JP2004036406A - 可変動弁機構のセンサ異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】機関1の吸気弁2を駆動するカムシャフト6に可変バルブ機構9を設け、カムシャフトを軸線方向に移動させることにより吸気弁のバルブ開弁特性値を機関運転状態に応じて変更する。カムシャフトには、その軸線方向の移動量を測定することにより現在のバルブ開弁特性値を検出するバルブ特性値センサ16が設けられている。機関の電子制御ユニット(ECU)22は、エアフローメータ19で検出した新気流量と、機関吸気圧力と回転数とに基づいて算出した吸気量とに基づいて、機関の内部EGRガス量を算出するとともに、このガス量が、機関バルブ特性値に基づいて算出した内部EGRガス量と所定値以上差がある場合には、バルブ特性値センサに異常が生じたと判断する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバルブ開弁特性を変化させる可変動弁機構に関し、詳細には可変動弁機構により変更されるバルブ開弁特性の実際の値を機関運転中に検出するバルブ特性値センサの異常の有無を判断する可変動弁機構のセンサ異常検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転中に内燃機関の吸排気弁の一方もしくは両方の開弁特性を機関運転状態に応じて変化させ、運転状態にかかわらず常に最適な機関性能を得るようにする内燃機関の可変動弁機構が知られている。可変動弁機構としては、例えば吸排気弁のバルブ開閉時期(バルブタイミング)、バルブリフト量、バルブ開弁期間等の1つまたはそれ以上を機関運転状態に応じて制御するものが知られている。
【0003】
例えば、バルブタイミングを変化させる場合には、クランク軸に対するカム軸の相対的回転位相を油圧アクチュエータ等を用いて変化させる方法が用いられる。また、バルブリフト量、開弁期間などを変化させるためには、軸線方向にカムリフト、作用角等が連続的に変化するカムプロファイルを有するカムをカム軸上に設け、カム軸を油圧アクチュエータを用いて軸線方向に移動させることによりバルブリフト、開弁期間を変化させる方法などが用いられる。
【0004】
上記のような可変動弁機構を用いて機関運転中にバルブ開弁特性を機関運転状態に応じて変更するためには、機関のバルブ開弁特性の値を検出するバルブ特性値センサを設けて、このセンサにより検出した実際のバルブ開弁特性値が機関運転状態に応じた目標値になるようにフィードバック制御することが好ましい。
【0005】
ところが、このようなバルブ特性値センサを用いてバルブ開弁特性をフィードバック制御する場合、センサに異常が生じるとバルブ開弁特性を機関運転状態に応じて制御することができず、機関性能の悪化や排気性状の悪化を生じることになる。従って、バルブ特性値センサを用いて可変動弁機構を制御する場合にはセンサの異常を早期に検出することが必要となる。
【0006】
この種のバルブ特性値センサの異常を検出する装置の例としては、例えば特開2000−097096号公報に記載されたものがある。
【0007】
同公報のセンサ異常検出装置は、カムシャフトとクランクシャフトとの相対的回転位相を変化させることにより、吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変化させる可変バルブタイミング装置のバルブタイミングセンサの異常を検出するものである。
【0008】
気筒バルブを駆動するカムシャフトは、クランクシャフトから歯車やベルトなどを介して駆動され、クランクシャフトに同期して回転する。同公報の可変バルブタイミング装置は、クランクシャフトとカムシャフトとの回転の位相差を変化させることにより吸気弁または排気弁が開弁及び閉弁するクランク角を増減する手段を設け、機関のバルブ開閉タイミングが運転状態に応じて予め定めた最適値になるように制御するものである。
【0009】
同公報のバルブタイミングセンサは、クランクシャフトとカムシャフトとの両方に設けられた、それぞれ一定回転角毎にパルス信号を発生するセンサを備えている。また、これらのセンサはクランクシャフトとカムシャフトとがそれぞれ所定の回転位置になったときに基準位置信号を発生する。このため、クランクシャフトとカムシャフトとの基準位置信号の位相差を検出することにより、カムシャフトとクランクシャフトとの回転位相差、すなわちバルブタイミングを検出することができる。
【0010】
同公報の装置では、上記センサにより検出したバルブタイミングの値を用いて可変バルブタイミング装置をフィードバック制御している。このため、バルブタイミングセンサに異常が生じると最適なバルブタイミングが得られなくなり、機関出力や排気性状が悪化する問題が生じる。
【0011】
同公報の装置では、これを防止するためにクランクシャフトまたはカムシャフトの一方のセンサから出力される特定の回転パルス信号(例えば基準位置信号)間に他方のセンサから出力される回転パルス信号の回数を検出し、この回数が規定値外である場合にセンサに異常が生じたと判定している。
【0012】
すなわち、クランクシャフトとカムシャフトとの回転位相が変化しても、両方のシャフトが同期して回転している限り、一方(例えばクランクシャフト)が特定の回転角だけ回転する間に他方が回転する角度は同一である。同公報の装置は、この関係に着目してクランクシャフトまたはカムシャフトの一方のセンサから出力される特定の回転パルス信号の間に他方のセンサから出力される回転パルス信号の回数が規定値外であるときにセンサに異常が生じたと判定するようにしたものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2000−097096号公報のセンサ異常検出装置では、クランクシャフトとカムシャフトとの回転パルス信号との関係が規定外になったときに機関のバルブタイミングを検出するバルブタイミングセンサに異常が生じたと判定している。
【0014】
ところが、バルブタイミングセンサについては上記公報の方法でセンサ異常の有無を正確に検出することができるものの、他のバルブ開弁特性、例えばバルブリフト量または開弁期間を検出するセンサについては上記公報の方法ではセンサ異常の有無を検出することはできない。
本発明は上記問題に鑑み、可変動弁機構においてバルブリフト量、開弁期間などのバルブ開弁特性を検出するバルブ特性値センサの異常の有無を正確に検出可能な異常検出装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒バルブのバルブリフト量と開弁期間とのうち少なくとも1つを含むバルブ開弁特性を変化させる可変動弁機構のセンサ異常検出装置であって、機関運転中に前記バルブ特性の実際の値を検出するバルブ特性値センサと、機関に吸入される新気量を検出する吸入空気量検出手段と、前記センサ出力に基づいて、機関に実際に吸入される吸気量と該吸気量中に含まれるEGRガス量を算出する吸気量算出手段と、前記吸入空気量検出手段により検出した新気量と、前記吸気量算出手段により算出した吸気量とEGRガス量とに基づいて、前記バルブ特性値センサに異常が生じているか否かを判断する判定手段と、を備えた可変動弁機構のセンサ異常検出装置が提供される。
【0016】
すなわち請求項1の発明では、バルブリフト量または開弁期間のうち少なくとも一つを含むバルブ開弁特性の値を検出するバルブ特性値センサの異常の有無が判断される。バルブリフト量、開弁期間はともに各気筒内に実際に吸入される吸気の量に大きな影響を有する。例えば機関回転数と吸気管圧力が同一であれば、機関の実際の吸気量はバルブリフト量、開弁期間などのバルブ開弁特性に応じて変化する。このため、例えば機関回転数、吸気管圧力とバルブ開弁特性の値が判れば実際に気筒内に吸入される吸気量を算出することができる。
【0017】
また、実際に気筒内に吸入される吸気量は、内部EGRガス量と新気量との和となっている。ここで、内部EGRは気筒排気行程に吸気ポートに逆流した排気ガスが吸気行程で再度気筒内に吸入されるために生じ、内部EGRガス量は吸気管負圧とバルブ開弁特性値が判れば算出可能である。
また、内部EGRガス量は、実際に気筒内に吸入される吸気量から、気筒に吸入される新気の量を差し引くことによっても算出可能である。
【0018】
そこで、例えば吸気管負圧と機関回転数とバルブ開弁特性値とに基づいて実際の気筒吸気量を算出し、この気筒吸気量からエアフローメータ等を用いて検出された新気量を差し引くことによっても内部EGRガス量が算出される。
一方、内部EGRガス量は、上述したように吸気管負圧とバルブ開弁特性値とから直接算出可能である。
このため、気筒吸気量から新気量を差し引いて求めた内部EGRガス量と、吸気管負圧とバルブ開弁特性値とに基づいて直接算出した内部EGR量との間に所定値以上の差が生じる場合には、バルブ特性値センサで検出したバルブ開弁特性値が実際の値と異なる、すなわちバルブ特性値センサに異常が生じたと判断することができる。
【0019】
上述のように、本発明ではバルブ特性値センサ出力の値に基づいて、2種類のガス量(吸気量と内部EGR量)の計算を行い、その結果を比較することによりバルブ特性値センサの異常の異常の有無を判定している。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、アクチュエータにより駆動され、該アクチュエータの作動量に応じた量だけ、内燃機関の気筒バルブのバルブリフト量と開弁期間とのうち少なくとも1つを含むバルブ開弁特性を変化させる可変動弁機構のセンサ異常検出装置であって、機関運転中に前記バルブ特性の実際の値を検出するバルブ特性値センサと、前記アクチュエータの作動量を検出するアクチュエータ作動量センサと、前記アクチュエータ作動量センサの出力と、前記バルブ特性値センサの出力とに基づいて、前記バルブ特性値センサに異常が生じているか否かを判断する判定手段と、を備えた、可変動弁機構のセンサ異常検出装置が提供される。
【0021】
すなわち、請求項2の発明では、可変動弁機構は例えばステッパモータなどのアクチュエータにより駆動され、アクチュエータの作動量(例えばステッパモータの回転角)に応じた量だけバルブ開弁特性を変化させる。このため、アクチュエータ作動量とバルブ開弁特性との間には相関が生じている。
本発明ではアクチュエータの作動量を検出するアクチュエータ作動量センサが設けられているため、アクチュエータ作動量センサで検出したアクチュエータ作動量に基づいてバルブ開弁特性値を算出することができる。
【0022】
このため、例えばアクチュエータ作動量に基づいて算出したバルブ開弁特性値とバルブ特性値センサで検出したバルブ開弁特性値との間に所定以上の差が生じたような場合には、バルブ開弁特性センサに異常が生じたと判断することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の空燃比制御装置を自動車用4気筒ガソリン機関に適用した場合の概略構成図、図2は図1の機関の吸気系統の概略構成を示す模式図である。
【0024】
図1、図2において、1は内燃機関、8は機関1の気筒内に形成された燃焼室、2は吸気弁、3は排気弁をそれぞれ示している。本実施形態では、吸気弁2の駆動用カムシャフト6と排気弁駆動用カムシャフト7とが独立して設けられている、いわゆるDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)タイプの動弁系が採用されている。。図1、図2において、4はカムシャフト6に設けられた吸気弁駆動用カム、5はカムシャフト7に設けられた排気弁駆動用カムをそれぞれ示している。
【0025】
また、13はクランクシャフト、15は燃料噴射弁、17は機関回転数を検出する回転数センサである。また、図1、図2において、18は機関1の吸気管圧力を検出する吸気圧センサ16は機関全体の吸入空気量を検出するエアフローメータ、22はECU(電子制御装置)、50はシリンダ、52は吸気管、53はサージタンク、51はサージタンクと各気筒の吸気ポートとを接続する吸気マニホルドを示している。また、54は排気管、55は点火栓、56は独立したアクチュエータ(図示せず)を備え、後述するECU22からの制御信号に応じてアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)とは無関係に開度を変更可能なスロットル弁である。
【0026】
本実施形態においては、排気弁駆動用カム5はカムシャフト軸線方向に一様なカムプロファイルを有する通常のカムが用いられているのに対して、吸気弁駆動用カム4は、カムシャフト6の軸線方向に沿ってカムプロファイルが連続的に変化する形状とされている。
【0027】
図3は、吸気弁駆動用カム4の詳細形状を示す図である。図3に示すように、本実施形態の吸気弁カム4のカムプロファイルは、カムシャフト中心軸線方向に沿って変化しており、カムプロファイルのノーズ高さと作用角とは図3の右端から左端に向けて連続的に増大するようにカムプロファイルが設定されている。このため、吸気弁2のバルブリフト量と開弁期間とは、吸気弁2のバルブリフタのカム4との接触位置に応じて変化し、バルブリフタの接触位置がカムの右端から左端に移動するに従ってバルブリフト量は大きく、かつ吸気弁の開弁期間は長くなる。
【0028】
本実施形態では、可変動弁機構(以下、「可変バルブ機構9」と呼ぶ)を用いて機関運転中にカムシャフトを軸線方向に移動させることにより、吸気弁2のバルブリフト量と開弁期間等の開弁特性値を変化させることが可能となっている。すなわち、可変バルブ機構9を用いて、カムシャフト6を機関運転中に軸線方向にスライドさせることにより吸気弁カム4とバルブリフタとの接触位置を変化させ、吸気弁2の駆動に使用するカムプロファイルを変化させることが可能となっている。
【0029】
吸気弁2のバルブリフト量が増大すると、吸気弁の開弁期間が同一であっても気筒内に吸入される空気量が増大する。また、カムの作用角(吸気弁の開弁期間)が大きく(長く)なると、バルブリフト量が同一であっても気筒内に吸入される空気量は増大する。本明細書では、上記の吸気弁バルブリフト量、作用角(開弁期間)等のように気筒内吸入空気量に影響を与える吸気弁動作パラメータを開弁特性値と称している。
【0030】
図4は可変バルブ機構9の動作原理を示す断面図である。図4において、30は吸気弁用カムシャフト6に連結された磁性体、31は磁性体30を駆動するためのソレノイド、32は磁性体30を図4右側方向に向けて付勢するための圧縮ばねである。本実施形態の可変バルブ機構では、コイル31に通電が行われると磁性体30はばね32の付勢力に抗して図4左方向に移動し、吸気弁2のバルブリフタとカム4との接触位置はカムシャフト軸線方向に変位する。磁性体30の移動量はソレノイド31への通電電流に応じて変化するため、本実施形態では、ソレノイド31への通電電流を制御することにより吸気弁2のバルブリフタとカム4との接触位置、すなわち吸気弁2の開弁特性値を制御することが可能となっている。本実施形態では、ソレノイド31への通電電流が増大するに従って、カムシャフト6は図3、図4において左側方向に移動し、吸気弁2のバルブリフト量と開弁期間とが減少する。このため、本実施形態では、ソレノイド31に通電していない状態で機関1の各気筒の吸入空気量は最大になり、通電電流が増大するにつれて各気筒の吸入空気量は減少する。
【0031】
図1に16で示すのは、吸気弁2の開弁特性値(バルブリフト量、開弁期間)を検出するバルブ特性値センサである。前述したように、本実施形態では吸気弁2の開弁特性値はカムシャフト6の軸線方向移動量に応じて変化するため、カムシャフト6の軸線方向位置が定れば吸気弁2の開弁特性値も決定される。このため、本実施形態ではバルブ特性値センサ16としては、吸気弁カムシャフト6の軸線方向位置(移動量)を検出する軸位置センサが用いられ、ECU22はバルブ特性値センサ16で検出したカムシャフト軸線方向位置を用いて、予め記憶した関係に基づいて吸気弁2のバルブリフト量、開弁期間などの開弁特性値を算出している。
【0032】
本実施形態では、ECU22は、RAM、ROM、CPUを双方向バスで接続した公知のタイプのマイクロコンピュータとされており、上記バルブ特性値センサ16出力から算出した開弁特性値が、機関運転状態に応じて定められる最適な値になるように可変バルブ機構9を制御している他、後述するバルブ特性値センサ16の異常の有無を判定している。
【0033】
次に、本実施形態のバルブ特性値センサ16の異常判定について説明する。
前述したように、ECU22はバルブ特性値センサ16出力(カムシャフトの軸方向位置)に基づいて機関のバルブ開弁特性値をフィードバック制御している。このため、バルブ特性値センサ16に異常が生じ、センサ出力が実際の開弁特性値(本実施形態ではカムシャフトの軸線方向位置)に対応しなくなると、バルブ開弁特性値を機関運転状態に応じた最適値に制御できなくなり、機関出力や排気性状の悪化が生じる。
【0034】
本実施形態では、ECU22は以下に説明する方法でバルブ特性値センサ16が出力に異常を生じているか否かを判定し、異常が生じた場合には運転者に警告を行うことにより、センサに異常が生じた状態で機関が長期間運転されることを防止している。
図5は、本実施形態のセンサ異常判定操作を具体的に説明するフローチャートである。本操作は、ECU22により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
【0035】
図5において操作がスタートすると、ステップ501ではエアフローメータ19から現在の機関吸入空気量(新気量)Gamと、回転数センサ17から機関回転数Neとが、また、吸気圧センサ18から吸気管圧力Pmが、それぞれ読み込まれるとともに、バルブ特性値センサ16から現在のバルブ特性値(カムシャフト軸線方向位置)VLが、読み込まれる。
【0036】
そして、ステップ503では、読み込んだ機関回転数Neと吸気管圧力Pmとから予めECU22のROMに記憶した関係を用いて実際に機関に吸入される吸気量Gaを算出する。機関の気筒に実際に吸入される吸気量は、新気量と内部EGR量との和となり、機関回転数Neと吸気管圧力Pmとの関数となる。本実施形態では、予め実験により吸気量GaとNe、Pmとの関係を求め、数値テーブル等の形でECU22のROMに格納してあり、ステップ503では、このテーブルから吸気量Gaの値を読み出す。
【0037】
また、ステップ505ではステップ503でPmとNeとに基づいて算出した吸気量Gaと、エアフローメータ19で検出した新気量Gamとを用いて、判定用の内部EGR量計算値Gegr1が、Gegr1=Ga−Gamとして算出される。
更に、ステップ507では、バルブ特性値センサ16で検出したバルブ開弁特性値VLと吸気管圧力Pm、機関回転数Neとから、第2の判定用内部EGR量Gegr2が算出される。
【0038】
例えばバルブ開弁特性値が大きい(本実施形態ではバルブリフト量が大きく、開弁期間が長い)場合には、小さい場合に較べて排気行程中に吸気ポートに逆流する既燃ガス量が多くなるため、内部EGR量は増大する。また、吸気管圧力Pmは低ければ低いほど吸気ポートに逆流する既燃ガス量が増大する。このため、内部EGR量はバルブリフト特性値と吸気管圧力と機関回転数とが定まれば一義的に定まる。本実施形態では、予め実験により内部EGR量とVL、Pm、Neとの関係を実権により求めてあり、ECU30のROMに数値テーブルの形で格納してある。ステップ507では、この数値マップから内部EGR量が読み出され、Gegr2として記憶される。
【0039】
ところで、ステップ505で算出した第1の内部EGR量Gegr1と、ステップ507で算出した第2の内部EGR量Gegr2とは、本来同一の値になるはずであり、これらの値にある程度以上の差が生じている場合には、Gegr2の算出の基礎となったバルブ特性値センサ16出力(またはGegr1の算出の基礎となった吸気管圧力、回転数、エアフローメータで検出した新気量のいずれか)が誤っているためであると考えられる。しかし、実際には吸気管圧力や機関回転数、エアフローメータ出力などは別途異常判定が行われているため、ここではこれらの機器は正常であると仮定し、Gegr1とGegr2との間に差が生じている場合には、バルブ特性値センサ16に何らかの異常が生じたと判断する。
【0040】
すなわち、ステップ509では、Gegr1とGegr2との間に所定値K1以上の差が生じているか否かを判断し、|Gegr1−GEGR2|>K1であった場合にはステップ511に進み、フラグXFの値を1にセットして今回の操作を終了する。
【0041】
ここで、フラグXFの値が1(異常)にセットされると、ECU22により別途実行される図示しない操作により、運転席近傍に配置した警告灯が点灯され、運転者にバルブ特性値センサ16に異常が生じたことが報知される。また、ステップ509で|Gegr1−GEGR2|≦K1であった場合には、すなわち、今回の判定操作ではバルブ特性値センサ16には異常が生じていないと判断できるため、ステップ513でフラグXFの値を0にリセットして操作を終了する。
【0042】
上述のように、図5の判定操作を実行することにより、バルブ特性値センサ16の異常を簡易かつ確実に判定することができるため、バルブ特性値センサ16の異常を早期に発見することが可能となる。
なお、本実施形態では、バルブ特性値センサ16の出力VLに基づいて算出した内部EGRガス量Gegr2を用いてセンサの異常有無の判定を行っているが、内部EGRガス量の代わりに、バルブ特性値センサ16出力VLに基づいて新気量Galを算出することによってもセンサの異常判定を行うことができる。
【0043】
すなわち、機関に吸入される新気の量は、機関回転数Ne、スロットル弁56開度THとバルブ特性値VLの関数となっている。従って、予め実験等により、機関に吸入される新気量とNe、TH、VLとの関係を求めておき、この関係を用いてバルブ特性値センサ16出力とNe、THとに基づいて機関の吸入空気量(新気量)Galを算出し、エアフローメータ19で実際に検出した新気量Gamと計算値Galとの差が所定以上であったときに、バルブ特性値センサ16に異常が生じたと判定するようにすることもできる。
【0044】
また、更に、例えば機関始動時のイグニッションスイッチがオンにされたとき、または機関停止直後に可変バルブ機構9を駆動して、カムシャフトをバルブ開弁特性値が最大になる位置(フルストローク位置)に移動させ、フルストローク位置におけるバルブ特性値センサ16出力が、予め記憶したフルストローク位置における出力に合致するか否かにより、バルブ特性値センサの異常の有無を判定するようにすることも可能である。
【0045】
次に図6を用いて本発明の別の実施形態について説明する。
図6は、可変バルブ機構9のアクチュエータとして電気モータ(例えばステッパモータ等)を用いた場合の装置主要部構成概略を示す図である。
【0046】
図6において、6はカムシャフトを示す。本実施形態では、カムシャフト6はボールねじ機構61とギヤ63とを介してステッパモータ65に接続されている。ボールねじ機構61は、カムシャフト6を回転自在に指示するとともに、ギヤ63を介して伝達されるモータ65の回転運動に応じて軸線方向に移動するスリーブ61aを備えている。
【0047】
機関運転中ステッパモータ65は、ECU22から送信される駆動パルス信号を受けて、信号に応じた角度だけ回転する。この回転はギヤ63を介して、ボールねじ機構61のハウジング61bに伝えられる。ボールねじ機構61のスリーブ61aは、ハウジング61bとボールねじ61cを介して係合している。このため、ボールねじ機構61のハウジング61bが回転すると、スリーブ61aはカムシャフト6を回転自在に支持したままカムシャフトとともに軸線方向に移動する。
【0048】
本実施形態では、スリーブ61aの端部にはバルブ特性値センサ16の磁性体コア16aが接続されている。また、コア16a周囲には検出コイル16bが配置されている。コア16aがカムシャフトとともに移動すると、コア16aのコイル16b内の没入長さが変化する。これにより、コイル16bにはコア16aの没入長さに応じた電圧が発生する。コア16aの没入長さ、すなわちカム軸の移動量は、バルブ特性値と1対1の関係を持っているため、コイル16aに発生する電圧によりバルブ特性値を検出することが可能となる。
【0049】
本実施形態では、バルブ特性値センサ16に加えて、ステッパモータ65にはモータ65の回転角を検出する回転角センサ67が設けられている。本実施形態の回転角センサ67は、一定回転角毎にパルス信号を発生するパルス式等の形式のものが用いられ、回転角センサ67がある基準位置にあるときから現在までのパルス数を積算することにより、現在位置の基準位置からの回転角度を知ることができる。
【0050】
通常、モータ65とボールねじ機構61のハウジング61bとを接続するギヤ63はギヤ比の大きなものを使用するため、バルブ開弁特性値が最小になる位置から最大になる位置までボールねじ機構のハウジング61bを回転させるためにはモータ65は1回転(360°)以上回転することになるが、本実施形態では上述したように、パルスカウント式の回転角センサ67を使用しているため、正確にモータ65の回転角を検出することが可能となっている。
【0051】
本実施形態では、機関運転中に以下の手順でバルブ特性値センサ16の異常の有無を判定する。
(1)基準位置学習
まず、機関始動開始前のイグニッションスイッチがオンになったときに、ECU22は可変バルブ機構9をカムシャフトが図6で最も右方向に移動する位置(本実施形態ではバルブ特性値が最大になる位置)に移動させ、この位置を回転角センサ67とバルブ特性値センサ16の基準位置として記憶する。
【0052】
(2)回転角パルス積算
ECU22は、機関始動後回転角センサ67出力パルスの積算(回転方向に応じて加算または減算)を行う。この積算値は、常にモータの現在の回転位置(回転角)を表すようになる。
【0053】
(3)異常判定
ECU22は、一定時間毎に回転角センサ67出力パルス積算値から現在のバルブ特性値(カムシャフトの軸線方向位置)を算出するとともに、バルブ特性値センサで検出した現在のバルブ特性値との比較を行う。回転角センサ67出力パルス積算値から算出した現在のバルブ特性値とバルブ特性値センサ16で検出した現在のバルブ特性値との間に所定値以上の差が生じている場合には、バルブ特性値センサ16に異常が生じたと判定する。
【0054】
なお、この場合、例えばボールねじ機構の噛み合い異常やギヤの異常などセンサ16以外の要素に異常が生じた場合もセンサ16出力に異常が生じるため、これらの異常についても正確に検出することができる。
【0055】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、可変バルブ機構においてバルブリフト量、開弁期間などのバルブ開弁特性を検出するバルブ特性値センサの異常の有無を機関運転中に正確に検出することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ガソリン機関に適用した実施形態の概略構成図である。
【図2】図1の機関の吸気系統の概略構成を示す模式図である。
【図3】吸気弁駆動用カムの詳細形状を示す図である。
【図4】可変バルブ機構の動作原理を示す断面図である。
【図5】センサ異常判定操作の一例を説明するフローチャートである。
【図6】可変バルブ機構の図4とは別の実施形態の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…吸気弁
3…排気弁
4,5…カム
6,7…カムシャフト
8…燃焼室
9…可変バルブ機構
16…バルブ特性値センサ
22…電子制御ユニット(ECU)
Claims (2)
- 内燃機関の気筒バルブのバルブリフト量と開弁期間とのうち少なくとも1つを含むバルブ開弁特性を変化させる可変動弁機構のセンサ異常検出装置であって、
機関運転中に前記バルブ特性の実際の値を検出するバルブ特性値センサと、
機関に吸入される新気量を検出する吸入空気量検出手段と、
前記センサ出力に基づいて、機関に実際に吸入される吸気量と該吸気量中に含まれるEGRガス量を算出する吸気量算出手段と、
前記吸入空気量検出手段により検出した新気量と、前記吸気量算出手段により算出した吸気量とEGRガス量とに基づいて、前記バルブ特性値センサに異常が生じているか否かを判断する判定手段と、
を備えた可変動弁機構のセンサ異常検出装置。 - アクチュエータにより駆動され、該アクチュエータの作動量に応じた量だけ、内燃機関の気筒バルブのバルブリフト量と開弁期間とのうち少なくとも1つを含むバルブ開弁特性を変化させる可変動弁機構のセンサ異常検出装置であって、
機関運転中に前記バルブ特性の実際の値を検出するバルブ特性値センサと、
前記アクチュエータの作動量を検出するアクチュエータ作動量センサと、
前記アクチュエータ作動量センサの出力と、前記バルブ特性値センサの出力とに基づいて、前記バルブ特性値センサに異常が生じているか否かを判断する判定手段と、
を備えた、可変動弁機構のセンサ異常検出装置。
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