JP2004028832A - 全反射減衰を利用したセンサーおよび測定チップ - Google Patents

全反射減衰を利用したセンサーおよび測定チップ Download PDF

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Abstract

【課題】センシング物質と試料中の特定物質との結合状態を測定する全反射減衰を利用したセンサーにおいて、結合した結合特定物質の回収量を増加させる。
【解決手段】光ビーム20を、試料液15が供給された測定チップ10の誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させ、界面12aで全反射した光ビーム20を光検出器23により検出して、ウェル部16内のセンシング物質17と試料液15中の特定物質との結合状態を測定する。ウェル部16の底面の薄膜層12に加え、側面にも薄膜層14を設け、各薄膜層上にセンシング物質17を固定する。底面の薄膜層12のみが設けられている従来のセンサーに比べて、センシング物質17が固定されている面積が大きく、多くの特定物質がセンシング物質17と結合する。このため結合状態を測定後、脱離処理を施し結合特定物質を回収する際の回収量が増加する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料中の物質の特性を分析する表面プラズモンセンサー等の、全反射減衰を利用したセンサーおよび該全反射減衰を利用したセンサーに利用される測定チップに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質の特性を分析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、この光検出手段の検出結果に基づいて表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント波の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εとεをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】
Figure 2004028832
試料の誘電率εが分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θSPを知ることにより、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0010】
なおこの種の表面プラズモンセンサーにおいては、上記全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0011】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の並設方向に関して微分して出力する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値、特に暗線部分に対応した微分値に基づいて試料の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0012】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。この漏洩モードセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、この光検出手段の検出結果に基づいて導波モードの励起状態、つまり全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0013】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。この光強度の低下は、一般に光検出手段により暗線として検出される。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
【0014】
上述した表面プラズモンセンサーや漏洩モードセンサーは、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモンセンサーの場合は金属膜であり、漏洩モードセンサーの場合はクラッド層および光導波層)上にセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の物質の溶液(試料液)を添加し、所定時間が経過する毎に前述の微分値を測定している。添加した物質が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記微分値を測定し、この微分値に変化が生じているか否か測定することにより、添加した物質とセンシング物質の結合が行われているか否か、すなわち添加した物質がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、化合物と蛋白質、遺伝子と蛋白質などが挙げられる。
【0015】
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、必ずしも全反射減衰角θSPの角度そのものを検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角θSPの角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。
【0016】
また、本出願人は、特願2001−92666において、使い勝手のよいウェル形状の測定チップを用いて、上記全反射減衰の状態の測定を行うセンサーを提案している。ウェル形状の測定チップを用いることにより、例えば試料として液体試料を用いる場合であれば、測定チップ内に入る少量の液体試料を準備するのみで、測定を行うことができる。また測定チップを複数個保持可能なテーブルあるいはアレイ等を用いることにより、短時間で容易に多種の試料の測定を行うことができる。
【0017】
一方、上記のような全反射減衰の状態の測定を行うセンサーとしては、センシング物質が固定された平板上の測定チップ上に流路機構を用いて、試料を連続的に供給して測定を行うセンサーが知られている。この形態のセンサーを用いれば、センシング物質と特定物質との結合状態を測定する際に、常に新しい試料が測定チップ上に供給されるため、試料中の被検体の濃度が変化せず、結合状態の測定を精度良く行うことができる。また、センシング物質と特定物質の結合状態を測定したのち、結合が行われている場合には、この結合体が固定されている測定チップ上に、特定物質が含まれていないバッファ液を流すことより、センシング物質と特定物質との解離状態を測定することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来の表面プラズモンセンサー等の全反射減衰を用いたセンサーでは、センシング物質と特定物質の結合状態あるいは解離状態が主に測定対象とされていた。しかし、近年化合物、遺伝子あるいは蛋白質等のセンシング物質と、蛋白質などの特定物質の結合の測定を行う際に、結合状態または解離状態の解析に加え、センシング物質と、一旦結合した特定物質(以下結合特定物質と記載)との結合を脱離液などを用いて強制的に外し、脱離した結合特定物質の解析を行う手法が使用されようになっている。このような解析を行うセンシング物質と特定物質の組み合わせとしては、化合物と蛋白質、遺伝子と蛋白質、あるいは蛋白質と蛋白質等が知られている。
【0019】
例えば蛋白質フィッシングと呼ばれる解析方法では、多種類の蛋白質を含む試料液をセンシング物質であるDNA等が固定された薄膜層上に供給し、結合反応が生じた場合には、結合した蛋白質(以下結合蛋白質と記載)を脱離液等を用いてて脱離させて回収し、その結合蛋白質を解析することにより、蛋白質の種類の特定および結合状態の解析等を行っている。
【0020】
上記のように、結合特定物質の解析を精度よく行うためには、できる限り多くの量の結合特定物質を回収することが望ましい。しかしながら、従来の全反射減衰を用いたセンサーにおいては、ウェル形状の測定チップを用いて試料を溜めて測定を行う場合であれ、平板上の測定チップ上に流路機構を用いて試料を連続的に供給して測定を行う場合であれ、センシング物質と試料とが接触する面積が小さく、微少な量の特定物質がセンシング物質と結合するのみであるため、十分な量の結合特定物質を回収することが困難であるという問題があった。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センシング物質と結合した結合特定物質の回収量を増加させることのできる全反射減衰を利用したセンサーを提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、光ビームを発生させる光源と、
前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
該誘電体ブロックの一面に形成される第1の薄膜層と、
該第1の薄膜層の表面上に配されて、試料中の特定物質と結合するセンシング物質と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなる全反射減衰を利用したセンサーにおいて、
前記誘電体ブロックの一面と異なる面に形成され、前記第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層と、
該第2の薄膜層の表面上に配される前記センシング物質とをさらに備えたことを特徴とするものである。
【0023】
このようなセンサーとしては、金属膜を上記薄膜層として用いる前述の表面プラズモンセンサーや、誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成された光導波層とからなる層を上記薄膜層として用いる前述の漏洩モードセンサー等がある。
【0024】
上記センサーは、前記第1の薄膜層の表面上に前記試料を連続的に供給するとともに、この供給された試料を連続的に排出する試料給排手段を備えたものであってもよい。
【0025】
また、上記センサーは、前記第1の薄膜層の上面に前記試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠を備えたものであってもよい。
【0026】
上記第2の薄膜層は、前記第1の薄膜層および前記誘電体ブロックから分離されているものであってもよい。
【0027】
本発明の測定チップは、誘電体ブロックと、該誘電体ブロックの上面に形成された第1の薄膜層と、該第1の薄膜層上に試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠とを備え、前記全反射減衰を利用したセンサーに用いられる測定チップであって、
前記第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層が、前記試料保持枠の内壁面に設けられていることを特徴とするものである。
【0028】
上記測定チップは、前記試料保持枠の内壁面が、前記第1の薄膜層から離れるにつれて側外方に離れる形状に形成されているものであってもよい。
【0029】
なお、本発明によるセンサーにおいて、光検出手段により前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰の状態を測定する方法としては種々の方法があり、例えば、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる種々の入射角で入射させ、各入射角に対応した位置毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰により発生した暗線の位置(角度)を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよいし、D.V.Noort,K.johansen,C.−F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585−588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0030】
またP.I.Nikitin,A.N.Grigorenko,A.A.Beloglazov,M.V.Valeiko,A.I.Savchuk,O.A.Savchuk, Surface Plasmon Resonance Interferometry for Micro−Array Biosensing, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.235−238 に記載されているように、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させるとともに、この光ビームの一部を、この光ビームが前記界面に入射する前に分割し、この分割した光ビームを、前記界面で全反射した光ビームと干渉させて、その干渉後の光ビームの強度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、誘電体ブロックの一面に形成された第1の薄膜層の表面上に配されて、試料中の特定物質と結合するセンシング物質に加え、誘電体ブロックの一面と異なる面に形成され、第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層の表面上に配されるセンシング物質を備えているため、第1の薄膜層の表面上に配されるセンシング物質に試料を供給すると共に、第2の薄膜層の表面上に配されるセンシング物質にも試料を供給することにより、第1の薄膜層の表面上に配されるセンシング物質および第2の薄膜層の表面上に配されるセンシング物質の両方が、それぞれ試料中の特定物質と結合するため、従来の全反射減衰を利用したセンサーに比べて、多くの結合特定物質が生成され、これらの結合特定物質を回収することにより、結合特定物質の回収量を増加させることができる。
【0032】
上記センサーが、前記第1の薄膜層の表面上に前記試料を連続的に供給するとともに、この供給された試料を連続的に排出する試料給排手段を備えたものであれば、センシング物質と試料中の特定物質との結合状態を測定する際に、常に新しい試料がセンシング物質上に供給されるため、試料中の特定物質の濃度が変化せず、結合状態の測定を精度良く行うことができる。
【0033】
また、上記センサーが、前記第1の薄膜層の上面に前記試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠を備えたものであれば、例えば試料として液体試料を用いる際に、試料保持枠内に入る少量の液体試料を準備するのみで、結合状態の測定を行うことができる。
【0034】
上記第2の薄膜層が、前記第1の薄膜層および前記誘電体ブロックから分離されているものであれば、測定精度を向上するために、例えば温度調整や湿度調整等を行う際に、第1の薄膜層および誘電体ブロックのみに調整を施すことが可能であり、小型の調整手段を用いることができる。
【0035】
本発明の測定チップは、誘電体ブロックと、該誘電体ブロックの上面に形成された第1の薄膜層と、該第1の薄膜層上に試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠とを備え、前記全反射減衰を利用したセンサーに用いられる測定チップであって、前記第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層が、前記試料保持枠の内壁面に設けられているものであれば、測定チップのウェル部の底面(第1の薄膜層)および内壁面(第2の薄膜層)の全面にセンシング物質が固定可能であり、この測定チップに試料を供給すれば、底面および内壁面のセンシング物質に特定物質が結合する。このため、センシング物質がウェル部の底面のみに固定されている場合に比べて、結合蛋白質の回収量が増加する。
【0036】
さらに、試料保持枠の内壁面に、第2の薄膜層が形成されていない場合には、センシング物質も固定されることがない。このため、センシング物質と試料の結合状態を測定する際に、試料保持枠の内壁面において、試料保持枠を形成する透明樹脂等と、試料中の特定物質とが結合してしまう場合がある。このようにして形成された結合特定物質は、本来の解析対象であるセンシング物質と係合する結合特定物質とは異なる場合があり、これらの透明樹脂等と結合した結合特定物質が、センシング物質と結合した結合特定物質に混入して回収された場合には、結合特定物質の解析の信頼性が低下する可能性がある。
【0037】
また、本来センシング物質と結合する特定物質が、測定チップの内壁の透明樹脂等と多量に結合してしまい、センシング物質との結合量が減少し、結合状態の測定に支障が生じることもある。
【0038】
本発明の測定チップを用いれば、試料が接触する面にはセンシング物質が固定されているため、本来の解析対象である結合特定物質以外の結合特定物質が形成されるおそれや、多量の特定物質が測定チップの内壁面と結合してしまい、結合状態の測定に支障が生じるおそれがなく、結合状態の測定の信頼度および結合特定物質の解析結果の信頼度が向上する。
【0039】
また、上記測定チップの試料保持枠の内壁面が、前記第1の薄膜層から離れるにつれて側外方に離れる形状に形成されている場合には、第1の薄膜層および第2の薄膜層の厚みを均一化する効果を得ることもできる。すなわち、金属膜等からなるこの薄膜層は一般に蒸着によって形成されるので、その場合に試料保持枠を上述のような形状としておけば、蒸着に際して蒸着材料が試料保持枠に遮られて薄膜層の厚みが不均一になることを防止可能である。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものである。
【0041】
図1に示す通りこの表面プラズモンセンサーは、使い切りの測定チップ10と、測定用の光ビーム(レーザビーム)20を発生させる半導体レーザ等のレーザ光源21と、入射光学系である集光レンズ22と、光検出器23と、上記レーザ光源21の駆動を制御するとともに、上記光検出器23の出力信号Sを受けて後述の処理を行なう信号処理部24と、表示部25とを有している。
【0042】
測定チップ10は、概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の上面に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる第1の薄膜層としての薄膜層12と、この薄膜層12の上に側方が閉じられた空間を画成する筒状部材からなる試料保持枠13と、この試料保持枠13の内壁面に形成された第2の薄膜層としての薄膜層14とを有している。試料液保持枠13の部分は、その内面が薄膜層12から上方に離れるにつれて側外方に離れるテーパ形状とされている。この試料液保持枠13内のテーパ形状の空間は、試料液15を貯えるウェル部16として機能している。
【0043】
測定チップ10は、誘電体ブロック11と試料液保持枠13とを、例えば透明樹脂等から一体整形し、蒸着により薄膜層12および薄膜層14を形成したものである。なお本例では、薄膜層12および薄膜層14の上にDNAからなるセンシング物質17が固定され、試料液15の中には種々の蛋白質が含まれている。
【0044】
集光レンズ22は、光ビーム20を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲は、上記界面12aにおいて光ビーム20の全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。
【0045】
なお光ビーム20は、界面12aに対してp偏光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光源21をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム20の偏光の向きを制御してもよい。
【0046】
光検出器23は、多数の受光素子が1列に配されてなるラインセンサーであり、受光素子の並び方向が図1中の矢印X方向となるように配されている。信号処理部24は、上記光検出器23の出力信号Sを受ける測定手段26を有している。
【0047】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる試料分析について説明する。まず、測定ユニット10に、試料液15が供給される。信号処理部24からの指令でレーザ光源21が駆動され、そこから発せられた光ビーム20が前述のように収束する状態で、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、光検出器23によって検出される。
【0048】
光ビーム20は、上述の通り収束光状態で誘電体ブロック11に入射するので、上記界面12aに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこで、光ビーム20は界面12aで全反射し、この反射した光ビーム20には、種々の反射角で反射する成分が含まれることになる。
【0049】
このように光ビーム20が全反射するとき、界面12aから薄膜層12側にエバネッセント波がしみ出す。そして、光ビーム20が界面12aに対してある特定の入射角θSPで入射した場合は、このエバネッセント波が薄膜層12の表面に励起する表面プラズモンと共鳴するので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。なお図3には、この全反射減衰現象が生じた際の入射角θと反射光強度Iとの関係を概略的に示してある。
【0050】
そこで、測定手段26において、全反射減衰の状態として、光検出器23が出力する出力信号Sから各受光素子毎の検出光量を調べ、暗線を検出した受光素子の位置に基づいて上記入射角(全反射減衰角)θSPを求める。
【0051】
本実施形態では薄膜層12上に、試料液15の中の特定物質である蛋白質と結合するセンシング物質17が固定され、蛋白質との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するので、上記全反射減衰角θSPを測定し続けることにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0052】
すなわち、時間経過とともに、全反射減衰角θSPの角度が変化する場合には、試料液15中の蛋白質がセンシング物質17と結合していると判定することができ、全反射減衰角θSPの角度に変化が生じない場合には、試料液15中には、センシング物質と結合する蛋白質は存在していないと判定することができる。測定手段26は、以上の原理に基づいて上記結合の有無を判定し、その判定結果が表示部25に表示される。
【0053】
所定時間経過後に、全反射減衰角θSPの角度に変化が生じ、結合が生じているとの判定結果が表示された場合には、測定チップ10を測定位置から取り外し、試料液15を捨て、センシング物質17と結合蛋白質の結合を外す脱離処理を施して、結合蛋白質を回収する。その後この結合蛋白質を解析し、その種類および結合状態等を調べる。
【0054】
すなわち、本実施形態におけるセンサーでは、測定チップ10のウェル部16の底面および内壁面の全面に薄膜層が形成され、この薄膜層の上にセンシング物質17が固定されているため、従来のウェル部16の底面のみに薄膜層が形成され、その上にセンシング物質が固定されているセンサーに比べ、センシング物質が固定されている面積が広くなる。このセンシング物質17に蛋白質が結合しているため、従来のセンサーより多くの蛋白質がセンシング物質17と結合するので、この結合蛋白質を回収する際には、結合蛋白質の回収量が増加する。
【0055】
また、ウェル部16を備えた測定チップ10を用いて測定を行っているため、ウェル部16に入る少量の試料液15を準備するのみで、結合状態の測定を行うことができる。
【0056】
さらに、例えば試料保持枠13の内壁面に、薄膜層14が形成されていない場合には、センシング物質17も固定されることがない。このため、試料保持枠13の内壁面において、試料保持枠13を形成する透明樹脂と試料液15中の蛋白質が結合してしまう場合がある。このようにして形成された結合蛋白質は、本来の解析対象であるセンシング物質17と係合した結合蛋白質とは異なる場合があり、これらの透明樹脂と結合した蛋白質が、センシング物質17と結合した結合蛋白質に混入して回収された場合には、結合蛋白質の解析の信頼性が低下する可能性がある。本実施の形態においては、試料液15が接触する面には全てセンシング物質17が固定されているため、本来の解析対象である結合蛋白質以外の結合蛋白質が形成されるおそれがなく、結合蛋白質の解析結果の信頼度が一層向上する。
【0057】
また、試料保持枠13の内壁面に、センシング物質17が固定されていない場合には、本来センシング物質17と結合する結合蛋白質が、内壁面の透明樹脂等と多量に結合してしまい、センシング物質17との結合量が減少してしまい、結合状態の測定に支障が生じることがあるが、測定チップ10を用いれば、試料液15が接触する面には全てセンシング物質17が固定されているため、多量の結合蛋白質が測定チップ10の内壁面と結合してしまい、結合状態の測定に支障が生じることがなく、結合状態の測定の信頼度が向上する。
【0058】
次に、図3および図4を参照して本発明の第2の実施の形態である表面プラズモンセンサーについて説明する。図3は表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものであり、図4は、この表面プラズモンセンサーに用いられる流路ユニットの上面図および側断面図である。なお、図3においては、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0059】
図2に示す通りこの表面プラズモンセンサーは、測定チップ30と、測定用の光ビーム(レーザビーム)20を発生させるレーザ光源21と、集光レンズ22と、光検出器23と、信号処理部24と、表示部25と、流路ユニット50とを有している。
【0060】
測定チップ30は、略四角錐形状とされた透明樹脂等からなる誘電体ブロック31と、この誘電体ブロック31の上面に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる第1の薄膜層としての薄膜層32とを有している。薄膜層32の上には、DNAからなるセンシング物質33が固定されている。
【0061】
測定チップ30の上面には、薄膜層32上に流路を形成するための流路ユニット50が取り付けられている。この流路ユニット50は、概略四角形状に形成されている流路ホルダ51に、試料液15を供給するための供給路52および試料液15を排出するための排出路53が取り付けられ、測定チップ30に簡単に着脱することができる。流路ホルダ51には、供給路52の出口と排出路53の入口が開口され、また流路ホルダ51の下面の金属膜12の表面と接する領域に、この供給路52の出口と排出路53の入口を囲むシール部54が設けられている。このため、この流路ユニット50を測定チップ30に取り付けた場合には、薄膜層32およびシール部54によりシールされた測定流路55が形成される。図4に流路ユニット50の上面図および側断面図を示す。なお、シール部54は、流路ホルダ51の上部部分と一体形成されたものであってもよいし、上部部分とは異なる素材により形成され、後付されたものであってもよく、例えばOリング等を流路ホルダ51の下部部分に取り付けたものであってもよい。
【0062】
流路ユニット50の供給路52には、ポンプ56が接続され、該ポンプ56には試料液溜部57および脱離液溜部58が接続されている。試料液溜部57には予め複数種類の蛋白質を含む試料液15が準備され、脱離液溜部58には、センシング物質と結合蛋白質の結合を外す、脱離液59が準備されている。ポンプ56は、測定時には、試料液15を供給路52に供給し、また結合蛋白の回収時には脱離液59を供給路52へ供給する。流路ユニット50、ポンプ56および液溜部57が、発明の試料給排手段として機能する。
【0063】
排出路53には、結合蛋白質生成部60が接続され、結合蛋白質生成部60には、排出口61および結合蛋白質回収部62が接続されている。測定時には、試料液15は結合蛋白質生成部60を経て、排出口61から排出される。また結合蛋白の回収時には、排出口61が閉鎖され、脱離液59は、結合蛋白質生成部60を経て、結合蛋白質回収部62へ送液される。
【0064】
結合蛋白質生成部60には、誘電体ブロック31を形成する透明樹脂と同等の同盟樹脂から形成される基板63と、該基板63上に形成される第2の薄膜層としての薄膜層64と、該薄膜層64に固定されるセンシング物質65とが設けられている。なお、薄膜層64は、薄膜層32と同一の素材から同様に形成されたものであり、またセンシング物質65も、センシング物質33と同一の素材から同様に固定されたものである。結合蛋白質回収部62は、測定流路55内および結合蛋白質生成部60内でセンシング物質から脱離された結合蛋白質を脱離液59から回収するものである。なお、図3において点線で囲まれている領域は、温調エリア69であり、図示省略した温調手段により常に所定温度に保たれている。
【0065】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる試料分析について説明する。測定に先立ち、流路ユニット50のシール部54が測定チップ30の薄膜層32に密着するように、流路ユニット50を測定チップ30に取り付ける。ポンプ56を作動させ、液溜部57に準備されている試料液15を流路ユニット50の供給路52を介して測定流路55へ供給する。測定を行っている間は、ポンプ56を作動させ続けるため、試料液15は測定流路55に連続的に供給される。測定流路55はシール部54によりシールされているため、測定流路55に供給された試料液15は順次排出路53、結合蛋白質生成部60および排出口61を通って排出される。
【0066】
測定流路55内に、試料液15が供給された後、測定を開始する。光ビーム20が収束する状態で、誘電体ブロック11と薄膜層32との界面32aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、光検出器23によって検出される。以後の測定方法は、第1の実施の形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0067】
測定開始後、時間経過とともに、全反射減衰角θSPの角度が変化する場合には、試料液15中の蛋白質がセンシング物質33と結合していると見なすことができ、全反射減衰角θSPの角度に変化が生じない場合には、試料液15中には、センシング物質33と結合する蛋白質は存在していないと見なすことができる。なお、試料液15は継続的に供給されるめ、試料液15中の特定の蛋白質がセンシング物質33と結合している場合には、結合蛋白質生成部60においても同じ蛋白質がセンシング物質65と結合し、結合蛋白質が生成されている。
【0068】
所定時間経過後に、全反射減衰角θSPの角度に変化が生じている場合には、ポンプ56により、試料液15の供給を停止し、代わりに脱離液59の供給を開始する。同時に、排出口61を閉鎖し、排出された脱離液59を結合蛋白質回収部62へ送液する。
【0069】
測定流路55内および結合蛋白質生成部60内でセンシング物質から脱離された結合蛋白質は、脱離液59とともに、結合蛋白質回収部62へ送られて、結合蛋白質回収部62で回収される。その後この結合蛋白質を解析し、その種類および結合状態等を調べる。
【0070】
すなわち、本実施の形態では、測定チップ30の薄膜層32に加え、結合蛋白質生成部60の薄膜層64にもセンシング物質が固定され、これらのセンシング物質に蛋白質が結合しているため、センシング物質が測定チップ30の薄膜層32のみに固定されている場合に比べて、結合蛋白質の回収量が増加する。
【0071】
また、本センサーは、流路ユニット50を測定チップ30へ取り付け、試料液15をセンシング物質33上へ給排しているため、常に新しい試料液15がセンシング物質33上に供給されるため、試料液15中の蛋白質の濃度が変化せず、結合状態の測定を精度良く行うことができる。
【0072】
さらに、本実施の形態においては、薄膜層64が設けられている結合蛋白質生成部60が、測定チップ30から分離されて配置されているため、薄膜層64を温調エリア69の外に設けることができ、温調エリア69の大型化を防止することができる。
【0073】
次に、図5を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、図5においては、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0074】
この第3の実施の形態の全反射減衰を利用したセンサーは、先に説明した漏洩モードセンサーであり、測定チップ90を用いるように構成されている。この測定チップ90の誘電体ブロック11の上面および試料保持枠13の内壁面にはクラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92が形成されている。また光導波層92の表面上にはセンシング物質17が固定されている。
【0075】
誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0076】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源21から出射した光ビーム20を誘電体ブロック11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム20が誘電体ブロック11とクラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0077】
光導波層92における導波光の波数は、該光導波層92の上のセンシング物質17の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、センシング物質17の屈折率を測定することができ、試料液15中の蛋白質とセンシング物質17との結合状態を知ることができる。
【0078】
本実施形態でも、測定チップ90のウェル部16の底面および内壁面の全面にセンシング物質17が固定され、これらのセンシング物質17に蛋白質が結合するため、センシング物質17がウェル部16の底面のみに固定されている場合に比べて、結合蛋白質の回収量が増加する。
【0079】
次に図6を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の表面プラズモンセンサーは、上記第1の実施の形態の表面プラズモンセンサーと比べ測定方法を変更したものである。図6は、本実施の形態の表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものであり、本表面プラズモンセンサーの測定位置には、レーザ光源120 とCCD121 が配設されており、レーザ光源120 とCCD121 との間には、コリメータレンズ122 、干渉光学系123 、集光レンズ124 およびアパーチャー125 が配設されている。
【0080】
上記干渉光学系123 は、偏光フィルタ131 、ハーフミラー132 、ハーフミラー133 およびミラー134 により構成されている。さらに、CCD121 は測定手段135 に接続されており、測定手段135 は表示部62に接続されている。
【0081】
以下、本実施の形態の表面プラズモンセンサーにおける測定動作について説明する。レーザ光源120 が駆動されて光ビーム140 が発散光の状態で出射される。この光ビーム140はコリメータレンズ122 により平行光化されて偏光フィルタ131に入射する。偏光フィルタ131 を透過して界面12aに対してp偏光で入射するようにされた光ビーム140 は、ハーフミラー132 により一部がレファレンス光ビーム140Rとして分割され、ハーフミラー132 を透過した残りの光ビーム140Sは界面12aに入射する。界面12aで全反射した光ビーム140Sおよびミラー134 で反射したレファレンス光ビーム140Rはハーフミラー133 に入射して合成される。合成された光ビーム140’は集光レンズ124 により集光され、アパーチャー125 を通過してCCD121 によって検出される。このとき、CCD121 で検出される光ビーム140’は、光ビーム140Sとレファレンス光ビーム140Rとの干渉の状態に応じて干渉縞を発生させる。
【0082】
ここで、試料液15中の蛋白質が薄膜層12の表面に固定されているセンシング物質17と結合するか否かを、試料液15を測定チップ10へ供給後、継続的に測定を行い、CCD121 により検出される干渉縞の変化を検出することにより、判定することができる。
【0083】
すなわち、上記試料液15中の蛋白質とセンシング物質17との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するため、界面12aで全反射した光ビーム140Sおよびレファレンス光ビーム140Rがハーフミラー133 により合成される際に、干渉の状態が変化するため、上記干渉縞の変化に応じて結合反応の有無を検出することができる。測定手段135 は、以上の原理に基づいて上記反応の有無を検出し、その結果が表示部25に表示される。
【0084】
本実施形態でも、測定チップ10のウェル部16の底面および内壁面の全面にセンシング物質17が固定され、これらのセンシング物質17に蛋白質が結合するため、センシング物質17がウェル部16の底面のみに固定されている場合に比べて、結合蛋白質の回収量が増加する。
【0085】
なお、上記各実施の形態においては、誘電体ブロックが薄膜層とともに、使い切りされる測定チップを構成しているが、誘電体ブロックがチップ化されずに、表面プラズモンセンサー本体に組み込まれる場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【図2】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度との関係の説明図
【図3】本発明の第2の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【図4】上記表面プラズモンセンサーにおける流路ユニットの上面図および側断面図
【図5】本発明の第3の実施の形態による漏洩モードセンサーの側面図
【図6】本発明の第4の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【符号の説明】
10,30,90  測定チップ
11,31   誘電体ブロック
12,14,32,64   薄膜層
12a    誘電体ブロックと薄膜層との界面
13     試料保持枠
15     試料液
16     ウェル部
17,33    センシング物質
20     光ビーム
21     光源
22     集光レンズ
23     光検出器
24     信号処理部
26     測定手段
50     流路ユニット
51     流路ホルダー
52     供給路
53     排出路
60     結合蛋白質生成部
62     結合蛋白質回収部
69     温調エリア
91     クラッド層
91a    誘電体ブロックとクラッド層との界面
92     光導波層
120     レーザ光源
121    CCD
122    コリメータレンズ
123    干渉光学系
124    集光レンズ
125    アパーチャー
134    ミラー
135    測定手段
140    光ビーム

Claims (6)

  1. 光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
    該誘電体ブロックの一面に形成される第1の薄膜層と、
    該第1の薄膜層の表面上に配されて、試料中の特定物質と結合するセンシング物質と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記第1の薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
    該光検出手段の検出結果に基づいて全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなる全反射減衰を利用したセンサーにおいて、
    前記誘電体ブロックの一面と異なる面に形成され、前記第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層と、
    該第2の薄膜層の表面上に配される前記センシング物質とをさらに備えたことを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。
  2. 前記第1の薄膜層の表面上に前記試料を連続的に供給するとともに、この供給された試料を連続的に排出する試料給排手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  3. 前記第1の薄膜層の上面に前記試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠を備えたことを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  4. 前記第2の薄膜層が前記第1の薄膜層および前記誘電体ブロックから分離されていることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー。
  5. 誘電体ブロックと、該誘電体ブロックの上面に形成された第1の薄膜層と、該第1の薄膜層上に試料を保持するウェル部を形成する試料保持枠とを備え、前記全反射減衰を利用したセンサーに用いられる測定チップであって、
    前記第1の薄膜層と略同一の化学特性を有する第2の薄膜層が、前記試料保持枠の内壁面に設けられていることを特徴とする測定チップ。
  6. 前記試料保持枠の内壁面が、前記第1の薄膜層から離れるにつれて側外方に離れる形状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の測定チップ。
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