JP2004039427A - 電池電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】密着性に優れるとともに、充放電容量を向上でき、繰り返し充放電によっても電池の劣化が生じにくい電池電極を提供すること。
【解決手段】3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%である電池電極。
【選択図】 なし
【解決手段】3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%である電池電極。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元網状基体上にめっき被膜を有する電池電極に関し、特に、リチウムイオン二次電池の負極として好適に使用し得る電池電極に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電池電極は、一般的に、電荷の貯蔵、放出を行う物質からなる活物質と、この活物質から放出される電荷を集める働きをする物質からなる集電体とを組み合わせて形成されている。
例えば、リチウムイオン電池では、LiCoO2等のリチウム系複合金属酸化物を活物質、アルミニウムを集電体として用いてなる正極と、炭素を活物質、銅を集電体として用いてなる負極とが電極として用いられている。
【0003】
このような正極および負極を用いて構成されるリチウムイオン電池では、充電時には、リチウムの化合物である正極材料の中に存在するリチウムイオンが電解液中を移動してセパレータを通過し、負極である炭素材の層間に移動することによって充電電流が流れ、放電時には、負極である炭素材の相間にあるリチウムイオンが電解液中を移動してセパレータを通過し、リチウムの化合物である正極材料の中に移動することによって放電電流が流れる仕組みとなっている。
【0004】
近年、上記充放電を繰り返した場合に電池の放電特性や容量の著しい低下を招くことがなく、しかも、活物質と集電体との密着性に優れ、機械的強度に優れた電極が望まれており、この要望に応えるべく、3次元網状基体を支持体として用いた電池電極が提案されている。
例えば、アルミニウム被膜が形成された不織布にLiCoO2などのリチウム複合金属酸化物をバインダーと混合したものを充填した正極と、銅被膜が形成された不織布に炭素とバインダーを混ぜたものを充填した負極とを用いたリチウムイオン電池が報告されている(特開平11−214010号公報、特開平11−233151号公報)。
【0005】
しかしながら、バインダーを用いて3次元網状基体に電極活物質を充填する場合、活物質を導電剤、バインダー等とともに混合したものを充填するため、密着性が充分であるとは言えず、しかも、活物質と他の成分とを混合して用いるため、活物質量の調整や電解液の通過する空間の調整が困難であった。
また、リチウムイオン電池においては、正極材料および負極材料の形態は本質的に変化せずにリチウムイオンが活物質結晶格子に対して吸蔵、放出を繰り返し、これに伴う体積の膨張・収縮により活物質の劣化が生じるが、3次元網状基体を用いた電極では、活物質と集電体との接点が少なくなり、電子の授受を行う部位が減少するため、上記活物質の劣化が不均一になるという問題もあった。
【0006】
ところで、近年、リチウムイオン電池の負極として、銅箔上に理論電気容量の大きい錫または錫合金のめっきを形成したものなどが提案されているが、錫を用いた場合にも、リチウムイオンが結晶格子内に侵入する(インターカレーション)ことによる体積の膨張収縮率が大きくなるため、銅箔と錫めっきの界面で剥離が生じ、繰り返し充放電に対する耐久性が低下するという問題があった。
【0007】
以上のように、電池電極として効率よく機能するには、電荷のやりとりがスムーズに効率よく行われる必要があり、このためには、集電体、活物質、電解液それぞれの接点が多く、密着性に優れていることが要求される上、繰り返し充放電によってこれらが変化しないものが望ましいが、現在まで、これらの特性を充分に満たす電極は得られていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、密着性に優れるとともに、充放電容量を向上でき、繰り返し充放電による電池の劣化が生じにくい電池電極を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、3次元網状基体上に集電体となる第1めっき層を形成し、さらにこの上に第1めっき層と異なる組成から構成される活物質となる第2めっき層を形成するとともに、空隙率を1〜15%とすることで、活物質と集電体との密着性および充放電容量に優れるとともに、繰り返し充放電によっても電池が劣化しにくい電池電極が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明は、
1. 3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された前記第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%であることを特徴とする電池電極、
2. 前記第2めっき層が前記第1めっき層よりも厚い層であることを特徴とする1の電池電極、
3. 前記3次元網状基体の空隙率が75〜90%であるとともに、この3次元網状基体と前記第1めっき層とからなる被覆体の空隙率が60〜75%であることを特徴とする1または2の電池電極、
4. リチウムイオン二次電池の負極として用いられることを特徴とする1〜3のいずれかの電池電極
を提供する。
【0011】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る電池電極は、3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された前記第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%であることを特徴とする。本発明における空隙率とは、電極内で隙間の占める割合を示す値であり、3次元網状基体表面のめっき形成状態を示すパラメータとして用いられるものである。すなわち、空隙率が小さくなるに従い、3次元網状基体にめっきが形成され、膜厚が厚くなってゆくものであるが、例えば、繊維等の交絡する角部では膜厚が厚くなり易い一方、平部では角部に比べると膜厚が薄くなるため、膜厚をパラメータとした場合、めっき層の形成状態を表現できないため、空隙率をパラメータとして採用し、めっき形成状態を表すものである。
【0012】
本発明の電極に用いられる3次元網状基体としては、シート状以外の3次元に網状に交絡させられた内部連通空間を有する多孔体であればよく、不織布、連続気泡を有する発泡体等が挙げられ、これらは電極の大きさ、形状、種類によって適宜選定される。
上記不織布としては、有機質,鉱物質,または合成材料からなる繊維を原料とする不織布、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ガラス繊維、ロック繊維、カーボン繊維、ウール、木綿、その他の天然繊維等をニードルパンチ法、水流交絡法等の公知の製法により不織布としたものを用いることができる。
一方、上記発泡体としては、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等を用いることができる。
【0013】
また、3次元網状基体が柔軟性に乏しいものであると、正極および負極をスパイラル状に捲回した場合に、バリが生じ、リチウムのデンドライトの析出が生じる可能性があり、その結果、内部短絡等が発生する虞がある。したがって、上記3次元網状基体は、柔軟性に優れているものを用いることが好ましく、このような点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のポリマー繊維不織布が好適である。
【0014】
上記3次元網状基体の空隙率は、第1めっき層および第2めっき層の形成後に、空隙率1〜15%に調整可能であれば任意であるが、75〜90%、特に80〜85%のものを用いることが好ましい。ここで、空隙率が75%未満であると、集電体および活物質量が少なくなるため、電気容量が低下する可能性が高く、一方、90%を超えると、機械的強度が低下するため、第1めっき層形成時に基体が断絶する虞がある。
【0015】
上記第1めっき層は、集電体としての働きをする金属めっき層であり、導電性に優れ、めっき法で被膜を形成できる金属から形成された層であれば特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Zn、Co、Al、貴金属、これらの合金から形成された層を用いることができる。
ここで、第1めっき層の層数は単層または複数層のどちらでもよく、複数層の場合、各層が同一の金属から形成されていてもよく、異なる金属から形成されていてもよい。
【0016】
第1めっき層の形成方法は、気相めっき法、湿式めっき法等公知のめっき法を採用できるが、気相めっき法は処理温度が高く、3次元網状基体の空隙率が小さい場合、内部までめっき被膜を形成し難く、しかも、厚膜化に長時間を要するため、湿式法を用いることが好ましい。
特に、リチウムイオン電池の負極用の電極とする際には、導電性が最も優れている銅もしくはその合金、またはニッケルを用い、湿式法により第1めっき層を形成することが好ましく、その場合、まず触媒処理をして3次元網状基体表面に触媒を付与し、続いて無電解めっきにより3次元網状基体全体にめっき被膜を形成し、さらに、空隙率を調整するために、電気めっきによるめっき付けを行うことが好ましい。
【0017】
3次元網状基体表面に触媒を付与する方法としては、センシタイジング−アクチベーティング法,アルカリキャタリスト法,キャタライジング−アクセレレーティング法等の湿式法、スパッタ法等の乾式法を用いることができる。
上記センシタイジング−アクチベーティング法を用いる場合、例えば、センシタイザーとしては、塩化第一錫等の水溶性第一錫塩を5〜30g/L含み、pH1〜3に調整された溶液を、アクチベーターとしては、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム塩を0.01〜0.5g/L含み、pH2〜5に調整された溶液を用い、それぞれの溶液に3次元網状基体を、25℃で0.5〜5分間浸漬させる処理を1〜3回行う方法を用いることができる。
【0018】
上記アルカリキャタリスト法、キャタライジング−アクセレレーティング法を用いる場合、キャタリストとしては、塩化第一錫等の水溶性第一錫塩を20〜50g/Lおよび塩化パラジウム等の水溶性パラジウム塩を0.05〜3g/L含み、pH1〜3に調整された溶液等を用いることができる。
キャタライジング−アクセレレーティング法で触媒処理をする場合、例えば、上記キャタリスト溶液に3次元網状基体を25℃で3〜10分間浸漬させた後、塩酸を主成分とする公知のアクセレレーターに25℃で1〜5分間浸漬させる方法を用いることができる。
【0019】
上記無電解めっき法としては、特に限定されるものではなく、通常行われる条件を用いることができる。
例えば、無電解銅めっきを行う場合、通常、硫酸銅等の水溶性銅塩を銅として4.0〜20g/L、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム(EDTA・4Na)やロッシェル塩等の錯化剤を8.5〜55g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤を15〜3g/L、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ成分を4.0〜7.0g/L、さらに必要に応じてチオ尿素等の有機硫黄化合物、ジピリジンフェナントロリン等の窒素化合物、ケイ酸塩等の無機化合物等を含み、pH12〜14の溶液を用い、これを35〜65℃に加温しためっき浴中に、触媒処理を行った3次元網状基体を浸漬する方法が用いられる。
【0020】
上記電気めっき法としても、特に限定されるものではなく、通常行われる条件を用いることができる。
例えば、電気銅めっきを行う場合、硫酸銅等の水溶性銅塩を60〜100g/L、硫酸を150〜220g/L、塩素イオンを40〜80ppm、必要に応じて添加剤を含み、pH1以下の溶液を用い、これを20〜30℃に調整しためっき浴中に無電解めっき膜を形成した3次元網状基体を浸漬し、電流密度1〜4A/dm2で処理する方法や、ピロリン酸銅を70〜110g/L、ピロリン酸カリウム300〜400g/Lを含み、pH8〜9の溶液を用い、これを50〜60℃に加温しためっき浴中に無電解めっき膜を形成した3次元網状基体を浸漬し、電流密度1〜4A/dm2で処理する方法等を用いることができる。
【0021】
3次元網状基体に第1めっき層を形成した被覆体の空隙率は60〜75%、特に65〜70%であることが好ましく、この空隙率が60%未満では、電極の空隙率を1〜15%の範囲とする関係上、集電体となる第1めっき層の占める割合が第2めっき層に比べて相対的に多くなるため、電気容量が減少する可能性が高い。一方、75%を超えると、集電体となる第1めっき層の膜厚が薄くなるため、集電体内を電子が流れる際の抵抗が大きくなり、放電容量が低下する可能性が高い。
【0022】
この被覆体の空隙率の調整は、上述した無電解めっきおよび電気めっきの処理時間により調整することができ、無電解めっき処理時間を、通常1〜60分間とし、電気めっき処理時間を、通常30〜90分間とすることで、空隙率を上記範囲に調整することができる。特に、無電解銅めっきでは、処理時間を1〜30分間、特に、10〜20分間、電気銅めっきでは、処理時間を30〜60分間、特に40〜50分間とすることが好ましい。
【0023】
上記第2めっき層は、活物質としての働きをする金属めっき層であり、活物質として働き、めっき法で被膜を形成できる金属を含む層であれば特に制限はなく、例えば、Sn、Al、Bi、Pb、Cd、これらの合金から形成された層を用いることができる。
ここで、第2めっき層の層数は単層または複数層のどちらでもよく、複数層の場合、各層が同一の金属から形成されていてもよく、異なる金属から形成されていてもよい。
【0024】
第2めっき層の形成方法は、気相めっき法、湿式めっき法等公知のめっき法を採用できるが、気相めっき法は処理温度が高く、3次元網状基体の空隙率が小さい場合、内部までめっき被膜を形成し難く、しかも、厚膜化に長時間を要するため、湿式法を用いることが好ましい。
特に、リチウムイオン電池の負極用の電極とする際には、黒鉛の理論電気容量372mAh/gより大きい理論電気容量1000mAh/gを有し、リチウムイオンを取り込むことができる。錫または錫合金を用い、湿式法により第2めっき層を形成することが好ましく、その場合、処理時間によりめっき層の形成具合を容易に調整できるため、電極の空隙率の調整が容易に行えるという点から、電気錫めっき、または電気錫合金めっきを用いることが好ましい。
【0025】
上記錫合金としては、Sn−Ni、Sn−Co、Sn−Bi、Sn−Ag、Sn−Fe等の公知の錫合金を用いることができ、この場合、錫に対するその他の金属の合金比率は、3〜20質量%が好ましく、7〜15質量%がより好ましい。ここで、合金比率が高いと、サイクル特性は向上するものの、リチウムイオンのインターカレーションが阻害され、電気容量が理論値より大幅に少なくなる虞がある。一方、合金比率が低いと、サイクル特性の向上効果が充分に発揮されない虞がある。
【0026】
上記電気錫めっき法は、通常行われる条件を採用することができ、例えば、硫酸第一錫等の水溶性錫塩を30〜90g/L、硫酸を60〜180g/L、必要に応じてチオ尿素等の有機硫黄化合物を含み、pH1以下の溶液を用い、これを15〜30℃に調整しためっき浴に、第1めっき層を形成した3次元網状基体を、浸漬し、電流密度0.5〜20A/dm2で処理する方法を用いることができる。
【0027】
この場合、第2めっき層を形成した後の電極の空隙率は、上記のように1〜15%であるが、これは、第2めっき層形成時の電気めっき処理時間を、10〜90分間とすることで、調整することができる。特に、上記電気錫めっきでは、処理時間を10〜60分間、特に20〜40分間とすることが好ましい。
【0028】
本発明の電池電極の空隙率が1%未満の場合、電池の電解液が流通し難く、リチウムイオン等の電荷の移動が妨げられるため、錫等の活物質が電荷を取り込み難くなる。一方、空隙率が15%を超えると、電解液の流通する割合が増加して電荷の移動はスムーズになるものの、電気容量の向上に寄与する集電体および活物質の電極内に占める体積割合が低下するため、電気容量が減少することになる。これらの点を考慮すると、上記空隙率は3〜7%であることがより好ましい。
【0029】
ここで、被膜内の構造を考えた場合、図1に示されるように、電池電極1において集電体となる第1めっき層12aと、活物質となる第2めっき層13aとの接触部14aの面積が大きいほど電子の授受はスムーズに進行すると考えられる(図1(a))、一方、3次元網状基体1の表面に集電体となる第1めっき層12bが厚くつきすぎると、第1めっき層12bと活物質となる第2めっき層13bとの接触部14bの面積が僅かであるが減少する(図1(b))。
【0030】
したがって、電気容量の低下を防止すべく、活物質となる第2めっき層の厚みを確保しつつ、集電体となる第1めっき層が効率よく電子を受け取ることができる程度に各めっき層間の接触面積を確保するという点から、第2めっき層の厚みを第1めっき層の厚みよりも大きくすることが好ましく、この場合に、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることが好ましい。
なお、第2めっき層の厚みが第1めっき層の厚みよりも大きく、電極の空隙率が1〜15%の範囲であれば、両者の厚みの比率は特に制限されるものではなく、第1めっき層の厚み:第2めっき層の厚み=1:2〜1:20とすることができるが、被覆体の空隙率および電極の空隙率との関係から、1:3〜1:10であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の電池電極をリチウムイオン電池の負極として用いる場合において、特に活物質となる第2めっき層に錫または錫合金から形成される層を採用する際、繰り返し充放電を行った場合でも錫−集電体(例えば、銅)被膜間で層間剥離を起こさない程度に密着性を高めるという点から、第2めっき層の厚みが重要となる。
【0032】
つまり、電池の充放電を繰り返すと、電解液中のリチウムイオンが錫の結晶格子内へのインターカレーションおよびデインターカレーションを繰り返すため、錫の体積が膨張収縮を繰り返し、銅めっき層と錫めっき層との界面で剥離する傾向があるが、この場合にも、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることで、錫めっき層(第2めっき層)が剥離し易い部分を減少させることができる。
【0033】
すなわち、図2に示されるように、電池電極1を構成する3次元網状基体11の上に、第1めっき層11(銅めっき層)および第2めっき層13a,b(錫めっき層)を形成する場合、電極の空隙率を1〜15%とすることによって、図2(b)に示されるように、一つの繊維上の第2めっき層13bと他の繊維上の第2めっき層13bとが結合し、強固な被膜が形成される部分の割合が増加するため、第2めっき層13bが剥離して脱離することが抑制されると考えられる。
【0034】
さらに、同じく第2めっき層に錫または錫合金から形成される層を採用する際、繰り返し充放電を行った場合でも、不織布−第1めっき金属(例えば、銅)被膜間での剥離を起こさない程度に密着性を高めるという点からも、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることが重要となる。
【0035】
すなわち、めっき被膜の上にさらにめっき被膜を形成した場合、第1めっき層の金属が第2めっき層中に多少拡散する。そして、上述のように、充放電に伴うリチウムイオンのインターカレーションおよびデインターカレーションにより、錫の体積が膨張収縮を繰り返すが、この場合に、第1めっき層が薄すぎると、錫被膜の中に拡散した第1めっき層を構成する金属、例えば銅が原因となり、第1めっき層が第2めっき層に引きずられて不織布−銅被膜間での密着性が低下し、不織布(基体)から銅被膜(第1めっき層)が剥離し易くなると考えられる。
【0036】
これに対して、本発明では、3次元網状基体、第1めっき層形成後の被覆体、および第2めっき層形成後の電極の各空隙率を上記の範囲に調整することで、第1めっき層に適度な厚みを付与するとともに、第2めっき層の過度な膨張収縮を抑制することが可能となり、結果として、不織布−第1めっき層間で剥離が生じることでめっき層が脱落することを防止することができると考えられる。
【0037】
以上述べたように、本発明によれば、集電体と活物質とが共に被膜であるため、集電体と活物質との接点が多くなり、両者の間で電子の授受がスムーズに効率良く行われる上、集電体と活物質との密着性を高め、繰り返し充放電による電池の著しい劣化を防止することができる電極を得ることができる。また、第1めっき層および第2めっき層の形成過程において、集電体および活物質の体積割合を容易に調整できるため、電極内の空隙率を容易に調整でき、電気容量の大きい電極を得ることができる。
本発明の電池電極は、種々の二次電池等の電極として用いることができるが、特に、リチウムイオン電池の負極として好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0039】
[実施例1〜5、比較例1,2]
3次元網状基体として空隙率82%のポリプロピレン不織布を用い、これに下記表1に示されるめっき液および条件で、無電解銅めっき処理、電気銅めっき処理を行い第1めっき層を空隙率68%まで形成し、さらに、表1に示されるめっき液および条件で電気錫めっき処理を行い第2めっき層を形成し、電池電極を得た。
【0040】
[実施例6]
不織布をポリプロピレン:ポリエチレン=9:1(体積比)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして第1めっき層および第2めっき層を形成した。
【0041】
[実施例7]
ポリプロピレン不織布の空隙率を75%とし、第1めっき層を空隙率62%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0042】
[実施例8]
ポリプロピレン不織布の空隙率を90%とし、第1めっき層を空隙率72%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
[実施例9]
第1めっき層形成時の無電解めっき、電気めっきを表2に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
[実施例10]
第1めっき層形成時の電気めっきを表3に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0047】
【表3】
【0048】
[実施例11]
第1めっき層を空隙率60%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0049】
[実施例12]
第1めっき層を空隙率75%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0050】
[実施例13]
第2めっき層形成時の電気めっきを表4に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0051】
【表4】
【0052】
[実施例14]
第2めっき層形成時の電気めっきを表5に示される無電解めっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0053】
【表5】
【0054】
[実施例15]
ポリプロピレン不織布の空隙率を60%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0055】
[実施例16]
第1めっき層形成後の空隙率を45%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0056】
[実施例17]
ポリプロピレン不織布の空隙率を95%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0057】
[実施例18]
ポリプロピレン不織布の空隙率を90%とするとともに、第1めっき層形成後の空隙率を80%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0058】
[比較例3]
第2めっき層を形成する代わりに黒鉛を担持させた以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0059】
[比較例4]
3次元網状基体を使用せず、厚み50μmの銅箔に、実施例1と同様の錫めっき層を形成して電池電極を得た。
【0060】
[比較例5]
3次元網状基体を使用せず、厚み50μmの銅箔に、黒鉛ペーストを塗布して電池電極を得た。
【0061】
上記各実施例および比較例について、不織布(種類、空隙率)、第1および第2めっき層(構成、処理時間、めっき形成後の空隙率)について、下記表6にまとめて示した。
また、上記各実施例および比較例で得られた電池電極について、初期放電容量およびサイクル特性について測定した結果を表7に示した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
上記表6,7において、空隙率、初期放電容量、サイクル特性は以下のようにして測定した。
[1]空隙率
▲1▼不織布の空隙率
不織布を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A1)。次に、サンプルの面積(D1)と厚み(B1)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E1=B1×D1)。また、不織布素材の比重C1から、サンプルの真の体積(A1/C1=E1’)を算出する。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E1−E1’)×100/E1
【0065】
▲2▼第1めっき層形成後(被覆体)の空隙率
被覆体を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A2)。次に、サンプルの面積(D2)と厚み(B2)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E2=D2×B2)。また、面積D2における不織布素材の重量を、▲1▼で測定したD1およびA1から算出し(A2’=D2×A1/D1)、この値から不織布の体積を算出する(E2’=A2’/C1)。
さらに、第1めっき層の重量を算出し(A2”=A2−A2’)、この値と第1めっき層を構成する金属の比重C2とから第1めっき層の体積を算出する(E2”=A2”/C2)。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E2−E2’−E2”)×100/E2
【0066】
▲3▼第2めっき層形成後(電池電極)の空隙率
電極を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A3)。サンプルの面積(D3)と厚み(B3)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E3=D3×B3)。また、面積D3における不織布素材の重量を、▲2▼で測定したD2およびA2’から算出し(A3’=D3×A2’/D2)、この値から不織布の体積を算出する(E3’=A3’/C1)。
さらに、面積D3における第1めっき層の重量を、▲2▼で測定したD2およびA2”から算出し(A3”=D3×A2”/D2)、この値から第1めっき層の体積を算出する(E3”=A3”/C2)。
次に、第2めっき層の重量を算出し(A3’’’=A3−A3’−A3”)、この値と第2めっき層を構成する金属の比重C3とから第2めっき層の体積を算出する(E3’’’=A3’’’/C3)。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E3−E3’−E3”−E3’’’)×100/E3
【0067】
[2]初期放電容量
対極および参照極として金属リチウムを、電解液として1Mの6フッ化リンリチウム溶液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1(体積比))を用い、充電は0V(Li/Li+基準)までの電位範囲で、0.25→0.13→0.05mA/cm2と段階的に電流値を下げて行い、放電は1.5V(Li/Li+基準)までの電位範囲で1mA/cm2にて行い、このときの放電容量を求めた。なお、放電容量は、電極支持体込みの値であり、負極活物質の理論容量とは異なる。
【0068】
[3]サイクル特性
上記放電容量測定と同様にし、充電、放電を1サイクルとして100サイクル後の放電容量の初期放電容量に対する比率を下記式により求めた。
サイクル特性(%)=100サイクル後放電容量×100/初期放電容量
【0069】
表7に示されるように、3次元網状基体上に第1めっき層を形成し、さらに第1めっき層上に第2めっき層を形成し、空隙率が1〜15%である各実施例の電極は、その他の各比較例の電極と比べ、初期放電容量およびサイクル特性のバランスがよいことがわかる。
特に、第2めっき層の厚みを第1めっき層の厚みよりも大きくし、3次元網状基体の空隙率が75〜90%、かつ、3次元網状基体と第1めっき層とからなる被覆体の空隙率が60〜75%である実施例1〜14においては、各比較例に比べ、初期放電容量およびサイクル特性が格段に優れていることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の電池電極は、3次元網状基体上に第1めっき層を形成し、さらに第1めっき層上に第1めっき層と異なる組成の第2めっき層を形成してなる、空隙率が1〜15%のものであるから、活物質と集電体との密着性および充放電容量に優れるとともに、繰り返し充放電によっても電池が劣化しにくい電池電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池電極の部分拡大図であり、(a)は第1めっき層が薄い場合を、(b)は第1めっき層が厚い場合を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電池電極の部分端面図であり、(a)は繊維が離れた状態を、(b)は第2めっき層で繊維が連結された状態を示す図である。
【符号の説明】
1 電池電極
11 3次元網状基体
12,12a,12b 第1めっき層
13a,13b 第2めっき層
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元網状基体上にめっき被膜を有する電池電極に関し、特に、リチウムイオン二次電池の負極として好適に使用し得る電池電極に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
電池電極は、一般的に、電荷の貯蔵、放出を行う物質からなる活物質と、この活物質から放出される電荷を集める働きをする物質からなる集電体とを組み合わせて形成されている。
例えば、リチウムイオン電池では、LiCoO2等のリチウム系複合金属酸化物を活物質、アルミニウムを集電体として用いてなる正極と、炭素を活物質、銅を集電体として用いてなる負極とが電極として用いられている。
【0003】
このような正極および負極を用いて構成されるリチウムイオン電池では、充電時には、リチウムの化合物である正極材料の中に存在するリチウムイオンが電解液中を移動してセパレータを通過し、負極である炭素材の層間に移動することによって充電電流が流れ、放電時には、負極である炭素材の相間にあるリチウムイオンが電解液中を移動してセパレータを通過し、リチウムの化合物である正極材料の中に移動することによって放電電流が流れる仕組みとなっている。
【0004】
近年、上記充放電を繰り返した場合に電池の放電特性や容量の著しい低下を招くことがなく、しかも、活物質と集電体との密着性に優れ、機械的強度に優れた電極が望まれており、この要望に応えるべく、3次元網状基体を支持体として用いた電池電極が提案されている。
例えば、アルミニウム被膜が形成された不織布にLiCoO2などのリチウム複合金属酸化物をバインダーと混合したものを充填した正極と、銅被膜が形成された不織布に炭素とバインダーを混ぜたものを充填した負極とを用いたリチウムイオン電池が報告されている(特開平11−214010号公報、特開平11−233151号公報)。
【0005】
しかしながら、バインダーを用いて3次元網状基体に電極活物質を充填する場合、活物質を導電剤、バインダー等とともに混合したものを充填するため、密着性が充分であるとは言えず、しかも、活物質と他の成分とを混合して用いるため、活物質量の調整や電解液の通過する空間の調整が困難であった。
また、リチウムイオン電池においては、正極材料および負極材料の形態は本質的に変化せずにリチウムイオンが活物質結晶格子に対して吸蔵、放出を繰り返し、これに伴う体積の膨張・収縮により活物質の劣化が生じるが、3次元網状基体を用いた電極では、活物質と集電体との接点が少なくなり、電子の授受を行う部位が減少するため、上記活物質の劣化が不均一になるという問題もあった。
【0006】
ところで、近年、リチウムイオン電池の負極として、銅箔上に理論電気容量の大きい錫または錫合金のめっきを形成したものなどが提案されているが、錫を用いた場合にも、リチウムイオンが結晶格子内に侵入する(インターカレーション)ことによる体積の膨張収縮率が大きくなるため、銅箔と錫めっきの界面で剥離が生じ、繰り返し充放電に対する耐久性が低下するという問題があった。
【0007】
以上のように、電池電極として効率よく機能するには、電荷のやりとりがスムーズに効率よく行われる必要があり、このためには、集電体、活物質、電解液それぞれの接点が多く、密着性に優れていることが要求される上、繰り返し充放電によってこれらが変化しないものが望ましいが、現在まで、これらの特性を充分に満たす電極は得られていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、密着性に優れるとともに、充放電容量を向上でき、繰り返し充放電による電池の劣化が生じにくい電池電極を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、3次元網状基体上に集電体となる第1めっき層を形成し、さらにこの上に第1めっき層と異なる組成から構成される活物質となる第2めっき層を形成するとともに、空隙率を1〜15%とすることで、活物質と集電体との密着性および充放電容量に優れるとともに、繰り返し充放電によっても電池が劣化しにくい電池電極が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明は、
1. 3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された前記第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%であることを特徴とする電池電極、
2. 前記第2めっき層が前記第1めっき層よりも厚い層であることを特徴とする1の電池電極、
3. 前記3次元網状基体の空隙率が75〜90%であるとともに、この3次元網状基体と前記第1めっき層とからなる被覆体の空隙率が60〜75%であることを特徴とする1または2の電池電極、
4. リチウムイオン二次電池の負極として用いられることを特徴とする1〜3のいずれかの電池電極
を提供する。
【0011】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る電池電極は、3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された前記第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%であることを特徴とする。本発明における空隙率とは、電極内で隙間の占める割合を示す値であり、3次元網状基体表面のめっき形成状態を示すパラメータとして用いられるものである。すなわち、空隙率が小さくなるに従い、3次元網状基体にめっきが形成され、膜厚が厚くなってゆくものであるが、例えば、繊維等の交絡する角部では膜厚が厚くなり易い一方、平部では角部に比べると膜厚が薄くなるため、膜厚をパラメータとした場合、めっき層の形成状態を表現できないため、空隙率をパラメータとして採用し、めっき形成状態を表すものである。
【0012】
本発明の電極に用いられる3次元網状基体としては、シート状以外の3次元に網状に交絡させられた内部連通空間を有する多孔体であればよく、不織布、連続気泡を有する発泡体等が挙げられ、これらは電極の大きさ、形状、種類によって適宜選定される。
上記不織布としては、有機質,鉱物質,または合成材料からなる繊維を原料とする不織布、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ガラス繊維、ロック繊維、カーボン繊維、ウール、木綿、その他の天然繊維等をニードルパンチ法、水流交絡法等の公知の製法により不織布としたものを用いることができる。
一方、上記発泡体としては、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等を用いることができる。
【0013】
また、3次元網状基体が柔軟性に乏しいものであると、正極および負極をスパイラル状に捲回した場合に、バリが生じ、リチウムのデンドライトの析出が生じる可能性があり、その結果、内部短絡等が発生する虞がある。したがって、上記3次元網状基体は、柔軟性に優れているものを用いることが好ましく、このような点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のポリマー繊維不織布が好適である。
【0014】
上記3次元網状基体の空隙率は、第1めっき層および第2めっき層の形成後に、空隙率1〜15%に調整可能であれば任意であるが、75〜90%、特に80〜85%のものを用いることが好ましい。ここで、空隙率が75%未満であると、集電体および活物質量が少なくなるため、電気容量が低下する可能性が高く、一方、90%を超えると、機械的強度が低下するため、第1めっき層形成時に基体が断絶する虞がある。
【0015】
上記第1めっき層は、集電体としての働きをする金属めっき層であり、導電性に優れ、めっき法で被膜を形成できる金属から形成された層であれば特に制限はなく、例えば、Cu、Ni、Zn、Co、Al、貴金属、これらの合金から形成された層を用いることができる。
ここで、第1めっき層の層数は単層または複数層のどちらでもよく、複数層の場合、各層が同一の金属から形成されていてもよく、異なる金属から形成されていてもよい。
【0016】
第1めっき層の形成方法は、気相めっき法、湿式めっき法等公知のめっき法を採用できるが、気相めっき法は処理温度が高く、3次元網状基体の空隙率が小さい場合、内部までめっき被膜を形成し難く、しかも、厚膜化に長時間を要するため、湿式法を用いることが好ましい。
特に、リチウムイオン電池の負極用の電極とする際には、導電性が最も優れている銅もしくはその合金、またはニッケルを用い、湿式法により第1めっき層を形成することが好ましく、その場合、まず触媒処理をして3次元網状基体表面に触媒を付与し、続いて無電解めっきにより3次元網状基体全体にめっき被膜を形成し、さらに、空隙率を調整するために、電気めっきによるめっき付けを行うことが好ましい。
【0017】
3次元網状基体表面に触媒を付与する方法としては、センシタイジング−アクチベーティング法,アルカリキャタリスト法,キャタライジング−アクセレレーティング法等の湿式法、スパッタ法等の乾式法を用いることができる。
上記センシタイジング−アクチベーティング法を用いる場合、例えば、センシタイザーとしては、塩化第一錫等の水溶性第一錫塩を5〜30g/L含み、pH1〜3に調整された溶液を、アクチベーターとしては、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム塩を0.01〜0.5g/L含み、pH2〜5に調整された溶液を用い、それぞれの溶液に3次元網状基体を、25℃で0.5〜5分間浸漬させる処理を1〜3回行う方法を用いることができる。
【0018】
上記アルカリキャタリスト法、キャタライジング−アクセレレーティング法を用いる場合、キャタリストとしては、塩化第一錫等の水溶性第一錫塩を20〜50g/Lおよび塩化パラジウム等の水溶性パラジウム塩を0.05〜3g/L含み、pH1〜3に調整された溶液等を用いることができる。
キャタライジング−アクセレレーティング法で触媒処理をする場合、例えば、上記キャタリスト溶液に3次元網状基体を25℃で3〜10分間浸漬させた後、塩酸を主成分とする公知のアクセレレーターに25℃で1〜5分間浸漬させる方法を用いることができる。
【0019】
上記無電解めっき法としては、特に限定されるものではなく、通常行われる条件を用いることができる。
例えば、無電解銅めっきを行う場合、通常、硫酸銅等の水溶性銅塩を銅として4.0〜20g/L、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム(EDTA・4Na)やロッシェル塩等の錯化剤を8.5〜55g/L、ホルムアルデヒド等の還元剤を15〜3g/L、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ成分を4.0〜7.0g/L、さらに必要に応じてチオ尿素等の有機硫黄化合物、ジピリジンフェナントロリン等の窒素化合物、ケイ酸塩等の無機化合物等を含み、pH12〜14の溶液を用い、これを35〜65℃に加温しためっき浴中に、触媒処理を行った3次元網状基体を浸漬する方法が用いられる。
【0020】
上記電気めっき法としても、特に限定されるものではなく、通常行われる条件を用いることができる。
例えば、電気銅めっきを行う場合、硫酸銅等の水溶性銅塩を60〜100g/L、硫酸を150〜220g/L、塩素イオンを40〜80ppm、必要に応じて添加剤を含み、pH1以下の溶液を用い、これを20〜30℃に調整しためっき浴中に無電解めっき膜を形成した3次元網状基体を浸漬し、電流密度1〜4A/dm2で処理する方法や、ピロリン酸銅を70〜110g/L、ピロリン酸カリウム300〜400g/Lを含み、pH8〜9の溶液を用い、これを50〜60℃に加温しためっき浴中に無電解めっき膜を形成した3次元網状基体を浸漬し、電流密度1〜4A/dm2で処理する方法等を用いることができる。
【0021】
3次元網状基体に第1めっき層を形成した被覆体の空隙率は60〜75%、特に65〜70%であることが好ましく、この空隙率が60%未満では、電極の空隙率を1〜15%の範囲とする関係上、集電体となる第1めっき層の占める割合が第2めっき層に比べて相対的に多くなるため、電気容量が減少する可能性が高い。一方、75%を超えると、集電体となる第1めっき層の膜厚が薄くなるため、集電体内を電子が流れる際の抵抗が大きくなり、放電容量が低下する可能性が高い。
【0022】
この被覆体の空隙率の調整は、上述した無電解めっきおよび電気めっきの処理時間により調整することができ、無電解めっき処理時間を、通常1〜60分間とし、電気めっき処理時間を、通常30〜90分間とすることで、空隙率を上記範囲に調整することができる。特に、無電解銅めっきでは、処理時間を1〜30分間、特に、10〜20分間、電気銅めっきでは、処理時間を30〜60分間、特に40〜50分間とすることが好ましい。
【0023】
上記第2めっき層は、活物質としての働きをする金属めっき層であり、活物質として働き、めっき法で被膜を形成できる金属を含む層であれば特に制限はなく、例えば、Sn、Al、Bi、Pb、Cd、これらの合金から形成された層を用いることができる。
ここで、第2めっき層の層数は単層または複数層のどちらでもよく、複数層の場合、各層が同一の金属から形成されていてもよく、異なる金属から形成されていてもよい。
【0024】
第2めっき層の形成方法は、気相めっき法、湿式めっき法等公知のめっき法を採用できるが、気相めっき法は処理温度が高く、3次元網状基体の空隙率が小さい場合、内部までめっき被膜を形成し難く、しかも、厚膜化に長時間を要するため、湿式法を用いることが好ましい。
特に、リチウムイオン電池の負極用の電極とする際には、黒鉛の理論電気容量372mAh/gより大きい理論電気容量1000mAh/gを有し、リチウムイオンを取り込むことができる。錫または錫合金を用い、湿式法により第2めっき層を形成することが好ましく、その場合、処理時間によりめっき層の形成具合を容易に調整できるため、電極の空隙率の調整が容易に行えるという点から、電気錫めっき、または電気錫合金めっきを用いることが好ましい。
【0025】
上記錫合金としては、Sn−Ni、Sn−Co、Sn−Bi、Sn−Ag、Sn−Fe等の公知の錫合金を用いることができ、この場合、錫に対するその他の金属の合金比率は、3〜20質量%が好ましく、7〜15質量%がより好ましい。ここで、合金比率が高いと、サイクル特性は向上するものの、リチウムイオンのインターカレーションが阻害され、電気容量が理論値より大幅に少なくなる虞がある。一方、合金比率が低いと、サイクル特性の向上効果が充分に発揮されない虞がある。
【0026】
上記電気錫めっき法は、通常行われる条件を採用することができ、例えば、硫酸第一錫等の水溶性錫塩を30〜90g/L、硫酸を60〜180g/L、必要に応じてチオ尿素等の有機硫黄化合物を含み、pH1以下の溶液を用い、これを15〜30℃に調整しためっき浴に、第1めっき層を形成した3次元網状基体を、浸漬し、電流密度0.5〜20A/dm2で処理する方法を用いることができる。
【0027】
この場合、第2めっき層を形成した後の電極の空隙率は、上記のように1〜15%であるが、これは、第2めっき層形成時の電気めっき処理時間を、10〜90分間とすることで、調整することができる。特に、上記電気錫めっきでは、処理時間を10〜60分間、特に20〜40分間とすることが好ましい。
【0028】
本発明の電池電極の空隙率が1%未満の場合、電池の電解液が流通し難く、リチウムイオン等の電荷の移動が妨げられるため、錫等の活物質が電荷を取り込み難くなる。一方、空隙率が15%を超えると、電解液の流通する割合が増加して電荷の移動はスムーズになるものの、電気容量の向上に寄与する集電体および活物質の電極内に占める体積割合が低下するため、電気容量が減少することになる。これらの点を考慮すると、上記空隙率は3〜7%であることがより好ましい。
【0029】
ここで、被膜内の構造を考えた場合、図1に示されるように、電池電極1において集電体となる第1めっき層12aと、活物質となる第2めっき層13aとの接触部14aの面積が大きいほど電子の授受はスムーズに進行すると考えられる(図1(a))、一方、3次元網状基体1の表面に集電体となる第1めっき層12bが厚くつきすぎると、第1めっき層12bと活物質となる第2めっき層13bとの接触部14bの面積が僅かであるが減少する(図1(b))。
【0030】
したがって、電気容量の低下を防止すべく、活物質となる第2めっき層の厚みを確保しつつ、集電体となる第1めっき層が効率よく電子を受け取ることができる程度に各めっき層間の接触面積を確保するという点から、第2めっき層の厚みを第1めっき層の厚みよりも大きくすることが好ましく、この場合に、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることが好ましい。
なお、第2めっき層の厚みが第1めっき層の厚みよりも大きく、電極の空隙率が1〜15%の範囲であれば、両者の厚みの比率は特に制限されるものではなく、第1めっき層の厚み:第2めっき層の厚み=1:2〜1:20とすることができるが、被覆体の空隙率および電極の空隙率との関係から、1:3〜1:10であることが好ましい。
【0031】
また、本発明の電池電極をリチウムイオン電池の負極として用いる場合において、特に活物質となる第2めっき層に錫または錫合金から形成される層を採用する際、繰り返し充放電を行った場合でも錫−集電体(例えば、銅)被膜間で層間剥離を起こさない程度に密着性を高めるという点から、第2めっき層の厚みが重要となる。
【0032】
つまり、電池の充放電を繰り返すと、電解液中のリチウムイオンが錫の結晶格子内へのインターカレーションおよびデインターカレーションを繰り返すため、錫の体積が膨張収縮を繰り返し、銅めっき層と錫めっき層との界面で剥離する傾向があるが、この場合にも、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることで、錫めっき層(第2めっき層)が剥離し易い部分を減少させることができる。
【0033】
すなわち、図2に示されるように、電池電極1を構成する3次元網状基体11の上に、第1めっき層11(銅めっき層)および第2めっき層13a,b(錫めっき層)を形成する場合、電極の空隙率を1〜15%とすることによって、図2(b)に示されるように、一つの繊維上の第2めっき層13bと他の繊維上の第2めっき層13bとが結合し、強固な被膜が形成される部分の割合が増加するため、第2めっき層13bが剥離して脱離することが抑制されると考えられる。
【0034】
さらに、同じく第2めっき層に錫または錫合金から形成される層を採用する際、繰り返し充放電を行った場合でも、不織布−第1めっき金属(例えば、銅)被膜間での剥離を起こさない程度に密着性を高めるという点からも、3次元網状基体の空隙率を75〜90%、第1めっき層を形成した後の被覆体の空隙率を60〜75%、第2めっき層を形成した電極の空隙率を1〜15%とすることが重要となる。
【0035】
すなわち、めっき被膜の上にさらにめっき被膜を形成した場合、第1めっき層の金属が第2めっき層中に多少拡散する。そして、上述のように、充放電に伴うリチウムイオンのインターカレーションおよびデインターカレーションにより、錫の体積が膨張収縮を繰り返すが、この場合に、第1めっき層が薄すぎると、錫被膜の中に拡散した第1めっき層を構成する金属、例えば銅が原因となり、第1めっき層が第2めっき層に引きずられて不織布−銅被膜間での密着性が低下し、不織布(基体)から銅被膜(第1めっき層)が剥離し易くなると考えられる。
【0036】
これに対して、本発明では、3次元網状基体、第1めっき層形成後の被覆体、および第2めっき層形成後の電極の各空隙率を上記の範囲に調整することで、第1めっき層に適度な厚みを付与するとともに、第2めっき層の過度な膨張収縮を抑制することが可能となり、結果として、不織布−第1めっき層間で剥離が生じることでめっき層が脱落することを防止することができると考えられる。
【0037】
以上述べたように、本発明によれば、集電体と活物質とが共に被膜であるため、集電体と活物質との接点が多くなり、両者の間で電子の授受がスムーズに効率良く行われる上、集電体と活物質との密着性を高め、繰り返し充放電による電池の著しい劣化を防止することができる電極を得ることができる。また、第1めっき層および第2めっき層の形成過程において、集電体および活物質の体積割合を容易に調整できるため、電極内の空隙率を容易に調整でき、電気容量の大きい電極を得ることができる。
本発明の電池電極は、種々の二次電池等の電極として用いることができるが、特に、リチウムイオン電池の負極として好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0039】
[実施例1〜5、比較例1,2]
3次元網状基体として空隙率82%のポリプロピレン不織布を用い、これに下記表1に示されるめっき液および条件で、無電解銅めっき処理、電気銅めっき処理を行い第1めっき層を空隙率68%まで形成し、さらに、表1に示されるめっき液および条件で電気錫めっき処理を行い第2めっき層を形成し、電池電極を得た。
【0040】
[実施例6]
不織布をポリプロピレン:ポリエチレン=9:1(体積比)の混合物とした以外は、実施例1と同様にして第1めっき層および第2めっき層を形成した。
【0041】
[実施例7]
ポリプロピレン不織布の空隙率を75%とし、第1めっき層を空隙率62%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0042】
[実施例8]
ポリプロピレン不織布の空隙率を90%とし、第1めっき層を空隙率72%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
[実施例9]
第1めっき層形成時の無電解めっき、電気めっきを表2に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0045】
【表2】
【0046】
[実施例10]
第1めっき層形成時の電気めっきを表3に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0047】
【表3】
【0048】
[実施例11]
第1めっき層を空隙率60%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0049】
[実施例12]
第1めっき層を空隙率75%まで形成した以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0050】
[実施例13]
第2めっき層形成時の電気めっきを表4に示されるめっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0051】
【表4】
【0052】
[実施例14]
第2めっき層形成時の電気めっきを表5に示される無電解めっき浴および条件で行った以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0053】
【表5】
【0054】
[実施例15]
ポリプロピレン不織布の空隙率を60%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0055】
[実施例16]
第1めっき層形成後の空隙率を45%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0056】
[実施例17]
ポリプロピレン不織布の空隙率を95%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0057】
[実施例18]
ポリプロピレン不織布の空隙率を90%とするとともに、第1めっき層形成後の空隙率を80%とした以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0058】
[比較例3]
第2めっき層を形成する代わりに黒鉛を担持させた以外は、実施例1と同様にして電池電極を得た。
【0059】
[比較例4]
3次元網状基体を使用せず、厚み50μmの銅箔に、実施例1と同様の錫めっき層を形成して電池電極を得た。
【0060】
[比較例5]
3次元網状基体を使用せず、厚み50μmの銅箔に、黒鉛ペーストを塗布して電池電極を得た。
【0061】
上記各実施例および比較例について、不織布(種類、空隙率)、第1および第2めっき層(構成、処理時間、めっき形成後の空隙率)について、下記表6にまとめて示した。
また、上記各実施例および比較例で得られた電池電極について、初期放電容量およびサイクル特性について測定した結果を表7に示した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
上記表6,7において、空隙率、初期放電容量、サイクル特性は以下のようにして測定した。
[1]空隙率
▲1▼不織布の空隙率
不織布を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A1)。次に、サンプルの面積(D1)と厚み(B1)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E1=B1×D1)。また、不織布素材の比重C1から、サンプルの真の体積(A1/C1=E1’)を算出する。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E1−E1’)×100/E1
【0065】
▲2▼第1めっき層形成後(被覆体)の空隙率
被覆体を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A2)。次に、サンプルの面積(D2)と厚み(B2)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E2=D2×B2)。また、面積D2における不織布素材の重量を、▲1▼で測定したD1およびA1から算出し(A2’=D2×A1/D1)、この値から不織布の体積を算出する(E2’=A2’/C1)。
さらに、第1めっき層の重量を算出し(A2”=A2−A2’)、この値と第1めっき層を構成する金属の比重C2とから第1めっき層の体積を算出する(E2”=A2”/C2)。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E2−E2’−E2”)×100/E2
【0066】
▲3▼第2めっき層形成後(電池電極)の空隙率
電極を所定の大きさに切り出したサンプルの重量を測定する(A3)。サンプルの面積(D3)と厚み(B3)とを求め、これらの値からサンプルの体積を算出する(E3=D3×B3)。また、面積D3における不織布素材の重量を、▲2▼で測定したD2およびA2’から算出し(A3’=D3×A2’/D2)、この値から不織布の体積を算出する(E3’=A3’/C1)。
さらに、面積D3における第1めっき層の重量を、▲2▼で測定したD2およびA2”から算出し(A3”=D3×A2”/D2)、この値から第1めっき層の体積を算出する(E3”=A3”/C2)。
次に、第2めっき層の重量を算出し(A3’’’=A3−A3’−A3”)、この値と第2めっき層を構成する金属の比重C3とから第2めっき層の体積を算出する(E3’’’=A3’’’/C3)。これらの値から、下記式により空隙率を算出する。
空隙率(%)=(E3−E3’−E3”−E3’’’)×100/E3
【0067】
[2]初期放電容量
対極および参照極として金属リチウムを、電解液として1Mの6フッ化リンリチウム溶液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1(体積比))を用い、充電は0V(Li/Li+基準)までの電位範囲で、0.25→0.13→0.05mA/cm2と段階的に電流値を下げて行い、放電は1.5V(Li/Li+基準)までの電位範囲で1mA/cm2にて行い、このときの放電容量を求めた。なお、放電容量は、電極支持体込みの値であり、負極活物質の理論容量とは異なる。
【0068】
[3]サイクル特性
上記放電容量測定と同様にし、充電、放電を1サイクルとして100サイクル後の放電容量の初期放電容量に対する比率を下記式により求めた。
サイクル特性(%)=100サイクル後放電容量×100/初期放電容量
【0069】
表7に示されるように、3次元網状基体上に第1めっき層を形成し、さらに第1めっき層上に第2めっき層を形成し、空隙率が1〜15%である各実施例の電極は、その他の各比較例の電極と比べ、初期放電容量およびサイクル特性のバランスがよいことがわかる。
特に、第2めっき層の厚みを第1めっき層の厚みよりも大きくし、3次元網状基体の空隙率が75〜90%、かつ、3次元網状基体と第1めっき層とからなる被覆体の空隙率が60〜75%である実施例1〜14においては、各比較例に比べ、初期放電容量およびサイクル特性が格段に優れていることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の電池電極は、3次元網状基体上に第1めっき層を形成し、さらに第1めっき層上に第1めっき層と異なる組成の第2めっき層を形成してなる、空隙率が1〜15%のものであるから、活物質と集電体との密着性および充放電容量に優れるとともに、繰り返し充放電によっても電池が劣化しにくい電池電極を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池電極の部分拡大図であり、(a)は第1めっき層が薄い場合を、(b)は第1めっき層が厚い場合を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電池電極の部分端面図であり、(a)は繊維が離れた状態を、(b)は第2めっき層で繊維が連結された状態を示す図である。
【符号の説明】
1 電池電極
11 3次元網状基体
12,12a,12b 第1めっき層
13a,13b 第2めっき層
Claims (4)
- 3次元網状基体と、この基体上に形成された第1めっき層と、この第1めっき層上に形成された前記第1めっき層と異なる組成の第2めっき層とを含んで構成され、空隙率が1〜15%であることを特徴とする電池電極。
- 前記第2めっき層が前記第1めっき層よりも厚い層であることを特徴とする請求項1記載の電池電極。
- 前記3次元網状基体の空隙率が75〜90%であるとともに、この3次元網状基体と前記第1めっき層とからなる被覆体の空隙率が60〜75%であることを特徴とする請求項1または2記載の電池電極。
- リチウムイオン二次電池の負極として用いられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池電極。
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JP2002194453A JP2004039427A (ja) | 2002-07-03 | 2002-07-03 | 電池電極 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007250441A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Sanyo Electric Co Ltd | リチウム二次電池用負極及びその製造方法並びにリチウム二次電池 |
JP2008153034A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 負極基材 |
JP2016056447A (ja) * | 2014-09-09 | 2016-04-21 | 国立大学法人信州大学 | Sn系金属を保持する銅三次元ナノ構造体の製造方法 |
JP2020161256A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | トヨタ自動車株式会社 | ニッケル亜鉛電池の製造方法 |
-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002194453A patent/JP2004039427A/ja active Pending
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