JP2004026560A - 銅赤色ガラスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カララントフォアハースで着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、原料となるガラスの酸化還元雰囲気と鉄分の含有量に着目し、量産規模で銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を提供する。
【解決手段】原料ガラス中において、Fe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6とし、かつ総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.05重量%以下とした還元性ベースガラスを溶融窯で溶融し、カララントフォアハースにおいて、着色成分として銅を含み、かつ還元成分として少なくとも錫を含むフリットもしくはペレットを添加することにより、銅赤色を発色させる。
【選択図】 図2
【解決手段】原料ガラス中において、Fe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6とし、かつ総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.05重量%以下とした還元性ベースガラスを溶融窯で溶融し、カララントフォアハースにおいて、着色成分として銅を含み、かつ還元成分として少なくとも錫を含むフリットもしくはペレットを添加することにより、銅赤色を発色させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、銅赤色ガラスの製造方法に関し、特にカララントフォアハースにおいて、着色材を添加することにより銅赤色を発色させる色ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の製法によると、銅赤色のガラスを製造する際、原料ガラス(ベースガラス)を溶融したバッチに着色成分として銅、酸化第一銅を加え、還元成分として酸化第一錫を添加することにより発色させていた。
【0003】
一般に銅赤色の発色をさせるためには、原料ガラス(ベースガラス)内を還元雰囲気にする必要がある。しかしながら、前記ガラス原料として多用されるフリントガラスは本来酸化雰囲気であるため、酸化第一錫等の還元剤によりフリントガラスを強制的に還元雰囲気にすると、図3に示すように硫黄の酸化数が(6+)から(4+)に変化し、ガラスに不溶なSO2ガスがリボイル泡として発生するため、気泡混じりの製品となり、銅赤色の発色も一様ではなく不良品率が高かった。そのため、カララントフォアハース等を用いた製造方法には不向きとされ、小規模のバッチ毎の生産が主体となり、量産はなされてこなかった。
【0004】
そこで、前述したようにベースガラスを還元雰囲気に調整する煩雑さや発色の再現性の低さを解消するため、所定の原料からなる基本ガラスを溶融し、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝すことにより赤色を発色させる製法が特開平6−191898に報告されている。この製法にあっては、所定の原料からなる基本ガラスを予め調整しなければならず、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝す煩雑さから、コスト高になりやすい。
【0005】
その一方で、前記リボイル泡の発生を防ぐため、予め還元性を有する原料ガラス(ベースガラス)に前出の着色成分を添加し、発色させる方法が検討されてきた。還元性を有するベースガラスとしては、ビール瓶等に多用されリサイクル効率の良いアンバーガラスを用い、該アンバーガラスを溶融後、銅、酸化第一銅等の着色剤をフリット等としてカララントフォアハースにおいて添加する製法が日本国特許第3276893号に報告されている。しかしながら、前記製法にあっては、淡色から濃色のアンバーガラスが得られるものの銅赤色が得られたわけではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたものであり、原料となるベースガラスの酸化・還元雰囲気と鉄分の含有量に着目することによって、量産規模で銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.05重量%以下である還元性ベースガラスとし、前記着色材は、着色成分として銅を含み、かつ還元成分として少なくとも錫を含むフリットもしくはペレットとすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の規定する銅赤色ガラスの製造方法は、原料であるベースガラスを溶融窯において溶融後、これに接続するカララントフォアハース内で発色のための金属、金属酸化物を含む着色成分及び還元成分をフリットもしくはペレットの形態としていずれか一方又は両方を添加混合する。続いて、成形機により適宜の形状に成形した後、600℃前後の加熱が行われる徐冷工程を経ることにより製品化するものである。
【0009】
一般に、ベースガラス中に含まれるFe2+(II価の鉄)の総鉄分(Fe2++Fe3+)に占める相対比率が高まると当該ベースガラス中の酸化・還元雰囲気は次第に還元雰囲気(還元性)になることが知られている。このため、図1に示すFe2+の相対比率(横軸)と酸化・還元雰囲気のなす関係において、Fe2+の相対比率の上昇に伴い、ガラスの色調は、概ね(1):白素地ガラス、(2):緑色ガラス、(3):枯れ葉色ガラス、(4):アンバー色ガラスの順に変化する。
【0010】
従って、原料であるベースガラスは、従来技術に述べたとおり、後述する還元性成分の添加により、ガラスに不溶なSO2ガス(リボイル泡)発生を防ぐため、還元雰囲気のベースガラス(還元性ベースガラス)としなければならず、当該ガラス中のFe2+の相対比率を総鉄分中の60%以上、すなわち、Fe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6を満たすことが必須である。なお、リボイル泡の発生を防ぐためには、より還元雰囲気であることが望ましいため、Fe2+の相対比率がおおよそ70〜80%である(4):アンバー色のベースガラスを使用することが特に好ましい。
【0011】
前記アンバー色ベースガラスにおいて、そのアンバー色の色調は、鉄分の含有量に依存する。通常、ビール瓶、清涼飲料水用の瓶、試薬瓶等として利用されるアンバー色ガラスには、総鉄分を酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.2〜0.3重量%含有されるものが多い。このような鉄分の含有量のアンバー色ガラスをベースガラスとして用いた場合、着色後の最終製品として得られるガラスは、前出の日本国特許第3276893号に報告された淡色から濃色のアンバー色ガラスとなる。
【0012】
そこで、発明者は、ベースガラスの還元雰囲気を維持しつつ、良好な銅赤色の発色を得るベースガラスとして、当該ベースガラス中の総鉄分の含有量に着目し、これを酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.05重量%以下、好ましくは0.01〜0.02重量%とする淡色のアンバー色ガラスが、本発明の還元性ベースガラスとして好適であることを見いだした。
【0013】
請求項に規定する着色材は、金属、金属酸化物からなる着色成分と還元成分を所定濃度ずつ含有し、ガラス質により両成分を溶着したフリットもしくはペレットの一方又は両方である。フリットもしくはペレットは、前記カララントフォアハース内において前出の還元性ベースガラスに対し添加される。
【0014】
着色成分は、酸化第二銅(CuO)、金属銅(Cu)、酸化第一銅(Cu2O)の中から選択されるいずれか一種以上であり、良好な発色のためには還元性ベースガラスに酸化第二銅(CuO)換算で0.01〜0.70重量%、好ましくは0.14〜0.21重量%になるようにフリットもしくはペレットとして添加される。
【0015】
還元成分は、べースガラスの還元性を高め、銅(酸化物を含む)による発色を安定させるために使用されるものであり、酸化第一錫(SnO)が用いられ、還元性ベースガラスに0.0061〜1.3重量%、好ましくは0.06〜0.6重量%添加される。また、還元性をより高めると同時に着色成分である銅のコロイドを成長させ、より鮮やかな発色を得るため、炭素が還元性ベースガラスに対し、0.000005〜0.16重量%、好ましくは0.0005〜0.10重量%添加される。
【0016】
前出のフリットもしくはペレットにおいて、着色・還元成分のうち銅、錫はフリット化もしくはペレット化される過程中、種々の反応により酸化数の変化が起こりうるため、上記以外の酸化物を含む場合もある。
【0017】
カララントフォアハース内において、着色材(フリットもしくはペレット)の添加された還元性ベースガラスは、瓶、食器、装飾品等の種々の形状に成形後、徐冷窯において最高温度:550〜600℃のもと、60〜120分間かけて熱処理が行われる。前記還元性ベースガラスの色は、成形段階で淡いアンバー色が喪失し、無色透明あるいは若干の緑色、若干の青色をおびている。その後、徐冷(熱処理)を経ることにより、鮮やかな銅赤色が発色する。
【0018】
【実施例】
以下の実施例において使用した還元性ベースガラスは、総鉄分の含有量を酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.015重量%とし、厚さ5mmにおいて、明度82%、主波長574nm、刺激純度20%の淡アンバー色のガラスを用いた。なお、以下の実施例に示すガラスの色調の値は、全てガラスの厚みを5mmとしたものである。
【0019】
フリットは、当該フリット中において、酸化第二銅(CuO):13.965重量%、酸化第一錫(SnO):5.98重量%、炭素:0.05重量%がガラス質に含有されたものを用いた。
ペレットは、当該ペレット中において、酸化第一錫(SnO):20重量%、炭素:3重量%がガラス質に含有されたものを用いた。
【0020】
(実施例1)
前記の淡アンバー色の還元性ベースガラスを溶融窯で溶融し、カララントフォアハースにおいて前記フリットを0.5重量%添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度35.9%、主波長589.2nm、刺激純度70%の銅赤色ガラスを得た。
【0021】
(実施例2)
実施例1と同様の処理条件下、前記フリットを1.0重量%添加した。結果、明度14.2%、主波長607nm、刺激純度66.8%の銅赤色ガラスを得た。
【0022】
(実施例3)
実施例1と同様の処理条件下、前記フリットを1.0重量%添加し、さらに前記ペレットを1.0重量%添加した。結果、明度1.84%、主波長628.6nm、刺激純度100%の銅赤色ガラスを得た。
【0023】
実施例1,2,3における各波長(nm)と透過率(%)の関係は図2に示すとおりである。実施例1,2,3について、目視による官能検査の結果は、順に薄い銅赤色、銅赤色、濃い銅赤色であった。
【0024】
比較例としてベースガラス中に含まれるFe2+(II価の鉄)の総鉄分(Fe2++Fe3+)に占める相対比率が20%前後である白素地のベースガラス(酸化雰囲気)を用い、酸化第二銅を添加した結果、銅赤色とはならず青色となった。また、同白素地のベースガラスに酸化第二銅と酸化第一錫(還元剤)を同時に添加した場合、一応銅赤色が得られたもののリボイル泡が多く不良品化した。
【0025】
なお、フリット、ペレットの含有成分は実施例に用いた割合に限定されるものではなく、フリット、ペレット中に含有される成分の量及びベースガラスに対する添加量は、目標とする銅赤色ガラスの明度により適宜変更される。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の銅赤色ガラスの製造方法によると、還元雰囲気に維持されたベースガラスを使用するため、カララントフォアハースにおいて添加する酸化第一錫、炭素等の還元成分による酸化還元反応に伴ったリボイル泡の発生を防止でき、さらに鉄分(酸化第二鉄(Fe2O3)に換算)の含有量を0.05重量%以下にすることにより、着色成分としての銅(酸化物を含む)による銅赤色の発色を実現することができた。
【0027】
また、カララントフォアハースにおいて、着色成分、還元成分をフリットもしくはペレットの形状として添加するため、量産化が容易となり、適宜含有成分量及び添加量を調整することにより所望の銅赤色ガラスを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】総鉄分に占めるFe2+の相対比率とガラスの色調を表現する模式図である。
【図2】実施例の銅赤色ガラスの透過率曲線である。
【図3】硫黄の酸化数の変化と硫黄のガラス中の状態を表現する概略図である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、銅赤色ガラスの製造方法に関し、特にカララントフォアハースにおいて、着色材を添加することにより銅赤色を発色させる色ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の製法によると、銅赤色のガラスを製造する際、原料ガラス(ベースガラス)を溶融したバッチに着色成分として銅、酸化第一銅を加え、還元成分として酸化第一錫を添加することにより発色させていた。
【0003】
一般に銅赤色の発色をさせるためには、原料ガラス(ベースガラス)内を還元雰囲気にする必要がある。しかしながら、前記ガラス原料として多用されるフリントガラスは本来酸化雰囲気であるため、酸化第一錫等の還元剤によりフリントガラスを強制的に還元雰囲気にすると、図3に示すように硫黄の酸化数が(6+)から(4+)に変化し、ガラスに不溶なSO2ガスがリボイル泡として発生するため、気泡混じりの製品となり、銅赤色の発色も一様ではなく不良品率が高かった。そのため、カララントフォアハース等を用いた製造方法には不向きとされ、小規模のバッチ毎の生産が主体となり、量産はなされてこなかった。
【0004】
そこで、前述したようにベースガラスを還元雰囲気に調整する煩雑さや発色の再現性の低さを解消するため、所定の原料からなる基本ガラスを溶融し、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝すことにより赤色を発色させる製法が特開平6−191898に報告されている。この製法にあっては、所定の原料からなる基本ガラスを予め調整しなければならず、成形後に塩化第一銅の蒸気に曝す煩雑さから、コスト高になりやすい。
【0005】
その一方で、前記リボイル泡の発生を防ぐため、予め還元性を有する原料ガラス(ベースガラス)に前出の着色成分を添加し、発色させる方法が検討されてきた。還元性を有するベースガラスとしては、ビール瓶等に多用されリサイクル効率の良いアンバーガラスを用い、該アンバーガラスを溶融後、銅、酸化第一銅等の着色剤をフリット等としてカララントフォアハースにおいて添加する製法が日本国特許第3276893号に報告されている。しかしながら、前記製法にあっては、淡色から濃色のアンバーガラスが得られるものの銅赤色が得られたわけではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたものであり、原料となるベースガラスの酸化・還元雰囲気と鉄分の含有量に着目することによって、量産規模で銅赤色の発色を得る銅赤色ガラスの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明は、溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.05重量%以下である還元性ベースガラスとし、前記着色材は、着色成分として銅を含み、かつ還元成分として少なくとも錫を含むフリットもしくはペレットとすることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の規定する銅赤色ガラスの製造方法は、原料であるベースガラスを溶融窯において溶融後、これに接続するカララントフォアハース内で発色のための金属、金属酸化物を含む着色成分及び還元成分をフリットもしくはペレットの形態としていずれか一方又は両方を添加混合する。続いて、成形機により適宜の形状に成形した後、600℃前後の加熱が行われる徐冷工程を経ることにより製品化するものである。
【0009】
一般に、ベースガラス中に含まれるFe2+(II価の鉄)の総鉄分(Fe2++Fe3+)に占める相対比率が高まると当該ベースガラス中の酸化・還元雰囲気は次第に還元雰囲気(還元性)になることが知られている。このため、図1に示すFe2+の相対比率(横軸)と酸化・還元雰囲気のなす関係において、Fe2+の相対比率の上昇に伴い、ガラスの色調は、概ね(1):白素地ガラス、(2):緑色ガラス、(3):枯れ葉色ガラス、(4):アンバー色ガラスの順に変化する。
【0010】
従って、原料であるベースガラスは、従来技術に述べたとおり、後述する還元性成分の添加により、ガラスに不溶なSO2ガス(リボイル泡)発生を防ぐため、還元雰囲気のベースガラス(還元性ベースガラス)としなければならず、当該ガラス中のFe2+の相対比率を総鉄分中の60%以上、すなわち、Fe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6を満たすことが必須である。なお、リボイル泡の発生を防ぐためには、より還元雰囲気であることが望ましいため、Fe2+の相対比率がおおよそ70〜80%である(4):アンバー色のベースガラスを使用することが特に好ましい。
【0011】
前記アンバー色ベースガラスにおいて、そのアンバー色の色調は、鉄分の含有量に依存する。通常、ビール瓶、清涼飲料水用の瓶、試薬瓶等として利用されるアンバー色ガラスには、総鉄分を酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.2〜0.3重量%含有されるものが多い。このような鉄分の含有量のアンバー色ガラスをベースガラスとして用いた場合、着色後の最終製品として得られるガラスは、前出の日本国特許第3276893号に報告された淡色から濃色のアンバー色ガラスとなる。
【0012】
そこで、発明者は、ベースガラスの還元雰囲気を維持しつつ、良好な銅赤色の発色を得るベースガラスとして、当該ベースガラス中の総鉄分の含有量に着目し、これを酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.05重量%以下、好ましくは0.01〜0.02重量%とする淡色のアンバー色ガラスが、本発明の還元性ベースガラスとして好適であることを見いだした。
【0013】
請求項に規定する着色材は、金属、金属酸化物からなる着色成分と還元成分を所定濃度ずつ含有し、ガラス質により両成分を溶着したフリットもしくはペレットの一方又は両方である。フリットもしくはペレットは、前記カララントフォアハース内において前出の還元性ベースガラスに対し添加される。
【0014】
着色成分は、酸化第二銅(CuO)、金属銅(Cu)、酸化第一銅(Cu2O)の中から選択されるいずれか一種以上であり、良好な発色のためには還元性ベースガラスに酸化第二銅(CuO)換算で0.01〜0.70重量%、好ましくは0.14〜0.21重量%になるようにフリットもしくはペレットとして添加される。
【0015】
還元成分は、べースガラスの還元性を高め、銅(酸化物を含む)による発色を安定させるために使用されるものであり、酸化第一錫(SnO)が用いられ、還元性ベースガラスに0.0061〜1.3重量%、好ましくは0.06〜0.6重量%添加される。また、還元性をより高めると同時に着色成分である銅のコロイドを成長させ、より鮮やかな発色を得るため、炭素が還元性ベースガラスに対し、0.000005〜0.16重量%、好ましくは0.0005〜0.10重量%添加される。
【0016】
前出のフリットもしくはペレットにおいて、着色・還元成分のうち銅、錫はフリット化もしくはペレット化される過程中、種々の反応により酸化数の変化が起こりうるため、上記以外の酸化物を含む場合もある。
【0017】
カララントフォアハース内において、着色材(フリットもしくはペレット)の添加された還元性ベースガラスは、瓶、食器、装飾品等の種々の形状に成形後、徐冷窯において最高温度:550〜600℃のもと、60〜120分間かけて熱処理が行われる。前記還元性ベースガラスの色は、成形段階で淡いアンバー色が喪失し、無色透明あるいは若干の緑色、若干の青色をおびている。その後、徐冷(熱処理)を経ることにより、鮮やかな銅赤色が発色する。
【0018】
【実施例】
以下の実施例において使用した還元性ベースガラスは、総鉄分の含有量を酸化第二鉄(Fe2O3)に換算して0.015重量%とし、厚さ5mmにおいて、明度82%、主波長574nm、刺激純度20%の淡アンバー色のガラスを用いた。なお、以下の実施例に示すガラスの色調の値は、全てガラスの厚みを5mmとしたものである。
【0019】
フリットは、当該フリット中において、酸化第二銅(CuO):13.965重量%、酸化第一錫(SnO):5.98重量%、炭素:0.05重量%がガラス質に含有されたものを用いた。
ペレットは、当該ペレット中において、酸化第一錫(SnO):20重量%、炭素:3重量%がガラス質に含有されたものを用いた。
【0020】
(実施例1)
前記の淡アンバー色の還元性ベースガラスを溶融窯で溶融し、カララントフォアハースにおいて前記フリットを0.5重量%添加し、成形後、最高温度600℃において、60分間徐冷(熱処理)を行った。結果、明度35.9%、主波長589.2nm、刺激純度70%の銅赤色ガラスを得た。
【0021】
(実施例2)
実施例1と同様の処理条件下、前記フリットを1.0重量%添加した。結果、明度14.2%、主波長607nm、刺激純度66.8%の銅赤色ガラスを得た。
【0022】
(実施例3)
実施例1と同様の処理条件下、前記フリットを1.0重量%添加し、さらに前記ペレットを1.0重量%添加した。結果、明度1.84%、主波長628.6nm、刺激純度100%の銅赤色ガラスを得た。
【0023】
実施例1,2,3における各波長(nm)と透過率(%)の関係は図2に示すとおりである。実施例1,2,3について、目視による官能検査の結果は、順に薄い銅赤色、銅赤色、濃い銅赤色であった。
【0024】
比較例としてベースガラス中に含まれるFe2+(II価の鉄)の総鉄分(Fe2++Fe3+)に占める相対比率が20%前後である白素地のベースガラス(酸化雰囲気)を用い、酸化第二銅を添加した結果、銅赤色とはならず青色となった。また、同白素地のベースガラスに酸化第二銅と酸化第一錫(還元剤)を同時に添加した場合、一応銅赤色が得られたもののリボイル泡が多く不良品化した。
【0025】
なお、フリット、ペレットの含有成分は実施例に用いた割合に限定されるものではなく、フリット、ペレット中に含有される成分の量及びベースガラスに対する添加量は、目標とする銅赤色ガラスの明度により適宜変更される。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の銅赤色ガラスの製造方法によると、還元雰囲気に維持されたベースガラスを使用するため、カララントフォアハースにおいて添加する酸化第一錫、炭素等の還元成分による酸化還元反応に伴ったリボイル泡の発生を防止でき、さらに鉄分(酸化第二鉄(Fe2O3)に換算)の含有量を0.05重量%以下にすることにより、着色成分としての銅(酸化物を含む)による銅赤色の発色を実現することができた。
【0027】
また、カララントフォアハースにおいて、着色成分、還元成分をフリットもしくはペレットの形状として添加するため、量産化が容易となり、適宜含有成分量及び添加量を調整することにより所望の銅赤色ガラスを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】総鉄分に占めるFe2+の相対比率とガラスの色調を表現する模式図である。
【図2】実施例の銅赤色ガラスの透過率曲線である。
【図3】硫黄の酸化数の変化と硫黄のガラス中の状態を表現する概略図である。
Claims (1)
- 溶融窯で溶融したベースガラスに対し、カララントフォアハースにおいて、着色材を添加する色ガラスの製造方法であって、
前記ベースガラスは、当該ガラス中におけるFe2+及びFe3+の間に成立する存在比をFe2+/(Fe2++Fe3+)≧0.6とし、かつ当該ガラス中の総鉄分の含有量を酸化第二鉄に換算して0.05重量%以下である還元性ベースガラスとし、前記着色材は、着色成分として銅を含み、かつ還元成分として少なくとも錫を含むフリットもしくはペレットとすることを特徴とする銅赤色ガラスの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140000208A (ko) * | 2010-12-02 | 2014-01-02 | 아사히 가라스 가부시키가이샤 | 유리 용융로, 유리 소지의 변성 방법, 용융 유리의 제조 방법, 유리 제품의 제조 방법 및 유리 제품의 제조 장치 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184587A patent/JP2004026560A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140000208A (ko) * | 2010-12-02 | 2014-01-02 | 아사히 가라스 가부시키가이샤 | 유리 용융로, 유리 소지의 변성 방법, 용융 유리의 제조 방법, 유리 제품의 제조 방법 및 유리 제품의 제조 장치 |
KR101899171B1 (ko) | 2010-12-02 | 2018-09-14 | 에이지씨 가부시키가이샤 | 유리 용융로, 유리 소지의 변성 방법, 용융 유리의 제조 방법, 유리 제품의 제조 방법 및 유리 제품의 제조 장치 |
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