JP4089389B2 - 密閉電池の気密検査方法およびその装置 - Google Patents

密閉電池の気密検査方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は迅速、簡便かつ安価に実施できる密閉電池の気密検査方法および気密検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
密閉電池においてその気密を保つことは電池の保存特性上,安全性上の観点から極めて重要である。
【0003】
例えばアルカリマンガン乾電池などの一次電池において気密が充分に保たれていない場合には、長期保存した場合に電解液であるアルカリ水溶液が電槽外に漏洩し、電池の使用に際して所定の放電容量が確保できない場合がある。また、電池が機器に装着された状態で電解液が漏洩した場合には機器の変色や腐食を引き起こす恐れがある。
【0004】
また、用いる電池が例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池の場合において問題はさらに深刻である。二次電池は放電後に再充電して繰り返し使用するものであるから、一次電池以上に長期にわたって使用され続ける傾向がある。電池の気密が充分に保たれていない場合には電解液の漏洩が起こり、サイクル寿命特性に多大なる影響を及ぼす。二次電池は、一般に同じ程度のエネルギー量を有する一次電池と比較して価格が高い傾向にあるため、電池の性能低下による経済的損失も大きくなりやすい。
【0005】
このように電池の性能を長期にわたって維持せしめ、かつ、漏液による機器の損傷などを防止するために密閉電池においてその気密を保つことは極めて重要であり、製造した密閉電池を提供,販売するにあたっては気密検査を実施し、気密が充分に保たれていない不良品を排除する必要がある。そのため、密閉電池の様々な気密検査方法がこれまでにも提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1においては、電槽内の空気を検査ガスに置換しておいて気密不良箇所から漏洩する検査ガスをガスセンサで検知する方法が提案されている。しかしながらこの方法ではガスの置換に手間がかかる上、一つの電池に対して一つのガスセンサを必要とする。このため大量に、かつ、迅速に検査を実施するには多数のガスセンサを必要とする。その結果、多額の設備投資が必要となり経済的負担が大きい。
【0007】
また、特許文献2においては密封型電気機器の気密性を検査するために、密封型電気機器を収容する密封容器と密封容器内を加圧または減圧する手段と密封容器内の圧力を検出する差圧センサと密封型電気機器ケース内外の空気流通の有無を判定する手段とを備える検査装置が提案されている。しかしながら、ここで採用されている方法では気密不良個所の空気流通を検知するために高精度の差圧センサを必要とする。また、一つの電気機器に対して一つの気密容器を必要とする。
【0008】
このように従来の気密検査方法は迅速,簡便かつ安価に実施できるものではなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−21089号公報
【特許文献2】
特開昭62−38338号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は密閉電池の気密検査を迅速,簡便かつ安価に実施する方法および装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は密閉電池を密封容器に収容し、密閉電池を加圧したガス雰囲気下に保持する第1の工程と、密封容器内のガス圧を低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法に関する。
【0012】
電池にピンホールや微少な亀裂がある場合には、第1の工程において加圧したガス雰囲気下で保持することでガスが電池内に侵入する。この時点で電池内圧は電池の外側と同等もしくは同等以下であるため、電池が膨張することはない。その後、第2の工程で密封容器内のガスを排出して電池の外側の気圧を低減させた際、例えば加圧したガスを開放し密封容器内圧を常圧に戻した際には加圧時に電池内に侵入したガスはピンホールもしくは亀裂より放出されるが、その速度は比較的遅い。そのため、一時的に電池内圧が電池外の気圧よりも高い状態となる。このことにより電池の膨張が引き起こされ、第3の工程において電池の寸法を測定し規格寸法と比較することでピンホールもしくは亀裂が検知される。つまり、ピンホールや亀裂の有無が寸法異常として検知できるのである。
【0013】
密閉電池にピンホールや微少な亀裂がない場合には、第1の工程においてガスが電池内に侵入しないので、第2の工程において電池の膨張は引き起こされず、寸法変化も生じない。ここで、電池の寸法を測定するのは、当初の寸法からの変化(とくに膨張の有無)を把握し、以て気密不良の有無を判定することが目的であるから、必ずしも寸法の絶対値を知る必要はない。したがって、寸法の絶対値を測定する代わりに、例えば規格寸法と同じ寸法の間隙を持つスリットを電池が通過し得るか否かを以て膨張の有無を把握するなどの方法を採用してもよい。
【0014】
前記ガスは空気,窒素,アルゴン,ヘリウム,二酸化炭素,水蒸気から選択される一種か、もしくは二種以上の混合物が好ましい。ガスを電池内に侵入させることにより電池の膨張を引き起こすことが本発明の主旨であるから、ガスが電池内で消費されたりすることは好ましくない。例えば、密閉型のニッケル・水素蓄電池の気密検査を実施するにあたって前記ガスとして水素や酸素を用いることは好ましくない。なぜなら、ニッケル・水素蓄電池の負極に用いられる水素吸蔵合金は水素や酸素を吸収もしくは消費してしまうからである。このような観点から不活性なガスもしくは電池の膨張を助長するガスなどを使用することが好ましいのである。
【0015】
また、本発明は密閉電池の少なくとも一部を加圧した液中で保持する第1の工程と、その加圧力を低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法に関する。ここで加圧した液中で保持する密閉電池の一部とは、検査しようとする部位であり、具体的には例えばレーザー溶接などにより接合した部位あるいは封口部などである。また、前記液は水または水溶液が好ましい。
【0016】
電池にピンホールや微少な亀裂がある場合には、第1の工程において加圧した液中で保持した際に液体、例えば水が電池内に侵入する。検査に供した電池がリチウム電池,リチウムイオン二次電池などであって、その負極が少なくとも部分的に充電状態である場合には電池内に侵入した水はただちに負極と反応し、水素ガスを発生させる。このガス発生速度が比較的速い一方で、ガスがピンホールや微少な亀裂から放出される速度は比較的遅いため、第2の工程において加圧力を低減させることと相まって電池内圧が電池外圧よりも大幅に高い状態が一時的に実現する。このことにより電池の膨張が引き起こされ、その後、第3の工程で電池の寸法変化を把握することでピンホールもしくは亀裂の有無が判定される。
【0017】
なお、電池が最初の充電を施される以前であって負極が全くの未充電状態である場合には最初の充電時に電池内の水が電気分解されて酸素ガスおよび水素ガスを生成し、電池の膨張が引き起こされる。したがって、この場合は最初の充電後に電池の寸法を測定することでピンホールもしくは亀裂の有無が判定される。
【0018】
電池にピンホールもしくは微少な亀裂があれば電池が角形の場合には電池の厚さが変化し、電池が円筒形の場合には電池の高さが変化する。したがって、これらの厚さ,高さを測定し規格寸法と比較することでピンホールもしくは亀裂の有無が判定されるのである。
【0019】
なお、第1の工程で液中加圧下に保持するに際して前記液は水または水溶液が好ましいことは既に述べたが、検査に供される密閉電池がリチウムイオン二次電池の場合には、前記液として炭酸ナトリウム水溶液や石灰水などを用いてもよい。なぜならリチウムイオン二次電池の電解液は水と反応してフッ化水素酸を生じる場合があり、これが検査工程において電池外に漏洩し周辺の機器や設備を腐食させる恐れがあるからである。前記液として炭酸ナトリウム水溶液や石灰水を用いれば、このフッ化水素酸を無害化できる。
【0020】
本発明において密閉電池をガスもしくは液体加圧下に保持するに際してその圧力は0.15MPa以上1.0MPa以下であることが好ましい。また、加圧下に保持する時間および温度は60秒間以上2時間以下および20℃以上60℃以下がそれぞれ望ましい。
【0021】
加圧下に保持するに際してその圧力が0.15MPaより低い場合にはガスもしくは液体が充分に電池内に侵入せず、その結果、検査精度が低くなる。その圧力が1.0MPaより高い場合には加えた圧力でピンホールや亀裂のない良品電池までも変形させる恐れが生じる。なお、加圧力は電池に装備した安全弁作動圧を考慮して決定する必要があり、加圧力は安全弁作動圧よりも低く設定する必要がある。また、加圧下に保持する時間が60秒間より短い場合にはガスもしくは液体が充分に電池内に侵入せず、その結果、検査精度が低くなる。加圧下に保持する時間が2時間より長い場合にはピンホールや亀裂のない良品電池を変形させる恐れが生じる。検査を迅速に行う観点からも加圧下に保持する時間は、検査精度を低下させない範囲でできるだけ短いほうがよく、10分間以下であることがさらに好ましい。
【0022】
また、加圧ガス雰囲気に保持する際の雰囲気温度が20℃以下である場合には、検査中もしくは検査後に空気中の水分が電池上に結露する恐れがある。結露が生じても検査そのものに不具合はないが、水分をふき取るなどの工程が別に必要になる。雰囲気温度が60℃以上である場合は検査工程において電池を加熱することになり電池特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0023】
さらにまた、加圧した液中に保持する温度が20℃以下である場合には密封容器内の圧力変化にともなって液体が凍結する恐れがあり、60℃以上である場合には密封容器内の圧力変化にともなって液体が突沸する恐れがある。
【0024】
なお、検知すべきピンホールが電池内の電解液に由来する電解質塩などによってふさがれている場合には検査精度が低下する恐れがある。この場合、加圧水中に保持することで電解質塩の溶解を促進し検査精度の低下を防止することができる。このような電解質塩の溶解を促進する観点からは水温を30℃以上、50℃以下とするのがより好ましい。また、第1の工程において、加圧した液体を撹拌したり、液体もしくは密封容器に超音波振動を与えたりすることで電解質塩の溶解を促進させることもできる。
【0025】
第2の工程において加圧力を低減するに際して、その速度は0.1MPa/秒以上が好ましい。これより遅い速度で圧力を低減させた場合には、加圧時に電池内に侵入したガスもしくは液体のピンホールより放出される速度が減圧速度に追随する場合がある。このとき電池内圧が電池外圧よりも高い状態が実現されにくく、検査精度が低下する。なお、減圧速度が1MPa/秒以上であればさらに好ましい。
【0026】
本発明の方法において、ガスもしくは液体の電池内への侵入を確実ならしめるためには、第1の工程および第2の工程を複数回繰り返して実施するのが効果的である。
【0027】
なお、第1の工程において電池を加圧下に保持する前に予め密封容器内を減圧しておいてもよい。このことは、第1の工程において電池を加圧水蒸気雰囲気下に保持する場合、とくに有効である。
【0028】
また、本発明は密閉電池を収容できる有蓋密封容器と、容器内のガス圧を加圧後に常圧に戻すための圧力調整手段と、電池寸法を測定する手段とを具備する密閉電池の気密検査装置に関する。
【0029】
さらにまた、本発明は密閉電池の少なくとも一部を加圧液中に保持する手段と、その加圧力を低減させるための圧力調整手段と、電池寸法を測定する手段とを具備する密閉電池の気密検査装置に関する。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る密閉電池の気密検査方法の実施について説明する。
【0031】
図1に密閉電池の一例として、アルミニウム製電槽2に封口板3をレーザー溶接した密閉角形リチウムイオン二次電池1の外形を示す。封口板3には注液孔が設けられており、この注液孔は注液後に封栓6をレーザー溶接することにより塞がれている。また封口板3は正極端子4および防爆のための安全弁5を有している。
【0032】
電池の検査に際しては例えば図2に示す装置を使用する。この装置は蓋12,ガス排出弁13,ガス導入弁14,圧力計15,パッキン16を具備する密封容器11および電池寸法測定手段17からなっている。なお、電池寸法測定手段17は密封容器11内に設けられていてもよく、図4に図示したごとく別体化された加減圧部(装置A)と寸法測定部(装置B)とが搬送手段によって結合されていてもよい。
【0033】
本発明に係る気密検査方法は以下の通りである。まず電池を複数個用意し、それらを密封容器11内に並べ、蓋12により容器を密封する。次にガス排出弁13を閉じた状態で、ガス導入弁14を開き、このガス導入弁14に接続された、例えば高圧空気ボンベより密封容器11内に空気を導入する。圧力計15の指示が所定の値になった時点でガス導入弁14を閉じ、その状態で一定時間保持する。その後、ガス排出弁13を開いて密封容器内の空気を排出し、密封容器内を常圧に戻した後、容器から取り出した電池を電池寸法測定手段17にセットし、その寸法、例えば厚さを測定する。
【0034】
通常、検査に供した電池のほとんどは当初の形状を保っており、測定した厚さも規格内の寸法である。一方、一部の電池は膨らんでおり、その厚さは規格値よりも大きくなる。膨張することにより厚さが規格値よりも大きくなった電池はピンホールもしくは亀裂を有する不良品と判定される。
【0035】
なお、ここでは密封容器内の空気圧を所定の値まで高めるのに高圧空気ボンベを用いる場合について説明したが、空気圧を高める手段はこれに限られるものではなく、空気圧縮機などを使用してもよく、空気圧を高めるに際して密封容器の温度を変化させる手段や容器内容積を変化させる手段を併用してもよい。また、密封容器内を減圧するに際しては、ガス排出弁13のあとに減圧ポンプなどを接続しておいてもよい。
【0036】
さらに、本発明に係る密閉電池の気密検査方法に関して、加圧媒体を液体にした場合について説明する。
【0037】
電池の検査に際しては例えば図3に示す装置を使用する。この装置は蓋22,ガス排出弁23,ガス導入弁24,圧力計25,パッキン26,液体導入弁27,液体排出弁28を具備する密封容器21および電池寸法測定手段29からなっている。なお、密封容器21と電池寸法測定手段29とは図4のごとく別体化し、両者を電池搬送手段によって結合していても、あるいは電池寸法測定手段29を密封容器21内に設けてもよい。
【0038】
検査工程は以下の通りである。まず液体排出弁28を閉じた状態で、液体導入弁27を開き、密封容器21内に例えば水を導入し、所定の水深が得られたところで液体導入弁27を閉じる。続いて充電済みのリチウムイオン二次電池を複数個用意し、それらを密封容器21内の水中に配置する。このとき、検査しようとする部位が水没するようにする。蓋22により容器を密封した後にガス排出弁23を閉じた状態で、ガス導入弁24を開き、この弁24に接続された例えば高圧空気ボンベより密封容器21内に空気を導入する。圧力計25の指示が所定の値になった時点でガス導入弁24を閉じ、その状態で一定時間保持する。次いでガス排出弁23を開いて密封容器内の空気を排出し、密封容器内を常圧に戻した後、電池寸法測定手段29により電池の厚さを測定する。
【0039】
検査に供した電池のほとんどは当初の形状を保っており、測定した厚さも規格内の寸法であった。一方、一部の電池は膨らんでおり、その厚さは規格値よりも大きかった。膨張することにより厚さが規格値よりも大きくなった電池はピンホールもしくは亀裂を有する不良品と判定される。
【0040】
ここでは、蓋を有する密封容器を使用し、容器内に空気を導入することで電池を加圧水中に保持したが、加圧水中に保持するにあたっては他の手段を用いてもよい。例えば検査部位に高速水流を衝突させたり、水中深くに電池を沈めるなどの手段を用いてもよい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0042】
(実施例1)
密閉角形リチウムイオン二次電池の一例としてその寸法が、幅34mm,高さ50mm,厚さ5.0mmのものを100個用意し、図2に示した密封容器11内に並べ、蓋12により密封した。
【0043】
次にガス排出弁13を閉じた状態でガス導入弁14を開き空気ボンベより密封容器11内に空気を導入した。圧力計15の指示が0.25MPaになったところでガス導入弁14を閉じ、その状態で5分間保持した。なお、このとき雰囲気温度は25℃とした。その後、ガス排出弁13を開いて密封容器11内の空気を排出し、容器内圧を常圧に戻した。このときの減圧速度は約0.2MPa/秒とした。引き続き蓋12を開いて電池を取り出し、電池寸法測定手段17により電池の厚さを測定した。
【0044】
測定の結果、用意した100個の電池のうち98個はその厚さがほぼ5.0mmであり、当初の寸法から変化していなかった。残りの2個についてはその厚さが5.4および5.5mmになっていた。検査終了後、これら100個の電池を充放電サイクル試験に供した。寸法変化がなかった98個については、充放電を100回程度繰り返しても漏液は認められず、放電電圧や放電容量にも大きな変化は無かった。これに対して厚さの増加すなわち膨張が認められた2個については、充放電サイクル中に封口部より漏液が認められ、また、充放電サイクルにともなって放電電圧や放電容量が顕著に低下した。
【0045】
これらの結果より膨張が認められた2個の電池についてはピンホールもしくは微少な亀裂があったことが明確になった。また、寸法変化が認められなかった98個の電池については、その後の充放電試験で異常が認められなかったことからピンホールもしくは微少な亀裂がなかったことが明らかになった。
【0046】
(実施例2)
図3に示した密封容器21において液体排出弁28を閉じた状態で液体導入弁27を開き、密封容器21内に水を導入し、水深が10cmになったところで液体導入弁27を閉じた。続いて密閉角形リチウムイオン二次電池の一例としてその寸法が、幅34mm,高さ50mm,厚さ5.0mmで充電済みのものを100個用意し、密封容器21内に並べ、蓋22により密封した。次にガス排出弁23を閉じた状態で、ガス導入弁24を開き空気ボンベより密封容器21内に空気を導入した。圧力計25の指示が0.25MPaになったところでガス導入弁24を閉じ、その状態で5分間保持した。なお、このとき雰囲気温度および水温は40℃とした。
【0047】
その後、ガス排出弁23を開いて密封容器21内の空気を排出し、容器内圧を常圧に戻した。このときの減圧速度は約0.2MPa/秒とした。引き続き蓋22を開いて電池を取り出し、電池寸法測定手段29によりその厚さを測定した。
【0048】
用意した100個の電池のうち98個はその厚さがほぼ5.0mmであり、当初寸法から変化が無かった。残りの2個についてはその厚さが5.9および6.0mmになっていた。検査終了後、寸法変化の無かった98個の電池を充放電サイクル試験に供した。寸法変化がなかった98個については充放電を100回程度繰り返しても漏液は認められず、放電電圧や放電容量にも大きな変化は無かった。
【0049】
寸法変化が認められなかった98個の電池についてはその後の充放電試験で異常が認められなかったことからピンホールもしくは微少な亀裂がなかったことが明らかになった。また、本実施例において顕著な寸法変化の認められた2個の電池については充放電サイクル試験を実施しなかったが、顕著な寸法変化が認められたことからピンホールもしくは微少な亀裂があったことは疑う余地がない。
【0050】
(実施例3)
密閉角形ニッケル・水素蓄電池の一例としてレーザー溶接により封口され、寸法が、幅16.5mm,高さ50mm,厚さ6.0mmのものを100個用意し、空気加圧力を0.4MPaとした以外は、実施例1と同様にして気密検査を実施した。
【0051】
用意した100個の電池のうち98個は寸法変化が無いかもしくは0.1mm程度厚さが薄くなっていた。残りの2個についてはその厚さが6.2および6.3mmになっていた。検査終了後、これら100個の電池を充放電サイクル試験に供した。厚さの増加がなかった98個については充放電を100回程度繰り返しても漏液は認められず、放電電圧や放電容量にも大きな変化は無かった。これに対して厚さの増加が認められた2個については充放電サイクル中にレーザー封口部より漏液が認められ、また、充放電サイクルにともなって放電電圧や放電容量が顕著に低下した。
【0052】
これらの結果より寸法増加が認められた2個の電池についてはピンホールもしくは微少な亀裂があったことが明確になった。また、寸法増加が認められなかった98個の電池についてはその後の充放電試験で異常が認められなかったことからピンホールもしくは微少な亀裂がなかったことが明らかになった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば大量の密閉電池の気密検査を迅速,簡便,安価に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査方法の対象物である電池の一例を示す斜視図
【図2】本発明の検査方法に使用する検査装置の一例を示す模式断面図
【図3】本発明の検査方法に使用する検査装置の一例を示す模式断面図
【図4】本発明の検査方法に使用する検査装置の一例を示す模式図
【符号の説明】
1 密閉角形リチウムイオン二次電池
2 アルミニウム製電槽
3 封口板
4 正極端子
5 安全弁
6 封栓
11 密封容器
12 蓋
13 ガス排出弁
14 ガス導入弁
15 圧力計
16 パッキン
17 電池寸法測定手段
21 密封容器
22 蓋
23 ガス排出弁
24 ガス導入弁
25 圧力計
26 パッキン
27 液体導入弁
28 液体排出弁
29 電池寸法測定手段

Claims (11)

  1. 密閉電池を密封容器に収容し、加圧したガス雰囲気下に保持する第1の工程と、密封容器内のガス圧を低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法。
  2. 密閉電池の少なくとも一部を加圧した液中で保持する第1の工程と、加圧力を低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法。
  3. 液が水もしくは水溶液である請求項2記載の密閉電池の気密検査方法。
  4. 第1の工程において密閉電池を0.15MPa以上、1.0MPa以下の加圧下に保持する請求項1または2記載の密閉電池の気密検査方法。
  5. 第1の工程において密閉電池を加圧下で60秒間以上、2時間以下保持する請求項1または2記載の密閉電池の気密検査方法。
  6. 第1の工程において密閉電池を20℃以上、60℃以下の温度で加圧下に保持する請求項1または2記載の密閉電池の気密検査方法。
  7. 第2の工程において加圧力を0.1MPa/秒以上の速度で低減させる請求項1または2記載の密閉電池の気密検査方法。
  8. 安全弁を備えた密閉電池を密封容器に収容し、0.15MPa以上、1.0MPa以下で、かつ、安全弁作動圧よりも低い圧力の加圧ガス雰囲気下に保持する第1の工程と、密封容器内のガス圧を0.1MPa/秒以上の速度で低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法。
  9. 安全弁を備えた密閉電池の少なくとも一部を0.15MPa以上、1.0MPa以下で、かつ、安全弁作動圧よりも低い圧力に加圧した水中において30℃以上50℃以下で保持する第1の工程と、加圧力を0.1MPa/秒以上の速度で低減させる第2の工程と、電池の寸法を測定し規格寸法と比較して気密の良否を判定する第3の工程とを有する密閉電池の気密検査方法。
  10. 密閉電池を収容できる有蓋密封容器と、容器内のガス圧を加圧後に常圧に戻すための圧力調整手段と、電池寸法を測定する手段とを具備する密閉電池の気密検査装置。
  11. 密閉電池の少なくとも一部を加圧した液中で保持する手段と、加圧力を加減させるための圧力調整手段と、電池寸法を測定する手段とを具備する密閉電池の気密検査装置。
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