JP2004028308A - 自動変速機の変速制御装置および変速制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動変速機のハンチング現象を防止する。
【解決手段】変速制御方法は、車速、スロットル開度、変速段およびシフトポジションを検出するステップ(S402)と、6速禁止制御が実行中ではない場合であって(S404にてNO)、実際の変速段が6速ではなく(S406にてNO)、変速線図上は6速を使用する領域であるとき(S410にてYES)、6速禁止制御を実行するステップ(S414)と、6速禁止制御が実行中の場合であって(S404にてYES)、変速線図上は6速を使用する領域にないとき(S408にてNO)、6速禁止制御を解除するステップ(S420)とを含む。
【選択図】 図4
【解決手段】変速制御方法は、車速、スロットル開度、変速段およびシフトポジションを検出するステップ(S402)と、6速禁止制御が実行中ではない場合であって(S404にてNO)、実際の変速段が6速ではなく(S406にてNO)、変速線図上は6速を使用する領域であるとき(S410にてYES)、6速禁止制御を実行するステップ(S414)と、6速禁止制御が実行中の場合であって(S404にてYES)、変速線図上は6速を使用する領域にないとき(S408にてNO)、6速禁止制御を解除するステップ(S420)とを含む。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を制御する技術に関し、特に、運転者のアクセル操作および車両の走行状態に対応して、前進ポジション毎に予め定められた最高変速段への変速を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、Dレンジと呼ばれる最高変速段まで自動変速するポジション、3速まで自動変速する3レンジポジションおよび2速まで自動変速する2レンジポジション等を備えている。また、最近では、前進はDレンジのみを備え、+/−スイッチを用いてアップシフト/ダウンシフトを行なう変速機もある。この自動変速機において、最高変速段は、特に高速走行時の燃費を改善するために、変速比が1よりも小さな変速比を備える。この場合、自動変速機の出力回転数は、入力回転数すなわちエンジンの回転数よりも大きくなる。これにより、車両は、エンジンを高回転させることなく高速で走行できる。
【0003】
自動変速機は、運転者により選択されたシフトポジションにおいて、車両の走行状態(たとえば車速)、運転者の意思(たとえばアクセル開度)および予め設定された変速タイミングに基づいて、自動的に変速する。
【0004】
図5に、前進4段の自動変速機の場合において、運転者が選択するシフトポジションの配列を示す。「D4」、・・・、「1」は、自動変速機のシフトポジションを表わす。シフトポジションの右に、自動変速機が変速するときの変速パターンを示す。運転者がシフトポジションを選択すると、自動変速機は選択された変速段に自動的に切り換わる。たとえば、運転者が「D4」を選択すると、自動変速機は、1速から4速の範囲で、予め設定された変速タイミングに基づいて変速する。
【0005】
図6に、自動変速機が前進4段である場合における、1速から4速の間で変速するタイミングを表わす変速線図を示す。実線は、自動変速機がアップシフトするときに適用される変速線である。一点鎖線は、自動変速機がダウンシフトするときに適用される変速線である。
【0006】
自動変速機の変速段の数が多くなると、この変速線の間隔が小さくなり、アップシフトとダウンシフトの繰り返し、いわゆるシフトのハンチング現象が発生しやすくなる。このシフトのハンチング現象は、たとえば、車両を一定速度で走行させる場合に、道路勾配の変化を駆動力で調整するためのスロットル開度操作により発生する。
【0007】
この問題を解決するために、特開平1−164846号公報は、自動変速機がアップシフトしたとき、所定の時間だけダウンシフトを禁止するダウンシフト禁止回路と、自動変速機がダウンシフトしたとき、所定の時間だけアップシフトを禁止するアップシフト禁止回路とを含む変速制御装置を開示する。
【0008】
この公報に開示された変速制御装置は、自動変速機が変速したとき、次に起こる変速機の動作が変速段を最初の状態に戻す動作であるとき、所定の時間内であれば、2回目の変速を禁止する。これにより、所定の時間におけるアップシフトとダウンシフトの繰り返しを抑制できる。
【0009】
さらに、最近の車両は、付随機能として、スロットルバルブ全閉状態の減速時、触媒の加熱防止と燃料消費の抑制のため、あるいは高速走行時やエンジンの破損防止を目的とした高回転時に燃料の噴射を停止する、いわゆるフューエルカットを採用している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、変速を禁止する従来の技術では、最高変速段を維持することがあり、スロットルバルブを全閉状態にして走行した場合、エンジンの回転数が低回転の状態からさらに低下し、早期にフューエルカット回転数を下回り、フューエルカット状態から復帰することがある。その結果、車両の走行中に燃料噴射を停止する領域(いわゆるフューエルカット領域)が狭くなり、特に、高速走行中の燃料消費を抑制できなくなる。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置および変速制御方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る変速制御装置は、車両の速度を検出するための検出手段と、車両のスロットル開度を検出するための開度検出手段と、検出されたスロットル開度の時間変化率を算出するための算出手段と、車両の速度とスロットル開度とに基づく自動変速機の変速タイミングを表わす情報を記憶するための記憶手段と、シフトポジションを検出するためのシフトポジション検出手段と、自動変速機の現在の変速段を検出するための変速段検出手段と、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出するための変速段算出手段と、算出された変速段が前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速を許可するか否かを判断するための判断手段とを含む。
【0013】
第1の発明によると、変速制御装置は、車両の自動変速機を制御する装置であって、この自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速する。この変速制御装置の変速段算出手段は、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する。判断手段は、変速段がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、たとえば、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも遅いとき(すなわち、アクセルがゆっくりと戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可する。判断手段は、一方、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも速いとき(すなわち、アクセルが急に戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可しない。これにより、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速が制御される。すなわち、アクセルがゆっくりと戻された時には、運転者は巡航走行する意思があると判断され、自動変速機は最高変速段へ変速する。一方、アクセルが急に戻された場合には再加速の意思があると判断され、最高変速段への変速が禁止される。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、最高変速段への変速が禁止されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、フューエルカット状態が維持される。したがって、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供することができる。
【0014】
第2の発明に係る変速制御装置は、第1の発明の構成に加えて、判断手段は、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、自動変速機が現在の変速段から最高変速段へ変速することを一時的に禁止すると判断するための禁止判断手段を含む。
【0015】
第2の発明によると、禁止判断手段は、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、スロットル開度の時間変化率に基づいて、自動変速機が現在の変速段から最高変速段へ変速することを一時的に禁止すると判断する。たとえば、6速の最高変速段を持つ自動変速機において、5速で走行している場合に、スロットル開度の時間変化率に基づいて(たとえば、スロットルが予め定められた速度よりも速く閉じられたとき)、現在の変速段(5速)から最高変速段(6速)への変速が禁止される。すなわち、車両の状態が最高変速段を使用する領域にあっても、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて最高変速段へ変速しない。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、運転者の加速要求が少なくアクセルが速く戻されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供することができる。
【0016】
第3の発明に係る変速制御装置は、第2の発明の構成に加えて、禁止判断手段は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた条件を満足するときには、自動変速機が最高変速段へ変速することを禁止すると判断する。
【0017】
第3の発明によると、禁止判断手段は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた条件を満足するとき(たとえば、運転者が、予め定められた速度より速くアクセルを戻したとき)、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速することを禁止すると判断する。すなわち、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた値以上であるときには、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速しない。したがって、最高変速段へのアップシフトと最高変速段からのダウンシフトによるハンチング現象は発生しない。さらに、運転者の加速要求が少なく、アクセルが速く戻されるときには、最高変速段に変速しないので、エンジンの回転数が低下せず、燃料も噴射されない。
【0018】
第4の発明に係る変速制御装置は、第2の発明の構成に加えて、判断手段は、スロットル開度に基づいて、禁止判断手段による最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断するための解除判断手段をさらに含む。
【0019】
第4の発明によると、解除判断手段は、スロットル開度に基づいて(たとえば、スロットルの開閉の推移に基づいて)、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。すなわち、スロットル開度が予め定められた条件を満足するとき、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止が解除される。最高変速段への変速の一時的な禁止が解除されると、自動変速機は、他の条件(たとえば、自動変速機の作動油の温度が予め定められた温度以上であること)を満たす場合、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速することができる。これにより、自動変速機は、最高変速段に変速する必要があると判断されたときのみ変速し、頻繁な変速を行なわない。
【0020】
第5の発明に係る変速制御装置は、第4の発明の構成に加えて、解除判断手段は、スロットルが予め定められた時間開かれた状態であることを検知したことに応答して、最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。
【0021】
第5の発明によると、解除判断手段は、スロットルが継続して開かれた時間が、予め定められた時間を超えているとき、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。たとえば、加速要求が継続して検出された場合、高速走行を継続する意思があると判断され、その他の条件を満たせば最高変速段に変速するように、変速の禁止が解除される。すなわち、自動変速機は、スロットル開度が予め定められた条件を満足する場合、予め定められた最高変速段へ変速することができる。その結果、高速走行中の燃費を抑制することができる。
【0022】
第6の発明に係る変速制御方法は、車両の速度を検出する検出ステップと、車両のスロットル開度を検出する開度検出ステップと、検出されたスロットル開度の時間変化率を算出する算出ステップと、車両の速度とスロットル開度とに基づく自動変速機の変速タイミングを表わす情報を予め準備する準備ステップと、シフトポジションを検出するシフトポジション検出ステップと、自動変速機の現在の変速段を検出する変速段検出ステップと、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する変速段算出ステップと、算出された変速段が前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速を許可するか否かを判断する判断ステップとを含む。
【0023】
第6の発明によると、変速制御方法は、車両の自動変速機を制御する方法であって、この自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速する。この変速制御方法の変速段算出ステップは、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する。判断ステップは、変速段がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段であって現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、たとえば、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも遅いとき(すなわち、アクセルがゆっくりと戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可する。判断ステップは、その一方、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも速いとき(すなわち、アクセルが急に戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可しない。これにより、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速が制御される。すなわち、アクセルがゆっくりと戻された場合には、運転者は巡航走行する意思があると判断され、自動変速機は最高変速段へ変速する。一方、アクセルが急に戻された場合には、再加速の意思があると判断され、最高変速段への変速が禁止される。これにより、シフトのハンチング現象が防止される。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、最高変速段への変速が禁止されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、フューエルカット状態が維持される。したがって、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには高速走行時の燃費を向上することができる変速制御方法を提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0025】
図1に、本発明の実施の形態に係る変速制御装置を含む、自動変速システムの制御ブロック図を示す。この車両は、エンジン100、車速センサ102、スロットルポジションセンサ104、シフトポジションセンサ108、ECT(Electronically Controlled Automatic Transmission)_ECU(Electronic Control Unit)112、自動変速機114を含む。
【0026】
エンジン100とECT_ECU112とは、スロットルポジションセンサ104を介して接続される。車速センサ102、スロットルポジションセンサ104およびシフトポジションセンサ108は、ECT_ECU112に接続される。ECT_ECU112は、自動変速機114に接続される。ECT_ECU112は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを含む。
【0027】
ECT_ECU112は、車速センサ102を介して車両の速度を検出する。ECT_ECU112は、スロットルポジションセンサ104を介してアクセル開度を検出する。ECT_ECU112は、シフトポジションセンサ108を介して運転者が選択したシフトポジションを検出する。ECT_ECU112は、車速、スロットル開度および変速タイミングを用いて、自動変速機114の変速段を算出する。
【0028】
ECT_ECU112は、車速およびスロットル開度から特定される変速タイミングを予めメモリに記憶する。このメモリは、自動変速機114がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段(たとえば6速)への変速を禁止されているか否かを表わすフラグを記憶する。このフラグは、たとえば、6速への変速が禁止されているときは「1」となり、6速への変速が禁止されていないときは「0」となる。
【0029】
ECT_ECU112は、車速、スロットル開度の時間変化率、変速タイミング、自動変速機114の現在の変速段およびシフトポジションに基づいて、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速を制御する。たとえば、現在の変速段が5速であり、シフトポジションから算出される変速段が6速であるときでも、ECT_ECU112は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、6速への変速を禁止する。その結果、たとえ、車速およびスロットル開度から判断すると、自動変速機114は6速を使用する状況であるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。
【0030】
ECT_ECU112は、車速、スロットル開度の時間変化率、変速タイミング、自動変速機114の現在の変速段およびシフトポジションに基づいて、禁止されていた最高変速段への変速を解除する。たとえば、現在の変速段が5速であり、シフトポジションから算出される変速段が6速であり、スロットル開度が予め定められた時間開いている場合、ECT_ECU112は、一時的に禁止していた6速への変速を解除する。その結果、自動変速機114は、その他の条件を満たすと(たとえば、自動変速機114の作動油の温度が予め定められた温度以上であるとき)、6速に変速する。
【0031】
図2に、自動変速機114が前進6段である場合における、シフトポジションの配列を示す。「D6」、・・・、「1」は、自動変速機114のシフトポジションを表わす。シフトポジションの右に、自動変速機が変速するときの変速パターンを示す。運転者がシフトポジションを選択すると、自動変速機は選択されたシフトポジションの範囲内で自動的に変速する。たとえば、運転者が「D6」のシフトポジションを選択すると、自動変速機は、1速から6速の範囲で、後述する変速タイミングに従って変速する。
【0032】
図3に、自動変速機114が前進6段である場合における、5速と6速との間での変速タイミングを表わす変速線図を示す。実線は、自動変速機が5速から6速に変速するときに適用される変速線である。一点鎖線は、自動変速機が6速から5速に変速するときに適用される変速線である。
【0033】
図3を参照して、自動変速機114がアップシフトする場合について、説明する。運転者が車両のアクセルを踏みつづけると、スロットルは一定の開度が維持され、車速は増加する。車速が増加して、図3に示された実線の変速線を左から右に横切ると、自動変速機114は、5速から6速に変速する。また、車速が一定であるとき、運転者がアクセルを戻すことによりスロットル開度が小さくなると、図3に示された実線の変速線を上から下に横切る。これにより、自動変速機114は、5速から6速に変速する。なお、自動変速機114は、1速から5速の間においても同様に変速するので、この範囲における動作の説明は繰り返さない。
【0034】
図3を参照して、自動変速機114がダウンシフトする場合について、説明する。一定のスロットル開度で走行していた車両が、登りの勾配により減速すると、車両の状態は、図3に示された変速線図上においては、一点鎖線で表わされた変速線を右から左に横切ることになる。変速線を左に横切ると、自動変速機114は、6速から5速に変速する。また、車速が一定であるときに、運転者がアクセルを踏むことによりスロットル開度が大きくなると、実線の変速線を下から上に横切る。これにより、自動変速機114は、6速から5速に変速する。なお、自動変速機114は、1速から5速の間においても同様に変速するので、この範囲における動作の説明は繰り返さない。
【0035】
図4を参照して、自動変速機114が前進6段である場合において、本実施の形態に係る自動変速システムが、6速への変速を制御する手順を、フローチャートを用いて説明する。
【0036】
ステップ402(以下、ステップをSと略す。)にて、ECT_ECU112は、車速センサ102を介して車速を検出する。ECT_ECU112は、スロットルポジションセンサ104を介してスロットル開度を検出する。ECT_ECU112は、シフトポジションセンサ108を介して運転者に選択されたシフトポジションを検出する。
【0037】
S404にて、ECT_ECU112は、自動変速機114を6速に変速することを禁止する制御が実行中であるか否かを判断する。このとき、ECT_ECU112は、たとえば、メモリに記憶された、6速に変速することを禁止する制御が実行中であることを表わすフラグが「1」であるか「0」であるかを判断する。6速に変速することを禁止する制御が実行中(たとえば、フラグが「1」)であるとき(S404にてYES)、処理はS408に移される。そうではない(たとえば、フラグが「0」である)とき(S404にてNO)、処理はS406に移される。
【0038】
S406にて、ECT_ECU112は、自動変速機114の現在の変速段が6速であるか否かを判断する。自動変速機114の現在の変速段が6速であるとき(S406にてYES)、処理はS402に戻される。そうではないとき(S406にてNO)、処理はS410に移される。
【0039】
S408にて、ECT_ECU112は、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かを判断する。この判断は、たとえば、車速およびスロットル開度に基づいて算出される変速段が、変速線図において、6速の変速段を使用する領域に含まれるか否かにより行なわれる。車両の状態が、変速線図上における、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、処理はS412に移される。そうではないとき(S408にてNO)、処理はS420に移される。
【0040】
S410にて、ECT_ECU112は、アクセルが戻される速度が予め定められた値より速く、かつ、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるか否かを判断する。アクセルが戻される速度が予め定められた値より速く、かつ、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S410にてYES)、処理はS414に移される。そうではないとき(S410にてNO)、処理はS402に戻される。
【0041】
S412にて、ECT_ECU112は、運転者によりアクセルが踏まれている状態であるか否かを判断する。この判断は、たとえばアイドル接点がオンであるか否かを検出することにより行なわれる。アクセルが踏まれている状態であるとき(S412にてYES)、処理はS416に移される。そうではないとき(S412にてNO)、処理はS414に移される。
【0042】
S414にて、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御を実行する。これにより、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあっても、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速に変速する指示を出力しない。その結果、自動変速機114は6速に変速しない。ECT_ECU112は、スロットルが開いた状態にある時間を計測するカウンタCを初期化する。その後、処理はS402に戻される。
【0043】
S416にて、ECT_ECU112は、カウンタCを1だけ増加する。その後、処理はS418に移される。S418にて、ECT_ECU112は、カウンタCの値が、予め定められた値よりも大きいか否かを判断する。このカウンタの値は、アクセルが開いた状態がどの程度継続しているかを表わす。カウンタCの値が、予め定められた値よりも大きいとき(S418にてYES)、処理はS420に移される。そうではないとき(S418にてNO)、処理はS402に戻される。
【0044】
S420にて、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速に変速することを禁止する制御を解除する。これにより、他の条件を満たすと、たとえば車速およびスロットル開度に基づいて特定される領域が6速の変速段を使用する領域になったとき、自動変速機114は、ECT_ECU112の指示に基づいて、6速に変速できる。
【0045】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る自動変速システムの動作を、場合を分けて説明する。運転者により6速のシフトポジションを選択された車両が、5速の変速段を使用して高速走行中である場合について説明する。
【0046】
[6速への変速を禁止する制御の開始]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションが検出される(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行されている。この処理が開始されると、自動変速機114が6速へ変速すること禁止する制御が実行中であるか否かが、メモリに記憶されたフラグに基づいて判断される(S404)。
【0047】
6速への変速を禁止する制御が実行中ではない(すわなち、フラグが「0」である)とき(S404にてNO)、自動変速機114の現在の変速段が6速であるか否かが判断される(S406)。自動変速機114の現在の変速段が6速ではないとき(S406にてNO)、運転者がアクセルを予め定められた速度よりも早く戻し、かつ、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S410)。
【0048】
運転者がアクセルを予め定められた速度よりも速く戻し、かつ、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S410にてYES)、自動変速機114が6速へ変速することが禁止される(S414)。これにより、たとえば選択されたシフトポジションが「D6」である場合でも、自動変速機114は、6速に変速しない。
【0049】
このとき、6速への変速を禁止する制御が実行中であることを表わすフラグは「1」となり、メモリに記憶される。アクセルが開いた状態にある時間を計測するカウンタCは、初期化される。
【0050】
[6速への変速禁止の継続]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションが検出される(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行される。この処理が開始されると、メモリに記憶されたフラグに基づいて、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御は、実行中であるか否かが判断される(S404)。
【0051】
6速への変速を禁止する制御が実行中(すなわち、フラグが「0」)であるとき(S404にてYES)、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S408)。この判断は、たとえば車速、スロットル開度および変速タイミングに基づいて行なわれる。
【0052】
車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、運転者はアクセルを踏んでいるか否かが判断される(S412)。
【0053】
運転者はアクセルを踏んでいないとき(S412にてNO)、6速へ変速することを禁止する制御は継続する(S414)。その後、カウンタCの値は初期化される。これにより、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。エンジン100の回転数は低下せず、フューエルカット状態を維持する。その結果、車両は、燃料消費を抑制しながら走行することができる。
【0054】
運転者がアクセルを踏んでいるとき(S412にてYES)、アクセルが開いている時間を計測するためのカウンタCは、1だけ増加される(S416)。その後、アクセルが開いている時間は、予め定められた時間を超えているか否かが判断される(S418)。
【0055】
アクセルが開いている時間が、予め定められた時間を超えていないとき(S418にてNO)、処理はS402に戻される。したがって、6速への変速を禁止する制御は、解除されずに継続する。カウンタCの値は、初期化されない。これにより、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。エンジン100の回転数は低下せず、フューエルカット状態を維持する。その結果、車両は、燃料消費を抑制しながら走行できる。
【0056】
[6速への変速禁止を解除]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションを検出する(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行される。
【0057】
6速への変速を禁止する制御が実行中であるとき(S404にてYES)、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S408)。この判断は、たとえば車速およびスロットル開度と、記憶された変速タイミングに基づいて行なわれる。
【0058】
車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、運転者はアクセルを踏んでいるか否かが判断される(S412)。
【0059】
運転者がアクセルを踏んでいるとき(S412にてYES)、アクセルが開いている時間を計測するためのカウンタCは、1だけ増加される(S416)。その後、アクセルが開いている時間は、予め定められた時間を超えているか否かが判断される(S418)。
【0060】
アクセルが開いている時間が、予め定められた時間を超えているとき(S418にてYES)、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御は、解除される(S420)。6速への変速を禁止する制御が実行中であることを表わすフラグは「0」となり、メモリに記憶される。これにより、自動変速機114は、他の条件を満たすことにより、6速への変速が可能となる。
【0061】
以上のようにして、車速、スロットル開度、スロットル開度の時間変化率、シフトポジションおよび現在の変速段に基づいて、自動変速機114が、そのシフトポジション毎に予め定められた最高変速段へ変速することを制御できる。その結果、シフトのハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供できる。
【0062】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る変速制御装置を含んだ車両の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自動変速機のシフトポジションの配列である。
【図3】本発明の実施の形態に係る自動変速機による、5速と6速との間における変速タイミングを表わす図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る自動変速システムが行なう処理を表わすフローチャートである。
【図5】従来の自動変速機のシフトポジションの配列である。
【図6】従来の自動変速機による変速タイミングを表わす図である。
【符号の説明】
100 エンジン、102 車速センサ、104 スロットルポジションセンサ、108 シフトポジションセンサ、112 ECT_ECU、114 自動変速機。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を制御する技術に関し、特に、運転者のアクセル操作および車両の走行状態に対応して、前進ポジション毎に予め定められた最高変速段への変速を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、Dレンジと呼ばれる最高変速段まで自動変速するポジション、3速まで自動変速する3レンジポジションおよび2速まで自動変速する2レンジポジション等を備えている。また、最近では、前進はDレンジのみを備え、+/−スイッチを用いてアップシフト/ダウンシフトを行なう変速機もある。この自動変速機において、最高変速段は、特に高速走行時の燃費を改善するために、変速比が1よりも小さな変速比を備える。この場合、自動変速機の出力回転数は、入力回転数すなわちエンジンの回転数よりも大きくなる。これにより、車両は、エンジンを高回転させることなく高速で走行できる。
【0003】
自動変速機は、運転者により選択されたシフトポジションにおいて、車両の走行状態(たとえば車速)、運転者の意思(たとえばアクセル開度)および予め設定された変速タイミングに基づいて、自動的に変速する。
【0004】
図5に、前進4段の自動変速機の場合において、運転者が選択するシフトポジションの配列を示す。「D4」、・・・、「1」は、自動変速機のシフトポジションを表わす。シフトポジションの右に、自動変速機が変速するときの変速パターンを示す。運転者がシフトポジションを選択すると、自動変速機は選択された変速段に自動的に切り換わる。たとえば、運転者が「D4」を選択すると、自動変速機は、1速から4速の範囲で、予め設定された変速タイミングに基づいて変速する。
【0005】
図6に、自動変速機が前進4段である場合における、1速から4速の間で変速するタイミングを表わす変速線図を示す。実線は、自動変速機がアップシフトするときに適用される変速線である。一点鎖線は、自動変速機がダウンシフトするときに適用される変速線である。
【0006】
自動変速機の変速段の数が多くなると、この変速線の間隔が小さくなり、アップシフトとダウンシフトの繰り返し、いわゆるシフトのハンチング現象が発生しやすくなる。このシフトのハンチング現象は、たとえば、車両を一定速度で走行させる場合に、道路勾配の変化を駆動力で調整するためのスロットル開度操作により発生する。
【0007】
この問題を解決するために、特開平1−164846号公報は、自動変速機がアップシフトしたとき、所定の時間だけダウンシフトを禁止するダウンシフト禁止回路と、自動変速機がダウンシフトしたとき、所定の時間だけアップシフトを禁止するアップシフト禁止回路とを含む変速制御装置を開示する。
【0008】
この公報に開示された変速制御装置は、自動変速機が変速したとき、次に起こる変速機の動作が変速段を最初の状態に戻す動作であるとき、所定の時間内であれば、2回目の変速を禁止する。これにより、所定の時間におけるアップシフトとダウンシフトの繰り返しを抑制できる。
【0009】
さらに、最近の車両は、付随機能として、スロットルバルブ全閉状態の減速時、触媒の加熱防止と燃料消費の抑制のため、あるいは高速走行時やエンジンの破損防止を目的とした高回転時に燃料の噴射を停止する、いわゆるフューエルカットを採用している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、変速を禁止する従来の技術では、最高変速段を維持することがあり、スロットルバルブを全閉状態にして走行した場合、エンジンの回転数が低回転の状態からさらに低下し、早期にフューエルカット回転数を下回り、フューエルカット状態から復帰することがある。その結果、車両の走行中に燃料噴射を停止する領域(いわゆるフューエルカット領域)が狭くなり、特に、高速走行中の燃料消費を抑制できなくなる。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置および変速制御方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る変速制御装置は、車両の速度を検出するための検出手段と、車両のスロットル開度を検出するための開度検出手段と、検出されたスロットル開度の時間変化率を算出するための算出手段と、車両の速度とスロットル開度とに基づく自動変速機の変速タイミングを表わす情報を記憶するための記憶手段と、シフトポジションを検出するためのシフトポジション検出手段と、自動変速機の現在の変速段を検出するための変速段検出手段と、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出するための変速段算出手段と、算出された変速段が前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速を許可するか否かを判断するための判断手段とを含む。
【0013】
第1の発明によると、変速制御装置は、車両の自動変速機を制御する装置であって、この自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速する。この変速制御装置の変速段算出手段は、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する。判断手段は、変速段がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、たとえば、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも遅いとき(すなわち、アクセルがゆっくりと戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可する。判断手段は、一方、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも速いとき(すなわち、アクセルが急に戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可しない。これにより、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速が制御される。すなわち、アクセルがゆっくりと戻された時には、運転者は巡航走行する意思があると判断され、自動変速機は最高変速段へ変速する。一方、アクセルが急に戻された場合には再加速の意思があると判断され、最高変速段への変速が禁止される。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、最高変速段への変速が禁止されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、フューエルカット状態が維持される。したがって、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供することができる。
【0014】
第2の発明に係る変速制御装置は、第1の発明の構成に加えて、判断手段は、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、自動変速機が現在の変速段から最高変速段へ変速することを一時的に禁止すると判断するための禁止判断手段を含む。
【0015】
第2の発明によると、禁止判断手段は、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、スロットル開度の時間変化率に基づいて、自動変速機が現在の変速段から最高変速段へ変速することを一時的に禁止すると判断する。たとえば、6速の最高変速段を持つ自動変速機において、5速で走行している場合に、スロットル開度の時間変化率に基づいて(たとえば、スロットルが予め定められた速度よりも速く閉じられたとき)、現在の変速段(5速)から最高変速段(6速)への変速が禁止される。すなわち、車両の状態が最高変速段を使用する領域にあっても、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて最高変速段へ変速しない。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、運転者の加速要求が少なくアクセルが速く戻されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供することができる。
【0016】
第3の発明に係る変速制御装置は、第2の発明の構成に加えて、禁止判断手段は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた条件を満足するときには、自動変速機が最高変速段へ変速することを禁止すると判断する。
【0017】
第3の発明によると、禁止判断手段は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた条件を満足するとき(たとえば、運転者が、予め定められた速度より速くアクセルを戻したとき)、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速することを禁止すると判断する。すなわち、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率が予め定められた値以上であるときには、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速しない。したがって、最高変速段へのアップシフトと最高変速段からのダウンシフトによるハンチング現象は発生しない。さらに、運転者の加速要求が少なく、アクセルが速く戻されるときには、最高変速段に変速しないので、エンジンの回転数が低下せず、燃料も噴射されない。
【0018】
第4の発明に係る変速制御装置は、第2の発明の構成に加えて、判断手段は、スロットル開度に基づいて、禁止判断手段による最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断するための解除判断手段をさらに含む。
【0019】
第4の発明によると、解除判断手段は、スロットル開度に基づいて(たとえば、スロットルの開閉の推移に基づいて)、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。すなわち、スロットル開度が予め定められた条件を満足するとき、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止が解除される。最高変速段への変速の一時的な禁止が解除されると、自動変速機は、他の条件(たとえば、自動変速機の作動油の温度が予め定められた温度以上であること)を満たす場合、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段に変速することができる。これにより、自動変速機は、最高変速段に変速する必要があると判断されたときのみ変速し、頻繁な変速を行なわない。
【0020】
第5の発明に係る変速制御装置は、第4の発明の構成に加えて、解除判断手段は、スロットルが予め定められた時間開かれた状態であることを検知したことに応答して、最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。
【0021】
第5の発明によると、解除判断手段は、スロットルが継続して開かれた時間が、予め定められた時間を超えているとき、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速の一時的な禁止を解除すると判断する。たとえば、加速要求が継続して検出された場合、高速走行を継続する意思があると判断され、その他の条件を満たせば最高変速段に変速するように、変速の禁止が解除される。すなわち、自動変速機は、スロットル開度が予め定められた条件を満足する場合、予め定められた最高変速段へ変速することができる。その結果、高速走行中の燃費を抑制することができる。
【0022】
第6の発明に係る変速制御方法は、車両の速度を検出する検出ステップと、車両のスロットル開度を検出する開度検出ステップと、検出されたスロットル開度の時間変化率を算出する算出ステップと、車両の速度とスロットル開度とに基づく自動変速機の変速タイミングを表わす情報を予め準備する準備ステップと、シフトポジションを検出するシフトポジション検出ステップと、自動変速機の現在の変速段を検出する変速段検出ステップと、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する変速段算出ステップと、算出された変速段が前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速を許可するか否かを判断する判断ステップとを含む。
【0023】
第6の発明によると、変速制御方法は、車両の自動変速機を制御する方法であって、この自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速する。この変速制御方法の変速段算出ステップは、車両の速度およびスロットル開度と、変速タイミングとに基づいて変速段を算出する。判断ステップは、変速段がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段であって現在の変速段が最高変速段と異なる場合には、たとえば、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも遅いとき(すなわち、アクセルがゆっくりと戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可する。判断ステップは、その一方、スロットル開度の時間変化が予め定められた速度よりも速いとき(すなわち、アクセルが急に戻されたとき)、現在の変速段から最高変速段への変速を許可しない。これにより、自動変速機は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、現在の変速段から最高変速段への変速が制御される。すなわち、アクセルがゆっくりと戻された場合には、運転者は巡航走行する意思があると判断され、自動変速機は最高変速段へ変速する。一方、アクセルが急に戻された場合には、再加速の意思があると判断され、最高変速段への変速が禁止される。これにより、シフトのハンチング現象が防止される。したがって、最高変速段へのアップシフトおよび最高変速段からのダウンシフトが繰り返されることによるハンチング現象は発生しない。さらに、最高変速段への変速が禁止されると、エンジンの回転数はフューエルカットが解除される回転数まで低下せず、フューエルカット状態が維持される。したがって、燃料も噴射されない。その結果、自動変速機のハンチング現象を防止し、さらには高速走行時の燃費を向上することができる変速制御方法を提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0025】
図1に、本発明の実施の形態に係る変速制御装置を含む、自動変速システムの制御ブロック図を示す。この車両は、エンジン100、車速センサ102、スロットルポジションセンサ104、シフトポジションセンサ108、ECT(Electronically Controlled Automatic Transmission)_ECU(Electronic Control Unit)112、自動変速機114を含む。
【0026】
エンジン100とECT_ECU112とは、スロットルポジションセンサ104を介して接続される。車速センサ102、スロットルポジションセンサ104およびシフトポジションセンサ108は、ECT_ECU112に接続される。ECT_ECU112は、自動変速機114に接続される。ECT_ECU112は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを含む。
【0027】
ECT_ECU112は、車速センサ102を介して車両の速度を検出する。ECT_ECU112は、スロットルポジションセンサ104を介してアクセル開度を検出する。ECT_ECU112は、シフトポジションセンサ108を介して運転者が選択したシフトポジションを検出する。ECT_ECU112は、車速、スロットル開度および変速タイミングを用いて、自動変速機114の変速段を算出する。
【0028】
ECT_ECU112は、車速およびスロットル開度から特定される変速タイミングを予めメモリに記憶する。このメモリは、自動変速機114がシフトポジション毎に予め定められた最高変速段(たとえば6速)への変速を禁止されているか否かを表わすフラグを記憶する。このフラグは、たとえば、6速への変速が禁止されているときは「1」となり、6速への変速が禁止されていないときは「0」となる。
【0029】
ECT_ECU112は、車速、スロットル開度の時間変化率、変速タイミング、自動変速機114の現在の変速段およびシフトポジションに基づいて、シフトポジション毎に予め定められた最高変速段への変速を制御する。たとえば、現在の変速段が5速であり、シフトポジションから算出される変速段が6速であるときでも、ECT_ECU112は、スロットル開度の時間変化率に基づいて、6速への変速を禁止する。その結果、たとえ、車速およびスロットル開度から判断すると、自動変速機114は6速を使用する状況であるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。
【0030】
ECT_ECU112は、車速、スロットル開度の時間変化率、変速タイミング、自動変速機114の現在の変速段およびシフトポジションに基づいて、禁止されていた最高変速段への変速を解除する。たとえば、現在の変速段が5速であり、シフトポジションから算出される変速段が6速であり、スロットル開度が予め定められた時間開いている場合、ECT_ECU112は、一時的に禁止していた6速への変速を解除する。その結果、自動変速機114は、その他の条件を満たすと(たとえば、自動変速機114の作動油の温度が予め定められた温度以上であるとき)、6速に変速する。
【0031】
図2に、自動変速機114が前進6段である場合における、シフトポジションの配列を示す。「D6」、・・・、「1」は、自動変速機114のシフトポジションを表わす。シフトポジションの右に、自動変速機が変速するときの変速パターンを示す。運転者がシフトポジションを選択すると、自動変速機は選択されたシフトポジションの範囲内で自動的に変速する。たとえば、運転者が「D6」のシフトポジションを選択すると、自動変速機は、1速から6速の範囲で、後述する変速タイミングに従って変速する。
【0032】
図3に、自動変速機114が前進6段である場合における、5速と6速との間での変速タイミングを表わす変速線図を示す。実線は、自動変速機が5速から6速に変速するときに適用される変速線である。一点鎖線は、自動変速機が6速から5速に変速するときに適用される変速線である。
【0033】
図3を参照して、自動変速機114がアップシフトする場合について、説明する。運転者が車両のアクセルを踏みつづけると、スロットルは一定の開度が維持され、車速は増加する。車速が増加して、図3に示された実線の変速線を左から右に横切ると、自動変速機114は、5速から6速に変速する。また、車速が一定であるとき、運転者がアクセルを戻すことによりスロットル開度が小さくなると、図3に示された実線の変速線を上から下に横切る。これにより、自動変速機114は、5速から6速に変速する。なお、自動変速機114は、1速から5速の間においても同様に変速するので、この範囲における動作の説明は繰り返さない。
【0034】
図3を参照して、自動変速機114がダウンシフトする場合について、説明する。一定のスロットル開度で走行していた車両が、登りの勾配により減速すると、車両の状態は、図3に示された変速線図上においては、一点鎖線で表わされた変速線を右から左に横切ることになる。変速線を左に横切ると、自動変速機114は、6速から5速に変速する。また、車速が一定であるときに、運転者がアクセルを踏むことによりスロットル開度が大きくなると、実線の変速線を下から上に横切る。これにより、自動変速機114は、6速から5速に変速する。なお、自動変速機114は、1速から5速の間においても同様に変速するので、この範囲における動作の説明は繰り返さない。
【0035】
図4を参照して、自動変速機114が前進6段である場合において、本実施の形態に係る自動変速システムが、6速への変速を制御する手順を、フローチャートを用いて説明する。
【0036】
ステップ402(以下、ステップをSと略す。)にて、ECT_ECU112は、車速センサ102を介して車速を検出する。ECT_ECU112は、スロットルポジションセンサ104を介してスロットル開度を検出する。ECT_ECU112は、シフトポジションセンサ108を介して運転者に選択されたシフトポジションを検出する。
【0037】
S404にて、ECT_ECU112は、自動変速機114を6速に変速することを禁止する制御が実行中であるか否かを判断する。このとき、ECT_ECU112は、たとえば、メモリに記憶された、6速に変速することを禁止する制御が実行中であることを表わすフラグが「1」であるか「0」であるかを判断する。6速に変速することを禁止する制御が実行中(たとえば、フラグが「1」)であるとき(S404にてYES)、処理はS408に移される。そうではない(たとえば、フラグが「0」である)とき(S404にてNO)、処理はS406に移される。
【0038】
S406にて、ECT_ECU112は、自動変速機114の現在の変速段が6速であるか否かを判断する。自動変速機114の現在の変速段が6速であるとき(S406にてYES)、処理はS402に戻される。そうではないとき(S406にてNO)、処理はS410に移される。
【0039】
S408にて、ECT_ECU112は、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かを判断する。この判断は、たとえば、車速およびスロットル開度に基づいて算出される変速段が、変速線図において、6速の変速段を使用する領域に含まれるか否かにより行なわれる。車両の状態が、変速線図上における、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、処理はS412に移される。そうではないとき(S408にてNO)、処理はS420に移される。
【0040】
S410にて、ECT_ECU112は、アクセルが戻される速度が予め定められた値より速く、かつ、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるか否かを判断する。アクセルが戻される速度が予め定められた値より速く、かつ、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S410にてYES)、処理はS414に移される。そうではないとき(S410にてNO)、処理はS402に戻される。
【0041】
S412にて、ECT_ECU112は、運転者によりアクセルが踏まれている状態であるか否かを判断する。この判断は、たとえばアイドル接点がオンであるか否かを検出することにより行なわれる。アクセルが踏まれている状態であるとき(S412にてYES)、処理はS416に移される。そうではないとき(S412にてNO)、処理はS414に移される。
【0042】
S414にて、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御を実行する。これにより、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあっても、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速に変速する指示を出力しない。その結果、自動変速機114は6速に変速しない。ECT_ECU112は、スロットルが開いた状態にある時間を計測するカウンタCを初期化する。その後、処理はS402に戻される。
【0043】
S416にて、ECT_ECU112は、カウンタCを1だけ増加する。その後、処理はS418に移される。S418にて、ECT_ECU112は、カウンタCの値が、予め定められた値よりも大きいか否かを判断する。このカウンタの値は、アクセルが開いた状態がどの程度継続しているかを表わす。カウンタCの値が、予め定められた値よりも大きいとき(S418にてYES)、処理はS420に移される。そうではないとき(S418にてNO)、処理はS402に戻される。
【0044】
S420にて、ECT_ECU112は、自動変速機114が6速に変速することを禁止する制御を解除する。これにより、他の条件を満たすと、たとえば車速およびスロットル開度に基づいて特定される領域が6速の変速段を使用する領域になったとき、自動変速機114は、ECT_ECU112の指示に基づいて、6速に変速できる。
【0045】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る自動変速システムの動作を、場合を分けて説明する。運転者により6速のシフトポジションを選択された車両が、5速の変速段を使用して高速走行中である場合について説明する。
【0046】
[6速への変速を禁止する制御の開始]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションが検出される(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行されている。この処理が開始されると、自動変速機114が6速へ変速すること禁止する制御が実行中であるか否かが、メモリに記憶されたフラグに基づいて判断される(S404)。
【0047】
6速への変速を禁止する制御が実行中ではない(すわなち、フラグが「0」である)とき(S404にてNO)、自動変速機114の現在の変速段が6速であるか否かが判断される(S406)。自動変速機114の現在の変速段が6速ではないとき(S406にてNO)、運転者がアクセルを予め定められた速度よりも早く戻し、かつ、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S410)。
【0048】
運転者がアクセルを予め定められた速度よりも速く戻し、かつ、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S410にてYES)、自動変速機114が6速へ変速することが禁止される(S414)。これにより、たとえば選択されたシフトポジションが「D6」である場合でも、自動変速機114は、6速に変速しない。
【0049】
このとき、6速への変速を禁止する制御が実行中であることを表わすフラグは「1」となり、メモリに記憶される。アクセルが開いた状態にある時間を計測するカウンタCは、初期化される。
【0050】
[6速への変速禁止の継続]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションが検出される(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行される。この処理が開始されると、メモリに記憶されたフラグに基づいて、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御は、実行中であるか否かが判断される(S404)。
【0051】
6速への変速を禁止する制御が実行中(すなわち、フラグが「0」)であるとき(S404にてYES)、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S408)。この判断は、たとえば車速、スロットル開度および変速タイミングに基づいて行なわれる。
【0052】
車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、運転者はアクセルを踏んでいるか否かが判断される(S412)。
【0053】
運転者はアクセルを踏んでいないとき(S412にてNO)、6速へ変速することを禁止する制御は継続する(S414)。その後、カウンタCの値は初期化される。これにより、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。エンジン100の回転数は低下せず、フューエルカット状態を維持する。その結果、車両は、燃料消費を抑制しながら走行することができる。
【0054】
運転者がアクセルを踏んでいるとき(S412にてYES)、アクセルが開いている時間を計測するためのカウンタCは、1だけ増加される(S416)。その後、アクセルが開いている時間は、予め定められた時間を超えているか否かが判断される(S418)。
【0055】
アクセルが開いている時間が、予め定められた時間を超えていないとき(S418にてNO)、処理はS402に戻される。したがって、6速への変速を禁止する制御は、解除されずに継続する。カウンタCの値は、初期化されない。これにより、車両の状態が、変速線図上において6速の変速段を使用する領域にあるときでも、自動変速機114は6速に変速しない。エンジン100の回転数は低下せず、フューエルカット状態を維持する。その結果、車両は、燃料消費を抑制しながら走行できる。
【0056】
[6速への変速禁止を解除]
車両の走行中、車速、スロットル開度および選択されたシフトポジションを検出する(S402)。自動変速機114の変速制御は、予め定められた間隔毎に、たとえば16msec毎に実行される。
【0057】
6速への変速を禁止する制御が実行中であるとき(S404にてYES)、車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるか否かが判断される(S408)。この判断は、たとえば車速およびスロットル開度と、記憶された変速タイミングに基づいて行なわれる。
【0058】
車両の状態が、変速線図上において、6速の変速段を使用する領域にあるとき(S408にてYES)、運転者はアクセルを踏んでいるか否かが判断される(S412)。
【0059】
運転者がアクセルを踏んでいるとき(S412にてYES)、アクセルが開いている時間を計測するためのカウンタCは、1だけ増加される(S416)。その後、アクセルが開いている時間は、予め定められた時間を超えているか否かが判断される(S418)。
【0060】
アクセルが開いている時間が、予め定められた時間を超えているとき(S418にてYES)、自動変速機114が6速へ変速することを禁止する制御は、解除される(S420)。6速への変速を禁止する制御が実行中であることを表わすフラグは「0」となり、メモリに記憶される。これにより、自動変速機114は、他の条件を満たすことにより、6速への変速が可能となる。
【0061】
以上のようにして、車速、スロットル開度、スロットル開度の時間変化率、シフトポジションおよび現在の変速段に基づいて、自動変速機114が、そのシフトポジション毎に予め定められた最高変速段へ変速することを制御できる。その結果、シフトのハンチング現象を防止し、さらには燃費を向上することができる変速制御装置を提供できる。
【0062】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る変速制御装置を含んだ車両の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る自動変速機のシフトポジションの配列である。
【図3】本発明の実施の形態に係る自動変速機による、5速と6速との間における変速タイミングを表わす図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る自動変速システムが行なう処理を表わすフローチャートである。
【図5】従来の自動変速機のシフトポジションの配列である。
【図6】従来の自動変速機による変速タイミングを表わす図である。
【符号の説明】
100 エンジン、102 車速センサ、104 スロットルポジションセンサ、108 シフトポジションセンサ、112 ECT_ECU、114 自動変速機。
Claims (6)
- 車両の自動変速機を制御する変速制御装置であって、前記自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、前記車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速し、前記変速制御装置は、
前記車両の速度を検出するための検出手段と、
前記車両のスロットル開度を検出するための開度検出手段と、
前記検出されたスロットル開度の時間変化率を算出するための算出手段と、
前記車両の速度と前記スロットル開度とに基づく前記自動変速機の変速タイミングを表わす情報を記憶するための記憶手段と、
シフトポジションを検出するためのシフトポジション検出手段と、
前記自動変速機の現在の変速段を検出するための変速段検出手段と
前記車両の速度および前記スロットル開度と、前記変速タイミングとに基づいて変速段を算出するための変速段算出手段と、
前記算出された変速段が前記前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、前記現在の変速段が前記最高変速段と異なる場合には、前記時間変化率に基づいて、前記現在の変速段から前記最高変速段への変速を許可するか否かを判断するための判断手段とを含む、自動変速機の変速制御装置。 - 前記判断手段は、前記現在の変速段から前記最高変速段への変速を禁止すると判断するための禁止判断手段を含む、請求項1に記載の変速制御装置。
- 前記禁止判断手段は、前記時間変化率が予め定められた条件を満足するときには、前記現在の変速段から前記最高変速段への変速を禁止すると判断する、請求項2に記載の変速制御装置。
- 前記判断手段は、前記スロットル開度に基づいて、前記最高変速段への変速の禁止を解除すると判断するための解除判断手段をさらに含む、請求項2に記載の変速制御装置。
- 前記解除判断手段は、前記スロットルが予め定められた時間開かれた状態であることを検知したことに応答して、前記最高変速段への変速の禁止を解除すると判断する、請求項4に記載の変速制御装置。
- 車両の自動変速機を制御する変速制御方法であって、前記自動変速機は、変速比が1よりも小さい変速段を含み、前記車両の前進ポジション毎に予め定められた最高変速段まで自動的に変速し、前記変速制御方法は、
前記車両の速度を検出する検出ステップと、
前記車両のスロットル開度を検出する開度検出ステップと、
前記検出されたスロットル開度の時間変化率を算出する算出ステップと、
前記車両の速度と前記スロットル開度とに基づく前記自動変速機の変速タイミングを表わす情報を予め準備する準備ステップと、
シフトポジションを検出するシフトポジション検出ステップと、
前記自動変速機の現在の変速段を検出する変速段検出ステップと
前記車両の速度および前記スロットル開度と、前記変速タイミングとに基づいて変速段を算出する変速段算出ステップと、
前記算出された変速段が前記前進ポジション毎に予め定められた最高変速段であって、前記現在の変速段が前記最高変速段と異なる場合には、前記時間変化率に基づいて、前記現在の変速段から前記最高変速段への変速を許可するか否かを判断する判断ステップとを含む、自動変速機の変速制御方法。
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---|---|---|---|
JP2002189632A JP2004028308A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 自動変速機の変速制御装置および変速制御方法 |
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ID=31183992
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JP2002189632A Withdrawn JP2004028308A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 自動変速機の変速制御装置および変速制御方法 |
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JP (1) | JP2004028308A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102009011650A1 (de) | 2008-03-07 | 2009-09-10 | Jatco Ltd, Fuji | Automatikgetriebe und Steuerungsverfahren hierfür |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002189632A patent/JP2004028308A/ja not_active Withdrawn
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