JP2004036217A - 透水性ブロック材及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間の使用によっても優れた透水性を持続することができる透水性ブロック材を提供することを目的とする。また、あわせて、廃棄物を有効利用した透水性ブロック材の製法を提供する。
【解決手段】ブロック本体11内部に表面12側の小穴部15から裏面13側の大穴部16に至る貫通部20が形成されてなる。また、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型してブロック体30を得、前記ブロック体に対してその裏面側から貫通部形成部材50を圧接して表面側の小穴部35から裏面側の大穴部36に至る貫通部40を形成し、その後焼成することなく、乾燥することを特徴とする透水性ブロック材の製法によりなる。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は透水性ブロック材及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、駐車場や庭園又は歩道等の舗装材として、れんが調のブロック材(インターロック材)が敷設される。近年では、表面の水はけがよい透水性のあるブロック材が好まれている。
【0003】
従来の透水性ブロック材としては、例えばブロック材に貫通孔を形成してブロック材上面の水を裏面側に透過する構造のものが知られている。しかしながら、この貫通孔を設けたブロック材にあっては、貫通孔内部に砂や小石が入り込み、長期間の使用とともに貫通孔が塞がれてしまい、ブロック材上面の水はけ性が著しく低下するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような問題点に鑑みなされたものであって、長期間の使用によっても優れた透水性を持続することができる透水性ブロック材を提供することを目的とする。また、あわせて、廃棄物を有効利用した透水性ブロック材の製法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、ブロック本体内部に表面側の小穴部から裏面側の大穴部に至る貫通部が形成されてなることを特徴とする透水性ブロック材に係る。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記貫通部がテーパ状穴部よりなる請求項1に記載の透水性ブロック材に係る。
【0007】
請求項3の発明は、前記貫通部が小穴貫通部と大穴貫通部よりなる請求項1に記載の透水性ブロック材に係る。
【0008】
請求項4の発明は、前記ブロック本体の表面側の小穴部が1ないし2mmの径に形成された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透水性ブロック材に係る。
【0009】
請求項5の発明は、前記ブロック本体が、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型して、焼成することなく、乾燥してなるブロック体よりなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の透水性ブロック材に係る。
【0010】
請求項6の発明は、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型してブロック体を得、前記ブロック体に対してその裏面側から貫通部形成部材を圧接して表面側の小穴部から裏面側の大穴部に至る貫通部を形成し、その後焼成することなく、乾燥することを特徴とする透水性ブロック材の製法に係る。
【0011】
さらに、請求項7の発明は、前記廃棄泥土が、砂利採取工程等で排出される汚泥水から泥土分を沈殿させこれを締め固めたケーキ状廃棄泥土である請求項6に記載の透水性ブロック材の製法に係る。
【0012】
さらにまた、請求項8の発明は、前記廃棄細粒物が、焼却灰等の燃え殻、無機性汚泥、廃プラスチック類、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、ダスト類のうちのいずれかを単独で又は組み合わせて含むものである請求項6又は7に記載の透水性ブロック材の製法に係る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明の一実施例を示す透水性ブロックの斜視図、図2はその要部の断面図、図3は他の実施例の透水性ブロックの要部の断面図、図4はさらに別の実施例を表す透水性ブロックの要部の断面図、図5は透水性ブロックの製法の一例を示す工程図、図6は貫通部の形成工程を表す要部の断面図である。
【0014】
図1の斜視図及びその断面図である図2に示すように、この発明の透水性ブロック材10は、ブロック本体11内部に表面12側の小穴部15から裏面13側の大穴部16に至る貫通部20が形成されてなることを特徴とする。表面側12の小穴部15は貫通部20内へ大きな砂利等の侵入を防止する。一方、裏面13側の大穴部16は、前記小穴部15より貫通部20内に侵入した小さな砂利等が貫通部20内に詰まり堆積することを防止する。これによって、貫通部20が砂利等によって塞がれることなく、長期に亘ってブロック材10の表面12の水はけ性を確保することができる。図1の符号19は目地合わせ用のリブである。
【0015】
図示の透水性ブロック材10の大きさは、縦200mm、横100mm、高さ60mmのれんが状の直方形状に形成されたもので、8つの貫通部20が設けられている。形状については、特に限定されるものではなく、組合せ可能なインターロッキング材としてもよい。また、貫通部20の位置や数も適宜なものとすることができる。
【0016】
貫通部20は、図1及び図2に示しかつ請求項2の発明として規定するように、テーパ状穴部21とすることが製作上も便宜である(なお、後述する製法の実施例参照)。このテーパ状穴部21は、表面12側の小穴部15から裏面13側の大穴部16へ順次テーパ状に広がる貫通部20である。貫通部20の形状としては、このほかに、図3及び図4のブロック体10A,10Bとして示しかつ請求項3の発明として規定したように、小穴貫通部22と大穴貫通部23よりなるものとしてもよい。いずれにしろ、大きな砂利等の侵入を防止する表面側12の小穴部15と、侵入した小さな砂利等を内部に堆積させない大穴部16を構成するための貫通部20であればよい。なお、図において共通する符号は同一の構成を表す。
【0017】
上の目的をよりよく達成するためには、請求項4の発明としても規定したように、前記ブロック本体11の表面12側の小穴部15は、1ないし2mmの径に形成することが好ましくすすめられる。これによって、詰まりの原因になりやすい小石等が貫通部20に侵入しにくく、透水性が十分に確保できる。加えて、ブロック表面12側の小穴部15はほとんど目立たず外観が良好になる。ちなみに、裏面13側の大穴部16は4mm程度で十分である。
【0018】
この実施例の透水性ブロック材10(10A,10B)は、請求項5の発明として規定したように、前記ブロック本体11が、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型して、焼成することなく、乾燥してなるブロック体よりなる。以下、請求項6の発明である製法とともに、詳しく説明する。
【0019】
請求項6の発明に規定する透水性ブロック材の製法は、図5の工程図に図示したように、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型してブロック体を得、前記ブロック体に対してその裏面側から貫通部形成部材を圧接して表面側の小穴部から裏面側の大穴部に至る貫通部を形成し、その後焼成することなく、乾燥することを特徴とする。
【0020】
すなわち、この発明製法は、主原料として、廃棄泥土及び廃棄細粒物を用いる。廃棄泥土は、砂利採取工程等で排出される産業廃棄物であり、望ましくは、請求項7の発明として規定したように、砂利採取工程等で排出される汚泥水から泥土分を沈殿させこれを締め固めたケーキ状廃棄泥土である。この廃棄泥土は、この種ブロック材の基本原料となるもので、他の主原料のバインダ的機能を果たし、成型時の流動性を増し、より緻密な成型体の形成に寄与する。この廃棄泥土は、主原料のうちの10ないし50重量部程度用いられることが好ましい。
【0021】
また、廃棄細粒物は、請求項8の発明として規定したように、焼却灰等の燃え殻、無機性汚泥(前記した廃棄泥土以外のもの)、廃プラスチック類、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、ダスト類のうちのいずれかを単独で又は組み合わせて含むものが使用される。焼却灰等の燃え殻は、汚泥処理場で排出される下水道汚泥焼却灰やペーパースラッジ(PS)焼却灰である。無機性汚泥としては、前記した廃棄泥土も含まれるが、このほかに、建設発生土、窯業廃土(粘土くず)、メッキ汚泥、浄水場沈殿汚泥、釉薬汚泥(釉薬かす)、赤泥などがある。廃プラスチック類としては、プラスチック製造工場から排出される例えばFRP粉砕くずが挙げられる。ガラスくず及び陶磁器くずとしては、ガラスカレット(ガラス粉)、陶磁器粉砕くず、廃石膏(石膏くず)、砥石汚泥(砥石くず)、保温材くず等がある。鉱さいとしては、水滓スラグ(キュポラ溶鉱炉のノロ)、鋳物ダスト(鋳物廃砂)、珪藻汚泥(ケイソウ土)がある。ダスト類としては、火力発電所から排出されるフライアッシュ(微炭燃焼集塵ダスト)、石炭灰等が挙げられる。
【0022】
上の廃棄泥土や廃棄細粒物は従来埋め立て以外にほとんど利用法がなかったのであるが、この発明のブロック材の主原料とし有効に利用することができる。次にこれらを、その配合割合とともにまとめた表を示す。
【0023】
【表1】
Figure 2004036217
【0024】
次に、実施例における主原料及び他の原料との配合を示す。
Figure 2004036217
【0025】
ブロック材の製造に際しては、図5のフローチャートに示すように、まず前記主原料である廃棄泥土及び廃棄細粒物の混合物に硬化剤を添加して混練機によって混練する。硬化剤としては本出願人の製造に係る無機非金属系の急硬剤「ERU−1」のほか、市販の無機金属元素を含む多機能性硬化剤(例えば商品名「ネオアクトロン」)を使用することができる。混練機による混練は、原料を破砕脱気し含水量及び質を均一にするために行われる。さらに実施例のように、ロールクラッシャーを使用して、板状に練り込んで良質な土状の原料にする。
【0026】
混練された原料は計量の後、前記所定量のセメントが加えられる。セメントが加えられた原料は圧力混練機により混練及び圧縮される。なお、圧力混練機で混練される前に、前記原料には適宜水分が加えられる。
【0027】
セメントと十分に混練された原料は、次いで、真空押出機に導入され、ここで真空吸引により脱気しつつ押出成型して所定のブロック成型物とされる。この真空吸引による脱気は、密度の高い圧縮強度の大きい固形物とするために特に重要である。実施例では、この脱気押出成型のために、タイル成型品成形用の真空押出機(例えば高浜工業株式会社の商品名「カジセキ SSE−330」)を用いている。
【0028】
続いて図6各図に示すように、上記工程で得られた成型物であるブロック体30に貫通部40が形成される。ブロック体30に対してその裏面32側から貫通部形成部材50を圧接して、表面31側の小穴部35から裏面側の大穴部36に至る貫通部40が形成される。符号51は貫通部形成部材50のベース、52はテーパ状のピン、53はバネ、54は下板、55は下板の透孔、56は軟質材よりなる上板である。図のように、ブロック体30に対してその裏面32側から貫通部形成部材50を圧接して貫通部40を形成する場合には、ブロック体30の表面が圧迫されずに表面の損傷を防ぐことができるとともに、表面の成型状態を視認しつつ貫通部形成ができる利点がある。この段階で成型不良が発見されれば、再度混練混合工程に戻せばよい。
【0029】
貫通部40が形成されたブロック体30は、その後焼成することなく、乾燥して製品とされる。
【0030】
このように製造されたブロック体30は、真空押出機による真空吸引によって脱気しつつ押出成型することにより、真空吸引による脱気をすることなく押出成型したものに比して、その圧縮強度が約3倍程度増大することが解っている。ちなみに、発明製法の押出し成型品サンプル1,2,3の平均圧縮強度は36.9で、これに対して同一原料を真空吸引による脱気をすることなく押出成型した対比品サンプル4,5,6の平均圧縮強度は13.2であった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の透水性ブロック材によれば、ブロック本体内部に、大きな砂利等の侵入を防止する表面側の小穴部と、侵入した小さな砂利等を内部に堆積させない大穴部からなる貫通部を設けたものであるから、貫通部が塞がれるおそれは解消し、長期間の使用によっても優れた透水性を持続することができるようになった。
【0032】
また、あわせて、この発明にあっては、従来埋め立て以外にほとんど利用法がなかった各種の廃棄物をブロック材の主原料とし有効に利用することができ、地球環境汚染が大きな社会問題となっている昨今の資源の有効活用に大きく貢献することができる。
【0033】
しかも、この発明製法は、簡略で大量生産が簡単に行うことができ、かつ焼成工程がない(無焼成)ので、地球温暖化となる二酸化炭素も排出することもなく、その上、大変経済的でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す透水性ブロックの斜視図である。
【図2】その要部の断面図である。
【図3】他の実施例の透水性ブロックの要部の断面図である。
【図4】さらに別の実施例を表す透水性ブロックの要部の断面図である。
【図5】透水性ブロックの製法の一例を示す工程図である。
【図6】貫通部の形成工程を表す要部の断面図である。
【符号の説明】
10 透水性ブロック
11 ブロック本体
12 ブロック表面
13 ブロック裏面
15 小穴部
16 大穴部
20 貫通部
21 テーパ状穴部
22 小穴貫通部
23 大穴貫通部
30 ブロック体
40 貫通部
50 貫通部形成部材

Claims (8)

  1. ブロック本体内部に表面側の小穴部から裏面側の大穴部に至る貫通部が形成されてなることを特徴とする透水性ブロック材。
  2. 前記貫通部がテーパ状穴部よりなる請求項1に記載の透水性ブロック材。
  3. 前記貫通部が小穴貫通部と大穴貫通部よりなる請求項1に記載の透水性ブロック材。
  4. 前記ブロック本体の表面側の小穴部が1ないし2mmの径に形成された請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透水性ブロック材。
  5. 前記ブロック本体が、廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型して、焼成することなく、乾燥してなるブロック体よりなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の透水性ブロック材。
  6. 廃棄泥土及び廃棄細粒物を主原料とし、これにセメント及び硬化剤ならびに必要な水分を混合、混練し、この混合物を真空吸引によって脱気しつつ押出成型してブロック体を得、前記ブロック体に対してその裏面側から貫通部形成部材を圧接して表面側の小穴部から裏面側の大穴部に至る貫通部を形成し、その後焼成することなく、乾燥することを特徴とする透水性ブロック材の製法。
  7. 前記廃棄泥土が、砂利採取工程等で排出される汚泥水から泥土分を沈殿させこれを締め固めたケーキ状廃棄泥土である請求項6に記載の透水性ブロック材の製法。
  8. 前記廃棄細粒物が、焼却灰等の燃え殻、無機性汚泥、廃プラスチック類、ガラスくず及び陶磁器くず、鉱さい、ダスト類のうちのいずれかを単独で又は組み合わせて含むものである請求項6又は7に記載の透水性ブロック材の製法。
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