JP2004039387A - 電池のリーク検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池性能の低下を防止し、不良品の再利用を可能にし、リークによる損害を少なくさせる電池のリーク検知方法を提供する。
【解決手段】本発明の電池のリーク検知方法は、例えばボックス11内のヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質を容器内に封入して電池(ナトリウム硫黄電池10)を作製する電池作製工程と、例えばヘリウム検出器15により、電池(ナトリウム硫黄電池10)内に封入された不活性ガス中のヘリウムのリークを検査するリーク検査工程とを有している。この電池のリーク検知方法は、ナトリウム硫黄電池に好適に採用される。また、この電池のリーク検知方法における前記リーク検査工程では、例えば線状のヒータ16によって電池を加熱することが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の電池のリーク検知方法は、例えばボックス11内のヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質を容器内に封入して電池(ナトリウム硫黄電池10)を作製する電池作製工程と、例えばヘリウム検出器15により、電池(ナトリウム硫黄電池10)内に封入された不活性ガス中のヘリウムのリークを検査するリーク検査工程とを有している。この電池のリーク検知方法は、ナトリウム硫黄電池に好適に採用される。また、この電池のリーク検知方法における前記リーク検査工程では、例えば線状のヒータ16によって電池を加熱することが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水や酸素と反応する活物質を収納している電池、例えばナトリウム硫黄電池のリーク検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
充電可能な二次電池の活物質として、水や酸素と反応する物質を使用することがある。そのような電池の例として、負極活物質がナトリウムであり、正極活物質が硫黄であるナトリウム硫黄電池が挙げられる。
ナトリウム硫黄電池の一般的な構成は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には正極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナなどの固体電解質で隔離したものである。図3に、ナトリウム硫黄電池の断面構成図を示す。
ナトリウム硫黄電池は、ナトリウムを含む負極活物質が収納された負極室31と、負極室31の外側に配置され、硫黄を含む正極活物質を含浸した多数枚の硫黄含浸炭素繊維32が収納された正極室33と、負極室31と正極室33との間に位置して負極活物質と正極活物質とを隔離し、かつナトリウムイオンに対して伝導性を有する有底円筒状の固体電解質34と、負極室31と正極室33とを収納する有底円筒状の外筒35と、負極室31内に収納された安全管36とを備えて概略構成される。
【0003】
このようなナトリウム硫黄電池の作製では、まず、図4(a)に示すように、固体電解質34内に安全管36を収納し、次いで、図4(b)に示すような、断面が円弧状であって、固体電解質34の直胴部の外径より大きい内径を有し、外筒35の直胴部より小さい外径を有する硫黄含浸炭素繊維32の複数個を、図4(c)に示すように、外筒35内に収納し、次いで、図5(a)に示すように、外筒35の硫黄含浸炭素繊維32の内側に、安全管36を収納した固体電解質34を収納する。次いで、固体電解質34上部に取り付けられた絶縁リング37を、安全管36に設けられた上部フランジ38と、外筒35に設けられた下部フランジ39とで挟持し、上部フランジ38と下部フランジ39とを締結ボルト40で締結して、安全管36と固体電解質34と外筒35とを一体化する。その際、絶縁リング37と上部フランジ38との間、絶縁リング37と下部フランジ39との間には、アルミシール41を挟んで密閉性を高める。また、このようなシール方法には各種手法があることは同業者にとっては明らかである。
【0004】
次いで、固体電解質34内を真空にして、ナトリウム注入を容易にするとともに、固体電解質34の絶縁リング37と安全管36の上部フランジ38との接触部分がリークしていないかを調べる。リークしていないことを確認した後、図5(b)に示すように、ナトリウム注入容器42からナトリウム注入口43を通して固体電解質34内にナトリウムを注入する。次いで、ナトリウム注入口43を密封してナトリウム硫黄電池を得る。
なお、ナトリウム硫黄電池の活物質は、水や酸素と反応し易いため、不活性ガス雰囲気中で作製される。不活性ガスの中でも、安価なアルゴンや窒素が主に使用され、高価なヘリウムは使用されない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した作製方法では、固体電解質の絶縁リングと安全管の上部フランジとの接触部分のリークを確認していたが、固体電解質の絶縁リングと外筒の下部フランジとの接触部分のリークは、実際に充放電しなければ検知できなかった。したがって、固体電解質の絶縁リングと上部フランジとの接触部分がリークしていた場合には、負極活物質であるナトリウムが水や酸素と反応して電池の性能が低下することがあった。同様に、固体電解質の絶縁リングと外筒の下部フランジとの接触部分がリークしていた場合には、正極活物質である硫黄が水や酸素と反応して電池の性能が低下することがあった。特に、ナトリウム硫黄電池を使用する際には、加熱して硫黄を溶融させるため、硫黄含有炭素繊維を取り出すことが難しく、リークしていた不良品の電池を再利用することは困難であり、廃棄処分していた。しかも、加熱温度は、放電の際に正極室に生成する多硫化ナトリウムが溶融する約350℃にされるので、内部の物質の膨張が大きく、リークしやすくなる。したがって、従来のように、リーク試験をせずに実運転した場合、硫黄がリーク部分から漏れ出して、大きな損害が発生する可能性があった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、電池の性能低下を防止するとともに、不良品の再利用を可能にし、リークによる損害を少なくさせる電池のリーク検知方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池のリーク検知方法は、ヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質を容器内に封入して電池を作製する電池作製工程と、電池内に封入された前記不活性ガス中のヘリウムのリークを検査するリーク検査工程とを有することを特徴としている。
本発明の電池のリーク検知方法は、前記電池がナトリウム硫黄電池である場合に好ましく採用される。
また、本発明の電池のリーク検知方法において、前記リーク検査工程では、電池を加熱することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電池のリーク検知方法の一実施形態例について図1を参照しながら説明する。この実施形態例における電池は、負極活物質にナトリウム、正極活物質に硫黄を使用するナトリウム硫黄電池である。
この検知方法では、まず、電池作製工程において、ヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質であるナトリウムおよび硫黄を、容器である外筒内に封入して、ナトリウム硫黄電池を作製する。具体的には、図1(a)に示すように、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックス11内で、図4および図5に示した作製方法により、ナトリウムおよび硫黄を外筒内に封入してナトリウム硫黄電池10を作製する。ヘリウムを含む不活性ガス中でナトリウム硫黄電池を作製する際には、固体電解質と外筒との間の空間にヘリウムが入り込み、これを密封するので、特別な操作をすることなく、ナトリウム硫黄電池内にヘリウムを含む不活性ガスが封入される。
なお、ボックス11内を、ヘリウムを含む不活性ガスで満たす方法としては、例えば、あらかじめ不活性ガス(例えば、アルゴン)とヘリウムとが混合されたボンベ12から、配管13およびバルブ14を介してボックス11に供給する方法が挙げられる。
上述した電池作製工程では、ヘリウムを含む不活性ガス中で、ナトリウム硫黄電池を作製するので、既存のナトリウム硫黄電池の作製装置を流用でき、大幅な設備投資が不要である。
【0008】
次いで、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックスから、電池を取り出す。そして、図1(b)に示すように、リーク検査工程において、ナトリウム硫黄電池10にヘリウム検出器15を近づけて、電池内に封入された不活性ガス中のヘリウムのリークを検査する。リークしている場合には、ヘリウム検出器によりヘリウムを検知する。ここで、ヘリウム検出器15としては、市販のものを使用できる。
ヘリウムが、この検知方法のリーク検知用ガスとして用いられるのは、分子半径が小さいので微小の隙間を検知できる上に、硫黄と反応しない、検出感度が高いなどの特性を有するためである。
【0009】
上述した実施形態例の検知方法により、ナトリウム硫黄電池がリークしていることを検知した場合、電池内の硫黄は未溶融であるから、この電池を再利用できる。すなわち、リークしていたナトリウム硫黄電池を、再び、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックス内に収容し、締結ボルトを外して外筒から固体電解質および硫黄含浸炭素繊維を取り出す。そして、硫黄含浸炭素繊維を新しいものと交換し、次いで、外筒に固体電解質を収納し、上部フランジと下部フランジとを締結ボルトで締結して、新たなナトリウム硫黄電池を得る。
このように、リークしていた不良品の電池を廃棄処分せずに再利用できるので、部品の使用効率が高い上に、環境上の問題が低減される。
また、市販のヘリウム検出器(ヘリウムリークデテクタ)でも感度良く検出できるため、不活性ガス中に混入させるヘリウムは微量でよく、コストアップの要因とはならない。
【0010】
また、上述した実施形態例のリーク検査工程においては、ナトリウム硫黄電池を、100℃を上限とした温度で加熱することが好ましい。電池を加熱すると、電池内の圧力が高くなるので、より小さな隙間でもヘリウムが通過するようになり、より高精度にリークを検知できる。なお、加熱温度が100℃を超えると、ナトリウム(融点;98℃)が溶融するので、不良品を再利用できなくなるだけでなく、リークしている部分から硫黄が流出することがある。
加熱方法については特に制限はなく、例えば、図1(c)に示すように、線状のヒータ16をナトリウム硫黄電池の周囲に巻き付けてもよいし、ナトリウム硫黄電池に温風を吹き付けてもよい。
【0011】
このように検査されたナトリウム硫黄電池は、通常、図2に示されるように、モジュール17内に集積され、約350℃で使用される。すなわち、リーク検査工程の際の温度より高い温度で使用されるため、100℃以下の加熱でリークを検知していなくても、より高温の350℃ではリークすることがある。また、長期間使用した場合には、隙間が形成してリークすることがある。そのため、モジュール17内にヘリウム検出器18を設けることが好ましい。モジュール17内にヘリウム検出器18を設ければ、使用中でも、早期にナトリウム硫黄電池10のリークを検知できる。したがって、損害を最小限に抑えることができる。
【0012】
なお、本発明の電池のリーク検知方法は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、上述した実施形態例の電池は、ナトリウム硫黄電池であったが、水や酸素と反応する活物質を収納する他の電池であってもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、ヘリウムを含む不活性ガス中で電池を作製する際に、当該不活性ガス中のヘリウムが電池内に封入されることを利用して、使用する前に電池のリークを検知できるので、リークに対する対処が可能になり、水または酸素と活物質との反応による電池性能の低下を防止できる。また、実運転時の活物質の漏洩を防止できるので、リークによる損害を少なくさせることができる。また、不良品の再利用を可能にするので、部品を効率的に使用できる上に、環境上の問題が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電池のリーク検知方法の一実施形態例を説明する図であって、(a)は、電池作製工程を模式的に示す図であり、(b)および(c)は、リーク検査工程を模式的に示す図である。
【図2】モジュールの断面図である。
【図3】ナトリウム硫黄電池を示す断面図である。
【図4】ナトリウム硫黄電池の作製方法を工程順に示す断面図である。
【図5】ナトリウム硫黄電池の作製方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
10 ナトリウム硫黄電池(電池)
【発明の属する技術分野】
本発明は、水や酸素と反応する活物質を収納している電池、例えばナトリウム硫黄電池のリーク検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
充電可能な二次電池の活物質として、水や酸素と反応する物質を使用することがある。そのような電池の例として、負極活物質がナトリウムであり、正極活物質が硫黄であるナトリウム硫黄電池が挙げられる。
ナトリウム硫黄電池の一般的な構成は、一方に陰極活物質である溶融金属ナトリウム、他方には正極活物質である溶融硫黄を配し、両者をナトリウムイオンに対して選択的な透過性を有するβ−アルミナなどの固体電解質で隔離したものである。図3に、ナトリウム硫黄電池の断面構成図を示す。
ナトリウム硫黄電池は、ナトリウムを含む負極活物質が収納された負極室31と、負極室31の外側に配置され、硫黄を含む正極活物質を含浸した多数枚の硫黄含浸炭素繊維32が収納された正極室33と、負極室31と正極室33との間に位置して負極活物質と正極活物質とを隔離し、かつナトリウムイオンに対して伝導性を有する有底円筒状の固体電解質34と、負極室31と正極室33とを収納する有底円筒状の外筒35と、負極室31内に収納された安全管36とを備えて概略構成される。
【0003】
このようなナトリウム硫黄電池の作製では、まず、図4(a)に示すように、固体電解質34内に安全管36を収納し、次いで、図4(b)に示すような、断面が円弧状であって、固体電解質34の直胴部の外径より大きい内径を有し、外筒35の直胴部より小さい外径を有する硫黄含浸炭素繊維32の複数個を、図4(c)に示すように、外筒35内に収納し、次いで、図5(a)に示すように、外筒35の硫黄含浸炭素繊維32の内側に、安全管36を収納した固体電解質34を収納する。次いで、固体電解質34上部に取り付けられた絶縁リング37を、安全管36に設けられた上部フランジ38と、外筒35に設けられた下部フランジ39とで挟持し、上部フランジ38と下部フランジ39とを締結ボルト40で締結して、安全管36と固体電解質34と外筒35とを一体化する。その際、絶縁リング37と上部フランジ38との間、絶縁リング37と下部フランジ39との間には、アルミシール41を挟んで密閉性を高める。また、このようなシール方法には各種手法があることは同業者にとっては明らかである。
【0004】
次いで、固体電解質34内を真空にして、ナトリウム注入を容易にするとともに、固体電解質34の絶縁リング37と安全管36の上部フランジ38との接触部分がリークしていないかを調べる。リークしていないことを確認した後、図5(b)に示すように、ナトリウム注入容器42からナトリウム注入口43を通して固体電解質34内にナトリウムを注入する。次いで、ナトリウム注入口43を密封してナトリウム硫黄電池を得る。
なお、ナトリウム硫黄電池の活物質は、水や酸素と反応し易いため、不活性ガス雰囲気中で作製される。不活性ガスの中でも、安価なアルゴンや窒素が主に使用され、高価なヘリウムは使用されない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した作製方法では、固体電解質の絶縁リングと安全管の上部フランジとの接触部分のリークを確認していたが、固体電解質の絶縁リングと外筒の下部フランジとの接触部分のリークは、実際に充放電しなければ検知できなかった。したがって、固体電解質の絶縁リングと上部フランジとの接触部分がリークしていた場合には、負極活物質であるナトリウムが水や酸素と反応して電池の性能が低下することがあった。同様に、固体電解質の絶縁リングと外筒の下部フランジとの接触部分がリークしていた場合には、正極活物質である硫黄が水や酸素と反応して電池の性能が低下することがあった。特に、ナトリウム硫黄電池を使用する際には、加熱して硫黄を溶融させるため、硫黄含有炭素繊維を取り出すことが難しく、リークしていた不良品の電池を再利用することは困難であり、廃棄処分していた。しかも、加熱温度は、放電の際に正極室に生成する多硫化ナトリウムが溶融する約350℃にされるので、内部の物質の膨張が大きく、リークしやすくなる。したがって、従来のように、リーク試験をせずに実運転した場合、硫黄がリーク部分から漏れ出して、大きな損害が発生する可能性があった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、電池の性能低下を防止するとともに、不良品の再利用を可能にし、リークによる損害を少なくさせる電池のリーク検知方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池のリーク検知方法は、ヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質を容器内に封入して電池を作製する電池作製工程と、電池内に封入された前記不活性ガス中のヘリウムのリークを検査するリーク検査工程とを有することを特徴としている。
本発明の電池のリーク検知方法は、前記電池がナトリウム硫黄電池である場合に好ましく採用される。
また、本発明の電池のリーク検知方法において、前記リーク検査工程では、電池を加熱することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電池のリーク検知方法の一実施形態例について図1を参照しながら説明する。この実施形態例における電池は、負極活物質にナトリウム、正極活物質に硫黄を使用するナトリウム硫黄電池である。
この検知方法では、まず、電池作製工程において、ヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質であるナトリウムおよび硫黄を、容器である外筒内に封入して、ナトリウム硫黄電池を作製する。具体的には、図1(a)に示すように、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックス11内で、図4および図5に示した作製方法により、ナトリウムおよび硫黄を外筒内に封入してナトリウム硫黄電池10を作製する。ヘリウムを含む不活性ガス中でナトリウム硫黄電池を作製する際には、固体電解質と外筒との間の空間にヘリウムが入り込み、これを密封するので、特別な操作をすることなく、ナトリウム硫黄電池内にヘリウムを含む不活性ガスが封入される。
なお、ボックス11内を、ヘリウムを含む不活性ガスで満たす方法としては、例えば、あらかじめ不活性ガス(例えば、アルゴン)とヘリウムとが混合されたボンベ12から、配管13およびバルブ14を介してボックス11に供給する方法が挙げられる。
上述した電池作製工程では、ヘリウムを含む不活性ガス中で、ナトリウム硫黄電池を作製するので、既存のナトリウム硫黄電池の作製装置を流用でき、大幅な設備投資が不要である。
【0008】
次いで、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックスから、電池を取り出す。そして、図1(b)に示すように、リーク検査工程において、ナトリウム硫黄電池10にヘリウム検出器15を近づけて、電池内に封入された不活性ガス中のヘリウムのリークを検査する。リークしている場合には、ヘリウム検出器によりヘリウムを検知する。ここで、ヘリウム検出器15としては、市販のものを使用できる。
ヘリウムが、この検知方法のリーク検知用ガスとして用いられるのは、分子半径が小さいので微小の隙間を検知できる上に、硫黄と反応しない、検出感度が高いなどの特性を有するためである。
【0009】
上述した実施形態例の検知方法により、ナトリウム硫黄電池がリークしていることを検知した場合、電池内の硫黄は未溶融であるから、この電池を再利用できる。すなわち、リークしていたナトリウム硫黄電池を、再び、ヘリウムを含む不活性ガスで満たされたボックス内に収容し、締結ボルトを外して外筒から固体電解質および硫黄含浸炭素繊維を取り出す。そして、硫黄含浸炭素繊維を新しいものと交換し、次いで、外筒に固体電解質を収納し、上部フランジと下部フランジとを締結ボルトで締結して、新たなナトリウム硫黄電池を得る。
このように、リークしていた不良品の電池を廃棄処分せずに再利用できるので、部品の使用効率が高い上に、環境上の問題が低減される。
また、市販のヘリウム検出器(ヘリウムリークデテクタ)でも感度良く検出できるため、不活性ガス中に混入させるヘリウムは微量でよく、コストアップの要因とはならない。
【0010】
また、上述した実施形態例のリーク検査工程においては、ナトリウム硫黄電池を、100℃を上限とした温度で加熱することが好ましい。電池を加熱すると、電池内の圧力が高くなるので、より小さな隙間でもヘリウムが通過するようになり、より高精度にリークを検知できる。なお、加熱温度が100℃を超えると、ナトリウム(融点;98℃)が溶融するので、不良品を再利用できなくなるだけでなく、リークしている部分から硫黄が流出することがある。
加熱方法については特に制限はなく、例えば、図1(c)に示すように、線状のヒータ16をナトリウム硫黄電池の周囲に巻き付けてもよいし、ナトリウム硫黄電池に温風を吹き付けてもよい。
【0011】
このように検査されたナトリウム硫黄電池は、通常、図2に示されるように、モジュール17内に集積され、約350℃で使用される。すなわち、リーク検査工程の際の温度より高い温度で使用されるため、100℃以下の加熱でリークを検知していなくても、より高温の350℃ではリークすることがある。また、長期間使用した場合には、隙間が形成してリークすることがある。そのため、モジュール17内にヘリウム検出器18を設けることが好ましい。モジュール17内にヘリウム検出器18を設ければ、使用中でも、早期にナトリウム硫黄電池10のリークを検知できる。したがって、損害を最小限に抑えることができる。
【0012】
なお、本発明の電池のリーク検知方法は、上述した実施形態例に限定されない。例えば、上述した実施形態例の電池は、ナトリウム硫黄電池であったが、水や酸素と反応する活物質を収納する他の電池であってもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、ヘリウムを含む不活性ガス中で電池を作製する際に、当該不活性ガス中のヘリウムが電池内に封入されることを利用して、使用する前に電池のリークを検知できるので、リークに対する対処が可能になり、水または酸素と活物質との反応による電池性能の低下を防止できる。また、実運転時の活物質の漏洩を防止できるので、リークによる損害を少なくさせることができる。また、不良品の再利用を可能にするので、部品を効率的に使用できる上に、環境上の問題が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電池のリーク検知方法の一実施形態例を説明する図であって、(a)は、電池作製工程を模式的に示す図であり、(b)および(c)は、リーク検査工程を模式的に示す図である。
【図2】モジュールの断面図である。
【図3】ナトリウム硫黄電池を示す断面図である。
【図4】ナトリウム硫黄電池の作製方法を工程順に示す断面図である。
【図5】ナトリウム硫黄電池の作製方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
10 ナトリウム硫黄電池(電池)
Claims (3)
- ヘリウムを含む不活性ガス中で、水または酸素と反応する活物質を容器内に封入して電池を作製する電池作製工程と、
電池内に封入された前記不活性ガス中のヘリウムのリークを検査するリーク検査工程とを有することを特徴とする電池のリーク検知方法。 - 前記電池が、ナトリウム硫黄電池であることを特徴とする請求項1に記載の電池のリーク検知方法。
- 前記リーク検査工程では、電池を加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の電池のリーク検知方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002193434A JP2004039387A (ja) | 2002-07-02 | 2002-07-02 | 電池のリーク検知方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002193434A JP2004039387A (ja) | 2002-07-02 | 2002-07-02 | 電池のリーク検知方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004039387A true JP2004039387A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31702394
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002193434A Withdrawn JP2004039387A (ja) | 2002-07-02 | 2002-07-02 | 電池のリーク検知方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004039387A (ja) |
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-
2002
- 2002-07-02 JP JP2002193434A patent/JP2004039387A/ja not_active Withdrawn
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