JP2004030718A - 磁気ディスクおよび磁気ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクのうねりを低減し、高記録密度を実現する磁気ディスクを提供する。
【解決手段】磁気ディスク1の主面1はケイ酸塩ガラス基材であり、中央部に同じ材質の軸2が一体に設けられている。主面の一方の面1Aには、磁気記録層が形成されている。主面の他方の面1Bにはリブ3が設けられている。リブ3は、磁気ディスク1の半径方向に延びており、外周に近づくに従って幅が広くなり、剛性が高くなっている。これにより、ディスクの外周側で発生しやすいうねりの低減が可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】磁気ディスク1の主面1はケイ酸塩ガラス基材であり、中央部に同じ材質の軸2が一体に設けられている。主面の一方の面1Aには、磁気記録層が形成されている。主面の他方の面1Bにはリブ3が設けられている。リブ3は、磁気ディスク1の半径方向に延びており、外周に近づくに従って幅が広くなり、剛性が高くなっている。これにより、ディスクの外周側で発生しやすいうねりの低減が可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーソナルコンピュータなどの外部記憶装置として用いられる磁気ディスク装置およびその記憶媒体である磁気ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気ディスク装置の記録媒体である磁気ディスクとしては、中心部に取り付けのための穴があるドーナツ形状をした、アルミニウムやガラスなどの非磁性基材に所要の磁性体を形成したディスクが用いられていた。また、磁気ディスクを回転させるスピンドルモータにはディスクの内径に嵌合させるためのハブが設けられ、クランパなどによってディスクを固定し回転できるように構成されていた。そして、このディスクに対して磁気ヘッドによりデータを記録再生するように構成されていた。また、磁気ディスク装置の高密度化対応に必要な磁気ヘッドの浮上量の低減を実現するために、ディスクのうねりの低減が行なわれてきた。さらに、磁気ディスク装置の小型化に対応するために、ディスクの非磁性基材としては、基材の剛性の向上に好適なガラスがアルミニウムよりも多用されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気ディスクにおいては、ディスクの平面性を向上させるために通常、平面研削盤等により両面を高精度に研磨していた。このため、ディスクは平板状でないと加工が困難であり、その形状についての自由度は非常に低い。
【0004】
また、磁気ディスク装置の小型・薄型化に伴ってディスクの基材自身も薄くする必要があるが、ディスクの基材自身を薄くすると剛性の低下によってディスクのうねりが発生しヘッドの浮上量が低減できなくなり、面記録密度を上げられないという問題があった。
【0005】
さらに、磁気ディスク装置においてデータの転送レートは高いのが望ましく、このためにディスクの回転数を高める必要があった。
【0006】
本発明は、これらの相反する課題を解決するためになされたもので、うねりの少ない磁気ディスクを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、うねりの少ない磁気ディスクを具備することでヘッドの浮上量を低減し、高密度記録と薄型化が可能な磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスクは、ケイ酸塩ガラスからなる基材と、前記基材の一方の主面に設けられた磁気記録層と、前記基材の他方の主面に設けられ、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブとを具備することを特徴とする。この構成により、磁気ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減でき、磁気ヘッドの浮上量を下げることで高密度記録が実現できる。
【0009】
また、本発明の磁気ディスクは、前記外周に近づくに従って前記リブの幅が広くなることを特徴とする。この構成により、ディスク全体の厚さが外周部分で厚くなることを防止できると。また、ディスク回転時における他部品との干渉の関係が半径位置によらず同じにできるので、設計配分が容易となる。
【0010】
さらに、本発明の磁気ディスクは、前記リブが、ケイ酸塩ガラスからなり、前記ガラスのナトリウムイオンの一部がカリウムイオンにより置換されており、かつ前記置換の濃度が前記外周に近づくに従って高くなることを特徴とする。この構成により、リブの寸法を変えることなくリブの剛性が変えられるので、剛性の最適化が容易である。
【0011】
そして、本発明の磁気ディスク装置は、ケイ酸塩ガラスを基材とし、前記基材の一方の主面に磁気記録層が設けられた磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるモータと、前記磁気ディスクに対して記録再生を行う磁気ヘッド、前記磁気ヘッドを所要のトラックに移動するボイスコイルモータとを有する磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクは、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブが前記基材の他方の主面に設けられていることを特徴とする。この構成により、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができるので、ヘッドの浮上量を下げることができ高密度記録が実現できる。また、同じ厚さの基材に対してより高速で回転させてもうねりを同等にできるので、ヘッドの浮上量を下げることができる。逆にいえば、同程度の記録密度を実現するための基材厚さを薄くできることによって、装置全体の薄型化が可能となる。
【0012】
また、本発明の磁気ディスク装置は、前記ディスクの中央部に前記基材と一体成形された軸を具備することを特徴とする。この構成により、前記軸を磁気ディスクを回転させるモータの軸と共用化することで、クランパを廃止できるので、薄型化とコストの低減が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の磁気ディスクの斜視図、図2は、図1の磁気ディスクを反対側から見た斜視図、図3は、図2の磁気ディスクのX−X断面図である。また、図4は、本発明の実施の形態の磁気ディスクの半径方向とカリウムイオン濃度との関係を示す図であり、図5は、本発明の実施の形態の磁気ディスク装置(以下、HDDと略す)の要部平面図である。
【0014】
まず、図1ないし図3を用い磁気ディスクの構成を説明する。図1において、磁気ディスク1の主面は、直径が約20mm(0.8インチ)で厚さが約0.3mmのケイ酸塩ガラス基材からなり、中央部に同じ材質にて直径が約4mmで長さが0.8mmの軸2が設けられている。主面の内、一方の面1A は凹凸のない平坦面とした。また、磁気記録するためにCo−Cr 系などの磁性層4をスパッタリングなどにより付着させ、DLC(Diamond Like Carbon )などによる保護膜5を形成し、さらにその上にフッ素系などを主成分とする潤滑膜6を形成した磁気記録層7を設けた。
【0015】
磁気記録層7の構成については、使用するディスクの面記録密度や、ヘッドの浮上量によって適宜決められる。本実施の形態における浮上量としてのFly Heightは、15〜20nm程度とし、磁性層・保護膜・潤滑膜がそれぞれ13nm、5nm、2nm程度とした。面記録密度は、30Gbpsi(Giga Bit Per Square Inch)とした。また、磁気ディスク1の基材は、事前に所要の調合・調整を行なったガラスをカレットにしておき、加熱・溶融して軟化点よりも高い粘度で成形できる状態にし、軸2とともに金型に入れ、加圧することにより、一体成形して作られる。
【0016】
図2に示すように、主面の内、磁気記録層7が設けられた主面1Aの反対側の主面1Bには、半径方向に伸びるリブ3が設けられている。リブ3は、基材とともにガラスで一体成形により製造される。図2では、リブ3は、軸の近傍から外周端面にわたってほぼ等間隔になるように6本設けられているが、その本数や間隔および軸近傍の位置などについては適宜選択することが可能である。本実施の形態においては、高さが、0.08mmと一定にし、幅は、0.2mmから1.4mmまでとした。また、磁気ディスク1の外周側に行くに従って剛性が連続的に高くなるよう構成されている。さらに、リブ3の断面形状については台形とし、特に金型からの離型性を考慮して抜きテーパを十分取っておくことが望ましい。
【0017】
金型の材質(SiCやZrO2など)や、表面の処理、コーティングなどは、使用するガラスの材質や成形温度、寿命などにより適宜選択することができる。
【0018】
このようにして、磁気記録層7が設けられた主面1Aの反対側の主面1Bに半径方向に伸びるリブ3が設けられていることによって、磁気ディスク1を回転させた場合に外周側で剛性が低下することによって発生しやすいディスクのうねりが低減できる。これによると、同程度のうねりが許容される記録密度や、浮上量の条件においては、ガラス基材の厚さを低減することが可能になる。つまり軽量化と、薄型化が実現できることになる。また、逆に言うと、同じ厚さのディスクに対しては、より浮上量の低減が可能となり、スペースロス低減が可能となることにより、記録密度の向上が実現可能となることを意味している。一般に平板状のディスクの剛性については、半径の2乗に反比例することが知られている。リブ3の高さによる効果と幅による効果とを考慮してディスクの剛性が一定になるように設定すると良く、実際には磁気ディスク1のうねりを測定しながら最適化してゆくことが望ましい。
【0019】
次に磁気ディスク1に軸2が一体的に設けられている点についての説明を行う。この軸2については、基材とともにガラスで一体成形により製造される。前述したように、従来のディスクはドーナツ型をしており、内径をスピンドルモータに設けられた、内径部分と嵌合する円筒形のハブと呼ばれる部分に挿入して、クランパと呼ばれるリングなどを用いて固定することが知られている。しかしながら、記録密度が高まるにつれて、トラックピッチも高密度化する。このために、トラックの位置を検出するためのサーボ信号の記録には自己サーボライトが用いられてきた。詳細は、特開2001−243733号公報などに記載されるように、磁気転写などによるマスターパターンに対して実際に使用するトラックに対するサーボパターンを書き込んで行く。この構成では、装置に組み込んだ時に発生するハブと内径部分とによる芯ずれ、およびスピンドルモータの軸振れとその位相ズレなどによって、RRO(Repeatable Run−Out)が発生してしまうものである。本実施の形態によれば、機材に一体で設けた軸2をスピンドルモータの軸そのものとすることができるために、RROの発生を低減することができ、高密度化したトラックピッチにおいても容易にしかも良好なサーボパターンを書き込むことが可能となる。さらに、クランパも不要とすることができ、コストの低減や、薄型化・軽量化についても可能となる。また、軸基準で主面の平面度を加工することが可能となるので、振れ回りの一部の成分を含めたかたちで平面を加工することもできるので、使用状態に近い条件で精度の良い加工が可能となり、記録密度の向上も可能となる。
【0020】
さて、次に図4 について説明する。図4は、リブ3の半径方向に対するガラスの強化具合、つまり、磁気ディスク1の半径方向とガラスのナトリウムイオンをカリウムイオンで置換した濃度の関係を示している。横軸である半径方向に対して、縦軸で示したカリウムイオンで置換した濃度が磁気ディスク1の外周に近づくほど高くなるようにした。この構成によれば、磁気ディスク1の外周に近づくに従ってガラスの強度が増す。つまり、外周に近づくに従って磁気ディスク1の剛性を高めることができる。
【0021】
ガラスの強化方法には、急冷して物理的に応力を与える方法や化学的に処理する方法が知られている。本実施の形態においては、磁気ディスク1に歪が発生しないように化学的な強化を行っている。ケイ酸塩ガラス基材のナトリウムイオンを、これよりイオン半径が大きく周期律表で同じIA族にあるカリウムイオンにより表面より数10〜100μm程度の深さに対して置換させてある。これによって、外周側で発生しやすいディスクのうねりの低減が可能となる。
【0022】
本実施の形態における化学的な強化は、ナトリウムイオンのイオン半径が0.1nm程度であるのに対して、カリウムイオンでは0.13nm程度と大きいことを利用するものである。この半径の差によって、ガラス表面において圧縮応力を発生させ、ガラスを強化している。具体的には、硝酸カリウムの溶液内に浸漬し、外周に近づくに従って反応速度が速くなるように加圧したり、温度を高めたりしている。モル濃度などについては、温度と時間などを考慮して設定されている。別な形態の方法を用いても良いが、外周側ほど高い濃度のカリウムイオンで置換できることに配慮することが必要である。このようにすることで、金型ができあがった後に半径方向に対する剛性の変化の勾配をカリウムイオンで置換された濃度によって変更することが可能となり、剛性の最適化が行いやすい。
【0023】
次に図5により、本発明の実施の形態のHDDについて説明する。図5において、図示しない回路部分を除くHDDを以下HDA(Head Disk Assembly)と略す。HDA10は、概矩形箱状をしたアルミニウム製などのシャーシ11と、シャーシを塞ぐカバー(図示せず)とを有している。また、HDA10内には、前述のガラスの非磁性基材上にCo−Cr 系などの磁性材をスパッタリングなどにより付着させ、所要の潤滑材や保護膜など形成した磁気記録媒体としてのディスク13が配置されている。本実施の形態においては、ディスク13の直径が約20mm(0.8インチ)とい小径のものが用いられている。スピンドルモータ14は、磁気ディスク13を一定速度で回転させる。スピンドルモータ14の軸受15にはヘリングボーン型のグルーブを有する流体軸受を用い、モータの形態は周対向型のDDモータである。磁気ディスク13に設けられた軸2をそのままスピンドルモータ14の軸とした。また、前述のように磁気ディスク13の重心を軸の部分にしたので、スピンドルモータ14は磁気ディスク13を高い回転精度で回転させ、RRO、NRRO(Non Repeatable Run−Out)などで規定される半径方向の振れを高精度で実現している。
【0024】
磁気ディスク13に対して情報の記録または再生を行なう磁気ヘッド17は、磁気ヘッド17を支持するサスペンション16の先に、ジンバルばね(図示せず)に取り付けられ、ロードビーム(図示せず)により付勢力が伝達されるように構成されている。磁気ヘッド17は、スライダー(図示せず)に書き込み用の薄膜ヘッドと、読出し用のGMRヘッドとが取り付けられている。また、スライダーは所要の形状を持たせたABS(Air Bearing Surface )面を持つ負圧スライダーとした。
【0025】
サスペンション16は、ピボット軸受18により磁気ディスク1のトラック方向(半径方向)に対して回動自在に支持されている。アクチュエータは、サスペンション16とコイルアーム19とで構成されている。アクチュエータは、ボイスコイルモータ(以下、VCMという)により回動および位置決めされ、磁気ヘッド17を所要のトラック方向に移動または位置決めするように構成されている。磁気ディスク13の外周側には、アクチュエータの待避位置にランプ21が設けられており、サスペンション16の先端部に設けられたタブ22と協働して、HDDの動作停止の際にアクチュエータを待避位置にアンロードし、HDDの非動作時にアクチュエータを待避位置に保持する。
【0026】
シャーシ11の下面には、図示していない、モータなどの動作等を制御する駆動回路や、R/W(Read/Write )回路、HDC(Hard Disk Controller)などが実装された回路基板が固定されHDDとなる。このHDDは、ロード/アンロード機構の形態をとっている。ディスク13の表面には、図示しないデータおよびサーボ情報が記録されたトラックが同心円状に配置されている。このサーボ情報については、前述のように磁気転写した後に自己サーボライトによって書かれている。トラックは、さらに細かな512バイト単位などのセクターに分割されている。また、トラック位置によって線記録密度がほぼ一定になるようにゾーンビット記録が採用されている。本実施の形態においては8ゾーンに分割されている。
【0027】
本実施の形態におけるHDAは、1プラッター1ヘッドと称され、磁気ディスク13の上面のみを記録面とし、1つの磁気ヘッド17を用いる形態とした。磁気ヘッド17は、図示しない回路基板からデータを磁気ディスク13に記録、また磁気ディスク13に記録されたデータの読み出しを行なう。記録については、16−17の変調方式(16ビットを17ビットに変換して記録する)を用いてバイト単位でコードの変換を行い、記憶容量の向上と記録再生特性の向上を実現している。これらの信号は、ヘッドアンプに接続されている、FPC(Flexible Printed Circuit)などを介して磁気ヘッド17との間で授受される。
【0028】
磁気ヘッド17は、サスペンション16から与えられる付勢力により磁気ディスク13に付勢され、スライダーのABS面と、磁気ディスク13の回転により発生する空気流の流入により、所要の正・負圧を生じ非常にわずかな浮上量で安定して浮動するように構成されている。
【0029】
VCMは、コイル20と、図示しない上ヨーク、下ヨーク、およびマグネット23などから構成されている。アクチュエータのコイルアーム19に固定されたコイル20の下端面には、所定の空隙を介してマグネット23が対向配置されている。この構成により磁気回路を形成し、コイルアーム19を、上ヨークとマグネット23とに挟まれた空間に配置し、コイル20を回動可能としている。マグネット23には、エネルギー積の高いNd−Fe系の焼結製のもので、表面をNiなどによる防錆処理を施し、一つの面内に2極を有するように着磁したものを用いている。
【0030】
ランプ21は、図示しないが、アンロード時のタブ22の運動方向、すなわち磁気ディスク13の径方向外側に向けて、複合的な平面が配置されて、シャーシ11に固定されている。なお、アクチュエータとVCMとランプ21とで、ロード/アンロード機構を構成している。
【0031】
次にHDDについて、その動作を説明する。回路基板により、スピンドルモータ14が駆動され、磁気ディスク13が所定の回転速度で回転する。本実施例においては、50S−1(3,000rpm)とした。ランプ21に退避していた磁気ヘッド17がVCMによりピボット軸18を中心に回動し、磁気ヘッド17をディスク面へとロードする。磁気ヘッド17は、磁気ディスク13の回転により発生した空気流と、サスペンション16の付勢力、およびスライダーのABSの作用によって、磁気ディスク13との間で非常にわずかな浮上量(15〜20nm程度)にて安定して浮動する。これにより、磁気ヘッド17のロードが完了する。続いて、トラック情報などを読み取り、アクワイヤーと呼ばれるトラック認識などの一連の動作が行われる。VCMはコイル20に通電されると、マグネット23からの磁束とコイル20の電流とにより推力が発生する。コイル20は、マグネット23が固定されているので、その反作用として推力を発生し、アクチュエータをピボット軸18に対して回動させる。これにより、アクチュエータはコイル20への通電量に応じた角度回動する。サスペンション16に支持された磁気ヘッド17は、磁気ディスク13の半径方向に沿って、ディスク上を浮上状態で移動し、所望のトラックに位置決めされ、磁気ディスク13に対して記録再生が行われる。
【0032】
本実施の形態によるHDDにおいては、磁気ディスク13の剛性をスピンドル軸より離れるに従って連続的に高めてあるために、回転時における外周側でのうねりが低減されるとともに全域に対して剛性が連続的に変化するので、特異点や不必要なうねりモードの発生が抑制される。連続的に変化させる変化率については、システムや、ヘッドの形状つまり特にABS面とサスペンション11の振動特性などを考慮して決めることが望ましい。このようにして、磁気ディスク13の剛性がスピンドル軸より離れるに従って連続的に高めたことによって、ヘッド17は安定した浮上量にて全トラックに対して安定して浮動することができた。前述のリブ3と化学強化により剛性を高めたことにより、リブ3の高さが、0.08mmと低くても安定した回転が得られた。さらに回転数についても、70S−1(4,200rpm)程度まで上昇させてみたが、うねりの上昇が殆どなく、良好な結果が得られた。これによれば、基材の厚さを低減することも可能である。また、本実施の形態によれば、磁気ディスク13の軸をスピンドルモータ14の軸と共用化することにより、クランパが廃止でき、薄型化・軽量化と、コストの低減や、高密度化が可能である。
【0033】
このように、本実施の形態によるHDDによれば、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができるので、ヘッドの浮上量を下げることができ高密度記録が実現できる。また、同じ厚さの基材に対してより高速で回転させてもうねりを同等にできるので、ヘッドの浮上量を下げることができる。逆にいえば、同程度の記録密度を実現するための基材厚さを薄くできることによって、装置全体の薄型化が可能となる。
【0034】
また、磁気ディスク1の外周に近づく従ってリブ3の幅が広くなるように構成したことにより、磁気ディスク1全体の厚さが外周部分で厚くなることを防止できる。そして、回転時における他部品との干渉の関係が半径位置によらず同じにできるので設計配分が容易となる。
【0035】
さらに、リブ3におけるガラスのナトリウムイオンの一部をカリウムイオンにより置換する濃度を外周に近づくに従って高めたことにより、リブ3の寸法を変えることなく剛性の勾配を変えられるので、剛性の最適化が容易である。
【0036】
なお、以上説明した内容に対して、カリウムイオンによる置換の処理条件、またはリブ3の高さや形状などについては、本実施の形態に限定されることなく適宜変更することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の磁気ディスクによれば、ケイ酸塩ガラスからなる基材と、前記基材の一方の主面に設けられた磁気記録層と、前記基材の他方の主面に設けられ、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブとを具備することにより、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができ、ヘッドの浮上量を下げることで高密度記録が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の磁気ディスクの斜視図、
【図2】図1の磁気ディスクを反対側から見た斜視図、
【図3】図2の磁気ディスクのX−X断面図、
【図4】本発明の実施の形態の磁気ディスクの半径方向とカリウムイオン濃度との関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態のHDDの要部平面図である。
【符号の説明】
1、13 磁気ディスク
1A ディスクの主面の片面
1B ディスクの主面の他の面
2 軸
3 リブ
4 磁性層
5 保護膜
6 潤滑膜
7 磁気記録層
10 HDD
11 シャーシ
14 スピンドルモータ
15 流体軸受
16 サスペンション
17 磁気ヘッド
18 ピボット軸受
19 コイルアーム
20 コイル
21 ランプ
22 タブ
23 マグネット
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーソナルコンピュータなどの外部記憶装置として用いられる磁気ディスク装置およびその記憶媒体である磁気ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気ディスク装置の記録媒体である磁気ディスクとしては、中心部に取り付けのための穴があるドーナツ形状をした、アルミニウムやガラスなどの非磁性基材に所要の磁性体を形成したディスクが用いられていた。また、磁気ディスクを回転させるスピンドルモータにはディスクの内径に嵌合させるためのハブが設けられ、クランパなどによってディスクを固定し回転できるように構成されていた。そして、このディスクに対して磁気ヘッドによりデータを記録再生するように構成されていた。また、磁気ディスク装置の高密度化対応に必要な磁気ヘッドの浮上量の低減を実現するために、ディスクのうねりの低減が行なわれてきた。さらに、磁気ディスク装置の小型化に対応するために、ディスクの非磁性基材としては、基材の剛性の向上に好適なガラスがアルミニウムよりも多用されてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気ディスクにおいては、ディスクの平面性を向上させるために通常、平面研削盤等により両面を高精度に研磨していた。このため、ディスクは平板状でないと加工が困難であり、その形状についての自由度は非常に低い。
【0004】
また、磁気ディスク装置の小型・薄型化に伴ってディスクの基材自身も薄くする必要があるが、ディスクの基材自身を薄くすると剛性の低下によってディスクのうねりが発生しヘッドの浮上量が低減できなくなり、面記録密度を上げられないという問題があった。
【0005】
さらに、磁気ディスク装置においてデータの転送レートは高いのが望ましく、このためにディスクの回転数を高める必要があった。
【0006】
本発明は、これらの相反する課題を解決するためになされたもので、うねりの少ない磁気ディスクを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、うねりの少ない磁気ディスクを具備することでヘッドの浮上量を低減し、高密度記録と薄型化が可能な磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスクは、ケイ酸塩ガラスからなる基材と、前記基材の一方の主面に設けられた磁気記録層と、前記基材の他方の主面に設けられ、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブとを具備することを特徴とする。この構成により、磁気ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減でき、磁気ヘッドの浮上量を下げることで高密度記録が実現できる。
【0009】
また、本発明の磁気ディスクは、前記外周に近づくに従って前記リブの幅が広くなることを特徴とする。この構成により、ディスク全体の厚さが外周部分で厚くなることを防止できると。また、ディスク回転時における他部品との干渉の関係が半径位置によらず同じにできるので、設計配分が容易となる。
【0010】
さらに、本発明の磁気ディスクは、前記リブが、ケイ酸塩ガラスからなり、前記ガラスのナトリウムイオンの一部がカリウムイオンにより置換されており、かつ前記置換の濃度が前記外周に近づくに従って高くなることを特徴とする。この構成により、リブの寸法を変えることなくリブの剛性が変えられるので、剛性の最適化が容易である。
【0011】
そして、本発明の磁気ディスク装置は、ケイ酸塩ガラスを基材とし、前記基材の一方の主面に磁気記録層が設けられた磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるモータと、前記磁気ディスクに対して記録再生を行う磁気ヘッド、前記磁気ヘッドを所要のトラックに移動するボイスコイルモータとを有する磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクは、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブが前記基材の他方の主面に設けられていることを特徴とする。この構成により、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができるので、ヘッドの浮上量を下げることができ高密度記録が実現できる。また、同じ厚さの基材に対してより高速で回転させてもうねりを同等にできるので、ヘッドの浮上量を下げることができる。逆にいえば、同程度の記録密度を実現するための基材厚さを薄くできることによって、装置全体の薄型化が可能となる。
【0012】
また、本発明の磁気ディスク装置は、前記ディスクの中央部に前記基材と一体成形された軸を具備することを特徴とする。この構成により、前記軸を磁気ディスクを回転させるモータの軸と共用化することで、クランパを廃止できるので、薄型化とコストの低減が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の磁気ディスクの斜視図、図2は、図1の磁気ディスクを反対側から見た斜視図、図3は、図2の磁気ディスクのX−X断面図である。また、図4は、本発明の実施の形態の磁気ディスクの半径方向とカリウムイオン濃度との関係を示す図であり、図5は、本発明の実施の形態の磁気ディスク装置(以下、HDDと略す)の要部平面図である。
【0014】
まず、図1ないし図3を用い磁気ディスクの構成を説明する。図1において、磁気ディスク1の主面は、直径が約20mm(0.8インチ)で厚さが約0.3mmのケイ酸塩ガラス基材からなり、中央部に同じ材質にて直径が約4mmで長さが0.8mmの軸2が設けられている。主面の内、一方の面1A は凹凸のない平坦面とした。また、磁気記録するためにCo−Cr 系などの磁性層4をスパッタリングなどにより付着させ、DLC(Diamond Like Carbon )などによる保護膜5を形成し、さらにその上にフッ素系などを主成分とする潤滑膜6を形成した磁気記録層7を設けた。
【0015】
磁気記録層7の構成については、使用するディスクの面記録密度や、ヘッドの浮上量によって適宜決められる。本実施の形態における浮上量としてのFly Heightは、15〜20nm程度とし、磁性層・保護膜・潤滑膜がそれぞれ13nm、5nm、2nm程度とした。面記録密度は、30Gbpsi(Giga Bit Per Square Inch)とした。また、磁気ディスク1の基材は、事前に所要の調合・調整を行なったガラスをカレットにしておき、加熱・溶融して軟化点よりも高い粘度で成形できる状態にし、軸2とともに金型に入れ、加圧することにより、一体成形して作られる。
【0016】
図2に示すように、主面の内、磁気記録層7が設けられた主面1Aの反対側の主面1Bには、半径方向に伸びるリブ3が設けられている。リブ3は、基材とともにガラスで一体成形により製造される。図2では、リブ3は、軸の近傍から外周端面にわたってほぼ等間隔になるように6本設けられているが、その本数や間隔および軸近傍の位置などについては適宜選択することが可能である。本実施の形態においては、高さが、0.08mmと一定にし、幅は、0.2mmから1.4mmまでとした。また、磁気ディスク1の外周側に行くに従って剛性が連続的に高くなるよう構成されている。さらに、リブ3の断面形状については台形とし、特に金型からの離型性を考慮して抜きテーパを十分取っておくことが望ましい。
【0017】
金型の材質(SiCやZrO2など)や、表面の処理、コーティングなどは、使用するガラスの材質や成形温度、寿命などにより適宜選択することができる。
【0018】
このようにして、磁気記録層7が設けられた主面1Aの反対側の主面1Bに半径方向に伸びるリブ3が設けられていることによって、磁気ディスク1を回転させた場合に外周側で剛性が低下することによって発生しやすいディスクのうねりが低減できる。これによると、同程度のうねりが許容される記録密度や、浮上量の条件においては、ガラス基材の厚さを低減することが可能になる。つまり軽量化と、薄型化が実現できることになる。また、逆に言うと、同じ厚さのディスクに対しては、より浮上量の低減が可能となり、スペースロス低減が可能となることにより、記録密度の向上が実現可能となることを意味している。一般に平板状のディスクの剛性については、半径の2乗に反比例することが知られている。リブ3の高さによる効果と幅による効果とを考慮してディスクの剛性が一定になるように設定すると良く、実際には磁気ディスク1のうねりを測定しながら最適化してゆくことが望ましい。
【0019】
次に磁気ディスク1に軸2が一体的に設けられている点についての説明を行う。この軸2については、基材とともにガラスで一体成形により製造される。前述したように、従来のディスクはドーナツ型をしており、内径をスピンドルモータに設けられた、内径部分と嵌合する円筒形のハブと呼ばれる部分に挿入して、クランパと呼ばれるリングなどを用いて固定することが知られている。しかしながら、記録密度が高まるにつれて、トラックピッチも高密度化する。このために、トラックの位置を検出するためのサーボ信号の記録には自己サーボライトが用いられてきた。詳細は、特開2001−243733号公報などに記載されるように、磁気転写などによるマスターパターンに対して実際に使用するトラックに対するサーボパターンを書き込んで行く。この構成では、装置に組み込んだ時に発生するハブと内径部分とによる芯ずれ、およびスピンドルモータの軸振れとその位相ズレなどによって、RRO(Repeatable Run−Out)が発生してしまうものである。本実施の形態によれば、機材に一体で設けた軸2をスピンドルモータの軸そのものとすることができるために、RROの発生を低減することができ、高密度化したトラックピッチにおいても容易にしかも良好なサーボパターンを書き込むことが可能となる。さらに、クランパも不要とすることができ、コストの低減や、薄型化・軽量化についても可能となる。また、軸基準で主面の平面度を加工することが可能となるので、振れ回りの一部の成分を含めたかたちで平面を加工することもできるので、使用状態に近い条件で精度の良い加工が可能となり、記録密度の向上も可能となる。
【0020】
さて、次に図4 について説明する。図4は、リブ3の半径方向に対するガラスの強化具合、つまり、磁気ディスク1の半径方向とガラスのナトリウムイオンをカリウムイオンで置換した濃度の関係を示している。横軸である半径方向に対して、縦軸で示したカリウムイオンで置換した濃度が磁気ディスク1の外周に近づくほど高くなるようにした。この構成によれば、磁気ディスク1の外周に近づくに従ってガラスの強度が増す。つまり、外周に近づくに従って磁気ディスク1の剛性を高めることができる。
【0021】
ガラスの強化方法には、急冷して物理的に応力を与える方法や化学的に処理する方法が知られている。本実施の形態においては、磁気ディスク1に歪が発生しないように化学的な強化を行っている。ケイ酸塩ガラス基材のナトリウムイオンを、これよりイオン半径が大きく周期律表で同じIA族にあるカリウムイオンにより表面より数10〜100μm程度の深さに対して置換させてある。これによって、外周側で発生しやすいディスクのうねりの低減が可能となる。
【0022】
本実施の形態における化学的な強化は、ナトリウムイオンのイオン半径が0.1nm程度であるのに対して、カリウムイオンでは0.13nm程度と大きいことを利用するものである。この半径の差によって、ガラス表面において圧縮応力を発生させ、ガラスを強化している。具体的には、硝酸カリウムの溶液内に浸漬し、外周に近づくに従って反応速度が速くなるように加圧したり、温度を高めたりしている。モル濃度などについては、温度と時間などを考慮して設定されている。別な形態の方法を用いても良いが、外周側ほど高い濃度のカリウムイオンで置換できることに配慮することが必要である。このようにすることで、金型ができあがった後に半径方向に対する剛性の変化の勾配をカリウムイオンで置換された濃度によって変更することが可能となり、剛性の最適化が行いやすい。
【0023】
次に図5により、本発明の実施の形態のHDDについて説明する。図5において、図示しない回路部分を除くHDDを以下HDA(Head Disk Assembly)と略す。HDA10は、概矩形箱状をしたアルミニウム製などのシャーシ11と、シャーシを塞ぐカバー(図示せず)とを有している。また、HDA10内には、前述のガラスの非磁性基材上にCo−Cr 系などの磁性材をスパッタリングなどにより付着させ、所要の潤滑材や保護膜など形成した磁気記録媒体としてのディスク13が配置されている。本実施の形態においては、ディスク13の直径が約20mm(0.8インチ)とい小径のものが用いられている。スピンドルモータ14は、磁気ディスク13を一定速度で回転させる。スピンドルモータ14の軸受15にはヘリングボーン型のグルーブを有する流体軸受を用い、モータの形態は周対向型のDDモータである。磁気ディスク13に設けられた軸2をそのままスピンドルモータ14の軸とした。また、前述のように磁気ディスク13の重心を軸の部分にしたので、スピンドルモータ14は磁気ディスク13を高い回転精度で回転させ、RRO、NRRO(Non Repeatable Run−Out)などで規定される半径方向の振れを高精度で実現している。
【0024】
磁気ディスク13に対して情報の記録または再生を行なう磁気ヘッド17は、磁気ヘッド17を支持するサスペンション16の先に、ジンバルばね(図示せず)に取り付けられ、ロードビーム(図示せず)により付勢力が伝達されるように構成されている。磁気ヘッド17は、スライダー(図示せず)に書き込み用の薄膜ヘッドと、読出し用のGMRヘッドとが取り付けられている。また、スライダーは所要の形状を持たせたABS(Air Bearing Surface )面を持つ負圧スライダーとした。
【0025】
サスペンション16は、ピボット軸受18により磁気ディスク1のトラック方向(半径方向)に対して回動自在に支持されている。アクチュエータは、サスペンション16とコイルアーム19とで構成されている。アクチュエータは、ボイスコイルモータ(以下、VCMという)により回動および位置決めされ、磁気ヘッド17を所要のトラック方向に移動または位置決めするように構成されている。磁気ディスク13の外周側には、アクチュエータの待避位置にランプ21が設けられており、サスペンション16の先端部に設けられたタブ22と協働して、HDDの動作停止の際にアクチュエータを待避位置にアンロードし、HDDの非動作時にアクチュエータを待避位置に保持する。
【0026】
シャーシ11の下面には、図示していない、モータなどの動作等を制御する駆動回路や、R/W(Read/Write )回路、HDC(Hard Disk Controller)などが実装された回路基板が固定されHDDとなる。このHDDは、ロード/アンロード機構の形態をとっている。ディスク13の表面には、図示しないデータおよびサーボ情報が記録されたトラックが同心円状に配置されている。このサーボ情報については、前述のように磁気転写した後に自己サーボライトによって書かれている。トラックは、さらに細かな512バイト単位などのセクターに分割されている。また、トラック位置によって線記録密度がほぼ一定になるようにゾーンビット記録が採用されている。本実施の形態においては8ゾーンに分割されている。
【0027】
本実施の形態におけるHDAは、1プラッター1ヘッドと称され、磁気ディスク13の上面のみを記録面とし、1つの磁気ヘッド17を用いる形態とした。磁気ヘッド17は、図示しない回路基板からデータを磁気ディスク13に記録、また磁気ディスク13に記録されたデータの読み出しを行なう。記録については、16−17の変調方式(16ビットを17ビットに変換して記録する)を用いてバイト単位でコードの変換を行い、記憶容量の向上と記録再生特性の向上を実現している。これらの信号は、ヘッドアンプに接続されている、FPC(Flexible Printed Circuit)などを介して磁気ヘッド17との間で授受される。
【0028】
磁気ヘッド17は、サスペンション16から与えられる付勢力により磁気ディスク13に付勢され、スライダーのABS面と、磁気ディスク13の回転により発生する空気流の流入により、所要の正・負圧を生じ非常にわずかな浮上量で安定して浮動するように構成されている。
【0029】
VCMは、コイル20と、図示しない上ヨーク、下ヨーク、およびマグネット23などから構成されている。アクチュエータのコイルアーム19に固定されたコイル20の下端面には、所定の空隙を介してマグネット23が対向配置されている。この構成により磁気回路を形成し、コイルアーム19を、上ヨークとマグネット23とに挟まれた空間に配置し、コイル20を回動可能としている。マグネット23には、エネルギー積の高いNd−Fe系の焼結製のもので、表面をNiなどによる防錆処理を施し、一つの面内に2極を有するように着磁したものを用いている。
【0030】
ランプ21は、図示しないが、アンロード時のタブ22の運動方向、すなわち磁気ディスク13の径方向外側に向けて、複合的な平面が配置されて、シャーシ11に固定されている。なお、アクチュエータとVCMとランプ21とで、ロード/アンロード機構を構成している。
【0031】
次にHDDについて、その動作を説明する。回路基板により、スピンドルモータ14が駆動され、磁気ディスク13が所定の回転速度で回転する。本実施例においては、50S−1(3,000rpm)とした。ランプ21に退避していた磁気ヘッド17がVCMによりピボット軸18を中心に回動し、磁気ヘッド17をディスク面へとロードする。磁気ヘッド17は、磁気ディスク13の回転により発生した空気流と、サスペンション16の付勢力、およびスライダーのABSの作用によって、磁気ディスク13との間で非常にわずかな浮上量(15〜20nm程度)にて安定して浮動する。これにより、磁気ヘッド17のロードが完了する。続いて、トラック情報などを読み取り、アクワイヤーと呼ばれるトラック認識などの一連の動作が行われる。VCMはコイル20に通電されると、マグネット23からの磁束とコイル20の電流とにより推力が発生する。コイル20は、マグネット23が固定されているので、その反作用として推力を発生し、アクチュエータをピボット軸18に対して回動させる。これにより、アクチュエータはコイル20への通電量に応じた角度回動する。サスペンション16に支持された磁気ヘッド17は、磁気ディスク13の半径方向に沿って、ディスク上を浮上状態で移動し、所望のトラックに位置決めされ、磁気ディスク13に対して記録再生が行われる。
【0032】
本実施の形態によるHDDにおいては、磁気ディスク13の剛性をスピンドル軸より離れるに従って連続的に高めてあるために、回転時における外周側でのうねりが低減されるとともに全域に対して剛性が連続的に変化するので、特異点や不必要なうねりモードの発生が抑制される。連続的に変化させる変化率については、システムや、ヘッドの形状つまり特にABS面とサスペンション11の振動特性などを考慮して決めることが望ましい。このようにして、磁気ディスク13の剛性がスピンドル軸より離れるに従って連続的に高めたことによって、ヘッド17は安定した浮上量にて全トラックに対して安定して浮動することができた。前述のリブ3と化学強化により剛性を高めたことにより、リブ3の高さが、0.08mmと低くても安定した回転が得られた。さらに回転数についても、70S−1(4,200rpm)程度まで上昇させてみたが、うねりの上昇が殆どなく、良好な結果が得られた。これによれば、基材の厚さを低減することも可能である。また、本実施の形態によれば、磁気ディスク13の軸をスピンドルモータ14の軸と共用化することにより、クランパが廃止でき、薄型化・軽量化と、コストの低減や、高密度化が可能である。
【0033】
このように、本実施の形態によるHDDによれば、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができるので、ヘッドの浮上量を下げることができ高密度記録が実現できる。また、同じ厚さの基材に対してより高速で回転させてもうねりを同等にできるので、ヘッドの浮上量を下げることができる。逆にいえば、同程度の記録密度を実現するための基材厚さを薄くできることによって、装置全体の薄型化が可能となる。
【0034】
また、磁気ディスク1の外周に近づく従ってリブ3の幅が広くなるように構成したことにより、磁気ディスク1全体の厚さが外周部分で厚くなることを防止できる。そして、回転時における他部品との干渉の関係が半径位置によらず同じにできるので設計配分が容易となる。
【0035】
さらに、リブ3におけるガラスのナトリウムイオンの一部をカリウムイオンにより置換する濃度を外周に近づくに従って高めたことにより、リブ3の寸法を変えることなく剛性の勾配を変えられるので、剛性の最適化が容易である。
【0036】
なお、以上説明した内容に対して、カリウムイオンによる置換の処理条件、またはリブ3の高さや形状などについては、本実施の形態に限定されることなく適宜変更することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の磁気ディスクによれば、ケイ酸塩ガラスからなる基材と、前記基材の一方の主面に設けられた磁気記録層と、前記基材の他方の主面に設けられ、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブとを具備することにより、ディスクの回転に伴い発生するうねりを低減することができ、ヘッドの浮上量を下げることで高密度記録が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の磁気ディスクの斜視図、
【図2】図1の磁気ディスクを反対側から見た斜視図、
【図3】図2の磁気ディスクのX−X断面図、
【図4】本発明の実施の形態の磁気ディスクの半径方向とカリウムイオン濃度との関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態のHDDの要部平面図である。
【符号の説明】
1、13 磁気ディスク
1A ディスクの主面の片面
1B ディスクの主面の他の面
2 軸
3 リブ
4 磁性層
5 保護膜
6 潤滑膜
7 磁気記録層
10 HDD
11 シャーシ
14 スピンドルモータ
15 流体軸受
16 サスペンション
17 磁気ヘッド
18 ピボット軸受
19 コイルアーム
20 コイル
21 ランプ
22 タブ
23 マグネット
Claims (5)
- ケイ酸塩ガラスからなる基材と、前記基材の一方の主面に設けられた磁気記録層と、前記基材の他方の主面に設けられ、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブとを具備することを特徴とする磁気ディスク。
- 前記外周に近づくにしたがって前記リブの幅が広くなることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク。
- 前記リブは、ケイ酸塩ガラスからなり、前記ガラスのナトリウムイオンの一部がカリウムイオンにより置換されており、かつ前記置換の濃度が前記外周に近づくにしたがって高くなることを特徴とする請求項1または2記載の磁気ディスク。
- ケイ酸塩ガラスを基材とし、前記基材の一方の主面に磁気記録層が設けられた磁気ディスクと、前記磁気ディスクを回転させるモータと、前記磁気ディスクに対して記録再生を行う磁気ヘッド、前記磁気ヘッドを所要のトラックに移動するボイスコイルモータとを有する磁気ディスク装置において、前記磁気ディスクは、前記基材の外周に近づくに従って剛性の高くなるリブが前記基材の他方の主面に設けられていることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 前記ディスクの中央部に前記基材と一体成形された軸を具備することを特徴とする請求項4記載の磁気ディスク装置。
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