JP2004034472A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】白筋やバンディングを発生させることなく、滲みを効果的に防止できるようにしたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット装置であって、被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口C,BKをLCに変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定する。
【選択図】図5
【解決手段】1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット装置であって、被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口C,BKをLCに変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定する。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を飛翔させて被記録材に画像を記録するようにしたインクジェット記録装置におけるインクの滲みを防止する技術に関する。
【0002】
【従来技術】
インクジェット記録装置では、デジタル信号に応答して、力学的もしくは熱的な作用により、媒体上にインク滴を吐出させて紙などの被記録材に画像を形成する。この記録方法は、ノンインパクト記録法の代表的なものであり、電子写真方式等の記録法に見られるような現像や定着といったプロセスを含まないため、装置の構成が簡易でコンパクト化が可能であり、高速かつ低騒音で記録できる特長がある。
【0003】
また、インクジェット記録装置は、比較的安価で、カラー化も容易であるので、近年では事務用および家庭用パーソナルコンピューターの出力機器として広く用いられるようになってきた。このようなインクジェット記録方式でフルカラー化を実現するには、忠実に中間調を再現する必要があり、その中間調表現方法には、ディザ法、誤差拡散法等が用いられる。
【0004】
しかし、これらの方法では、ハイライト部に粒状感が発生する。そこで、例えば、登録特許2717798号公報には、濃度の異なる同色のインクを使い分けることにより、つまり、淡インクのみで記録する低記録濃度領域と濃インクのみで記録する高記録濃度領域との間に、濃インクの小ドットと、淡インクの大ドットとを交互に打つ中間濃度領域を設けることによって、つなぎ部の目立たない中間調を再現しようとした方法が提案されている。
【0005】
ところが、このような方法では、印字速度を上げると、2色の境界部分で、滲みが発生する。そこで、このような滲みを防止するために、例えば、登録特許2752421号公報、2620313号公報には、2色の境界部分を検知し、その隣接部のドットを間引いたり、小さくしたりするような方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例(登録特許2752421号公報、2620313号公報)のように、滲みの発生を防止するために、境界部分で、ドットを小さくしたり、ドットを間引いたりすると、白筋やバンディングが発生しやすくなる。図14は、滲みの発生を抑えるために、境界部で部分的にドットを小さくした場合の概念図を示す。同図に示すように、ドットを小さくすれば、各ドット相互の重なりが減り、滲みの発生は抑えられる。
【0007】
しかし、紙送りのずれ、インク吐出口の走査のずれ、インク滴の飛翔方向のずれ等により、ドットの印字位置がずれることがある。また、ドットを小さくすると、隣接ドット間に、ドット位置誤差による隙間が生じやすくなり、白地部が目立ちやすくなる(図14におけるシアンCと黒BKの境界を参照)。そのため、印字画像上でのドット位置誤差により、白筋やバンディングが発生する。ドットを間引いた場合には、さらに白筋やバンディングが目立ちやすくなる。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、白筋やバンディングを発生させることなく、滲みを効果的に防止できるようにしたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下のように構成している。
【0010】
(1)1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット装置であって、
被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口の選択を変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定することを特徴とする。
【0011】
1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出する場合、隣接画素に、短時間内に、異なる色インクが印字されることがある。そのとき、隣接画素間で滲みが発生しやすくなる。
【0012】
この構成においては、隣接画素への吐出時間間隔を、所定時間より長くすることで、インクの乾燥時間を確保できるため、滲みを効果的に抑制することができる。
【0013】
また、ドットの大きさを変化させないので、白筋やバンディングを発生させることがない。
【0014】
(2)前記インク吐出口の選択を変更する場合、同色で濃淡の異なるインク吐出口を選択することを特徴とする。
【0015】
この構成においては、同色で濃淡の異なるインクを選択することで、原画像との相違を少なくすることができる。
【0016】
(3)前記境界の両方の領域で、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0017】
この構成においては、インク吐出口の選択肢が増えるため、滲みを、より効果的に防止することができる。
【0018】
(4)前記境界の片方の領域でのみ、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0019】
この構成においては、片側の領域でのみ、インクが変わるので、原画像との相違を少なくすることができる。
【0020】
(5)走査ライン毎に、前記境界の何れか片方の領域を選び、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、インク変更の偏りを減らせるので、原画像との見た目の違いを少なくすることができる。
【0022】
(6)被印字面上の前記境界付近の所定範囲内への印字において、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0023】
高密度で印字する場合、1ドットの広がりの中に、複数のドットが重なりやすくなるため、滲みが発生する。
【0024】
この構成においては、所定範囲内に重心のあるドットについて、前記インク吐出口の選択を変更することで、滲みを効果的に防止できる。
【0025】
(7)前記所定範囲を、主走査方向において、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍に設定することを特徴とする。
【0026】
主走査方向とは、インクキャリッジの走査方向である。また、ラインピッチ幅とは、副走査方向(用紙搬送方向)についての隣接走査ライン間の間隔のことでである。
【0027】
この構成においては、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍の範囲内のドットについて、そのインク吐出口の選択を変更することで、この範囲内の異色ドット相互の吐出時間間隔を長くできるので、滲みを効果的に防止することができる。
【0028】
(8)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定することを特徴とする。
【0029】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定することで、先に吐出したインクの乾燥が進み、滲みを効果的に防止することができる。
【0030】
(9)前記所定時間を60〜120msに設定することを特徴とする。
【0031】
この構成においては、図7から判るように、隣接画素の吐出時間間隔を60〜120msに設定するので、滲み量が少なくすることができる。
【0032】
(10)所望の前記異なる色のインク吐出口の間に、他のインク吐出口を設けたことを特徴とする。
【0033】
この構成においては、他のインク吐出口が異なる色のインク吐出口の間に入るので、異なる色のインク吐出口の間隔が長くなる。そのため、異なる色の吐出時間間隔が長くなり、滲みを効果的に防止することができる。
【0034】
(11)前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、黒BK、シアンC、ライトシアンLCの順に並べることを特徴とする。
【0035】
この構成においては、黒とライトシアンを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0036】
(12)前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、ライトマゼンタLM、マゼンタM、黄Yの順に並べることを特徴とする。
【0037】
この構成においては、黄とライトマゼンタを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0038】
(13)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となるように、それらのインク吐出口の間隔を設定することを特徴とする。
【0039】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、インク吐出口の間隔を広げることにより、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0040】
(14)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が所定時間以上となるように、その走査領域での走査速度を設定することを特徴とする。
【0041】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、その走査領域での走査速度を遅くすることで、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0042】
(15)画像データ上で所定サイズの領域において、全画素間のデータ変化量が第1所定値以内であり、前記領域に隣接する画素と前記領域内の画素とのデータ変化が第2所定値以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0043】
この構成においては、第1所定値以内を満足する場合、前記領域を同一領域と見なす。さらに、第2所定値以上を満足する場合、前記領域に隣接する画素と前記領域との間に、境界があると見なす。そして、その境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0044】
(16)前記所定サイズの領域の外形を長方形とし、その何れかの1辺の長さを2画素以上とすることを特徴とする。
【0045】
この構成においては、所定サイズの領域を構成する長方形の何れかの1辺の長さを、2画素以上とすることにより、1画素幅の領域に対するインク種類の置き換えを防げる(1画素幅の領域でインクを置き換えると、色の変化が目立ちやすくなる)。
【0046】
(17)前記所定サイズの領域内の全画素において、前記第1所定値以内の条件を、何れかの種類のインクのドロップ数が、前記領域内の全画素について、その最大ドロップ数の1/2以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0047】
マルチドロップ方式(1画素内にインク滴を多数回吐出する)において、高濃度(ドロップ数の多い)の場合、画素当りのインク吐出量が多くなり、滲みが発生しやすくなる。
【0048】
この構成においては、各画素を構成する何れかの種類のインクについて、高濃度の領域(最大ドロップ数の1/2以上)を見つけ、その高濃度部と低濃度(例えば、最大ドロップ数の1/3以下)の境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0049】
また、低濃度(ドロップ数の少ない)の場合、インクを置換えないので、処理速度が上がる。さらに、色が変化することを防げる。低濃度の場合、インク吐出量が少ないため、滲みが発生しにくくなる。なお、最大ドロップ数とは、1画素内で吐出可能な最大ドロップ数のことである。
【0050】
(18)前記第2の所定値は、前記所定サイズ領域の隣接の画素において、前記所定サイズ領域内とは異なる何れかの種類のインクのドロップ数が、その最大ドロップ数の1/2以上であることを特徴とする。
【0051】
この構成においては、前記所定サイズ領域に対し、その隣接画素の色が異なり、高濃度(最大ドロップ数の1/2以上)である場合、そこに境界があると見なし、その境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0053】
(インクジェット記録装置)
図1および図2は、インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)の構成を示し、これらの図に示すように、このインクジェット記録装置は、記録用紙に印字を行う印字部81と、記録用紙をプリンタに供給する給紙部82と、記録用紙を印字部81まで搬送する搬送部83と、印字された記録用紙を排出する排出部85とから構成されている。
【0054】
給紙部82は、給紙トレイ103、分離板105、給紙ローラ104を有している。給紙トレイ103は、印字にかかる記録用紙を収容・給紙し、分離板105および給紙ローラ104は、給紙トレイ103に収容された記録用紙を一枚ずつ分離して搬送部83に供給する。
【0055】
搬送部83は、ガイド板106、搬送ローラ107を有しており、ガイド板106は、給紙ローラ104から給紙されてきた記録用紙を印字部81に導き、搬送ローラ107は、ガイド板106上を通過した記録用紙を印字ヘッド101まで搬送する。
【0056】
印字部81は、インクキャリッジ203、シャフト202、プラテン102を有しており、インクキャリッジ203は、印字ヘッド101をシャフト202に沿って移動させるためのものであり、6つのインクカートリッジ(不図示)および上記印字ヘッド101を備えている。
【0057】
インクカートリッジは、インクを貯留(蓄積)するとともに、印字ヘッド101にインクを供給するものであり、印字ヘッド101の上部に取り付けられている。また、本プリンタでは、互いに色の異なる6色(ブラック、イエロー,マゼンタ,シアン、ライトマゼンタ,ライトシアン)のインクを使用するようになっており、各インクを蓄積するために、6つのインクカートリッジを備えている。
【0058】
印字ヘッド101は、カートリッジから供給されたインクを吐出口(不図示)から吐出して、記録用紙に画像を形成するものであり、シャフト202は、インクキャリッジ203を、走査方向に沿って移動できるように案内する。ここで、走査方向とは、記録用紙の搬送方向に対して垂直な方向のことである。
【0059】
プラテン102は、印字(インク吐出)の際、記録用紙を載置するための台(印字台)となるものであり、記録用紙における平坦性の維持、および、印字ヘッド101の下部に設けられている吐出口(不図示)と記録用紙との距離調整を行う。排出部85は、排出ローラ108、排出トレイ109を有しており、排出ローラ108は、印字ヘッド101で印字された記録用紙を排出トレイ109に排出する。
【0060】
次に、本プリンタの印字動作について説明する。
【0061】
まず、ユーザーが、記録用紙をプリンタの給紙トレイ103上に載置する。そして、本プリンタがコンピュータ等の印字要求を受信したとき、分離板105と給紙ローラ104とが、記録用紙を1枚ずつ搬送部83に給紙する。そして、給紙された記録用紙は、ガイド板106に支えられながら搬送ローラ107によって搬送される。
【0062】
次に、印字ヘッド101が、搬送されてきた記録用紙に対してインクを吐出して印字を行う。この印字は、印字ヘッド101を備えたインクキャリッジ203を、シャフト202に沿って走査方向に移動させることによりおこなう。
【0063】
すなわち、印字の際、インクキャリッジ203は、走査方向における一方の端部(シャフトの端部)に設けられたスタート位置に配置される。そして、印字要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置まで、走査方向に沿って移動されるようになっている。
【0064】
そして、この移動の際、印字ヘッド101が、印字要求に応じて記録用紙に対してインクを吐出する。これにより、印字ヘッド101によって、1走査分の画像(走査画像)を印字できるようになっている。なお、走査画像の幅は、印字ヘッド101の縦幅(シート搬送方向での幅)に相当する。
【0065】
また、1つの走査画像が印字された後、搬送ローラ107は、プラテン102上の記録用紙を、所定量だけ搬送させる。また、この搬送の間に、インクキャリッジ203は、スタート位置に復帰する(印字走査)。
【0066】
そして、本プリンタでは、このような印字走査を繰り返し行うことで、印字ヘッド101から吐出されるインクによって、印字要求に応じた情報を記録用紙に印字することができ、最後に、印字された紙は、排紙ローラ108を経て排紙トレイ109に排出され、ユーザーにドキュメント(印字物)として提供される。なお、図1および図2に示す構成は、以下の各実施形態において共通する。
【0067】
(実施形態1)
図3は、本実施形態における印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置を示す。この例では、同種インクのノズルは、用紙搬送方向に150個/インチ・ピッチで配列されている。黒BK、シアンC、ライトシアンLCのノズル列と、マゼンタM、ライトマゼンタLM、黄Yのノズル列は、用紙搬送方向に1/300インチずれた位置に配置されている。
【0068】
そのため、600DPI(ドット/インチ)の画像の場合、同一スキャンで隣接する位置に印字可能なインクは、黒BKとシアンCとライトシアンLC、または、マゼンタMとライトマゼンタLMと黄Yとなる。
【0069】
インクキャリッジ203の走査速度は320mm/secであり、BK、C、LCの各ノズル列の間隔と、M、LM、Yの各ノズル列の間隔は、それぞれ12mmに設定されており、印字方法は、マルチドロップ方式である。
【0070】
図4は、印字処理の流れを示すフローチャートである。インクの種類は、黒BK、シアンC、ライトシアンLC、マゼンタM、ライトマゼンタLM、黄Yの6種とする。印字ヘッド101におけるノズルの配置は図3の通りとし、所定の領域を、m画素×n画素とする。
【0071】
S1:各色への画像展開をおこなう。まず元の画像データを、各画素毎に、C、LC、M、LM、Y、BKの6種のインクについて、それぞれのドロップ数を割当てる。各種インク毎の最大ドロップ数をNmaxとする。
【0072】
S2:画像全域の各画素について、下記の処理を繰返す。
【0073】
S3:6種のインクついて、下記の処理を繰返す(繰返中のインクを、インクaとする。)
S4:同色インクが2種以上ある場合(シアンとマゼンタ)について、下記の処理を繰返す。同色インクが1種のみの場合、インクは置換えない。
【0074】
S5:一様な領域を見つける。『あるインク(例:シアンC)について、所定の領域(m画素×n画素)で、全画素におけるドロップ数がNmax/2を超えるか否か』を判断し、『超える』場合、次へ進む。
【0075】
S6:上記の領域の隣接の画素(インクキャリッジ203の走査方向について、両側にある隣接画素)について、下記の処理を繰返す。
【0076】
S7:上記のあるインク(シアンC)について、そのドロップ数がNmax/3以下であれば、次へ進む(その隣接画素間に境界があると判断する)。
【0077】
S8:異色インク(シアン以外のインク)について、下記の処理を繰返す。
【0078】
S9:『異色インクとインクaのインクヘッド配置は、同一ライン上にあり、その間隔は所定間隔以内か』を判断する。同一ライン上にあり、所定間隔以内であれば、次へ進む(同一ライン上にあれば、同一ライン走査で、この2種のインクが隣接画素として印字される。さらに、所定間隔以内であれば、その吐出時間差が短い)。
【0079】
S10:『上記の異色インクについて、上記隣接画素のドロップ数がNmax/2以上か否か』を判断し、『以上』なら次へ進む(ドロップ数が多いと滲みやすくなる)。
【0080】
S11:同色のインクに置換える(例:シアンCをライトシアンLCに置換える)。
【0081】
上記の様々な処理を繰返し、上記の各所定条件により、境界の画素を同色のインクで置換える。これにより、境界での滲みを防止することができる。
【0082】
図5に、黒BKの高濃度領域とシアンCの高濃度領域が隣接する場合の印字の概念図を示す。この2色の境界において、シアンCをライトシアンLCに置換えている。印字ヘッド101上のノズル配列において、ライトシアンLCと黒BKノズル間距離は24mmであり、シアンCと黒BKのノズル間距離は12mmである。隣接ドット印字の時間間隔は、それぞれ75msecと38msecとなる。
【0083】
このように、シアンCをライトシアンLCに置換えたことで(S11)、時間間隔が大に変更されるため、図6に示すように、滲み量は僅少となり、隣接部分に印字のある場合と無い場合の滲み量の差bである。なお、その滲み量は、図7より20μm程度となる(以下に説明)。
【0084】
図7は、隣接ドットの印字時間間隔と滲みの関係を示す。なお、この場合、印字密度は600DPIであり、ドットあたりのインク吐出量は20plである。この図から、境界部分で、シアンCをライトシアンLCに置き換えることにより、滲みが低減されることが判る。すなわち、隣接ドット印字の時間間隔は、38msecから75msecになるため、滲み量は、200μmから20μm程度にまで低下する。
【0085】
また、ドットの種類のみが置換えられているので、図14に示す従来例のように、ドットを小さくした時のように、白地部が発生しないため、白すじやバンディングが目立つようなことはない。
【0086】
(実施形態2)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は、図3に示す実施形態1と同様とし、印字処理の流れについても、図4に示す実施形態1と同様とし、マルチドロップ方式での印字がおこなわれる。また、各画素では、各種インク毎に、最大4ドロップ吐出可能である。所定サイズ領域を2画素×2画素とする。
【0087】
図8の印字の概念図に示すように、シアンCと黒BKのそれぞれの画像領域が存在する。2色共、最大ドロップ数で印字されている。例A〜例Dに示すように、画像データが構成されている場合について説明する。
【0088】
図4の処理フローを用いれば、例Aでは、所定サイズ領域が存在しないので、インクの置換えは実施されない。例Bでは、所定サイズ領域が存在するが、隣接する異色の画素がないので、インクの置換えは実施されない。
【0089】
例Cと例Dでは、所定サイズ領域が存在し、隣接する異色の画素があるので、インクの置換えが実施される。すなわち、実施形態1の場合と同様に、境界部分で、シアンCをライトシアンLCに置き換えることにより、滲みを低減することができる。
【0090】
(実施形態3)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は図9に示される。この場合、2色の境界において、隣接する2色の画素について、それぞれインクを置換えるようにする。
【0091】
図10の印字の概念図に示すように、シアンCとマゼンタMの境界において、隣接画素を、それぞれライトシアンLCとライトマゼンタLMに置換えている。ライトシアンLCとライトマゼンタLMへの置換えにより、ライトシアンLCのみの置換え(マゼンタMはそのまま)に比べ、2種インクのノズル列間隔が長くなる。すなわち隣接2画素の吐出時間差が長くなり、滲みを効果的に防止できる。
【0092】
さらに、1色と2色の置換えを合わせれば、インク置換えの選択の自由度が増す。滲み防止を、さらに確実に達成することができる。
【0093】
(実施形態4)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は図9に示される実施形態3と同様とする。この場合、2色の境界において、隣接する2色の画素について、走査ライン毎に交互に、2色のインクを置換えるようにする。
【0094】
図11の印字の概念図に示すように、シアンCとマゼンタMの境界において、隣接画素を、それぞれライトシアンLCまたはライトマゼンタLMに(交互に)置換えている。
【0095】
図9のように、ノズル列が配置されている場合、ライトシアンLCとライトマゼンタLMへの置換えにより、シアンCとマゼンタMに比べ、2種インクのノズル列間隔が長くなる。従って、隣接2画素の吐出時間間隔が長なり、滲みを効果的に防止することができる。
【0096】
また、1色のみの置換えに偏らないので、置換えの影響(インクの消費等)が分散される利点もある。
【0097】
(実施形態5)
本実施形態では、『1画素のみのインクの置換えは、実施しない』ようにしている。すなわち、図12の印字の概念図に示すように、所定サイズ領域を2画素×1画素(すなわち、何れか方向で2画素以上)とする。従って、1画素のみの画像では、所定サイズ領域についての条件が満足されないので、1画素のみのインクの置換えは行われない。
【0098】
1画素のみ置換えをさける理由は、領域の境界線の置換えに比べ、その影響が大きくなる場合がある。例えば、1画素の点を、濃い色から淡い色に置換えると、点が目立ちにくくなる。
【0099】
本実施形態では、このような不具合の発生を除去するために、上述のように所定サイズ領域を2画素×1画素として、2画素以上の場合ついてのみ、シアンCからライトシアンLCへの置き換えをおこない、滲みを効果的に防止できるようにしている。
【0100】
(実施形態6)
高密度印字では、ドット印字間隔が、ドットサイズに比べ、はるかに小さくなる場合がある。そのため、隣接ドットの重なりが大きくなる。この重なりのため、境界部での滲みも発生しやすくなる。従って、インクの置換えも、隣接の1ドットでは不十分となる。
【0101】
そこで、本実施形態では、所定の範囲内にあるドットに対し、インクを置換えるようにしている。すなわち、図13(a)(b)に示すように、上記所定の範囲(主走査方向)を、例えば、副走査方向(用紙送り方向)の走査ライン間隔の1.5倍とし、この範囲内で、シアンCをライトシアンLCに置き換えている。なお、上記所定の範囲(主走査方向)は、上記範囲に限られることなく、走査速度等の印字条件に応じて適宜に選択設定されてよく、例えば、走査ライン間隔の1〜2倍の範囲で選択されてよい。
【0102】
なお、その他の実施形態として、図示は省略するが、例えば、インクキャリッジ203の走査速度が、320mm/secの場合、ノズル列の間隔を20mm以上に設定することで、ノズル相互の吐出時間間隔を60msec以上とし、2色の境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0103】
また、印字ヘッド101のノズル列の間隔が、例えば、25mmの場合、インクキャリッジ203の走査速度を400mm/sec以下に設定すれば、ノズル相互の吐出時間間隔は60msec以上となるため、2色の境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0105】
(1)被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口の選択を変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定するので、インクの乾燥時間を確保できるため、境界部付近での滲みを効果的に抑制することができる。また、ドットの大きさを変化させないので、白筋やバンディングを発生させることがない。
【0106】
(2)吐出口の選択を変更する場合、同色で濃淡の異なるインクの吐出口を選択するので、原画像との相違を少なくすることができる。
【0107】
(3)境界の両方の領域で、吐出口の選択を変更するので、吐出口の選択肢が増えるため、滲みを、より効果的に防止することができる。
【0108】
(4)境界の片方の領域でのみ、吐出口の選択を変更するので、片側の領域でのみ、インクが変わるため、原画像との相違を少なくすることができる。
【0109】
(5)走査ライン毎に、境界の何れか片方の領域を選び、吐出口の選択を変更するので、インク変更の偏りを減らせるので、原画像との見た目の違いを少なくすることができる。
【0110】
(6)被印字面上の境界付近の所定範囲内への印字において、吐出口の選択を変更するので、所定範囲内に重心のあるドットについて、前記吐出口の選択を変更するため、滲みを効果的に防止できる。
【0111】
(7)所定範囲を、主走査方向において、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍の範囲に設定して、その吐出口の選択を変更するので、この範囲内の異色ドット相互の吐出時間間隔を長くできるので、滲みを効果的に防止することができる。
【0112】
(8)吐出口の選択の変更後、境界における隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定するので、先に吐出したインクの乾燥が進み、滲みを効果的に防止することができる。
【0113】
(9)隣接画素の吐出時間間隔を60〜120msに設定するので、滲み量を効果的に少なくすることができる。
【0114】
(10)所望の異なる色の吐出口の間に、他の吐出口を設けるので、異なる色の吐出口の間隔が長くなるため、異なる色の吐出時間間隔が長くなり、滲みを効果的に防止することができる。
【0115】
(11)1ライン走査内で、インクを吐出する複数の吐出口として、黒BK、シアンC、ライトシアンLCの順に並べるので、黒BKとライトシアンLCを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0116】
(12)1ライン走査内で、インクを吐出する複数の吐出口として、ライトマゼンタLM、マゼンタM、黄Yの順に並べるので、黄YとライトマゼンタLMを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0117】
(13)隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、吐出口の間隔を広げるので、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0118】
(14)隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、その走査領域での走査速度を遅くするので、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0119】
(15)全画素間のデータ変化量が第1所定値以内を満足する場合、同一領域と見し、さらに、第2所定値以上を満足する場合、前記領域に隣接する画素と前記領域との間に、境界があると見し、その境界部においてインク吐出口の選択を変更するので、滲みを効果的に防止することができる。
【0120】
(16)所定サイズの領域を構成する長方形の何れかの1辺の長さを、2画素以上とするので、1画素幅の領域に対するインク種類の置き換えを防ぐことができ、色の変化を目立たなくすることができる。
【0121】
(17)各画素を構成する何れかの種類のインクについて、高濃度の領域(最大ドロップ数の1/2以上)を見つけ、その高濃度部と低濃度の境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、滲みを効果的に防止することができる。
【0122】
また、低濃度(ドロップ数の少ない)の場合、インクを置換えないので、処理速度が上がる。さらに、色が変化することを防げる。また、低濃度の場合、インク吐出量が少ないため、滲みが発生しにくくなる。
【0123】
(18)所定サイズの領域に対し、その隣接画素の色が異なり、高濃度(最大ドロップ数の1/2以上)である場合、そこに境界があると見なし、その境界部においてインク吐出口の選択を変更するので、滲みを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同印字ヘッドのインクノズルの配列図である。
【図4】同印字フローを説明するためのフローチャートである。
【図5】同印字の概念図である。
【図6】同境界部におけるにじみの説明図である。
【図7】同印字間隔とにじみの関係を示す図である。
【図8】同別の印字の概念図である。
【図9】同別のインクノズルの配列図である。
【図10】同さらに別の印字の概念図である。
【図11】同異なる印字の概念図である。
【図12】同さらに異なる印字の概念図である。
【図13】同他の印字概念の説明図である。
【図14】従来の印字概念の説明図である。
【符号の説明】
C、LC、M、LM、Y、BK−インク吐出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を飛翔させて被記録材に画像を記録するようにしたインクジェット記録装置におけるインクの滲みを防止する技術に関する。
【0002】
【従来技術】
インクジェット記録装置では、デジタル信号に応答して、力学的もしくは熱的な作用により、媒体上にインク滴を吐出させて紙などの被記録材に画像を形成する。この記録方法は、ノンインパクト記録法の代表的なものであり、電子写真方式等の記録法に見られるような現像や定着といったプロセスを含まないため、装置の構成が簡易でコンパクト化が可能であり、高速かつ低騒音で記録できる特長がある。
【0003】
また、インクジェット記録装置は、比較的安価で、カラー化も容易であるので、近年では事務用および家庭用パーソナルコンピューターの出力機器として広く用いられるようになってきた。このようなインクジェット記録方式でフルカラー化を実現するには、忠実に中間調を再現する必要があり、その中間調表現方法には、ディザ法、誤差拡散法等が用いられる。
【0004】
しかし、これらの方法では、ハイライト部に粒状感が発生する。そこで、例えば、登録特許2717798号公報には、濃度の異なる同色のインクを使い分けることにより、つまり、淡インクのみで記録する低記録濃度領域と濃インクのみで記録する高記録濃度領域との間に、濃インクの小ドットと、淡インクの大ドットとを交互に打つ中間濃度領域を設けることによって、つなぎ部の目立たない中間調を再現しようとした方法が提案されている。
【0005】
ところが、このような方法では、印字速度を上げると、2色の境界部分で、滲みが発生する。そこで、このような滲みを防止するために、例えば、登録特許2752421号公報、2620313号公報には、2色の境界部分を検知し、その隣接部のドットを間引いたり、小さくしたりするような方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例(登録特許2752421号公報、2620313号公報)のように、滲みの発生を防止するために、境界部分で、ドットを小さくしたり、ドットを間引いたりすると、白筋やバンディングが発生しやすくなる。図14は、滲みの発生を抑えるために、境界部で部分的にドットを小さくした場合の概念図を示す。同図に示すように、ドットを小さくすれば、各ドット相互の重なりが減り、滲みの発生は抑えられる。
【0007】
しかし、紙送りのずれ、インク吐出口の走査のずれ、インク滴の飛翔方向のずれ等により、ドットの印字位置がずれることがある。また、ドットを小さくすると、隣接ドット間に、ドット位置誤差による隙間が生じやすくなり、白地部が目立ちやすくなる(図14におけるシアンCと黒BKの境界を参照)。そのため、印字画像上でのドット位置誤差により、白筋やバンディングが発生する。ドットを間引いた場合には、さらに白筋やバンディングが目立ちやすくなる。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、白筋やバンディングを発生させることなく、滲みを効果的に防止できるようにしたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下のように構成している。
【0010】
(1)1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット装置であって、
被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口の選択を変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定することを特徴とする。
【0011】
1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出する場合、隣接画素に、短時間内に、異なる色インクが印字されることがある。そのとき、隣接画素間で滲みが発生しやすくなる。
【0012】
この構成においては、隣接画素への吐出時間間隔を、所定時間より長くすることで、インクの乾燥時間を確保できるため、滲みを効果的に抑制することができる。
【0013】
また、ドットの大きさを変化させないので、白筋やバンディングを発生させることがない。
【0014】
(2)前記インク吐出口の選択を変更する場合、同色で濃淡の異なるインク吐出口を選択することを特徴とする。
【0015】
この構成においては、同色で濃淡の異なるインクを選択することで、原画像との相違を少なくすることができる。
【0016】
(3)前記境界の両方の領域で、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0017】
この構成においては、インク吐出口の選択肢が増えるため、滲みを、より効果的に防止することができる。
【0018】
(4)前記境界の片方の領域でのみ、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0019】
この構成においては、片側の領域でのみ、インクが変わるので、原画像との相違を少なくすることができる。
【0020】
(5)走査ライン毎に、前記境界の何れか片方の領域を選び、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0021】
この構成においては、インク変更の偏りを減らせるので、原画像との見た目の違いを少なくすることができる。
【0022】
(6)被印字面上の前記境界付近の所定範囲内への印字において、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0023】
高密度で印字する場合、1ドットの広がりの中に、複数のドットが重なりやすくなるため、滲みが発生する。
【0024】
この構成においては、所定範囲内に重心のあるドットについて、前記インク吐出口の選択を変更することで、滲みを効果的に防止できる。
【0025】
(7)前記所定範囲を、主走査方向において、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍に設定することを特徴とする。
【0026】
主走査方向とは、インクキャリッジの走査方向である。また、ラインピッチ幅とは、副走査方向(用紙搬送方向)についての隣接走査ライン間の間隔のことでである。
【0027】
この構成においては、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍の範囲内のドットについて、そのインク吐出口の選択を変更することで、この範囲内の異色ドット相互の吐出時間間隔を長くできるので、滲みを効果的に防止することができる。
【0028】
(8)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定することを特徴とする。
【0029】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定することで、先に吐出したインクの乾燥が進み、滲みを効果的に防止することができる。
【0030】
(9)前記所定時間を60〜120msに設定することを特徴とする。
【0031】
この構成においては、図7から判るように、隣接画素の吐出時間間隔を60〜120msに設定するので、滲み量が少なくすることができる。
【0032】
(10)所望の前記異なる色のインク吐出口の間に、他のインク吐出口を設けたことを特徴とする。
【0033】
この構成においては、他のインク吐出口が異なる色のインク吐出口の間に入るので、異なる色のインク吐出口の間隔が長くなる。そのため、異なる色の吐出時間間隔が長くなり、滲みを効果的に防止することができる。
【0034】
(11)前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、黒BK、シアンC、ライトシアンLCの順に並べることを特徴とする。
【0035】
この構成においては、黒とライトシアンを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0036】
(12)前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、ライトマゼンタLM、マゼンタM、黄Yの順に並べることを特徴とする。
【0037】
この構成においては、黄とライトマゼンタを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0038】
(13)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となるように、それらのインク吐出口の間隔を設定することを特徴とする。
【0039】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、インク吐出口の間隔を広げることにより、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0040】
(14)前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が所定時間以上となるように、その走査領域での走査速度を設定することを特徴とする。
【0041】
この構成においては、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、その走査領域での走査速度を遅くすることで、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0042】
(15)画像データ上で所定サイズの領域において、全画素間のデータ変化量が第1所定値以内であり、前記領域に隣接する画素と前記領域内の画素とのデータ変化が第2所定値以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0043】
この構成においては、第1所定値以内を満足する場合、前記領域を同一領域と見なす。さらに、第2所定値以上を満足する場合、前記領域に隣接する画素と前記領域との間に、境界があると見なす。そして、その境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0044】
(16)前記所定サイズの領域の外形を長方形とし、その何れかの1辺の長さを2画素以上とすることを特徴とする。
【0045】
この構成においては、所定サイズの領域を構成する長方形の何れかの1辺の長さを、2画素以上とすることにより、1画素幅の領域に対するインク種類の置き換えを防げる(1画素幅の領域でインクを置き換えると、色の変化が目立ちやすくなる)。
【0046】
(17)前記所定サイズの領域内の全画素において、前記第1所定値以内の条件を、何れかの種類のインクのドロップ数が、前記領域内の全画素について、その最大ドロップ数の1/2以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする。
【0047】
マルチドロップ方式(1画素内にインク滴を多数回吐出する)において、高濃度(ドロップ数の多い)の場合、画素当りのインク吐出量が多くなり、滲みが発生しやすくなる。
【0048】
この構成においては、各画素を構成する何れかの種類のインクについて、高濃度の領域(最大ドロップ数の1/2以上)を見つけ、その高濃度部と低濃度(例えば、最大ドロップ数の1/3以下)の境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0049】
また、低濃度(ドロップ数の少ない)の場合、インクを置換えないので、処理速度が上がる。さらに、色が変化することを防げる。低濃度の場合、インク吐出量が少ないため、滲みが発生しにくくなる。なお、最大ドロップ数とは、1画素内で吐出可能な最大ドロップ数のことである。
【0050】
(18)前記第2の所定値は、前記所定サイズ領域の隣接の画素において、前記所定サイズ領域内とは異なる何れかの種類のインクのドロップ数が、その最大ドロップ数の1/2以上であることを特徴とする。
【0051】
この構成においては、前記所定サイズ領域に対し、その隣接画素の色が異なり、高濃度(最大ドロップ数の1/2以上)である場合、そこに境界があると見なし、その境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0053】
(インクジェット記録装置)
図1および図2は、インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)の構成を示し、これらの図に示すように、このインクジェット記録装置は、記録用紙に印字を行う印字部81と、記録用紙をプリンタに供給する給紙部82と、記録用紙を印字部81まで搬送する搬送部83と、印字された記録用紙を排出する排出部85とから構成されている。
【0054】
給紙部82は、給紙トレイ103、分離板105、給紙ローラ104を有している。給紙トレイ103は、印字にかかる記録用紙を収容・給紙し、分離板105および給紙ローラ104は、給紙トレイ103に収容された記録用紙を一枚ずつ分離して搬送部83に供給する。
【0055】
搬送部83は、ガイド板106、搬送ローラ107を有しており、ガイド板106は、給紙ローラ104から給紙されてきた記録用紙を印字部81に導き、搬送ローラ107は、ガイド板106上を通過した記録用紙を印字ヘッド101まで搬送する。
【0056】
印字部81は、インクキャリッジ203、シャフト202、プラテン102を有しており、インクキャリッジ203は、印字ヘッド101をシャフト202に沿って移動させるためのものであり、6つのインクカートリッジ(不図示)および上記印字ヘッド101を備えている。
【0057】
インクカートリッジは、インクを貯留(蓄積)するとともに、印字ヘッド101にインクを供給するものであり、印字ヘッド101の上部に取り付けられている。また、本プリンタでは、互いに色の異なる6色(ブラック、イエロー,マゼンタ,シアン、ライトマゼンタ,ライトシアン)のインクを使用するようになっており、各インクを蓄積するために、6つのインクカートリッジを備えている。
【0058】
印字ヘッド101は、カートリッジから供給されたインクを吐出口(不図示)から吐出して、記録用紙に画像を形成するものであり、シャフト202は、インクキャリッジ203を、走査方向に沿って移動できるように案内する。ここで、走査方向とは、記録用紙の搬送方向に対して垂直な方向のことである。
【0059】
プラテン102は、印字(インク吐出)の際、記録用紙を載置するための台(印字台)となるものであり、記録用紙における平坦性の維持、および、印字ヘッド101の下部に設けられている吐出口(不図示)と記録用紙との距離調整を行う。排出部85は、排出ローラ108、排出トレイ109を有しており、排出ローラ108は、印字ヘッド101で印字された記録用紙を排出トレイ109に排出する。
【0060】
次に、本プリンタの印字動作について説明する。
【0061】
まず、ユーザーが、記録用紙をプリンタの給紙トレイ103上に載置する。そして、本プリンタがコンピュータ等の印字要求を受信したとき、分離板105と給紙ローラ104とが、記録用紙を1枚ずつ搬送部83に給紙する。そして、給紙された記録用紙は、ガイド板106に支えられながら搬送ローラ107によって搬送される。
【0062】
次に、印字ヘッド101が、搬送されてきた記録用紙に対してインクを吐出して印字を行う。この印字は、印字ヘッド101を備えたインクキャリッジ203を、シャフト202に沿って走査方向に移動させることによりおこなう。
【0063】
すなわち、印字の際、インクキャリッジ203は、走査方向における一方の端部(シャフトの端部)に設けられたスタート位置に配置される。そして、印字要求に応じて、他方の端部に設けられた停止位置まで、走査方向に沿って移動されるようになっている。
【0064】
そして、この移動の際、印字ヘッド101が、印字要求に応じて記録用紙に対してインクを吐出する。これにより、印字ヘッド101によって、1走査分の画像(走査画像)を印字できるようになっている。なお、走査画像の幅は、印字ヘッド101の縦幅(シート搬送方向での幅)に相当する。
【0065】
また、1つの走査画像が印字された後、搬送ローラ107は、プラテン102上の記録用紙を、所定量だけ搬送させる。また、この搬送の間に、インクキャリッジ203は、スタート位置に復帰する(印字走査)。
【0066】
そして、本プリンタでは、このような印字走査を繰り返し行うことで、印字ヘッド101から吐出されるインクによって、印字要求に応じた情報を記録用紙に印字することができ、最後に、印字された紙は、排紙ローラ108を経て排紙トレイ109に排出され、ユーザーにドキュメント(印字物)として提供される。なお、図1および図2に示す構成は、以下の各実施形態において共通する。
【0067】
(実施形態1)
図3は、本実施形態における印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置を示す。この例では、同種インクのノズルは、用紙搬送方向に150個/インチ・ピッチで配列されている。黒BK、シアンC、ライトシアンLCのノズル列と、マゼンタM、ライトマゼンタLM、黄Yのノズル列は、用紙搬送方向に1/300インチずれた位置に配置されている。
【0068】
そのため、600DPI(ドット/インチ)の画像の場合、同一スキャンで隣接する位置に印字可能なインクは、黒BKとシアンCとライトシアンLC、または、マゼンタMとライトマゼンタLMと黄Yとなる。
【0069】
インクキャリッジ203の走査速度は320mm/secであり、BK、C、LCの各ノズル列の間隔と、M、LM、Yの各ノズル列の間隔は、それぞれ12mmに設定されており、印字方法は、マルチドロップ方式である。
【0070】
図4は、印字処理の流れを示すフローチャートである。インクの種類は、黒BK、シアンC、ライトシアンLC、マゼンタM、ライトマゼンタLM、黄Yの6種とする。印字ヘッド101におけるノズルの配置は図3の通りとし、所定の領域を、m画素×n画素とする。
【0071】
S1:各色への画像展開をおこなう。まず元の画像データを、各画素毎に、C、LC、M、LM、Y、BKの6種のインクについて、それぞれのドロップ数を割当てる。各種インク毎の最大ドロップ数をNmaxとする。
【0072】
S2:画像全域の各画素について、下記の処理を繰返す。
【0073】
S3:6種のインクついて、下記の処理を繰返す(繰返中のインクを、インクaとする。)
S4:同色インクが2種以上ある場合(シアンとマゼンタ)について、下記の処理を繰返す。同色インクが1種のみの場合、インクは置換えない。
【0074】
S5:一様な領域を見つける。『あるインク(例:シアンC)について、所定の領域(m画素×n画素)で、全画素におけるドロップ数がNmax/2を超えるか否か』を判断し、『超える』場合、次へ進む。
【0075】
S6:上記の領域の隣接の画素(インクキャリッジ203の走査方向について、両側にある隣接画素)について、下記の処理を繰返す。
【0076】
S7:上記のあるインク(シアンC)について、そのドロップ数がNmax/3以下であれば、次へ進む(その隣接画素間に境界があると判断する)。
【0077】
S8:異色インク(シアン以外のインク)について、下記の処理を繰返す。
【0078】
S9:『異色インクとインクaのインクヘッド配置は、同一ライン上にあり、その間隔は所定間隔以内か』を判断する。同一ライン上にあり、所定間隔以内であれば、次へ進む(同一ライン上にあれば、同一ライン走査で、この2種のインクが隣接画素として印字される。さらに、所定間隔以内であれば、その吐出時間差が短い)。
【0079】
S10:『上記の異色インクについて、上記隣接画素のドロップ数がNmax/2以上か否か』を判断し、『以上』なら次へ進む(ドロップ数が多いと滲みやすくなる)。
【0080】
S11:同色のインクに置換える(例:シアンCをライトシアンLCに置換える)。
【0081】
上記の様々な処理を繰返し、上記の各所定条件により、境界の画素を同色のインクで置換える。これにより、境界での滲みを防止することができる。
【0082】
図5に、黒BKの高濃度領域とシアンCの高濃度領域が隣接する場合の印字の概念図を示す。この2色の境界において、シアンCをライトシアンLCに置換えている。印字ヘッド101上のノズル配列において、ライトシアンLCと黒BKノズル間距離は24mmであり、シアンCと黒BKのノズル間距離は12mmである。隣接ドット印字の時間間隔は、それぞれ75msecと38msecとなる。
【0083】
このように、シアンCをライトシアンLCに置換えたことで(S11)、時間間隔が大に変更されるため、図6に示すように、滲み量は僅少となり、隣接部分に印字のある場合と無い場合の滲み量の差bである。なお、その滲み量は、図7より20μm程度となる(以下に説明)。
【0084】
図7は、隣接ドットの印字時間間隔と滲みの関係を示す。なお、この場合、印字密度は600DPIであり、ドットあたりのインク吐出量は20plである。この図から、境界部分で、シアンCをライトシアンLCに置き換えることにより、滲みが低減されることが判る。すなわち、隣接ドット印字の時間間隔は、38msecから75msecになるため、滲み量は、200μmから20μm程度にまで低下する。
【0085】
また、ドットの種類のみが置換えられているので、図14に示す従来例のように、ドットを小さくした時のように、白地部が発生しないため、白すじやバンディングが目立つようなことはない。
【0086】
(実施形態2)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は、図3に示す実施形態1と同様とし、印字処理の流れについても、図4に示す実施形態1と同様とし、マルチドロップ方式での印字がおこなわれる。また、各画素では、各種インク毎に、最大4ドロップ吐出可能である。所定サイズ領域を2画素×2画素とする。
【0087】
図8の印字の概念図に示すように、シアンCと黒BKのそれぞれの画像領域が存在する。2色共、最大ドロップ数で印字されている。例A〜例Dに示すように、画像データが構成されている場合について説明する。
【0088】
図4の処理フローを用いれば、例Aでは、所定サイズ領域が存在しないので、インクの置換えは実施されない。例Bでは、所定サイズ領域が存在するが、隣接する異色の画素がないので、インクの置換えは実施されない。
【0089】
例Cと例Dでは、所定サイズ領域が存在し、隣接する異色の画素があるので、インクの置換えが実施される。すなわち、実施形態1の場合と同様に、境界部分で、シアンCをライトシアンLCに置き換えることにより、滲みを低減することができる。
【0090】
(実施形態3)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は図9に示される。この場合、2色の境界において、隣接する2色の画素について、それぞれインクを置換えるようにする。
【0091】
図10の印字の概念図に示すように、シアンCとマゼンタMの境界において、隣接画素を、それぞれライトシアンLCとライトマゼンタLMに置換えている。ライトシアンLCとライトマゼンタLMへの置換えにより、ライトシアンLCのみの置換え(マゼンタMはそのまま)に比べ、2種インクのノズル列間隔が長くなる。すなわち隣接2画素の吐出時間差が長くなり、滲みを効果的に防止できる。
【0092】
さらに、1色と2色の置換えを合わせれば、インク置換えの選択の自由度が増す。滲み防止を、さらに確実に達成することができる。
【0093】
(実施形態4)
本実施形態おける印字ヘッド101のノズル(吐出口)の配置は図9に示される実施形態3と同様とする。この場合、2色の境界において、隣接する2色の画素について、走査ライン毎に交互に、2色のインクを置換えるようにする。
【0094】
図11の印字の概念図に示すように、シアンCとマゼンタMの境界において、隣接画素を、それぞれライトシアンLCまたはライトマゼンタLMに(交互に)置換えている。
【0095】
図9のように、ノズル列が配置されている場合、ライトシアンLCとライトマゼンタLMへの置換えにより、シアンCとマゼンタMに比べ、2種インクのノズル列間隔が長くなる。従って、隣接2画素の吐出時間間隔が長なり、滲みを効果的に防止することができる。
【0096】
また、1色のみの置換えに偏らないので、置換えの影響(インクの消費等)が分散される利点もある。
【0097】
(実施形態5)
本実施形態では、『1画素のみのインクの置換えは、実施しない』ようにしている。すなわち、図12の印字の概念図に示すように、所定サイズ領域を2画素×1画素(すなわち、何れか方向で2画素以上)とする。従って、1画素のみの画像では、所定サイズ領域についての条件が満足されないので、1画素のみのインクの置換えは行われない。
【0098】
1画素のみ置換えをさける理由は、領域の境界線の置換えに比べ、その影響が大きくなる場合がある。例えば、1画素の点を、濃い色から淡い色に置換えると、点が目立ちにくくなる。
【0099】
本実施形態では、このような不具合の発生を除去するために、上述のように所定サイズ領域を2画素×1画素として、2画素以上の場合ついてのみ、シアンCからライトシアンLCへの置き換えをおこない、滲みを効果的に防止できるようにしている。
【0100】
(実施形態6)
高密度印字では、ドット印字間隔が、ドットサイズに比べ、はるかに小さくなる場合がある。そのため、隣接ドットの重なりが大きくなる。この重なりのため、境界部での滲みも発生しやすくなる。従って、インクの置換えも、隣接の1ドットでは不十分となる。
【0101】
そこで、本実施形態では、所定の範囲内にあるドットに対し、インクを置換えるようにしている。すなわち、図13(a)(b)に示すように、上記所定の範囲(主走査方向)を、例えば、副走査方向(用紙送り方向)の走査ライン間隔の1.5倍とし、この範囲内で、シアンCをライトシアンLCに置き換えている。なお、上記所定の範囲(主走査方向)は、上記範囲に限られることなく、走査速度等の印字条件に応じて適宜に選択設定されてよく、例えば、走査ライン間隔の1〜2倍の範囲で選択されてよい。
【0102】
なお、その他の実施形態として、図示は省略するが、例えば、インクキャリッジ203の走査速度が、320mm/secの場合、ノズル列の間隔を20mm以上に設定することで、ノズル相互の吐出時間間隔を60msec以上とし、2色の境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0103】
また、印字ヘッド101のノズル列の間隔が、例えば、25mmの場合、インクキャリッジ203の走査速度を400mm/sec以下に設定すれば、ノズル相互の吐出時間間隔は60msec以上となるため、2色の境界での滲みを効果的に防止することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、以下の効果を奏する。
【0105】
(1)被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口の選択を変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定するので、インクの乾燥時間を確保できるため、境界部付近での滲みを効果的に抑制することができる。また、ドットの大きさを変化させないので、白筋やバンディングを発生させることがない。
【0106】
(2)吐出口の選択を変更する場合、同色で濃淡の異なるインクの吐出口を選択するので、原画像との相違を少なくすることができる。
【0107】
(3)境界の両方の領域で、吐出口の選択を変更するので、吐出口の選択肢が増えるため、滲みを、より効果的に防止することができる。
【0108】
(4)境界の片方の領域でのみ、吐出口の選択を変更するので、片側の領域でのみ、インクが変わるため、原画像との相違を少なくすることができる。
【0109】
(5)走査ライン毎に、境界の何れか片方の領域を選び、吐出口の選択を変更するので、インク変更の偏りを減らせるので、原画像との見た目の違いを少なくすることができる。
【0110】
(6)被印字面上の境界付近の所定範囲内への印字において、吐出口の選択を変更するので、所定範囲内に重心のあるドットについて、前記吐出口の選択を変更するため、滲みを効果的に防止できる。
【0111】
(7)所定範囲を、主走査方向において、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍の範囲に設定して、その吐出口の選択を変更するので、この範囲内の異色ドット相互の吐出時間間隔を長くできるので、滲みを効果的に防止することができる。
【0112】
(8)吐出口の選択の変更後、境界における隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定するので、先に吐出したインクの乾燥が進み、滲みを効果的に防止することができる。
【0113】
(9)隣接画素の吐出時間間隔を60〜120msに設定するので、滲み量を効果的に少なくすることができる。
【0114】
(10)所望の異なる色の吐出口の間に、他の吐出口を設けるので、異なる色の吐出口の間隔が長くなるため、異なる色の吐出時間間隔が長くなり、滲みを効果的に防止することができる。
【0115】
(11)1ライン走査内で、インクを吐出する複数の吐出口として、黒BK、シアンC、ライトシアンLCの順に並べるので、黒BKとライトシアンLCを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0116】
(12)1ライン走査内で、インクを吐出する複数の吐出口として、ライトマゼンタLM、マゼンタM、黄Yの順に並べるので、黄YとライトマゼンタLMを選択すれば、吐出時間間隔が長くなるため、滲みを効果的に防止することができる。
【0117】
(13)隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、吐出口の間隔を広げるので、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0118】
(14)隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上に達しない場合、その走査領域での走査速度を遅くするので、隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となる選択が可能となり、滲みを効果的に防止することができる。
【0119】
(15)全画素間のデータ変化量が第1所定値以内を満足する場合、同一領域と見し、さらに、第2所定値以上を満足する場合、前記領域に隣接する画素と前記領域との間に、境界があると見し、その境界部においてインク吐出口の選択を変更するので、滲みを効果的に防止することができる。
【0120】
(16)所定サイズの領域を構成する長方形の何れかの1辺の長さを、2画素以上とするので、1画素幅の領域に対するインク種類の置き換えを防ぐことができ、色の変化を目立たなくすることができる。
【0121】
(17)各画素を構成する何れかの種類のインクについて、高濃度の領域(最大ドロップ数の1/2以上)を見つけ、その高濃度部と低濃度の境界部においてインク吐出口の選択を変更することで、滲みを効果的に防止することができる。
【0122】
また、低濃度(ドロップ数の少ない)の場合、インクを置換えないので、処理速度が上がる。さらに、色が変化することを防げる。また、低濃度の場合、インク吐出量が少ないため、滲みが発生しにくくなる。
【0123】
(18)所定サイズの領域に対し、その隣接画素の色が異なり、高濃度(最大ドロップ数の1/2以上)である場合、そこに境界があると見なし、その境界部においてインク吐出口の選択を変更するので、滲みを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の斜視図である。
【図2】同断面図である。
【図3】同印字ヘッドのインクノズルの配列図である。
【図4】同印字フローを説明するためのフローチャートである。
【図5】同印字の概念図である。
【図6】同境界部におけるにじみの説明図である。
【図7】同印字間隔とにじみの関係を示す図である。
【図8】同別の印字の概念図である。
【図9】同別のインクノズルの配列図である。
【図10】同さらに別の印字の概念図である。
【図11】同異なる印字の概念図である。
【図12】同さらに異なる印字の概念図である。
【図13】同他の印字概念の説明図である。
【図14】従来の印字概念の説明図である。
【符号の説明】
C、LC、M、LM、Y、BK−インク吐出口
Claims (18)
- 1ライン走査内で、複数のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット装置であって、
被印字面上の画像の境界付近において、前記境界の隣接画素相互の吐出時間間隔が、所定インクについての所定時間より短い場合、前記境界付近でのインク吐出口の選択を変更し、前記吐出時間間隔を前記所定時間より長く設定することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インク吐出口の選択を変更する場合、同色で濃淡の異なるインク吐出口を選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記境界の両方の領域で、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記境界の片方の領域でのみ、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 走査ライン毎に、前記境界の何れか片方の領域を選び、インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 被印字面上の前記境界付近の所定範囲内への印字において、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定範囲を、主走査方向において、前記境界からラインピッチ幅の1〜2倍の範囲に設定することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
- 前記吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔を所定時間以上に設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定時間を60〜120msに設定することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
- 所望の前記異なる色のインク吐出口の間に、他のインク吐出口を設けたことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、黒BK、シアンC、ライトシアンLCの順に並べることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
- 前記1ライン走査内で、インクを吐出する前記複数のインク吐出口として、ライトマゼンタLM、マゼンタM、黄Yの順に並べることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が、所定時間以上となるように、それらのインク吐出口の間隔を設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク吐出口の選択の変更後、前記境界における隣接画素の吐出時間間隔が所定時間以上となるように、その走査領域での走査速度を設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 画像データ上で所定サイズの領域において、全画素間のデータ変化量が第1所定値以内であり、前記領域に隣接する画素と前記領域内の画素とのデータ変化が第2所定値以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定サイズの領域の外形を長方形とし、その何れかの1辺の長さを2画素以上とすることを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録装置。
- 前記所定サイズの領域内の全画素において、前記第1所定値以内の条件を、何れかの種類のインクのドロップ数が、前記領域内の全画素について、その最大ドロップ数の1/2以上となる場合、前記インク吐出口の選択を変更することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録装置。
- 前記第2の所定値は、前記所定サイズ領域の隣接の画素において、前記所定サイズ領域内とは異なる何れかの種類のインクのドロップ数が、その最大ドロップ数の1/2以上であることを特徴とする請求項17に記載のインクジェット記録装置。
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2002
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