JP2004028720A - Nmr装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の送受信回路の中から選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器のバイアス電圧または電源電圧を低く設定し、前置増幅器をブランキング状態または停止状態にするように構成した。また、複数の送受信回路の中から選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器の入力側または出力側を遮断するようにした。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、NMR装置に関し、より詳しくは、複数の送受信回路を並列に備えたNMR装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
NMR装置は、静磁場中に置かれた試料内の所定の原子核にRFパルスを印加し、その所定時間後に発生するNMR信号を検出する分析装置である。図1に、NMR装置のRF系の概念図を示す。図中1は発振器である。発振器1は、観測したい所定の原子核の共鳴周波数に合わせた周波数の高周波信号を発振する。発振器1から発振された高周波信号は、波形整形器2へ送られ、連続波、あるいはパルス波形や関数波形など所定の波形に整形される。また、レベル・コントロールも同時に行なわれる。
【0003】
波形整形器2によって整形された高周波信号は、電力増幅器3へと入力される。電力増幅器3には、後段の検出器5の種類に応じて、数十ワット出力のものから数キロワット出力のものまでが用いられる。電力増幅器3で増幅された高周波信号は、送受信切替器4を通して、静磁場内(図示せず)に置かれた検出器5へと印加される。検出器5の内部には、図示しない測定試料が置かれていて、電力増幅器3で増幅された高周波信号の磁界成分が、測定試料内の所定の原子核の歳差運動を励起する。
【0004】
送受信切替器4は、電力増幅器3と検出器5と受信器7の3者に接続され、電力増幅器3から高周波電力が出力される時間帯には、電力増幅器3と検出器5との間を接続し、検出器5と受信器7との間、および電力増幅器3と受信器7との間を遮断すると共に、試料からNMR信号が放出される時間帯には、検出器5と受信器7との間を接続し、電力増幅器3と検出器5との間、および電力増幅器3と受信器7との間を遮断する役割を果たしている。
【0005】
検出器5へ印加された高周波電力が途切れた後、所定の時間が経過すると、測定試料から弱いNMR信号が放射され、観測信号として検出器5によって検出される。検出器5によって検出された観測信号は、送受信切替器4を経て、前置増幅器6でいったん増幅された後、受信器7に到達する。その後、受信器7で充分に増幅された観測信号は、AD変換器8でデジタル信号化され、ホストコンピューター9でフーリエ変換などの処理を経て、ディスプレイ上にNMRスペクトルとして表示される。
【0006】
パルス発生器10は、ホストコンピューター9で制御され、RF系全体の同期をとる役割を果たしている。例えば、発振器1から出力された連続波の高周波信号を任意のパルス幅のパルス波形に波形整形する場合、波形整形器2へ任意のパルス幅のゲート信号を送り、連続波をパルス波形に整形する。また、電力増幅器3から出力される高周波電力を検出器5に印加し、印加後、所定時間後に放射されるNMR信号を前置増幅器6側に取り出す際には、送受信切替器4の切替のタイミングを制御する。いわばNMRパルス・シーケンスに応じ、NMR分光計を制御する機能を有している。
【0007】
このような構成のNMR装置では、受信回路は、主に前置増幅器6と受信器7とAD変換器8とから構成されている。NMRスペクトルを感度良く測定するために、通常、送受信切替器4と受信器7の間には、NF(ノイズ・フィギュア)の良い前置増幅器6が設置される。前置増幅器6で十分に増幅されたNMR信号は、受信器7に送られる。受信器7では、ゲイン・コントロールが行なわれ、更に、取り扱いやすいオーディオ周波数に変換された後、図示しないオーディオ・フィルタにより不要な周波数成分を取り除かれて、AD変換器8に送られる。NMR信号は、このAD変換器8でデジタル化され、初めてコンピュータ処理が可能になる。
【0008】
複数の送受信切替器4、前置増幅器6を有するNMR装置の場合、これらのいずれを使用するかを選択するための回路が必要となってくる。例えば、1H/19F核専用の送受信切替器および1H/19F核専用の前置増幅器と、多核専用の送受信切替器および多核専用の前置増幅器を備えたNMR装置の場合などが、その例である。
【0009】
図2は、その一例を略図で示したものである。電力増幅器以前の構成とAD変換器以降の構成とは、図1と同様のため、本図からは省略した。図の3aは、1H/19F核専用の電力増幅器、4aは、1H/19F核専用の送受信切替器、6aは、1H/19F核専用の前置増幅器である。また、図の3bは、多核専用の電力増幅器、4bは、多核専用の送受信切替器、6bは、多核専用の前置増幅器である。このように、2系列の送受信回路を有するNMR装置では、どちらの周波数帯域のNMR信号を観測するかが選べるように、前置増幅器選択回路11が設けられている。前置増幅器選択回路11は、測定したい核に合わせて、前置増幅器6a/6bを選択する回路である。
【0010】
図2の場合、1H核のNMR信号を観測するのであれば、前置増幅器選択回路11は、1H/19F核専用の前置増幅器6aを選択する。すると、検出器5から放射された1H核のNMR信号は、1H/19F核専用の送受信切替器4aを介して、1H/19F核専用の前置増幅器6aへと導かれ、1H/19F核専用の前置増幅器6aで増幅された後、前置増幅器選択回路11を通って受信器7、AD変換器8へと導かれる。
【0011】
例えば、図3のような、1H−{13C}の1H観測異核シフト相関測定(HMQC)の一般的なパルスシーケンスの場合、観測する1H核に観測パルス(PW1)を印加し、また、13C核をデカップリングするため、レベル・コントロールされた連続波を照射する。観測パルス印加後、検出器から放射される1H核信号のデータ取り込み(ACQTM)を行なう。尚、このデータ取り込みの際に、13C核をデカップリングするための高周波照射を行なっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に示す例のように、1H核のNMR信号取り込み時に、13C核をデカップリング(照射)すると、照射電力に起因した不要信号が前置増幅器選択回路11に漏れ込み、観測信号を劣化させる場合がある。図2を用いて説明すると、13C核に照射する高周波は、多核専用電力増幅器3bにより増幅され、送受信切替器4bによって、検出器5へと導かれる。その際、理想的には、送受信切替器4bの送信ポートと受信ポートのアイソレーションが無限大の大きさであることが望ましい。しかしながら、現実の送受信切替回路の多くは、半導体部品、もしくは機械式リレー等で構成されていて、送信ポートと受信ポートのアイソレーションは有限値である。
【0013】
例えば、多核専用送受信切替器4bの送信ポート−受信ポート間のアイソレーションが−50dBであったと仮定する。また、多核専用前置増幅器6bの増幅度が40dBで、1dB Compression が20dBmであると仮定する。13C核の照射電力が5Wだった場合、受信ポートへの漏れ込みは、
10×log(5×1000)−50 = −13.01dBm
となる。受信ポートへ漏れ込んだ上記レベルの信号は、多核専用前置増幅器6bで十分に増幅され得る。例えば、多核専用前置増幅器6bの増幅度が40dBであった場合、
−13.01dBm + 40dB = 26.99dBm
となる。実際には、多核専用前置増幅器6bの出力能力は有限であるため、ある一定の入力レベル以上で飽和してしまう。そして、飽和することにより、当然のことながら、高調波を生み出す。これら高調波を含めた周波数成分は、多核専用前置増幅器6bを経て、前置増幅器選択回路へと導かれる。このとき、図3では、観測核は1H核であるので、前置増幅器選択回路11は、1H/19F核専用前置増幅器6aを選択している。
【0014】
ところで、従来、前置増幅器には、常時、増幅が可能なように、使用されている能動素子(トランジスタ、FET、MMICなど)には、バイアス電圧が印加されている。そのため、照射しているチャンネルの送受信切替器(図3の場合は、多核専用送受信切替器4b)の送信ポート側から受信ポート側に漏れ込んだ不要信号は、照射チャンネルの前置増幅器(図3の場合は、多核専用前置増幅器6b)で増幅される。前置増幅器は、微弱なNMR信号を増幅するため増幅度が高く、送受信切替器から漏れ込んだ不要信号は、前置増幅器で大きく増幅され、前置増幅器選択回路11へと到達してしまう。
【0015】
前置増幅器選択回路11は、半導体部品、もしくは機械式リレー等で構成されており、測定核に応じて、前置増幅器を選択する回路だが、例えば、1H/19F核専用前置増幅器と多核専用前置増幅器との間のアイソレーションは有限であるため、時によっては、照射チャンネルの前置増幅器で増幅された不要信号が、測定核の観測信号に混入して、NMR信号の純度を劣化させていた。
【0016】
本発明は、上述した点に鑑み、照射チャンネル側の不要信号が、観測チャンネル側のNMR信号に混入してNMR信号の純度を劣化させるのを、未然に防止することができるNMR装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明にかかるNMR装置は、
高周波パルスを出力する電力増幅器と、
電力増幅器のパルス出力を受けて試料に高周波磁界パルスを印加すると共に、試料から放射されるNMR信号を検出する検出器と、
検出器で検出されたNMR信号を受信する受信器と、
電力増幅器から高周波パルスが出力される時間帯には、電力増幅器と検出器との間を接続し、検出器と受信器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断すると共に、試料からNMR信号が放出される時間帯には、検出器と受信器との間を接続し、電力増幅器と検出器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断する送受信切替器と、
検出器において検出されたNMR信号を、送受信切替器を介して受け取り、増幅して後段の受信器に送る前置増幅器と
を備えた複数の送受信回路の中から、任意の1つの送受信回路を選んで、試料のNMR信号を観測するようにしたNMR装置において、
前記選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器のバイアス電圧または電源電圧を低く設定し、前置増幅器をブランキング状態または停止状態にするように構成したことを特徴としている。
【0018】
また、高周波パルスを出力する電力増幅器と、
電力増幅器のパルス出力を受けて試料に高周波磁界パルスを印加すると共に、試料から放射されるNMR信号を検出する検出器と、
検出器で検出されたNMR信号を受信する受信器と、
電力増幅器から高周波パルスが出力される時間帯には、電力増幅器と検出器との間を接続し、検出器と受信器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断すると共に、試料からNMR信号が放出される時間帯には、検出器と受信器との間を接続し、電力増幅器と検出器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断する送受信切替器と、
検出器において検出されたNMR信号を、送受信切替器を介して受け取り、増幅して後段の受信器に送る前置増幅器と、
前置増幅器の前段または前置増幅器の後段に設けられ、所定のタイミングで前置増幅器への入力または前置増幅器からの出力を遮断するスイッチ機構と
を備えた複数の送受信回路の中から、任意の1つの送受信回路を選んで、試料のNMR信号を観測するようにしたNMR装置において、
前記選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路のスイッチ機構を遮断の状態にするように構成したことを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図4は、本発明にかかるNMR装置の一実施例である。図4において、図2と同一部分には同一符号を付している。また、電力増幅器以前の構成とAD変換器以降の構成とは、図1と同様のため、本図からは省略した。図の3aは、1H/19F核専用の電力増幅器、4aは、1H/19F核専用の送受信切替器、6aは、1H/19F核専用の前置増幅器である。また、図の3bは、多核専用の電力増幅器、4bは、多核専用の送受信切替器、6bは、多核専用の前置増幅器である。このように、2系列の送受信回路を有するNMR装置では、どちらの周波数帯域のNMR信号を観測するかが選べるように、前置増幅器選択回路11が設けられている。前置増幅器選択回路11は、測定したい核に合わせて、前置増幅器6a/6bを選択する回路である。
【0020】
また、本発明では、更に、前置増幅器6a、6bのバイアス電圧を別々に制御できるバイアス制御回路12が設けられている。
【0021】
図4の場合、1H核のNMR信号を観測するのであれば、前置増幅器選択回路11は、1H/19F核専用の前置増幅器6aを選択する。すると、検出器5から放射された1H核のNMR信号は、1H/19F核専用の送受信切替器4aを介して、1H/19F核専用の前置増幅器6aへと導かれ、1H/19F核専用の前置増幅器6aで増幅された後、前置増幅器選択回路11を通って受信器7、AD変換器8へと導かれる。
【0022】
例えば、図3のような、1H−{13C}の1H観測異核シフト相関測定(HMQC)の一般的なパルスシーケンスの場合、観測する1H核に観測パルス(PW1)を印加し、また、13C核をデカップリングするため、レベル・コントロールされた連続波を照射する。観測パルス印加後、検出器から放射される1H核信号のデータ取り込み(ACQTM)を行なう。尚、このデータ取り込みの際に、13C核をデカップリングするための照射を行なっている。
【0023】
このとき、バイアス制御回路12は、1H核から放射されるNMR信号を増幅できるようにするために、1H/19F核専用の前置増幅器6aに所定のバイアス電圧を供給する。一方、13C核をデカップリングするための照射電力に起因した不要信号は、多核専用送受信切替器の送信ポート−受信ポート間の持つアイソレーション分だけ差し引かれた量が、受信ポート側に漏れ込んでくる。この漏れ込んだ不要信号は、多核専用前置増幅器6bに導かれる。
【0024】
ところが、多核専用前置増幅器6bは、バイアス制御回路12により、バイアス電圧が供給されないように制御されているため、ブランキング状態となっており、漏れ込んだ不要信号を増幅することがない。その結果、前置増幅器選択回路11が持っているアイソレーション量だけで、多核専用前置増幅器6b側の不要信号が1H/19F核専用の前置増幅器6a側のNMR信号に混入するのを、十分に防ぐことが可能になる。
【0025】
このように、観測チャンネル側の前置増幅器のバイアス電圧と、照射チャンネル側の前置増幅器のバイアス電圧とを、別々にバイアス制御回路12で制御するようにしたので、照射チャンネルから観測チャンネルへの不要信号の漏れ込みを、ほぼ完全になくすことができるようになった。
【0026】
尚、本実施例では、照射チャンネル側の前置増幅器のバイアス電圧を低く設定することで、該前置増幅器をブランキング状態に制御したが、バイアス制御ではなく、前置増幅器全体の電源電圧をオフにしても良い。
【0027】
また、本実施例では、前置増幅器が2個の場合を示したが、2個以上の複数個の場合でも、同じ事が言える。また、本実施例では、具体例として、1H−{13C}の1H観測異核シフト相関測定(HMQC)の場合を挙げたが、測定方法や核種を問わないことは言うまでもない。
【0028】
次に、図5は、本発明にかかるNMR装置の別の実施例である。図5において、図2と同一部分には同一符号を付している。また、電力増幅器以前の構成とAD変換器以降の構成とは、図1と同様のため、本図からは省略した。図の3aは、1H/19F核専用の電力増幅器、4aは、1H/19F核専用の送受信切替器、6aは、1H/19F核専用の前置増幅器である。また、図の3bは、多核専用の電力増幅器、4bは、多核専用の送受信切替器、6bは、多核専用の前置増幅器である。このように、2系列の送受信回路を有するNMR装置では、どちらの周波数帯域のNMR信号を観測するかが選べるように、前置増幅器選択回路11が設けられている。前置増幅器選択回路11は、測定したい核に合わせて、前置増幅器6a/6bを選択する回路である。
【0029】
また、本発明では、更に、前置増幅器6aの前段に、送受信切替器4aと前置増幅器6aとの間を切り離すためのスイッチ機構13a、また、前置増幅器6bの前段に、送受信切替器4bと前置増幅器6bとの間を切り離すためのスイッチ機構13bが設けられている。
【0030】
図5の場合、1H核のNMR信号を観測するのであれば、前置増幅器選択回路11は、1H/19F核専用の前置増幅器6aを選択する。すると、検出器5から放射された1H核のNMR信号は、1H/19F核専用の送受信切替器4aを介して、1H/19F核専用の前置増幅器6aへと導かれ、1H/19F核専用の前置増幅器6aで増幅された後、前置増幅器選択回路11を通って受信器7、AD変換器8へと導かれる。
【0031】
例えば、図3のような、1H−{13C}の1H観測異核シフト相関測定(HMQC)の一般的なパルスシーケンスの場合、観測する1H核に観測パルス(PW1)を印加し、また、13C核をデカップリングするため、レベル・コントロールされた連続波を照射する。観測パルス印加後、検出器から放射される1H核信号のデータ取り込み(ACQTM)を行なう。尚、このデータ取り込みの際に、13C核をデカップリングするための照射を行なっている。
【0032】
このとき、スイッチ機構13aは、1H核から放射されるNMR信号を増幅できるようにするために、1H/19F核専用の送受信切替器4aと1H/19F核専用の前置増幅器6aとの間を導通状態に制御する。一方、13C核をデカップリングするための照射電力に起因した不要信号は、多核専用送受信切替器の送信ポート−受信ポート間の持つアイソレーション分だけ差し引かれた量が、受信ポート側に漏れ込んでくる。ところが、この漏れ込んだ不要信号が、多核専用前置増幅器6bに導かれないようにするために、スイッチ機構13bは、多核専用送受信切替器4bと多核専用前置増幅器6bとの間を遮断状態に制御する。多核専用送受信切替器4bと多核専用前置増幅器6bとの間が遮断状態に制御されるため、多核専用送受信切替器の受信ポート側に漏れ込んだ不要信号が、多核専用前置増幅器6bで増幅されることがない。その結果、前置増幅器選択回路11が持っているアイソレーション量だけで、多核専用前置増幅器6b側の不要信号が1H/19F核専用の前置増幅器6a側のNMR信号に混入するのを、十分に防ぐことが可能になる。
【0033】
このように、スイッチ機構13aを用いて、観測チャンネル側の送受信切替器と前置増幅器との間を導通状態に制御すると共に、スイッチ機構13bを用いて、照射チャンネル側の送受信切替器と前置増幅器との間を遮断状態に制御するようにしたので、照射チャンネルから観測チャンネルへの不要信号の漏れ込みを、ほぼ完全になくすことができるようになった。このスイッチ機構13a、13bは、半導体部品による回路であっても、機械式のリレーであっても良い。
【0034】
尚、本実施例には、さまざまな変形例が可能なので、次にそれを述べる。図6の(a)〜(d)は、照射チャンネル側の前置増幅器6bの後段、すなわち、前置増幅器6bと前置増幅器選択回路11との間に、スイッチ機構または所定の周波数を排除するフィルタ機構を設けた例を示している。これらの例では、照射チャンネルで照射を行なっている時間帯には、スイッチ機構を50Ω終端端子に接続するか、またはフィルタ機構を介して前置増幅器6bと前置増幅器選択回路11との間を接続することにより、前置増幅器6bから漏れ出る不要信号が、前置増幅器選択回路11には伝わらないように構成している。これらの方法を採用すれば、前置増幅器6bの入力側(前段側)において観測チャンネル側への不要信号の漏れ込みを遮断することができるばかりでなく、前置増幅器6bの出力側(後段側)においても、同様に観測チャンネル側への不要信号の漏れ込みを遮断することができることは明らかである。
【0035】
尚、本実施例では、前置増幅器が2個の場合を示したが、2個以上の複数個の場合でも、同じ事が言える。また、本実施例では、具体例として、1H−{13C}の1H観測異核シフト相関測定(HMQC)の場合を挙げたが、測定方法や核種を問わないことは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のNMR装置によれば、複数の送受信回路の中から選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器のバイアス電圧または電源電圧を低く設定し、前置増幅器をブランキング状態または停止状態にするように構成したので、照射チャンネル側の不要信号が、観測チャンネル側のNMR信号に混入してNMR信号の純度を劣化させるのを、未然に防止することができる。
【0037】
また、複数の送受信回路の中から選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器の入力側または出力側を遮断するようにしたので、照射チャンネル側の不要信号が、観測チャンネル側のNMR信号に混入してNMR信号の純度を劣化させるのを、未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のNMR装置の一例を示す図である。
【図2】従来のNMR装置の一例を示す図である。
【図3】NMR測定で用いられるパルス・シーケンスの一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるNMR装置の一実施例を示す図である。
【図5】本発明にかかるNMR装置の別の実施例を示す図である。
【図6】本発明にかかるNMR装置の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1・・・発振器、2・・・波形整形器、3・・・電力増幅器、3a・・・電力増幅器、3b・・・電力増幅器、4・・・送受信切替器、4a・・・送受信切替器、4b・・・送受信切替器、5・・・検出器、6・・・前置増幅器、6a・・・前置増幅器、6b・・・前置増幅器、7・・・受信器、8・・・AD変換器、9・・・ホストコンピューター、10・・・パルス発生器、11・・・前置増幅器選択回路、12・・・バイアス制御回路、13a・・・スイッチ機構、13b・・・スイッチ機構。
Claims (2)
- 高周波パルスを出力する電力増幅器と、
電力増幅器のパルス出力を受けて試料に高周波磁界パルスを印加すると共に、試料から放射されるNMR信号を検出する検出器と、
検出器で検出されたNMR信号を受信する受信器と、
電力増幅器から高周波パルスが出力される時間帯には、電力増幅器と検出器との間を接続し、検出器と受信器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断すると共に、試料からNMR信号が放射される時間帯には、検出器と受信器との間を接続し、電力増幅器と検出器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断する送受信切替器と、
検出器において検出されたNMR信号を、送受信切替器を介して受け取り、増幅して後段の受信器に送る前置増幅器と
を備えた複数の送受信回路の中から、任意の1つの送受信回路を選んで、試料のNMR信号を観測するようにしたNMR装置において、
前記選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路の前置増幅器のバイアス電圧または電源電圧を低く設定し、前置増幅器をブランキング状態または停止状態にするように構成したことを特徴とするNMR装置。 - 高周波パルスを出力する電力増幅器と、
電力増幅器のパルス出力を受けて試料に高周波磁界パルスを印加すると共に、試料から放射されるNMR信号を検出する検出器と、
検出器で検出されたNMR信号を受信する受信器と、
電力増幅器から高周波パルスが出力される時間帯には、電力増幅器と検出器との間を接続し、検出器と受信器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断すると共に、試料からNMR信号が放出される時間帯には、検出器と受信器との間を接続し、電力増幅器と検出器との間、および電力増幅器と受信器との間を遮断する送受信切替器と、
検出器において検出されたNMR信号を、送受信切替器を介して受け取り、増幅して後段の受信器に送る前置増幅器と、
前置増幅器の前段または前置増幅器の後段に設けられ、所定のタイミングで前置増幅器への入力または前置増幅器からの出力を遮断するスイッチ機構と
を備えた複数の送受信回路の中から、任意の1つの送受信回路を選んで、試料のNMR信号を観測するようにしたNMR装置において、
前記選ばれた1つの送受信回路の前置増幅器が、検出器において検出されたNMR信号を送受信切替器を介して受け取っている時間帯には、他の送受信回路のスイッチ機構を遮断の状態にするように構成したことを特徴とするNMR装置。
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JP2013234988A (ja) * | 2012-04-13 | 2013-11-21 | Jeol Resonance Inc | Nmr測定方法 |
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