JP2004037112A - 核酸チップ基板、及び核酸チップの検査方法、並びに製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】全数検査を行なうことのできる核酸チップならびにその検査方法を提供する。
【解決手段】基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップが形成されている基板上の一部に、検査用の核酸プローブを設けることを特徴とする核酸チップ基板、ならびに検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡により観察することを特徴とする、核酸チップの検査方法。
【選択図】 図1
【解決手段】基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップが形成されている基板上の一部に、検査用の核酸プローブを設けることを特徴とする核酸チップ基板、ならびに検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡により観察することを特徴とする、核酸チップの検査方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の核酸が基板上にマトリクス状に配置された、いわゆる核酸チップ、ならびに核酸チップ表面の各マトリクスの検査方法、およびこれを用いた核酸チップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAチップ等のいわゆる核酸チップはゲノム解析、あるいは、遺伝子の発現解析などの目的に利用されるようになってきており、また、それらの解析の結果は、癌、遺伝病、生活習慣病、感染症等の診断、予後予想、治療方針の決定等に重要な指標を提供するものと期待されている。
【0003】
核酸チップの作製方法にはいくつかの方法が知られている。DNAチップを例にとって説明すると、基板上にフォトリソグラフィーを用いてDNAプローブを逐次的に合成していく方法(米国特許第5405783号公報等)、あるいは、あらかじめ合成したDNA、または、cDNA(コンプリメンタリーDNA)を基板上に供給し結合する方法(米国特許第5601980号公報、特開平11−187900号公報、Science Vol.270,467,1995等)が代表的なDNAチップの作製方法である。
【0004】
一般的には、これらいずれかの方法によって核酸チップが作製されるが、これらの核酸チップを先に述べた用途に使用しようとする場合、解析の信頼性、すなわち、定量性、再現性を保証するためには各マトリクスに存在するプローブ、すなわち、この場合では核酸関連物質が、実際にどのようなマトリクス形状(形状、サイズ、状態)で存在するかを知ること(イメージング)が重要である。しかし、チップ上の核酸プローブは原理的に単分子膜レベルで存在するので、これらの検査にはきわめて高感度な表面解析技術が必要となる。
【0005】
これらの高感度な表面解析技術としては核酸プローブをアイソトープラベルする方法がUSP5,780,232に開示されているが、手法が煩雑、危険、特殊な施設、装置が必要等の理由で一般的ではない。
【0006】
他の高感度表面分析手段としてはXPS(X線光電子分光法)等があるが、核酸チップのプローブのイメージングには十分な感度を有しているとはいえない。
【0007】
更に別の方法としては核酸プローブを蛍光標識する方法、または、核酸プローブと特異的に結合する物質に蛍光標識を施し、これと核酸プローブを結合させる方法、すなわち、蛍光ハイブリダイゼーション法があり、現在この方法が広く一般的に用いられているが、蛍光法では、蛍光色素の安定性、クエンチング、蛍光色素の基板表面への非特異的吸着等の問題があり、核酸プローブ自体のマトリクス形状を正確にイメージとして表示するには課題が残るのである。
【0008】
また、蛍光法を行なう際には標準標的物質を核酸プローブと結合させて検出することから、検査終了後の核酸チップは製品として出荷することができなかった。
【0009】
これらの理由により、製造時のチェック用として別の分析方法による形態観察方法が求められていた。これらの点に鑑み、我々が検討を行なった結果、高感度のイメージングを行なう分析方法として、走査電子顕微鏡法、飛行時間型二次イオン質量分析(以下TOF−SIMSと略記する)法が観察方法として有効であると考えられた。
【0010】
しかし、TOF−SIMSは、試料表面にイオンを当てて切断されたフラグメントイオンを検出する、いわゆる破壊試験であるため、例えばDNAをプローブとしたDNAチップの形態観察後、ハイブリダイゼーションを行なう際に、DNAが破壊されていてはハイブリダイゼーションできなくなってしまうことが予想された。このため、製品の全数を検査するために用いる、製品検査としては、不適切であり、走査電子顕微鏡法が有効であると考えられた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らが更に検討を重ねた結果、核酸チップを乾燥させると、分析後核酸チップが機能しなくなる、例えばDNAチップで言えばハイブリダイゼーションできなくなってしまう、という課題を見出した。
【0012】
また、実際に鏡筒内に核酸チップ導入後、形態観察を行なったところ、観察のため電子ビーム照射を行なった領域では、条件によってはダメージを受ける場合があった。
【0013】
特に長時間同一箇所を詳細に観察したり、写真撮影などのために長時間電子ビームラスターを行なったりすると、核酸チップとしての機能(例えばDNAチップで言えば、ハイブリダイゼーション等)が失われることがあるという課題を見出した。
【0014】
更に、絶縁性基板を用いた核酸チップを、通常の(高真空タイプの)走査電子顕微鏡で観察すると、場合によってはチャージアップによる像障害で観察できない場合があるという課題を見出した。
【0015】
通常、核酸チップ用の基板としては、プローブを構成する物質が結合可能で、かつ標的物質の検出を妨げるものでなければ特に限定されるものではないが、ひとつの例としてガラス基板があげられる。その他シリコン基板、金属基板、樹脂基板など、また、適当な表面処理をしたそれぞれの基板でも構わないのだが、ガラス基板を基板として使用する場合には、洗浄方法、表面処理方法については、一般的に知られている各種方法を用いることができるし、また、基板自体が入手しやすいなどの利点があり、好適であることから、多く用いられており、この基板の検査が不可能になることは、好ましくない。
【0016】
また、蛍光法により標的物質の検出、定量を行なう場合、各プローブが結合されたサイトのうちの全て、または十分の数のサイトが蛍光を発する状況であれば基板上での各プローブの相対位置を把握でき、それによって基板上の各サイトの位置の特定は比較的容易である。しかし、このような状況はどちらかといえばまれで、基板上のサイトのうち、比較的少ない数のサイトからしか蛍光が観察されない場合が多い。この場合には各プローブの相対位置を知ることが困難で、どのプローブを結合したサイトが蛍光を発しているのかを特定することができない状況がありうる。
【0017】
本発明はこれらの技術課題を解決するためになされたものであって、その目的は全数検査を行なうことのできる核酸チップを提供することを目的とする。
【0018】
また、基板に作製した核酸チップの製造過程、または製造後の検査過程で、核酸チップの検査によるロスを最小限とし、かつ迅速に行なうことのできる分析方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、核酸チップの基板に絶縁性基板を用いた場合でも、問題なく検査できる検査方法を提供することを目的とする。
【0020】
更に核酸チップを乾燥させる事なく、検査できる検査方法を提供することを目的とする。
【0021】
また、この方法を用いて検査し、良品のみを製品とする核酸チップの製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を有する。
【0023】
即ち、本発明は、基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップが形成されている基板上の一部に、検査用の核酸プローブを設けることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0024】
また、上記検査用の核酸プローブが、マトリクス状に配置された核酸プローブの一部のプローブからなることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0025】
更に、上記検査用の核酸プローブの位置識別用マーカーが該検査用プローブの周囲に設けられていることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0026】
また、上記マーカーが、金属、金属化合物、カーボンよりなることを特徴とする。
【0027】
また、基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップの検査方法において、該核酸チップの検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡により観察することを特徴とする、核酸チップの検査方法である。
【0028】
この検査方法において、マーカーを位置標準として、検査用プローブを観察することを特徴とする核酸チップの検査方法である。
【0029】
また、前記評価時の真空度が1.33〜2666Pa(0.01〜20Torr)であることを特徴とする検査方法である。
【0030】
また、前記検査時の加速電圧が5〜20kVであることを特徴とする。
【0031】
また、前記検査時の湿度が8〜84%であることを特徴とする。
【0032】
更に、基板表面に、少なくとも複数の核酸プローブをマトリクス状に配置する核酸チップの製造方法において、複数の核酸関連物質と検査用の核酸プローブをマトリクス状に配置した後に、、該核酸チップの特定箇所を環境制御型走査電子顕微鏡で観察し、該ドット形状の良否を判定し、良品のみを製品とすることを特徴とする核酸チップの製造方法である。
【0033】
このような発明によれば、製造時に目視や光顕観察では観察することのできない、各プローブの形状をあらかじめチェックすることのでき、かつ検査用でないプローブは機能を失わない核酸チップを提供することができる。
【0034】
また、本発明の検査方法により、形状のチェックを問題なく、かつ正確に行なうことができ、乾燥させずに検査を行なうことができるため、全数検査を行なうことが可能である。
【0035】
更に、検査を行なっても機能を失わないため、良品、不良品の選別に用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、図面を用いて詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の核酸チップを示した図である。1は核酸プローブ、2はマーカー、3は検査用プローブ、4は基板である。
【0038】
図1において、核酸プローブ1、及び検査用プローブ3は通常用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、どのような物質であってもかまわない。例えば、オリゴデオキシヌクレオチド、ポリデオキシヌクレオチド、cDNA(コンプリメンタリーDNA)等のDNA、または、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA、または骨格がペプチドで構成されるPNA(ペプチド核酸)で代表される核酸アナログがあげられる。
【0039】
これらの核酸は基板上にどのような様態で存在してもかまわないが、核酸チップとしての使用様態(例えばDNAチップでいえばハイブリダイゼーション等)を勘案すると、基板表面に共有結合によって結合しているものが望ましい。これら共有結合の方法には様々な方法が知られており、それらを適宜応用すればよい。共有結合方法の一例は特開平11−187900号公報に記載されている。
【0040】
また、共有結合の一形態として固相上での核酸の逐次合成方法が知られており、本発明の核酸チップの作製方法としてそれらを用いてもかまわない。
【0041】
さらに、核酸プローブの基板への共有結合方法として、あらかじめ共有結合をするための官能基を有する、例えば、核酸を上記官能基と共有結合可能な官能基が形成された基板に供給し共有結合させる方法があり、これら基板への核酸の供給方法としては、既知の方法であるピエゾジェット法、サーマルジェット法を代表とするインクジェット法を好適に用いることができる。上記特開平11−187900号公報にはサーマルジェット法による核酸プローブの基板への供給方法についても記載がある。
【0042】
検査用プローブ3は、環境制御型走査電子顕微鏡による検査を行なうために設けたプローブで、上述したように核酸プローブ1と同様の物質を用いれば良く、この検査用プローブ3の形態を検査することにより、核酸プローブ1の形態が問題なく良好に製造されているかどうかの検査を行なう。
【0043】
このため、検査用プローブ3は、核酸プローブ1で用いたプローブのうちの一部を用いて製造する。
【0044】
また、マーカー2は、検査用プローブ3の位置を示すもので、2次電子像で確認できるものであれば何でも良い。更に、試料サンプリングの観点から目視で確認できるものであれば、更に良い。マーカーに適する物質を例示すれば、Pt、Pd、Ru、Au、Ag、Al、Cu、Cr、Ta、Fe、W、Zn、Sn 等の金属類、並びにその化合物、カーボン等があげられるが、特に限定されるものではない。
【0045】
マーカー2、検査用プローブ3の位置は、検体との反応に用いるプローブに接して、例えば図1−(c)のように配置しても良いし、(a),(b)のように検体との反応に用いるプローブとは離れた位置に配置しても良いが、電子線照射によりダメージを受ける場合があるので、できれば(a),(b)のように離して配置する方が好ましい。
【0046】
次に検査方法について説明する。
【0047】
図2は本発明で用いる環境制御型走査電子顕微鏡の概略図である。21は電子銃、22、23はレンズ、24は差動排気部、25は分析チャンバー、26は試料ホルダー、27はバイオチップ、28はイオンポンプ、29はターボ分子ポンプ、30はロータリーポンプ、31は導入ガス、32は温度可変ステージである。
【0048】
図2を用いて本発明の検査方法を説明する。まず、前記「従来の技術」で説明した方法で作製した核酸チップ表面を乾燥させないために純水中に保存しておく。純水中から核酸チップを取り出し、乾燥しないよう試料ホルダー26に核酸チップ27を固定し、環境制御型走査電子顕微鏡内に導入する。
【0049】
核酸チップ27固定時に乾燥させないためには、通常用いられている方法を用いれば良いが、固定時に水蒸気を満たした容器中で試料固定を行なったり、固定時に溶媒を含有する導電性ペーストではなく、導電性テープを用いることにより固定時間を短縮し、乾燥を防ぐことができる。
【0050】
また、導入時は、核酸チップ27を導入後真空ポンプで約1.3kPa(約10Torr)程度まで荒引きを行なう。
【0051】
その後ガス31を導入することにより、所望の条件で観察を行なう。
【0052】
環境制御型走査電子顕微鏡内の雰囲気は、顕微鏡内に導入するガスや温度可変ステージにより変えることができるため、例えばガスとして純水を導入する、あるいは、試料周辺にステージ周辺にあらかじめ水滴を配置しておくことにより、核酸チップ27が極度に乾燥して変性しないような条件で観察する。
【0053】
具体的には、試料室内の水蒸気圧力と試料温度を制御して湿度が8%未満にならないようにする。例えば試料温度5℃で707Pa(5.3Torr)に設定すれば湿度82.5%となり、同じく試料温度5℃で547Pa(4.1Torr)にすれば湿度70%、400Pa(3Torr)では50%と、試料温度一定のまま、試料室内水蒸気圧力を変えることにより湿度を制御することができる。
【0054】
8%未満の場合は、核酸チップが極度に乾燥して変性してしまう場合がある。また、8%より高湿度ではチップ表面に水滴がついて、プローブ観察ができなくなってしまう場合がある。設定湿度8〜84%で分析を行なうことでこれら乾燥・結露といったトラブルを防ぐことができるので好ましい。
【0055】
通常用いられる試料温度5〜25℃において、上記の設定湿度を満たすために、真空度は1.33〜2666Pa(0.01〜20Torr)、より好ましくは13.3〜667Pa(0.1〜5Torr)とするのが良い。
【0056】
核酸プローブ1は、完全に乾燥してしまうと、その機能が劣化することがある。例えば、DNAを基板に結合させたDNAチップの場合、作製後完全に乾燥させてしまうと、ハイブリダイゼーションしない場合がある。しかし、本発明の検査方法における真空度の範囲内では、この機能の劣化は見られていない。
【0057】
但し、電子線照射を長時間行なうことにより、乾燥時と同様に機能劣化が見られることがある。そこで、上記条件を整えた後、電子線照射前にあらかじめ検査用プローブ3の位置に移動させておき、その後検査用プローブの観察を行なう。
【0058】
移動の方法としては、例えば走査電子顕微鏡に付帯する光学顕微鏡、CCDカメラ等(不図示)で位置を確認しながら、手動でステージ移動を行なっても良いし、または、同一パターンの核酸チップを数多く検査する場合には、自動ステージ(不図示)により、あらかじめ位置を記憶させておいた検査用プローブ3の位置に移動しても良い。
【0059】
これらにより、検査用プローブ3の検査を行なう際に、核酸プローブ1が機能劣化することを防ぐことができる。
【0060】
移動後に、電子源の加速電圧を設定、印加し、1次電子ビームを試料に照射する。検査時の加速電圧は、通常(高真空)の走査電子顕微鏡より真空度が悪く、試料室内のガスやイオン等が多いため、加速電圧は5〜20kVの範囲内で観察するのが良く、より好ましくは8〜12kVで観察するのが良い。真空度が20kVを超えた場合は、プローブがダメージを受けて変性するおそれがある。また、5kV未満の場合は一次電子エネルギーが低いために、試料室内のガスやイオンにより散乱されてしまい、像が得られない場合がある。
【0061】
これらの条件で観察を行なうことにより、核酸プローブ1が所望の形態、ピッチで配置されているかどうかの検査を、核酸プローブとしての機能を失わずに行なうことのできる核酸チップを提供することができる。
【0062】
また、核酸チップの全数検査を、核酸プローブとしての機能を失わずに行なうことができ、いわゆる生産工場内でのインライン分析を行なうことのできる核酸チップの検査方法を提供することができる。
【0063】
更に核酸チップを乾燥させる事なく、分析できる検査方法を提供することができる。
【0064】
また、この方法を用いて検査し、良品のみを製品とする核酸チップの製造方法を提供することができる。
【0065】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
【0066】
<実施例1>(dT40プローブによるDNAチップの作製)
上記特開平11−187900号公報に記載の方法に準じてDNAプローブアレイを作製した。チップの形状は図1−(a)に示す通りとした。
【0067】
(1)基板洗浄
25.4mm×25.4mm×1mmの合成石英基板4をラックに入れ、純水で10%に稀釈した超音波洗浄用洗剤(ブランソン:GPIII)に一晩浸した。その後、洗剤中で20分間超音波洗浄を行い、その後、水洗により洗剤を除去した。純水ですすいだ後、純水の入った容器中でさらに超音波処理を20分間行なった。次に、予め80℃に加温した1mol/L(1N)水酸化ナトリウム水溶液に基板を10分間浸した。引き続き水洗、純水洗浄を行なって、そのまま次工程に供した。
【0068】
(2)表面処理
アミノ基を結合したシランカップリング剤、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン KBM603(信越化学工業)の1wt%水溶液を室温下で2時間攪拌し、上記シラン化合物の分子内のメトキシ基を加水分解した。次いでこの溶液に上記(1)で得た基板を室温で1時間浸漬した後、純水で洗浄し、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークして最終的に基板表面にアミノ基を導入した。
【0069】
次いでN−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(同仁化学研究所:以下EMCS)2.7mgを、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1溶液に濃度が0.3mg/mLとなる様に溶解した。シランカップリング処理を行なった石英基板をこのEMCS溶液に室温で2時間浸漬して、シランカップリング処理によって基板表面に担持されているアミノ基とEMCS溶液のスクシイミド基を反応させた。この段階で基板表面にはEMCS由来のマレイミド基が存在することになる。EMCS溶液から引き上げた基板はDMSO及びエタノールの混合溶媒及びエタノールで順次洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
【0070】
(3)金属含有溶液の作製
次にマーカー材料として、金属含有溶液を作製した。0.84gの酢酸パラジウム−モノエタノールアミン(以下PA−MEと略す)を12gの水に溶解し、さらにポリビニルアルコール(以下PVAと略す)を加え、溶液粘度を20mPa・s(=20センチポイズ)に調整したものをバブルジェット付与用水溶液とした。なお、PA−MEは下記のようにして合成した。
【0071】
10gの酢酸パラジウムを200cm3のイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)に懸濁させ、更に16.6gのモノエタノールアミンを加え室温で4時間撹拌させた。反応終了後、IPAをエバポレートより除き、固形物にエタノールを加え、溶解、ろ過し、ろ液からPA−MEを再結晶した。
【0072】
(4)BJプリンターによる金属化合物吐出、および基板への結合
このようにして作製したバブルジェット付与溶液を、バブルジェットプリンター(商品名:BJC620;キヤノン(株)社製)用インクタンクに充填しバブルジェットヘッドにセットした。なおここで用いたバブルジェットプリンター(商品名:BJC620;キヤノン(株)社製)は平板への印刷が可能な様に改造を施したものである。その後、上記表面処理を施した石英基板上に図1−(a)のように金属含有溶液を付与し、乾燥させた。
【0073】
これを大気雰囲気のオーブン中で300℃に加熱して前記PA−ME及びPVAを基板上で分解堆積させ、酸化パラジウム微粒子からなるマーカー2を形成した。
【0074】
(5)プローブDNAの合成
DNA合成業者(ベックス)に依頼して配列番号1の一本鎖核酸(Tの40量体)を合成した。なお配列番号1の一本鎖DNAの5’末端には合成時にチオールモディファイア(グレンリサーチ)を用いる事によってチオール(SH)基を導入した。なお、脱保護、DNAの回収は定法により行い、また、精製にはHPLCを用いた。合成から精製までの一連の工程はすべて合成業者に依頼して行なった。
配列番号:1
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT 3’
【0075】
(6)BJプリンターによるDNA吐出、および基板への結合
上記配列番号1の一本鎖DNAを8μmol/Lの濃度でグリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、及び上記一般式(I)で示されるアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1wt%を含む溶液を溶解した。サーマルジェット法の一種であるバブルジェット法を用いたバブルジェットプリンターBJF−850(キヤノン)用のプリンターヘッドBC−50(キヤノン)を数百μLの溶液を吐出可能とするべく改造し、このヘッドを上記石英基板上へ吐出可能となるよう改造した吐出描画機に搭載した。このヘッドの改造タンク部に上記DNA溶液を数百μL注入し、吐出描画機にEMCS処理基板を装着して、ここに図1−(a)のようにスポッティングした。なお、スポッティング時の吐出量は4pL/dropletで、スポッティングの範囲は、測定用プローブとしては基板の中央部に10mm×10mmの範囲に、また、検査用プローブとしては図1−(a)のように基板端部に設けたマーカー内部に、200dpiすなわち127μmのピッチで吐出した。この条件ではスポッティングされたドットの直径は約50μmであった。
【0076】
スポッティング終了後、基板を30分間加湿チャンバー内に静置し、ガラス板表面のマレイミド基と核酸プローブ末端のチオール基とを反応させた。次いで、基板を純水で洗浄し、純水中で保存した。
【0077】
<実施例2>(環境制御型走査電子顕微鏡による形態観察)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、日本FEI社製XL30ESEMを用いて行なった。観察条件は、加速電圧を15kVとし、試料温度5℃、真空度80Pa(=0.6Torr)と設定した。これにより、設定湿度を10%とした。
【0078】
また、DNAチップ表面の乾燥を防ぐため、DNAチップは環境制御型走査電子顕微鏡による観察直前に純水中より引き上げ、基板の裏面のみをベンコットで軽く拭き、水分を除いた。表面については特に乾燥は行なわなかった。このDNAチップを試料ホルダー表面にカーボンテープで固定し、環境制御型走査電子顕微鏡内に導入した。
【0079】
また、導入後すぐにあらかじめ位置設定していた検査用プローブ3の位置に、自動ステージを用いて試料を移動させた。
【0080】
(2)結果
図3に実施例1で作製したDNAチップの検査用プローブ3を上記装置で上記条件に基づき観察し、得られた像を示す。実体顕微鏡や光学顕微鏡でも、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡でも観察することのできなかった、DNAチップ上のドットをはっきりと確認することができた。また、このことにより、製造時のドット抜けのチェックや、基板の濡れ性の変化による印字不均一のチェックを行なうことができた。
【0081】
なお、環境制御型走査電子顕微鏡を用いたDNAチップの検査方法では、検査条件の設定を誤らなければ、顕微鏡導入してすぐに観察を行なうことができ、また、低倍(数十倍)から高倍(数万倍)まで自由に観察することができる。また、短時間(数分)で観察ができるうえ、チャージアップによる像障害もないため、検査用のドットを低倍で1つずつチェックしていくことができると共に、所望のドット形状にならなかったドットについては、拡大して詳細な観察を行い、原因を究明することができた。
【0082】
また、この際、明るさとコントラストを変えずに、複数ドットについて観察を行い、それぞれの走査電子顕微鏡像の比較を行なうことにより、DNA溶液の濃度に非常に大きな差がある場合には像の色の変化が現れることを確認した。
【0083】
このように、環境制御型走査電子顕微鏡による製造時抜き取り検査を行なうことにより、製造プロセスの適正化、故障解析に役立てることができ、DNAドットの製造時チェックに大きく役立てる事ができた。
【0084】
<比較例1>(通常の走査電子顕微鏡による形態観察)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、日立製作所製S−3500Nを用いて行なった。この走査電子顕微鏡は、実施例2で観察を行なったXL30ESEMと同じWフィラメントを電子銃とする走査電子顕微鏡だが、環境制御型でなく、通常の高真空に引くタイプの走査電子顕微鏡である。観察条件として、加速電圧を15kVから0.7kVまでの範囲で変えて、観察を行なった。
【0085】
また、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡内には、脱ガスする試料は導入できないため、試料導入直前に試料の表面と裏面の両方について窒素ガスを吹き付けて乾燥し、更に真空デシケーター中で乾燥させた。このDNAチップを試料ホルダー表面にカーボンテープで固定し、上記走査電子顕微鏡内に導入した。
【0086】
(2)結果
上述のように加速電圧を15kVから0.7kVまでの範囲で変えて検討したが、チャージアップによる像障害がおさまらず、DNAチップ表面の観察をすることができなかった。
【0087】
<実施例3>(環境制御型走査電子顕微鏡による観察と観察後のハイブリダイゼーション)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、実施例2で用いた日本FEI社製XL30ESEMを用いて行なった。観察条件は、加速電圧を15kVとし、導入ガスに純水を用い、試料温度5℃、真空度400Pa(=3.0Torr)と設定した。これにより、設定湿度を50%とした。
【0088】
試料の固定方法は実施例2と同じ方法を用いた。
【0089】
(2)結果
図4に実施例1で作製したDNAチップ上の検査用プローブを上記装置で上記条件に基づき観察し、得られた像を示す。実施例2と同様に実体顕微鏡や光学顕微鏡でも、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡でも観察することのできなかった、DNAチップ上のドットをはっきりと確認することができた。また、このことにより、製造時のドット抜けのチェックや、基板の濡れ性の変化による印字不均一のチェックを行なうことができた。
【0090】
また、この際、明るさとコントラストを変えずに、複数ドットについて観察を行い、それぞれの走査電子顕微鏡像の比較を行なうことにより、DNA溶液の濃度に非常に大きな差がある場合には像の色の変化が現れることを確認した。
【0091】
このように、環境制御型走査電子顕微鏡による製造時抜き取り検査を行なうことにより、製造プロセスの適正化、故障解析に役立てることができ、DNAドットの製造時チェックに大きく役立てる事ができた。
【0092】
(3)ハイブリダイゼーション
次に、上記環境制御型走査電子顕微鏡観察後に、観察したDNAチップを顕微鏡内より取り出し、試料ホルダーより取り外した後、再度、純水中に戻した。このDNAチップが観察後も機能消失していないかどうか、ハイブリダイゼーションさせて、確認した。
【0093】
ハイブリダイゼーションは下記のDNAを5nmol/Lの濃度で含む緩衝液2mLを用い、ハイブリパック中で行なった。
配列番号:2
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA 3’
【0094】
DNAチップを上記DNA含有緩衝液と共にハイブリパック中に封じ、恒温槽内で75℃まで加熱し、その後45℃まで冷却し、その状態で10時間放置した。
【0095】
次にDNAチップをハイブリパックから取り出し、ハイブリダイゼーション用の緩衝液で洗浄し、蛍光顕微鏡を用いて蛍光を観察した。使用した蛍光顕微鏡はECLIPSE E800(株式会社ニコン)と蛍光フィルタ(Y−2E/C)をセットしたものである。また、画像の取得はイメージインテンシファイヤー付きCCDカメラと画像処理装置を用いて行なった。
【0096】
この結果、観察、写真撮影を行なった検査用プローブ3のドットでは、蛍光強度が減少し、暗くなってしまったが、行なっていない核酸プローブ1のドットでは、全てのドットから蛍光が確認され、上記観察を行なうことによる、測定用プローブのハイブリダイゼーションへの影響はないと考えられた。
【0097】
即ち、環境制御型走査電子顕微鏡を用いた分析により、DNAチップの製造時分析ができた上、検査後もハイブリダイゼーションを行なうことができるため、抜き取り検査だけでなく、全数検査にも適用可能であることが示された。
【0098】
<実施例4>DNAチップ製造ラインへの適用
実施例2と同様の分析法で分析する検査工程を、DNAチップ製造ラインに適用した場合の実施例を以下に示す。
【0099】
図5は本発明の一実施例のDNAチップ製造方法を示すブロック図である。また、図6は本発明による一実施例のDNAチップ検査装置を示す図である。図5,6を参照しながら構成と動作について同時に説明する。
【0100】
図5,6において、DNAチップ製造ライン56から、基板を抜き取り、DNAチップ検査装置57に搬送し、まず、チップ格納ケース51へ該基板を収める。続いて、チップ格納ケース51へ格納したチップを1枚抜き取り、検査部52へ搬送する。検査部52は、環境制御型走査電子顕微鏡から構成され、電子銃61、レンズ67、温度可変試料ステージ64、導入ガス(不図示)、真空排気装置(不図示)等を有する。
【0101】
試料ステージは手動で動かしても、自動制御ステージとしても良く、製造ライン内に検査要員を置くことができれば、手動で良いが、自動制御ステージとして、チップ上の検査用プローブ位置を観察できるようステージ位置を指定しておけば、無人でも構わない。
【0102】
検査部では上記の何れかの方法で、指定した検査用プローブ位置にステージを移動し、チップ上のプローブ設置位置を観察、画像撮影を行なう。画像はナンバリングをした後記憶装置に記憶させる。
【0103】
その後、設計図と比較して、ドット径が異なっていないか、抜けがないか、余分な小滴が飛散していないか、重大な汚れがついていないか等について検査を行い、検査を終了する。
【0104】
検査済みのチップは、試料選別部53へ搬送される。検査工程において、チップに加工寸法の違い、位置ずれ、異物等の外観不良が検出された場合には、この不良品チップを試料選別部53から不良品格納ケース55に搬送し、チップ製造ライン56から摘出する。
【0105】
上記のように本実施例によれば、特定のDNAプローブをドットパターンとして有するDNAチップの、所望の領域を検査し、不良品と良品とをわけることができるため、一連のライン作業中の一工程としてのライン検査、即ちインライン検査が可能となる。
【0106】
また、検査用プローブを別途設けた本発明の核酸チップでは、ダメージの心配がない上、本実施例の検査は短時間で実施することが可能で、例えば検査用プローブとして、10×10ドットを設け、この検査用プローブドット全てを検査しても数分で終了するため、全数検査も可能である。
【0107】
【発明の効果】
本発明により基板上に単分子膜レベルで形成された核酸関連物質からなる、いわゆる核酸チップの製造過程、または製造後の検査過程で、プローブアレイの検査によるロスを最小限とし、かつ迅速に行なうことのできる分析方法を提供することが可能となった。
【0108】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核酸チップ
【図2】本発明で用いる環境制御型走査電子顕微鏡の概略図
【図3】実施例2で撮影した走査電子顕微鏡像
【図4】実施例3で撮影した走査電子顕微鏡像
【図5】実施例4でDNA製造ラインに適用した際の流れを表す図
【図6】実施例4でDNA製造ラインに適用した際のDNAチップ検査装置の概略図
【符号の説明】
1:核酸プローブ
2:マーカー
3:検査用プローブ
21:電子銃
22、23:レンズ
24:差動排気部
25:分析チャンバー
26:試料ホルダー
27:試料
28:イオンポンプ
29:ターボ分子ポンプ
30:ロータリーポンプ
31:導入ガス
32:温度可変ステージ
51:チップ格納ケース
52:検査部
53:試料選別部
54:試料格納ケース
55:不良品格納ケース
56:DNAチップ製造ライン
57:DNAチップ検査装置
58:記憶装置
61:電子銃
62:試料
63:試料ホルダー
64:温度可変ステージ
65:二次電子検出器
66:モニター
67:レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の核酸が基板上にマトリクス状に配置された、いわゆる核酸チップ、ならびに核酸チップ表面の各マトリクスの検査方法、およびこれを用いた核酸チップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAチップ等のいわゆる核酸チップはゲノム解析、あるいは、遺伝子の発現解析などの目的に利用されるようになってきており、また、それらの解析の結果は、癌、遺伝病、生活習慣病、感染症等の診断、予後予想、治療方針の決定等に重要な指標を提供するものと期待されている。
【0003】
核酸チップの作製方法にはいくつかの方法が知られている。DNAチップを例にとって説明すると、基板上にフォトリソグラフィーを用いてDNAプローブを逐次的に合成していく方法(米国特許第5405783号公報等)、あるいは、あらかじめ合成したDNA、または、cDNA(コンプリメンタリーDNA)を基板上に供給し結合する方法(米国特許第5601980号公報、特開平11−187900号公報、Science Vol.270,467,1995等)が代表的なDNAチップの作製方法である。
【0004】
一般的には、これらいずれかの方法によって核酸チップが作製されるが、これらの核酸チップを先に述べた用途に使用しようとする場合、解析の信頼性、すなわち、定量性、再現性を保証するためには各マトリクスに存在するプローブ、すなわち、この場合では核酸関連物質が、実際にどのようなマトリクス形状(形状、サイズ、状態)で存在するかを知ること(イメージング)が重要である。しかし、チップ上の核酸プローブは原理的に単分子膜レベルで存在するので、これらの検査にはきわめて高感度な表面解析技術が必要となる。
【0005】
これらの高感度な表面解析技術としては核酸プローブをアイソトープラベルする方法がUSP5,780,232に開示されているが、手法が煩雑、危険、特殊な施設、装置が必要等の理由で一般的ではない。
【0006】
他の高感度表面分析手段としてはXPS(X線光電子分光法)等があるが、核酸チップのプローブのイメージングには十分な感度を有しているとはいえない。
【0007】
更に別の方法としては核酸プローブを蛍光標識する方法、または、核酸プローブと特異的に結合する物質に蛍光標識を施し、これと核酸プローブを結合させる方法、すなわち、蛍光ハイブリダイゼーション法があり、現在この方法が広く一般的に用いられているが、蛍光法では、蛍光色素の安定性、クエンチング、蛍光色素の基板表面への非特異的吸着等の問題があり、核酸プローブ自体のマトリクス形状を正確にイメージとして表示するには課題が残るのである。
【0008】
また、蛍光法を行なう際には標準標的物質を核酸プローブと結合させて検出することから、検査終了後の核酸チップは製品として出荷することができなかった。
【0009】
これらの理由により、製造時のチェック用として別の分析方法による形態観察方法が求められていた。これらの点に鑑み、我々が検討を行なった結果、高感度のイメージングを行なう分析方法として、走査電子顕微鏡法、飛行時間型二次イオン質量分析(以下TOF−SIMSと略記する)法が観察方法として有効であると考えられた。
【0010】
しかし、TOF−SIMSは、試料表面にイオンを当てて切断されたフラグメントイオンを検出する、いわゆる破壊試験であるため、例えばDNAをプローブとしたDNAチップの形態観察後、ハイブリダイゼーションを行なう際に、DNAが破壊されていてはハイブリダイゼーションできなくなってしまうことが予想された。このため、製品の全数を検査するために用いる、製品検査としては、不適切であり、走査電子顕微鏡法が有効であると考えられた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らが更に検討を重ねた結果、核酸チップを乾燥させると、分析後核酸チップが機能しなくなる、例えばDNAチップで言えばハイブリダイゼーションできなくなってしまう、という課題を見出した。
【0012】
また、実際に鏡筒内に核酸チップ導入後、形態観察を行なったところ、観察のため電子ビーム照射を行なった領域では、条件によってはダメージを受ける場合があった。
【0013】
特に長時間同一箇所を詳細に観察したり、写真撮影などのために長時間電子ビームラスターを行なったりすると、核酸チップとしての機能(例えばDNAチップで言えば、ハイブリダイゼーション等)が失われることがあるという課題を見出した。
【0014】
更に、絶縁性基板を用いた核酸チップを、通常の(高真空タイプの)走査電子顕微鏡で観察すると、場合によってはチャージアップによる像障害で観察できない場合があるという課題を見出した。
【0015】
通常、核酸チップ用の基板としては、プローブを構成する物質が結合可能で、かつ標的物質の検出を妨げるものでなければ特に限定されるものではないが、ひとつの例としてガラス基板があげられる。その他シリコン基板、金属基板、樹脂基板など、また、適当な表面処理をしたそれぞれの基板でも構わないのだが、ガラス基板を基板として使用する場合には、洗浄方法、表面処理方法については、一般的に知られている各種方法を用いることができるし、また、基板自体が入手しやすいなどの利点があり、好適であることから、多く用いられており、この基板の検査が不可能になることは、好ましくない。
【0016】
また、蛍光法により標的物質の検出、定量を行なう場合、各プローブが結合されたサイトのうちの全て、または十分の数のサイトが蛍光を発する状況であれば基板上での各プローブの相対位置を把握でき、それによって基板上の各サイトの位置の特定は比較的容易である。しかし、このような状況はどちらかといえばまれで、基板上のサイトのうち、比較的少ない数のサイトからしか蛍光が観察されない場合が多い。この場合には各プローブの相対位置を知ることが困難で、どのプローブを結合したサイトが蛍光を発しているのかを特定することができない状況がありうる。
【0017】
本発明はこれらの技術課題を解決するためになされたものであって、その目的は全数検査を行なうことのできる核酸チップを提供することを目的とする。
【0018】
また、基板に作製した核酸チップの製造過程、または製造後の検査過程で、核酸チップの検査によるロスを最小限とし、かつ迅速に行なうことのできる分析方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、核酸チップの基板に絶縁性基板を用いた場合でも、問題なく検査できる検査方法を提供することを目的とする。
【0020】
更に核酸チップを乾燥させる事なく、検査できる検査方法を提供することを目的とする。
【0021】
また、この方法を用いて検査し、良品のみを製品とする核酸チップの製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は以下に示す特徴を有する。
【0023】
即ち、本発明は、基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップが形成されている基板上の一部に、検査用の核酸プローブを設けることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0024】
また、上記検査用の核酸プローブが、マトリクス状に配置された核酸プローブの一部のプローブからなることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0025】
更に、上記検査用の核酸プローブの位置識別用マーカーが該検査用プローブの周囲に設けられていることを特徴とする核酸チップ基板である。
【0026】
また、上記マーカーが、金属、金属化合物、カーボンよりなることを特徴とする。
【0027】
また、基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された、いわゆる、核酸チップの検査方法において、該核酸チップの検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡により観察することを特徴とする、核酸チップの検査方法である。
【0028】
この検査方法において、マーカーを位置標準として、検査用プローブを観察することを特徴とする核酸チップの検査方法である。
【0029】
また、前記評価時の真空度が1.33〜2666Pa(0.01〜20Torr)であることを特徴とする検査方法である。
【0030】
また、前記検査時の加速電圧が5〜20kVであることを特徴とする。
【0031】
また、前記検査時の湿度が8〜84%であることを特徴とする。
【0032】
更に、基板表面に、少なくとも複数の核酸プローブをマトリクス状に配置する核酸チップの製造方法において、複数の核酸関連物質と検査用の核酸プローブをマトリクス状に配置した後に、、該核酸チップの特定箇所を環境制御型走査電子顕微鏡で観察し、該ドット形状の良否を判定し、良品のみを製品とすることを特徴とする核酸チップの製造方法である。
【0033】
このような発明によれば、製造時に目視や光顕観察では観察することのできない、各プローブの形状をあらかじめチェックすることのでき、かつ検査用でないプローブは機能を失わない核酸チップを提供することができる。
【0034】
また、本発明の検査方法により、形状のチェックを問題なく、かつ正確に行なうことができ、乾燥させずに検査を行なうことができるため、全数検査を行なうことが可能である。
【0035】
更に、検査を行なっても機能を失わないため、良品、不良品の選別に用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、図面を用いて詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の核酸チップを示した図である。1は核酸プローブ、2はマーカー、3は検査用プローブ、4は基板である。
【0038】
図1において、核酸プローブ1、及び検査用プローブ3は通常用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、どのような物質であってもかまわない。例えば、オリゴデオキシヌクレオチド、ポリデオキシヌクレオチド、cDNA(コンプリメンタリーDNA)等のDNA、または、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA、または骨格がペプチドで構成されるPNA(ペプチド核酸)で代表される核酸アナログがあげられる。
【0039】
これらの核酸は基板上にどのような様態で存在してもかまわないが、核酸チップとしての使用様態(例えばDNAチップでいえばハイブリダイゼーション等)を勘案すると、基板表面に共有結合によって結合しているものが望ましい。これら共有結合の方法には様々な方法が知られており、それらを適宜応用すればよい。共有結合方法の一例は特開平11−187900号公報に記載されている。
【0040】
また、共有結合の一形態として固相上での核酸の逐次合成方法が知られており、本発明の核酸チップの作製方法としてそれらを用いてもかまわない。
【0041】
さらに、核酸プローブの基板への共有結合方法として、あらかじめ共有結合をするための官能基を有する、例えば、核酸を上記官能基と共有結合可能な官能基が形成された基板に供給し共有結合させる方法があり、これら基板への核酸の供給方法としては、既知の方法であるピエゾジェット法、サーマルジェット法を代表とするインクジェット法を好適に用いることができる。上記特開平11−187900号公報にはサーマルジェット法による核酸プローブの基板への供給方法についても記載がある。
【0042】
検査用プローブ3は、環境制御型走査電子顕微鏡による検査を行なうために設けたプローブで、上述したように核酸プローブ1と同様の物質を用いれば良く、この検査用プローブ3の形態を検査することにより、核酸プローブ1の形態が問題なく良好に製造されているかどうかの検査を行なう。
【0043】
このため、検査用プローブ3は、核酸プローブ1で用いたプローブのうちの一部を用いて製造する。
【0044】
また、マーカー2は、検査用プローブ3の位置を示すもので、2次電子像で確認できるものであれば何でも良い。更に、試料サンプリングの観点から目視で確認できるものであれば、更に良い。マーカーに適する物質を例示すれば、Pt、Pd、Ru、Au、Ag、Al、Cu、Cr、Ta、Fe、W、Zn、Sn 等の金属類、並びにその化合物、カーボン等があげられるが、特に限定されるものではない。
【0045】
マーカー2、検査用プローブ3の位置は、検体との反応に用いるプローブに接して、例えば図1−(c)のように配置しても良いし、(a),(b)のように検体との反応に用いるプローブとは離れた位置に配置しても良いが、電子線照射によりダメージを受ける場合があるので、できれば(a),(b)のように離して配置する方が好ましい。
【0046】
次に検査方法について説明する。
【0047】
図2は本発明で用いる環境制御型走査電子顕微鏡の概略図である。21は電子銃、22、23はレンズ、24は差動排気部、25は分析チャンバー、26は試料ホルダー、27はバイオチップ、28はイオンポンプ、29はターボ分子ポンプ、30はロータリーポンプ、31は導入ガス、32は温度可変ステージである。
【0048】
図2を用いて本発明の検査方法を説明する。まず、前記「従来の技術」で説明した方法で作製した核酸チップ表面を乾燥させないために純水中に保存しておく。純水中から核酸チップを取り出し、乾燥しないよう試料ホルダー26に核酸チップ27を固定し、環境制御型走査電子顕微鏡内に導入する。
【0049】
核酸チップ27固定時に乾燥させないためには、通常用いられている方法を用いれば良いが、固定時に水蒸気を満たした容器中で試料固定を行なったり、固定時に溶媒を含有する導電性ペーストではなく、導電性テープを用いることにより固定時間を短縮し、乾燥を防ぐことができる。
【0050】
また、導入時は、核酸チップ27を導入後真空ポンプで約1.3kPa(約10Torr)程度まで荒引きを行なう。
【0051】
その後ガス31を導入することにより、所望の条件で観察を行なう。
【0052】
環境制御型走査電子顕微鏡内の雰囲気は、顕微鏡内に導入するガスや温度可変ステージにより変えることができるため、例えばガスとして純水を導入する、あるいは、試料周辺にステージ周辺にあらかじめ水滴を配置しておくことにより、核酸チップ27が極度に乾燥して変性しないような条件で観察する。
【0053】
具体的には、試料室内の水蒸気圧力と試料温度を制御して湿度が8%未満にならないようにする。例えば試料温度5℃で707Pa(5.3Torr)に設定すれば湿度82.5%となり、同じく試料温度5℃で547Pa(4.1Torr)にすれば湿度70%、400Pa(3Torr)では50%と、試料温度一定のまま、試料室内水蒸気圧力を変えることにより湿度を制御することができる。
【0054】
8%未満の場合は、核酸チップが極度に乾燥して変性してしまう場合がある。また、8%より高湿度ではチップ表面に水滴がついて、プローブ観察ができなくなってしまう場合がある。設定湿度8〜84%で分析を行なうことでこれら乾燥・結露といったトラブルを防ぐことができるので好ましい。
【0055】
通常用いられる試料温度5〜25℃において、上記の設定湿度を満たすために、真空度は1.33〜2666Pa(0.01〜20Torr)、より好ましくは13.3〜667Pa(0.1〜5Torr)とするのが良い。
【0056】
核酸プローブ1は、完全に乾燥してしまうと、その機能が劣化することがある。例えば、DNAを基板に結合させたDNAチップの場合、作製後完全に乾燥させてしまうと、ハイブリダイゼーションしない場合がある。しかし、本発明の検査方法における真空度の範囲内では、この機能の劣化は見られていない。
【0057】
但し、電子線照射を長時間行なうことにより、乾燥時と同様に機能劣化が見られることがある。そこで、上記条件を整えた後、電子線照射前にあらかじめ検査用プローブ3の位置に移動させておき、その後検査用プローブの観察を行なう。
【0058】
移動の方法としては、例えば走査電子顕微鏡に付帯する光学顕微鏡、CCDカメラ等(不図示)で位置を確認しながら、手動でステージ移動を行なっても良いし、または、同一パターンの核酸チップを数多く検査する場合には、自動ステージ(不図示)により、あらかじめ位置を記憶させておいた検査用プローブ3の位置に移動しても良い。
【0059】
これらにより、検査用プローブ3の検査を行なう際に、核酸プローブ1が機能劣化することを防ぐことができる。
【0060】
移動後に、電子源の加速電圧を設定、印加し、1次電子ビームを試料に照射する。検査時の加速電圧は、通常(高真空)の走査電子顕微鏡より真空度が悪く、試料室内のガスやイオン等が多いため、加速電圧は5〜20kVの範囲内で観察するのが良く、より好ましくは8〜12kVで観察するのが良い。真空度が20kVを超えた場合は、プローブがダメージを受けて変性するおそれがある。また、5kV未満の場合は一次電子エネルギーが低いために、試料室内のガスやイオンにより散乱されてしまい、像が得られない場合がある。
【0061】
これらの条件で観察を行なうことにより、核酸プローブ1が所望の形態、ピッチで配置されているかどうかの検査を、核酸プローブとしての機能を失わずに行なうことのできる核酸チップを提供することができる。
【0062】
また、核酸チップの全数検査を、核酸プローブとしての機能を失わずに行なうことができ、いわゆる生産工場内でのインライン分析を行なうことのできる核酸チップの検査方法を提供することができる。
【0063】
更に核酸チップを乾燥させる事なく、分析できる検査方法を提供することができる。
【0064】
また、この方法を用いて検査し、良品のみを製品とする核酸チップの製造方法を提供することができる。
【0065】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
【0066】
<実施例1>(dT40プローブによるDNAチップの作製)
上記特開平11−187900号公報に記載の方法に準じてDNAプローブアレイを作製した。チップの形状は図1−(a)に示す通りとした。
【0067】
(1)基板洗浄
25.4mm×25.4mm×1mmの合成石英基板4をラックに入れ、純水で10%に稀釈した超音波洗浄用洗剤(ブランソン:GPIII)に一晩浸した。その後、洗剤中で20分間超音波洗浄を行い、その後、水洗により洗剤を除去した。純水ですすいだ後、純水の入った容器中でさらに超音波処理を20分間行なった。次に、予め80℃に加温した1mol/L(1N)水酸化ナトリウム水溶液に基板を10分間浸した。引き続き水洗、純水洗浄を行なって、そのまま次工程に供した。
【0068】
(2)表面処理
アミノ基を結合したシランカップリング剤、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン KBM603(信越化学工業)の1wt%水溶液を室温下で2時間攪拌し、上記シラン化合物の分子内のメトキシ基を加水分解した。次いでこの溶液に上記(1)で得た基板を室温で1時間浸漬した後、純水で洗浄し、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークして最終的に基板表面にアミノ基を導入した。
【0069】
次いでN−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(同仁化学研究所:以下EMCS)2.7mgを、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1溶液に濃度が0.3mg/mLとなる様に溶解した。シランカップリング処理を行なった石英基板をこのEMCS溶液に室温で2時間浸漬して、シランカップリング処理によって基板表面に担持されているアミノ基とEMCS溶液のスクシイミド基を反応させた。この段階で基板表面にはEMCS由来のマレイミド基が存在することになる。EMCS溶液から引き上げた基板はDMSO及びエタノールの混合溶媒及びエタノールで順次洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
【0070】
(3)金属含有溶液の作製
次にマーカー材料として、金属含有溶液を作製した。0.84gの酢酸パラジウム−モノエタノールアミン(以下PA−MEと略す)を12gの水に溶解し、さらにポリビニルアルコール(以下PVAと略す)を加え、溶液粘度を20mPa・s(=20センチポイズ)に調整したものをバブルジェット付与用水溶液とした。なお、PA−MEは下記のようにして合成した。
【0071】
10gの酢酸パラジウムを200cm3のイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)に懸濁させ、更に16.6gのモノエタノールアミンを加え室温で4時間撹拌させた。反応終了後、IPAをエバポレートより除き、固形物にエタノールを加え、溶解、ろ過し、ろ液からPA−MEを再結晶した。
【0072】
(4)BJプリンターによる金属化合物吐出、および基板への結合
このようにして作製したバブルジェット付与溶液を、バブルジェットプリンター(商品名:BJC620;キヤノン(株)社製)用インクタンクに充填しバブルジェットヘッドにセットした。なおここで用いたバブルジェットプリンター(商品名:BJC620;キヤノン(株)社製)は平板への印刷が可能な様に改造を施したものである。その後、上記表面処理を施した石英基板上に図1−(a)のように金属含有溶液を付与し、乾燥させた。
【0073】
これを大気雰囲気のオーブン中で300℃に加熱して前記PA−ME及びPVAを基板上で分解堆積させ、酸化パラジウム微粒子からなるマーカー2を形成した。
【0074】
(5)プローブDNAの合成
DNA合成業者(ベックス)に依頼して配列番号1の一本鎖核酸(Tの40量体)を合成した。なお配列番号1の一本鎖DNAの5’末端には合成時にチオールモディファイア(グレンリサーチ)を用いる事によってチオール(SH)基を導入した。なお、脱保護、DNAの回収は定法により行い、また、精製にはHPLCを用いた。合成から精製までの一連の工程はすべて合成業者に依頼して行なった。
配列番号:1
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT 3’
【0075】
(6)BJプリンターによるDNA吐出、および基板への結合
上記配列番号1の一本鎖DNAを8μmol/Lの濃度でグリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、及び上記一般式(I)で示されるアセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1wt%を含む溶液を溶解した。サーマルジェット法の一種であるバブルジェット法を用いたバブルジェットプリンターBJF−850(キヤノン)用のプリンターヘッドBC−50(キヤノン)を数百μLの溶液を吐出可能とするべく改造し、このヘッドを上記石英基板上へ吐出可能となるよう改造した吐出描画機に搭載した。このヘッドの改造タンク部に上記DNA溶液を数百μL注入し、吐出描画機にEMCS処理基板を装着して、ここに図1−(a)のようにスポッティングした。なお、スポッティング時の吐出量は4pL/dropletで、スポッティングの範囲は、測定用プローブとしては基板の中央部に10mm×10mmの範囲に、また、検査用プローブとしては図1−(a)のように基板端部に設けたマーカー内部に、200dpiすなわち127μmのピッチで吐出した。この条件ではスポッティングされたドットの直径は約50μmであった。
【0076】
スポッティング終了後、基板を30分間加湿チャンバー内に静置し、ガラス板表面のマレイミド基と核酸プローブ末端のチオール基とを反応させた。次いで、基板を純水で洗浄し、純水中で保存した。
【0077】
<実施例2>(環境制御型走査電子顕微鏡による形態観察)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、日本FEI社製XL30ESEMを用いて行なった。観察条件は、加速電圧を15kVとし、試料温度5℃、真空度80Pa(=0.6Torr)と設定した。これにより、設定湿度を10%とした。
【0078】
また、DNAチップ表面の乾燥を防ぐため、DNAチップは環境制御型走査電子顕微鏡による観察直前に純水中より引き上げ、基板の裏面のみをベンコットで軽く拭き、水分を除いた。表面については特に乾燥は行なわなかった。このDNAチップを試料ホルダー表面にカーボンテープで固定し、環境制御型走査電子顕微鏡内に導入した。
【0079】
また、導入後すぐにあらかじめ位置設定していた検査用プローブ3の位置に、自動ステージを用いて試料を移動させた。
【0080】
(2)結果
図3に実施例1で作製したDNAチップの検査用プローブ3を上記装置で上記条件に基づき観察し、得られた像を示す。実体顕微鏡や光学顕微鏡でも、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡でも観察することのできなかった、DNAチップ上のドットをはっきりと確認することができた。また、このことにより、製造時のドット抜けのチェックや、基板の濡れ性の変化による印字不均一のチェックを行なうことができた。
【0081】
なお、環境制御型走査電子顕微鏡を用いたDNAチップの検査方法では、検査条件の設定を誤らなければ、顕微鏡導入してすぐに観察を行なうことができ、また、低倍(数十倍)から高倍(数万倍)まで自由に観察することができる。また、短時間(数分)で観察ができるうえ、チャージアップによる像障害もないため、検査用のドットを低倍で1つずつチェックしていくことができると共に、所望のドット形状にならなかったドットについては、拡大して詳細な観察を行い、原因を究明することができた。
【0082】
また、この際、明るさとコントラストを変えずに、複数ドットについて観察を行い、それぞれの走査電子顕微鏡像の比較を行なうことにより、DNA溶液の濃度に非常に大きな差がある場合には像の色の変化が現れることを確認した。
【0083】
このように、環境制御型走査電子顕微鏡による製造時抜き取り検査を行なうことにより、製造プロセスの適正化、故障解析に役立てることができ、DNAドットの製造時チェックに大きく役立てる事ができた。
【0084】
<比較例1>(通常の走査電子顕微鏡による形態観察)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、日立製作所製S−3500Nを用いて行なった。この走査電子顕微鏡は、実施例2で観察を行なったXL30ESEMと同じWフィラメントを電子銃とする走査電子顕微鏡だが、環境制御型でなく、通常の高真空に引くタイプの走査電子顕微鏡である。観察条件として、加速電圧を15kVから0.7kVまでの範囲で変えて、観察を行なった。
【0085】
また、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡内には、脱ガスする試料は導入できないため、試料導入直前に試料の表面と裏面の両方について窒素ガスを吹き付けて乾燥し、更に真空デシケーター中で乾燥させた。このDNAチップを試料ホルダー表面にカーボンテープで固定し、上記走査電子顕微鏡内に導入した。
【0086】
(2)結果
上述のように加速電圧を15kVから0.7kVまでの範囲で変えて検討したが、チャージアップによる像障害がおさまらず、DNAチップ表面の観察をすることができなかった。
【0087】
<実施例3>(環境制御型走査電子顕微鏡による観察と観察後のハイブリダイゼーション)
(1)観察条件
実施例1で作製したDNAチップの形態観察を、実施例2で用いた日本FEI社製XL30ESEMを用いて行なった。観察条件は、加速電圧を15kVとし、導入ガスに純水を用い、試料温度5℃、真空度400Pa(=3.0Torr)と設定した。これにより、設定湿度を50%とした。
【0088】
試料の固定方法は実施例2と同じ方法を用いた。
【0089】
(2)結果
図4に実施例1で作製したDNAチップ上の検査用プローブを上記装置で上記条件に基づき観察し、得られた像を示す。実施例2と同様に実体顕微鏡や光学顕微鏡でも、通常の高真空タイプの走査電子顕微鏡でも観察することのできなかった、DNAチップ上のドットをはっきりと確認することができた。また、このことにより、製造時のドット抜けのチェックや、基板の濡れ性の変化による印字不均一のチェックを行なうことができた。
【0090】
また、この際、明るさとコントラストを変えずに、複数ドットについて観察を行い、それぞれの走査電子顕微鏡像の比較を行なうことにより、DNA溶液の濃度に非常に大きな差がある場合には像の色の変化が現れることを確認した。
【0091】
このように、環境制御型走査電子顕微鏡による製造時抜き取り検査を行なうことにより、製造プロセスの適正化、故障解析に役立てることができ、DNAドットの製造時チェックに大きく役立てる事ができた。
【0092】
(3)ハイブリダイゼーション
次に、上記環境制御型走査電子顕微鏡観察後に、観察したDNAチップを顕微鏡内より取り出し、試料ホルダーより取り外した後、再度、純水中に戻した。このDNAチップが観察後も機能消失していないかどうか、ハイブリダイゼーションさせて、確認した。
【0093】
ハイブリダイゼーションは下記のDNAを5nmol/Lの濃度で含む緩衝液2mLを用い、ハイブリパック中で行なった。
配列番号:2
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA 3’
【0094】
DNAチップを上記DNA含有緩衝液と共にハイブリパック中に封じ、恒温槽内で75℃まで加熱し、その後45℃まで冷却し、その状態で10時間放置した。
【0095】
次にDNAチップをハイブリパックから取り出し、ハイブリダイゼーション用の緩衝液で洗浄し、蛍光顕微鏡を用いて蛍光を観察した。使用した蛍光顕微鏡はECLIPSE E800(株式会社ニコン)と蛍光フィルタ(Y−2E/C)をセットしたものである。また、画像の取得はイメージインテンシファイヤー付きCCDカメラと画像処理装置を用いて行なった。
【0096】
この結果、観察、写真撮影を行なった検査用プローブ3のドットでは、蛍光強度が減少し、暗くなってしまったが、行なっていない核酸プローブ1のドットでは、全てのドットから蛍光が確認され、上記観察を行なうことによる、測定用プローブのハイブリダイゼーションへの影響はないと考えられた。
【0097】
即ち、環境制御型走査電子顕微鏡を用いた分析により、DNAチップの製造時分析ができた上、検査後もハイブリダイゼーションを行なうことができるため、抜き取り検査だけでなく、全数検査にも適用可能であることが示された。
【0098】
<実施例4>DNAチップ製造ラインへの適用
実施例2と同様の分析法で分析する検査工程を、DNAチップ製造ラインに適用した場合の実施例を以下に示す。
【0099】
図5は本発明の一実施例のDNAチップ製造方法を示すブロック図である。また、図6は本発明による一実施例のDNAチップ検査装置を示す図である。図5,6を参照しながら構成と動作について同時に説明する。
【0100】
図5,6において、DNAチップ製造ライン56から、基板を抜き取り、DNAチップ検査装置57に搬送し、まず、チップ格納ケース51へ該基板を収める。続いて、チップ格納ケース51へ格納したチップを1枚抜き取り、検査部52へ搬送する。検査部52は、環境制御型走査電子顕微鏡から構成され、電子銃61、レンズ67、温度可変試料ステージ64、導入ガス(不図示)、真空排気装置(不図示)等を有する。
【0101】
試料ステージは手動で動かしても、自動制御ステージとしても良く、製造ライン内に検査要員を置くことができれば、手動で良いが、自動制御ステージとして、チップ上の検査用プローブ位置を観察できるようステージ位置を指定しておけば、無人でも構わない。
【0102】
検査部では上記の何れかの方法で、指定した検査用プローブ位置にステージを移動し、チップ上のプローブ設置位置を観察、画像撮影を行なう。画像はナンバリングをした後記憶装置に記憶させる。
【0103】
その後、設計図と比較して、ドット径が異なっていないか、抜けがないか、余分な小滴が飛散していないか、重大な汚れがついていないか等について検査を行い、検査を終了する。
【0104】
検査済みのチップは、試料選別部53へ搬送される。検査工程において、チップに加工寸法の違い、位置ずれ、異物等の外観不良が検出された場合には、この不良品チップを試料選別部53から不良品格納ケース55に搬送し、チップ製造ライン56から摘出する。
【0105】
上記のように本実施例によれば、特定のDNAプローブをドットパターンとして有するDNAチップの、所望の領域を検査し、不良品と良品とをわけることができるため、一連のライン作業中の一工程としてのライン検査、即ちインライン検査が可能となる。
【0106】
また、検査用プローブを別途設けた本発明の核酸チップでは、ダメージの心配がない上、本実施例の検査は短時間で実施することが可能で、例えば検査用プローブとして、10×10ドットを設け、この検査用プローブドット全てを検査しても数分で終了するため、全数検査も可能である。
【0107】
【発明の効果】
本発明により基板上に単分子膜レベルで形成された核酸関連物質からなる、いわゆる核酸チップの製造過程、または製造後の検査過程で、プローブアレイの検査によるロスを最小限とし、かつ迅速に行なうことのできる分析方法を提供することが可能となった。
【0108】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の核酸チップ
【図2】本発明で用いる環境制御型走査電子顕微鏡の概略図
【図3】実施例2で撮影した走査電子顕微鏡像
【図4】実施例3で撮影した走査電子顕微鏡像
【図5】実施例4でDNA製造ラインに適用した際の流れを表す図
【図6】実施例4でDNA製造ラインに適用した際のDNAチップ検査装置の概略図
【符号の説明】
1:核酸プローブ
2:マーカー
3:検査用プローブ
21:電子銃
22、23:レンズ
24:差動排気部
25:分析チャンバー
26:試料ホルダー
27:試料
28:イオンポンプ
29:ターボ分子ポンプ
30:ロータリーポンプ
31:導入ガス
32:温度可変ステージ
51:チップ格納ケース
52:検査部
53:試料選別部
54:試料格納ケース
55:不良品格納ケース
56:DNAチップ製造ライン
57:DNAチップ検査装置
58:記憶装置
61:電子銃
62:試料
63:試料ホルダー
64:温度可変ステージ
65:二次電子検出器
66:モニター
67:レンズ
Claims (10)
- 基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された核酸チップが形成されている基板上の一部に、検査用の核酸プローブを有することを特徴とする核酸チップ基板。
- 前記検査用の核酸プローブが、マトリクス状に配置された核酸プローブの一部のプローブからなることを特徴とする請求項1に記載の核酸チップ基板。
- 前記検査用の核酸プローブの位置識別用マーカーが該検査用プローブの周囲に設けられていることを特徴とする請求項1〜2に記載の核酸チップ基板。
- 前記マーカーが、金属、金属化合物、カーボンよりなることを特徴とする請求項3に記載の核酸チップ基板。
- 基板表面に、複数の核酸関連物質がマトリクス状に配置された核酸チップの検査方法であって、該核酸チップの検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡により観察することを特徴とする、核酸チップの検査方法。
- 前記基板上に設けられたマーカーを位置標準として、前記検査用プローブを観察することを特徴とする請求項5記載の核酸チップの検査方法。
- 前記検査時の真空度が1.33〜2666Paであることを特徴とする請求項5〜6記載の検査方法。
- 前記検査時の加速電圧が5〜20kVであることを特徴とする請求項5〜7記載の検査方法。
- 前記検査時の湿度が8〜84%であることを特徴とする請求項5〜8記載の検査方法。
- 基板表面に、少なくとも複数の核酸をマトリクス状に配置する核酸チップの製造方法であって、複数の核酸をマトリクス状に配置する工程と、検査用の核酸プローブを配置する工程を有し、その後該核酸チップの検査用核酸プローブを環境制御型走査電子顕微鏡で観察し、該ドット形状の良否を判定して、良品のみを選別することを特徴とする核酸チップの製造方法。
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- 2002-06-28 JP JP2002190998A patent/JP2004037112A/ja active Pending
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