JP2004033155A - 冷凍とろろ、及び冷凍とろろの変性防止方法 - Google Patents

冷凍とろろ、及び冷凍とろろの変性防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍で長期間保存しても、保存後のものを解凍して食する状態としたとき、その状態が冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有し、しかも栄養価に優れた冷凍トロロ、並びに前記物性等の変性を防止する冷凍トロロの変性防止方法を提供する。
【解決手段】炭酸カルシウムと、DEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加した冷凍とろろ、及び冷凍とろろの変性防止方法。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍トロロ及び冷凍トロロの変性防止方法に関し、さらに詳しくは、冷凍で長期間保存しても、保存後のものを解凍して食する状態としたとき、その状態が冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有し、しかも栄養価に優れた冷凍トロロ、並びに前記物性等の変性を防止する冷凍トロロの変性防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自然薯、ナガイモ、ヤマトイモ(イセイモ、イチョウイモ)、ツクネイモ(ジカミイモ)等のヤマノイモ類を摺りおろして得られるトロロは、そのまま冷凍保存して解凍すると、粘性を失い、トロロ特有の糸引き性がなくなり、食感が著しく低下したものとなってしまう。したがって、従来より、冷凍保存中のトロロの粘性及び糸引き性の低下を防止する方法が種々提案されている。例えば、特開昭56−124339号公報には糖類および/または糖アルコールを添加すること、特開昭61−128838号公報にはポリリン酸又はその塩の少なくとも1種を添加すること、特開平4−36145号公報には分岐型の多糖類を添加すること、特開平7−23707号公報には特定の増粘剤、糖類及び糖アルコール類を添加すること、特開平9−75028号公報にはアルギン酸塩及びオリゴ糖を添加することがそれぞれ開示されている。また、冷凍保存中のトロロの粘性及び糸引き性の低下を防止する方法ではないが、特開平9−206020号公報には、卵殻微粉末を有効成分としたとろろ芋の粘度向上剤が開示されている。
【0003】
しかしながら、特開昭56−124339号公報や特開平7−23707号公報に開示されている糖類及び糖アルコールは、グルコース、麦芽糖、乳糖、蔗糖、水飴、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール等、単糖類及び2糖類、又はそれらの還元物を主成分としたものであり、特開平4−36145号公報に開示の分岐型の多糖類は、グアーガム、タマリンドシーガム、キサンタンガム等のガム質又はその分解物であり、いずれも炭酸カルシウムと分解度が低い澱粉加水分解物との組合わせに付いては何ら開示されておらず、冷凍保存による物性の低下防止効果が充分とは言い難いものであった。
【0004】
また、特開昭61−128838号公報には、ポリリン酸又はその塩の少なくとも1種を添加することが開示されている。しかしながら、冷凍保存による物性の低下防止効果は優れているものの、近年、リンの過剰摂取が問題視されており、健康志向からリン酸塩を避ける傾向にある。
【0005】
特開平9−75028号公報には、冷凍による糸引き性の低下防止及び食味改善の目的で、その物自体が増粘作用を有するアルギン酸塩と、オリゴ糖とを添加することが開示されおり、アルギン酸塩としてアルギン酸カルシウムが例示されている。しかしながら、その物自体が増粘作用を有しない炭酸カルシウムを添加することに付いては何ら開示も示唆もされていない。
【0006】
そして、特開平9−206020号公報には炭酸カルシウムを主成分とした卵殻微粉末を有効成分としたとろろ芋の粘度向上剤が提案されているが、冷凍とろろにこれを応用した場合、卵殻微粉末単独では、冷凍保存期間が長くなるにつれ解凍後のトロロの粘性及び糸引き性が徐々に低下する傾向にあり冷凍保存による物性の低下防止効果が充分とは言い難いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、冷凍で長期間保存しても、保存後のものを解凍して食する状態としたとき、その状態が冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有し、しかも栄養価に優れた冷凍トロロ、並びに前記物性等の変性を防止する冷凍トロロの変性防止方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、炭酸カルシウムと、特定のDE値を有する澱粉加水分解又はその還元物とを組合わせて添加したところ、意外にも冷凍保存による物性の低下防止に優れていることを見出し、またアスコルビン酸又はその塩を更に添加するならば、保存温度によっては生じる変色の防止にも優れていることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 炭酸カルシウムと、DEが30以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加した冷凍とろろ、
(2) 炭酸カルシウムと、DEが20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加した冷凍とろろ、
(3) 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.01〜0.5%である(1)又は(2)の冷凍とろろ、
(4) 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.03〜0.3%である(1)又は(2)の冷凍とろろ、
(5) 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.1〜10%である(1)又は(2)の冷凍とろろ、
(6) 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.5〜8%である(1)又は(2)の冷凍とろろ、
(7) アスコルビン酸又はその塩を更に添加した(1)又は(2)の冷凍とろろ、
(8) アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.01〜1%である(7)の冷凍とろろ、
(9) アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.05〜0.8%である(7)の冷凍とろろ、
(10) 炭酸カルシウムと、DEが30以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加する冷凍とろろの変性防止方法、
(11) 炭酸カルシウムと、DEが20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加する冷凍とろろの変性防止方法、
(12) 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.01〜0.5%である(10)又は(11)の冷凍とろろの変性防止方法、
(13) 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.03〜0.3%である(10)又は(11)の冷凍とろろの変性防止方法、
(14) 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.1〜10%である(10)又は(11)の冷凍とろろの変性防止方法、
(15) 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.5〜8%である(10)又は(11)の冷凍とろろの変性防止方法、
(16) アスコルビン酸又はその塩を更に添加する(10)又は(11)の冷凍とろろの変性防止方法、
(17) アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.01〜1%である(16)の冷凍とろろの変性防止方法、
(18) アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.05〜0.8%である(16)の冷凍とろろの変性防止方法、
を提供することである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を説明する。なお、本発明において特に限定していない場合は、「%」は「質量%」、また「部」は「質量部」を意味する。
本発明の冷凍とろろは、炭酸カルシウムと、DEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物とを添加してある。
【0010】
ここで、冷凍とろろとは、植物学上ヤマイモ科に属する例えば、自然薯、ナガイモ、ヤマトイモ(イセイモ、イチョウイモ)、ツクネイモ(ジカミイモ)等の芋を摺りおろす等の方法により半固体状の粘性物に加工し、これを冷凍したものである。
【0011】
本発明の冷凍とろろに添加している炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムそのものの粉末状物、あるいは炭酸カルシウムを主成分とした、つまり炭酸カルシウムを8割以上含有した天然物の粉末状物を用いれば良く、これらを組合わせて用いても良い。前者の炭酸カルシウムそのものの粉末状物としては例えば、食品添加物用として市販されている炭酸カルシウム等の粉末状物が挙げられ、食品添加物用の炭酸カルシウムは、石灰石等を無煙炭と共に強熱して酸化カルシウムとし、水を加えて石灰乳としたものに二酸化炭素を通じて炭酸カルシウムとする方法、石灰石等に希塩酸を加えて塩化カルシウムとし、これに炭酸ナトリウムを加えて炭酸カルシウムとする方法等の化学的処理により一般的に製されている。また、後者の炭酸カルシウムを主成分とした天然物の粉末状物としては例えば、卵殻、蠣殻等の粉末状物が挙げられ、卵殻には約95%の炭酸カルシウムを含有している。
【0012】
本発明の冷凍とろろに添加している炭酸カルシウムとしては、粉末状物であれば良いが、その大きさが50%粒径であるメディアン径において12μm以下が望ましく、6μm以下がより望ましい。このような炭酸カルシウムの微粉末を添加するこれにより、本発明の効果である冷凍による粘性及び糸引き性等の物性の低下防止において、より優れた効果が得られる。なお、メディアン径は、炭酸カルシウムを精製水に均一に分散させたものを粒度分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000A:(株)島津製作所製)で測定した値である。
【0013】
本発明の冷凍とろろに添加する炭酸カルシウムの添加量は、製品全体に対し0.01〜0.5%が好ましく、0.03〜0.3%がより好ましい。前記範囲より少ないと冷凍保存による糸引き性の低下を充分に防止することが難しく、一方、前記範囲より多く添加したとしてもそれ以上の糸引き性の低下防止効果が得られ難く経済的でないばかりか、食味を損なう場合があり好ましくない。なお、卵殻粉のような炭酸カルシウムを主成分とした天然物を用いた場合の添加量は、炭酸カルシウム換算での添加量を意味する。
【0014】
本発明の冷凍とろろには、DEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物又はその還元物を添加しており、澱粉加水分解物と澱粉加水分解物の還元物とを組み合わせて添加しても良い。DEが30より高いものを用いると冷凍保存による粘性及び糸引き性等の物性の低下を充分に防止することが出来ない。ここで、DEとは、デキストロースエキュイバレントの略称のことであり、澱粉糖、つまり澱粉加水分解物の品質表示の一方法として、澱粉の加水分解の程度を示す指標である。この値が低いほど加水分解の程度が低く、高いほど加水分解の程度が高いことを意味する。また、澱粉加水分解物の還元物とは、澱粉加水分解物に水素を添加して澱粉加水分解物中のカルボキシル基を水酸基に還元した、いわゆる糖アルコールを意味し、該還元物のDEは、原料糖である澱粉加水分解物のDEのことである。澱粉加水分解物又はその還元物としては、DEが3〜70程度のものが市販されているが、例えば、DEが3程度の澱粉加水分解物は、その糖組成において、8糖以上の糖類を約9割以上含有しており、DEが70程度のものは、単糖及び2糖の糖類を約9割以上含有している。本発明で用いるDEが30以下、好ましくは20以下のものは、一般的に、5糖以上の糖類を前者は約5割以上、後者は約6割以上含有している。
【0015】
本発明の冷凍とろろに添加する澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量は、製品全体に対し0.1〜10%が好ましく、0.5〜8%がより好ましい。前記範囲より少ないと冷凍による粘性及び糸引き性等の物性の低下を充分に防止することが難しく、一方、前記範囲より多く添加したとしてもそれ以上の物性低下防止の効果が得られ難く経済的でないので好ましくない。
【0016】
本発明の冷凍とろろは、更にアスコルビン酸又はその塩を添加することが好ましく、添加することにより、保存温度によっては冷凍保存中に生じる変色を充分に防止出来る。本発明のアスコルビン酸又はその塩としては、アスコルビン酸又はその塩そのものばかりでなく、アスコルビン酸又はその塩を高濃度含有した例えば、かぼす、すだち、グレープフルーツ、レモン、ゆず、みかん等の柑橘果汁又はその濃縮物、あるいは噴霧乾燥、凍結乾燥等により柑橘果汁より水分を除去した乾物を用いても良い。また、アスコルビン酸の塩としては例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられるが、食品添加物として使用されているアスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0017】
本発明では、上述したアスコルビン酸又はその塩の1種又は2種以上を用いれば良く、その総添加量は、製品全体に対し0.01〜1%が好ましく、0.05〜0.8%がより好ましい。前記範囲より少ないと、保存温度によっては生じる変色を充分に防止することが難しく、一方、前記範囲より多くしたとしてもそれ以上の変色防止効果が得られ難く経済的でないばかりか、食味を損なう場合があり好ましくない。なお、アスコルビン酸又はその塩を高濃度含有した柑橘果汁又はその濃縮物あるいはその乾物を用いた場合の添加量は、アスコルビン酸又はその塩に換算したときの添加量を意味する。
【0018】
本発明の冷凍とろろには、上述した炭酸カルシウムとDEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とが添加されていることにより、冷凍で長期間保存しても、粘性及び糸引き性等の物性の低下が防止されている。また本発明は、更にアスコルビン酸又はその塩が添加されていることにより、保存温度によっては生じる変色が充分に防止され好ましい。そして、本発明はこれらの原料以外に本発明の効果を損なわない範囲で他の原料を併用しても良い。そのような他の原料としては例えば、食塩、砂糖、醤油等の調味料、グリシン、卵白リゾチーム、酢酸ナトリウム等の静菌剤、クエン酸、乳酸、酢酸等の有機酸又はその塩、キサンタンガム、タマリンドシーガム、グアーガム、澱粉、化工澱粉、湿熱処理澱粉、ペクチン、ゼラチン等の増粘剤、ビタミン類、ミネラル分、各種ペプタイド又はアミノ酸等が挙げられる。
【0019】
本発明の冷凍とろろの製造方法は、常法に則り上述の原料をとろろ素材に添加し均一とした後、冷凍すれば良い。具体的には、例えば、ナガイモ、ヤマトイモ等の原料芋を水洗いした後、皮剥きし、必要に応じて水晒し及び適当な大きさに切断を行なう。次に前処理した芋をチョッパー、コロイド・ミル、回転おろし刃、フードカッター等の装置により摺りおろす。
【0020】
次いで、このように摺りおろしたとろろ素材に、炭酸カルシウムと、DEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加、好ましくはアスコルビン酸又はその塩を更に添加し均一となるまで混合する。炭酸カルシウムの添加方法としては、炭酸カルシウムが水に溶け難く、とろろ素材に均一に分散させ難いことから、炭酸カルシウムに対し2倍量以上、製品全体に対し10%以下の水に分散させ後、この分散液を添加する方法が望ましい。また、この炭酸カルシウム分散液には、炭酸カルシウム以外の原料を溶解あるいは分散させても良い。水が炭酸カルシウムに対し2倍量より少ないと、炭酸カルシウム分散液を調製し難く、またとろろ素材に均一に分散させ難く好ましくない。一方、製品全体に対し10%より多いと、とろろ(製品)が水っぽい食感となり好ましくない。
【0021】
添加物を均一に混合したとろろ素材を、ポリエチレン製、あるいはナイロン/ポリエチレン製等の合成樹脂製シートからなる袋等の容器に充填し、必要に応じ熱水等で殺菌を施した後、冷凍する。冷凍保存は、好ましくは−18℃以下、さらに好ましくは−25℃以下の温度で行なう。また、冷凍方法は、急速凍結が好ましいが、これに限定するものでない。
【0022】
次に、本発明を実施例及び試験例に基づき、さらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
[実施例1]
まず、卵殻粉(炭酸カルシウムを約95%含有、メディアン径が約5μm)0.1部、澱粉加水分解物(DE7)3部及びアスコルビン酸ナトリウム0.1部を清水3部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材93.8部に予め調製した前記副原料液6.2部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0024】
[実施例2]
まず、蠣殻粉(炭酸カルシウムを約95%含有、メディアン径が約6μm)0.2部、還元澱粉加水分解物(原料糖DE15)4部及びアスコルビン酸ナトリウム0.1部を清水4部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材91.7部に予め調製した前記副原料液8.3部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0025】
実施例1及び実施例2で得られた冷凍とろろは、いずれもミネラル分であるカルシウムを含有していることから栄養価に優れている。また、実施例1及び実施例2で得られた冷凍とろろを約−18℃の冷凍下で6ヶ月間保存したところ、保存後のものを流水解凍して食する状態としたとき、その状態は冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有し、また変色も観察されなかった。
【0026】
[実施例3]
実施例1において、副原料液中のアスコルビン酸ナトリウムを除いた副原料液を用い、そして副原料液ととろろ素材との合計量が100部となるようにとろろ素材の量を調整した以外は、実施例1と同様な方法で製した。
つまり、卵殻粉(炭酸カルシウムを約95%含有、メディアン径が約5μm)0.1部及び澱粉加水分解物(DE7)3部を清水3部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材93.9部に予め調製した前記副原料液6.1部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0027】
得られた冷凍とろろは、いずれもミネラル分であるカルシウムを含有していることから栄養価に優れている。また、得られた冷凍とろろを約−18℃の冷凍下で6ヶ月間保存したところ、若干変色している袋体があったものの問題のない程度であり、保存後のものを流水解凍して食する状態としたとき、その状態は冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有していた。
【0028】
[比較例1]
実施例1において、副原料液中の卵殻粉を除いた副原料液を用い、そして副原料液ととろろ素材との合計量が100部となるようにとろろ素材の量を調整した以外は、実施例1と同様な方法で製した。
つまり、澱粉加水分解物(DE7)3部及びアスコルビン酸ナトリウム0.1部を清水3部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材93.9部に予め調製した前記副原料液6.1部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0029】
得られた冷凍とろろを約−18℃の冷凍下で6ヶ月間保存したところ、保存後のものを流水解凍して食する状態としたとき、その状態は冷凍保存前のものに比べ糸引き性が低下していた。
【0030】
[比較例2]
実施例1において、副原料液中の澱粉加水分解物を除き清水を減らした副原料液を用い、そして副原料液ととろろ素材との合計量が100部となるようにとろろ素材の量を調整した以外は、実施例1と同様な方法で製した。
つまり、卵殻粉(炭酸カルシウムを約95%含有、メディアン径が約5μm)0.1部及びアスコルビン酸ナトリウム0.1部を清水1.5部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材98.3部に予め調製した前記副原料液1.7部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0031】
[比較例3]
実施例1において、副原料液中の澱粉加水分解物をDE7のものからDE34のものに置き換えた副原料液を用い、それ以外は、実施例1と同様な方法で製した。
つまり、卵殻粉(炭酸カルシウムを約95%含有、メディアン径が約5μm)0.1部、澱粉加水分解物(DE34)3部及びアスコルビン酸ナトリウム0.1部を清水3部に溶解及び分散し副原料液を予め調製した。次に、市販のナガイモを洗浄・皮剥きし、腐敗や褐変、変色している部分を除去した後、この皮剥きしたナガイモを摺りおろし機で摺りおろし、とろろ素材とした。このとろろ素材93.8部に予め調製した前記副原料液6.2部を添加し、均一となるまで撹拌混合した。次に、副原料液を均一に混合したとろろ素材をナイロン/ポリエチレン製の袋に5kgずつ充填・密封した。この袋詰めとろろを60℃の熱水中で30分間殺菌した後、−25℃で凍結し冷凍とろろを製した。
【0032】
比較例2及び比較例3で得られた冷凍とろろは、いずれも約−18℃の冷凍下で6ヶ月間間保存したところ、保存後のものを流水解凍して食する状態としたとき、その状態は冷凍保存前のものに比べ粘性及び糸引き性等の物性が低下していた。
【0033】
[試験例1]
本発明の冷凍とろろが、冷凍で長期間保存しても、保存後のものを解凍して食する状態としたとき、その状態が冷凍保存前と略同様な粘性及び糸引き性等の物性を有し、冷凍保存による物性の低下が起き難く優れていることを立証するため、以下の試験を行なった。また、保存中の変色についても合わせて試験を行なった。
【0034】
実施例1〜3、並びに比較例1〜3で得られた品温が約−25℃の冷凍とろろのそれぞれについて−10℃の冷凍下で保存する苛酷試験を行なった。苛酷試験は、前記温度下で8週間保存し、保存後の物性として粘性及び糸引き性を評価した。また、変色に付いも評価した。
なお、粘性及び糸引き性は、約20℃となるまで流水解凍したもので評価を行なった。また粘性は、解凍したものをB型粘度計を用い、ローター:No.3、回転数:20rpm、品温:20℃の条件で測定開始1分後の粘度を測定し評価した。
【0035】
【表1】
Figure 2004033155
【0036】
<粘性評価基準>
○: 保存後の粘度が保存前の粘度の90%以上。
△: 保存後の粘度が保存前の粘度の70%以上90%未満。
×: 保存後の粘度が保存前の粘度の70%未満。
<糸引き性評価基準>
○: 保存前と同様糸引き性がある。
△: 保存前に比べ糸引き性がやや低下している。
×: 保存前に比べ糸引き性が明らかに低下している。
<変色評価基準>
○: 殆どの袋体が変色していない。
△: 一部の袋体で変色が観察された。
×: 多数の袋体で変色が観察された。
<物性の総合評価基準>
◎: 両物性の評価結果が「○」であるもの。
○: 評価結果において、一方の評価結果が「○」で他方が「△」であるもの。
△: 両物性の評価結果が「△」であるもの。
×: いずれかの物性評価結果が「×」であるもの。
【0037】
表1より、本発明品である炭酸カルシウムと、DEが30以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加した実施例1〜3の冷凍とろろは、苛酷な保存条件であっても、炭酸カルシウム添加しなかった比較例1、殿粉加水分解物又はその還元物を添加しなかった比較例2、あるいはDEが30より高い澱粉加水分解物を用いた比較例3の冷凍とろろに比べ、冷凍保存による粘性及び糸引き生の物性低下が防止されており、本発明品は、冷凍保存による物性低下が起き難く優れていることが理解される。 また、アスコルビン酸又はその塩を添加した実施例1及び2の冷凍とろろは、物性の低下防止に加え変色も防止されており好ましいものであった。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の冷凍とろろは、炭酸カルシウムと、DEが30以下、好ましくは20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加していることで、冷凍で長期間保存したとしても、粘性及び糸引き性等の物性の低下が起き難いことから、原料であるヤマノイモ類の旬に拘わらず常時、製造直後の物性が維持された冷凍とろろを提供できる。また、アスコルビン酸又はその塩を更に添加することで、物性に加え外観も製造直後の状態を維持した冷凍とろろを提供できる。

Claims (18)

  1. 炭酸カルシウムと、DEが30以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加していることを特徴とする冷凍とろろ。
  2. 炭酸カルシウムと、DEが20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加していることを特徴とする冷凍とろろ。
  3. 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.01〜0.5%である請求項1又は2記載の冷凍とろろ。
  4. 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.03〜0.3%である請求項1又は2記載の冷凍とろろ。
  5. 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.1〜10%である請求項1又は2記載の冷凍とろろ。
  6. 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.5〜8%である請求項1又は2記載の冷凍とろろ。
  7. アスコルビン酸又はその塩を更に添加している請求項1又は2記載の冷凍とろろ。
  8. アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.01〜1%である請求項7記載の冷凍とろろ。
  9. アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.05〜0.8%である請求項7記載の冷凍とろろ。
  10. 炭酸カルシウムと、DEが30以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加することを特徴とする冷凍とろろの変性防止方法。
  11. 炭酸カルシウムと、及びDEが20以下の澱粉加水分解物又はその還元物とを添加することを特徴とする冷凍とろろの変性防止方法。
  12. 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.01〜0.5%である請求項10又は11記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  13. 炭酸カルシウムの添加量が製品全体に対し0.03〜0.3%である請求項10又は11記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  14. 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.1〜10%である請求項10又は11記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  15. 澱粉加水分解物又はその還元物の総添加量が製品全体に対し0.5〜8%である請求項10又は11記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  16. アスコルビン酸又はその塩を更に添加する請求項10又は11記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  17. アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.01〜1%である請求項16記載の冷凍とろろの変性防止方法。
  18. アスコルビン酸又はその塩の総添加量が製品全体に対し0.05〜0.8%である請求項16記載の冷凍とろろの変性防止方法。
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