JP2004030770A - 対物レンズおよびそのチルト調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】チルト調整の際の参照光を適正に把握してチルト調整を適正かつ円滑に行うことができる対物レンズおよびそのチルト調整方法を提供すること。
【解決手段】チルト調整用参照面21が、光軸7上に曲率中心を有する曲面形状に形成されていること。
【選択図】 図1
【解決手段】チルト調整用参照面21が、光軸7上に曲率中心を有する曲面形状に形成されていること。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、対物レンズおよびそのチルト調整方法に係り、特に、光ディスク等に用いられる光ピックアップ用の対物レンズおよびそのチルト調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CDやDVD等の光ディスクに対する読み取りや書き込みを行うための光ピックアップ装置においては、光ピックアップ用の対物レンズが用いられていた。
【0003】
このような光ピックアップ用の対物レンズは、レンズ単体としても非常に高い光学性能が求められるものであるが、これに加えて組立時の光ピックアップ装置への取付けについても高い精度が要求される。そのため、この対物レンズを光ピックアップ装置本体に取付ける際には、光ディスクの記録面に対して対物レンズの光軸が直交するように対物レンズの傾きを調整するいわゆるチルト調整を行うことが求められる。
【0004】
図7は、このようなチルト調整を行うための一般的な構成として、オートコリメータを用いた機構の一例を示したものである。
【0005】
図7において、調整対象となる対物レンズ3に対向する位置には、オートコリメータ8が設置されている。このオートコリメータ8は、対物レンズ3のチルト調整用参照面4に対してレーザ光等の光を照射するための光源9を有している。この光源9における光の進行方向側には、半透鏡10が配置されており、この半透鏡10は、光源から出射された光を対物レンズ3側へ透過するとともに、対物レンズ3のチルト調整用参照面4によって反射された反射光である参照光を、検出器30側に反射するようになっている。また、半透鏡10と対物レンズ3との間には、コリメータレンズ16が配置されており、このコリメータレンズ16によって、光源9から放射された光を平行光にして対物レンズ3へ照射する。検出器30には、表示画面11が接続されており、検出器30によって検出された参照光は、図7に示す表示画面11上に光スポットとして表示されるようになっている。
【0006】
この表示画面11上には、画面の中央に交点14を有する十字線分15,15が表示されており、対物レンズ3が装置本体1に対して平行に位置されている場合は、検出された参照光が十字線分15の交点14上に表示されるようになっている。
【0007】
なお、対物レンズ3は、図7に示すようにレンズホルダ2に接着剤等によって固定されている。このレンズホルダ2と装置本体1との間には若干のクリアランスが形成されており、装置本体1に対してレンズホルダ2の微小な傾き、すなわち対物レンズ3の傾きが調整可能な状態となっている。
【0008】
このようなオートコリメータ8を用いたチルト調整は、以下のように行われる。まず、光源9から光を照射すると、この照射光は半透鏡10を透過した後に、コリメータレンズ16によって平行光に変換される。そして、この平行光は、対物レンズ3の各部位に入射する。対物レンズ3に入射する平行光のうち、一部の光は、図8に示すように、対物レンズ3に形成されたチルト調整用参照面4に入射する。
【0009】
そして、このチルト調整用参照面4に入射した平行光は、このチルト調整用参照面4によって反射されて参照光となり、この参照光は、オートコリメータ8の半透鏡10によって検出器側に反射される。検出器側に反射された参照光は、この検出器によって検出された後に表示画面11上に光スポットとして表示される。
【0010】
ここで、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交し得る場合は、チルト調整用参照面4によって反射された参照光は、入射された平行光と平行になり、表示画面11上においては、十字線分15の交点14上にスポットとして表示される。
【0011】
一方、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交し得ない場合は、参照光は、入射された平行光に対して傾きを有した状態になり、表示画面11上においては、十字線分14の交点14からずれた位置にスポット表示される。
【0012】
したがって、表示画面11上の表示を見ながら光スポットの位置が十字線分15の交点14に一致するように対物レンズ3の傾き調整を行えば、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交する状態となり、これにより対物レンズ3のチルト調整が完了する。チルト調整が完了した後、この状態で対物レンズ3が固定されたレンズホルダ2を光ピックアップ装置本体1に対して例えば紫外線硬化型接着剤等を用いて完全に固定することにより、装置本体1に対する対物レンズ3の取付けが完了する。
【0013】
尚、チルト調整用参照面として、このような光軸に対して直交する基準平面を対物レンズの外周部に形成することは、特開2001−134975号公報にも記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のオートコリメータを用いたチルト調整方法においては、対物レンズに対する入射光の波面と平行なレンズ面からの反射光を最も鮮明な状態で検出するようになっている。
【0015】
例えば、図7に示したオートコリメータ8によって対物レンズ3に入射される光は、任意の時刻における位相の等しい波面が平面とされた平面波であるため、この平面波に沿ったチルト調整用参照面4からの反射光が良好な輝度を有した状態で検出される。
【0016】
ところが、反対側の面の平坦面部分5や、対物レンズ3の図7における上側のレンズ面も、チルト調整用参照面4とほぼ同様な平面、あるいはこれに近い形状の面(曲率の小さい面)に形成されているため、この平坦面部分5や上側のレンズ面から反射された反射光(図9に示す迷光)も、チルト調整用参照面4からの反射光である参照光とともに検出器により検出されてしまう状態となっていた。
【0017】
この迷光(ノイズ光)は、表示画面11上においては図10に示すように、参照光の表示位置の周囲に参照光との判別がつき難い明るさで光スポット12として一体的に表示されてしまう。
【0018】
このような参照光と迷光が混在する表示においても、画像処理等を用いて光スポット12の表示の中心部を明確に特定することができれば、この中心部を参照光の表示と推定することができ、チルト調整作業を行うことは可能である。しかしながら、表示画面11に表示される光スポット12は、例えば楕円あるいは外周が正確な円弧状でない斑点のような中心部を特定し難い形状になる場合が多く、このような場合には参照光を迷光と区別して明確に把握することが困難であり、この結果、チルト調整を適正かつ円滑に行うことができないといった問題が生じていた。
【0019】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、チルト調整の際の参照光を適正に把握してチルト調整を適正かつ円滑に行うことができる対物レンズおよびそのチルト調整方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る対物レンズの特徴は、チルト調整用参照面が、光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成されている点にある。
【0021】
そして、このような構成を採用したことにより、曲面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面に沿った球面波の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0022】
請求項2に係る対物レンズの特徴は、チルト調整用参照面が、光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成されている点にある。
【0023】
そして、このような構成を採用したことにより、傾斜面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面に沿った波面の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0024】
請求項3に係る対物レンズのチルト調整方法の特徴は、チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行う点にある。
【0025】
そして、このような方法を採用したことにより、曲面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面にほぼ対応する球面波の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0026】
請求項4に係る対物レンズのチルト調整方法の特徴は、チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行う点にある。
【0027】
そして、このような方法を採用したことにより、傾斜面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面にほぼ対応する波面の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る対物レンズの第1実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。
【0029】
なお、従来と基本的構成の同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0030】
本実施形態における対物レンズ20は、レンズホルダ2に臨む一方のレンズ面に対向する他方のレンズ面すなわち図1および図2における上側のレンズ面の外周に、対物レンズ20を光ピックアップ装置本体1に取り付ける際のチルト調整を行うチルト調整用参照面21が形成されている点では、従来のものと基本的に同様である。
【0031】
ただし、本第1実施形態においては、前記チルト調整用参照面21は、対物レンズ20の光軸7上に曲率中心を有する球面の一部をなす曲面形状に形成されている(図1参照)点で従来のものと異なっている。
【0032】
このような曲面形状に形成されているチルト調整用参照面21に対して、光の位相の等しい波面がチルト調整用参照面21にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射すると、この入射光は、チルト調整用参照面21によって入射時とほぼ同一形状の球面波の状態で入射光側に反射される。
【0033】
この結果、チルト調整用参照面21からの反射光である参照光を図3に示すようにして前述した他の平坦面部分(符号5で示す平坦面部分)や上側のレンズ面からの反射光である迷光と、その反射方向の違いにより明確に峻別させた状態で検出することができ、表示画面11においても参照光の位置を明確に把握することができる。
【0034】
なお、チルト調整用参照面21の曲率半径は、設計コンセプトに応じて異なるが、例えば、好ましくは7.5mm程度以上とされているのが望ましい。また、図1および図2においては、チルト調整用参照面21の曲率中心が、光軸7上における対物レンズ20の図1および図2において上側となる入射光側に設定されているが、これに限る必要はなく、例えば対物レンズ20の図1および図2において下側となる透過光側に曲率中心を設定することも考えられる。
【0035】
次に、前述した対物レンズ20を適用した本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第1実施形態について説明する。
【0036】
本第1実施形態においては、従来とは異なり、対物レンズ20に対して平行光ではなく図2に示すように、光の位相の等しい波面Sがチルト調整用参照面21にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射する。
【0037】
この球面波の光の形成は、例えば、図7に示したオートコリメータ8においてコリメータレンズ16と光源9との距離を、通常の使用時すなわち光源9からの放射光を平行光へ変換する時よりも短く設定して、光源9からの放射光をコリメータレンズ16によって平行光よりもわずかに発散させた状態で対物レンズ20側に透過させることによって行う。
【0038】
なお、初期状態において、対物レンズ20はレンズホルダ2上に接着剤等を介して固定されており、このレンズホルダ2は、光ピックアップ装置本体1に対して若干の傾き調整が可能となるような状態、例えば、若干のクリアランスを持った状態で仮固定されている。
【0039】
そして、この初期状態から、対物レンズ20のチルト調整を行う場合は、オートコリメータ8の光源9から光を放射すると、この放射光は、半透鏡10を透過した後、この半透鏡10と対物レンズ20との間に設置されたコリメータレンズ16
に入射する。このとき、コリメータレンズ16は、通常の使用時よりも光源9に近い位置に設定されているため、光源9からの放射光を平行光よりもわずかに発散させた状態で透過する。これにより、光源9からの放射光が前記コリメータレンズ16によって前記チルト調整用参照面21に沿った等位相の波面を有する球面波の光に変換され、この球面波の光は、光の進行方向側に位置された対物レンズ20の各部位に入射する。
【0040】
対物レンズ20に入射した球面波の光のうち、チルト調整用参照面21に入射した光は、図3に示すように参照光として入射光側にこの入射光と平行に反射される。
【0041】
一方、対物レンズ20の図3における上側のレンズ面や反対側の平坦面部分5に入射した光は、迷光として参照光とは異なる角度で反射される。
【0042】
そして、これら参照光および迷光は半透鏡10によって検出器側に反射された後、この検出器によって検出されて表示画面11上に光スポット22として表示される。
【0043】
このとき、表示画面11上には、光スポット22における迷光の部位が参照光の部位を囲繞するようにして、参照光の部位と一体的に表示される。
【0044】
しかし、オートコリメータ8は、その構造上、対物レンズ20に対する入射光と平行な反射光を最も輝度が良好な状態で表示するため、たとえ参照光と迷光とが混在する光スポット22であっても、図4に示すように、参照光の部位と迷光の部位との輝度の差異が大きくなり(コントラストが大きくなり)、これらを明確に峻別することができる。
【0045】
この結果、光スポット22における参照光の部位を確実に把握することができ、この参照光の部位が十字線分15の交点14に位置するように対物レンズ20の傾きをレンズホルダ2とともに簡便かつ確実に調整することができる。
【0046】
そして、光スポット22における参照光の部位が十字線分15の交点14に位置したときに対物レンズ20のチルト調整が完了する。
【0047】
チルト調整の完了後、レンズホルダ2と光ピックアップ装置本体1とを紫外線硬化接着剤等により完全に固定する。これにより、対物レンズ20の光ピックアップ装置本体1への取付が完了する。
【0048】
従って、本第1実施形態によれば、対物レンズ20の光軸7上に曲率中心を有する曲面形状のチルト調整用参照面21に対して、このチルト調整用参照面21に沿った球面波の光を入射することにより、チルト調整用参照面21から反射された参照光を他の迷光と明確に峻別した状態で把握することができる。このため、参照光に基づいた対物レンズ20のチルト調整を簡易かつ確実に行うことができる。
【0049】
次に、本発明に係る対物レンズの第2実施形態について、図5および図6を参照して説明する。
【0050】
本実施形態における対物レンズ25は、レンズホルダ2に臨む一方のレンズ面に対向する他方のレンズ面すなわち図5および図6における上側のレンズ面の外周に、対物レンズ25を光ピックアップ装置本体1に取り付ける際のチルト調整を行うチルト調整用参照面26が形成されている点では、上述した第1実施形態のものと同様である。
【0051】
ただし、本第2実施形態においては、前記チルト調整用参照面26は、対物レンズ25の光軸7を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成されている点で第1実施形態と異なっている。
【0052】
この参照面26は、更に詳述すれば、図5に示すように光軸7上に頂点を持ち、この光軸7を回転中心とする円錐における円錐面(側面)の一部をなすような曲面状の傾斜面とされている。
【0053】
このような傾斜面形状に形成されているチルト調整用参照面26に対して、光の等位相の波面がチルト調整用参照面26にほぼ対応する波面とされた光を入射すると、この入射光は、チルト調整用参照面26によって入射時とほぼ同一形状の状態で入射光側に反射される。
【0054】
この結果、チルト調整用参照面26からの反射光である参照光を、他の平坦面部分(符号5で示す平坦面部分)や上側のレンズ面からの反射光である迷光とその反射方向の違いにより明確に峻別させた状態で検出することができ、表示画面11においても参照光の位置を明確に把握することができる。
【0055】
なお、光軸7に直交する平面に対するチルト調整用参照面26の傾斜角度(参照面26を平面で近似したときのこの平面の傾斜角度)すなわち図5に示すθは設計コンセプトに応じて異なるが、例えば好ましくは0°より大きく19.5°以下とされているのが望ましい。また、図5および図6においては、チルト調整用参照面26を構成する円錐が、その頂点が下向きに凸となるような向きに設定されているが、これに限る必要はなく、参照面を構成する円錐を、その頂点が上向きに凸となるような向きに設定することも可能である。
【0056】
次に、前述した対物レンズ25を適用した本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第2実施形態について説明する。
【0057】
本第2実施形態においては、従来とは異なり、対物レンズ26に対して平行光ではなく図6に示すように、光の位相の等しい波面Sがチルト調整用参照面26に沿った傾斜面とされた光を入射する。この光の形成は、図7に示したオートコリメータ8において、例えば、コリメータレンズ16と光源9との距離を、通常の使用時よりも短く設定して、光源9からの放射光をコリメータレンズ16によって平行光よりもわずかに発散させた状態で対物レンズ25側に透過させることによって行う。
【0058】
なお、初期状態において、対物レンズ25はレンズホルダ2上に接着剤等を介して固定されており、このレンズホルダ2は、前述した第1実施形態と同様な状態で光ピックアップ装置本体1に対して仮固定されている。
【0059】
そして、この初期状態から、対物レンズ25のチルト調整を行う場合は、オートコリメータ8の光源9から光を放射すると、この放射光は、半透鏡10を透過した後、この半透鏡10と対物レンズ25との間に設置されたコリメータレンズ16によって前記チルト調整用参照面26にほぼ沿った等位相の波面を有する光に変換される。そして、この光は、対物レンズ25の各部位に入射する。
【0060】
対物レンズ25に入射した入射光のうち、チルト調整用参照面26に入射した光は、この面で参照光として入射光側にこの入射光とほぼ平行に反射される。
【0061】
一方、対物レンズ25の上側のレンズ面や反対側の平坦面部分に入射した光は、迷光として参照光とは異なる角度で反射される。
【0062】
そして、これら参照光および迷光は半透鏡10によって検出器側に反射された後、この検出器によって検出されて表示画面11上に光スポットとして表示される。
【0063】
このとき、表示画面11上には、光スポットにおける迷光の部位が、参照光の部位を囲繞するようにして参照光の部位と一体的に表示される。
【0064】
しかし、オートコリメータ8は、その構造上、対物レンズ25に対する入射光と波面の形状が同じになる反射光を最も輝度が良好な状態で表示するため、たとえ参照光と迷光とが混在する光スポットであっても、図4に示した場合と同様に、参照光の部位と迷光の部位とを輝度の違いによって明確に峻別することができる。
【0065】
この結果、光スポットにおける参照光の部位を確実に把握することができ、この参照光の部位が表示画面11上の十字線分15の交点14に位置するようにレンズホルダ2の傾きを簡便かつ確実に調整することができる。
【0066】
そして、光スポットにおける参照光の部位を十字線分15の交点14に位置させることによって本第2実施形態における対物レンズ25のチルト調整が完了する。
【0067】
チルト調整の完了後、レンズホルダ2と光ピックアップ装置本体1とを紫外線硬化型接着剤等により完全に固定する。これにより、対物レンズ25の光ピックアップ装置本体1への取付が完了する。
【0068】
従って、本第2実施形態によれば、光軸7に直交する平面に対して所定の傾斜を有するチルト調整用参照平面26に対して、このチルト調整用参照面26に沿った傾斜状の波面の光を入射することにより、チルト調整用参照面26から反射された参照光を他の迷光と明確に峻別した状態で把握することができる。このため、第1実施形態と同様に、参照光に基づいた対物レンズ25のチルト調整を簡易かつ確実に行うことができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0070】
例えば、対物レンズ20,25のチルト調整用参照平面21,26に対して入射する光の波面は、少なくともこれらチルト調整用参照平面21,26の位置においてチルト調整用参照平面21,26にほぼ対応した形状であればよい。
【0071】
さらに、前述した実施形態においては、レンズホルダ2に固定された対物レンズ20,25をレンズホルダ2とともに光ピックアップ装置本体1に取り付けるように構成されているが、これに限る必要はない。例えば、本発明は、レンズホルダ2を光ピックアップ装置本体1と一体のものとしてとらえ、この光ピックアップ装置本体1のレンズホルダ2上に対物レンズを取り付ける際に対物レンズのチルト調整を行う場合にも適用できるものである。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法によれば、対物レンズを光ピックアップ装置本体の対して簡易かつ適正に調整し、固定することができ、高精度の光ピックアップ装置を効率良く製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る対物レンズの第1実施形態を示す側面図
【図2】本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法の第1実施形態において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図3】本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第1実施形態において、対物レンズの各部位による入射光の反射状態を示す図
【図4】本発明に係る対物レンズのチルト調整方法において、表示画面上における参照光の表示状態を示す図
【図5】本発明に係る対物レンズの第2実施形態を示す側面図
【図6】本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法の第2実施形態において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図7】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整を行うための一般的な構成の一例を示す図
【図8】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図9】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法において、チルト調整用参照平面による入射光の反射状態を示す図
【図10】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法の問題点を示す図
【符号の説明】
1 光ピックアップ装置本体
2 レンズホルダ
5 平坦面部分
7 光軸
11 表示画面
20,25 対物レンズ
21,26 チルト調整用参照平面
【産業上の利用分野】
本発明は、対物レンズおよびそのチルト調整方法に係り、特に、光ディスク等に用いられる光ピックアップ用の対物レンズおよびそのチルト調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、CDやDVD等の光ディスクに対する読み取りや書き込みを行うための光ピックアップ装置においては、光ピックアップ用の対物レンズが用いられていた。
【0003】
このような光ピックアップ用の対物レンズは、レンズ単体としても非常に高い光学性能が求められるものであるが、これに加えて組立時の光ピックアップ装置への取付けについても高い精度が要求される。そのため、この対物レンズを光ピックアップ装置本体に取付ける際には、光ディスクの記録面に対して対物レンズの光軸が直交するように対物レンズの傾きを調整するいわゆるチルト調整を行うことが求められる。
【0004】
図7は、このようなチルト調整を行うための一般的な構成として、オートコリメータを用いた機構の一例を示したものである。
【0005】
図7において、調整対象となる対物レンズ3に対向する位置には、オートコリメータ8が設置されている。このオートコリメータ8は、対物レンズ3のチルト調整用参照面4に対してレーザ光等の光を照射するための光源9を有している。この光源9における光の進行方向側には、半透鏡10が配置されており、この半透鏡10は、光源から出射された光を対物レンズ3側へ透過するとともに、対物レンズ3のチルト調整用参照面4によって反射された反射光である参照光を、検出器30側に反射するようになっている。また、半透鏡10と対物レンズ3との間には、コリメータレンズ16が配置されており、このコリメータレンズ16によって、光源9から放射された光を平行光にして対物レンズ3へ照射する。検出器30には、表示画面11が接続されており、検出器30によって検出された参照光は、図7に示す表示画面11上に光スポットとして表示されるようになっている。
【0006】
この表示画面11上には、画面の中央に交点14を有する十字線分15,15が表示されており、対物レンズ3が装置本体1に対して平行に位置されている場合は、検出された参照光が十字線分15の交点14上に表示されるようになっている。
【0007】
なお、対物レンズ3は、図7に示すようにレンズホルダ2に接着剤等によって固定されている。このレンズホルダ2と装置本体1との間には若干のクリアランスが形成されており、装置本体1に対してレンズホルダ2の微小な傾き、すなわち対物レンズ3の傾きが調整可能な状態となっている。
【0008】
このようなオートコリメータ8を用いたチルト調整は、以下のように行われる。まず、光源9から光を照射すると、この照射光は半透鏡10を透過した後に、コリメータレンズ16によって平行光に変換される。そして、この平行光は、対物レンズ3の各部位に入射する。対物レンズ3に入射する平行光のうち、一部の光は、図8に示すように、対物レンズ3に形成されたチルト調整用参照面4に入射する。
【0009】
そして、このチルト調整用参照面4に入射した平行光は、このチルト調整用参照面4によって反射されて参照光となり、この参照光は、オートコリメータ8の半透鏡10によって検出器側に反射される。検出器側に反射された参照光は、この検出器によって検出された後に表示画面11上に光スポットとして表示される。
【0010】
ここで、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交し得る場合は、チルト調整用参照面4によって反射された参照光は、入射された平行光と平行になり、表示画面11上においては、十字線分15の交点14上にスポットとして表示される。
【0011】
一方、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交し得ない場合は、参照光は、入射された平行光に対して傾きを有した状態になり、表示画面11上においては、十字線分14の交点14からずれた位置にスポット表示される。
【0012】
したがって、表示画面11上の表示を見ながら光スポットの位置が十字線分15の交点14に一致するように対物レンズ3の傾き調整を行えば、対物レンズ3の光軸7が光ディスクの記録面に直交する状態となり、これにより対物レンズ3のチルト調整が完了する。チルト調整が完了した後、この状態で対物レンズ3が固定されたレンズホルダ2を光ピックアップ装置本体1に対して例えば紫外線硬化型接着剤等を用いて完全に固定することにより、装置本体1に対する対物レンズ3の取付けが完了する。
【0013】
尚、チルト調整用参照面として、このような光軸に対して直交する基準平面を対物レンズの外周部に形成することは、特開2001−134975号公報にも記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のオートコリメータを用いたチルト調整方法においては、対物レンズに対する入射光の波面と平行なレンズ面からの反射光を最も鮮明な状態で検出するようになっている。
【0015】
例えば、図7に示したオートコリメータ8によって対物レンズ3に入射される光は、任意の時刻における位相の等しい波面が平面とされた平面波であるため、この平面波に沿ったチルト調整用参照面4からの反射光が良好な輝度を有した状態で検出される。
【0016】
ところが、反対側の面の平坦面部分5や、対物レンズ3の図7における上側のレンズ面も、チルト調整用参照面4とほぼ同様な平面、あるいはこれに近い形状の面(曲率の小さい面)に形成されているため、この平坦面部分5や上側のレンズ面から反射された反射光(図9に示す迷光)も、チルト調整用参照面4からの反射光である参照光とともに検出器により検出されてしまう状態となっていた。
【0017】
この迷光(ノイズ光)は、表示画面11上においては図10に示すように、参照光の表示位置の周囲に参照光との判別がつき難い明るさで光スポット12として一体的に表示されてしまう。
【0018】
このような参照光と迷光が混在する表示においても、画像処理等を用いて光スポット12の表示の中心部を明確に特定することができれば、この中心部を参照光の表示と推定することができ、チルト調整作業を行うことは可能である。しかしながら、表示画面11に表示される光スポット12は、例えば楕円あるいは外周が正確な円弧状でない斑点のような中心部を特定し難い形状になる場合が多く、このような場合には参照光を迷光と区別して明確に把握することが困難であり、この結果、チルト調整を適正かつ円滑に行うことができないといった問題が生じていた。
【0019】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、チルト調整の際の参照光を適正に把握してチルト調整を適正かつ円滑に行うことができる対物レンズおよびそのチルト調整方法を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る対物レンズの特徴は、チルト調整用参照面が、光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成されている点にある。
【0021】
そして、このような構成を採用したことにより、曲面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面に沿った球面波の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0022】
請求項2に係る対物レンズの特徴は、チルト調整用参照面が、光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成されている点にある。
【0023】
そして、このような構成を採用したことにより、傾斜面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面に沿った波面の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0024】
請求項3に係る対物レンズのチルト調整方法の特徴は、チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行う点にある。
【0025】
そして、このような方法を採用したことにより、曲面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面にほぼ対応する球面波の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0026】
請求項4に係る対物レンズのチルト調整方法の特徴は、チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行う点にある。
【0027】
そして、このような方法を採用したことにより、傾斜面形状のチルト調整用参照面に対してオートコリメータ等によってチルト調整用参照面にほぼ対応する波面の光を入射することにより、このチルト調整用参照面から反射された参照光と、他の平坦面部分やレンズ面によって反射された迷光とを峻別し得る状態で参照光の検出を行うことができ、チルト調整を適正且つ効率よく行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る対物レンズの第1実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。
【0029】
なお、従来と基本的構成の同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0030】
本実施形態における対物レンズ20は、レンズホルダ2に臨む一方のレンズ面に対向する他方のレンズ面すなわち図1および図2における上側のレンズ面の外周に、対物レンズ20を光ピックアップ装置本体1に取り付ける際のチルト調整を行うチルト調整用参照面21が形成されている点では、従来のものと基本的に同様である。
【0031】
ただし、本第1実施形態においては、前記チルト調整用参照面21は、対物レンズ20の光軸7上に曲率中心を有する球面の一部をなす曲面形状に形成されている(図1参照)点で従来のものと異なっている。
【0032】
このような曲面形状に形成されているチルト調整用参照面21に対して、光の位相の等しい波面がチルト調整用参照面21にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射すると、この入射光は、チルト調整用参照面21によって入射時とほぼ同一形状の球面波の状態で入射光側に反射される。
【0033】
この結果、チルト調整用参照面21からの反射光である参照光を図3に示すようにして前述した他の平坦面部分(符号5で示す平坦面部分)や上側のレンズ面からの反射光である迷光と、その反射方向の違いにより明確に峻別させた状態で検出することができ、表示画面11においても参照光の位置を明確に把握することができる。
【0034】
なお、チルト調整用参照面21の曲率半径は、設計コンセプトに応じて異なるが、例えば、好ましくは7.5mm程度以上とされているのが望ましい。また、図1および図2においては、チルト調整用参照面21の曲率中心が、光軸7上における対物レンズ20の図1および図2において上側となる入射光側に設定されているが、これに限る必要はなく、例えば対物レンズ20の図1および図2において下側となる透過光側に曲率中心を設定することも考えられる。
【0035】
次に、前述した対物レンズ20を適用した本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第1実施形態について説明する。
【0036】
本第1実施形態においては、従来とは異なり、対物レンズ20に対して平行光ではなく図2に示すように、光の位相の等しい波面Sがチルト調整用参照面21にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射する。
【0037】
この球面波の光の形成は、例えば、図7に示したオートコリメータ8においてコリメータレンズ16と光源9との距離を、通常の使用時すなわち光源9からの放射光を平行光へ変換する時よりも短く設定して、光源9からの放射光をコリメータレンズ16によって平行光よりもわずかに発散させた状態で対物レンズ20側に透過させることによって行う。
【0038】
なお、初期状態において、対物レンズ20はレンズホルダ2上に接着剤等を介して固定されており、このレンズホルダ2は、光ピックアップ装置本体1に対して若干の傾き調整が可能となるような状態、例えば、若干のクリアランスを持った状態で仮固定されている。
【0039】
そして、この初期状態から、対物レンズ20のチルト調整を行う場合は、オートコリメータ8の光源9から光を放射すると、この放射光は、半透鏡10を透過した後、この半透鏡10と対物レンズ20との間に設置されたコリメータレンズ16
に入射する。このとき、コリメータレンズ16は、通常の使用時よりも光源9に近い位置に設定されているため、光源9からの放射光を平行光よりもわずかに発散させた状態で透過する。これにより、光源9からの放射光が前記コリメータレンズ16によって前記チルト調整用参照面21に沿った等位相の波面を有する球面波の光に変換され、この球面波の光は、光の進行方向側に位置された対物レンズ20の各部位に入射する。
【0040】
対物レンズ20に入射した球面波の光のうち、チルト調整用参照面21に入射した光は、図3に示すように参照光として入射光側にこの入射光と平行に反射される。
【0041】
一方、対物レンズ20の図3における上側のレンズ面や反対側の平坦面部分5に入射した光は、迷光として参照光とは異なる角度で反射される。
【0042】
そして、これら参照光および迷光は半透鏡10によって検出器側に反射された後、この検出器によって検出されて表示画面11上に光スポット22として表示される。
【0043】
このとき、表示画面11上には、光スポット22における迷光の部位が参照光の部位を囲繞するようにして、参照光の部位と一体的に表示される。
【0044】
しかし、オートコリメータ8は、その構造上、対物レンズ20に対する入射光と平行な反射光を最も輝度が良好な状態で表示するため、たとえ参照光と迷光とが混在する光スポット22であっても、図4に示すように、参照光の部位と迷光の部位との輝度の差異が大きくなり(コントラストが大きくなり)、これらを明確に峻別することができる。
【0045】
この結果、光スポット22における参照光の部位を確実に把握することができ、この参照光の部位が十字線分15の交点14に位置するように対物レンズ20の傾きをレンズホルダ2とともに簡便かつ確実に調整することができる。
【0046】
そして、光スポット22における参照光の部位が十字線分15の交点14に位置したときに対物レンズ20のチルト調整が完了する。
【0047】
チルト調整の完了後、レンズホルダ2と光ピックアップ装置本体1とを紫外線硬化接着剤等により完全に固定する。これにより、対物レンズ20の光ピックアップ装置本体1への取付が完了する。
【0048】
従って、本第1実施形態によれば、対物レンズ20の光軸7上に曲率中心を有する曲面形状のチルト調整用参照面21に対して、このチルト調整用参照面21に沿った球面波の光を入射することにより、チルト調整用参照面21から反射された参照光を他の迷光と明確に峻別した状態で把握することができる。このため、参照光に基づいた対物レンズ20のチルト調整を簡易かつ確実に行うことができる。
【0049】
次に、本発明に係る対物レンズの第2実施形態について、図5および図6を参照して説明する。
【0050】
本実施形態における対物レンズ25は、レンズホルダ2に臨む一方のレンズ面に対向する他方のレンズ面すなわち図5および図6における上側のレンズ面の外周に、対物レンズ25を光ピックアップ装置本体1に取り付ける際のチルト調整を行うチルト調整用参照面26が形成されている点では、上述した第1実施形態のものと同様である。
【0051】
ただし、本第2実施形態においては、前記チルト調整用参照面26は、対物レンズ25の光軸7を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成されている点で第1実施形態と異なっている。
【0052】
この参照面26は、更に詳述すれば、図5に示すように光軸7上に頂点を持ち、この光軸7を回転中心とする円錐における円錐面(側面)の一部をなすような曲面状の傾斜面とされている。
【0053】
このような傾斜面形状に形成されているチルト調整用参照面26に対して、光の等位相の波面がチルト調整用参照面26にほぼ対応する波面とされた光を入射すると、この入射光は、チルト調整用参照面26によって入射時とほぼ同一形状の状態で入射光側に反射される。
【0054】
この結果、チルト調整用参照面26からの反射光である参照光を、他の平坦面部分(符号5で示す平坦面部分)や上側のレンズ面からの反射光である迷光とその反射方向の違いにより明確に峻別させた状態で検出することができ、表示画面11においても参照光の位置を明確に把握することができる。
【0055】
なお、光軸7に直交する平面に対するチルト調整用参照面26の傾斜角度(参照面26を平面で近似したときのこの平面の傾斜角度)すなわち図5に示すθは設計コンセプトに応じて異なるが、例えば好ましくは0°より大きく19.5°以下とされているのが望ましい。また、図5および図6においては、チルト調整用参照面26を構成する円錐が、その頂点が下向きに凸となるような向きに設定されているが、これに限る必要はなく、参照面を構成する円錐を、その頂点が上向きに凸となるような向きに設定することも可能である。
【0056】
次に、前述した対物レンズ25を適用した本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第2実施形態について説明する。
【0057】
本第2実施形態においては、従来とは異なり、対物レンズ26に対して平行光ではなく図6に示すように、光の位相の等しい波面Sがチルト調整用参照面26に沿った傾斜面とされた光を入射する。この光の形成は、図7に示したオートコリメータ8において、例えば、コリメータレンズ16と光源9との距離を、通常の使用時よりも短く設定して、光源9からの放射光をコリメータレンズ16によって平行光よりもわずかに発散させた状態で対物レンズ25側に透過させることによって行う。
【0058】
なお、初期状態において、対物レンズ25はレンズホルダ2上に接着剤等を介して固定されており、このレンズホルダ2は、前述した第1実施形態と同様な状態で光ピックアップ装置本体1に対して仮固定されている。
【0059】
そして、この初期状態から、対物レンズ25のチルト調整を行う場合は、オートコリメータ8の光源9から光を放射すると、この放射光は、半透鏡10を透過した後、この半透鏡10と対物レンズ25との間に設置されたコリメータレンズ16によって前記チルト調整用参照面26にほぼ沿った等位相の波面を有する光に変換される。そして、この光は、対物レンズ25の各部位に入射する。
【0060】
対物レンズ25に入射した入射光のうち、チルト調整用参照面26に入射した光は、この面で参照光として入射光側にこの入射光とほぼ平行に反射される。
【0061】
一方、対物レンズ25の上側のレンズ面や反対側の平坦面部分に入射した光は、迷光として参照光とは異なる角度で反射される。
【0062】
そして、これら参照光および迷光は半透鏡10によって検出器側に反射された後、この検出器によって検出されて表示画面11上に光スポットとして表示される。
【0063】
このとき、表示画面11上には、光スポットにおける迷光の部位が、参照光の部位を囲繞するようにして参照光の部位と一体的に表示される。
【0064】
しかし、オートコリメータ8は、その構造上、対物レンズ25に対する入射光と波面の形状が同じになる反射光を最も輝度が良好な状態で表示するため、たとえ参照光と迷光とが混在する光スポットであっても、図4に示した場合と同様に、参照光の部位と迷光の部位とを輝度の違いによって明確に峻別することができる。
【0065】
この結果、光スポットにおける参照光の部位を確実に把握することができ、この参照光の部位が表示画面11上の十字線分15の交点14に位置するようにレンズホルダ2の傾きを簡便かつ確実に調整することができる。
【0066】
そして、光スポットにおける参照光の部位を十字線分15の交点14に位置させることによって本第2実施形態における対物レンズ25のチルト調整が完了する。
【0067】
チルト調整の完了後、レンズホルダ2と光ピックアップ装置本体1とを紫外線硬化型接着剤等により完全に固定する。これにより、対物レンズ25の光ピックアップ装置本体1への取付が完了する。
【0068】
従って、本第2実施形態によれば、光軸7に直交する平面に対して所定の傾斜を有するチルト調整用参照平面26に対して、このチルト調整用参照面26に沿った傾斜状の波面の光を入射することにより、チルト調整用参照面26から反射された参照光を他の迷光と明確に峻別した状態で把握することができる。このため、第1実施形態と同様に、参照光に基づいた対物レンズ25のチルト調整を簡易かつ確実に行うことができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0070】
例えば、対物レンズ20,25のチルト調整用参照平面21,26に対して入射する光の波面は、少なくともこれらチルト調整用参照平面21,26の位置においてチルト調整用参照平面21,26にほぼ対応した形状であればよい。
【0071】
さらに、前述した実施形態においては、レンズホルダ2に固定された対物レンズ20,25をレンズホルダ2とともに光ピックアップ装置本体1に取り付けるように構成されているが、これに限る必要はない。例えば、本発明は、レンズホルダ2を光ピックアップ装置本体1と一体のものとしてとらえ、この光ピックアップ装置本体1のレンズホルダ2上に対物レンズを取り付ける際に対物レンズのチルト調整を行う場合にも適用できるものである。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法によれば、対物レンズを光ピックアップ装置本体の対して簡易かつ適正に調整し、固定することができ、高精度の光ピックアップ装置を効率良く製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る対物レンズの第1実施形態を示す側面図
【図2】本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法の第1実施形態において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図3】本発明に係る対物レンズのチルト調整方法の第1実施形態において、対物レンズの各部位による入射光の反射状態を示す図
【図4】本発明に係る対物レンズのチルト調整方法において、表示画面上における参照光の表示状態を示す図
【図5】本発明に係る対物レンズの第2実施形態を示す側面図
【図6】本発明に係る対物レンズおよびそのチルト調整方法の第2実施形態において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図7】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整を行うための一般的な構成の一例を示す図
【図8】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法において、対物レンズに対する入射光の入射状態を示す図
【図9】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法において、チルト調整用参照平面による入射光の反射状態を示す図
【図10】従来から採用されていた対物レンズのチルト調整方法の問題点を示す図
【符号の説明】
1 光ピックアップ装置本体
2 レンズホルダ
5 平坦面部分
7 光軸
11 表示画面
20,25 対物レンズ
21,26 チルト調整用参照平面
Claims (4)
- 一方のレンズ面の外周部に、光ピックアップ装置本体への取付けの際のチルト調整を行うためのチルト調整用参照面が形成された光ピックアップ用の対物レンズであって、
前記チルト調整用参照面は、光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成されていることを特徴とする対物レンズ。 - 一方のレンズ面の外周部に、光ピックアップ装置本体への取付けの際のチルト調整を行うためのチルト調整用参照面が形成された光ピックアップ用の対物レンズであって、
前記チルト調整用参照面は、光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成されていることを特徴とする対物レンズ。 - 一方のレンズ面の外周部に形成したチルト調整用参照面を用いて光ピックアップ装置本体に対する対物レンズの傾きを調整する対物レンズのチルト調整方法において、
前記チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸上に曲率中心を有する曲面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた球面波の光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行うことを特徴とする対物レンズのチルト調整方法。 - 一方のレンズ面の外周部に形成したチルト調整用参照面を用いて光ピックアップ装置本体に対する対物レンズの傾きを調整する対物レンズのチルト調整方法において、
前記チルト調整用参照面を、前記対物レンズの光軸を回転中心とする円錐における円錐面の一部をなすような傾斜面形状に形成し、このチルト調整用参照面に対して、少なくとも前記チルト調整用参照面の位置における光の位相の等しい波面が前記チルト調整用参照面にほぼ対応する波面とされた光を入射し、その反射光を参照してチルト調整を行うことを特徴とする対物レンズのチルト調整方法。
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2002
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