JP2004036040A - 制電性織編物及び防塵衣 - Google Patents

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Minoru Fujii
藤井 実
Michinori Yamana
山名 道則
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Abstract

【課題】アルカリ条件下に曝された場合においても優れた制電性を持続することのできる、対アルカリ耐久性に優れた制電性織編物及び防塵衣を提供することにある。
【解決手段】導電性繊維を用いてなる制電性織編物であって、導電性繊維は、その単フィラメントの横断面において、導電性微粒子が熱可塑性ポリマー中に含有されてなる導電性ポリマー部1と、導電性微粒子が実質的に含まれない非導電性ポリマー部2とを有し、導電性ポリマー部1が単フィラメント表面の少なくとも一部に露出しており、導電性ポリマー部1の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部2の耐アルカリ性に比して少なくとも同等以上であることを特徴とする制電性織編物。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制電性織編物及び防塵衣に関するものであり、詳しくは、アルカリ条件下に曝された場合においても優れた制電性を持続することのできる、アルカリ耐久性に優れた制電性織編物及び防塵衣に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般用や産業用の衣料等に広く用いられるポリアミド系、ポリエステル系、アクリル系繊維等の汎用合成繊維からなる織編物において、低湿度下での静電気の発生が大きな問題となる場合があり、従来から種々の制電性織編物が提案されてきた。例えば、アクリル酸エステル誘導体やポリアルキレングリコールなどの親水性の化合物を織編物に後加工によって付着させるいわゆる帯電防止加工が一般衣料用途で多用されている。しかしこの方法では、洗濯耐久性が低かったり、一般向け衣料はともかく、産業用衣料、特に近年需要の多い精密電子産業のクリーンルーム用等では、帯電防止加工薬剤が汚染源(発塵源)となるため使用が制限されるという問題があった。
【0003】
この問題を解決するために、昨今では、導電性微粒子が熱可塑性ポリマーに練り込まれた導電性ポリマー部と導電性微粒子を含まない非導電性ポリマー部からなる概ね電気抵抗値が10〜10Ω/cmの導電性繊維を用いた制電性織編物が利用されるようになった。このような導電性繊維を使用した制電性織編物は、帯電防止加工を施した織編物のように汚染源となる薬剤を使用しないことに加えて、除電機構が異なり、コロナ放電を利用した除電機構であるため湿度環境に左右されることなく優れた制電性を発揮する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
制電性織編物には、耐薬品性、特にアルカリに対する耐久性が要求される場合がある。例えば、アルカリ薬品を使用する環境下での作業衣に用いる場合や、洗濯されるときの洗濯浴がpH11 ̄12程度のアルカリ性である場合などが挙げられる。このような条件下に曝されることのある制電性織編物には、織編物の機械的特性のみならず制電性の面でアルカリに対する耐久性を持つこと、すなわちアルカリ条件下に曝されることがあっても、制電性が良好に維持されることが非常に重要である。
【0005】
したがって、本発明の課題は、アルカリ条件下に曝された場合においても優れた制電性を持続することのできる、アルカリ耐久性に優れた制電性織編物及び防塵衣を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく制電性織編物について鋭意検討した結果、制電性織編物に使用する導電性繊維の構成において、導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部の耐アルカリ性に着目し、導電性ポリマー部の耐アルカリ性を非導電性ポリマー部のそれと同等以上にすることにより、アルカリによって制電性が損なわれるのを防ぐことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、導電性繊維を用いてなる制電性織編物であって、導電性繊維は、その単フィラメントの横断面において、導電性微粒子が熱可塑性ポリマー中に含有されてなる導電性ポリマー部と、導電性微粒子が実質的に含まれない非導電性ポリマー部とを有し、導電性ポリマー部が単フィラメント表面の少なくとも一部に露出しており、導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性に比して少なくとも同等以上であることを特徴とする制電性織編物にある。本発明の要旨は、また、上記の制電性織編物を用いてなる防塵衣にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の制電性織編物は、導電性繊維を用いてなる織編物であり、本発明に用いられる導電性繊維は、導電性ポリマー部と、非導電性ポリマー部とを有してなるものである。
【0009】
導電性繊維における導電性ポリマー部としては、熱可塑性ポリマー中に導電性微粒子が含有されてなるものであり、通常は熱可塑性ポリマー中に導電性微粒子を練り込んだものを使用することができる。
本発明で用いることができる導電性微粒子としては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等の導電性カーボンブラックや金属単体もしくは金属化合物からなる微粒子を用いることができる。金属単体としては、銀、ニッケル、銅、鉄、錫等が挙げられ、金属化合物としては、硫化銅、硫化亜鉛、沃化同等が挙げられ、また、酸化錫に酸化アンチモンを添加したもの、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを添加したものや酸化チタンに酸化錫をコーティングし酸化アンチモンを混合焼成したもの等も用いることができる。
導電性微粒子の平均粒径としては、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。平均粒径が1.0μmを超えるとポリマー中での分散性が悪くなって導電性繊維の導電性能や強伸度特性が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0010】
導電性微粒子の比抵抗値としては、1×10Ω・cm以下が好ましく、1×10Ω・cm以下がより好ましい。比抵抗値が1×10Ω・cmを超えるものを用いると、繊維の導電性を得るためにポリマー中に大量に分散させねばならなくなり、繊維物性や製糸性を低下させるので好ましくない。
導電性ポリマー部における導電性微粒子の含有量としては、導電性微粒子の種類や要求特性に応じて適宜選択することができるが、通常5〜50質量%程度が好ましい。5質量%未満では導電性が発現し難く、一方、50質量%を超えるとポリマーの成形性が損なわれる傾向にあるので好ましくない。例えば導電性カーボンブラックを20質量%前後含有した導電性ポリマー部を、繊維質量に対して10〜30質量%配することによって、電気抵抗値が10Ω/cmオーダー程度の導電性を示す導電性繊維を得ることができる。
【0011】
他方、非導電性ポリマー部とは、実質的に導電性微粒子を含まない熱可塑性ポリマーからなるものであり、それのみで繊維を形成した場合には電気抵抗値が1013Ω/cmオーダー以上となるようなものをいう。
【0012】
本発明における導電性繊維は、導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部との複合構造からなるものである。複合構造とする利点について説明すると、導電性ポリマー部のみで繊維を形成した場合には、繊維物性の低下、原料コストの上昇、さらには布帛製造プロセスにおけるガイド・ローラーの摩耗というような問題がある。したがって、本発明のように複合構造とすることにより、それらの問題を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明における導電性繊維としては、短繊維からなるもの、長繊維からなるもののいずれでもよく、さらには両者を複合したものでもよい。長繊維としてはモノフィラメントでもマルチフィラメントでもよいが、防塵衣等の作業衣に用いられる織編物を製編織するのに適したマルチフィラメントが通常好ましく用いられる。導電性繊維を構成する単フィラメントの形態としては、単フィラメントの横断面において、上記した導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部とを有しており、かつ、導電性ポリマー部が単フィラメント表面の少なくとも一部に露出している。そのような単フィラメントの形態を横断面図によりを例示すれば、図1もしくは図2に示す如く、非導電性ポリマー部2の周縁から入り込むように好ましくは複数の導電性ポリマー部1が点在する横断面を有する形態、あるいは図3もしくは図4に示す如く、非導電性ポリマー部2を複数のセクションに分割するように導電性ポリマー部1が入り込んでいる横断面を有する形態等が挙げられる。例示したようないずれの形態も、公知の複合紡糸用口金を用いた複合溶融紡糸法
により当業者ならば容易に得ることが可能である。
【0014】
制電性織編物に要求される制電特性として、近年は帯電電荷量や摩擦帯電圧以外に表面漏洩抵抗値で評価される傾向にあり、表面漏洩抵抗値の低い織編物が求められている。そのような表面漏洩抵抗値の低い織編物を得るうえでは、導電性ポリマー部が単フィラメント表面に露出している必要がある。
本発明の制電性織編物の表面漏洩抵抗値としては、1×10Ω/cm以下が好ましく、1×10〜1×10Ω/cmがより好ましい。本発明にいう表面漏洩抵抗値は、JIS−L 1094に準じて(ただし、導電性ペーストなし)測定される値である。そのような好ましい表面漏洩抵抗値を確保するために、単繊維表面における導電性ポリマー部の露出度(表面積比)としては、5〜40%が好ましく、10〜35%がより好ましい。5%未満では導電不良を生じる可能性があり、一方40%を超えると紡糸工程や織編物製造工程でガイドやローラーの摩耗によるトラブルの原因となるので好ましくない。
【0015】
また、単フィラメントの横断面における導電性ポリマー部の占める割合(断面積比)としては、10〜40%が好ましく、15〜30%がより好ましい。10%未満では導電性繊維の導電性が不足する傾向にあり、一方40%を超えると強伸度特性や製糸性が低下する傾向にあるので好ましくない。
なお、単フィラメントの断面の輪郭としては、特に限定されるものではなく、丸断面は勿論のこと、矩形断面その他の異形断面を適宜採用することができる。また、導電性繊維の繊度としても特に限定されるものではないが、マルチフィラメントの場合、通常は単フィラメント繊度が1.5〜20dtex、全繊度が20〜45dtexの範囲のものが好ましく用いられる。
【0016】
本発明において最も重要なことは、上記した導電性繊維の単フィラメントを構成する導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性と比べて少なくとも同等、好ましくはそれ以上であることである。この理由を次に詳細に説明する。
【0017】
本発明の制電性織編物に使用されるような導電性ポリマー部がフィラメント表面に露出した導電性繊維は、アルカリの影響を受けやすく、アルカリ条件下に曝されると、徐々に侵食されてゆく。
ここで、導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性よりも低いものであれば、導電性ポリマー部が相対的に早く侵食されることになる。その結果、例えば図1に示すような断面形態の場合、図5に示すように、繊維表面における導電性ポリマー部1が導電性ポリマー部2よりも窪んだ断面形態へと変化してしまうことになる。そうすると、導電性ポリマー部1が表面に露出していることの効果が薄れ、そのような導電性繊維で構成された織編物の表面漏洩抵抗値は大きく上昇することになる。したがって、織編物の機械強度等、制電性以外の特性がさほどアルカリによるダメージを受けていない段階においても、通常の織編物製品としては使用できるが制電性織編物としての使用に耐えないという事態が発生することになる。
【0018】
本発明にいう導電性ポリマー部の耐アルカリ性とは、導電性ポリマー部を構成する熱可塑性ポリマーの耐アルカリ性をいうのではなく、導電性微粒子を熱可塑性ポリマー中に含有した状態での耐アルカリ性をいう。したがって、非導電性ポリマー部と同じ熱可塑性ポリマーを用い、それに導電性微粒子を練り込み等により含有させて導電性ポリマー部を構成した場合には、導電性微粒子の分散状態や添加量にもよるが、通常はミクロンオーダーの異物がポリマー中に含有されることによるポリマー構成分子間の欠損が生じ、耐アルカリ性が低下する傾向にあるので、上記したようなアルカリ条件下での織編物の表面漏洩抵抗値の大幅な上昇を招くことになる。
【0019】
これに対して本発明では、導電性ポリマー部の耐アルカリ性を非導電性ポリマー部の耐アルカリ性と同等以上に構成するので、上記したような例えば図5に示したようなアルカリ条件下での窪みが生じることがない。むしろ、例えば図1に示すような断面形態において導電性ポリマー部1の耐アルカリ性を非導電性ポリマー部2の耐アルカリ性よりも高いものとして構成した場合、逆に図6に示すように導電性ポリマー部が突出した形態となり得るのであって、この場合に織編物の表面漏洩抵抗値の大幅な上昇を招くようなことはない。
【0020】
上記したように、本発明において、導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性と比して同等以上であることは、導電性ポリマー部を構成するのに用いられる熱可塑性ポリマーと、非導電性ポリマー部を構成するのに用いられる熱可塑性ポリマーとを比較していうのではなく、熱可塑性ポリマー中に導電性微粒子が含有されてなる組成物としての導電性ポリマー部の耐アルカリ性が、非導電性ポリマー部の耐アルカリ性と比して同等以上であることをいう。したがって、例えば、導電性ポリマー部を構成するのに用いられる熱可塑性ポリマーが、非導電性ポリマー部を構成するのに用いられる熱可塑性ポリマーと同一もしくは非導電性ポリマー部を構成するのに用いられる熱可塑性ポリマーよりも耐アルカリ性が高い場合であっても、導電性微粒子を含有することによって導電性ポリマー部が非導電性ポリマー部よりも耐アルカリ性に劣る場合は本発明の要件を満たさないことになる。
ただし、同一の熱可塑性ポリマーを用いた場合でも、ナノオーダーの微粒子を高度に熱可塑性ポリマー中に分散させることによって、熱可塑性ポリマー自体が有する耐アルカリ性を低下させることなく維持することも可能であり、その結果として本発明の要件が満たされる場合もある。
【0021】
なお、導電性ポリマー部及び非導電性ポリマー部の耐アルカリ性としては、例えば4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に98℃の温度条件下で60〜90分間浸漬するというアルカリ処理を行なうことにより試験することができる。このときの評価方法としては、導電性繊維を製造するための材料を選択する予備的試験の場合においては、例えば導電性ポリマー部のみを有する繊維と、非導電性ポリマー部のみを有する繊維を別個に成形して、そのアルカリ処理による質量減量率を比較することができる。導電性繊維として製造された後のものを試験する場合の評価方法としては、導電性繊維のアルカリ処理による断面形態の変化を顕微鏡で観察して評価すればよい。また、導電性繊維の導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性と比して同等以上であるという要件が満たされていないと、結果的には制電性織編物の表面漏洩抵抗値がアルカリ処理によって上昇するあるいは導通不良が生じるということに繋がるので、制電性織編物の表面漏洩抵抗の変化によっても間接的に評価できるともいえる。
【0022】
本発明における導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部との組合わせとしては、本発明の要件を満たす限り、熱可塑性ポリマーの種類は自由に選択することができ、導電性ポリマー部に使用する熱可塑性ポリマーと非導電性ポリマー部に使用する熱可塑性ポリマーとは同系のポリマー(例えばいずれもポリエステル系ポリマー)であっても異なる系のポリマー(例えばポリオレフィン系ポリマーとポリエステル系ポリマー)であってもよい。具体的な組合わせとしては、以下(1)〜(4)のものを例示することができる。
【0023】
(1)非導電性ポリマー部としてはポリエステル系ポリマーを用いる。導電性ポリマー部としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー、もしくはナイロン6、ナイロン66、ナイロン4、ナイロン12等のポリアミド系ポリマーに導電性微粒子を含有させて用いる。
【0024】
(2)非導電性ポリマー部としてはポリエチレンテレフタレートを用いる。導電性ポリマー部としては、ポリブチレンテレフタレートやポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレートよりも炭素数が多いポリエステルや、それらのポリエステルにダイマー酸やダイマージオール等の炭素原子数が20以上である酸成分もしくはジオール成分が1〜20モル%共重合された共重合ポリエステルを用いる。
【0025】
(3)非導電性ポリマー部としては、ポリエチレンテレフタレートを主骨格とし、イソフタル酸、スルホイソフタル酸等の酸性分が5〜30モル%共重合された共重合ポリエステルを用いる。導電性ポリマー部としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、もしくはポリテトラメチレンテレフタレートを用いる。
【0026】
ポリマーの相溶性の面から同系のポリマーの組み合わせが好ましく、さらに耐熱性、導電性微粒子の分散性、汎用性の面からポリエステル系ポリマー同士の組合わせが特に好ましい。したがって、具体的には上記に例示したもののうち(3)の組み合わせが特に好ましい。
【0027】
また、導電性ポリマー部や非導電性ポリマー部には、必要に応じてワックス類、ポリアルキレンオキシド類、各種界面活性剤、有機電解質等の分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、着色剤、顔料、流動性改善剤その他の添加剤を加えることもできる。
【0028】
上記のような導電性繊維を用いることにより、本発明の制電性織編物を得ることができる。すなわち、上記したような導電性の単フィラメントのみから構成され、もしくは他の繊維と混繊されて構成された糸条、あるいはそれらと他の糸条とが合撚された糸条等、導電性繊維を含む糸条を少なくとも一部に用いて織編物を製編、製織すればよい。
【0029】
織物においては、例えば、経糸の全部及び/又は緯糸の全部に導電性繊維を含む糸条を使用して製織したり、経糸及び/又は緯糸に適当な間隔、好ましくは2〜25mm程度の間隔で導電性繊維を含む糸条を挿入すればよい。織物の組織としては、特に限定されるものではなく、例えば平織、綾織、朱子織、二重織等を採用することができる。
【0030】
編物においては、導電性繊維を含む糸条のみを使用して製編してもよいが、例えば丸編みの場合、適当な間隔、好ましくは2〜25mmの間隔となるように導電性繊維を含む糸条を供給すればよく、ポンチ、天竺、スムース、モックローディア等の組織に適用することができる。また、トリコットの場合は、導電性繊維を含む糸条が適当な間隔、好ましくは2〜25mmの間隔となるようにビーミングし、公知の技術により製編すればよい。
【0031】
以上のように構成される本発明の制電性織編物は、制電性に優れ、特に表面漏洩抵抗値が低いという特長を有しており、しかも通常予想されるアルカリ条件下に曝された場合でもその優れた制電性が維持される。したがって、作業中にアルカリ薬品を使用する場合や洗濯浴がアルカリ性である場合等の用途に好適に使用できる制電性織編物である。
【0032】
本発明の制電性織編物の表面漏洩抵抗値としては、その用途にもよるが、
1×10Ω/sq未満が好ましく、1×10Ω/sq未満がより好ましい。表面漏洩抵抗値は、使用する導電性繊維の導電性により設計、調整することができる。
【0033】
さらに、本発明の制電性織編物は、親水性の化合物を織編物に後加工によって付着させるいわゆる帯電防止加工により制電性を付与するものではないので、洗濯耐久性が高い。また、帯電防止加工薬剤を使用しない制電性織編物とすることができるので、本発明の制電性織編物を用いて防塵衣を作製すれば、帯電防止加工薬剤が汚染源となる精密電子産業のクリーンルーム用等にも供することができる。
【0034】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例における耐アルカリ性の評価は下記の方法で行なった。
(アルカリ処理)
試料10gを4質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に、浴比1:40、温度98℃の条件で所定時間浸漬した後、水洗、風乾した。
(繊維断面における変化)
アルカリ処理前後の試料の繊維断面を光学顕微鏡により倍率400倍で観察し、形態の変化を調べた。
(表面漏洩抵抗値測定)
アルカリ処理前後の試料について、電気抵抗測定器(松下電器産業株式会社製BN−1000UB)を用いて、JIS−L 1094に準じて(ただし、導電性ぺーストなし)測定された電気抵抗値を表面漏洩抵抗値として、アルカリ処理による影響を調べた。
【0035】
実施例1
極限粘度(フェノールと四塩化エタンとを質量比1/1で混合したものを溶媒とし、20℃で測定)が0.84のポリブチレンテレフタレート75質量部と、平均粒径0.2μmの導電性カーボンブラック(ファーネスブラック)25質量部とを溶融混練し、常法によりチップ化して、導電性ポリマー部として使用するポリマー組成物を得た。また、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸8モル%を共重合した共重合ポリエステル(極限粘度0.61)を常法によりチップ化して、非導電性ポリマー部として使用するポリマーを得た。
そして、通常の複合溶融紡糸装置により、導電性ポリマー部の比率が20質量%となり、単フィラメントの横断面形状が図1に示す如き形態となるように設計された紡糸口金を用いて、紡糸温度270℃で各々のポリマー(組成物)を吐出して冷却、オイリングしながら3000m/分の速度で巻取り、45dtex/2fの未延伸糸を得た。さらに、この未延伸糸を90℃の熱ローラーを介して1.61倍に延伸してさらに190℃のヒータープレート上で熱処理を行って巻取り、導電性繊維からなる28dtex/2fの導電性糸条を得た。このときの糸条の導電性は2.6×10Ω/cmであった。
【0036】
次に、上記で得られた導電性糸条と通常のポリエチレンテレフタレートからなる84dtex/36fの糸条とを用い、合撚機によりS方向に300T/Mの合撚を施した合撚糸条を得た(糸条Aという)。そして、ポリエチレンテレフタレートからなる84dtex/36fの糸条(糸条Bという)と上記の糸条Aとを用いて、糸条Aと糸条Bの本数比率をA:B=1:29として経糸を整経した。緯糸には経糸に使用したのと同じ糸条A及び糸条Bを用いて、ウォータージェットルームにより、緯糸の糸条Aと糸条Bの本数比率がA:B=1:19となるように製織して、平織物を得た。このときの生機密度は、経糸150本/2.54cm、緯糸95本/2.54cmであった。
さらに、上記の平織物に公知の方法で精練、プレセット、染色を行い、導電性繊維を含む糸条Aが経、緯ともに約5mm間隔に1本ずつ配列するように仕上げセットを行なって、本発明の制電性織物(目付け100g/cm)を製造した。このときの仕上げ密度は、経糸165本/2.54cm、緯糸105本/2.54cmであった。
【0037】
比較例1
実施例1における導電性ポリマー部に使用する極限粘度0.84のポリブチレンテレフタレートに代えて極限粘度0.69のポリエチレンテレフタレートを用い、、非導電性ポリマー部に使用する共重合ポリエステルに代えて極限粘度0.69のポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸温度を270℃ではなく290℃とし、未延伸糸を1.61倍に延伸してから熱処理を行なうためのヒータープレートの温度を190℃ではなく200℃とした以外は、実施例1と同様に行ない、比較用の制電性織物を製造した。
【0038】
比較例2
実施例1における導電性ポリマー部に使用する極限粘度0.84のポリブチレンテレフタレートに代えてポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸8モル%を共重合した共重合ポリエステル(極限粘度0.61)を用い、非導電性ポリマー部に使用する共重合ポリエステルに代えて極限粘度0.69のポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸温度を270℃ではなく285℃とし、未延伸糸を1.61倍に延伸してから熱処理を行なうためのヒータープレートの温度を190℃ではなく200℃とした以外は、実施例1と同様に行ない、比較用の制電性織物を製造した。
【0039】
実施例2
実施例1において単フィラメントの横断面形状が図1に示す如き形態となるように設計された紡糸口金を用いる代わりに、図3に示す如き形態となるように設計された紡糸口金を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の制電性織物を製造した。
【0040】
比較例3
比較例2において単フィラメントの横断面形状が図1に示す如き形態となるように設計された紡糸口金を用いる代わりに、図3に示す如き形態となるように設計された紡糸口金を用いる以外は、比較例2と同様にして、比較用の制電性織物を製造した。
【0041】
上記の実施例及び比較例において製造された制電性織物について、アルカリ処理(浸漬時間60,75,90分間)前後での変化を調べて評価した。
なお、本実施例におけるアルカリ条件は、本発明の制電性織物の使用場面で通常予想されるアルカリ条件と比してかなり過酷な条件であり、加速試験といえる。
その結果、本発明の構成要件を満たす実施例1及び2の制電性織物においては、90分間のアルカリ処理後でも、単フィラメントの横断面の形態に大きな変化は認められず、また、表面漏洩抵抗値も安定していた。
これに対し、比較例1及び2の制電性織物においては、アルカリ処理時間が45分間では、導電性ポリマー部が先に溶解して、単フィラメントの横断面は図5に示す如く導電性ポリマー部が表面から窪んだ形態となり、さらにアルカリ処理時間が90分間では、導電性ポリマー部がほぼ溶解されて消失した状態であった。また、比較例3の制電性織物においては、アルカリ処理時間が60分間の段階で単フィラメントの導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部が界面で剥離し、割繊糸のような形態を呈していおり、さらにアルカリ処理時間が90分間では、非導電性ポリマー部のみが残存していた。このため、比較例1〜3の制電性織物の表面漏洩抵抗値は、アルカリ処理により大幅に増大して不安定であった。
なお、表面漏洩抵抗値を調べた結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004036040
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の制電性織編物は、表面漏洩抵抗値が低いという優れた制電性を有しており、その優れた制電性が、アルカリによる影響を受けにくいように構成されている。したがって、作業中にアルカリ薬品を使用する場合のある用途や、効率よく汚れを落とすためにアルカリ性の洗濯浴で洗濯する場合のある用途に好適な制電性織編物である。場合等の用途に好適に使用できる制電性織編物である。
また、本発明の制電性織編物は、親水性の化合物を織編物に後加工によって付着させるいわゆる帯電防止加工により制電性を付与するものではないので、洗濯耐久性が高い。
また、帯電防止加工薬剤を使用しない制電性織編物とすることができるので、帯電防止加工薬剤が汚染源となって嫌われる精密電子産業のクリーンルーム用等の用途にも好適である。したがって、本発明の制電性織編物を使用して製造される防塵衣もまた、同様の特長を備える付加価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における導電性繊維を構成する単フィラメントの横断面形状を例示する断面模式図である。
【図2】本発明における導電性繊維を構成する単フィラメントの横断面形状を例示する断面模式図である。
【図3】本発明における導電性繊維を構成する単フィラメントの横断面形状を例示する断面模式図である。
【図4】本発明における導電性繊維を構成する単フィラメントの横断面形状を例示する断面模式図である。
【図5】比較例における導電性繊維を構成する単フィラメントの、アルカリ処理後の横断面形状を例示する断面模式図である。
【図6】本発明における導電性繊維を構成する単フィラメントの、アルカリ処理後の横断面形状を例示する断面模式図である。
【符号の説明】
1:導電性ポリマー部
2:非導電性ポリマー部

Claims (3)

  1. 導電性繊維を用いてなる制電性織編物であって、導電性繊維は、その単フィラメントの横断面において、導電性微粒子が熱可塑性ポリマー中に含有されてなる導電性ポリマー部と、導電性微粒子が実質的に含まれない非導電性ポリマー部とを有し、導電性ポリマー部が単フィラメント表面の少なくとも一部に露出しており、導電性ポリマー部の耐アルカリ性が非導電性ポリマー部の耐アルカリ性に比して少なくとも同等以上であることを特徴とする制電性織編物。
  2. 導電性ポリマー部を構成する熱可塑性ポリマーがポリエステル系ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の制電性織編物。
  3. 請求項1もしくは2に記載の制電性織編物を用いてなる防塵衣。
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