JP2004038083A - 光導波路部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】光減衰器を用いることなく、出力用光導波路7、7、…間における損失のばらつきを小さくできるとともに、出力用光ファイバ20、20、…との接続が容易な光導波路部品を提供する。
【解決手段】並設された複数の出力用光導波路7、7、…を有する光導波路部品において、前記出力用光導波路7、7、…の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路7、7、…を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設ける。前記損失付与部としては、例えば、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部8を設け、そのギャップ部8の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填することにより形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】並設された複数の出力用光導波路7、7、…を有する光導波路部品において、前記出力用光導波路7、7、…の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路7、7、…を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設ける。前記損失付与部としては、例えば、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部8を設け、そのギャップ部8の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填することにより形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる多出力の光導波路部品に関し、特に、各出力用光導波路間の出力のばらつきが抑制された光導波路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光を多出力に分波または分岐するために、アレイ導波路回折格子や1×Nスプリッタ等の多出力の光導波路部品が用いられている。
【0003】
図10は、従来のアレイ導波路回折格子の一例を示す概略構成図である。同図に示すアレイ導波路回折格子1は、基板2上に、1本または複数本の入力用光導波路3と、この入力用光導波路3の出射側に接続された入力側スラブ導波路4と、この入力側スラブ導波路4の出射側に接続された複数のアレイ導波路5、5、…と、このアレイ導波路5、5、…の出射側に接続された出力側スラブ導波路6と、この出力側スラブ導波路6の出射側に接続された複数の出力用光導波路7、7、…とが形成されてなるものである。
そして、複数の出力用光導波路7、7、…の各出力端には、出力を取り出すため、それぞれ出力用光ファイバ20、20、…が接続されている。これらの出力用光ファイバ20、20、…は、V溝基板21などの上に配設され、光ファイバアレイ22として形成されている。また、入力用光導波路3の入力端には、入力用光ファイバ(不図示)が接続されている。
【0004】
このアレイ導波路回折格子1においては、入力用光導波路3を通って入力側スラブ導波路4に入射した光は、その回折効果により広がって各アレイ導波路5、5、…に入射する。アレイ導波路5、5、…は、各々が一定の長さだけ異なって形成されているので、出力側スラブ導波路6の出力端では光の位相が一定量ずつずれ、光は位相のずれ量に応じて波長ごとに異なる方向に回折する。これにより、それぞれの波長の光がそれぞれ異なる出力用光導波路7、7、…の入射端に集光するので、各出力用光ファイバ20、20、…から波長ごとに分波された光を取り出すことができる。
【0005】
また、1×Nスプリッタは、基板上に、1本の入力用光導波路と、この入力用光導波路の出射側に接続された分岐用スラブ導波路と、このスラブ導波路4の出射側に接続された複数(N本)の出力用光導波路とを具備し、分岐用スラブ導波路における広がりにより、入力用光導波路からの入力光を複数の出力用光導波路に分岐して出力するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような複数の出力用光導波路を備えた光導波路部品においては、複数の出力用光導波路7、7、…から出力される光の強度が均一であること、言い換えれば、各出力用光導波路7、7、…間に挿入損失の差がないことが求められている。しかしながら、出力の光強度に不均一が生じることがある。
【0007】
例えば、上述のようなアレイ導波路回折格子1においては、スラブ導波路6における光の回折効率が波長によって異なるため、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の強度は、並設中央側から並設端部側にいくにつれて弱まる傾向がある。
例として、図11に、アレイ導波路回折格子1の各出力用光導波路7、7、…の挿入損失の一例を示す。ここで、出力用光導波路番号は、並設された出力用光導波路7、7、…の一端から他端に至る連番として表されている。この例からわかるように、各出力用光導波路7、7、…間の挿入損失のばらつきは、最大損失と最小損失の差として、一般に2〜3dBに達する。
【0008】
同様に、1個のスラブ導波路を有する1×Nスプリッタにおいても、各出力用光導波路からの出力が強度分布を有し、並設中央側から並設端部側にいくにつれて弱まる傾向がある。
【0009】
この問題を解決するため、従来、光減衰器を用いて、挿入損失のばらつきに相当する損失を各出力用光導波路7、7、…に付与することにより、各出力用光導波路7、7、…からの出力の強度のばらつきを小さくするようにしている。しかし、これには光減衰器等が多数必要となり、光導波路部品が大型化するとともに、高コスト化を招くという問題がある。
【0010】
光減衰器を用いない方法としては、例えば、特開2000−193846号公報に開示されているように、出力用光導波路7、7、…と出力用光ファイバ20、20、…とを接続するに際し、光ファイバアレイ22のV溝基板21を湾曲させるなどして、各接続部に異なる軸ずれ量とそれに伴う接続損失を与えて接続することにより、出力光の強度のばらつきを抑制する方法が提案されている。しかしこの方法では、接続時の位置合わせや光ファイバアレイ22の作製が困難になり、手間やコストが増加する上、位置合わせの通りに接続できない等のため、歩留まりが低下することがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光減衰器を用いることなく、出力用光導波路間の損失のばらつきを小さくできるとともに、出力用光ファイバとの接続が容易な光導波路部品を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、並設された複数の出力用光導波路を有する光導波路部品において、前記出力用光導波路の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けることによって解決される。
【0013】
また、並設された複数の出力用光導波路を有する第1の光導波路チップに対して、前記複数の出力用光導波路と接続可能に並設された複数の接続用光導波路を有する第2の光導波路チップを用意し、かつ、前記接続用光導波路の少なくとも1本の途中に、該接続用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けることによっても、同様の効果を奏することができる。
【0014】
前記損失付与部は、例えば、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填することにより形成することができる。
または、コアの途中に、光の伝播方向に対して垂直な方向にコアをずらした軸ずれ部を設けることによっても損失付与部を形成することができる。
または、コアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填するとともに、該ギャップ部の前後のコアを、光の伝播方向に対して垂直な方向に軸ずれさせることによっても損失付与部を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるアレイ導波路回折格子の一例を示す図である。図1中、図10で用いた符号と同一の符号は、図10の構成と同様のものであることを意味する。
図1に示すアレイ導波路回折格子1は、複数の出力用光導波路7、7、…の少なくとも1本の途中に、所定の間隔Gを有するギャップ部8を形成したものであることを除き、従来のものと同様の構成からなっている。このアレイ導波路回折格子1において、各光導波路のコアおよびクラッドとなる材料としては、石英系材料、高分子系材料などが挙げられる。
【0016】
ギャップ部8は、図1、図2に示すように、出力用光導波路7中の直線導波路の途中でコアを所定の間隔Gだけ離間して設け、その間隙をコアの周囲のクラッドと同じ材質により充填することにより形成されたものである。
このようにギャップ部8を設けることにより、このギャップ部8の前段のコアの端面から出射された信号光の一部はクラッド内に放射され、該ギャップ部8の後段のコアの端面に入射するまでに、ギャップ部8の間隔Gに応じた割合にて減衰する。このため、前記ギャップ部8の前段のコアの端面と、該ギャップ部8の後段のコアの端面との間には、該ギャップ部8の間隔Gに応じた接続損失が生じる。
【0017】
図3は、直線導波路の途中に設けられたギャップ部8の間隔Gと、該ギャップ部8により生じる接続損失との関係を、ビーム伝搬法を用いたシミュレーションにより計算した結果の一例を示すグラフである。このシミュレーションにおいては、光導波路のコアの断面寸法を7μm×7μmとし、クラッドの屈折率を1.442とし、コアとクラッドとの比屈折率差は0.3%とした。この結果から、ギャップ部8の間隔Gが広いほど、大きな損失が得られることが分かる。
【0018】
従って、このギャップ部8による接続損失を、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の挿入損失に合わせて、適宜設定することにより、各出力用光導波路7、7、…間の光強度のばらつきを抑制することができる。
例えば、ギャップ部8を形成しないときの出力用光導波路7、7、…の損失が図4に示すようなものであった場合、各出力用光導波路7、7、…には、図5に示す量の損失が得られるように、それぞれにギャップ部8を形成する。これにより、図6に示すように、各出力用光導波路7、7、…からの出力が極めて均一なものとなる。
【0019】
本実施の形態において、出力用光導波路7、7、…の本数は、2本以上であれば特に制限はされないが、8本、16本、32本などという構成が例示される。また、ギャップ部8は、すべての出力用光導波路7、7、…に形成することもできるが、必ずしもすべての出力用光導波路7、7、…に設けられる必要はない。例えば、ギャップ部8がない場合に挿入損失が他のものより著しく小さい出力用光導波路7に限って形成するようにしてもよい。
また、ギャップ部8の部分にはクラッドが形成されているため、コアとの比屈折率差は小さく、コアの両端面における反射は無視できるほど小さい。従って、これらの端面に反射防止膜等を設ける必要はなく、損失付与部は、単にコアパターンに適宜ギャップ部8を設けるのみによって形成することができる。
【0020】
次に、アレイ導波路回折格子1について、前記ギャップ部8の所定の間隔Gを決定する方法について説明する。
例えば、光導波路の形状、コアおよびクラッドの屈折率、信号光として用いられる波長多重光の中心波長等の必要なパラメータを決定すれば、マクスウェル方程式等に基づいて、有限要素法、ビーム伝搬法、階段接続法等の解析方法を用いることにより、各出力用光導波路7、7、…からの光の出力強度を求めることができる。また、同様の手法を用いることにより、ギャップ部8の間隔Gから該ギャップ部8による損失の増加量を計算することもできる。従って、これらの計算値に基づいて、必要となるギャップ部8の間隔Gを算出することができる。
【0021】
次に、前記所定の間隔Gを有するギャップ部8を、出力用光導波路7の途中に形成する方法について説明する。
下部クラッド層の上にコアのもととなる材料層を形成した後、フォトリソグラフィ法または電子線描画法およびエッチング法により、コアを形成するが、その際に予めギャップを考慮したパターンを用意し、ギャップ部8にコアが形成されないようにする。
ギャップ部8を有するコアを形成した後、その上に上部クラッドを堆積させ、コア全体を覆うことにより、光導波路の途中に、所望の接続損失を有するギャップ部8を形成することができる。
【0022】
出力のばらつきを均一化するため出力用光導波路7に付与すべき損失増加量は、一般に、高々2〜3dB程度であるので、この損失増加を得るために必要なギャップ部8の間隔Gは、100〜200μm程度となる。このことから、所望の損失増加を得るために必要なギャップ部8の間隔Gの精度は、一般に数μm程度となる。従って、光導波路のコアを形成するためには、特に高精度なパターン制御をする必要はなく、フォトリソグラフィ法を用いた周知の方法を用いることにより実施することができる。
【0023】
光導波路のコアならびに上部および下部クラッドとなる層を堆積させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えばスパッタ法、蒸着法、火炎堆積法(FHD)などを用いることができるが、特に、化学気相堆積法(CVD)、プラズマ化学気相堆積法(PCVD)など、低応力の層を形成することが可能な方法を用いることが好ましい。これにより、光導波路を形成した後の基板2の反りが少なくなり、出力用光導波路7、7、…と、出力用光ファイバ20、20、…とを一括接続するときの端面同士の軸ずれが小さくなるので、接続が一層容易になるとともに接続損失が低減させられる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示すアレイ導波路回折格子1は、並設された複数の出力用光導波路7、7、…を有する第1の光導波路チップ11と、前記出力用光導波路7、7、…を出力用光ファイバ20、20、…と接続するため、これらの間に介在させられる並設された複数の接続用光導波路9、9、…を有する平面視矩形の第2の光導波路チップ12とを具備するものである。
接続用光導波路9、9、…は、それぞれ、第2の光導波路チップ12の一辺から入射し、その辺の対辺から出射するような直線導波路として形成されている。そして、接続用光導波路9、9、…の少なくとも1本の途中に、光の損失を増加させるための損失付与部としてギャップ部8が設けられている。
【0025】
この第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態のものと同様に、ギャップ部8によって接続用光導波路9に所望の損失増加を付与することができる。従って、ギャップ部8による損失増加を、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の挿入損失に合わせて、適宜設定することにより、各出力用光導波路7、7、…間の光強度のばらつきを抑制することができる。
【0026】
ギャップ部8の間隔Gを設計する方法としては、第1の実施の形態において説明した方法を用いることができる。
第1の光導波路チップ11の出力用光導波路7、7、…の並設ピッチと、第2の光導波路チップ12の接続用光導波路9、9、…の並設ピッチとは、両者の接続を容易にするため、等しくすることが必要である。
本実施の形態において、損失付与部を設けるための第2の光導波路チップ12は、第1の光導波路チップ11より小規模かつ単純な構成であるので、極めて高い加工精度は必要とならず、また、接続用光導波路9、9、…のコアおよびクラッドとなる材料としては、石英系材料のほか、エポキシ樹脂、PMMA、ポリカーボネート等の高分子系材料などが例示され、第1の光導波路チップ11と同じ材料を用いることが好ましい。
【0027】
本実施の形態において、接続用光導波路9、9、…を形成するためには、例えば、以下の手順をとることができる。
まず、各出力用光導波路7、7、…からの出力信号光の強度を測定し、この測定値を基に、各出力用光導波路7、7、…に接続されるべき各接続用光導波路9、9、…の途中に設けられるギャップ部8の間隔Gを決定し、接続用光導波路9、9、…のコアパターンを設計する。そして、設計どおりに、ギャップ部8を有するコアを形成する。
そして、各出力用光導波路7、7、…と各接続用光導波路9、9、…との端面の位置を合わせて、第1および第2の光導波路チップを接続することにより、出力が均一化された光導波路部品を製造することができる。
このように、ギャップ部8の設計および作製を、出力用光導波路7、7、…の光強度の測定値に基づいて実施することにより、より高精度かつ合理的な出力強度の調整が可能になる。
【0028】
接続用光導波路9、9、…は、通常の光導波路作製法を用いて製造することができる。コアおよびクラッドとなる材料層を形成する方法としては、石英系材料を用いる場合は、化学気相堆積法(CVD)や火炎堆積法(FHD)などが、また、高分子系材料を用いる場合は、スピンコート法などの被膜形成法が例示される。これらのいずれかの方法を用いて、基板上に下部クラッド層およびコア層を形成した後、所望のコアパターンをフォトリソグラフィー法、電子線描画法、エッチング法などの方法により形成し、さらに、その上に、上部クラッド層を形成することにより、接続用光導波路9、9、…を作製することができる。
【0029】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、損失付与部としては、所望の損失が得られ、形成が容易なものであれば、上述のギャップ部8以外の形態であってもよい。
例えば、図8に示すように、出力用光導波路7を構成するコアが不連続となるように、光の伝播方向に対して垂直な方向に該コアを所定の軸ずれ量Dだけずらした軸ずれ部10を設けることによって形成してもよい。
【0030】
あるいは、図9に示すように、所定の間隔Gを有するギャップ部8を設け、そのギャップ部8の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填するとともに、該ギャップ部8の前後のコアを、光の伝播方向に対して垂直な方向に所定の軸ずれ量Dだけ軸ずれさせることによっても形成することができる。
ギャップ部8または軸ずれ部10の軸ずれ量Dや前記ギャップ部8の間隔Gは、上記に説明した思想に基づいて、所望の損失が得られるように設計することができる。
この他、損失付与部を形成する方法としては、コアのドーパントを熱拡散させて屈折率を小さくする、コアの幅を広くまたは狭くするなどの方法を用いることもできる。
【0031】
また、光導波路部品としては、複数の出力用光導波路を有する多出力のものであれば、一般に、本発明を適用することができる。
例えば、所定の形状および寸法を有する基板の上に、1本の入力用光導波路と、この入力用光導波路の出射側に接続されたスラブ導波路と、このスラブ導波路の出射側に接続された複数本(N本)の出力用光導波路を有する1×N光スプリッタが挙げられる。
この種の1×N光スプリッタにおいても、入力用光導波路から入力された光は、スラブ導波路で広がって出力用光導波路に入射するが、スラブ導波路を通る光は強度分布を持っており、各出力用光導波路から出力される光の強度が不均一になることがある。本発明を用いて、前記出力用光導波路の少なくとも1本の途中に損失付与部を設けるか、損失付与部が設けられた接続用光導波路を有する光導波路チップを出力用光導波路の出力端に接続するかすることにより、出力光の強度を均一にすることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の光導波路部品によれば、出力用光導波路の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けたので、この損失付与部により、出力用光導波路の出力光強度のばらつきを小さくすることができ、光減衰器等を設けなくとも複数の各出力端から出力する光強度がほぼ等しい、高性能かつ小型で低コストの光導波路部品を製造することができる。
損失付与部とその前後の光導波路コアは、同一の光導波路チップ上に形成されているので、損失付与部の設計や製造を容易に行うことができ、所望の損失増加を出力用光導波路に確実に与えることができる。
【0033】
また、本発明の請求項2に記載の光導波路部品によれば、出力用光導波路と接続可能に並設された複数の接続用光導波路を有する第2の光導波路チップを設け、これらの接続用光導波路の少なくとも1本の途中に、該接続用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けたので、この損失付与部により、該損失付与部が形成された接続用光導波路と接続している出力用光導波路に所望の損失増加を付与し、出力用光導波路の出力光強度のばらつきを小さくすることができ、光減衰器等を設けなくとも複数の各出力端から出力する光強度がほぼ等しい、高性能かつ小型で低コストの光導波路部品を製造することができる。損失付与部とその前後の光導波路コアは、同一の光導波路チップ上に形成されているので、損失付与部の設計や製造を容易に行うことができ、所望の損失増加を接続用光導波路に確実に与えることができる。
しかも、損失付与部の設計および作製を、出力用光導波路の光強度の測定値に基づいて実施することにより、より高精度かつ合理的な出力強度の調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路部品の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】損失付与部の構成の第1の例を示す拡大図である。
【図3】ギャップ部の間隔と、接続損失の関係の一例を示すグラフである。
【図4】損失付与部がない場合の各出力用光導波路の損失の一例を示すグラフである。
【図5】各出力用光導波路の損失付与部による損失の一例を示すグラフである。
【図6】損失付与部がある場合の各出力用光導波路の損失の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の光導波路部品の第2の実施の形態を示す図である。
【図8】損失付与部の構成の第2の例を示す拡大図である。
【図9】損失付与部の構成の第3の例を示す拡大図である。
【図10】従来のアレイ導波路回折格子の一例を示す斜視図である。
【図11】アレイ導波路回折格子において、スラブ導波路から複数の出力用光導波路に出力される光の強度のばらつきの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
7…出力用光導波路、8…ギャップ部、9…接続用光導波路、10…軸ずれ部、11…第1の光導波路チップ、12…第2の光導波路チップ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる多出力の光導波路部品に関し、特に、各出力用光導波路間の出力のばらつきが抑制された光導波路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光を多出力に分波または分岐するために、アレイ導波路回折格子や1×Nスプリッタ等の多出力の光導波路部品が用いられている。
【0003】
図10は、従来のアレイ導波路回折格子の一例を示す概略構成図である。同図に示すアレイ導波路回折格子1は、基板2上に、1本または複数本の入力用光導波路3と、この入力用光導波路3の出射側に接続された入力側スラブ導波路4と、この入力側スラブ導波路4の出射側に接続された複数のアレイ導波路5、5、…と、このアレイ導波路5、5、…の出射側に接続された出力側スラブ導波路6と、この出力側スラブ導波路6の出射側に接続された複数の出力用光導波路7、7、…とが形成されてなるものである。
そして、複数の出力用光導波路7、7、…の各出力端には、出力を取り出すため、それぞれ出力用光ファイバ20、20、…が接続されている。これらの出力用光ファイバ20、20、…は、V溝基板21などの上に配設され、光ファイバアレイ22として形成されている。また、入力用光導波路3の入力端には、入力用光ファイバ(不図示)が接続されている。
【0004】
このアレイ導波路回折格子1においては、入力用光導波路3を通って入力側スラブ導波路4に入射した光は、その回折効果により広がって各アレイ導波路5、5、…に入射する。アレイ導波路5、5、…は、各々が一定の長さだけ異なって形成されているので、出力側スラブ導波路6の出力端では光の位相が一定量ずつずれ、光は位相のずれ量に応じて波長ごとに異なる方向に回折する。これにより、それぞれの波長の光がそれぞれ異なる出力用光導波路7、7、…の入射端に集光するので、各出力用光ファイバ20、20、…から波長ごとに分波された光を取り出すことができる。
【0005】
また、1×Nスプリッタは、基板上に、1本の入力用光導波路と、この入力用光導波路の出射側に接続された分岐用スラブ導波路と、このスラブ導波路4の出射側に接続された複数(N本)の出力用光導波路とを具備し、分岐用スラブ導波路における広がりにより、入力用光導波路からの入力光を複数の出力用光導波路に分岐して出力するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような複数の出力用光導波路を備えた光導波路部品においては、複数の出力用光導波路7、7、…から出力される光の強度が均一であること、言い換えれば、各出力用光導波路7、7、…間に挿入損失の差がないことが求められている。しかしながら、出力の光強度に不均一が生じることがある。
【0007】
例えば、上述のようなアレイ導波路回折格子1においては、スラブ導波路6における光の回折効率が波長によって異なるため、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の強度は、並設中央側から並設端部側にいくにつれて弱まる傾向がある。
例として、図11に、アレイ導波路回折格子1の各出力用光導波路7、7、…の挿入損失の一例を示す。ここで、出力用光導波路番号は、並設された出力用光導波路7、7、…の一端から他端に至る連番として表されている。この例からわかるように、各出力用光導波路7、7、…間の挿入損失のばらつきは、最大損失と最小損失の差として、一般に2〜3dBに達する。
【0008】
同様に、1個のスラブ導波路を有する1×Nスプリッタにおいても、各出力用光導波路からの出力が強度分布を有し、並設中央側から並設端部側にいくにつれて弱まる傾向がある。
【0009】
この問題を解決するため、従来、光減衰器を用いて、挿入損失のばらつきに相当する損失を各出力用光導波路7、7、…に付与することにより、各出力用光導波路7、7、…からの出力の強度のばらつきを小さくするようにしている。しかし、これには光減衰器等が多数必要となり、光導波路部品が大型化するとともに、高コスト化を招くという問題がある。
【0010】
光減衰器を用いない方法としては、例えば、特開2000−193846号公報に開示されているように、出力用光導波路7、7、…と出力用光ファイバ20、20、…とを接続するに際し、光ファイバアレイ22のV溝基板21を湾曲させるなどして、各接続部に異なる軸ずれ量とそれに伴う接続損失を与えて接続することにより、出力光の強度のばらつきを抑制する方法が提案されている。しかしこの方法では、接続時の位置合わせや光ファイバアレイ22の作製が困難になり、手間やコストが増加する上、位置合わせの通りに接続できない等のため、歩留まりが低下することがある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光減衰器を用いることなく、出力用光導波路間の損失のばらつきを小さくできるとともに、出力用光ファイバとの接続が容易な光導波路部品を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、並設された複数の出力用光導波路を有する光導波路部品において、前記出力用光導波路の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けることによって解決される。
【0013】
また、並設された複数の出力用光導波路を有する第1の光導波路チップに対して、前記複数の出力用光導波路と接続可能に並設された複数の接続用光導波路を有する第2の光導波路チップを用意し、かつ、前記接続用光導波路の少なくとも1本の途中に、該接続用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けることによっても、同様の効果を奏することができる。
【0014】
前記損失付与部は、例えば、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填することにより形成することができる。
または、コアの途中に、光の伝播方向に対して垂直な方向にコアをずらした軸ずれ部を設けることによっても損失付与部を形成することができる。
または、コアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填するとともに、該ギャップ部の前後のコアを、光の伝播方向に対して垂直な方向に軸ずれさせることによっても損失付与部を形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態によるアレイ導波路回折格子の一例を示す図である。図1中、図10で用いた符号と同一の符号は、図10の構成と同様のものであることを意味する。
図1に示すアレイ導波路回折格子1は、複数の出力用光導波路7、7、…の少なくとも1本の途中に、所定の間隔Gを有するギャップ部8を形成したものであることを除き、従来のものと同様の構成からなっている。このアレイ導波路回折格子1において、各光導波路のコアおよびクラッドとなる材料としては、石英系材料、高分子系材料などが挙げられる。
【0016】
ギャップ部8は、図1、図2に示すように、出力用光導波路7中の直線導波路の途中でコアを所定の間隔Gだけ離間して設け、その間隙をコアの周囲のクラッドと同じ材質により充填することにより形成されたものである。
このようにギャップ部8を設けることにより、このギャップ部8の前段のコアの端面から出射された信号光の一部はクラッド内に放射され、該ギャップ部8の後段のコアの端面に入射するまでに、ギャップ部8の間隔Gに応じた割合にて減衰する。このため、前記ギャップ部8の前段のコアの端面と、該ギャップ部8の後段のコアの端面との間には、該ギャップ部8の間隔Gに応じた接続損失が生じる。
【0017】
図3は、直線導波路の途中に設けられたギャップ部8の間隔Gと、該ギャップ部8により生じる接続損失との関係を、ビーム伝搬法を用いたシミュレーションにより計算した結果の一例を示すグラフである。このシミュレーションにおいては、光導波路のコアの断面寸法を7μm×7μmとし、クラッドの屈折率を1.442とし、コアとクラッドとの比屈折率差は0.3%とした。この結果から、ギャップ部8の間隔Gが広いほど、大きな損失が得られることが分かる。
【0018】
従って、このギャップ部8による接続損失を、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の挿入損失に合わせて、適宜設定することにより、各出力用光導波路7、7、…間の光強度のばらつきを抑制することができる。
例えば、ギャップ部8を形成しないときの出力用光導波路7、7、…の損失が図4に示すようなものであった場合、各出力用光導波路7、7、…には、図5に示す量の損失が得られるように、それぞれにギャップ部8を形成する。これにより、図6に示すように、各出力用光導波路7、7、…からの出力が極めて均一なものとなる。
【0019】
本実施の形態において、出力用光導波路7、7、…の本数は、2本以上であれば特に制限はされないが、8本、16本、32本などという構成が例示される。また、ギャップ部8は、すべての出力用光導波路7、7、…に形成することもできるが、必ずしもすべての出力用光導波路7、7、…に設けられる必要はない。例えば、ギャップ部8がない場合に挿入損失が他のものより著しく小さい出力用光導波路7に限って形成するようにしてもよい。
また、ギャップ部8の部分にはクラッドが形成されているため、コアとの比屈折率差は小さく、コアの両端面における反射は無視できるほど小さい。従って、これらの端面に反射防止膜等を設ける必要はなく、損失付与部は、単にコアパターンに適宜ギャップ部8を設けるのみによって形成することができる。
【0020】
次に、アレイ導波路回折格子1について、前記ギャップ部8の所定の間隔Gを決定する方法について説明する。
例えば、光導波路の形状、コアおよびクラッドの屈折率、信号光として用いられる波長多重光の中心波長等の必要なパラメータを決定すれば、マクスウェル方程式等に基づいて、有限要素法、ビーム伝搬法、階段接続法等の解析方法を用いることにより、各出力用光導波路7、7、…からの光の出力強度を求めることができる。また、同様の手法を用いることにより、ギャップ部8の間隔Gから該ギャップ部8による損失の増加量を計算することもできる。従って、これらの計算値に基づいて、必要となるギャップ部8の間隔Gを算出することができる。
【0021】
次に、前記所定の間隔Gを有するギャップ部8を、出力用光導波路7の途中に形成する方法について説明する。
下部クラッド層の上にコアのもととなる材料層を形成した後、フォトリソグラフィ法または電子線描画法およびエッチング法により、コアを形成するが、その際に予めギャップを考慮したパターンを用意し、ギャップ部8にコアが形成されないようにする。
ギャップ部8を有するコアを形成した後、その上に上部クラッドを堆積させ、コア全体を覆うことにより、光導波路の途中に、所望の接続損失を有するギャップ部8を形成することができる。
【0022】
出力のばらつきを均一化するため出力用光導波路7に付与すべき損失増加量は、一般に、高々2〜3dB程度であるので、この損失増加を得るために必要なギャップ部8の間隔Gは、100〜200μm程度となる。このことから、所望の損失増加を得るために必要なギャップ部8の間隔Gの精度は、一般に数μm程度となる。従って、光導波路のコアを形成するためには、特に高精度なパターン制御をする必要はなく、フォトリソグラフィ法を用いた周知の方法を用いることにより実施することができる。
【0023】
光導波路のコアならびに上部および下部クラッドとなる層を堆積させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えばスパッタ法、蒸着法、火炎堆積法(FHD)などを用いることができるが、特に、化学気相堆積法(CVD)、プラズマ化学気相堆積法(PCVD)など、低応力の層を形成することが可能な方法を用いることが好ましい。これにより、光導波路を形成した後の基板2の反りが少なくなり、出力用光導波路7、7、…と、出力用光ファイバ20、20、…とを一括接続するときの端面同士の軸ずれが小さくなるので、接続が一層容易になるとともに接続損失が低減させられる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7に示すアレイ導波路回折格子1は、並設された複数の出力用光導波路7、7、…を有する第1の光導波路チップ11と、前記出力用光導波路7、7、…を出力用光ファイバ20、20、…と接続するため、これらの間に介在させられる並設された複数の接続用光導波路9、9、…を有する平面視矩形の第2の光導波路チップ12とを具備するものである。
接続用光導波路9、9、…は、それぞれ、第2の光導波路チップ12の一辺から入射し、その辺の対辺から出射するような直線導波路として形成されている。そして、接続用光導波路9、9、…の少なくとも1本の途中に、光の損失を増加させるための損失付与部としてギャップ部8が設けられている。
【0025】
この第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態のものと同様に、ギャップ部8によって接続用光導波路9に所望の損失増加を付与することができる。従って、ギャップ部8による損失増加を、各出力用光導波路7、7、…から出力される光の挿入損失に合わせて、適宜設定することにより、各出力用光導波路7、7、…間の光強度のばらつきを抑制することができる。
【0026】
ギャップ部8の間隔Gを設計する方法としては、第1の実施の形態において説明した方法を用いることができる。
第1の光導波路チップ11の出力用光導波路7、7、…の並設ピッチと、第2の光導波路チップ12の接続用光導波路9、9、…の並設ピッチとは、両者の接続を容易にするため、等しくすることが必要である。
本実施の形態において、損失付与部を設けるための第2の光導波路チップ12は、第1の光導波路チップ11より小規模かつ単純な構成であるので、極めて高い加工精度は必要とならず、また、接続用光導波路9、9、…のコアおよびクラッドとなる材料としては、石英系材料のほか、エポキシ樹脂、PMMA、ポリカーボネート等の高分子系材料などが例示され、第1の光導波路チップ11と同じ材料を用いることが好ましい。
【0027】
本実施の形態において、接続用光導波路9、9、…を形成するためには、例えば、以下の手順をとることができる。
まず、各出力用光導波路7、7、…からの出力信号光の強度を測定し、この測定値を基に、各出力用光導波路7、7、…に接続されるべき各接続用光導波路9、9、…の途中に設けられるギャップ部8の間隔Gを決定し、接続用光導波路9、9、…のコアパターンを設計する。そして、設計どおりに、ギャップ部8を有するコアを形成する。
そして、各出力用光導波路7、7、…と各接続用光導波路9、9、…との端面の位置を合わせて、第1および第2の光導波路チップを接続することにより、出力が均一化された光導波路部品を製造することができる。
このように、ギャップ部8の設計および作製を、出力用光導波路7、7、…の光強度の測定値に基づいて実施することにより、より高精度かつ合理的な出力強度の調整が可能になる。
【0028】
接続用光導波路9、9、…は、通常の光導波路作製法を用いて製造することができる。コアおよびクラッドとなる材料層を形成する方法としては、石英系材料を用いる場合は、化学気相堆積法(CVD)や火炎堆積法(FHD)などが、また、高分子系材料を用いる場合は、スピンコート法などの被膜形成法が例示される。これらのいずれかの方法を用いて、基板上に下部クラッド層およびコア層を形成した後、所望のコアパターンをフォトリソグラフィー法、電子線描画法、エッチング法などの方法により形成し、さらに、その上に、上部クラッド層を形成することにより、接続用光導波路9、9、…を作製することができる。
【0029】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、損失付与部としては、所望の損失が得られ、形成が容易なものであれば、上述のギャップ部8以外の形態であってもよい。
例えば、図8に示すように、出力用光導波路7を構成するコアが不連続となるように、光の伝播方向に対して垂直な方向に該コアを所定の軸ずれ量Dだけずらした軸ずれ部10を設けることによって形成してもよい。
【0030】
あるいは、図9に示すように、所定の間隔Gを有するギャップ部8を設け、そのギャップ部8の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填するとともに、該ギャップ部8の前後のコアを、光の伝播方向に対して垂直な方向に所定の軸ずれ量Dだけ軸ずれさせることによっても形成することができる。
ギャップ部8または軸ずれ部10の軸ずれ量Dや前記ギャップ部8の間隔Gは、上記に説明した思想に基づいて、所望の損失が得られるように設計することができる。
この他、損失付与部を形成する方法としては、コアのドーパントを熱拡散させて屈折率を小さくする、コアの幅を広くまたは狭くするなどの方法を用いることもできる。
【0031】
また、光導波路部品としては、複数の出力用光導波路を有する多出力のものであれば、一般に、本発明を適用することができる。
例えば、所定の形状および寸法を有する基板の上に、1本の入力用光導波路と、この入力用光導波路の出射側に接続されたスラブ導波路と、このスラブ導波路の出射側に接続された複数本(N本)の出力用光導波路を有する1×N光スプリッタが挙げられる。
この種の1×N光スプリッタにおいても、入力用光導波路から入力された光は、スラブ導波路で広がって出力用光導波路に入射するが、スラブ導波路を通る光は強度分布を持っており、各出力用光導波路から出力される光の強度が不均一になることがある。本発明を用いて、前記出力用光導波路の少なくとも1本の途中に損失付与部を設けるか、損失付与部が設けられた接続用光導波路を有する光導波路チップを出力用光導波路の出力端に接続するかすることにより、出力光の強度を均一にすることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の光導波路部品によれば、出力用光導波路の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けたので、この損失付与部により、出力用光導波路の出力光強度のばらつきを小さくすることができ、光減衰器等を設けなくとも複数の各出力端から出力する光強度がほぼ等しい、高性能かつ小型で低コストの光導波路部品を製造することができる。
損失付与部とその前後の光導波路コアは、同一の光導波路チップ上に形成されているので、損失付与部の設計や製造を容易に行うことができ、所望の損失増加を出力用光導波路に確実に与えることができる。
【0033】
また、本発明の請求項2に記載の光導波路部品によれば、出力用光導波路と接続可能に並設された複数の接続用光導波路を有する第2の光導波路チップを設け、これらの接続用光導波路の少なくとも1本の途中に、該接続用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部を設けたので、この損失付与部により、該損失付与部が形成された接続用光導波路と接続している出力用光導波路に所望の損失増加を付与し、出力用光導波路の出力光強度のばらつきを小さくすることができ、光減衰器等を設けなくとも複数の各出力端から出力する光強度がほぼ等しい、高性能かつ小型で低コストの光導波路部品を製造することができる。損失付与部とその前後の光導波路コアは、同一の光導波路チップ上に形成されているので、損失付与部の設計や製造を容易に行うことができ、所望の損失増加を接続用光導波路に確実に与えることができる。
しかも、損失付与部の設計および作製を、出力用光導波路の光強度の測定値に基づいて実施することにより、より高精度かつ合理的な出力強度の調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路部品の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】損失付与部の構成の第1の例を示す拡大図である。
【図3】ギャップ部の間隔と、接続損失の関係の一例を示すグラフである。
【図4】損失付与部がない場合の各出力用光導波路の損失の一例を示すグラフである。
【図5】各出力用光導波路の損失付与部による損失の一例を示すグラフである。
【図6】損失付与部がある場合の各出力用光導波路の損失の一例を示すグラフである。
【図7】本発明の光導波路部品の第2の実施の形態を示す図である。
【図8】損失付与部の構成の第2の例を示す拡大図である。
【図9】損失付与部の構成の第3の例を示す拡大図である。
【図10】従来のアレイ導波路回折格子の一例を示す斜視図である。
【図11】アレイ導波路回折格子において、スラブ導波路から複数の出力用光導波路に出力される光の強度のばらつきの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
7…出力用光導波路、8…ギャップ部、9…接続用光導波路、10…軸ずれ部、11…第1の光導波路チップ、12…第2の光導波路チップ。
Claims (5)
- 並設された複数の出力用光導波路を有する光導波路部品において、
前記出力用光導波路の少なくとも1本の途中に、該出力用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部が設けられていることを特徴とする光導波路部品。 - 並設された複数の出力用光導波路を有する第1の光導波路チップと、
前記複数の出力用光導波路と接続可能に並設された複数の接続用光導波路を有する第2の光導波路チップとを具備する光導波路部品であって、
前記接続用光導波路の少なくとも1本の途中に、該接続用光導波路を伝播する光の損失を増加させるための損失付与部が設けられていることを特徴とする光導波路部品。 - 前記損失付与部は、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填することにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路部品。
- 前記損失付与部は、光導波路のコアの途中に、光の伝播方向に対して垂直な方向にコアをずらした軸ずれ部を設けることにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路部品。
- 前記損失付与部は、光導波路のコアの途中に、所定の間隔を有するギャップ部を設け、そのギャップ部の間隙を該コアの周囲のクラッドと同じ材料を用いて充填するとともに、該ギャップ部の前後のコアを、光の伝播方向に対して垂直な方向に軸ずれさせることにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光導波路部品。
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WO2010013662A1 (ja) * | 2008-07-28 | 2010-02-04 | 古河電気工業株式会社 | アレイ導波路格子 |
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