JP2004030760A - 記録テープカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録テープTが巻装された単一のリール14を回転可能に収容する略矩形状のケース12と、ケース12のドライブ装置への装填側角部に形成され、記録テープTの端部に取り付けられたリーダー部材22を引き出すための開口20と、スライドして開口20を開閉する遮蔽部材50と、を備えた記録テープカートリッジ10において、遮蔽部材50が開口20を閉塞したときに、その遮蔽部材50の先端にオーバーラップする防塵壁30を開口20の辺縁部に形成する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープが巻装された単一のリールをケース内に収容してなる記録テープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コンピューター等のデータ記録再生媒体として使用されている磁気テープを単一のリールに巻装し、そのリールをケース内に収容してなる磁気テープカートリッジが知られている。この磁気テープの先端には、リーダーピンやリーダーテープ、リーダーブロックといったリーダー部材が設けられており、そのリーダー部材をドライブ装置側に設けられた引出手段が磁気テープカートリッジの開口から引き出し、それに固着された磁気テープをドライブ装置側の巻取リールに巻装させるようになっている。
【0003】
また、磁気テープカートリッジの下面に穿設された開孔から現出しているリールの下面中央にはリールギアが環状に刻設されており、ドライブ装置側の回転シャフトに設けられた駆動ギアがそのリールギアに噛合することにより、リールが回転駆動するように構成されている。しかして、磁気テープカートリッジのリール及びドライブ装置の巻取リールを同期して回転させることにより、磁気テープにデータを記録したり、磁気テープに記録されたデータの再生ができる。
【0004】
このような構成の磁気テープカートリッジは、保存時の収容スペースが小さくて済むとともに、大容量の情報を記録でき、リーダー部材のタイプ毎に、開口位置及びその開口を開閉するドアのタイプが異なっている。すなわち、例えばリーダーピン70の場合には、図7で示すように、ドライブ装置への装填方向(矢印P方向)と平行な側壁64側で、かつ、その装填側角部近傍に開口68が形成されており、ドライブ装置への装填方向と同方向にスライド移動するドア66によって、その開口68が開閉されるようになっている。
【0005】
このタイプのドア66は、その後端部に突設されたシャフト65にコイルばね67が嵌挿され、ケース60に設けられた係止部63にそのコイルばね67の後端部が係止されるようにして、ケース60内に組み込まれるようになっている。そして、ドア66の前端部には、ドライブ装置に設けられた開閉部材(図示省略)が係合する係合部69が外方へ向かって突設されている。
【0006】
したがって、磁気テープカートリッジがドライブ装置へ装填されると、その係合部69に開閉部材が係合し、ドア66がコイルばね67の付勢力に抗して相対的に後方へ向けて押圧され、開口68が開放される。このとき、その係合部69に開閉部材が好適に係合するように、ドライブ装置と対向する側壁62側で、かつ、開口68側の端部には、係合部69を露出させるための切欠部61が形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように、側壁62の開口68側端部に切欠部61が形成されていると、磁気テープカートリッジの不使用時(ドライブ装置に装填しない、保管時や運搬時)等、開口68がドア66によって閉塞されている場合に、その切欠部61と係合部69との隙間から塵埃等が入り込むおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、開口が遮蔽部材(ドア)によって閉塞されているときに、その開口の辺縁部と遮蔽部材(ドア)との間に、塵埃等が入り込めるような隙間が発生しないようにして、防塵性の強化を図った記録テープカートリッジを得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の記録テープカートリッジは、記録テープが巻装された単一のリールを回転可能に収容する略矩形状のケースと、前記ケースのドライブ装置への装填側角部に形成され、前記記録テープの端部に取り付けられたリーダー部材を引き出すための開口と、スライドして前記開口を開閉する遮蔽部材と、を備えた記録テープカートリッジにおいて、前記遮蔽部材が開口を閉塞したときに、その遮蔽部材の先端にオーバーラップする防塵壁を前記開口の辺縁部に形成したことを特徴としている。
【0010】
これによれば、遮蔽部材が開口を閉塞しているとき、遮蔽部材の先端は、開口の辺縁部に形成された防塵壁とオーバーラップする。したがって、開口の辺縁部と遮蔽部材との間に、塵埃等が入り込む隙間が生じることはなく、よって、その部位において、防塵性の強化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る記録テープカートリッジ10を図1乃至図6に基づいて説明する。まず、最初に、記録テープカートリッジ10の全体構成を簡単に説明し、次いで本発明に係る要部について詳細に説明する。なお、説明の便宜上、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向とする。
【0012】
図1、図2で示すように、記録テープカートリッジ10は、平面視で略矩形状のケース12内に、情報記録再生媒体である記録テープとしての磁気テープTを巻装した単一のリール14を回転可能に収容して構成されている。ケース12は、ドライブ装置への装填方向先頭側の1つの角部である右前角部がそれぞれ斜めに切り欠かれた一対の上ケース16と下ケース18とを互いの周壁16A、18Aを突き合せて接合することで構成されており、内部に磁気テープTを巻装したリール14の収容空間が設けられている。
【0013】
また、上ケース16及び下ケース18の周壁16A、18Aにおいて、切り欠かれた右前角部には磁気テープTの引き出し用の開口20が形成され、この開口20から引き出される磁気テープTの自由端には、ドライブ装置の引出手段によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン22が接続されている。リーダーピン22の磁気テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝22Aが形成されており、この環状溝22Aが引出手段のフック等に係止されることにより、磁気テープTを引き出す際に、そのフック等が磁気テープTに接触して傷付けない構成である。
【0014】
また、その開口20の内側には、ケース12内においてリーダーピン22を位置決め、保持する上下一対のピン保持部24が設けられている。ピン保持部24は、図3、図4でも示すように、略半円筒形状をしており、その凹部24A内に直立した状態のリーダーピン22の両端部が保持される。そして、ピン保持部24の外周壁の磁気テープT引き出し側は開放しており、リーダーピン22が出入する出入口となっている。
【0015】
ピン保持部24の近傍には、板ばね25が、前壁12A(周壁16A、18Aのうち、外面が矢印A方向を向く部分)の内面に設けられたばね保持部27と溝部23(図3、図4参照)に、その基部が挿入されて固定配置されるようになっており、この板ばね25の二股状の先端部がリーダーピン22の上下端にそれぞれ係合して、リーダーピン22をピン保持部24に保持するようになっている。なお、リーダーピン22がピン保持部24に出入する際には、板ばね25の先端部は適宜弾性変形してリーダーピン22の移動を許容する構成である。
【0016】
更に、下ケース18の中央部には、リール14の図示しないリールギアを外部に露出するためのギア開口26が設けられており、リール14はリールギアがドライブ装置の駆動ギアに噛合されてケース12内で回転駆動されるようになっている。また、リール14は、上ケース16及び下ケース18の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口26と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁28によってガタつかないように保持されている。
【0017】
この遊動規制壁28の開口20近傍の端部には、内部に位置規制用穴が形成された袋部28Aが連設されている。そして、ケース12の左前角部の内側においては、長穴である位置規制用穴が形成された袋部29が遊動規制壁28とは離間して設けられている。袋部28A、29は、矢印B方向に沿った一直線上に配置されており、袋部28Aが連設された端部を除いて、各遊動規制壁28は、それぞれ端部がケース12の周壁16A又は周壁18Aと連設されることで、その外側とリール14の設置空間とを仕切っている。
【0018】
また、下ケース18の後方側には、周壁18Aの上端を除く部分が断面視略「コ」字状にケース12の内方へ凹むとともに、ケース12の下面から上方へも凹んだ(底板が切り欠かれた)凹部48が形成されている。この凹部48は、ケース12の左壁にも形成され、例えばドライブ装置の引き込み手段が係合する係合部とされたり、その底面(下向きの面)がドライブ装置内での位置決め用の基準面とされたりするようになっている。
【0019】
また、その凹部48の後方側にも周壁18Aの上端を除く部分が断面視略「コ」字状にケース12の内方へ凹むとともに、ケース12の下面から上方へも凹んだ(底板が切り欠かれた)凹部46が形成されている。この凹部46は、ライブラリー装置の把持手段が係合する係合部とされており、このような凹部46、48を設けることでケース12(下ケース18)の捩り強度が向上される。また、上ケース16の左壁の上面部分には、平面視略台形状の凹部44が形成されている。この凹部44は、開口20の開放時、後述するドア50の開放方向への移動に伴う回転モーメントをキャンセルするための保持部材(図示省略)が係合する係合部とされている。
【0020】
また、下ケース18の右後部には、各記録テープカートリッジ10毎に、その各種情報を記憶されたメモリーボードMが設置されるようになっており、下面側から読み取るドライブ装置と、後壁側から読み取るライブラリー装置での検知が可能となるように、後部内壁18Bが所定角度の傾斜面に形成され、メモリーボードMが支持突起19により支持されて所定角度に傾斜配置されるようになっている。また、下ケース18の左後部には、その記録テープカートリッジ10への記録可・不可が設定されるライトプロテクト(図示省略)が設けられるようになっており、ライトプロテクトを操作する操作突起(図示省略)が突出する開孔17が穿設されている。
【0021】
また、上ケース16及び下ケース18において、開口20近傍から後壁の近傍まで、後述するドア50の凸部51を内面側及び外面側の両側方から挟み込むようにして支持する所定高さのガイド壁部42が立設されている。このガイド壁部42は、平面視略円弧状に形成され、上ケース16と下ケース18とではその長さが異なっており、上ケース16側の方が下ケース18側よりも後側が長く形成されている。これは、下ケース18の後部内壁18Bの右壁12B寄りに、メモリーボードMを所定角度で傾斜配置しているからである。
【0022】
また、ガイド壁部42の後端部は平面視略円弧状に閉塞されており、ドア50がそれ以上後方へ移動できないように、上下それぞれ最も後側の凸部51を規制するようになっている。そして、ガイド壁部42の前端部は開放されており、リーダーピン22の出入時に、そのリーダーピン22の出入を妨げないような位置(この図示のものはピン保持部24よりも後方側で、開口20の開口幅の約半分程度)まで延設されている。
【0023】
また、ガイド壁部42は、少なくとも開口20から露出している部分(開口20に臨む部分)が若干低くなるように形成されている。これは、開口20に、リーダーピン22をチャックして引き出すドライブ装置側の引出手段が入り込めるスペースを確保するためである。したがって、ドア50の少なくとも開口20を閉塞する部分の板幅(高さ)が、その分、大きく(高く)なるように形成されている。
【0024】
また、上ケース16内面及び下ケース18内面には、その開口20から露出している外側のガイド壁部42と一体になって平面視略台形状をなすリブ38が、そのガイド壁部42と同等の高さになるように立設されており、このリブ38によって開口20部分における上ケース16及び下ケース18の強度が確保されるようになっている。なお、内側のガイド壁部42はピン保持部24と一体になるように連設されているが、ピン保持部24の高さは、一体に連設されたガイド壁部42の高さと略同等か、それよりも高く形成されていることが望ましい。
【0025】
一方、開口20を開閉する遮蔽部材としてのドア50は、所定の円周に沿って(ガイド壁部42に沿って)移動できるように、板厚方向に湾曲した平面視略円弧状に形成され、上記したように、少なくとも開口20を閉塞する部分の板幅(高さ)が開口20の開口高さと略同一に形成され、それよりも後側が若干小さく(低く)形成されている。また、ドア50の湾曲した長手寸法(板長)は、その後端部が開口20の閉塞状態において、ケース12の凹部48よりも後方の(凹部46近傍の)右後角部内に位置するように決められており、ドア50の後下部は、下ケース18の後部内壁18B側に所定角度で傾斜配置されたメモリーボードMを回避するために、斜めに切り欠かれている。
【0026】
また、ドア50の上面及び下面には、ガイド壁部42のガイド面(互いに対向している内面)と、ガイド壁部42間の上ケース16内面及び下ケース18内面にそれぞれ当接して、ドア50を開口20の開閉方向に案内する凸部51が突設されている。この凸部51は、ドア50の長手方向に沿って長い平面視略楕円形状に形成され、上面及び下面にそれぞれ4つずつ、最も後側の凸部51を除いて上下対称に、かつ、ガイド壁部42の高さと略同等の高さになるように突設されている。なお、最後側の凸部51が上下対称でないのは、ドア50の後下部が斜めに切り欠かれていることによる。
【0027】
また、この凸部51の先端は断面視(側面視)略円弧状になるように形成され、凸部51がガイド壁部42間に挿入されて摺動する際には、その凸部51の先端だけが上ケース16内面及び下ケース18内面に線接触する。したがって、上下の凸部51と、ガイド壁部42間の上ケース16内面及び下ケース18内面との摺動抵抗(摩擦)を低減することができ、ドア50を抵抗少なく、スムーズに摺動させることができる。なお、凸部51が平面視略楕円形状に形成されていると、例えば平面視略円形状に形成されているものよりも耐衝撃性に優れるため、落下等の衝撃によってドア50に開閉方向以外からの力が加えられても、その凸部51が折れるような心配はない。
【0028】
また、ドア50の前端部内面には、開口20閉塞時において、リーダーピン22の上端部側面及び下端部側面に当接するストッパー58が突設されており、落下衝撃等によってリーダーピン22がピン保持部24から脱落するのを、より一層防止できるようになっている。そして、ドア50を開口20閉塞方向へ付勢する付勢部材としてのコイルばね56は、ドア50が開口20の閉塞状態でケース12の右後角部に至る長さであるため、右後角部における遊動規制壁28と右壁12B(周壁16A、18A)との間の空間を有効利用して配設されている。
【0029】
すなわち、ドア50の後端近傍の内周面には、背面視略L字状のばね保持部54が上方に向かって一体的に突設され、下ケース18の凹部48近傍の内面には、円柱状のばね係止部55が上方に向かって突設されている。そして、コイルばね56の両端にはリング状の取付部56A、56Bがそれぞれ形成されている。したがって、コイルばね56は、その一方の取付部56Bをばね係止部55に上方から挿入し、他方の取付部56Aをばね保持部54に上方から挿入することにより、上記した空間内に簡単に取り付けることができる。
【0030】
また、上ケース16には、ドア50の開閉時に、ばね保持部54の上部が摺接するリブ57が、平面視略円弧状に立設されている。このリブ57は、少なくともドア50が移動(開放)し始める際には、ばね保持部54が摺接できるような位置及び長さに配設され、コイルばね56の付勢力に抗して移動するばね保持部54を好適にガイドすることにより、ドア50がより安定して開放されるように(開放時にドア50がコイルばね56の付勢力によってブレないように)している。
【0031】
また、落下等による衝撃がケース12に加えられて、コイルばね56の取付部56Aがばね保持部54を上昇してきても、このリブ57を設けることによって、そのばね保持部54から外れないようにできる。なお、ばね係止部55側も、その上端が上ケース16の遊動規制壁28とガイド壁部42との間に挿入されることになるので、同様に、取付部56Bがばね係止部55から外れるのを防止することができる。
【0032】
また、ドア50の長手方向中央部よりも若干前方(ドア50の板幅が異なる境界部分近傍)における外周面には、操作部としての操作突起52がドア50の径方向に沿って突設されており、ケース12の右壁12Bに設けられた窓部としてのスリット40から、ケース12の外側へ露出されるようになっている。このスリット40は、右壁12Bを構成する上ケース16の周壁16Aの前側下部を所定長さ切り欠いて形成され、開口20側へも開放されている。
【0033】
したがって、操作突起52は、スリット40の前方へ開放された部分から操作可能とされ、開口20の開放状態では、スリット40の後縁から僅かに離間して位置するようになっており、このとき、ガイド壁部42の後端部に最後端側の凸部51が当接している。また、この操作突起52露出用のスリット40によってケース12の内外が連通されるが、このスリット40は、ケース12内の略全高に亘るドア50によって常時ほぼ閉塞され、かつ、内壁としての遊動規制壁28が設けられていることによって、リール14に巻装された磁気テープTへの塵埃等の付着は防止される。
【0034】
以上のような記録テープカートリッジ10において、次に本発明に係る開口付近の構成について、更に詳細に説明する。図5、図6で示すように、ケース12の前壁12Aの右端部には、開口20の前縁部を規定する上下一対の短い傾斜壁部30が一体に設けられている。この傾斜壁部30は、開口20の開放面に沿って屈曲形成され、その左方近傍の前壁12A内側には、上下一対のビスボス32が連設されている。
【0035】
また、この傾斜壁部30の延長線上及び内側には、ガイド壁部42と同一円周上に位置する短いガイド壁部41が立設されている。このガイド壁部41の間隔は、ガイド壁部42の間隔よりも若干幅狭に形成され、ドア50の凸部51が、開口20閉塞時に、ガイド壁部41内に嵌入されることにより、ドア50がガタつかずに保持されるようになっている。なお、当然ながら、ガイド壁部41の後端部は開放されており、リーダーピン22の出入を妨げないように、ピン保持部24の前端よりも後方側には延設されないようになっている。
【0036】
また、ドア50の前端部(先端部)がガイド壁部41内に入り込むと、傾斜壁部30の内側にドア50の前端部が位置することになり、傾斜壁部30とドア50の前端部とがオーバーラップして(ドア50の前端部外面が傾斜壁部30の内面に接触又は非接触状態で被覆されて)ラビリンス構造が形成されるので、開口20閉塞時において、開口20の辺縁部(傾斜壁部30の後端部)とドア50との隙間から、塵埃等がケース12内へ進入するのを確実に防止することができる。なお、ガイド壁部41に入り込むドア50の前端部(先端部)の内面及び/又は外面は、スムーズに入り込めるようにテーパー面に形成されることが好ましく、この場合は外面がテーパー面50Aになっている(図5参照)。
【0037】
また、ケース12の右壁12B(周壁16A、18Aのうち、外面が矢印B方向を向く部分)の前端部内側には、平面視で、ドア50の外周面に略沿った形状の上下一対の傾斜壁部34が設けられている。この傾斜壁部34の前端面が開口20の後縁を規定しており、その前端部には上下一対のビスボス36が設けられている。
【0038】
しかして、これら開口20の辺縁部近傍に位置する各ビスボス32、36に、図示しないビスが下方側から螺合されて、上ケース16と下ケース18とが固定(接合)される構成である。これにより、傾斜壁部30(前壁12A)及び傾斜壁部34(右壁12B)の各自由端によって規定され、強度的に不利で落下によって地面等に衝突しやすい開口20両端のコーナー部は強固に接合され、ケース12を落としても、開口20部分が記録テープカートリッジ10全体の重量で変形したり、座屈して位置ズレしたりしない構成である。なお、このようなビス止めは、分解性やリサイクル性においても好ましいことは言うまでもない。また、ビスボス32から延設された傾斜壁部30により、開口20周りの強度アップが更に図れるので、落下衝撃による塑性変形や破損を抑制することができる。
【0039】
次に、このような構成の記録テープカートリッジ10の作用について説明する。記録テープカートリッジ10は、不使用時(保管時や運搬時等)には、開口20がドア50によって閉塞されている。具体的には、ドア50は、コイルばね56の付勢力によって、常時開口20閉塞方向へ付勢されており、その前端部(先端部)がガイド壁部41内に入り込むとともに傾斜壁部30の内側に位置する状態で、開口20を閉塞している。
【0040】
一方、磁気テープTを使用する際には、記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿ってドライブ装置へ装填する。この装填に伴って、ドライブ装置の開閉手段を構成する開閉部材(図示省略)が、前方へ開放しているスリット40に進入し、ドア50の操作突起52に係合する。この状態で、記録テープカートリッジ10(ケース12)を更に押し込むと、この押し込み力によってコイルばね56の付勢力に抗しつつ、開閉部材が操作突起52を後方へ移動させる(矢印A方向へ装填されるケース12に対して後方へ相対移動させる)。
【0041】
すると、その操作突起52が突設されているドア50は、凸部51がガイド壁部42によって案内されつつ、その湾曲方向に沿って(所定の円周に沿って)平面視時計方向に回動する。すなわち、ドア50は、ガイド壁部42によって、その湾曲形状に沿った移動軌跡からはみ出すことなく、ピン保持部24及びリール14の外側を回り込むように略後方へスライド移動(回動)し、開口20を開放する。そして、ケース12(記録テープカートリッジ10)がドライブ装置に所定深さ装填されると、ドア50の前端部近傍の外面がビスボス36の近傍に達し、開口20が完全に開放される。
【0042】
こうして、開口20が開放された状態で、記録テープカートリッジ10がドライブ装置内で位置決めされると、ドア50はそれ以上の回動(略後方への移動)が規制され、開放された開口20からはドライブ装置の引出手段がケース12内に進入し、この引出手段がピン保持部24に位置決め保持されたリーダーピン22を抜き出して、図示しない巻取リールに収容する。そして、その巻取リールとリール14とを同期して回転駆動することにより、磁気テープTは、巻取リールに巻き取られつつ順次ケース12から引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド等によって情報の記録や再生が行われる。
【0043】
一方、磁気テープTがリール14に巻き戻されて、記録テープカートリッジ10をドライブ装置から排出する際には、記録テープカートリッジ10は、位置決め状態が解除され、コイルばね56の付勢力又は図示しないイジェクト機構によって矢印A方向とは反対方向に移動される。そして、ドア50は、その凸部51がガイド壁部42に案内されつつ、コイルばね56の付勢力によって開口20の閉塞方向へ回動する。そして、ドア50の前端部(先端部)がガイド壁部41内に入り込むとともに傾斜壁部30の内側に位置した状態で、開口20が完全に閉塞され、初期状態に復帰する。
【0044】
ここで、上記したように、ドア50の前端部(先端部)は、傾斜壁部30の内側に入り込んだ状態で(傾斜壁部30とオーバーラップした状態で)、開口20を閉塞する。したがって、このとき、その開口20を構成する傾斜壁部30の後縁部とドア50との間に、塵埃等が入り込める隙間は存在せず、塵埃等の進入が確実に防止される。よって、ケース12の開口20付近において、防塵性の強化(向上)が図れる。更に、この傾斜壁部30を設けたことによって、開口20周りの強度アップが図れるので、落下衝撃による塑性変形や破損も抑制できる。
【0045】
また、この開口20は、矩形状のケース12の装填側角部(右前角部)を切り欠いて形成されているため、その開放面が矢印A方向及び矢印B方向に向いている(開放面が矢印A方向に対して傾斜している)。したがって、ドライブ装置の引出手段(フック等)が矢印A方向、矢印B方向、あるいは矢印A方向と矢印B方向との間からアクセスしてリーダーピン22をチャックすることが可能となり、磁気テープTを引き出すための経路を最短とする方向(矢印A方向)を選択できる。
【0046】
つまり、リーダーピン22をチャックできる領域が広がることによって、ピン保持部24を設置できるエリアが広がり、矢印A方向からチャックするドライブ装置の仕様に合わせてピン保持部24の配設位置を設定できるため、ドライブ装置及び記録テープカートリッジ10の設計の自由度を広げることができる。
【0047】
また、ドア50は円弧状に湾曲形成され、その移動軌跡がリール14の外周部に略沿うような所定の円周に対応した曲線状であるため、ケース12内におけるスペースの有効利用が図れるとともに、開口20の大型化を図ることができる。すなわち、開口20を開閉するドア50の回動中心は、リール14の軸心位置に対して独立に決めることができるため、開口20の開放面の矢印A方向に対する傾斜角や開口20の大きさ(前後の辺縁部である傾斜壁部30及びビスボス36を結ぶ距離)等を任意に設定することができ、ドライブ装置等の要求に応じた任意寸法形状の開口20を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
以上、何れにしても本発明によれば、遮蔽部材が開口を閉塞しているとき、遮蔽部材の先端は、開口の辺縁部に形成された防塵壁とオーバーラップするため、その開口の辺縁部と遮蔽部材との間に、塵埃等が入り込む隙間は生じない。よって、その部位において、防塵性の強化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録テープカートリッジの概略斜視図
【図2】記録テープカートリッジの概略分解斜視図
【図3】下ケースの概略平面図
【図4】上ケースの概略平面図
【図5】下ケースの開口付近を示す概略拡大平面図
【図6】下ケースの開口付近を示す概略拡大斜視図
【図7】リーダーピンを備えた従来の磁気テープカートリッジの概略分解斜視図
【符号の説明】
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
14 リール
16 上ケース
18 下ケース
20 開口
22 リーダーピン
30 傾斜壁部(防塵壁)
41 ガイド壁部
42 ガイド壁部
50 ドア(遮蔽部材)
Claims (1)
- 記録テープが巻装された単一のリールを回転可能に収容する略矩形状のケースと、
前記ケースのドライブ装置への装填側角部に形成され、前記記録テープの端部に取り付けられたリーダー部材を引き出すための開口と、
スライドして前記開口を開閉する遮蔽部材と、を備えた記録テープカートリッジにおいて、
前記遮蔽部材が開口を閉塞したとき、その遮蔽部材の先端にオーバーラップする防塵壁を前記開口の辺縁部に形成したことを特徴とする記録テープカートリッジ。
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