JP2004031998A - 音響駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電流阻止用の結合コンデンサを必要としない音響駆動回路を提供する。
【解決手段】ヘッドホン30のコイル33の一端に、増幅器10によって基準電圧Vref でバイアスされた音声帯域の信号Vauが印加される。一方、ヘッドホン30のコイル33の他端には、パルス発生器40で生成された平均電圧Vavが基準電圧Vref に等しく、音声帯域に比べて極めて高い周波数(例えば、2MHz)のパルス信号Vpls が印加される。これにより、コイル33には直流電流が流れない。また、パルス発生器40から印加される高周波成分は、音としては出力されず、かつコイル33のインダクタンスによって阻止されるので問題は発生しない。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、ヘッドホンやスピーカ等を駆動する音響駆動回路に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
図2は、従来のヘッドホン駆動回路の一例を示す構成図である。
【0005】
このヘッドホン駆動回路は、右信号SRの電力を増幅する増幅器10Rと、左信号SLの電力を増幅する増幅器10Lを有しており、これらの増幅器10R,10Lの出力信号が、それぞれ結合用のコンデンサ20R,20Lを介してヘッドホン30に与えられるようになっている。
【0006】
増幅器10R,10Lは同一構成で、例えば増幅器10Rは、右信号SRが与えられる端子11Rを有し、この端子11Rが抵抗12Rを介して差動増幅器13Rの−入力端子に接続されている。差動増幅器13Rの出力側は、帰還抵抗14Rを介して−入力端子に接続されている。また、差動増幅器13Rの+入力端子には、基準電圧Vref が与えられている。更に、差動増幅器13Rの出力側は、コンデンサ20Rを介してヘッドホン30の端子31Rに接続されている。
【0007】
ヘッドホン30は、右の信号が与えられる端子31Rと、左の信号が与えられる端子31Lと、共通電位GNDに接続される端子32を有している。端子31R,32間にはコイル33Rが接続され、端子31L,32間にはコイル33Lが接続されている。そして、コイル33R,33Lに流れる電流で生ずる磁力の変化が、それぞれ振動板34R,34Lを振動させ、音響として出力されるようになっている。
【0008】
このようなヘッドホン駆動回路では、端子11R,11Lに与えられた左信号SLと左信号SLは、それぞれ増幅器10R,10Lで電力増幅され、これらの増幅器10R,10Lの出力側に、基準電圧Vref (例えば、電源電圧VDDの1/2)でバイアスされた増幅後の信号が出力される。
【0009】
増幅器10R,10Lから出力された信号は、それぞれコンデンサ20R,20Lを介してヘッドホン30の端子31R,31Lに伝えられ、コイル33R,33Lの一端に与えられる。コイル33R,33Lの他端は、端子32を介して接地電位GNDに接続されている。これにより、各コイル33R,33Lには、直流成分が除去された音声帯域の信号のみが印加され、音に変換されて出力される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のヘッドホン駆動回路では、次のような課題があった。
【0012】
即ち、増幅器10R,10Lの出力信号が基準電圧Vref でバイアスされている。このため、ヘッドホン30のコイル33R,33Lに流れる直流電流を阻止するために、結合用のコンデンサ20R,20Lが必要である。そして、このコンデンサ20R,20Lは、低い音声周波数を通過させるために、大きな容量が必要となる。
【0013】
例えば、コイル33の入力インピーダンスZiを32Ωとし、この入力インピーダンスZiとコンデンサ20で構成されるハイパス・フィルタのカットオフ周波数を20Hzとすると、このコンデンサ20に必要な容量は250μFとなる。このような大容量のコンデンサは、集積回路として構成することができないので、コンデンサを外付けする必要があり、回路の小型化とコストダウンができないという課題があった。
【0014】
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、直流電流阻止用のコンデンサを必要としない音響駆動回路を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明の内の第1の発明は、コイルに生ずる磁力の変化を音に変換して出力する音響出力手段を駆動する音響駆動回路を、音声帯域の信号の電力を増幅して一定のバイアス電圧が重畳された増幅後の信号を前記音響出力手段のコイルの一端に出力する電力増幅手段と、周波数が前記音声帯域よりも高くかつ平均電圧が前記バイアス電圧に等しいパルス信号を生成して前記コイルの他端に出力するパルス発生手段とで構成している。
【0017】
第2の発明は、第1の発明におけるパルス発生手段を、周波数が前記音声帯域よりも高くかつ平均電圧が前記バイアス電圧に等しくなるようなデューティ比を有する矩形波を生成するように構成している。
【0018】
本発明によれば、以上のように音響駆動回路を構成したので、次のような作用が行われる。
【0019】
ヘッドホン等の音響出力手段のコイルの一端には、電力増幅手段で増幅されて一定のバイアス電圧が重畳された音声帯域の信号が印加される。一方、このコイルの他端には、周波数が前記音声帯域よりも高く、かつ平均電圧がバイアス電圧に等しいパルス信号が、パルス発生手段から印加される。これにより、コイルには直流電流が流れず、音声帯域の信号のみが印加される。
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施形態を示すヘッドホン駆動回路の構成図であり、図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0022】
このヘッドホン駆動回路は、それぞれ右信号SR、左信号SLの電力を増幅する電力増幅手段(例えば、増幅器)10R,10Lと、高周波のパルス信号Vpls を発生するパルス発生手段(例えば、パルス発生器)40を有している。そして、増幅器10R,10Lの出力信号と、パルス発生器40から出力される高周波のパルス信号Vpls が、ヘッドホン30に与えられるようになっている。
【0023】
増幅器10R,10Lは同一構成で、例えば増幅器10Rは、右信号SRが与えられる端子11Rを有し、この端子11Rが抵抗12Rを介して差動増幅器13Rの−入力端子に接続されている。差動増幅器13Rの出力側は、帰還抵抗14Rを介して−入力端子に接続されている。また、差動増幅器13Rの+入力端子には、基準電圧Vref が与えられている。増幅器10R,10Lの出力側は、ヘッドホン30の端子31R,31Lに接続されている。
【0024】
一方、パルス発生器40は、周波数が音声帯域よりも十分高く(例えば、2MHz)、かつ平均電圧が前記基準電圧Vref に等しくなるようなデューティ比を有する矩形波のパルス信号Vpls を生成するもので、このパルス発生器40の出力側が、ヘッドホン30の端子32に接続されている。
【0025】
ヘッドホン30は、それぞれ右と左の信号が与えられる端子31R,31Lと、パルス信号Vpls が与えられる端子32を有している。ヘッドホン30の端子31R,32間にはコイル33Rが接続され、端子31L,32間にはコイル33Lが接続されている。そして、コイル33R,33Lに流れる電流で生ずる磁力の変化が、それぞれ振動板34R,34Lを振動させ、音響として出力されるようになっている。
【0026】
次に、図1の動作を説明する。
【0027】
ヘッドホン駆動回路の端子11R,11Lに、それぞれ右信号SRと左信号SLが与えられると、これらの信号はそれぞれ増幅器10R,10Lで電力増幅される。そして、増幅器10R,10Lの出力側に、基準電圧Vref (例えば、電源電圧VDDの1/2)でバイアスされた増幅後の信号Vaur ,Vaul が、それぞれ出力される。即ち、増幅器10Rから出力される電圧は、Vref +Vaur となり、増幅器10Lから出力される電圧は、Vref +Vaul となる。
【0028】
一方、パルス発生器40では、平均電圧Vavが基準電圧Vref (即ち、VDD/2)に等しくなるようなデューティ比を有する矩形波のパルス信号Vpls が生成される。例えば、周波数が2MHz、波高値が電源電圧VDDで、デューティ比が1/2のパルス信号Vpls が生成される。これにより、パルス発生器40から出力される電圧は、2MHz及びその高調波の信号をVrfとすると、Vav+Vrfとなる。
【0029】
増幅器10R,10Lから出力された信号は、ヘッドホン30の端子31R,31Lを介して、コイル33R,33Lの一端に与えられる。また、コイル33R,33Lの他端には、端子32を介してパルス信号Vpls が与えられる。
【0030】
従って、ヘッドホン30のコイル33Rの両端に印加される基準電圧Vref と平均電圧Vavは打ち消しあい、このコイル33Rに直流電流は流れない。同様に、ヘッドホン30のコイル33Lの両端に印加される基準電圧ref と平均電圧Vavは打ち消しあい、このコイル33Lに直流電流は流れない。
【0031】
一方、コイル33R,33Lの他端に印加される高周波の信号Vrfによる電流は、これらのコイル33R,33Lのインダクタンス成分によって、極めて小さな値に制限される。また、このような高周波の微弱な電流がコイル33に流れても、振動板34は追随することができないので、出力される音響に聴感上の影響はない。これにより、ヘッドホン30からは、信号Vaur ,Vaul に対応する音が出力される。
【0032】
なお、このような状態を、等価回路を用いて説明する。
【0033】
図3は、図1の等価回路(但し、1チャネル分)を示す図である。
【0034】
図3に示すように、増幅器10は基準電圧Vref を出力する直流電圧源と、増幅された音声帯域の信号Vauを出力する信号源と、出力インピーダンスZ10の直列回路で表すことができる。また、ヘッドホン30は、コイル33のインダクタンスLhpと抵抗Rhpの直列回路で表すことができる。更に、パルス発生器40は、パルス信号Vpls の平均電圧Vavを出力する直流電圧源と、パルス信号Vpls の基本周波数Vrf及びその高調波成分Vrfh を出力する高周波信号源と、出力インピーダンスZ40の直列回路で表すことができる。
【0035】
これらの値の一例を示すと、次のようになる。
Z10+Z40=Rhp=32Ω
Lhp=1mH
Vref =Vav=VDD/2=1.5V
【0036】
このため、ヘッドホン30のコイル33に流れる電流Iは、次の(1)式のようになる。
I=(Vau−Vrf)/(Z10+Z40+Rhp+jωLhp)
=(Vau−Vrf)/(64+j0.001ω) ・・・(1)
【0037】
ここで、信号Vrfは2MHz以上の高周波信号であるので、インダクタンスLhpによるインピーダンスωLhpは、抵抗成分Z10+Z40+Rhpに比べて、極めて大きな値となり、この信号Vrfによる電流は無視できる程度の値となる。従って、ヘッドホン30に流れる電流Iは、次の(2)式で近似することができる。
I=Vau/(Z10+Z40+Rhp+jωLhp) ・・・(2)
【0038】
このように、本実施形態のヘッドホン駆動回路は、平均電圧が基準電圧Vref に等しくなるようなデューティ比を有するパルス信号Vpls を生成して、ヘッドホン30のコイル33に印加するパルス発生器40を有している。これにより、直流電流阻止用のコンデンサを必要としないヘッドホン駆動回路が構成でき、回路の小型化とコストダウンが可能になるという利点がある。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次のようなものがある。
【0040】
(a) 左右の音声信号をそれぞれ増幅して出力するステレオ・ヘッドホン用の駆動回路について説明したが、1チャネル、或いは3チャネル以上の駆動回路にも同様に適用可能である。
【0041】
(b) ヘッドホンに限らず、スピーカの駆動回路としても使用できる。
【0042】
(c) 基準電圧Vref がVDD/2の例を示したので、パルス信号Vpls のデューティ比を1/2に設定しているが、実際の基準電圧Vref に合わせて、パルス信号Vpls のデューティ比を設定する必要がある。パルス発生器40で生成するパルス信号Vpls のデューティ比を調節できるようにすることにより、各種の基準電圧Vref に対応可能になる。
【0043】
(d) パルス発生器40で生成する信号は、矩形波に限定されない。周波数が音声帯域に比べて十分高く(例えば、100倍以上)、その平均電圧が基準電圧Vref に等しいパルス信号を発生できるものであれば良い。
【0044】
(e) 増幅器10は差動増幅器13を使用した構成となっているが、その他の構成の増幅器でも同様に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
【0046】
以上詳細に説明したように、第1の発明によれば、音響出力手段のコイルの一端にバイアス電圧が重畳された音声帯域の信号を出力する電力増幅手段と、平均電圧がこのバイアス電圧に等しいパルス信号を生成して、このコイルの他端に出力するパルス発生手段を備えている。これにより、音響出力手段のコイルに直流電流が流れることがないので、結合用のコンデンサが不要になる。
【0047】
第2の発明によれば、パルス発生手段を平均電圧がバイアス電圧に等しくなるようなデューティ比を有する矩形波を生成するように構成している。これにより、デューティ比を調整することにより、パルス信号の平均電圧を電力増幅手段のバイアス電圧に容易に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すヘッドホン駆動回路の構成図である。
【図2】従来のヘッドホン駆動回路の構成図である。
【図3】図1の等価回路を示す図である。
【符号の説明】
10  増幅器
30  ヘッドホン
33  コイル
40  パルス発生器

Claims (2)

  1. コイルに生ずる磁力の変化を音に変換して出力する音響出力手段を駆動する音響駆動回路であって、
    音声帯域の信号の電力を増幅して一定のバイアス電圧が重畳された増幅後の信号を前記音響出力手段のコイルの一端に出力する電力増幅手段と、
    周波数が前記音声帯域よりも高くかつ平均電圧が前記バイアス電圧に等しいパルス信号を生成して前記コイルの他端に出力するパルス発生手段とを、
    備えたことを特徴とする音響駆動回路。
  2. 前記パルス発生手段は、周波数が前記音声帯域よりも高くかつ平均電圧が前記バイアス電圧に等しくなるようなデューティ比を有する矩形波を生成することを特徴とする請求項1記載の音響駆動回路。
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