JP2004028666A - 光電式エンコーダおよび受光アレイの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定性能を向上させることができる光電式エンコーダを提供する。
【解決手段】光電式エンコーダ1の受光アレイ9にはフォトダイオード91がアレイ状に配置されている。受光アレイ9において、スケール7の側からみてフォトダイオード91より後ろ側には複数の遮光膜99が配置されている。隣り合う遮光膜99の間には光通過部90が形成されている。スケール7の光学格子75に照射された光のうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過する光は、レンズ95により集束される。この集束された光は、光通過部90を経由して遮光膜99よりも後ろ側に導かれる。
【選択図】 図1
【解決手段】光電式エンコーダ1の受光アレイ9にはフォトダイオード91がアレイ状に配置されている。受光アレイ9において、スケール7の側からみてフォトダイオード91より後ろ側には複数の遮光膜99が配置されている。隣り合う遮光膜99の間には光通過部90が形成されている。スケール7の光学格子75に照射された光のうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過する光は、レンズ95により集束される。この集束された光は、光通過部90を経由して遮光膜99よりも後ろ側に導かれる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密測定に使用される光電式エンコーダおよびこれの構成要素となる受光アレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から直線変位や角度変位などの精密な測定に光電式エンコーダが利用されている。光電式エンコーダには様々なタイプがあり、例えば、光源と、光源からの光が照射される光学格子が形成されたスケールと、スケールに対して相対移動可能に対向配置されると共に複数のフォトダイオードがアレイ状に配置された受光部と、を含んで構成されたタイプがある。このタイプでは、スケールの光学格子を通過した光源からの光を受光部のフォトダイオードで受光し、光電変換されて発生した電気信号を利用して直線など変位量を演算する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記光電式エンコーダによれば、以下の二つの問題が生じる。一つは、光源からの光のうち隣り合うフォトダイオード間を通過するはずの光が迷光として斜め横から直接にフォトダイオードに入射して受光されることである。他の一つは、隣り合うフォトダイオード間を通過した光が乱反射してフォトダイオード側に向かって進行して、このフォトダイオードで受光されることである。これらがノイズ、DC(直流)成分やクロストークの原因となり、光電式エンコーダの高精度測定の妨げとなる。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、測定性能を向上させることができる光電式エンコーダおよびこれに含まれる受光アレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光電式エンコーダは、光源部と、光源部からの光が照射される光学格子を含むスケールと、アレイ状に配置された複数の受光素子を含むと共にスケールとギャップを設けて相対移動可能に配置された受光アレイと、を備え、受光アレイは、スケールの側からみて複数の受光素子の後ろ側に配置された遮光膜を含むと共にスケールの側からみて遮光膜の後ろ側に光を導くための複数の光通過部が形成されており、受光アレイは、光学格子に照射された光のうち複数の受光素子の隣り合う受光素子間を通過する光が、複数の光通過部のうち対応する光通過部を通過するように焦点設定されたレンズが集まることにより構成されたレンズアレイを、さらに含むことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る光電式エンコーダの受光アレイに含まれるレンズは、光学格子に照射された光のうち隣り合う受光素子間を通過する光が光通過部を通過するように焦点の設定がされている。このため、隣り合う受光素子間を通過した光は、光通過部に導かれそこを経由して遮光膜の後ろ側に導かれる。この後ろ側に導かれた光が何らかの原因(例えば受光素子と接続する金属配線膜や金属電極)で乱反射されても、スケールの側からみて受光素子の後ろ側に遮光膜が配置、つまり乱反射された光からみて受光素子の手前に遮光膜が配置されているので、その多くは遮光膜で反射される。これにより、受光素子に入射する乱反射光を低減させることができる。
【0007】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、光通過部の幅は隣り合う受光素子間の領域の幅よりも小さいようにすることができる。これによれば、遮光膜の面積を大きくすることができるので、上記乱反射光が受光素子に受光されるのを防ぐ効果を大きくすることができる。
【0008】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、レンズアレイは、光学格子の位置と複数の受光素子がアレイ状に配置された位置との間の光路上に配置されているようにすることができる。これによれば、隣り合う受光素子間を通過する光を、受光素子の位置より手前の位置でレンズにより集束させることができる。よって、受光素子間を通過する光が受光素子の位置より手前で受光素子側に屈折したもの(迷光)が、受光素子により受光されるのを低減することができる。この結果、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、遮光膜は、複数の受光素子の金属の配線膜と同じ材料で構成されると共にこの配線膜と同じ層に配置されているようにすることができる。これによれば、配線膜の形成と同時に遮光膜も形成することができるので、製造工程を簡略化することができる。
【0010】
本発明に係る受光アレイの製造方法は、光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、一方の面上に複数の受光素子がアレイ状に配置された透明基板の他方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、複数の受光素子をマスクとして、透明基板の一方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する工程と、フォトレジストのうち複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、フォトレジストをマスクとして、透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域と対向する透明基板の他方の面上の領域に透明膜を残す工程と、選択的除去により残った透明膜を加工して、レンズアレイを構成するレンズを他方の面上の領域に形成する工程と、複数の受光素子を覆うように透明基板の一方の面上に遮光膜を形成する工程と、遮光膜をパターニングして光通過部を隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る受光アレイの製造方法によれば、一方の面上に複数の受光素子がアレイ状に配置された透明基板の他方の面上の全面に透明膜を形成し、透明膜を加工してレンズアレイを形成している。したがって、受光アレイの複数の受光素子の配置された面と対向する面にレンズアレイが配置された構造の受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子をマスクとして、透明基板の一方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する。そして、感光した部分をマスクとして、透明膜を選択的に除去してレンズとなる透明膜を残している。よって、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができる。
【0012】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法は、光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、透明基板の一方の面上にアレイ状に配置された複数の受光素子を覆うように、一方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、複数の受光素子をマスクとして、透明基板の他方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する工程と、フォトレジストのうち複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、フォトレジストをマスクとして、透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域に透明膜を残す工程と、選択的除去により残った透明膜を加工して、レンズアレイを構成するレンズを隣り合う受光素子間の領域に形成する工程と、複数の受光素子およびレンズアレイを覆うように、透明基板の一方の面上に遮光膜を形成する工程と、遮光膜をパターニングして光通過部を隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法によれば、透明基板の一方の面上にアレイ状に配置された複数の受光素子を覆うように、一方の面上の全面に透明膜を形成し、透明膜を加工してレンズアレイを形成している。したがって、レンズアレイおよび複数の受光素子が透明基板の同一面側に配置されている受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子をマスクとして、透明基板の他方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する。そして、感光した部分をマスクとして、透明膜を選択的に除去してレンズとなる透明膜を残している。よって、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)について説明する。まず、本実施形態に係る光電式エンコーダの構成について説明する。図1はこの光電式エンコーダ1の概略構成を示す図である。光電式エンコーダ1は、発光ダイオード(LED)3と、これに近い順に沿って配置されたインデックススケール5、スケール7、受光アレイ9とにより構成される。
【0015】
発光ダイオード3およびインデックススケール5により光源部が構成される。
発光ダイオード3は光を放射する発光素子の一例であり、このダイオード3からの光Lが照射される位置には、インデックススケール5が配置されている。スケール5は長尺状の透明基板51を含み、この基板51の発光ダイオード3側に向く面と反対側の面上に光学格子53が形成されている。光学格子53は複数の遮光部55が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に配置されたものである。
【0016】
インデックススケール5の光学格子53側には、インデックススケール5と所定のギャップを設けてスケール7が位置している。スケール7はインデックススケール5よりも長手方向の寸法が大きく、図1にはその一部が表れている。スケール7は長尺状の透明基板71を含む。透明基板71の一方の面がインデックススケール5の光学格子53と対向している。透明基板71の他方の面上には、複数の遮光部73が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に形成されている。これにより光学格子75が構成される。
【0017】
受光アレイ9は、複数のフォトダイオード91(受光素子の一例)が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に、透明基板を含む透明部材93内部に配置されたものである。フォトダイオード91の受光面が光学格子75側に向くように、スケール7と所定のギャップを設けて受光アレイ9が位置している。
【0018】
透明部材93の表面のうち光学格子75と対向する面上には、凸部が透明部材93と反対側を向くように凸型のレンズ95が形成されている。レンズ95が複数集まることによりレンズアレイ97が構成される。レンズアレイ97からみてフォトダイオード91よりさらに奥、つまり後ろ側に位置する透明部材93内部には金属膜などからなる複数の遮光膜99が配置されている。隣り合う遮光膜99間は光通過部90となる。光電式エンコーダ1は、レンズアレイ97、遮光膜99および光通過部90により、光源部(インデックススケール5および発光ダイオード3)からの光のうち迷光や乱反射光がフォトダイオード91により受光されることを低減している。これについては後で詳細に説明する。
【0019】
なお、スケール7は、図中のAで示すスケール7の長手方向に移動可能にされている。よって、受光アレイ9はスケール7に対して相対移動可能に配置されている。
【0020】
光電式エンコーダ1はリニヤ(一次元)型である。よって、レンズ95は図1の奥行き方向に延びており、凸部となる円周状の曲面構造を含む。なお、本発明は二次元型にも適用できる。その場合、レンズ95は凸部となる半球状構造を含み、複数のレンズ95で構成されるレンズアレイ97がスケール7の光学格子75の形成面側にマトリックス状(アレイ状の一例)に配置される。
【0021】
光電式エンコーダ1は光源部からの光がスケール7の光学格子75を透過するタイプであるが、本発明は光学格子75で反射されるタイプにも適用することができる。
【0022】
次に、光電式エンコーダ1の測定動作を簡単に説明する。発光ダイオード3から光Lをインデックススケール5に照射した状態で、スケール7をAで示す方向に相対移動させて変位量を確定する。その位置において、インデックススケール5の光学格子53とスケール7の光学格子75との重なりにより生じる明暗パターンを、受光アレイ9の複数のフォトダイオード91により受光する。これにより光電変換されて発生した電気信号を利用して直線など変位量を演算し、その数値を図示しない表示部に出力する。
【0023】
次に、光電式エンコーダ1の受光アレイ9の構造の詳細について図2〜図4を用いて説明する。図2は光電式エンコーダ1の受光アレイ9およびスケール7の部分断面図であり、図3は受光アレイ9を遮光膜99側から見た部分平面図であり、図4は受光アレイ9をレンズ95側から見た部分平面図である。
【0024】
図2〜図4を参照して、受光アレイ9はガラスのような透明基板92を有している。透明基板92の上にはITOのような透明導電材料からなる透明電極94が形成されている。透明電極94上にはP型アモルファスシリコンとN型アモルファスシリコンが接合した構造の複数のフォトダイオード91がリニヤ状に配置されている。透明電極94は複数のフォトダイオード91の共通電極となる。
【0025】
複数のフォトダイオード91を覆うようにシリコン酸化膜のような透明層間絶縁膜96が形成されている。透明層間絶縁膜96上には複数の遮光膜99がマトリックス状に形成されている。遮光膜99は、スケール7の側からみてフォトダイオード91よりも奥、つまり後ろ側に配置されている。隣り合う遮光膜99間が光通過部90となる。光通過部90は、スケール7の側からみて遮光膜99よりも後ろ側の位置に光を導く機能を有する。
【0026】
レンズ95の長手方向と直交する方向に沿った透明層間絶縁膜96上の遮光膜99間の各々には配線膜98(図3参照)が形成されている。各配線膜98は対応するフォトダイオード91とコンタクトがとられている。遮光膜99および配線膜98の材料はアルミニウムのような導電性金属である。よって、遮光膜99は配線膜98と接続しないように配線膜98が配置されていない領域に形成されている。遮光膜99や配線膜98を覆うようにパッシベーション膜101が形成されている。
【0027】
透明基板92の透明電極94形成面と反対側の面117、つまりスケール7と対向する面には、複数のレンズ95がリニヤ状に配置されている。そして、各レンズ95はその凸部がスケール7側を向くように、隣り合うフォトダイオード91間の領域105と対向する位置に形成されている。なお、透明基板92、透明電極94、透明層間絶縁膜96およびパッシベーション膜101により、図1に示す透明部材93が構成されている。
【0028】
図1に示す光電式エンコーダ1は、レンズアレイ97、遮光膜99および光通過部90により、乱反射した光や迷光がフォトダイオード91により受光されるのを低減している。この説明の前提として、まず、乱反射した光や迷光がフォトダイオード91により受光される場合について説明する。図5は本実施形態の比較例であり、図2に示す構造と対応している。図2との違いはレンズ95、遮光膜99および光通過部90を備えていない点である。図5は、光源部(図1に示す発光ダイオード3およびインデックススケール5)からの光Lが図5に示す構造に照射されている状態を示している。
【0029】
遮光部73間を通過した光Lのうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過した成分の一部は、パッシベーション膜101の表面103や図示しない金属配線、金属電極などにより乱反射される。この乱反射された光L1がフォトダイオード91aに入射して受光されることがある。また、隣り合うフォトダイオード91間を通過する成分の一部がフォトダイオード91の手前の位置で発散する方向に屈折して迷光L2となり斜め横からフォトダイオード91に入射して受光されることがある。これらは受光されるべき光ではなく、よって、ノイズ、DC(直流)成分やクロストークの原因となり、光電式エンコーダの高精度測定の妨げとなる。
【0030】
なお、隣り合うフォトダイオード91間の透明電極94上の領域105に金属膜のような光を透過しない膜を形成すれば、遮光部73間を通過した光Lがフォトダイオード91間を通過するのを防ぐことができる。これにより、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射するのを防止できる。しかし、領域105に上記金属膜を形成すると、金属膜のパターンニングの精度が悪い場合、この金属膜を介して隣り合うフォトダイオード91がショートすることがある。
【0031】
これに対して、図2に示すように、本実施形態に係る光電式エンコーダ21は、レンズ95を備えている。よって、光源部(図1に示す発光ダイオード3およびインデックススケール5)からの光Lが図2に示す構造に照射されている状態は図6に示すようになる。ここで、各レンズ95は、複数の遮光部73で構成される光学格子(図1の光学格子75)に照射された光Lのうち隣り合うフォトダイオード91間を通過する光(光束)Bが対応する光通過部90(例えば光通過部90a)を通過するように、焦点が設定されている。
【0032】
ここで、本実施形態に係る光電式エンコーダ1において、例えば、受光アレイ9とスケール7との相対的位置が図7に示すような状態で、光源部からの光Lがスケール7に照射された場合を考察する。遮光部73間を通過した光Lのうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過する成分はレンズ95により集束されて、その成分の束は光通過部90を通過する。この通過した光の一部はパッシベーション膜101の表面103などにより乱反射(乱反射光L1)される。表面103とフォトダイオード91との間には遮光膜99が配置、言い換えれば、スケール7の側からみてフォトダイオード91よりも後ろ側に遮光膜99が配置されているので、乱反射光L1の多くは遮光膜99で反射される。よって、フォトダイオード91に入射する乱反射光L1を低減することができる。
【0033】
また、図1に示すように、レンズアレイ97は、光学格子75の位置と複数のフォトダイオード91がアレイ状に配置された位置との間の光路上に配置されている。よって、隣り合うフォトダイオード91間を通過する光を、フォトダイオード91の位置より手前の位置でレンズ95により集束させることができる。よって、図5で説明した迷光L2を低減することができる。
【0034】
以上により、本実施形態によれば、乱反射光L1や迷光L2がフォトダイオード91に受光されるのを低減できるので、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。これにより、フォトダイオード91で発生する電気信号の特性を向上させることができる。この結果、光電式エンコーダの測定性能が向上することにより高精度測定が可能となる。
【0035】
また、図2に示すように、本実施形態では、隣り合う遮光膜99間である光通過部90の幅W1は、隣り合うフォトダイオード91間の領域105の幅W2より小さくされている。これにより、遮光膜99の面積を大きくすることにより、上記乱反射光L1がフォトダイオード91に受光されるのを防ぐ効果を大きくしている。
【0036】
なお、図3に示すように、本実施形態においては、複数の遮光膜99を形成し、隣り合う遮光膜99間を光通過部90としている。光通過部90は、スケール7の側からみて遮光膜99よりも奥、つまり後ろ側の位置に光を導く機能を有すればよい。したがって、例えば、図3に示す横方向に並ぶ複数の遮光膜99を一枚の遮光膜とし、この遮光膜にスリット状の複数の光通過部を形成したものについても、本発明を適用することができる。また、図2に示すように本実施形態では複数の遮光膜99が同じ層に形成されているが、隣り合う遮光膜99を同じ層に形成せずに異なる層に配置した場合についても本発明を適用することができる。
【0037】
さらに、図6に示すように、本実施形態では、レンズ95の焦点Fは光通過部90に合わされている。これによりレンズ95で集束された光Lの束Bがフォトダイオード91および遮光膜99に当たることなく、光通過部90を通過するようにしている。ここで、光通過部90とは隣り合う遮光膜99間の空間であり、高さが遮光膜99の厚みの大きさである。焦点Fの位置は図8や図9に示すように光通過部90の外であってもよい。図8は、焦点Fがレンズ95からみて光通過部90の手前にある例であり、図9は、後ろ側にある例である。いずれの例もレンズ95で集束された光束Bがフォトダイオード91および遮光膜99に当たることなく、光通過部90を通過している。
【0038】
次に、本実施形態に係る受光アレイの製造方法を説明する。図10〜図14はこれを説明する工程図である。まず、図10に示すように、透明基板92の一方の面上に例えばCVDを用いてITOからなる透明電極94を形成する。透明電極94上に複数のフォトダイオード91をリニヤ状(アレイ状の一例)に形成し、複数のフォトダイオード91を覆うように、例えばCVDを用いてシリコン酸化膜からなる透明層間絶縁膜96を形成する。
【0039】
次に、図11に示すように、透明基板92の透明電極94が形成された一方の面と反対側に位置する透明基板92の他方の面上の全面にレンズアレイとなるBPSG膜109(透明膜の一例)をCVD法により形成する。BPSG膜109の膜厚はレンズアレイを構成するレンズの厚みに必要な大きさである。レンズアレイの材料となるものであればBPSG膜109の替わりに他のシリコン酸化膜系の材料でもよく、また樹脂系の材料など透明な一般的な材料でもよい。そして、BPSG膜109上にネガ型フォトレジスト111を形成する。
【0040】
次に、複数のフォトダイオード91をマスクとして透明基板92のフォトダイオード91が形成された面(一方の面)側から露光用の光lを照射する。これにより、ネガ型フォトレジスト111のうち、隣り合うフォトダイオード91間の上に位置するものは感光し、フォトダイオード91上に位置するものは未感光となる。フォトダイオード91をマスクとしているので、アライメント精度の誤差を生じることなく上記露光ができる。
【0041】
次に、図12に示すように、ネガ型フォトレジスト111のうち未感光の部分、つまり、フォトダイオード91上のネガ型フォトレジスト111を除去する。そして、ネガ型フォトレジスト111をマスクとして、ドライエッチングまたはウエットエッチングによりBPSG膜109を選択的に除去する。これにより、隣り合うフォトダイオード91間に位置する領域105と対向する透明基板92の他方の面上の領域107にBPSG膜109が残る。
【0042】
次に、図13に示すように、マスクとして用いたBPSG膜109上のネガ型フォトレジスト111を除去する。そして、BPSG膜109を所定の温度でリフロー加工する。これにより、レンズアレイを構成する複数のレンズ95の各々を、それに対応する透明基板92の他方の面上の領域107の各々に形成する。
リフローの替わりにウエットエッチングでレンズ95を形成することもできる。
【0043】
次に、図14に示すように、透明層間絶縁膜96上に例えばスパッタリングによりアルミニウム膜を形成して、フォトリソグラフィとエッチングにより遮光膜99をパターニングする。このとき、図3に示す配線膜98も同時に形成する。
そして、例えばCVDを用いてパッシベーション膜101を遮光膜99や配線膜98を覆うように形成する。以上により受光アレイ9が完成する。
【0044】
図11〜図13で説明したように、この製造方法によれば、フォトダイオード91に対してレンズ95を自己整合的に形成しているので、レンズ95の形成の際にはアライメント誤差が生じることはない。よって、アライメント誤差が原因となる受光アレイ9の歩留まりの低下を防止できる。また、上記自己整合により、レンズ95を形成するための位置合わせ工程が不要となるので、簡単な製造設備でレンズ95を形成することができる。
【0045】
また、本実施形態では遮光膜99を配線膜98と同じ層に形成することにより、遮光膜99の形成工程と配線膜98の形成工程を同じにすることができ、受光アレイ9の製造工程の簡略化を図ることができる。なお、遮光膜99を配線膜98と異なる層に形成することもできる。
【0046】
次に、本実施形態の変形例を説明する。図15は、この変形例に係る光電式エンコーダを構成する受光アレイ11の部分断面図である。図2に示す受光アレイ9の構成要素と同一の要素については同一符号を付すことにより説明を省略する。図15に示す変形例では、透明基板92の同一面側にフォトダイオード91およびレンズ95が形成されている。詳しくは、隣り合うフォトダイオード91間の領域105に、その凸部が遮光膜99側を向くレンズ95が形成されている。
【0047】
図15に示す受光アレイ11では、本実施形態の受光アレイ9(図7参照)と同様にレンズ95により、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射するのを低減することができる。よって、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射することが原因となるノイズ、DC(直流)成分やクロストークの発生を抑制することができるので、光電式エンコーダの高精度測定が可能となる。但し、変形例ではレンズ95が領域105に配置されている。つまり、スケール7の光学格子75(図1参照)の位置とフォトダイオード91がアレイ状に配置された位置との間の光路上に、レンズ95が配置されていない。このため、迷光L2(図5参照)がフォトダイオード91に入射するのを防止する効果は生じない。
【0048】
次に、変形例に係る受光アレイ11の製造方法を説明する。図16〜図19はこれを説明する工程図である。まず、図16に示すように、フォトダイオード91の形成工程までは図10で説明したとおりである。フォトダイオード91の形成後、複数のフォトダイオード91を覆うように、レンズアレイとなるBPSG膜113(透明膜の一例)をCVD法により形成する。BPSG膜113の膜厚はレンズアレイを構成するレンズの厚みに必要な大きさである。そして、BPSG膜113上にネガ型フォトレジスト115を形成する。
【0049】
次に、図17に示すように、複数のフォトダイオード91をマスクとして透明基板71のフォトダイオード91が形成された面と反対の面(他方の面)側から露光用の光lを照射する。これにより、ネガ型フォトレジスト115のうち、フォトダイオード91間の上に位置するものは感光し、フォトダイオード91上に位置するものは未感光となる。フォトダイオード91をマスクとしているので、図11と同様にアライメント精度の誤差を生じることなく上記露光ができる。
【0050】
次に、図18に示すように、ネガ型フォトレジスト115のうち未感光の部分、つまり、フォトダイオード91上のネガ型フォトレジスト115を除去する。
そして、ネガ型フォトレジスト115をマスクとして、ドライエッチングまたはウエットエッチングによりBPSG膜113を選択的に除去する。これにより、隣り合うフォトダイオード91間に位置する領域105にBPSG膜113が残る。
【0051】
次に、図19に示すように、マスクとして用いたBPSG膜113上のネガ型フォトレジスト115を除去する。そして、BPSG膜113を所定の温度でリフロー加工する。これにより、レンズアレイを構成する複数のレンズ95の各々を、それに対応する領域105の各々に形成する。そして、図13および図14で説明した透明層間絶縁膜96の形成工程、遮光膜99の形成工程、パッシベーション膜101の形成工程を経て、図15に示す受光アレイ11が完成する。
【0052】
図16〜図19で説明したように、この製造方法によれば、フォトダイオード91に対してレンズ95を自己整合的に形成している。よって、図10〜図14に示す製造方法と同様に、アライメント誤差が原因となる受光アレイ11の歩留まりの低下を防止でき、また、簡単な製造設備でレンズ95を形成することができる。
【0053】
また、変形例の製造方法によれば、フォトダイオード91およびレンズ95を透明基板92の同一面側に形成している。よって、受光アレイ11の製造工程において透明基板92の反対側の面を製造装置の台に載置して受光アレイ11の製造をすることができる。これにより、フォトダイオード91やレンズ95が製造装置の台と接触することによるフォトダイオード91やレンズ95の破損を防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光電式エンコーダによれば、乱反射光が受光素子に受光されるのを低減できるので、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。この結果、光電式エンコーダの測定性能を向上させることができる。
【0055】
本発明に係る受光アレイの製造方法によれば、受光アレイの複数の受光素子の配置された面と対向する面にレンズアレイが配置された構造の受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができるので、アライメント精度の誤差なくレンズアレイと受光素子とを形成することができる。
【0056】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法によれば、レンズアレイおよび複数の受光素子が透明基板の同一面側に配置されている受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができるので、アライメント精度の誤差なくレンズアレイと受光素子とを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光電式エンコーダの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光電式エンコーダの受光アレイおよびスケールの部分断面図である。
【図3】図2に示す受光アレイを遮光膜側から見た部分平面図である。
【図4】図2に示す受光アレイをレンズ側から見た部分平面図である。
【図5】比較例に係る光電式エンコーダの受光アレイおよびスケールの部分断面図である。
【図6】図2に示す構造に光源部からの光が照射されている状態を示す図である。
【図7】光源部から照射された光により図2に示す構造に発生する乱反射光の状態を示す図である。
【図8】図2に示す受光アレイのレンズにより集束される光の焦点の位置の他の例を示す図である。
【図9】図2に示す受光アレイのレンズにより集束される光の焦点の位置のさらに他の例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第1工程を示す工程図である。
【図11】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第2工程を示す工程図である。
【図12】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第3工程を示す工程図である。
【図13】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第4工程を示す工程図である。
【図14】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第5工程を示す工程図である。
【図15】本実施形態の変形例に係る光電式エンコーダの受光アレイの部分断面図である。
【図16】変形例に係る受光アレイの製造方法の第1工程を示す工程図である。
【図17】変形例に係る受光アレイの製造方法の第2工程を示す工程図である。
【図18】変形例に係る受光アレイの製造方法の第3工程を示す工程図である。
【図19】変形例に係る受光アレイの製造方法の第4工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1・・・光電式エンコーダ、3・・・発光ダイオード、5・・・インデックススケール、7・・・スケール、9,11・・・受光アレイ、51・・・透明基板、53・・・光学格子、55・・・遮光部、71・・・透明基板、73・・・遮光部、75・・・光学格子、90・・・光通過部、91・・・フォトダイオード、92・・・透明基板、93・・・透明部材、94・・・透明電極、95・・・レンズ、96・・・透明層間絶縁膜、97・・・レンズアレイ、98・・・配線膜、99・・・遮光膜、101・・・パッシベーション膜、103・・・表面、105,107・・・領域、109・・・BPSG膜、111・・・ネガ型フォトレジスト、113・・・BPSG膜、115・・・ネガ型フォトレジスト、117・・・面
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密測定に使用される光電式エンコーダおよびこれの構成要素となる受光アレイの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から直線変位や角度変位などの精密な測定に光電式エンコーダが利用されている。光電式エンコーダには様々なタイプがあり、例えば、光源と、光源からの光が照射される光学格子が形成されたスケールと、スケールに対して相対移動可能に対向配置されると共に複数のフォトダイオードがアレイ状に配置された受光部と、を含んで構成されたタイプがある。このタイプでは、スケールの光学格子を通過した光源からの光を受光部のフォトダイオードで受光し、光電変換されて発生した電気信号を利用して直線など変位量を演算する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記光電式エンコーダによれば、以下の二つの問題が生じる。一つは、光源からの光のうち隣り合うフォトダイオード間を通過するはずの光が迷光として斜め横から直接にフォトダイオードに入射して受光されることである。他の一つは、隣り合うフォトダイオード間を通過した光が乱反射してフォトダイオード側に向かって進行して、このフォトダイオードで受光されることである。これらがノイズ、DC(直流)成分やクロストークの原因となり、光電式エンコーダの高精度測定の妨げとなる。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、測定性能を向上させることができる光電式エンコーダおよびこれに含まれる受光アレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光電式エンコーダは、光源部と、光源部からの光が照射される光学格子を含むスケールと、アレイ状に配置された複数の受光素子を含むと共にスケールとギャップを設けて相対移動可能に配置された受光アレイと、を備え、受光アレイは、スケールの側からみて複数の受光素子の後ろ側に配置された遮光膜を含むと共にスケールの側からみて遮光膜の後ろ側に光を導くための複数の光通過部が形成されており、受光アレイは、光学格子に照射された光のうち複数の受光素子の隣り合う受光素子間を通過する光が、複数の光通過部のうち対応する光通過部を通過するように焦点設定されたレンズが集まることにより構成されたレンズアレイを、さらに含むことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る光電式エンコーダの受光アレイに含まれるレンズは、光学格子に照射された光のうち隣り合う受光素子間を通過する光が光通過部を通過するように焦点の設定がされている。このため、隣り合う受光素子間を通過した光は、光通過部に導かれそこを経由して遮光膜の後ろ側に導かれる。この後ろ側に導かれた光が何らかの原因(例えば受光素子と接続する金属配線膜や金属電極)で乱反射されても、スケールの側からみて受光素子の後ろ側に遮光膜が配置、つまり乱反射された光からみて受光素子の手前に遮光膜が配置されているので、その多くは遮光膜で反射される。これにより、受光素子に入射する乱反射光を低減させることができる。
【0007】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、光通過部の幅は隣り合う受光素子間の領域の幅よりも小さいようにすることができる。これによれば、遮光膜の面積を大きくすることができるので、上記乱反射光が受光素子に受光されるのを防ぐ効果を大きくすることができる。
【0008】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、レンズアレイは、光学格子の位置と複数の受光素子がアレイ状に配置された位置との間の光路上に配置されているようにすることができる。これによれば、隣り合う受光素子間を通過する光を、受光素子の位置より手前の位置でレンズにより集束させることができる。よって、受光素子間を通過する光が受光素子の位置より手前で受光素子側に屈折したもの(迷光)が、受光素子により受光されるのを低減することができる。この結果、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る光電式エンコーダにおいて、遮光膜は、複数の受光素子の金属の配線膜と同じ材料で構成されると共にこの配線膜と同じ層に配置されているようにすることができる。これによれば、配線膜の形成と同時に遮光膜も形成することができるので、製造工程を簡略化することができる。
【0010】
本発明に係る受光アレイの製造方法は、光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、一方の面上に複数の受光素子がアレイ状に配置された透明基板の他方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、複数の受光素子をマスクとして、透明基板の一方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する工程と、フォトレジストのうち複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、フォトレジストをマスクとして、透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域と対向する透明基板の他方の面上の領域に透明膜を残す工程と、選択的除去により残った透明膜を加工して、レンズアレイを構成するレンズを他方の面上の領域に形成する工程と、複数の受光素子を覆うように透明基板の一方の面上に遮光膜を形成する工程と、遮光膜をパターニングして光通過部を隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る受光アレイの製造方法によれば、一方の面上に複数の受光素子がアレイ状に配置された透明基板の他方の面上の全面に透明膜を形成し、透明膜を加工してレンズアレイを形成している。したがって、受光アレイの複数の受光素子の配置された面と対向する面にレンズアレイが配置された構造の受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子をマスクとして、透明基板の一方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する。そして、感光した部分をマスクとして、透明膜を選択的に除去してレンズとなる透明膜を残している。よって、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができる。
【0012】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法は、光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、透明基板の一方の面上にアレイ状に配置された複数の受光素子を覆うように、一方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、複数の受光素子をマスクとして、透明基板の他方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する工程と、フォトレジストのうち複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、フォトレジストをマスクとして、透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域に透明膜を残す工程と、選択的除去により残った透明膜を加工して、レンズアレイを構成するレンズを隣り合う受光素子間の領域に形成する工程と、複数の受光素子およびレンズアレイを覆うように、透明基板の一方の面上に遮光膜を形成する工程と、遮光膜をパターニングして光通過部を隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法によれば、透明基板の一方の面上にアレイ状に配置された複数の受光素子を覆うように、一方の面上の全面に透明膜を形成し、透明膜を加工してレンズアレイを形成している。したがって、レンズアレイおよび複数の受光素子が透明基板の同一面側に配置されている受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子をマスクとして、透明基板の他方の面側から露光用の光をフォトレジストに照射する。そして、感光した部分をマスクとして、透明膜を選択的に除去してレンズとなる透明膜を残している。よって、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態(以下、本実施形態という)について説明する。まず、本実施形態に係る光電式エンコーダの構成について説明する。図1はこの光電式エンコーダ1の概略構成を示す図である。光電式エンコーダ1は、発光ダイオード(LED)3と、これに近い順に沿って配置されたインデックススケール5、スケール7、受光アレイ9とにより構成される。
【0015】
発光ダイオード3およびインデックススケール5により光源部が構成される。
発光ダイオード3は光を放射する発光素子の一例であり、このダイオード3からの光Lが照射される位置には、インデックススケール5が配置されている。スケール5は長尺状の透明基板51を含み、この基板51の発光ダイオード3側に向く面と反対側の面上に光学格子53が形成されている。光学格子53は複数の遮光部55が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に配置されたものである。
【0016】
インデックススケール5の光学格子53側には、インデックススケール5と所定のギャップを設けてスケール7が位置している。スケール7はインデックススケール5よりも長手方向の寸法が大きく、図1にはその一部が表れている。スケール7は長尺状の透明基板71を含む。透明基板71の一方の面がインデックススケール5の光学格子53と対向している。透明基板71の他方の面上には、複数の遮光部73が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に形成されている。これにより光学格子75が構成される。
【0017】
受光アレイ9は、複数のフォトダイオード91(受光素子の一例)が所定のピッチを設けてリニヤ状(アレイ状の一例)に、透明基板を含む透明部材93内部に配置されたものである。フォトダイオード91の受光面が光学格子75側に向くように、スケール7と所定のギャップを設けて受光アレイ9が位置している。
【0018】
透明部材93の表面のうち光学格子75と対向する面上には、凸部が透明部材93と反対側を向くように凸型のレンズ95が形成されている。レンズ95が複数集まることによりレンズアレイ97が構成される。レンズアレイ97からみてフォトダイオード91よりさらに奥、つまり後ろ側に位置する透明部材93内部には金属膜などからなる複数の遮光膜99が配置されている。隣り合う遮光膜99間は光通過部90となる。光電式エンコーダ1は、レンズアレイ97、遮光膜99および光通過部90により、光源部(インデックススケール5および発光ダイオード3)からの光のうち迷光や乱反射光がフォトダイオード91により受光されることを低減している。これについては後で詳細に説明する。
【0019】
なお、スケール7は、図中のAで示すスケール7の長手方向に移動可能にされている。よって、受光アレイ9はスケール7に対して相対移動可能に配置されている。
【0020】
光電式エンコーダ1はリニヤ(一次元)型である。よって、レンズ95は図1の奥行き方向に延びており、凸部となる円周状の曲面構造を含む。なお、本発明は二次元型にも適用できる。その場合、レンズ95は凸部となる半球状構造を含み、複数のレンズ95で構成されるレンズアレイ97がスケール7の光学格子75の形成面側にマトリックス状(アレイ状の一例)に配置される。
【0021】
光電式エンコーダ1は光源部からの光がスケール7の光学格子75を透過するタイプであるが、本発明は光学格子75で反射されるタイプにも適用することができる。
【0022】
次に、光電式エンコーダ1の測定動作を簡単に説明する。発光ダイオード3から光Lをインデックススケール5に照射した状態で、スケール7をAで示す方向に相対移動させて変位量を確定する。その位置において、インデックススケール5の光学格子53とスケール7の光学格子75との重なりにより生じる明暗パターンを、受光アレイ9の複数のフォトダイオード91により受光する。これにより光電変換されて発生した電気信号を利用して直線など変位量を演算し、その数値を図示しない表示部に出力する。
【0023】
次に、光電式エンコーダ1の受光アレイ9の構造の詳細について図2〜図4を用いて説明する。図2は光電式エンコーダ1の受光アレイ9およびスケール7の部分断面図であり、図3は受光アレイ9を遮光膜99側から見た部分平面図であり、図4は受光アレイ9をレンズ95側から見た部分平面図である。
【0024】
図2〜図4を参照して、受光アレイ9はガラスのような透明基板92を有している。透明基板92の上にはITOのような透明導電材料からなる透明電極94が形成されている。透明電極94上にはP型アモルファスシリコンとN型アモルファスシリコンが接合した構造の複数のフォトダイオード91がリニヤ状に配置されている。透明電極94は複数のフォトダイオード91の共通電極となる。
【0025】
複数のフォトダイオード91を覆うようにシリコン酸化膜のような透明層間絶縁膜96が形成されている。透明層間絶縁膜96上には複数の遮光膜99がマトリックス状に形成されている。遮光膜99は、スケール7の側からみてフォトダイオード91よりも奥、つまり後ろ側に配置されている。隣り合う遮光膜99間が光通過部90となる。光通過部90は、スケール7の側からみて遮光膜99よりも後ろ側の位置に光を導く機能を有する。
【0026】
レンズ95の長手方向と直交する方向に沿った透明層間絶縁膜96上の遮光膜99間の各々には配線膜98(図3参照)が形成されている。各配線膜98は対応するフォトダイオード91とコンタクトがとられている。遮光膜99および配線膜98の材料はアルミニウムのような導電性金属である。よって、遮光膜99は配線膜98と接続しないように配線膜98が配置されていない領域に形成されている。遮光膜99や配線膜98を覆うようにパッシベーション膜101が形成されている。
【0027】
透明基板92の透明電極94形成面と反対側の面117、つまりスケール7と対向する面には、複数のレンズ95がリニヤ状に配置されている。そして、各レンズ95はその凸部がスケール7側を向くように、隣り合うフォトダイオード91間の領域105と対向する位置に形成されている。なお、透明基板92、透明電極94、透明層間絶縁膜96およびパッシベーション膜101により、図1に示す透明部材93が構成されている。
【0028】
図1に示す光電式エンコーダ1は、レンズアレイ97、遮光膜99および光通過部90により、乱反射した光や迷光がフォトダイオード91により受光されるのを低減している。この説明の前提として、まず、乱反射した光や迷光がフォトダイオード91により受光される場合について説明する。図5は本実施形態の比較例であり、図2に示す構造と対応している。図2との違いはレンズ95、遮光膜99および光通過部90を備えていない点である。図5は、光源部(図1に示す発光ダイオード3およびインデックススケール5)からの光Lが図5に示す構造に照射されている状態を示している。
【0029】
遮光部73間を通過した光Lのうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過した成分の一部は、パッシベーション膜101の表面103や図示しない金属配線、金属電極などにより乱反射される。この乱反射された光L1がフォトダイオード91aに入射して受光されることがある。また、隣り合うフォトダイオード91間を通過する成分の一部がフォトダイオード91の手前の位置で発散する方向に屈折して迷光L2となり斜め横からフォトダイオード91に入射して受光されることがある。これらは受光されるべき光ではなく、よって、ノイズ、DC(直流)成分やクロストークの原因となり、光電式エンコーダの高精度測定の妨げとなる。
【0030】
なお、隣り合うフォトダイオード91間の透明電極94上の領域105に金属膜のような光を透過しない膜を形成すれば、遮光部73間を通過した光Lがフォトダイオード91間を通過するのを防ぐことができる。これにより、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射するのを防止できる。しかし、領域105に上記金属膜を形成すると、金属膜のパターンニングの精度が悪い場合、この金属膜を介して隣り合うフォトダイオード91がショートすることがある。
【0031】
これに対して、図2に示すように、本実施形態に係る光電式エンコーダ21は、レンズ95を備えている。よって、光源部(図1に示す発光ダイオード3およびインデックススケール5)からの光Lが図2に示す構造に照射されている状態は図6に示すようになる。ここで、各レンズ95は、複数の遮光部73で構成される光学格子(図1の光学格子75)に照射された光Lのうち隣り合うフォトダイオード91間を通過する光(光束)Bが対応する光通過部90(例えば光通過部90a)を通過するように、焦点が設定されている。
【0032】
ここで、本実施形態に係る光電式エンコーダ1において、例えば、受光アレイ9とスケール7との相対的位置が図7に示すような状態で、光源部からの光Lがスケール7に照射された場合を考察する。遮光部73間を通過した光Lのうち、隣り合うフォトダイオード91間を通過する成分はレンズ95により集束されて、その成分の束は光通過部90を通過する。この通過した光の一部はパッシベーション膜101の表面103などにより乱反射(乱反射光L1)される。表面103とフォトダイオード91との間には遮光膜99が配置、言い換えれば、スケール7の側からみてフォトダイオード91よりも後ろ側に遮光膜99が配置されているので、乱反射光L1の多くは遮光膜99で反射される。よって、フォトダイオード91に入射する乱反射光L1を低減することができる。
【0033】
また、図1に示すように、レンズアレイ97は、光学格子75の位置と複数のフォトダイオード91がアレイ状に配置された位置との間の光路上に配置されている。よって、隣り合うフォトダイオード91間を通過する光を、フォトダイオード91の位置より手前の位置でレンズ95により集束させることができる。よって、図5で説明した迷光L2を低減することができる。
【0034】
以上により、本実施形態によれば、乱反射光L1や迷光L2がフォトダイオード91に受光されるのを低減できるので、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。これにより、フォトダイオード91で発生する電気信号の特性を向上させることができる。この結果、光電式エンコーダの測定性能が向上することにより高精度測定が可能となる。
【0035】
また、図2に示すように、本実施形態では、隣り合う遮光膜99間である光通過部90の幅W1は、隣り合うフォトダイオード91間の領域105の幅W2より小さくされている。これにより、遮光膜99の面積を大きくすることにより、上記乱反射光L1がフォトダイオード91に受光されるのを防ぐ効果を大きくしている。
【0036】
なお、図3に示すように、本実施形態においては、複数の遮光膜99を形成し、隣り合う遮光膜99間を光通過部90としている。光通過部90は、スケール7の側からみて遮光膜99よりも奥、つまり後ろ側の位置に光を導く機能を有すればよい。したがって、例えば、図3に示す横方向に並ぶ複数の遮光膜99を一枚の遮光膜とし、この遮光膜にスリット状の複数の光通過部を形成したものについても、本発明を適用することができる。また、図2に示すように本実施形態では複数の遮光膜99が同じ層に形成されているが、隣り合う遮光膜99を同じ層に形成せずに異なる層に配置した場合についても本発明を適用することができる。
【0037】
さらに、図6に示すように、本実施形態では、レンズ95の焦点Fは光通過部90に合わされている。これによりレンズ95で集束された光Lの束Bがフォトダイオード91および遮光膜99に当たることなく、光通過部90を通過するようにしている。ここで、光通過部90とは隣り合う遮光膜99間の空間であり、高さが遮光膜99の厚みの大きさである。焦点Fの位置は図8や図9に示すように光通過部90の外であってもよい。図8は、焦点Fがレンズ95からみて光通過部90の手前にある例であり、図9は、後ろ側にある例である。いずれの例もレンズ95で集束された光束Bがフォトダイオード91および遮光膜99に当たることなく、光通過部90を通過している。
【0038】
次に、本実施形態に係る受光アレイの製造方法を説明する。図10〜図14はこれを説明する工程図である。まず、図10に示すように、透明基板92の一方の面上に例えばCVDを用いてITOからなる透明電極94を形成する。透明電極94上に複数のフォトダイオード91をリニヤ状(アレイ状の一例)に形成し、複数のフォトダイオード91を覆うように、例えばCVDを用いてシリコン酸化膜からなる透明層間絶縁膜96を形成する。
【0039】
次に、図11に示すように、透明基板92の透明電極94が形成された一方の面と反対側に位置する透明基板92の他方の面上の全面にレンズアレイとなるBPSG膜109(透明膜の一例)をCVD法により形成する。BPSG膜109の膜厚はレンズアレイを構成するレンズの厚みに必要な大きさである。レンズアレイの材料となるものであればBPSG膜109の替わりに他のシリコン酸化膜系の材料でもよく、また樹脂系の材料など透明な一般的な材料でもよい。そして、BPSG膜109上にネガ型フォトレジスト111を形成する。
【0040】
次に、複数のフォトダイオード91をマスクとして透明基板92のフォトダイオード91が形成された面(一方の面)側から露光用の光lを照射する。これにより、ネガ型フォトレジスト111のうち、隣り合うフォトダイオード91間の上に位置するものは感光し、フォトダイオード91上に位置するものは未感光となる。フォトダイオード91をマスクとしているので、アライメント精度の誤差を生じることなく上記露光ができる。
【0041】
次に、図12に示すように、ネガ型フォトレジスト111のうち未感光の部分、つまり、フォトダイオード91上のネガ型フォトレジスト111を除去する。そして、ネガ型フォトレジスト111をマスクとして、ドライエッチングまたはウエットエッチングによりBPSG膜109を選択的に除去する。これにより、隣り合うフォトダイオード91間に位置する領域105と対向する透明基板92の他方の面上の領域107にBPSG膜109が残る。
【0042】
次に、図13に示すように、マスクとして用いたBPSG膜109上のネガ型フォトレジスト111を除去する。そして、BPSG膜109を所定の温度でリフロー加工する。これにより、レンズアレイを構成する複数のレンズ95の各々を、それに対応する透明基板92の他方の面上の領域107の各々に形成する。
リフローの替わりにウエットエッチングでレンズ95を形成することもできる。
【0043】
次に、図14に示すように、透明層間絶縁膜96上に例えばスパッタリングによりアルミニウム膜を形成して、フォトリソグラフィとエッチングにより遮光膜99をパターニングする。このとき、図3に示す配線膜98も同時に形成する。
そして、例えばCVDを用いてパッシベーション膜101を遮光膜99や配線膜98を覆うように形成する。以上により受光アレイ9が完成する。
【0044】
図11〜図13で説明したように、この製造方法によれば、フォトダイオード91に対してレンズ95を自己整合的に形成しているので、レンズ95の形成の際にはアライメント誤差が生じることはない。よって、アライメント誤差が原因となる受光アレイ9の歩留まりの低下を防止できる。また、上記自己整合により、レンズ95を形成するための位置合わせ工程が不要となるので、簡単な製造設備でレンズ95を形成することができる。
【0045】
また、本実施形態では遮光膜99を配線膜98と同じ層に形成することにより、遮光膜99の形成工程と配線膜98の形成工程を同じにすることができ、受光アレイ9の製造工程の簡略化を図ることができる。なお、遮光膜99を配線膜98と異なる層に形成することもできる。
【0046】
次に、本実施形態の変形例を説明する。図15は、この変形例に係る光電式エンコーダを構成する受光アレイ11の部分断面図である。図2に示す受光アレイ9の構成要素と同一の要素については同一符号を付すことにより説明を省略する。図15に示す変形例では、透明基板92の同一面側にフォトダイオード91およびレンズ95が形成されている。詳しくは、隣り合うフォトダイオード91間の領域105に、その凸部が遮光膜99側を向くレンズ95が形成されている。
【0047】
図15に示す受光アレイ11では、本実施形態の受光アレイ9(図7参照)と同様にレンズ95により、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射するのを低減することができる。よって、乱反射光L1がフォトダイオード91に入射することが原因となるノイズ、DC(直流)成分やクロストークの発生を抑制することができるので、光電式エンコーダの高精度測定が可能となる。但し、変形例ではレンズ95が領域105に配置されている。つまり、スケール7の光学格子75(図1参照)の位置とフォトダイオード91がアレイ状に配置された位置との間の光路上に、レンズ95が配置されていない。このため、迷光L2(図5参照)がフォトダイオード91に入射するのを防止する効果は生じない。
【0048】
次に、変形例に係る受光アレイ11の製造方法を説明する。図16〜図19はこれを説明する工程図である。まず、図16に示すように、フォトダイオード91の形成工程までは図10で説明したとおりである。フォトダイオード91の形成後、複数のフォトダイオード91を覆うように、レンズアレイとなるBPSG膜113(透明膜の一例)をCVD法により形成する。BPSG膜113の膜厚はレンズアレイを構成するレンズの厚みに必要な大きさである。そして、BPSG膜113上にネガ型フォトレジスト115を形成する。
【0049】
次に、図17に示すように、複数のフォトダイオード91をマスクとして透明基板71のフォトダイオード91が形成された面と反対の面(他方の面)側から露光用の光lを照射する。これにより、ネガ型フォトレジスト115のうち、フォトダイオード91間の上に位置するものは感光し、フォトダイオード91上に位置するものは未感光となる。フォトダイオード91をマスクとしているので、図11と同様にアライメント精度の誤差を生じることなく上記露光ができる。
【0050】
次に、図18に示すように、ネガ型フォトレジスト115のうち未感光の部分、つまり、フォトダイオード91上のネガ型フォトレジスト115を除去する。
そして、ネガ型フォトレジスト115をマスクとして、ドライエッチングまたはウエットエッチングによりBPSG膜113を選択的に除去する。これにより、隣り合うフォトダイオード91間に位置する領域105にBPSG膜113が残る。
【0051】
次に、図19に示すように、マスクとして用いたBPSG膜113上のネガ型フォトレジスト115を除去する。そして、BPSG膜113を所定の温度でリフロー加工する。これにより、レンズアレイを構成する複数のレンズ95の各々を、それに対応する領域105の各々に形成する。そして、図13および図14で説明した透明層間絶縁膜96の形成工程、遮光膜99の形成工程、パッシベーション膜101の形成工程を経て、図15に示す受光アレイ11が完成する。
【0052】
図16〜図19で説明したように、この製造方法によれば、フォトダイオード91に対してレンズ95を自己整合的に形成している。よって、図10〜図14に示す製造方法と同様に、アライメント誤差が原因となる受光アレイ11の歩留まりの低下を防止でき、また、簡単な製造設備でレンズ95を形成することができる。
【0053】
また、変形例の製造方法によれば、フォトダイオード91およびレンズ95を透明基板92の同一面側に形成している。よって、受光アレイ11の製造工程において透明基板92の反対側の面を製造装置の台に載置して受光アレイ11の製造をすることができる。これにより、フォトダイオード91やレンズ95が製造装置の台と接触することによるフォトダイオード91やレンズ95の破損を防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る光電式エンコーダによれば、乱反射光が受光素子に受光されるのを低減できるので、ノイズ、DC成分およびクロストークなどを抑制することができる。この結果、光電式エンコーダの測定性能を向上させることができる。
【0055】
本発明に係る受光アレイの製造方法によれば、受光アレイの複数の受光素子の配置された面と対向する面にレンズアレイが配置された構造の受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができるので、アライメント精度の誤差なくレンズアレイと受光素子とを形成することができる。
【0056】
本発明に係る受光アレイの他の製造方法によれば、レンズアレイおよび複数の受光素子が透明基板の同一面側に配置されている受光アレイを製造することができる。また、この製造方法によれば、受光素子に対してレンズアレイを構成するレンズを自己整合的に形成することができるので、アライメント精度の誤差なくレンズアレイと受光素子とを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光電式エンコーダの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る光電式エンコーダの受光アレイおよびスケールの部分断面図である。
【図3】図2に示す受光アレイを遮光膜側から見た部分平面図である。
【図4】図2に示す受光アレイをレンズ側から見た部分平面図である。
【図5】比較例に係る光電式エンコーダの受光アレイおよびスケールの部分断面図である。
【図6】図2に示す構造に光源部からの光が照射されている状態を示す図である。
【図7】光源部から照射された光により図2に示す構造に発生する乱反射光の状態を示す図である。
【図8】図2に示す受光アレイのレンズにより集束される光の焦点の位置の他の例を示す図である。
【図9】図2に示す受光アレイのレンズにより集束される光の焦点の位置のさらに他の例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第1工程を示す工程図である。
【図11】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第2工程を示す工程図である。
【図12】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第3工程を示す工程図である。
【図13】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第4工程を示す工程図である。
【図14】本実施形態に係る受光アレイの製造方法の第5工程を示す工程図である。
【図15】本実施形態の変形例に係る光電式エンコーダの受光アレイの部分断面図である。
【図16】変形例に係る受光アレイの製造方法の第1工程を示す工程図である。
【図17】変形例に係る受光アレイの製造方法の第2工程を示す工程図である。
【図18】変形例に係る受光アレイの製造方法の第3工程を示す工程図である。
【図19】変形例に係る受光アレイの製造方法の第4工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1・・・光電式エンコーダ、3・・・発光ダイオード、5・・・インデックススケール、7・・・スケール、9,11・・・受光アレイ、51・・・透明基板、53・・・光学格子、55・・・遮光部、71・・・透明基板、73・・・遮光部、75・・・光学格子、90・・・光通過部、91・・・フォトダイオード、92・・・透明基板、93・・・透明部材、94・・・透明電極、95・・・レンズ、96・・・透明層間絶縁膜、97・・・レンズアレイ、98・・・配線膜、99・・・遮光膜、101・・・パッシベーション膜、103・・・表面、105,107・・・領域、109・・・BPSG膜、111・・・ネガ型フォトレジスト、113・・・BPSG膜、115・・・ネガ型フォトレジスト、117・・・面
Claims (6)
- 光源部と、
前記光源部からの光が照射される光学格子を含むスケールと、
アレイ状に配置された複数の受光素子を含むと共に前記スケールとギャップを設けて相対移動可能に配置された受光アレイと、
を備え、
前記受光アレイは、前記スケールの側からみて前記複数の受光素子の後ろ側に配置された遮光膜を含むと共に前記スケールの側からみて前記遮光膜の後ろ側に光を導くための複数の光通過部が形成されており、
前記受光アレイは、前記光学格子に照射された光のうち前記複数の受光素子の隣り合う受光素子間を通過する光が、前記複数の光通過部のうち対応する光通過部を通過するように焦点設定されたレンズが集まることにより構成されたレンズアレイを、さらに含むことを特徴とする光電式エンコーダ。 - 前記光通過部の幅は前記隣り合う受光素子間の領域の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光電式エンコーダ。
- 前記レンズアレイは、前記光学格子の位置と前記複数の受光素子がアレイ状に配置された位置との間の光路上に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の光電式エンコーダ。
- 前記遮光膜は、前記複数の受光素子の金属の配線膜と同じ材料で構成されると共にこの配線膜と同じ層に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の光電式エンコーダ。
- 光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、
一方の面上に複数の受光素子がアレイ状に配置された透明基板の他方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、
前記透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、
前記複数の受光素子をマスクとして、前記透明基板の前記一方の面側から露光用の光を前記フォトレジストに照射する工程と、
前記フォトレジストのうち前記複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、
前記フォトレジストをマスクとして、前記透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、前記複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域と対向する前記透明基板の他方の面上の領域に前記透明膜を残す工程と、
選択的除去により残った前記透明膜を加工して、前記レンズアレイを構成するレンズを前記他方の面上の領域に形成する工程と、
前記複数の受光素子を覆うように前記透明基板の前記一方の面上に遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜をパターニングして光通過部を前記隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、
を備えることを特徴とする受光アレイの製造方法。 - 光電式エンコーダを構成する受光アレイの製造方法であって、
透明基板の一方の面上にアレイ状に配置された複数の受光素子を覆うように、前記一方の面上の全面にレンズアレイとなる透明膜を形成する工程と、
前記透明膜上にフォトレジストを形成する工程と、
前記複数の受光素子をマスクとして、前記透明基板の他方の面側から露光用の光を前記フォトレジストに照射する工程と、
前記フォトレジストのうち前記複数の受光素子がマスクとなり感光しなかった部分を除去する工程と、
前記フォトレジストをマスクとして、前記透明膜をエッチングにより選択的に除去することにより、前記複数の受光素子の隣り合う受光素子間の領域に前記透明膜を残す工程と、
選択的除去により残った前記透明膜を加工して、前記レンズアレイを構成するレンズを前記隣り合う受光素子間の領域に形成する工程と、
前記複数の受光素子および前記レンズアレイを覆うように、前記透明基板の前記一方の面上に遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜をパターニングして光通過部を前記隣り合う受光素子間の領域と対向する位置に形成する工程と、
を備えることを特徴とする受光アレイの製造方法。
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JP2002182601A JP2004028666A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 光電式エンコーダおよび受光アレイの製造方法 |
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Cited By (2)
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JP2006093513A (ja) * | 2004-09-27 | 2006-04-06 | Citizen Watch Co Ltd | 光学式変位測長器における受光装置 |
JP2013535695A (ja) * | 2010-08-19 | 2013-09-12 | エレスタ・リレイズ・ゲーエムベーハー | 絶対位置を決定するための位置測定デバイス及び方法 |
-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002182601A patent/JP2004028666A/ja active Pending
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