JP2004033848A - 逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力エネルギを低減できるとともに、逆浸透法で生じる濃縮海水の処理を不要とした逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法を提供する。
【解決手段】海水中の2価イオンを除去する2価イオン除去装置(NFモジュール)4と、2価イオンが除去された海水から淡水と濃縮海水とを生成する逆浸透膜(RO)モジュール6と、濃縮海水からかん水を製造するイオン交換膜装置8とを備えた逆浸透膜を用いたかん水製造装置20である。
【選択図】 図1
【解決手段】海水中の2価イオンを除去する2価イオン除去装置(NFモジュール)4と、2価イオンが除去された海水から淡水と濃縮海水とを生成する逆浸透膜(RO)モジュール6と、濃縮海水からかん水を製造するイオン交換膜装置8とを備えた逆浸透膜を用いたかん水製造装置20である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は製塩等に用いるかん水の製造装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製塩方法としてイオン交換膜法が普及している。この方法は、カチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、その間に原海水を導入して両端から電流を流すことにより、膜間に塩分濃度の高い水(かん水)と塩分濃度の低い水(脱塩水)が交互に集まることを利用した技術である。そして、かん水を真空式蒸発缶等で煮詰めることにより、塩の結晶を得ることができる。
【0003】
一方、海水を脱塩して淡水を得る方法として逆浸透(RO:Reverse Osmosis)法が知られている。逆浸透法は、逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させる技術である。この逆浸透法は、例えば逆浸透膜を耐圧容器に収容したモジュールを多数備えた逆浸透膜装置により実用規模で操業されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の逆浸透法の場合、淡水とは別に濃縮海水が生じるが、塩分濃度が高いためそのまま環境に排出すると生態系に影響を与えるので、その処理が問題となっている。また、イオン交換膜製塩法においては、イオン交換膜の電力エネルギが大きく、エネルギ低減が要望されている。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、イオン交換膜法でかん水を製造する際の電力エネルギを低減できるとともに、逆浸透法で生じる濃縮海水の処理を不要とした逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の逆浸透膜を用いたかん水製造装置は、海水中の2価イオンを除去する2価イオン除去装置と、前記2価イオンが除去された海水から淡水と濃縮海水とを生成する逆浸透膜モジュールと、前記濃縮海水からかん水を製造するイオン交換膜装置とを備えたことを特徴とする。
このようにすると、2価イオンが除去されて1価イオンの割合が多くなった海水をイオン交換膜装置に導入するので、イオン交換膜法での回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。又、逆浸透膜モジュールにより塩分濃度の高い濃縮海水をイオン交換膜装置に導入できるので、さらにイオン交換膜法での回収効率が高くなり、電力エネルギが低減される。また、予め2価イオンを除去するので逆浸透モジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げることができ、それによりイオン交換膜法の電力エネルギをさらに低減できる。
【0007】
前記2価イオン除去装置で生成された2価イオンの濃縮溶液から、該2価イオンを回収する回収装置をさらに備えると好ましい。
このようにすると、資源価値の高い2価イオンを回収できる。
【0008】
前記イオン交換膜装置で生じた脱塩水、又は前記回収装置で前記2価イオンを回収後の溶液を、前記2価イオン除去装置に供給する戻り流路をさらに備えると好ましい。
このようにすると、この溶液が逆浸透膜モジュールに導入されるので、淡水の生産効率が向上し、淡水製造コストを低減することができる。
【0009】
前記2価イオン除去装置は、ナノ濾過による膜分離装置であると好ましい。
このようにすると、2価イオンをより選択的に除去できる。
【0010】
本発明の逆浸透膜を用いたかん水製造方法は、海水中の2価イオンを除去する工程と、前記2価イオンが除去された逆浸透膜法により海水から淡水と濃縮海水とを生成する工程と、前記濃縮海水からイオン交換膜法によりかん水を製造する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る逆浸透膜を用いたかん水製造装置の構成を各図に基づいて説明する。
【0012】
図1は逆浸透膜を用いたかん水製造装置の全体構成を示す。この図において、かん水製造装置20は、所定の前処理装置2、NF(Nano filtration)モジュール(2価イオン除去装置)4、逆浸透膜(RO)モジュール6を直列に接続して構成されている。また、NFモジュール4、ROモジュール6の入側にはそれぞれ高圧ポンプ14a、14bが配置され、これらは電源16から電源供給を受けて各モジュールへの供給水を加圧する。そして、NFモジュール4で分離された2価イオンの濃縮溶液は、回収装置10に導入されて2価イオンが回収される。一方、ROモジュール6で生成された濃縮海水は、イオン交換膜装置8に導入されてかん水が製造される。さらに、得られたかん水は真空式蒸発缶等からなる製塩装置50に導入されて煮詰められ、塩の結晶(NaCl)となる。
【0013】
このような構成とすることにより、イオン交換膜法でかん水を製造する際の電力コスト低減が図られる。つまり、イオン交換膜による電気透析では、供給水中の塩分濃度が高いほど、又、供給水中に2価イオンが少なく1価イオンの割合が多いほど、回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。そこで、まず、NFモジュールにより海水中の2価イオンを除去することで、イオン交換膜法での電力エネルギが低減される。
【0014】
又、海水をROモジュールに通すことにより得られた塩分濃度の高い濃縮海水をイオン交換膜装置に導入することで、さらにイオン交換膜法での電力エネルギが低減される。ここで、ROモジュールの運転(主として高圧ポンプ)に要する電力エネルギは、イオン交換膜装置の運転用の電力エネルギより遥かに少ないので、ROモジュールを設けても全体の電力エネルギの低減が図られる。
【0015】
さらに、ROモジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げようとすると、一般には逆浸透膜上に供給海水中の2価イオンが付着する等(例えばファウリング現象)により連続運転ができなくなるが、本発明ではROモジュールの前段にNFモジュールを設けているので、濃縮海水の塩濃度を高くして連続運転ができ、その結果として、イオン交換膜法での電力エネルギをさらに低減することができる。
【0016】
次に、原海水からかん水を製造する方法について説明する。まず、原海水は前処理装置2に供給されて濁質成分を除去される。前処理装置2としては、公知の砂濾過装置や、UF(限外濾過)あるいはMF(精密濾過)による膜濾過装置、あるいはDMF(Dual Media Filter)を用いることができ、被処理水中のSS濃度を2〜3ppm程度に濾過し、下工程での各モジュールの目詰りを防止する。
【0017】
前処理海水は、高圧ポンプ14aで昇圧されてNFモジュール4に導入される。NFモジュール4は、ナノ濾過膜分離装置であり、約2nmより小さい程度の粒子を除去するので、海水中の2価イオンが主に除去される。例えば一般のナノ濾過膜を用いた場合、2価イオンの除去(回収)率は95%以上であるのに対し、1価イオンの除去(回収)率は60%程度である。そして、NFモジュール4で生成した2価イオンの濃縮溶液は、回収装置10でイオン吸着、蒸発等により2価イオンが資源として回収される。回収される2価イオンとしては、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等がある。
【0018】
一方、NFモジュール4で2価イオンが除去された海水(1価イオンを多く含む)は、ROモジュール6に導入されて(生産水)淡水と濃縮海水とに分離される。生産水は適宜利用され、濃縮海水はイオン交換膜装置8に導入され、電気透析されてかん水と脱塩水とに分離され、かん水は上記したように製塩に供される。ROモジュール6では、一般には1価イオン、2価イオンの除去(回収)率はそれぞれ99.5%。99.8%程度である。
【0019】
そして、回収装置10で2価イオン回収後に残った溶液、及びイオン交換膜装置8で生じた脱塩水は、戻り流路12を通ってNFモジュール4に供給され、再度上記各工程で処理される。なお、戻り流路12から塩類(1、2価)濃度の低い溶液をNFモジュールに戻すことで、この溶液がROモジュール6に導入されるので、淡水の生産効率が向上し、淡水製造コストを低減することができる。
【0020】
図2は、イオン交換膜装置8の構成を示す。この図において、アニオン交換膜8a、カチオン交換膜8bが交互に、かつ膜間隔を開けて積層されている。隣接する膜間にはROモジュールから濃縮海水が供給される。イオン交換膜装置8の両端には陽極8c及び陰極8dがそれぞれ陽極液、陰極液に浸漬された状態で配置されている。そして、各電極間に直流電力を印加すると、濃縮海水中のナトリウムイオンは陰極側に、塩化物イオンは陽極側に移動するが、前者はアニオン交換膜を通過できず、後者はカチオン交換膜を通過できないので、結果として、1つおきの膜間(室)にナトリウムイオンと塩化物イオンが蓄積してかん水となる。一方、かん水の蓄積された室の隣の室はナトリウムイオン又は塩化物イオンが移動して減少するので、脱塩水となる。
【0021】
なお、電源16に加え、自然エネルギー電源を設けてもよい。自然エネルギー電源としては、例えば太陽電池パネルと充電バッテリからなるモジュールがあり、バッテリの充電状態に応じて電源を補完し、電力使用量の低減、あるいは電源の不要化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、2価イオンが除去されて1価イオンの割合が多くなった海水をイオン交換膜装置に導入するので、イオン交換膜での回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。又、逆浸透膜モジュールにより塩分濃度を高めた濃縮海水をイオン交換膜装置に導入できるので、さらにイオン交換膜での回収効率が高くなり、電力エネルギが低減される。また、予め2価イオンを除去するので逆浸透モジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げることができ、それによりイオン交換膜法の電力エネルギをさらに低減できる。さらに、逆浸透膜法における濃縮海水の処分の問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る逆浸透膜を用いたかん水製造装置全体の構成を示す図である。
【図2】イオン交換膜装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
4 2価イオン除去装置(NFモジュール)
6 逆浸透膜(RO)モジュール
8 イオン交換膜装置
20 かん水製造装置
【発明の属する技術分野】
本発明は製塩等に用いるかん水の製造装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製塩方法としてイオン交換膜法が普及している。この方法は、カチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、その間に原海水を導入して両端から電流を流すことにより、膜間に塩分濃度の高い水(かん水)と塩分濃度の低い水(脱塩水)が交互に集まることを利用した技術である。そして、かん水を真空式蒸発缶等で煮詰めることにより、塩の結晶を得ることができる。
【0003】
一方、海水を脱塩して淡水を得る方法として逆浸透(RO:Reverse Osmosis)法が知られている。逆浸透法は、逆浸透膜を介して溶液の浸透圧より高い圧力を溶液側から加え、溶液中の水分子を水側へ移行させる技術である。この逆浸透法は、例えば逆浸透膜を耐圧容器に収容したモジュールを多数備えた逆浸透膜装置により実用規模で操業されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の逆浸透法の場合、淡水とは別に濃縮海水が生じるが、塩分濃度が高いためそのまま環境に排出すると生態系に影響を与えるので、その処理が問題となっている。また、イオン交換膜製塩法においては、イオン交換膜の電力エネルギが大きく、エネルギ低減が要望されている。
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、イオン交換膜法でかん水を製造する際の電力エネルギを低減できるとともに、逆浸透法で生じる濃縮海水の処理を不要とした逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の逆浸透膜を用いたかん水製造装置は、海水中の2価イオンを除去する2価イオン除去装置と、前記2価イオンが除去された海水から淡水と濃縮海水とを生成する逆浸透膜モジュールと、前記濃縮海水からかん水を製造するイオン交換膜装置とを備えたことを特徴とする。
このようにすると、2価イオンが除去されて1価イオンの割合が多くなった海水をイオン交換膜装置に導入するので、イオン交換膜法での回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。又、逆浸透膜モジュールにより塩分濃度の高い濃縮海水をイオン交換膜装置に導入できるので、さらにイオン交換膜法での回収効率が高くなり、電力エネルギが低減される。また、予め2価イオンを除去するので逆浸透モジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げることができ、それによりイオン交換膜法の電力エネルギをさらに低減できる。
【0007】
前記2価イオン除去装置で生成された2価イオンの濃縮溶液から、該2価イオンを回収する回収装置をさらに備えると好ましい。
このようにすると、資源価値の高い2価イオンを回収できる。
【0008】
前記イオン交換膜装置で生じた脱塩水、又は前記回収装置で前記2価イオンを回収後の溶液を、前記2価イオン除去装置に供給する戻り流路をさらに備えると好ましい。
このようにすると、この溶液が逆浸透膜モジュールに導入されるので、淡水の生産効率が向上し、淡水製造コストを低減することができる。
【0009】
前記2価イオン除去装置は、ナノ濾過による膜分離装置であると好ましい。
このようにすると、2価イオンをより選択的に除去できる。
【0010】
本発明の逆浸透膜を用いたかん水製造方法は、海水中の2価イオンを除去する工程と、前記2価イオンが除去された逆浸透膜法により海水から淡水と濃縮海水とを生成する工程と、前記濃縮海水からイオン交換膜法によりかん水を製造する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る逆浸透膜を用いたかん水製造装置の構成を各図に基づいて説明する。
【0012】
図1は逆浸透膜を用いたかん水製造装置の全体構成を示す。この図において、かん水製造装置20は、所定の前処理装置2、NF(Nano filtration)モジュール(2価イオン除去装置)4、逆浸透膜(RO)モジュール6を直列に接続して構成されている。また、NFモジュール4、ROモジュール6の入側にはそれぞれ高圧ポンプ14a、14bが配置され、これらは電源16から電源供給を受けて各モジュールへの供給水を加圧する。そして、NFモジュール4で分離された2価イオンの濃縮溶液は、回収装置10に導入されて2価イオンが回収される。一方、ROモジュール6で生成された濃縮海水は、イオン交換膜装置8に導入されてかん水が製造される。さらに、得られたかん水は真空式蒸発缶等からなる製塩装置50に導入されて煮詰められ、塩の結晶(NaCl)となる。
【0013】
このような構成とすることにより、イオン交換膜法でかん水を製造する際の電力コスト低減が図られる。つまり、イオン交換膜による電気透析では、供給水中の塩分濃度が高いほど、又、供給水中に2価イオンが少なく1価イオンの割合が多いほど、回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。そこで、まず、NFモジュールにより海水中の2価イオンを除去することで、イオン交換膜法での電力エネルギが低減される。
【0014】
又、海水をROモジュールに通すことにより得られた塩分濃度の高い濃縮海水をイオン交換膜装置に導入することで、さらにイオン交換膜法での電力エネルギが低減される。ここで、ROモジュールの運転(主として高圧ポンプ)に要する電力エネルギは、イオン交換膜装置の運転用の電力エネルギより遥かに少ないので、ROモジュールを設けても全体の電力エネルギの低減が図られる。
【0015】
さらに、ROモジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げようとすると、一般には逆浸透膜上に供給海水中の2価イオンが付着する等(例えばファウリング現象)により連続運転ができなくなるが、本発明ではROモジュールの前段にNFモジュールを設けているので、濃縮海水の塩濃度を高くして連続運転ができ、その結果として、イオン交換膜法での電力エネルギをさらに低減することができる。
【0016】
次に、原海水からかん水を製造する方法について説明する。まず、原海水は前処理装置2に供給されて濁質成分を除去される。前処理装置2としては、公知の砂濾過装置や、UF(限外濾過)あるいはMF(精密濾過)による膜濾過装置、あるいはDMF(Dual Media Filter)を用いることができ、被処理水中のSS濃度を2〜3ppm程度に濾過し、下工程での各モジュールの目詰りを防止する。
【0017】
前処理海水は、高圧ポンプ14aで昇圧されてNFモジュール4に導入される。NFモジュール4は、ナノ濾過膜分離装置であり、約2nmより小さい程度の粒子を除去するので、海水中の2価イオンが主に除去される。例えば一般のナノ濾過膜を用いた場合、2価イオンの除去(回収)率は95%以上であるのに対し、1価イオンの除去(回収)率は60%程度である。そして、NFモジュール4で生成した2価イオンの濃縮溶液は、回収装置10でイオン吸着、蒸発等により2価イオンが資源として回収される。回収される2価イオンとしては、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等がある。
【0018】
一方、NFモジュール4で2価イオンが除去された海水(1価イオンを多く含む)は、ROモジュール6に導入されて(生産水)淡水と濃縮海水とに分離される。生産水は適宜利用され、濃縮海水はイオン交換膜装置8に導入され、電気透析されてかん水と脱塩水とに分離され、かん水は上記したように製塩に供される。ROモジュール6では、一般には1価イオン、2価イオンの除去(回収)率はそれぞれ99.5%。99.8%程度である。
【0019】
そして、回収装置10で2価イオン回収後に残った溶液、及びイオン交換膜装置8で生じた脱塩水は、戻り流路12を通ってNFモジュール4に供給され、再度上記各工程で処理される。なお、戻り流路12から塩類(1、2価)濃度の低い溶液をNFモジュールに戻すことで、この溶液がROモジュール6に導入されるので、淡水の生産効率が向上し、淡水製造コストを低減することができる。
【0020】
図2は、イオン交換膜装置8の構成を示す。この図において、アニオン交換膜8a、カチオン交換膜8bが交互に、かつ膜間隔を開けて積層されている。隣接する膜間にはROモジュールから濃縮海水が供給される。イオン交換膜装置8の両端には陽極8c及び陰極8dがそれぞれ陽極液、陰極液に浸漬された状態で配置されている。そして、各電極間に直流電力を印加すると、濃縮海水中のナトリウムイオンは陰極側に、塩化物イオンは陽極側に移動するが、前者はアニオン交換膜を通過できず、後者はカチオン交換膜を通過できないので、結果として、1つおきの膜間(室)にナトリウムイオンと塩化物イオンが蓄積してかん水となる。一方、かん水の蓄積された室の隣の室はナトリウムイオン又は塩化物イオンが移動して減少するので、脱塩水となる。
【0021】
なお、電源16に加え、自然エネルギー電源を設けてもよい。自然エネルギー電源としては、例えば太陽電池パネルと充電バッテリからなるモジュールがあり、バッテリの充電状態に応じて電源を補完し、電力使用量の低減、あるいは電源の不要化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、2価イオンが除去されて1価イオンの割合が多くなった海水をイオン交換膜装置に導入するので、イオン交換膜での回収効率が高くなり、電力エネルギが少なくて済む。又、逆浸透膜モジュールにより塩分濃度を高めた濃縮海水をイオン交換膜装置に導入できるので、さらにイオン交換膜での回収効率が高くなり、電力エネルギが低減される。また、予め2価イオンを除去するので逆浸透モジュールでの回収率を高くして濃縮海水の塩濃度を上げることができ、それによりイオン交換膜法の電力エネルギをさらに低減できる。さらに、逆浸透膜法における濃縮海水の処分の問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る逆浸透膜を用いたかん水製造装置全体の構成を示す図である。
【図2】イオン交換膜装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
4 2価イオン除去装置(NFモジュール)
6 逆浸透膜(RO)モジュール
8 イオン交換膜装置
20 かん水製造装置
Claims (5)
- 海水中の2価イオンを除去する2価イオン除去装置と、
前記2価イオンが除去された海水から淡水と濃縮海水とを生成する逆浸透膜モジュールと、
前記濃縮海水からかん水を製造するイオン交換膜装置と
を備えたことを特徴とする逆浸透膜を用いたかん水製造装置。 - 前記2価イオン除去装置で生成された2価イオンの濃縮溶液から、該2価イオンを回収する回収装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜を用いたかん水製造装置。
- 前記イオン交換膜装置で生じた脱塩水、又は前記回収装置で前記2価イオンを回収後の溶液を、前記2価イオン除去装置に供給する戻り流路をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の逆浸透膜を用いたかん水製造装置。
- 前記2価イオン除去装置は、ナノ濾過による膜分離装置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の逆浸透膜を用いたかん水製造装置。
- 海水中の2価イオンを除去する工程と、
前記2価イオンが除去された逆浸透膜法により海水から淡水と濃縮海水とを生成する工程と、
前記濃縮海水からイオン交換膜法によりかん水を製造する工程と
を有することを特徴とする逆浸透膜を用いたかん水製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002192164A JP2004033848A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法 |
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JP2002192164A JP2004033848A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004033848A true JP2004033848A (ja) | 2004-02-05 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002192164A Withdrawn JP2004033848A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | 逆浸透膜を用いたかん水製造装置及びかん水製造方法 |
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Cited By (12)
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KR100887885B1 (ko) * | 2007-05-25 | 2009-03-06 | 주식회사 진로 | 나노막 및 역삼투막 여과를 이용한 천연 미네랄수의제조방법 및 이를 이용한 주류 및 음료의 제조방법 |
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JP2015029933A (ja) * | 2013-07-31 | 2015-02-16 | 三菱重工業株式会社 | 飲料水製造装置及び方法 |
JP2015029931A (ja) * | 2013-07-31 | 2015-02-16 | 三菱重工業株式会社 | 淡水化装置及び淡水化方法、並びに淡水の製造方法、淡水、塩及び有価物の併産方法 |
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CN107206320A (zh) * | 2015-02-02 | 2017-09-26 | 萨里水溶剂科技有限公司 | 盐水浓度 |
WO2021261410A1 (ja) * | 2020-06-22 | 2021-12-30 | 学校法人早稲田大学 | 二酸化炭素の固定化方法 |
-
2002
- 2002-07-01 JP JP2002192164A patent/JP2004033848A/ja not_active Withdrawn
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