JP2004037478A - レンズ内蔵スリーブの製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンズ固定部30を備えた成形型を準備する工程と、そのレンズ固定部にレンズ2を固定する工程と、上記成形型に成形樹脂材料を注型し上記レンズ2の機能を残して上記スリーブ本体を形成し、このスリーブ本体に上記レンズ2を保持させる工程とを備えているレンズ内蔵スリーブの製法により、レンズ2とこのレンズ2を保持するスリーブ本体とからなるレンズ内蔵スリーブを得る。
【選択図】図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ内蔵スリーブの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光を用いて情報を伝送する光リンクでは、光電変換素子を内蔵した光モジュール同士が光ファイバーを介して接続されている。そして、上記光ファイバーと光モジュールとの接続には、略円筒状のスリーブが用いられている。
【0003】
さらに、スリーブと光電変換素子との間に、レンズが設けられている場合がある。この場合には、レンズが設けられることにより、光ファイバーとレンズの光軸合わせが困難になっている。そこで、予めスリーブにレンズが保持されているものが望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、スリーブにレンズを保持させる方法としては、略円筒状のスリーブの中空部にレンズを挿入した後、接着剤を注入して接着固定する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、接着剤の注入が困難である。また、その困難性のため、レンズの接着固定が不充分になり易く、レンズが脱落するおそれがある。さらに、レンズ面への接着剤付着により光路が妨げられる。
【0005】
また、それ以外の方法としては、略円筒状のスリーブの中空部にレンズを挿入し、その中空部に形成された段部にレンズの周縁部を当接させた後、さらに、スリーブの中空部にレンズ固定筒を同軸に挿入し、熱または超音波等のエネルギーを与えてスリーブとレンズ固定筒とを溶着固定することにより、レンズをスリーブとレンズ固定筒とで挟持固定する方法も考えられる。しかしながら、この方法では、上記レンズ固定筒等の部品が他に必要となる。また、熱等を与える設備が他に必要となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、レンズが保持されたレンズ内蔵スリーブを簡単に作製できるレンズ内蔵スリーブの製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のレンズ内蔵スリーブの製法は、レンズとこのレンズを保持するスリーブ本体とからなるレンズ内蔵スリーブを樹脂成形により作製する方法であって、レンズ固定部を備えた成形型を準備する工程と、そのレンズ固定部にレンズを固定する工程と、上記成形型に成形樹脂材料を注型し上記レンズの機能を残して上記スリーブ本体を形成し、このスリーブ本体に上記レンズを保持させる工程とを備えているという構成をとる。
【0008】
本発明者は、レンズが保持されたスリーブを簡単に作製できるようにすべく、その製法等について、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、スリーブを成形する際に、レンズも同時に保持されるようにすれば、その作製が簡単になることに着目し、さらに鋭意研究を重ねた。その結果、成形型としてレンズ固定部を備えたものを用い、そのレンズ固定部にレンズを固定した状態でスリーブを樹脂成形すれば、レンズが保持されたスリーブを簡単に作製できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0010】
図1〜図5は、本発明のレンズ内蔵スリーブの製法により作製されるレンズ内蔵スリーブの一実施の形態を示し、図6,図9,図10は、そのレンズ内蔵スリーブの製法の一実施の形態を示している。この実施の形態では、レンズ内蔵スリーブは、図1〜図5に示すように、略円筒状のスリーブ本体1と、このスリーブ本体1に保持された略円板状のレンズ2とで構成されている。このレンズ2の保持は、スリーブ本体1の略円筒状の中空部でなされており、図1における矢視A方向から見えるレンズ2の表面では(図2〜図4参照)、そのレンズ2の表面の周縁部の一部(扇状の4箇所)がスリーブ本体1の内周部に形成された4つの扇状の係止片3により保持されており、図1における矢視B方向から見えるレンズ2の裏面では(図2,図4,図5参照)、そのレンズ2の裏面の周縁部がスリーブ本体1の内周縁部により保持されており、レンズ2の周側面では(図2,図4参照)、上記扇状の係止片3に対応する部分がレンズ2の厚み全体にわたってスリーブ本体1の内周面により保持され、隣接し合う上記扇状の係止片3の間がレンズ2の厚みの約半分(図4では約下半分)にわたってスリーブ本体1の内周面により保持されている。また、レンズ2の光軸は、上記スリーブに接続される光ファイバーの光軸と一致している。
【0011】
上記スリーブは、例えば、つぎのようにして作製される。すなわち、図6に示すように、まず、レンズ固定部30を備えた成形型を準備する。この成形型は、上型10と下型20とからなり、上記レンズ固定部30は、下型20に形成されている。ついで、図9に示すように、上型10と下型20とを離した状態で、上記レンズ固定部30にレンズ2を固定する。つぎに、図10に示すように、上型10と下型20とを型締めした後、成形型に成形樹脂材料を注型する(成形樹脂材料の流入通路となるスプルーやランナー等は図示せず)。この注型により、上記レンズ2の機能を残して上記スリーブ本体1(図4参照)が形成され、このスリーブ本体1(図4参照)に上記レンズ2が保持される。そして、上型10と下型20とを離して脱型する。このようにして、図1〜図5に示す、レンズ2を保持したスリーブが作製される。
【0012】
より詳しく説明すると、上記スリーブ本体1は、樹脂成形品であり、その樹脂材料としては、特に限定されないが、液晶ポリマー樹脂(LCP),PPS樹脂,PBT樹脂等があげられる。
【0013】
上記レンズ2は、上記スリーブを樹脂成形する際に加わる熱に対して耐熱性を有している点で、ガラスレンズであることが好ましいが、上記熱に耐えるものであれば、プラスチックレンズでもよい。
【0014】
上記上型10は、図6,図7に示すように、上記スリーブ本体1の下側(図4では、フランジ1aから下側)の略円筒状を成形するように形成されている。すなわち、上記上型10の下面には、円周状の条溝11が形成されており、その条溝11に成形樹脂材料が注型されることにより上記略円筒状が成形されるようになっている。また、上記円周状の条溝11で囲まれた円柱状体12は、外径が上記レンズ2よりも小径になっており、高さが、上型10と下型20とを型締めした際にその円柱状体12の先端面(下端面)がレンズ固定部30に固定されたレンズ2の上面に当接するような高さになっている(図10参照)。また、上記円柱状体12の先端面の中央部からは、上型10を貫通するガス抜き孔13が形成されている。
【0015】
上記下型20は、図6,図8に示すように、上記スリーブ本体1の上側(図4では、フランジ1aから上側)の略円筒状を成形するように形成されている。すなわち、上記下型20の上面には、円周状の条溝21が形成されており、その条溝21に成形樹脂材料が注型されることにより上記略円筒状が成形されるようになっている。また、上記円周状の条溝21で囲まれた円柱状体22の先端面(上端面)には、上記レンズ固定部30が形成されている。
【0016】
上記レンズ固定部30は、この実施の形態では、レンズ2(図9参照)を載置する十字状の載置面31aが形成された載置台31と、上記載置面31aの十字状の各先端に上方突設され、レンズ2(図9参照)の周側面に当接する固定爪32とを備えている。また、上記載置面31aの十字状の交叉部は、載置固定されるレンズ2(図9参照)の周縁部がその交叉部の4つの角部からはみ出る程度の大きさに形成されている。また、上記載置面31aの十字状交叉部の中央からは、下型20を貫通するガス抜き孔33が形成されている。
【0017】
このように、上記実施の形態のスリーブの製法によれば、上型10と下型20とを型締めした際には(図10参照)、レンズ2の上面においては、上型10に形成された円柱状体12の先端面がレンズ2の上面に同軸に当接し、しかもその円柱状体12がレンズ2よりも小径となっているため、注型された成形樹脂材料は、上記円柱状体12の外側となるレンズ2の上面の周縁部に充填される。また、レンズ2の下面においては、レンズ固定部30における載置面31aの十字状交叉部の4つの角部からレンズ2の周縁部がはみ出ているため、注型された成形樹脂材料は、レンズ2の下面のうち上記交叉部の4つの角部からはみ出ている部分に扇状に充填され、上記扇状の係止片3となる。さらに、レンズ2の周側面においては、上記レンズ固定部30における固定爪32の上方および隣接し合う固定爪32の間に、注型された成形樹脂材料が充填される。このように、成形樹脂材料がレンズ2の上面の周縁部、レンズ2の下面の周縁部の一部分(上記十字状交叉部の4つの角部に対応する4箇所の扇状部分:上記扇状の係止片3となる部分)、およびレンズ2の周側面の一部分(上記固定爪32以外の部分)に充填されるため、脱型する際には、上記レンズ2がスリーブ本体1に確実に保持されている。したがって、スリーブ本体1にレンズ2を後付けする作業が不要となり、上記実施の形態のスリーブの作製が簡単にできる。
【0018】
なお、レンズ固定部30の形状は、スリーブ本体1にレンズ2が保持されるように成形できれば、上記のものに限定されるものではい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレンズ内蔵スリーブの製法によれば、レンズ固定部を備えた成形型を準備する工程と、そのレンズ固定部にレンズを固定する工程と、上記成形型に成形樹脂材料を注型し上記レンズの機能を残して上記スリーブ本体を形成し、このスリーブ本体に上記レンズを保持させる工程とを備えているため、脱型する際には、スリーブ本体に上記レンズが保持されている。したがって、スリーブ本体にレンズを後付けする作業が不要となり、レンズが保持されたレンズ内蔵スリーブの作製が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンズ内蔵スリーブの製法により作製されるレンズ内蔵スリーブの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】上記レンズ内蔵スリーブを示す一部が破断した斜視図である。
【図3】図1に示すレンズ内蔵スリーブを矢視A方向から見た矢視図である。
【図4】図3のC−O−C断面図である。
【図5】図1に示すレンズ内蔵スリーブを矢視B方向から見た矢視図である。
【図6】上記レンズ内蔵スリーブの製法の一実施の形態を示す説明図である。
【図7】上記製法に用いる成形型の上型を示す斜視図である。
【図8】上記成形型の下型を示す斜視図である。
【図9】上記製法を示す説明図である。
【図10】上記製法を示す説明図である。
【符号の説明】
2 レンズ
30 レンズ固定部
Claims (2)
- レンズとこのレンズを保持するスリーブ本体とからなるレンズ内蔵スリーブを樹脂成形により作製する方法であって、レンズ固定部を備えた成形型を準備する工程と、そのレンズ固定部にレンズを固定する工程と、上記成形型に成形樹脂材料を注型し上記レンズの機能を残して上記スリーブ本体を形成し、このスリーブ本体に上記レンズを保持させる工程とを備えていることを特徴とするレンズ内蔵スリーブの製法。
- レンズ内蔵スリーブが光リンク用スリーブである請求項1記載のレンズ内蔵スリーブの製法。
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