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、前記熱処理を210℃〜690℃の範囲内で行う3−5族化合物半導体の電極の製造方法が提案される。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明において、前記第1金属層の層厚(t1 )が0<t1 ≦140Åであり、前記第2金属層と前記第3金属層との合計層厚(t2 )が0<t2 ≦290Åである3−5族化合物半導体の電極の製造方法が提案される。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3いずれかに記載の方法において、前記熱処理により前記第1〜第3金属層を合金化するようにした3−5族化合物半導体の電極の製造方法が提案される。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載された方法を用いて製造された3−5族化合物半導体電極が提案される。
【0021】
請求項6の発明によれば、p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3―5族化合物半導体の電極であって、前記3−5族化合物半導体結晶の表面上に金(Au)を主として含む合金層、プラチナ(Pt)を主として含む合金層、及びニッケル(Ni)と酸素(O)とプラチナ(Pt)とを主として含む合金層とがこの順序で積層された層構造を有することを特徴とする3−5族化合物半導体の電極が提案される。
【0022】
請求項7の発明によれば、請求項5または6に記載の電極を用いて作製したことを特徴とする半導体発光素子が提案される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明による発光素子の実施の形態の一例を模式的に示す層構造図である。発光素子1は、サファイア基板2の上に3−5族化合物半導体薄膜結晶層を積層して形成された素子であり、サファイア基板2の上には低温バッファ層3、及びn型コンタクト層4が形成されている。そして、さらに、n型クラッド層5、活性層6、p型クラッド層7、p型コンタクト層8が順次形成されている。n型コンタクト層4及びp型コンタクト層8の上にはそれぞれオーミック電極9、10が設けられている。
【0025】
図2には、オーミック電極10の製造工程を説明するための工程図が示されている。以下、図2を参照して、本発明によるオーミック電極10の製造方法の一実施形態について説明する。
【0026】
p型ドーパントであるマグネシウムが高濃度にドープされた、一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で示されるp型の窒化物系3−5族化合物半導体結晶であるp型コンタクト層8の上に先ずニッケル(Ni)を20Åの厚さに堆積して第1金属層11を形成する(図2(A))。堆積方法は、例えば真空蒸着法その他の公知の適宜の方法を用いることができる。第1金属層11の厚さが薄過ぎると膜厚制御が困難になり再現性が得られにくく、また厚過ぎると十分な電極の低接触抵抗化の効果が得られにくい。したがって、後述するように、第1金属層11の厚さ(t1 )は、0<t1 ≦140Åの範囲であるのが好ましい。より好ましくは3Å〜140Åである。
【0027】
次に、金(Au)を50Åの厚さに堆積して第2金属層12を形成する(図2(B))。さらに、プラチナ(Pt)を60Åの厚さに堆積して第3金属層13を形成する(図2(C))。第2金属層12及び第3金属層13の形成においても、例えば真空蒸着法等を用いることができる。ここで、第2金属層12と第3金属13との合計厚が薄過ぎると膜厚制御が困難になり再現性が得られにくく、また厚過ぎると十分な電極の低接触抵抗化の効果が得られにくい。したがって、第2金属層12と第3金属層13との合計厚(t2 )は後述するように0<t2 ≦290Åの範囲とするのが好ましい。より好ましくは3Å〜290Åである。
【0028】
このようにして、p型コンタクト層8の上に、第1金属層11、第2金属層12、第3金属層13をこの順序で積層し、この積層体をリフトオフ法により所望の電極パターンに形成し、熱処理炉(図示せず)に入れ、酸素(O2 )を含む雰囲気中で380℃の温度で熱処理し、各金属層を合金化する。
【0029】
熱処理が終了した後のオーミック電極10の表面状態は非常に良好な状態となる。これは、この熱処理期間中に第2金属層12の成分である金(Au)が溶融して球状になるが、第2金属層12の上にはそれよりも比重の大きいプラチナ(Pt)から成る第3金属層13が積層されているので、第3金属層13は金(Au)の表面張力に打ち勝って金(Au)がボールアップして表面状態の品質を損なうことがないように作用するためと考えられる。
【0030】
図3は、上述の如く熱処理した後の合金化されたオーミック電極10の構造を模式的に示す構造図であり、オーミック電極10の元素分布を透過電子顕微鏡、オージェ電子分光分析で調べた結果に基づいて作成した。p型コンタクト8のすぐ上には、金(Au)を主として含む層21が形成されており、金(Au)の原子濃度は、電極を構成する元素NiとAuとPtとOのうち、約80%であった。この上にはプラチナ(Pt)を主として含む層22が形成され、Ptの原子濃度は、電極を構成する元素NiとAuとPtとOのうち、約80%であった。一番上にはニッケル(Ni)と酸素(O)とPtを含む層23が形成されており、Niの原子濃度は約25%、Oの原子濃度は約25%、Ptの原子濃度は約50%であった。主として含むとの意味は、例えばAuを主として含む層の場合、電極を構成する元素NiとAuとPtとOのうち、Auの原子濃度が他の3元素より高いことを意味する。
【0031】
図2に示した積層構成のものが熱処理によって図3に示す積層構造となることにより、オーミック電極10の低接触抵抗化が図られるものと考えられる。この低接触抵抗化は380℃という比較的低い温度でも達成されるので、温度によるプロセス制限は緩くなり、生産性を向上させることが期待できる。
【0032】
なお、熱処理温度は、上記実施の形態において説明した380℃に限定されるものではなく、後述するように210℃〜690℃の範囲で可能である。好ましくは280℃〜620℃の範囲である。熱処理温度が低すぎると十分な低接触抵抗化の効果が得られにくく、また熱処理温度が高過ぎると素子を構成する材料又は電極の変性を起こし、素子の特性を劣化させることになるので好ましくない。生産性の向上の観点からいえば、低い温度の熱処理が好ましく、この観点からいえば、熱処理温度はより好ましくは280℃〜400℃の範囲である。また、比較的低温の熱処理で低接触抵抗化が図れるのは、プラチナ(Pt)を第3金属層13に用いることによる効果と考えられ、またこの効果により金(Au)がボールアップして表面状態の品質を損なうことがないように作用するためと考えられる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1は、GaN:Mgの上にNi(20Å)/Au(50Å)/Pt(60Å)を形成し、酸素雰囲気下において380℃で熱処理して電極を形成した例である。
(1)先ずMOCVD法により、サファイアC面/LT−GaN/undoped GaN/GaN:Mgを電極を取り付けるべき試料として作製した。
(2)成長終了後、冷却して取り出した試料を熱処理炉に載置し、窒素100%の雰囲気下で、800℃にて熱処理を行った。
(3)熱処理後の試料のp型キャリア濃度を、電解液を利用した容量−電圧(CV)法で測定したところ1×1019cm−3であり、十分高いp型キャリア濃度を有する伝導性の良好な窒化ガリウム系化合物半導体結晶が得られた。
(4)図2に示したところに従って真空蒸着法により、上記試料の表面上にNiを20Åの厚さに、次にAuを50Åの厚さに、次にPtを60Åの厚さにしてそれぞれ金属層としてこの順序で堆積し、リフトオフ法により電極パターンを形成した。各金属層の膜厚は触針式段差計により得られた値を用いた。この試料を熱処理炉中に載置し、酸素100%の雰囲気下で380℃、10分間の熱処理を行い電極を形成した。昇温、降温過程においても酸素を含む雰囲気下で行った。電極を形成した後、電極の低接触抵抗化の効果を確認するため、試料と電極との間に電圧を印加して形成された電極の接触部分の電流−電圧特性を調べた。その結果が図4に示されている。図4から判るように良好なオーミック特性を示した。
【0034】
(実施例2)
実施例2は、実施例1において用意した試料と同一の試料の表面上にNiを150Åの厚さに、次にAuを50Åの厚さに、次にPtを50Åの厚さにしてNi/Au/Ptを形成し、酸素雰囲気下、380℃の熱処理を行って試料表面上に電極を形成した例である。ここでは、Ni/Au/Ptの各層の膜厚を変えたことを除いては、実施例1と同様にして電極を作製した。
【0035】
図5には、実施例2で作製された電極についても、試料と電極との間に電圧を印加して形成された電極の接触部分の電流−電圧特性を調べた。その結果が図5に示されている。良好なオーミック特性を得るための接触抵抗は、実施例1で作製されたNi/Au/Pt電極の場合の接触抵抗値を1とした正規化値で12であった。
【0036】
(実施例3)
実施例3は、実施例1において用意した試料と同一の試料の表面上に各金属層の膜厚が異なるNi/Au/Ptを形成し、酸素雰囲気下380℃で熱処理を行って試料表面上に電極を形成した例である。ここでは、Ni/Au/Ptの各層の膜厚を変えたことを除いては、実施例1と同様に電極を作製し、図6に示されているように、Ni/Au/Ptの各層の膜厚を変えたものを9種類用意した。
【0037】
図6に、熱処理をすることによって得られたこれら9種類の各電極の接触抵抗を測定した結果を示す。図6においては、実施例1で作製されたNi/Au/Pt電極の場合の接触抵抗を1とした正規化値によりこれら9種類の各実施例についての接触抵抗を示してある。実用上好ましい接触抵抗の範囲としては、実施例1のものを正規化値として10以下である。この測定結果から、特にNiの膜厚(t1 )が0Å<t1 ≦140Å、かつAuとPtの全膜厚(t2 )が0Å<t2≦290Åで380℃の熱処理を行うことによって得られた電極の接触抵抗は10以下と小さくすることができ、良好なオーミック特性を示した。Niの膜厚(t1 )が薄過ぎると膜厚制御が困難になり再現性が得られにくいため、好ましくは3Å≦t1≦140Åがよい。また、AuとPtの全膜厚(t2)が薄過ぎると膜厚制御が困難になり再現性が得られにくいため、好ましくは3Å≦t2 ≦290Åがよい。
【0038】
(比較例1)
比較例1は、実施例1において用意した試料と同一の試料表面上にNi/Au構成の金属層を形成し、酸素雰囲気下400℃で熱処理を行って試料表面上に電極を形成した例である。ここでは、Niの金属層とAuの金属層とは蒸着によらず、順次堆積して形成した。比較例1における各金属層の層厚は、図7に示した。図7には、実施例1で作製されたNi/Au/Pt構造の電極の場合の接触抵抗値を1とした正規化値により各比較例についての接触抵抗を示してある。実施例1で作製された電極は、比較例1の場合よりも著しく接触抵抗が小さかった。
【0039】
(実施例4)
実施例4は、実施例1において用意したNi/Au/Ptを形成した試料を、酸素雰囲気下、異なる温度で熱処理を行って電極を形成した例である。ここでは、熱処理温度を100℃、200℃、300℃、350℃、380℃、400℃、500℃、600℃、700℃としたときのNi/Au/Pt電極の接触抵抗の最小値を測定した。これらのNi/Au/Pt電極の接触抵抗の最小値の測定値は、実施例1で作製されたNi/Au/Pt電極の場合の接触抵抗を1とした正規化値により示すと、665、632、1.94、1.17、1.00、0.76、0.76、0.37、95.2となった。図8には、これらの結果がグラフにして示されている。
【0040】
図2を参照して説明したように、p型の窒化ガリウム系化合物半導体結晶上に、Niの第1金属層11、Auの第2金属層12、Ptの第3金属層13をこの順序で積層したのち、210℃〜690℃の範囲内の適宜の温度で熱処理をすることで、図3に示されるような元素分布の略3層構造の電極を得ることができ、これによりオーミック特性の良い電極を形成することができる。しかも、従来に比べて著しく低い温度での熱処理で済むので、温度によるプロセス制限が緩やかであり、生産性の向上を図ることが容易となり、コストの低減に役立つものである。したがって、低コストで高性能の電極を得ることができる。また、図1に示されるようにして、発光素子にこの電極を用いれば、電極の接触抵抗が小さく且つ低温処理で済むので、低電圧駆動で高効率の素子を実現することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、上述の如く、低い温度での熱処理で済むので、温度によるプロセス制限が緩やかであり、生産性の向上を図ることが容易となり、コストの低減に役立ち、低コストで高性能の電極を得ることができる。また、発光素子にこの電極を用いれば、オーミック特性が良好で且つ低温処理で済むので、低電圧駆動で高効率の素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発光素子の実施の形態の一例を模式的に示す層構造図。
【図2】図1に示したオーミック電極の製造工程を説明するための工程図。
【図3】図2(C)に示す工程終了後に熱処理をした後のオーミック電極の構造を模式的に示す図。
【図4】実施例1の各試料についての電流−電圧特性の測定結果を示すグラフ。
【図5】実施例2の各試料についての電流−電圧特性の測定結果を示すグラフ。
【図6】実施例3における各電極の接触抵抗の測定結果を示す図。
【図7】比較例1についての接触抵抗を示す図。
【図8】実施例4の各試料についての接触抵抗を示す図。
【符号の説明】
1 発光素子
2 サファイア基板
8 p型コンタクト層
10 オーミック電極
11 第1金属層
12 第2金属層
13 第3金属層
21 Auを主として含む層
22 Ptを主として含む層
23 Ni、O、Ptを主として含む層
Claims (7)
- p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3−5族化合物半導体結晶上にオーミック電極を形成するに当り、
前記3−5族化合物半導体結晶の表面上に、ニッケル(Ni)である第1金属層と、金(Au)またはプラチナ(Pt)から選ばれる1種の金属からなる第2金属層と、金(Au)またはプラチナ(Pt)から選ばれる1種の金属であって前記第2金属層とは異なる金属からなる第3金属層とをこの順序で積層した後、熱処理することを特徴とする3−5族化合物半導体の電極の製造方法。 - 前記熱処理を210℃〜690℃の範囲内で行う請求項1記載の3−5族化合物半導体の電極の製造方法。
- 前記第1金属層の層厚(t1 )が0<t1 ≦140Åであり、前記第2金属層と前記第3金属層との合計層厚(t2 )が0<t2 ≦290Åである請求項1または2記載の3−5族化合物半導体の電極の製造方法。
- 前記熱処理により前記第1〜第3金属層を合金化する請求項1〜3いずれかに記載の3−5族化合物半導体の電極の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載された方法を用いて製造された3−5族化合物半導体電極。
- p型ドーパントをドープした一般式Inx Gay Alz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表される3―5族化合物半導体の電極であって、前記3−5族化合物半導体結晶の表面上に金(Au)を主として含む合金層、プラチナ(Pt)を主として含む合金層、及びニッケル(Ni)と酸素(O)とプラチナ(Pt)とを主として含む合金層とがこの順序で積層された層構造を有することを特徴とする3−5族化合物半導体の電極。
- 請求項5または6に記載の電極を用いて作製したことを特徴とする半導体発光素子。
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