JP2004035789A - ガスケット素材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジョイントシートを素材としたガスケットのフレッティングによる亀裂折損を防止することにある。
【解決手段】ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材において、前記補強繊維が有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなるフィブリル状のものであり、前記充填材の少なくとも一部が10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材であることを特徴とするガスケット素材である。
【選択図】 図1
【解決手段】ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材において、前記補強繊維が有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなるフィブリル状のものであり、前記充填材の少なくとも一部が10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材であることを特徴とするガスケット素材である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に搭載されるエンジンや変速機等に用いられるガスケットの素材に関し、特には、ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両等に搭載されるエンジンの周辺用のガスケットの素材としては、補強繊維としてのアスベストをニトリルゴムとフェノール樹脂等で固めて積層状にしたいわゆるアスベストジョイントシートが用いられていたが、昨今のアスベストの規制から、本願出願人等は、例えば1992年5月社団法人自動車技術会発行の学術講演会前刷集に本願出願人等が発表した論文「ノンアスベストガスケットの開発」に記したように、アスベストを使用せずに他の強化繊維を使用したジョイントシートの実用化を検討している。
【0003】
ところで、例えば、エンジンと組み合わされた変速機のハウジングとそこにボルトで固定されるカバーとの間のガスケット挿入部のように、エンジンの運転と停止との繰り返し等により温度変化が大きくなる構造体にガスケットを用いた場合、その温度変化の繰返しに起因してハウジングおよびカバーとガスケットとの接合面間に繰返し相対変位(フレッティング)が生じる。また、近年の軽量化の要請により、ハウジングやカバー等の構造体の低剛性化が進んいるため、カバー等に加わる外力によってもフレッティングが生ずる。
【0004】
一方、補強繊維がアスベストの場合を含めて従来のジョイントシートは抗張力が低く、特に、一般的に使用される0.5mmの厚さのものでは抗張力が40MPaを超えるものは開発されていない。このため、従来のジョイントシートを素材としたガスケットをエンジンの周辺の変速機等に用いると、上記フレッティングによってガスケットが本来の位置からずれて、最悪の場合は亀裂折損に至り、シール媒体の漏れが発生してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本願出願人は、構造体の締結ボルトの本数の追加やボルトの締付け軸力の増加やカバー等の剛性の向上により締結面圧を増加させたり構造体のガスケット挿入部の合せ面にノックピン等で嵌合構造を設けたりしてフレッティング量を低減させることで、ガスケットの亀裂折損を防止することを試みた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、構造体の締結ボルトの本数の追加やボルトの締付け軸力の増加やカバー等の剛性の向上により締結面圧を増加させる方法や、ノックピン等で嵌合構造を設ける方法では、締結構造が複雑化して構造体の価格上昇を招くとともに、部品点数の増加と大型化により構造体の重量の増加を招くという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決したガスケット素材を提供することを目的とするものであり、この発明のガスケット素材は、ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材において、前記補強繊維が、有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなるフィブリル状のものであり、前記充填材の少なくとも一部が、10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材であることを特徴とするものである。
【0008】
かかるこの発明のガスケット素材によれば、補強繊維を有機繊維と非石綿系無機繊維(アスベスト以外の無機繊維)との一方または両方からなるフィブリル状(微細繊維状)のものとするとともに、充填材の少なくとも一部を10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材として、その有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなる微細繊維同士の絡まりおよびそれと針状無機充填材との絡まりによって抗張力を高めているから、たとえハウジングやカバー等の構造体にフレッティングが生じても、ガスケットが本来の位置からずれて亀裂折損が発生するのを防止することができる。
【0009】
なお、この発明のガスケット素材においては、前記原料は、2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤を加えられていることが好ましい。2重量%以上で25重量%以下のフェノール系老化防止剤は、ジョイントシートの原料に適度な固着力を与えるので、原料をホットロールとコールドロールとの一対のロールを具えるカレンダーロールのホットロール上に供給して加圧積層することでジョイントシートを形成する際、原料をコールドロールに取られずにホットロール上に安定して積層することができる。
【0010】
また、この発明のガスケット素材においては、前記フェノール系老化防止剤を加えられた原料の基本組成は、前記補強繊維としての15重量%以上のアラミド繊維と、前記ゴムとしての10重量%以上で30重量%以下のNBRと、前記2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤と、前記針状無機充填材としての含水マグネシウム珪酸塩と、他の前記充填材としての残部の無機充填材と、からなることが好ましい。かかる組成配合によれば、後述のように、一般的に使用される0.5mmの厚さのジョイントシートで45MPa以上の抗張力を有するものを得ることができる。
【0011】
さらに、この発明のガスケット素材においては、前記針状無機充填材は、粒子長径が40μm以上で200μm以下のものであることが好ましい。この範囲内の長径の粒子は、原料の成形性が良く、かつジョイントシートの抗張力を充分に高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態につき、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のガスケット素材の一実施形態を示す断面図であり、図中符号1は、表層1aと裏層1bとそれらの間の中間層1cとの三層からなる多層構造とした上記実施形態の、ガスケット素材としてのジョイントシートを示す。
【0013】
この実施形態のジョイントシート1は、例えばNBR等のゴムと、例えば有機繊維としてのアラミド繊維やアスベスト以外の無機繊維としてのガラス繊維等をフィブリル化した微細繊維状補強繊維と、針状無機充填材と、例えば硫酸バリウム等の他の充填材とを混合した原料を、ホットロールとコールドロールとの一対のロールを具えるカレンダーロールのホットロール上に供給して、それらのロールで混練しつつ加圧することでホットロール上に積層し、さらにそのホットロールの熱で加硫して硬化させた後ホットロール上から剥ぎ取ることで形成する。そしてその際、補強繊維や充填材の配合を異ならせることで、図1に示すように、表層1aと裏層1bとそれらの間の中間層1cとの三層を形成する(詳細は例えば先の論文「ノンアスベストガスケットの開発」参照)。
【0014】
ところで、この実施形態のジョイントシート1においては、上記原料の基本組成は、好ましくは、補強繊維としての15重量%以上のフィブリル化したアラミド繊維と、ゴムとしての10重量%以上で30重量%以下のNBR(ニトリル・ブタジェン・ゴム)と、2重量%以上で25重量%以下のフェノール系老化防止剤と、針状無機充填材としての10重量%以上で45重量%以下の含水マグネシウム珪酸塩と、残部の無機充填材とからなるものとする。
【0015】
ここで、上記含水マグネシウム珪酸塩には、粒子長径が40μm以上で200μm以下の針状結晶化物を用いる。この範囲内の長径の針状粒子は、原料の成形性が良く、かつジョイントシートの抗張力を充分に高めることができるからである。
【0016】
かかる実施形態のジョイントシート1によれば、補強繊維をフィブリル状(微細繊維状)のものとするとともに、充填材に針状無機充填材を含めて、その微細繊維同士の絡まりおよびその微細繊維と針状無機充填材との絡まりによって抗張力を高めているから、たとえハウジングやカバー等の構造体にフレッティングが生じても、ガスケットが本来の位置からずれて亀裂折損が発生するのを防止することができる。
【0017】
図2は、上記実施形態のジョイントシート1(具体的には後述の実施例1)と従来の非石綿系ジョイントシートと従来の石綿系ジョイントシートとの抗張力を比較して示すものであり、この図から明らかなように、上記実施形態のジョイントシート1は従来の非石綿系ジョイントシートおよび石綿系ジョイントシートよりも極めて高い抗張力を有している。
【0018】
【実施例】
以下の表1は、上記実施形態において組成配合を種々異ならせた実施例1〜実施例3の何れも板厚0.5mmのジョイントシート1と、上記実施形態に準ずるが特に針状無機充填材を0重量%および50重量%とした比較例1、2の何れも板厚0.5mmのジョイントシートとを製作し、それらのジョイントシートについてJIS K 6251に規定された条件でそれぞれ引っ張り試験を行って抗張力を調べた結果を示しており、この結果から、比較例1、2は何れも抗張力が40MPaを超えなかったが、実施例1〜実施例3は何れも抗張力が45MPa以上であり充分に高い抗張力を有するガスケット素材であることがわかる。
【0019】
【表1】
【0020】
なお、上記アラミド繊維はフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維(パルプタイプ)であり、上記ゴムはNBRであり、上記針状無機充填材は含水マグネシウム珪酸塩の針状結晶化物であり、上記フェノール系老化防止剤はビス、トリス、ポリフェノール系、またはレゾール系のフェノール樹脂であり、上記無機充填材は硫酸バリウム、クレー等である。
【0021】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えばジョイントシートを、上記裏層1bまたは表層1aに対応するいわゆる皿材からなる裏層または表層と、上記中間層1cに対応するいわゆる中材からなる主層との二層からなる多層構造としても良く、また上記中間層1cに対応するいわゆる中材のみからなる単層構造としても良い。そしてこの発明のガスケット素材は、変速機のハウジングとカバーとの間に挿入されるガスケット以外のエンジン周辺部のガスケットにも用い得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のガスケット素材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】上記実施形態の、ガスケット素材としてのジョイントシートと、従来の非石綿系および石綿系のジョイントシートとの抗張力を対比して示す説明図である。
【符号の説明】
1 ジョイントシート
1a 表層
1b 裏層
1c 中間層
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に搭載されるエンジンや変速機等に用いられるガスケットの素材に関し、特には、ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両等に搭載されるエンジンの周辺用のガスケットの素材としては、補強繊維としてのアスベストをニトリルゴムとフェノール樹脂等で固めて積層状にしたいわゆるアスベストジョイントシートが用いられていたが、昨今のアスベストの規制から、本願出願人等は、例えば1992年5月社団法人自動車技術会発行の学術講演会前刷集に本願出願人等が発表した論文「ノンアスベストガスケットの開発」に記したように、アスベストを使用せずに他の強化繊維を使用したジョイントシートの実用化を検討している。
【0003】
ところで、例えば、エンジンと組み合わされた変速機のハウジングとそこにボルトで固定されるカバーとの間のガスケット挿入部のように、エンジンの運転と停止との繰り返し等により温度変化が大きくなる構造体にガスケットを用いた場合、その温度変化の繰返しに起因してハウジングおよびカバーとガスケットとの接合面間に繰返し相対変位(フレッティング)が生じる。また、近年の軽量化の要請により、ハウジングやカバー等の構造体の低剛性化が進んいるため、カバー等に加わる外力によってもフレッティングが生ずる。
【0004】
一方、補強繊維がアスベストの場合を含めて従来のジョイントシートは抗張力が低く、特に、一般的に使用される0.5mmの厚さのものでは抗張力が40MPaを超えるものは開発されていない。このため、従来のジョイントシートを素材としたガスケットをエンジンの周辺の変速機等に用いると、上記フレッティングによってガスケットが本来の位置からずれて、最悪の場合は亀裂折損に至り、シール媒体の漏れが発生してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本願出願人は、構造体の締結ボルトの本数の追加やボルトの締付け軸力の増加やカバー等の剛性の向上により締結面圧を増加させたり構造体のガスケット挿入部の合せ面にノックピン等で嵌合構造を設けたりしてフレッティング量を低減させることで、ガスケットの亀裂折損を防止することを試みた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、構造体の締結ボルトの本数の追加やボルトの締付け軸力の増加やカバー等の剛性の向上により締結面圧を増加させる方法や、ノックピン等で嵌合構造を設ける方法では、締結構造が複雑化して構造体の価格上昇を招くとともに、部品点数の増加と大型化により構造体の重量の増加を招くという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決したガスケット素材を提供することを目的とするものであり、この発明のガスケット素材は、ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材において、前記補強繊維が、有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなるフィブリル状のものであり、前記充填材の少なくとも一部が、10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材であることを特徴とするものである。
【0008】
かかるこの発明のガスケット素材によれば、補強繊維を有機繊維と非石綿系無機繊維(アスベスト以外の無機繊維)との一方または両方からなるフィブリル状(微細繊維状)のものとするとともに、充填材の少なくとも一部を10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材として、その有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなる微細繊維同士の絡まりおよびそれと針状無機充填材との絡まりによって抗張力を高めているから、たとえハウジングやカバー等の構造体にフレッティングが生じても、ガスケットが本来の位置からずれて亀裂折損が発生するのを防止することができる。
【0009】
なお、この発明のガスケット素材においては、前記原料は、2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤を加えられていることが好ましい。2重量%以上で25重量%以下のフェノール系老化防止剤は、ジョイントシートの原料に適度な固着力を与えるので、原料をホットロールとコールドロールとの一対のロールを具えるカレンダーロールのホットロール上に供給して加圧積層することでジョイントシートを形成する際、原料をコールドロールに取られずにホットロール上に安定して積層することができる。
【0010】
また、この発明のガスケット素材においては、前記フェノール系老化防止剤を加えられた原料の基本組成は、前記補強繊維としての15重量%以上のアラミド繊維と、前記ゴムとしての10重量%以上で30重量%以下のNBRと、前記2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤と、前記針状無機充填材としての含水マグネシウム珪酸塩と、他の前記充填材としての残部の無機充填材と、からなることが好ましい。かかる組成配合によれば、後述のように、一般的に使用される0.5mmの厚さのジョイントシートで45MPa以上の抗張力を有するものを得ることができる。
【0011】
さらに、この発明のガスケット素材においては、前記針状無機充填材は、粒子長径が40μm以上で200μm以下のものであることが好ましい。この範囲内の長径の粒子は、原料の成形性が良く、かつジョイントシートの抗張力を充分に高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態につき、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のガスケット素材の一実施形態を示す断面図であり、図中符号1は、表層1aと裏層1bとそれらの間の中間層1cとの三層からなる多層構造とした上記実施形態の、ガスケット素材としてのジョイントシートを示す。
【0013】
この実施形態のジョイントシート1は、例えばNBR等のゴムと、例えば有機繊維としてのアラミド繊維やアスベスト以外の無機繊維としてのガラス繊維等をフィブリル化した微細繊維状補強繊維と、針状無機充填材と、例えば硫酸バリウム等の他の充填材とを混合した原料を、ホットロールとコールドロールとの一対のロールを具えるカレンダーロールのホットロール上に供給して、それらのロールで混練しつつ加圧することでホットロール上に積層し、さらにそのホットロールの熱で加硫して硬化させた後ホットロール上から剥ぎ取ることで形成する。そしてその際、補強繊維や充填材の配合を異ならせることで、図1に示すように、表層1aと裏層1bとそれらの間の中間層1cとの三層を形成する(詳細は例えば先の論文「ノンアスベストガスケットの開発」参照)。
【0014】
ところで、この実施形態のジョイントシート1においては、上記原料の基本組成は、好ましくは、補強繊維としての15重量%以上のフィブリル化したアラミド繊維と、ゴムとしての10重量%以上で30重量%以下のNBR(ニトリル・ブタジェン・ゴム)と、2重量%以上で25重量%以下のフェノール系老化防止剤と、針状無機充填材としての10重量%以上で45重量%以下の含水マグネシウム珪酸塩と、残部の無機充填材とからなるものとする。
【0015】
ここで、上記含水マグネシウム珪酸塩には、粒子長径が40μm以上で200μm以下の針状結晶化物を用いる。この範囲内の長径の針状粒子は、原料の成形性が良く、かつジョイントシートの抗張力を充分に高めることができるからである。
【0016】
かかる実施形態のジョイントシート1によれば、補強繊維をフィブリル状(微細繊維状)のものとするとともに、充填材に針状無機充填材を含めて、その微細繊維同士の絡まりおよびその微細繊維と針状無機充填材との絡まりによって抗張力を高めているから、たとえハウジングやカバー等の構造体にフレッティングが生じても、ガスケットが本来の位置からずれて亀裂折損が発生するのを防止することができる。
【0017】
図2は、上記実施形態のジョイントシート1(具体的には後述の実施例1)と従来の非石綿系ジョイントシートと従来の石綿系ジョイントシートとの抗張力を比較して示すものであり、この図から明らかなように、上記実施形態のジョイントシート1は従来の非石綿系ジョイントシートおよび石綿系ジョイントシートよりも極めて高い抗張力を有している。
【0018】
【実施例】
以下の表1は、上記実施形態において組成配合を種々異ならせた実施例1〜実施例3の何れも板厚0.5mmのジョイントシート1と、上記実施形態に準ずるが特に針状無機充填材を0重量%および50重量%とした比較例1、2の何れも板厚0.5mmのジョイントシートとを製作し、それらのジョイントシートについてJIS K 6251に規定された条件でそれぞれ引っ張り試験を行って抗張力を調べた結果を示しており、この結果から、比較例1、2は何れも抗張力が40MPaを超えなかったが、実施例1〜実施例3は何れも抗張力が45MPa以上であり充分に高い抗張力を有するガスケット素材であることがわかる。
【0019】
【表1】
【0020】
なお、上記アラミド繊維はフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維(パルプタイプ)であり、上記ゴムはNBRであり、上記針状無機充填材は含水マグネシウム珪酸塩の針状結晶化物であり、上記フェノール系老化防止剤はビス、トリス、ポリフェノール系、またはレゾール系のフェノール樹脂であり、上記無機充填材は硫酸バリウム、クレー等である。
【0021】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えばジョイントシートを、上記裏層1bまたは表層1aに対応するいわゆる皿材からなる裏層または表層と、上記中間層1cに対応するいわゆる中材からなる主層との二層からなる多層構造としても良く、また上記中間層1cに対応するいわゆる中材のみからなる単層構造としても良い。そしてこの発明のガスケット素材は、変速機のハウジングとカバーとの間に挿入されるガスケット以外のエンジン周辺部のガスケットにも用い得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のガスケット素材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】上記実施形態の、ガスケット素材としてのジョイントシートと、従来の非石綿系および石綿系のジョイントシートとの抗張力を対比して示す説明図である。
【符号の説明】
1 ジョイントシート
1a 表層
1b 裏層
1c 中間層
Claims (4)
- ゴムと補強繊維と充填材とを混合した原料を混練しつつ加圧積層するとともに加硫して形成したジョイントシートからなるガスケット素材において、
前記補強繊維が、有機繊維と非石綿系無機繊維との一方または両方からなるフィブリル状のものであり、
前記充填材の少なくとも一部が、10重量%以上で45重量%以下の針状無機充填材であることを特徴とする、ガスケット素材。 - 前記原料は、2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤を加えられていることを特徴とする、請求項1記載のガスケット素材。
- 前記フェノール系老化防止剤を加えられた原料の基本組成は、
前記補強繊維としての15重量%以上のアラミド繊維と、
前記ゴムとしての10重量%以上で30重量%以下のNBRと、
前記2重量%以上で26重量%以下のフェノール系老化防止剤と、
前記針状無機充填材としての含水マグネシウム珪酸塩と、
他の前記充填材としての残部の無機充填材と、
からなることを特徴とする、請求項2記載のガスケット素材。 - 前記針状無機充填材は、粒子長径が40μm以上で200μm以下のものであることを特徴とする、請求項1から3までの何れか記載のガスケット素材。
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TWI707947B (zh) * | 2019-01-29 | 2020-10-21 | 台萬工業股份有限公司 | 防滑踏板 |
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